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プロフィール
コメント数 1888
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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441.  キング(2019) 《ネタバレ》 15世紀のイギリスを舞台に、若くしてイングランド王となったヘンリー五世が様々な苦難を乗り越えて〝立派な〟王となってゆくまでを重厚に描いた歴史スペクタクル。野心家だった父王との確執を抱え、最後まで王となることを望まなかったヘンリー五世役には今を時めく人気若手俳優ティモシー・シャラメ、新王を献身的に支える側近役に最近監督業にも熱心なジョエル・エドガートン。彼が脚本も務めたという本作、これがなかなか見応えのある歴史ドラマの佳品に仕上がっていたと思います。物凄くオーソドックスでベタな内容ながら、最後までちゃんと観ていられたのはやはり丁寧な脚本の力なのでしょう。特に血と汗の匂いがこちらにまで漂ってきそうなリアルな戦場描写はなかなかの迫力。平和を愛し、争いごとを嫌っていたはずの若き王が、いつしか捕虜を皆殺しにするような残虐な王となるまでも説得力があり、権坊術数渦巻く宮廷劇としても見応え充分でした。ただ、自分はこういう最後までずっと真面目な展開が続く歴史ドラマが幾分か苦手と言うこともあり、そこまで嵌まれなかったというのが正直な感想ですかね。もう少し遊びの部分があっても良かったような気がしなくもない。あと、明らかに長いっす!クライマックスの戦いが終わってからのくだりはもう少しスマートに出来たのでは?ここらへん、ちょっと蛇足感がありました。それにしても、若き王を貫禄たっぷりに演じたティモシー・シャラメの存在感は凄いですね。男の僕からみても惚れ惚れするぐらいセクシーでカッコよくて、将来が楽しみな役者さんの一人です。彼のファンや、中世ヨーロッパの歴史ものが好きな方なら充分楽しめると思います。[インターネット(字幕)] 6点(2020-06-14 23:35:50)(良:1票)

442.  マクマホン・ファイル 《ネタバレ》 1980年代、政情不安に揺れる中南米を舞台に、巨大な陰謀に巻き込まれたアメリカ人女性ジャーナリストを巡る政治サスペンス。アン・ハサウェイやベン・アフレックと言った人気俳優が主演を務め、実力派のウィレム・デフォーやトビー・ジョーンズらが脇を固めております。監督は前作でアカデミー脚色賞にノミネートされた俊英、ディー・リース。率直な感想を述べさせてもらうと、とにかくストーリーが分かりづらい!僕の理解力の問題なのか、なんとなくは分かるもののストーリーの細かい部分がいまいちピンとこず、最後まで盛り上がりに欠けたまま、だらだらと終わってしまいました。前作で魅せた、この監督の極めて分かりやすいストーリーテリングはいったいどこへいっちゃったんでしょう?最後の衝撃のオチだけはばっちり決まってましたけど、いかんせんそこまでの流れが悪すぎます。この監督の前作がすこぶる良かっただけに残念![インターネット(字幕)] 5点(2020-06-11 12:41:08)

443.  ザ・ブック・オブ・ヘンリー 《ネタバレ》 彼の名は、ヘンリー。今年で11歳になる一見普通の少年だ。シングルマザーの母親とまだ幼い弟との三人暮らし、隣に住む幼馴染の女の子クリスティーナが最近ちょっぴり気になっている。でも、彼はほんのちょっと人とは違うところが。それは、常人の枠を遥かに超えた高度な知能指数。そう、彼はギフテッドと呼ばれるいわゆる天才少年なのだ。この歳にして株の取引でかなりの貯蓄を蓄え、学校の成績はもはや大学院生クラス。そんな彼はある日、重大な事実に気付いてしまう。「クリスティーナが義理の父親から虐待を受けている!」――。いくら大人たちに訴えてみても、警察官である彼女の父はその度に巧みな方法で疑惑から逃れていた。居てもたってもいられなくなったヘンリーは、独自に問題解決への道を探り、それを一冊のノートに書き留めていくのだった。だが、そんな折、ヘンリーの身体に深刻な腫瘍が見つかり、彼は病院で緊急手術を受けることになってしまう。もはや事態は一刻の猶予もない。彼の計画を事細かに記した一冊の本を手に、母親が行動を起こすのだが……。天才少年が記した一冊の本を巡り、過酷な運命に翻弄されるある家族の葛藤を描いたヒューマン・サスペンス。ベテラン女優ナオミ・ワッツが主演し、『ジュラシック・ワールド』を撮ったコリン・トレヴォロウが監督を務めたという本作、これがなかなかの問題作でした。ここでぶっちゃけてネタバレすると、主人公であるヘンリーは物語の途中で病のため亡くなってしまいます。その後、物語はこの遺されたノートに書かれた彼の完全犯罪計画を実行に移す母親へと大きくシフトチェンジしてゆくことになります。そう、彼は隣人の警察官を密かに殺害する計画を立てていたのです。いくら虐待をしている父親であっても、これは完全に私刑で犯罪。なのにそんなことなど構わず、死んだ息子の計画を自ら実行しようとする母親。誰がみてもかなりダークで陰惨なお話なのに、これを何故かちょっと良い話のように描くところに凄く違和感。まるで難病ものの感動ファミリー・ドラマのように描いてゆくのです。僕はモヤモヤとした、なんとも居心地の悪い思いが最後まで拭い切れませんでした。いやいや、これって色んな意味で倫理的にアウトでしょう。それにヘンリーが亡くなるシーンも、物語が暗くならないようにだろうけど、かなりあっさりと流しちゃったのもどうかと思います。最後の無理やりなハッピー・エンドに至っては、あまりに薄っぺらすぎて思わず眉を顰めて観ている自分がいました。これではなんともすっきりしない後味の悪い映画だったと言わざるを得ません。ジェイコブ・トレンブレイ君の相変わらずの天才子役ぶりに+1点。[インターネット(字幕)] 5点(2020-06-08 16:01:35)

