みんなのシネマレビュー
かたゆきさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 1888
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
818283848586878889909192939495
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
818283848586878889909192939495
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
818283848586878889909192939495

441.  ガンパウダー・ミルクシェイク 《ネタバレ》 彼女の名は、サム。幼い頃から弱肉強食の裏社会で生きてきた凄腕の殺し屋だ。強大な力を有する犯罪組織「ファーム(会社)」に所属し、日々くだされる過酷な任務を神経をすり減らしながらこなしている。同じく暗殺者だった母親は15年前にへまを犯して組織を逃げ出し、以来行方不明のままだ。そんなある日、サムに極秘の任務がくだる。それはファームの金を盗んで逃亡した会計士を殺し、盗まれた金を全額回収してくるというものだった――。すぐさまターゲットが泊まるホテルへと向かうサム。だが、その会計士は9歳になる娘を人質に取られ、脅されて仕方なく金を盗んだだけだった。早く金を持っていかなければ娘の命すら危うい。それでもファームは、子供なんて知ったことか、今すぐ金を持ってくるんだの一点張り。「そんな!子供を見殺しになんて出来ない!」。自身の悲しい過去から、サムは子供を救い組織を裏切ることを決意する。9歳の少女とともにそんな彼女が逃げ込んだのは、表向きは図書館でありながら裏では殺し屋たちに武器を密売する危険な女たちの砦だった……。男たちが仕切る強大な犯罪組織を相手に孤軍奮闘する女殺し屋たちの活躍をノンストップで描いたバイオレンス・アクション。リアリティなどはなから度外視、荒唐無稽な漫画みたいなお話なのですが、全編に漂う独特の雰囲気、徹底的に無駄を削ぎ落した分かりやすい脚本、キレッキレのアクションの連続に僕は最後までテンション上がりっぱなしでした!とにかく主人公サムをはじめとする女たちがカッコ良すぎ!全員キャラ立ちしまくった図書館の3人の女殺し屋はもちろんのこと、サムとバディを組む9歳の女の子エミリーがかわいすぎました。腕が麻痺してしまったサムのために彼女がハンドルを操作するカーチェイス・シーンは、監督のセンスが炸裂しまくりで思わず拍手。実は生きていた母親と図書館の女たちが組織の男どもを相手に武器を振り回すシーンで、ジャニス・ジョプリンを流すなんて反則過ぎますわ~。全編にセンスの良いユーモアを散りばめてるのも大変グッド。クライマックス、サムが図書館の色んな本に隠された武器を捜しながら戦うシーンは、バカバカしすぎてサイコーでした(この図書館どーなっとんねん!笑)。何気に、女たちの自立と連携を意味するシスターフッド的視点をテーマとしているのも現代的で良いですね。うん、面白かった!8点![DVD(字幕)] 8点(2022-09-05 06:55:13)

442.  355 《ネタバレ》 世界中のあらゆるコンピューターをハッキング出来る危険なデバイスを悪の組織から奪還するため、世界各国から集結した凄腕女性エージェントたち、その名も「355」。彼女たちの世界を股にかけた大活躍をゴージャス&エレガンスに描いたスパイアクション。まあ既視感満載のよくある内容なのですが、ジェシカ・チャスティンやダイアン・クルーガー、ペネロペ・クルスという豪華なキャスト陣に惹かれ今回鑑賞。なんですが、正直演出が大雑把というか雑というか、大まかなストーリーは何となく把握できるものの、彼女たちが今何のためにこういう行動を取っているかがいまいち分かりづらく、自分はそこまで楽しめませんでした。もう少し丁寧な演出を心がけてほしかったですね。それにたくさんお金を掛けたであろうアクション・シーンは確かに迫力あったのですが、ちょっと全体的に古臭い印象を受けてしまったのも残念ポイント。あと、こーゆー軽いノリのエンタメ作品のわりに人が死に過ぎるのもどうかと思います。デバイスの危険性を強調するために旅客機を何機も墜落させるのは明らかにやり過ぎだし、主人公たちの大切な人が悪の組織に軒並み殺されちゃうのも物語として必要だったんですかね?ペネロペ・クルスの家族以外、父親や恋人やパートナーが全員彼女たちの目の前で殺されちゃうのってさすがに重すぎでしょ!なのに最後は、「今回も任務は大成功、んじゃまた次のミッションで」ってみんなで颯爽と去ってゆくのは、さすがに気持ちの切り替え早すぎちゃいまっか(笑)。観ているだけで絵になるハリウッド・セレブたちの豪華共演に+1点![DVD(字幕)] 5点(2022-09-05 06:26:14)(良:1票)