444.  ベルベット・バズソー 血塗られたギャラリー 《ネタバレ》 ヴェトリル・ディーズ――。それは自宅のアパートの一室で孤独死した老人の名前。十数年も病院の用務員として真面目に働き、友人や恋人も作らず、平凡な一市民として孤独の中に生きてきた彼。だが彼の死後、自宅からその生涯を費やして描き続けたであろう幾多の〝作品〟が発見される。正確な技法に唯一無二の大胆な発想で描かれたその油絵の数々は、専門家の目から見ても傑作と言っていいクオリティを誇っていた。「彼の名は、現代アートの歴史を塗り替えることになるだろう」。噂を聞きつけた画廊のオーナーやディーラー、それに美術評論家や現代アートの作家たちがこぞって彼の作品を手に入れようと動き始める。だが、彼の作品を手に入れた者たちは、次々と謎の死を遂げるようになるのだった。果たして彼の傑作に隠された衝撃の真実とは?生涯を無名のままで過ごした謎の画家ディーズ、彼が遺したという傑作絵画を巡って欲望に取り憑かれた人々の呪われた運命を描くサスペンス・スリラー。監督と主演を務めるのは、ダン・ギルロイとジェイク・ギレンホール。パパラッチの実態をリアルに描いた傑作サスペンス『ナイトクローラー』を撮ったコンビの新作ということで、今回かなり期待して鑑賞してみました。うーん、僕の期待が高すぎたのか、正直微妙な出来でしたね、これ。現代アートの世界に生きるセレブたちのその虚飾に塗れた実態を描くという内容に、「ああ、これは何年か前にカンヌでグランプリを取った『ザ・スクエア 思いやりの聖域』のような、美術界の内幕をシニカルな笑いとともに暴いたブラック・コメディなんだろうな」と思いながら観ていました。いわゆるヘンリー・ダーガーのようなアウトサイダー・アーティストを巡って、真の芸術とは何かを問う、みたいな。でも、途中でまさかのオカルト・ホラーな展開に!それまでのシリアスな内容から、いきなり人体発火や猿の化け物が出てくるというぶっ飛び具合。いやいや、さすがにこれは物語としてのバランスが悪すぎますわ~。前半と後半で全く別の映画を観ているような感覚に陥っちゃいました。たくさん出てくる登場人物たちの相関関係も分かりづらく、おまけに誰も彼も魅力に乏しいのもマイナス・ポイント。現代アートをテーマにしたホラー描写もどれも一定の美的センスは感じるものの、そこまで怖くありませんし。うーん、人間ドラマとしてもオカルト・ホラーとしてもなんとも中途半端な出来でありました。[インターネット(字幕)] 4点(2020-06-07 00:40:04)

445.  アースクエイクバード 《ネタバレ》 聞こえる?これは〝地震鳥〟の鳴き声。いつも地震の後に聞こえてくるの――。辛い過去から逃れるように日本へとやって来たアメリカ人、ルーシー。大学時代から学んできた日本語という特技を生かし、日本で暮らすようになってはや5年。翻訳関係の仕事もそれなりに順調、アメリカや日本の友達ともぼちぼちいい関係を築いている。何より、蕎麦屋で働きアマチュア・カメラマンとしての顔も持つ日本人の彼氏、禎司と深い仲になっていた。そんな折、ルーシーはアメリカから着の身着のままでやってきた奔放な女性、リリーと出会う。ほとんど日本語も喋れず、明確なプランもない彼女をルーシーは何かと面倒を見てやるのだった。一緒に飲みに出かけたり、仲間のライブに参加したり、さらには彼氏の禎司と3人で旅行にまで出かけるほどの関係になった彼女たち。だがある日、しばらく消息を絶っていたリリーが急に東京湾で死体となって発見されるのだった。重要参考人として日本の警察へと連行されるルーシー。警察に問い詰められた彼女は驚くべき告白を始める…。日本を舞台に、ミステリアスな日本の彼氏と奔放なアメリカ人女性との間で揺れ動くある一人の女性を描いた心理サスペンス。人気若手女優アリシア・ヴィキャンデルが主演を務めたという本作、これがまあ近年稀に見るダメな映画でした。とにかく全編に渡って変な演出が延々と繰り返され、見れば見るほど失笑を禁じ得ないというダメっぷり。まず主人公が日本人の彼氏と付き合い始めるきっかけがそもそもおかしい。道を歩いていたら急に見ず知らずの男に写真を撮られ、怒るのかと思いきや、主人公はそのままその男と蕎麦を食べに行き、あろうことかその足で家まで付いてゆくんです。え、この主人公はビッチなの?と言うと特にそんなわけでもなく、その日は写真を撮られて終わり。いや、いったい何がしたかってん?終始こんな感じで、急に知り合いの日本女性が階段から転落死したり、主人公や彼氏の過去の話が急に出てきたりするのですが、それが物語の重要なキーになるかと言えば特にそんなこともなく…。タイトルにもなっている地震鳥のエピソードに至っては、もはや何の意味もなしてません。監督はきっとソフィア・コッポラの『ロスト・イン・トランスレーション』みたいな映画を狙ったんでしょうけど、才能が遠く及ばず、出来上がったものは最後までまったく意味不明の退屈極まりない作品でありました。あと、最後にこれだけは言っておきたい。アリシアちゃんの日本語があまりにカタコト過ぎて、日本人としては聞けば聞くほど苦笑するほかありませんでした。周りにいた日本のスタッフはこのことに関して何も言わなかったのでしょうか?監督が「こんなもんでいいだろ」と判断したのであれば、あまりに日本を舐めた制作姿勢だったと言わざるを得ません。[インターネット(字幕)] 2点(2020-06-04 14:00:52)