443.  アクアマン 《ネタバレ》 太古の昔に海の底に沈んだアトランティス帝国。その後、海底人となったアトランティスの民は地上の人々に知られることなく独自の文明を築き上げていた。その王家の末裔で地上人との混血として普通の人と同じように生活していたアーサーが本作の主人公。自らの出自と宿命を知った彼がアクアマンとなり、祖国の危機を救うため地上や海底を所狭しと暴れまわる大活躍を描いた海洋ヒーローアドベンチャー。現代の類稀なるエンターテイナー、ジェームズ・ワン監督の作品だけあってなかなか面白かったです。とにかくビジュアルセンスが素晴らしすぎ!!アクアマンというだけあってほとんどが海の中での戦いとなるのですが、誰もがみんな本当に水の中に居るように見えるのですからこの細部にまで拘った映像は凄いとしか言いようがありません。特に、あの夜の海で深海魚の怪物が群れを成して襲ってくるとこなんてもう気持ち悪すぎてヤバかったですわ。それに王妃とアクアマンの二人の闘いを抜群のカメラワークで描いたイタリアでの地上戦も素晴らしいクオリティ。二人がいま何処で何をしているかが、ちゃんと分かるように見せる演出力の高さは特筆に値します。まあストーリーの方はもうベッタベタですけど。海溝の国でアクアマンが危機に陥った時に、「あぁここできっと死んだと思われていたお母さんが助けに来てくれるんだろなー」と思ったら、まさにそのままの展開に(笑)。まぁエンタメ映画なんでそれでオッケーなんですけどね。うん、でも充分面白かった!7点!![DVD(字幕)] 7点(2022-09-02 09:08:25)(良:1票)

444.  リップヴァンウィンクルの花嫁 《ネタバレ》 自らの主体性というものを強く持ち合わせておらず、周りの人間によって何処かへと流されるままに生きているような若い女性、七海。社会が提示する「こうすれば君も幸せになれるよ」という空気感に抗うことなく、彼女は出会い系サイトで知り合った男性と恋に落ち、あっさりと結婚してしまう。だが、そんな七海へと忍び寄る怪しげな男、安室。彼の策略により、七海の幸せだと思われていた結婚生活は次第に綻びをみせるようになり、やがて彼女のちょっとした愚かな行動により全てを失ってしまうのだった。残酷な社会へとたった独りで放り出されてしまった七海を救ったのは、再び安室という謎の男だった。彼に言われるまま、七海は大きな屋敷の住み込みのメイドとして働き始める。同僚として一緒に働くことなった自由奔放な女性、真白と次第に仲良くなってゆく七海。だが、真白には誰にも言えない深い秘密を抱えていた――。現実なのか、空想世界なのか、都会の片隅にひっそりと開いた秘密の扉を開けてしまった可憐な女性、七海。彼女が辿ることになる摩訶不思議な運命をリリカルに綴る大人のための残酷なファンタジー。日本が世界に誇る天才映像作家、岩井俊二監督の新たな代表作とも言えるそんな本作、3時間にも及ぶ長丁場ということで今回気合を入れて鑑賞してみました。なのですが、そんな僕の先入観など軽く吹き飛ばすほどの傑作でした。もう全編に渡り、監督の映像センスが炸裂しています。ストーリーの見せ方もそれぞれのキャラクターの描き方も一切無駄がなく、何よりこの唯一無二のカメラワークが最後までとても心地よく、3時間を一切長く感じさせません。本当にセンスの塊ですね、この人。また、聖なる愚者とも呼ぶべき純粋可憐なこの主人公を演じた黒木華がまさに嵌まり役で、とても素晴らしかったです。夫により新居から追い出された彼女が、大きなキャリーバックだけを手に何処でもない場所を彷徨うシーンはあまりにも切なく思わず涙。そして後半、彼女が辿ることになる現実感のない展開も最後にきちんと説明がなされ、観終わった後、僕は更なる感動に包まれていました。素晴らしい!正直、観終わった直後はちょっと長すぎかなとも思ったのですが、思い返せば思い返すほどじわじわと心に効いてきて、この長さはやはり必然だったのだと改めて納得。真白も安室も考えてみれば酷いキャラクターなのですが、結果的に七海にこんな幸せな記憶を与えてくれた。こんな残酷で酷い社会でも、生きていればこんな素晴らしい出来事があるかもしれないと思わせる希望と再生の物語。僕にとって特別な作品がまた一つ増えてしまいました。[DVD(字幕)] 9点(2022-09-02 08:40:14)(良:1票)

445.  ローズの秘密の頁(ページ) 《ネタバレ》 アイルランドにある、取り壊しが決まった古い精神科病院。身寄りのない収容者は新たに精神科医の再鑑定を受け、新たな施設へと移送されることに。過去に精神に異常をきたし我が子を殺したとして、40年以上も収監されてきた年老いた女性ローズもその中の一人だ。彼女を再診することになったグリーン医師は、さっそくローズと面談して幾つか質問をしてみる。「私の夫はマイケル・マクナルティ。私は子供を殺してなんかいない」。何を訊いてもそう言い張るローズは、その証拠として半世紀も前から聖書に書き記してきた自らの日記を彼に託すのだった――。そこに記されていたのは、第二次大戦中、英国空軍のパイロットとしてナチスドイツと戦った若きアイルランド人との秘密の恋の記録だった…。果たしてローズは本当に子供を殺したのか?マクナルティと彼女の情熱的な恋の結末は?そして、ローズが長年大切にしてきた聖書の中に隠された本当の秘密とは?アイルランドの激動の時代に人生を翻弄された、そんなある一人の女性の悲しい過去を哀切に描いたラブストーリー。監督はアイルランドを代表するベテラン、ジム・シェリダン。長年精神科病棟に収監されてきた老婆の若かりし日を、今を時めく人気女優ルーニー・マーラが演じております。現代と過去を行きつ戻りつしながら描かれるこの一組の男女の切ない恋物語、監督の丁寧な演出のおかげでなかなか見応えのあるドラマになっていたと思います。閉鎖的な村の中で一途に彼のことを思い続けるローズの物語は、多少メロドラマに寄り過ぎな部分もなきにしもあらずですが、かなり不幸な境遇に居る彼女の現在の姿を織り交ぜることで全体的にメリハリがつき観やすかったですね。もし、これが本当ならばこんな悲劇ってない。なんとも切ない想いにさせられる悲しいお話でありました。ただ、残念なのはラストに明かされる衝撃の真相。彼女の○○が実は○○だったというのですが、正直僕は「え、そんな偶然さすがにあり得へんやろ」と急速に冷めちゃいました。だって、40年前のあの出来事からこの現代にそうなる可能性って、もう天文学的にあり得ない数字になるんじゃないですかね。それこそ、0.0000001%とか?このラストにもう少し説得力を持たせてほしかった。あと、全体的にちょっと暗いのもあまり好みではありませんでした。[DVD(字幕)] 6点(2022-08-29 11:23:38)