446.  マッドバウンド 哀しき友情 《ネタバレ》 アメリカ南部の広大な田舎町で綿花農場を営む白人の地主と、彼らに仕える貧しい黒人の使用人一家。第二次世界大戦と言う激動の時代に運命を翻弄された、彼らの三世代にわたって繰り広げられる壮大な愛と憎しみの物語。たくさん登場するキャラクターたちの相関関係はかなり複雑で、しかも何年にも時代を跨って紡がれる壮大なお話なのに、監督の類稀なるストーリーテリングの巧みさによって非常に完成度の高い作品に仕上がっておりました。それぞれの登場人物の極めて個人的なモノローグを全編に散りばめ、舞台もアメリカ南部の閉鎖的な田舎町からヨーロッパの激戦地にまで大きく拡げながらも最後まで物語を破綻させることなく魅せたこの監督の手腕は特筆に値すると思います。取り上げられるテーマも、人種差別、不倫の恋、親子の確執、戦場のトラウマ、そして人種の壁を乗り越えて育まれる友情と多岐にわたり、しかもそのどれもちゃんと過不足なく描くという離れ業を見事にやってのけている。アカデミー脚色賞ノミネートも納得です。役者たちのナチュラルな演技も見応え充分で、特にこの時代に多くいたであろう抑圧された人妻を可憐に演じたキャリー・マリガンはとても魅力的でした。ただ、さすがに後半、幾分か冗長に感じられるシーンがちらほらあったのが残念。余計なシーンを何か所か削れば、もう少しスリムに出来たのでは。とはいえ、全体的な満足度はかなり高い。最後、人種の壁を乗り越えて強い友情を育んでいた息子たちが辿る悲劇には、大きく心揺さぶられました。あの公然と黒人を奴隷扱いするクソ親父に裁きが下った時、思わずカタルシスを感じてしまった自分もまた、憎しみの連鎖の中に居るのでしょうか。現代にまで連なる人種差別という問題の根深さに、改めて戦慄せざるを得ません。監督は本作が実質的なデビュー作となる俊英、ディー・リース。なのに、この新人離れした堂々たる風格。今から将来が楽しみな、新たな才能との出会いに喜びを隠せません。[インターネット(字幕)] 7点(2020-06-03 00:40:59)

447.  バスターのバラード 《ネタバレ》 もはや誰がいつの時代に書いたのかも分からない一冊の短編集『バスターのバラード』。西部開拓時代を舞台にしたその古ぼけた本には、人生の深い哀感に満ちた六つの物語が収められている。それぞれのお話の冒頭には魅惑的な挿絵も施され、読む者の人生に一時の潤いを与えてくれることだろう。第一話『バスターのバラード』。お尋ね者のガンマンで陽気な歌い人でもあるバスター。ある日、彼がとある街の酒場でポーカーに参加したところ、ならず者に難癖をつけられる。だが、持ち前の減らず口と類稀なる銃の腕で難なく危機を乗り越えた彼だったが…。馬鹿々々しくも陽気なこのバスターの軽佻浮薄なキャラが楽しかった。最後、天に召されるまでその軽口を止めなかった彼に終始癒される。だが、ちょっとオチが弱いのが難点か。第二話『アルゴドネス付近』。いかにも襲ってくれと言わんばかりの郊外の銀行へと押し入ったならず者。簡単に大金が手に入ると思いきや、行員の老人に思いがけない反撃を喰らう。用心棒に引き渡され首吊りの刑にされようとした瞬間、今度はインディアンの襲撃に遭い…。何度も命の危機にさらされながら、その度に運よく生き延びる彼の悪運の強さには思わず笑ってしまった。ただ、強運も尽き果てたというオチは、本作でも弱い。第三話『食事券』。両手両足を失い介助なしでは生活できない青年が、生きるためにしていること。それは興行主である男の馬車で各地を旅し、その街々で魅力的な物語を語り聞かせることだった。各地で人気を得た彼の講演だったが、それも時代の波に流され、最後は暗算できるインチキ鶏にさえ負けてしまう…。人生の哀しみという点ではこの作品が一番優れている。彼を単なる食事券としか捉えていない男との関係性など、描かれない世界に思いを馳せるのもまた一興。だが、あまりにも淡々としているため物語としての面白みには乏しかった。第四話『金の谷』。ただひたすら金脈を求めて川を下る一人の老人。地道で苦難に満ちた作業の末、ようやくそのありかを発見するのだが、その背後には彼の手柄を横取りしようと付け狙う男が…。とにかく豊かな大自然の描写が素晴らしい。見ているだけで心が癒されるその風景の中で展開される、二人の男のひりひりとするやり取りは見応え充分。ただ、こちらも単純なお話のためいまいち印象に残りにくいのが難点。第五話『早とちりの娘』。幌馬車隊に乗せられ、兄とともに新天地に向けて旅していた世間知らずの娘。だが、途中で兄が病に倒れ亡くなってしまう。窮地に陥った彼女だったが、隊長の男に見染められ、何かと助けてくれることに。やがて彼と結婚することまで決意した彼女を悲劇が襲う…。個人的にはこれが一番面白かった。総じてオチが弱い本作品群の中では、一番しっかりとラストが決まっている。ただ、後味が悪すぎるのが残念。もう少し救いがあれば良かったのだが。第六話『遺骸』。乗合馬車に乗り合わせた五人の乗客たちの会話劇。最後を飾るにしてはいまいちパンチに欠ける印象。いかにもコーエン兄弟らしいペーソスとシニカルな笑いに満ちた、そんな六篇のオムニバス。どれも楽しく観ることが出来たが、そこまで心に刺さるものがなかったのが残念。総評としては、6点と言ったところか。[インターネット(字幕)] 6点(2020-06-01 13:30:17)

448.  モーグリ ジャングルの伝説 《ネタバレ》 イギリスのノーベル賞作家キプリングによる児童文学の古典『ジャングル・ブック』を最新のCG技術を駆使して実写化した作品。ディズニーのアニメや最近の同社による実写化などでもお馴染みのこの名作を再映画化するにあたり、制作者がそれらと差別化するために採用した手法、それはとても児童向けとは思えないほどのリアルな描写だろう。CGで再現された動物たちはどれも妙に生々しく、ただ可愛いだけだった過去作とは一線を画している。特にどの動物たちの回りにも常に蠅が飛び回っている演出には目から鱗だった。そう、確かにインドやアフリカの野生動物の回りには常に蠅がたかっているものなのだ。決してキレイごとでは済まされない、野生の世界に生きることの真実がここに象徴されている。その当たり前の事実に改めて気づかさせてくれたこと、それだけでも本作は素直に観て良かったと言えるだろう。主人公モーグリが、悪役であるトラに傷を負わせられるシーンもかなりグロテスクで、その踏み込んだ表現手法は――賛否は別にして――一見の価値はある。キプリングが本当に目指したのは、もしかするとこういう世界観なのかも知れない。ただ、肝心の内容の方は正直いただけない。全体を通して、あまりにも脚本が取っ散らかりすぎているのだ。主人公モーグリも彼の仲間である動物たちも敵であるトラやハイエナも誰も彼もがいったい何がしたいのかがさっぱり分からない。そこに現地の先住民やイギリスの冒険家、さらには人間を憎むゾウなども絡んできて、クライマックスなどもはや完全に破綻していると言っても過言ではないだろう。CG表現に力を入れるよりも前に、まずはしっかりと脚本を練るべきであった。前述したとおり、その映像表現には目を見張るものがあっただけに残念だ。[インターネット(字幕)] 5点(2020-05-28 03:46:18)

449.  エクスティンクション 地球奪還 《ネタバレ》 サルは見て、サルは真似る――。彼の名は、ピーター。何処にでも居るような平凡な電気技師だ。まだまだかわいい盛りの二人の娘とキャリア・ウーマンの妻とともにささやかながらも幸せな日々を過ごしている。でも、そんな彼にも最近一つだけ悩みの種があった。それは夜毎、謎の悪夢にうなされること。夢の中で彼は、突如として地球に侵略してきた凶悪な宇宙人によって目の前で家族を惨殺されてしまうのだ。とても夢とは思えない生々しさに満ちたそんな悪夢に、ピーターは日々神経を擦り減らしていた。だが、彼の悪夢は急に現実のものとなる――。何の前触れもなく大規模な攻撃を仕掛けてきた宇宙人によって、街は瞬く間に阿鼻叫喚の地獄絵図と化してしまうのだった。パニックへと陥りながらも、ピーターは家族を救うため、決死の覚悟で行動を起こすのだが……。宇宙人の突然の地球侵略によって、崩壊の危機へと陥ってしまったとある家族の恐怖を描いたSFスリラー。明らかに低予算で撮られただろう、B級感満載のそんな本作、さして期待せずに今回鑑賞してみました。地球規模の侵略の割にはずっととあるマンションの一室でのみストーリーが展開されるという前半部分に、僕は一昔前の某B級トホホ映画『ス〇イライン』を髣髴としてしまい、一気にテンションはダダ下がり。「あぁ、これは外したかもなぁ」と思いながらそのまま観続けたのですが、これが意外や意外、中盤から一気に盛り返し、クライマックスなんて普通に見入っちゃってる自分が居ました。うん、なかなかの掘り出しもんですよ、これ。特に物語の中盤で明かされる驚きの真相!アイデア自体はそんなに新しいものではないですが、観客に対するミスリードの仕方が抜群に巧く、僕は普通に騙されちゃいました。繰り返される悪夢やエイリアンの造形や武器などの謎にこれで全て納得がいくという巧みさ。他にも、燃え盛るビルの屋上からゴンドアで下るシーンだとか、唐突に襲い掛かってくるエイリアン等々、アクション・シーンの数々もどれもキレがあって大変グッド。破壊された街並みやエイリアンの腕から出るホログラフなど、そのブルーを基調とした映像にもけっこうセンスを感じました。主人公夫婦の〝内部〟の映像なんてスタイリッシュで素晴らしいの一言。いやー、なかなか技ありの一本でありました。あと、これはどうでもいいことなのですが、長女役を演じた女の子がブルゾンちえみとそっくりだったことも最後に記しておきたい。髪型もメイクも服装もそのまんまなので、そのうちwithBが出てくるんじゃないかと僕は勝手に一人でウケてました。ま、ホントどうでもいいんですけどね(笑)。[インターネット(字幕)] 7点(2020-05-27 16:00:33)(良:1票)

450.  アンカット・ダイヤモンド 《ネタバレ》 エチオピアの鉱山で発見された、七色に光り輝くダイヤの原石。ニューヨークで宝石商を営むユダヤ人のハワードは、長年の借金生活から逃れるために自らのコネを最大限駆使して、何とかその原石を手に入れることに成功する。少なく見積もっても100万ドルはくだらない。オークションに掛け、莫大な額で売り抜けようとした矢先、店にたまたまスピリチュアルにかぶれたNBAのスター選手がやって来る。その原石を見た瞬間、彼はハワードに一晩だけこの宝石を貸してほしいと訴えてくるのだった。今夜の大事な試合のために何としてもこの宝石のパワーが必要だ、と。「これは絶対金になる!」。そう確信したハワードは、彼の高価な指輪と引き換えにそのダイヤの原石を貸し出すことに。そして、その足でハワードが向かった先とは、質屋――。そう、彼はNBAのスター選手の指輪と引き換えに大金を借り入れ、その金を全額、バスケット・ボール賭博につぎ込むのだった。妻にせがまれ、娘の劇の発表会に参加しながらも、試合の行方が気になって仕方ないハワード。そこに彼の長年の愛人や借金の取り立て人なども現れ、事態はますます混迷の度を深めてゆく。果たして賭けのゆくえは?アダム・サンドラー主演で送る、口先だけでこれまで生きてきた宝石商の狂騒の一夜をスラップスティックに描き出すクライム・ドラマ。率直な感想を述べさせてもらうと、僕はさっぱり楽しめませんでした、これ。考えられた脚本や緻密な構成などはなから度外視、役者のアドリブを最大限重視して、ひたすら行き当たりばったりで最後まで突っ走るこの撮影手法(違うのかな?でも僕はそんな印象を持ちました)はきっと好きな人には堪らないんでしょうけど、僕は全然無理でしたね。分かったような分からないようなこのストーリーがあまりにつまらな過ぎて、もうひたすら退屈!たくさん出てくる登場人物たちも誰が誰やら分かりづらいし、しかも皆自分のことしか考えていない俗物のバカばかりで魅力なんて欠片もありません。そんな彼らが最後までただひたすら悪態ばかりつくのを見せられるのは、もう苦痛以外の何者でもない。好きな人には申し訳ないですけど、自分には時間の無駄としか言いようのない作品でありました。[インターネット(字幕)] 2点(2020-05-25 00:04:59)