446.  ブレイン・ゲーム 《ネタバレ》 夜の街で多発する猟奇的な連続殺人事件。全く関連のなさそうな様々な人物が、鋭利な刃物で頚椎を一突きにされるという残忍な手法によって命を奪われていた。捜査を担当するFBI捜査官ジョーの懸命な捜査にも関わらず、いまだ犯人の痕跡すら発見できずにいた。業を煮やしたジョーは、今はもう引退したもののその超科学的な予知能力によって数々の難事件を解決してきたクランスキー博士に協力を依頼する――。そう、彼は誰であろうとその手に触れることによってその人の過去やそう遠くない未来を読み取ることが出来るのだ。彼に懐疑的な若い女性捜査官とともに現場へと赴いたクランスキー博士は、そこに残された犯人の全てを見透かしたようなメッセージに愕然とする。「犯人は、自分と同じ能力を持っている」。人智を超えた予知能力を備えたFBI捜査官と冷酷な猟奇殺人鬼。彼らの命を懸けた頭脳戦が今、幕を開ける…。アンソニー・ホプキンスとコリン・ファレルの豪華共演でおくる、そんな特殊能力を持った二人の男たちによる極限の頭脳戦をスタイリッシュかつグロテスクに描いたサイコ・スリラー。まあ一言で言ってしまうと既視感バリバリのよくある作品でしたね、これ。と言うか、アンソニー・ホプキンスが過去に主演したあのサイコサスペンスの古典的名作『羊たちの沈黙』とほとんど同じシーンがあるんですけど、これってどうなんですかね。こういうのを典型的なパクリと言うのでは?まあそういうのを抜きにしても、全体的にテンポが悪く、また思わせぶりな展開が多いので途中でだれてしまうのが本作の残念なところ。コリン・ファレル演じる真犯人が登場するのがかなり遅いので、見せ場となる彼らの神経戦がいまいち盛り上がりに欠けるんですよね、これ。ただ、時間が停止した電車内をカメラが自由自在に移動するシーンは、マトリックス以来何度も目にしてきましたが、それでもなんかワクワクしますね。そのシーンや、博士が侵入する犯人や被害者の精神世界の描写にときおり目を見張るような印象的なシーンがあっただけに、なんとも残念な作品でありました。[DVD(字幕)] 5点(2022-08-29 11:02:38)

447.  スティルウォーター 《ネタバレ》 彼の名は、ビル・ベイカー。オクラホマ州スティルウォーターで長年石油採掘業に従事し、現在は建設関係の日雇い仕事で食いつなぐ平凡な男だ。妻は何年も前に亡くなり、今は狭い借家で一人暮らし。唯一の肉親である一人娘のアリソンは現在フランスにいて、もう何年もアメリカには帰ってきていない。何故なら、アリソンは今、マルセイユの刑務所に服役中だから――。そう、彼女は当時恋人だった女性を殺害した罪で捕まり、刑務所でもう5年も過ごしているのだ。娘と久しぶりの面会を果たすため、この地を訪れたビル。面会室で再会したアリソンは、彼にとあるお願いをする。それは彼女の無実を証明できるかもしれない新証人を見つけてほしいというものだった。「分かった。父さんが何とかする」と約束し、娘と別れたビル。だが、担当弁護士に話してもまともに取り合ってくれない。そればかりか、ビルはマルセイユの土地勘もなくフランス語もろくに話せない。途方に暮れるビルは、偶然知り合った幼い娘を女手一つで育てる舞台女優ヴィルジニーの手を借り、マルセイユの街を奔走するのだが……。監督は、前作でアカデミー賞の栄誉に輝くトム・マッカーシー。いかにも彼らしい丁寧な演出と考え抜かれた脚本の力が光る佳品に仕上がってましたね、これ。ほとんど説明もないまま、この主人公の父親がフランスの娘へと会いにゆく旅路を淡々と描いた一連の冒頭シーン。留学中の娘に会いにいくのかと思いきや、どうやら娘は刑務所にいるらしいと段々と分かってくるところから、もう観客の心を掴むことに成功しています。セリフの一つ一つが全て意味をなし、編集や音楽の使い方もばっちり、のちに重要な登場人物となるシングルマザーの親子との出会いもとても自然で気が付いたら物語の世界にどっぷりと浸っている自分が居ました。この父親が娘の無実を晴らすために奮闘するストーリーかと思わせながら、後半、主人公を助けてくれるシングルマザーとの大人の恋愛ドラマへと変貌する手際の良さも見事。マット・デイモンをはじめとする役者陣の熱演も素晴らしく、特に9歳とは思えぬ演技を披露したマヤ役の女の子。この子の表情豊かな存在感がこのともすれば重くなりがちな物語にいいアクセントを与えてくれています。彼女と、刑務所から仮出所してきたアリソンが初対面するシーンは何とも微笑ましく、その後、刑務所に戻ったアリソンの行為には思わず悔し泣きしてしまいました。そして、大事な人と出会い、新たな生活を手に入れたと思われた主人公がそれでも犯してしまう罪。駄目だと分かっているのに、大切なものを失うかもしれないのに、それでも止められなかった彼には思わず共感。人生は後悔の連続だが、それでも大事な人のために生きていこうと決意するビルの最後の表情が切ない余韻を残してくれます。なかなか見応えのあるヒューマン・ドラマの秀作でありました。[DVD(字幕)] 8点(2022-08-29 10:27:32)