451.  フラクチャード 《ネタバレ》 寂れた田舎町に佇む、とある総合病院。ある日、そこに幼い一人娘を抱えた父親レイが駆け込んでくる。「娘のペリが工事現場の穴に落ちた!どうやら骨が折れてるみたいだ。すぐに医者を呼んでくれ」――。一緒にやって来た妻とともに、受付の女性に必死の形相でそう訴えかけるレイ。だが、受付の女性は事務的な説明を繰り返すばかりでなかなか診察してくれない。仕方なく家族とともに患者でひしめく待合室に向かったレイは、不安に駆られつつもただひたすら待つことに。ようやく診察が開始され、ホッと胸をなでおろすレイ。娘の病状は大したものではなかったが、一応精密検査をしようと言う医者の言葉にレイは素直にうなずくのだった。看護師に連れられ地下へと向かった妻と娘を、レイは一抹の不安を感じながらも待ち続ける。だが、何故かいつまで経っても家族は戻ってこない。業を煮やしたレイが文句を言いに行くと、受付の女は信じられない言葉を吐くのだった。「そんな患者はこの病院にはいません」。当然のように声を荒げ、強引に病棟内へと乗り込んだ彼は、愛する家族を求めて院内を駆けずり回るのだった。ところが、何処をどう捜しても家族の姿は見つからない。あろうことか、病院側はそんなレイをまるで精神病患者のように扱い始めるのだった…。サム・ワーシントン主演で送る、世にも奇妙な世界へと迷い込んだ男の恐怖を描いた不条理系スリラー。監督は『マシニスト』のブラッド・アンダーソン。彼の観客の生理に直接訴えかけてくるような不穏な世界観は相変わらず健在で、散りばめられた細かなエピソードの数々も実に不快指数マックスなものばかりで大変グッド。娘の腕が折れてるかも知れないのに、万が一の場合臓器提供を希望するかしないかをしつこく聞いてくる受付嬢など、すんごく気持ち悪いんですけどなんか癖になる魅力があります。ただ、肝心のお話の方は正直微妙というほかありません。特にミスリードありきのこのオチは賛否が分かれるところ。ここでネタバレすると、ことの真相は途中で、①病院が悪者で男の家族はちゃんと拉致監禁されていた②本当はこの男が家族を殺していて自らの記憶を改竄していた③男はやはり精神病でそもそも家族は最初からいなかった、と言うだいたい三つに絞られるのですが、最後に明かされる正解はその中でも最もムリ筋なものでした。到底納得できないうえに、後味も最悪という、ね。正直、もうちょっとすっきり終わって欲しかったなあ。全編に漂うこの不穏な世界観はすこぶる魅力的だったのに、なんとも勿体ない。[インターネット(字幕)] 5点(2020-05-23 00:30:03)

452.  ザ・テキサス・レンジャーズ(2019) 《ネタバレ》 アメリカ犯罪史上にその名を残す、全米屈指の凶悪犯カップル、ボニー&クライド。銀行強盗や脱獄など稀に見る凶悪犯罪を次々と繰り返し、邪魔する者は容赦なく殺害した彼らの逃走に終止符を打ったのは、今や引退した元ベテラン刑事コンビだった。本作は、そんな通称・テキサスレンジャーズの知られざる活躍を実話を基に描いたクライム・ドラマだ。監督を務めるのは、実話を基にした幾多の作品群で確実に実績を残してきたジョン・リー・ハンコック。第一線から退き、もはやすっかり体力が衰えてしまったベテラン・コンビを演じるのは、こちらもベテランのケヴィン・コスナー&ウディ・ハレルソン。『俺たちに明日はない』など数々の映画や小説でお馴染みのボニー&クライドの逃走劇を、追跡する側から描いたというのはなかなか新しい視点だったんじゃないでしょうか。全米を股にかけて何年も逃走をつづけたボニー&クライドのドラマをほとんど描かず、しかも彼らの姿はほぼバックショットのみでその表情すら捉えなかったこの演出は正解だったと思います。なので、彼らを地道に追うこの主人公二人の方がどれだけ英雄と呼ぶにふさわしいかと言うこの作品のテーマがより明確に伝わってきました。彼らを演じるK・コスナーとW・ハレルソンもそのいぶし銀の渋さが光っております。特にここ最近のコスナーさんは良い感じに枯れてきて、なかなか格好いいジジイになってきましたね~。彼の「悪人は容赦なく殺してよし!」と言う自らの唯我独尊ぶりと、でもそうしなければこちらが殺されるからというジレンマに苦しむところもばっちり嵌まってました。厚かましいおばさん知事を厭味ったらしく演じたキャシー・ベイツも相変わらずいい仕事してます。ただ、肝心のお話の方は、若干パンチに欠けていたのも事実。あまりにもオーソドックス過ぎて、正直、僕は少し物足りなさも感じてしまいました。もうちょっとこの作品ならではと言う突出した部分が欲しかったですかね。最後、ボニー&クライドの葬儀に何万人ものファンが参列したという実際の映像には驚かされました。SNSなどない時代から、流されやすい世論と言うのはあったのですね。改めて自戒の念を抱いた次第です、はい。[インターネット(字幕)] 6点(2020-05-22 14:00:17)

453.  アイ・アム・マザー 《ネタバレ》 そこは再増殖施設と名付けらた、とある広大な建物。最先端技術で管理されたそこには、意思のある人間は一人も存在しない。ただ、そこには凍結された胎児が6万体も保存されていた――。大量絶滅を迎えたその日、施設を管理する一体のドロイドによって一人の赤ん坊が蘇生される。生まれてきた赤ちゃんには名前すら付けられず、ただ〝娘(ドーター)〟と呼ばれ、ドロイドによって大切に育てられるのだった。施設の外は毒素に満ちた危険な世界で、人間は一人残らず死んでしまったと教えられる娘。いずれ大量に蘇生される幼き弟や妹たちのために日々勉強にいそしみ、美しい少女へと成長したある日、予期せぬ事態が起こる。なんと重傷を負った一人の女性が助けを求めてやってきたのだ。戸惑いつつも中に入れてやる娘。するとそれまで最大限の優しさを見せていた〝母親(マザー)〟は豹変する。果たしてここは何処なのか?本当に世界は滅んでしまったのか?今、娘の手によって回復した女の口から驚きの真実が語られる……。ディストピアと化した世界で、外界から完全に隔離された施設に暮らすある少女の葛藤と成長を描いたSFドラマ。舞台となるのはほぼこの完全隔離された施設内のみ、登場人物もこの主人公の少女と途中から登場する謎の女性のみ(演じるのはオスカー女優のヒラリー・スワンク)と言う低予算ながら、細部にまで拘ったであろうこのスタイリッシュな世界観のおかげで普通に観ていられる作品になってましたね、これ。特に、主人公を育てるドロイドなんてきっとパントマイムの人が中に入って演じてるんだろうけど、それを全く感じさせない自然な動きでなかなか良かったです。ただ、それに対してお話の方は正直微妙。何と言うか、細部の詰めが非常に甘いのです。まず、この広大な施設を管理するのがこのドロイド一体のみと言うのが不自然すぎます。後半に警備用ドロイドがたくさん出てくるのですが、それならこのうちの何体かはこの施設に配備されてても良かったんじゃない?おかげでこの主人公の少女にかなり自由な行動を許しちゃってますし。それに、この施設へと駆け込んでくる謎の女の存在もよく分かりません。外に仲間がいると嘘をついて主人公を外へと連れ出す、その理由がさっぱり分からない。要するに、腑に落ちないのです。終始そんな感じで、終わってみれば「結局、あれやこれはいったいなんだったの?」と言うもやもやしたものばかりが残る、何ともすっきりしない作品でありました。[インターネット(字幕)] 5点(2020-05-21 01:18:00)

454.  アウトサイダー(2018) 《ネタバレ》 ねえ、この入れ墨の意味を知ってる?鯉はね、滝を登り切ると龍になるの――。1954年、まだ敗戦の影響が色濃く残る大都市、大阪。罪を犯し、この地の刑務所へと服役していた元アメリカ軍人ニックは、そこでヤクザ組織の幹部を務める大物、清と出会う。身寄りもなく、アメリカ軍からも見捨てられたニックは、出所後、この清の組織に目を掛けてもらうように。米兵からの銃の横流し、売春組織の用心棒、地下カジノの運営など、裏の仕事で次第に頭角を現すニック。大きな仕事を幾つも成功させた彼は、やがて親分と盃を交わし義兄弟の契りを交わすまでになるのだった――。へまを犯し何本か指を失いながらもすっかり闇の世界の住人となったニックは、そこで清の妹美由と恋仲となる。背中には同じ鯉の入れ墨。一生一緒に居ようと誓いあうニックと美由。当初は交際に反対していた清もいつしか二人のことを認めてくれるように。だが、古いしきたりを重んじる親分の組織運営に反発した若頭の裏切りによって、二人は哀しい運命に翻弄されてしまう……。敗戦後の混乱した大阪を舞台に、アメリカ人でありながらもヤクザ組織の幹部にまで上り詰めた男の栄光と挫折を描いたクライム・ドラマ。主演を務めるのは、ハリウッドのオスカー俳優ジャレッド・レト。ヤクザ組織の幹部を迫力たっぷりに演じるのは、浅野忠信や椎名桔平と言う豪華な面々。内容的には日本のVシネマでもお馴染みのいわゆる仁侠ものなのですが、その手の作品にありがちな日本的泥臭さとハリウッドのスタイリッシュさがいい感じで中和されて、なかなか見応えのある佳品に仕上がっていましたね、これ。完全アメリカ資本の映画でありながら、ヘンテコ日本描写もほとんどなく、当時の大阪の猥雑な空気もけっこう忠実に再現されていたと思います。何より、日本語の台詞に全く違和感がなく、ちゃんとヤクザっぽい怒鳴り方なのがいい。浅野忠信も椎名桔平もけっこう渋くて格好良かったですし。主人公とヒロインとの悲恋もベタながら、最後まで惹き込まれて観ることが出来ました。ただ、脚本の細かいところに「?」が多いのが惜しい。特に主人公を脅す元戦友のエピソードはバッサリ切っても良かったんじゃ?とはいえ、アメリカ側から描かれたヤクザドラマとしてはなかなかよく出来ていたと思います。ちなみに、安田大サーカスのヒロくんがけっこう重要な役回りで出ていたことも最後に記しておきます(まかり間違ってクロちゃんにならなくてホント良かった!笑)。[インターネット(字幕)] 7点(2020-05-20 02:07:00)

455.  最初に父が殺された 《ネタバレ》 クメール・ルージュ支配下のカンボジアで、家族とともに過酷な運命に翻弄されたある少女の姿を実話を基に描いた戦争ドラマ。監督を務めるのは、社会的弱者の立場に寄り添って作品を撮り続ける人気女優、アンジェリーナ・ジョリー。ボスニア紛争、太平洋戦争と歴史の闇にスポットライトを当ててきた彼女の三作目となる本作のテーマは、カンボジア内戦とその後のポルポト政権下における大量虐殺でした。確かに歴史の巨大なうねりの陰で犠牲とならざるを得なかった人々の、その魂の叫びに耳を澄まそうというスタンスには好感が持てるものの、今回も彼女の欠点が大いに目に付く作品でしたね、これ。起伏に乏しいストーリー展開と全く個性を感じられないキャラクターたち、そしてさして印象に残らない地味なシーンの数々…。いくら事実を基にしていてもこれは映画なので、表現者として最低限の演出は必要だと僕は思うのですが、彼女はもうそんなことはどうでもいいみたいですね。ただひたすら事実の再現に徹しております。でも、三作目の本作において、とうとうそんな欠点を補える魅力が出てきたように僕は感じました。それは、地雷と言う悪魔の兵器への強い憎しみ。後半、ベトナム軍侵攻によって追い立てられたカンボジア人民が次々と地雷に巻き込まれてゆく姿は非常に凄惨で、生々しいリアルさに満ちています。片足や両方の足を失い、地面で痛みに耐えることしか出来ない犠牲者をただ見つめ続ける主人公の少女。人間の愚かさは何処までも果てしがないことに、改めて戦慄させられます。このシーンには観る者の心を打たずにはいられない、非常に強い力に溢れておりました。このシーンに出会えただけでも、僕はこの作品を観て良かったと言えます。アンジー、次からはもっとこういう心に直接訴えてくるシーン以上に、ちゃんとストーリーにも力を注いでもらいたいですね。[インターネット(字幕)] 7点(2020-05-18 20:20:57)