448.  すばらしき世界 《ネタバレ》 その日、殺人の罪を犯し、13年ものあいだ刑務所へと服役していた男が出所する。彼の名は、三上正夫。10代の頃から何度も罪を犯し、そのたびに刑務所へと投獄され、積み重なった前科は十犯。これまでの人生の28年間を鉄格子の内側で過ごしてきた彼の人生とはいったい何であったのか――。人生の終盤を迎えつつあるそんな三上の再出発の日々を、彼を題材にドキュメンタリーを制作しようというテレビ局のスタッフの視点を交えて描いたヒューマン・ドラマ。監督は、うまくいかない人生にもがく人々の苦悩を終始一貫して見つめ続ける西川美和。いかにも彼女らしい丁寧な演出は相変わらず健在で、特別なことは何も起こらないこの三上という元犯罪者の日常を淡々と描いているのに、最後まで観客を惹き付けてやまないのは見事としか言いようがない。短絡的で何かというと暴力に走るこの粗暴な男が主人公なのだが、そこまで嫌悪感を抱かせないのはやはりこの監督の慈愛にも似た優しいまなざしによる部分が大きいのだろう。不器用で身勝手で社会性が皆無に等しい元犯罪者の人生を否定も肯定もせず、ただ淡々と見つめている。やがて明らかとなる、過去にこの男が心から愛していた女性の存在、今度こそ真人間になろうと誓った経緯、そして彼を子供のころに捨てて失踪した母親……。一般的な人々からすればやくざ者で人生の落伍者である彼にも、当然、人間としての苦悩や後悔、弱い部分や魅力的な部分、そして深い愛もあるという当たり前の事実を改めて気づかさせてくれる。そんな彼をそれぞれの立場から優しく見守る周りの人々の存在も素晴らしい。弁護士やその妻をはじめ、途中で出てくる何気ないキャラクターまでちゃんと血の通った人間として描くことに成功している。特に、六角精児演じるスーパーの店長が印象的だった。ただ、意図してそうしているのだろうが、三上を取り巻く人々がどこまでも良い人ばかりというのは、自分としては少々違和感があった。三上の古い友人であるやくざの組長の妻までが主人公に献身的なまでの優しさを見せるというのはちょっとやり過ぎと言えなくもない。とは言え、それも好みの問題なのだろう。社会という枠からはみ出し、今にも溺れそうになっている人々の悲哀を掬い取ろうという今作のテーマは充分に胸を打つ。血の気の多い元やくざ者をナチュラルに演じた役所広司をはじめ、キャスト陣も皆いい仕事をしている。どんな人間でも、心の持ちようによって、この世界はいくらでも素晴らしいものになる――。そう思わせてくれる、ヒューマン・ドラマの秀作と言っていい。[DVD(邦画)] 7点(2022-08-24 05:59:27)