456.  アイリッシュマン 《ネタバレ》 アメリカ裏社会にその名を轟かせた大物マフィア、ジミー・ホッファ。しがないトラック運転手をしている時に見出され、その容赦のない仕事ぶりで瞬く間に彼の右腕にまでのし上がった男の半生を実話を基に描いた伝記ドラマ。監督を務めるのは、もはやハリウッドの伝説と言っても過言ではないマーティン・スコセッシ。そしてキャストを務めるのも、ロバート・デ・ニーロ&アル・パチーノと言うこちらもレジェンド・コンビ。という訳でかなり期待して今回鑑賞してみたのですが、ちょっと僕の期待が高すぎたのか、そこまで心に突き刺さるものはなかったですかね。まず言わせていただきたいのが、とにかく長い!!この内容ならきっと3時間内に絶対収まったはずだと思うのですが。これは映画館での回転率を気にしなくていい最近のネット配信映画全般に言えることなのですが、いかんせん長くなりがちです。三つの時代を行き来するストーリー自体もなかなかよく出来ていたし、登場人物たちもそれぞれに皆魅力的だったと思うのですが、上映時間が長いせいでどうにも散漫で冗長な印象になっちゃいました。もっとキレのいい演出を心掛けて欲しかったです。とはいえ、デ・ニーロとパチーノの重厚な演技合戦は充分見応えありました。特にアル・パチーノの高圧的で自信家のジミー・ホッファ像は非常に魅力的ですごく良かったです。それだけにもっと削るべき部分はバッサリ切って、ちゃんと構成を考えてほしかった。[インターネット(字幕)] 6点(2020-05-15 22:33:18)

457.  ジェラルドのゲーム 《ネタバレ》 彼女の名は、ジェシー。弁護士である夫のジェラルドとともに何不自由ない生活を謳歌している。子供にこそ恵まれなかったものの、自宅の他に別荘も所有し、二人で暮らしていくには充分過ぎるほどの貯金もある。だが、そんな彼女にも一つだけ悩みの種があった。それは夫ジェラルドとのセックスレス。もう長いこと、夫は自分の身体に指一本触れてこないのだ。そんな現状を打開するため、夫婦は二人切りで別荘へとやって来る。いつもと違う非日常な空間で、夫の趣向に添ったプレイをすればあの頃の情熱を取り戻せるかもしれない――。大きなダブルベッドへとジェシーを寝かせたジェラルドは、おもむろに二つの手錠を取り出す。そして、彼女の両手首をベッドのコーナーポストへと拘束するのだった。「ほら、これでいくら叫ぼうと誰も助けになんか来ないぞ」。服を脱ぎ、バイアグラも呑んだジェラルド。これから夫婦水入らずの楽しいひと時を過ごせるはずだった。だが、その直後にジェラルドは彼女の目の前で急な心臓発作を起こし、そのまま急死してしまうのだった。残されたのは、完全に自由を奪われた哀れなジェシーだけ。不安に苛まれ、パニックへと陥るジェシーを飢えや渇き、そして幻覚が襲い始める…。極限状況へと追い込まれた、ある一人の中年女性の恐怖を描いたシュチュエーション・スリラー。原作は、泣く子も黙るモダン・ホラーの大家スティーヴン・キング。元となった、分厚い文庫本は既読済み。なので、ストーリー展開をほとんど分かったうえで今回鑑賞してみました。内容的には、ベッドに拘束された彼女を死んだはずの夫やもう一人の自分という妄想が襲うというシンプルなもの。徹底的に無駄を削ぎ落し、極限の拘束状態の恐怖へと焦点を絞ったのは良かったと思うのですが、いかんせんこの妄想モードへと入るのが早すぎます!まずは飢餓感や孤独感で彼女を徐々に追い込んでゆき、不安やストレスが極限まで高まったところで急に妄想人物たちが現れた方がより効果的だったはずなのに、どうしてこう拙速な展開にしちゃったんでしょう。ジェシーが幼いころに実の父親から性的虐待を受けていたというトラウマも最後までうまく処理しきれていません。致命的なのは、圧倒的にホラー描写が足りないこと。せっかく妄想と言うなんでもありな設定を採用しているのだから、もっと観客の度肝を抜くような、『シャイニング』ばりのショッキング描写があってしかるべき。結果的に出来上がったものは、ホラーとしては全く怖くないし、人間ドラマとしては非常に薄っぺらいし、スリラーとしては緊迫感の足りない、なんとも中途半端な作品でありました。ちなみに、原作の方もそんなに面白くなかったと記憶しております。[インターネット(字幕)] 3点(2020-05-13 23:39:28)

458.  イン・ザ・トール・グラス 狂気の迷路 《ネタバレ》 うだるような熱気に包まれたアメリカ南部のとある町外れ。そこでは大人の背丈ほどもある草むらが、見渡す限り何処までも鬱蒼と茂っていた。兄の運転で偶然その地を通りかかった妊娠中の女性ベッキーは、不意に酷いつわりに襲われる。兄に頼んでいったん車を停めてもらい、草むらの陰で水分補給を図るベッキー。すると生い茂る草の向こうから、その声が聞こえてくるのだった――。「誰か、助けて!迷子になっちゃって、僕はもう何日もここで過ごしてるんだ!」。明らかに切迫したそんな少年の悲痛な叫びに、ベッキーはすぐさま兄とともに助けに向かうのだった。だが、何処をどう探しても少年の姿はない。そればかりか、一緒に入った兄ともはぐれてしまう。不安に駆られ、取り敢えず車まで戻ろうと走り出すベッキー。だが、同じようなところをぐるぐると巡るばかりで、いつまで経っても草むらの外へと出ることは出来なかった。パニックに襲われる彼女に、更なる異常事態が訪れる……。鬱蒼と茂る草むらが作り出した、そんな狂気の迷路へと迷い込んでしまった男女を描く不条理系サスペンス・スリラー。監督はかつて『キューブ』と言う作品で、不条理な立方体の迷宮に捕らえられた男女を描き、シュチュエーション・スリラーと言うジャンルを確立したヴィンチェンゾ・ナタリ。数々の罠が仕掛けられた立方体から、何処までも生い茂る草むらへと舞台を変えたそんな本作、まあいかにも彼らしいアイデア一発勝負な内容でしたね、これ。でも、いくら低予算でも独自のアイデアとセンス溢れる演出力さえあればいくらでも面白い映画を創れると証明した『キューブ』とは違い、こちらはどうにも……。草むらの中というずっと同じような絵面の舞台で、数人の登場人物たちがずっと同じような押し問答を繰り返すだけなので、僕は開始30分ほどで早々に飽きちゃいました。原作はスティーヴン・キングの短編らしいですけど、とにかくこの全編を覆う無理やりな引き延ばし感が半端ないです。魅力に乏しい登場人物たちの禅問答のようなやり取りが延々と続いて、最後までさっぱり面白くない。急に出てくるあの謎の植物怪人たちも意味不明で、さして怖くありませんし。ナタリ監督もさすがに歳なのか、あの頃のようなソリッドなセンスはもう枯渇しちゃったってことですかね。うーん、なんとも残念な作品でありました。[インターネット(字幕)] 4点(2020-05-11 23:05:24)

459.  ビースト・オブ・ノー・ネーション 《ネタバレ》 神様、今日僕は人を殺しました。人として最も許されざる罪です。でも、僕はこうも思うのです。きっとこれは正しい行いだと――。舞台は西アフリカの何処とも知れぬとある小国。そこに暮らす年端もいかない少年アグーは、貧しいながらも心優しい両親や兄弟たちと充実した日々を過ごしていた。だが、そんな彼にも徐々に戦火の波が近づいてくる。数年前から始まった内戦により、国は真っ二つに分断されていたのだ。突然やって来た政府軍によって、スパイの疑いを掛けられた家族はアグーの目の前で銃殺されてしまうのだった。身寄りのない孤児となったアグーは、行く当てもなくただ森の中を彷徨い歩くことに。近いうちに彼も天国へと召されることになるだろう。そんな時、たまたま通りかかった反政府軍により、彼は〝幸運にも〟拾われることに。「お前の家族を殺した政府の人間に復讐する手伝いをしてやる」――。その日から、アグーは反政府ゲリラの少年兵として銃を手に戦場へと駆り出されるようになる。来る日も来る日も殺し合いの手伝いをさせられた彼は、やがて立派な兵士へと成長してゆく……。内戦に揺れるアフリカの貧しい国を舞台に、そこで過酷な運命に翻弄されるある少年兵の悲劇を描いた戦争ドラマ。一時期、静かなブームを呼んだ、いわゆるアフリカ内戦ものの一つですが、本作はその中でもトップクラスを誇る生々しいリアルさに満ちたものだと思います。まさに〝国家なき野獣ども〟のモラルや倫理など欠片もない残虐行為の数々。冒頭から、主人公の家族が彼の目の前でゴミのように殺されるシーンに始まり、その後少年兵となった彼が最初の殺人を強要されるまで、まさに目をそむけたくなるほど血腥い空気に満ちています。極めつけは、レイプされる村人の若い女の悲鳴が気にくわないからと急に主人公が射殺するシーン。レイプしている当事者や順番を待っている兵士が、彼に「まだ終わってないのに、何するんだ!」と悪態をつくところなんて本当に反吐が出そうになります。でも、それが戦場の現実。ゲリラの司令官に見いだされ、訓練を受けて成長し、やがて仲間と友情を育んでゆく主人公の姿は、日本に居る普通の子供と何ら変わらない。環境や周りの大人たちによってこれほどまでに人は変わってしまうものなのかと、改めて戦慄させられてしまいました。主人公を兵士として導く、ゲリラのカリスマ的司令官を演じたイドリス・エルバの鬼気迫る役作りにも圧倒されます。最後、主人公はこの司令官の洗脳を乗り越え、国連軍に保護されるのですが、それでもこの悲惨な過去を変えることなど出来ない。人間の愚かさと戦争の恐ろしさを改めて考えさせられる、非常に優れた戦争ドラマでありました。[インターネット(字幕)] 8点(2020-05-11 13:14:52)

460.  マイヤーウィッツ家の人々 (改訂版) 《ネタバレ》 気難しい彫刻家の家長を中心に、一癖も二癖もあるマイヤーウィッツ家の人々の悲喜こもごもを時に辛辣に、時にちょっぴりほろ苦く描くファミリー・ドラマ。プライドだけは超一流で何かというと悪態ばかりつく売れない彫刻家のじいさんを演じるのはベテラン、ダスティン・ホフマン。妻に捨てられた冴えない長男役にアダム・サンドラー。会社の経営者として社会的に成功した立場に居る次男には、ベン・スティラー。他にもアダム・ドライバーやシガニー・ウィーバーと言った豪華な面々がちょい役で出演しております。監督は、僕とはどうにも相性の良くないノア・バームバック。確かにところどころ笑える部分もあるし、個性豊かな登場人物もそれぞれに憎めない魅力を持っているし、何より家族の関係をほろ苦いユーモアを交えて見つめる暖かな目線がとても心地よい作品だったとは思います。でも、やっぱり僕は個人的に好みじゃないんですよね、これ。なんか、赤の他人の思い出ホームビデオを延々見せられてるような感じがして、僕はそこまで嵌まれませんでした。うーん、完成度はかなり高いことは認めますけど、こればっかりは感性の問題なので如何ともしがたい。[インターネット(字幕)] 6点(2020-05-09 02:02:18)

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