449.  アナイアレイション -全滅領域- 《ネタバレ》 アメリカの国立公園の海岸沿いに建つ小さな灯台。この何の変哲もない小さな建物にある日突然、不可解な謎の現象が発生する。光輝く空間が灯台を中心に現れ、やがてゆっくりと周りを呑み込み始めたのだ。中で何が起こっているのか、最新の機器を使っても皆目分からなかった。幾つもの調査隊が組まれ、その「シマー」と名付けられた光の中へと送り込まれる。だが、誰一人として帰ってくることはなく、「シマー」はますますその範囲を拡大し続けるのだった――。何の進展もないまま三年もの月日が過ぎたころ、生物学者として大学で教鞭をとっていたレナの元に、海兵隊員で一年前にシマーへと送り込まれたまま音信不通となっていた夫が急に帰宅する。彼は「シマー」の中での記憶を完全に失っていたばかりか、内臓に重度の損傷を負っていてすぐに昏睡状態へと陥ってしまうのだった。動揺を隠せないレナ。新たに調査隊が組まれることを知った彼女は夫の身に何が起こったのか確かめるべく、無謀にも入隊することを決意する。これまでと違い、学者だけでしかも皆が女性という五人の調査隊の一員となったレナは、その光り輝く「シマー」の中へと足を踏み入れるのだったが…。果たしてこの「シマー」には何があるのか?静かに始まった人類の危機へと立ち向かう女性たちの驚愕の体験をスタイリッシュな映像で描くSFスリラー。監督は前作『エクス・マキナ』でスマッシュヒットを飛ばしたアレックス・ガーランド。主演はオスカー俳優でもある人気女優ナタリー・ポートマン。この監督らしい知的センスに溢れた世界観とシャープでスタイリッシュな映像美はなかなか見応えありました。この謎の現象の中心に近づくと全ての生物のDNAがどんどんと掻き乱されてゆき、やがて突然変異した異形の生き物が幾つも現れるというのはベタですけどけっこう面白かった。グロテスクな映像もそこまでショッキングなものにならず、全体的に何処か気品のようなものを感じさせるのもこの監督のセンスがなせる技なんでしょう。ただ、惜しいのはラストの展開。謎を謎のまま終わらせるのはもちろんいいのですが、いまいちテーマの掘り下げが足らない印象。同じような内容のドニ・ヴェルヌ―ヴ監督の重厚なSFドラマ『メッセージ』などと比べるとやはり深みが足らないように思う。だからと言ってエンタメ作品として捉えると、やはり刺激に欠ける。うーん、なんとも中途半端。映像や世界観は非常に良かっただけに、ちょっと物足りない作品でありました。[DVD(字幕)] 6点(2022-08-19 09:18:23)

450.  THE BATMAN-ザ・バットマン- 《ネタバレ》 誰もが知る孤高のヒーロー、バットマンの活躍をダーク&ノワールに描いたクライム・サスペンス。何処かコミカルだったティム・バートン版、完全にエンタメに振り切ったジョエル・シューマカー版、そして哲学的な深みさえ感じさせる演出で映画史にその名を刻んだクリストファー・ノーラン版。今回のバットマンはそのどれとも一線を画する、かなり濃厚で陰鬱な内容でございました。例えるなら、サイコサスペンスの名作『セブン』の世界にバットマンが紛れ込んだら?という感じですかね。もはやバットマンは『セブン』のブラッド・ピットみたいな立ち位置で、ゴードン警部とのバディっぷりなんてモーガン・フリーマンとのそれを髣髴させます。ただ、それが意外にもけっこう嵌まってました。正直、あんまり期待せずに観始めたんですけどこの重厚な雰囲気にすっかりやられ、中盤からはどっぷりとこの世界に浸っている自分が居ました。心に闇を抱えるブルース・ウェインを演じたロバート・パティンソンもかなり嵌まっていて、暗い隠れ家で秘書とごそごそ話しているシーンなんてもはやヒーロー側じゃなくて悪の一味なんじゃないかと思うほど(そのうち悪魔でも召喚するんちゃうかって感じでした!笑)。もはや『セブン』ばりに悪の手先をさまざまなグロい手法で制裁してゆくリドラーをはじめ、キャット・ウーマンやペンギン男というお馴染みのキャラクターもそれぞれキャラ立ちしていて大変グッド。ただ、3時間は長い!クライマックス辺りはさすがにダレちゃいました。もう少しコンパクトに纏めてくれたらより楽しめたと思うんですけどね。とはいえ、このダークな雰囲気は嫌いじゃなく、総じて自分は楽しめました。ジョーカーが登場するであろう次作、期待して待ってるよ![DVD(字幕)] 7点(2022-08-19 09:04:53)

451.  THE INFORMER 三秒間の死角 《ネタバレ》 自由と引き換えにFBIの潜入捜査官となった元犯罪者の男が、様々な組織の思惑と陰謀により再び刑務所へと舞い戻ってしまうというお話。全編を覆うひりひりするような緊張感はなかなかのものだったし、ロザムンド・パイクやクライヴ・オーウェンといったベテラン勢の熱演は見応えありました。特に、犯罪組織とFBI双方に嵌められ、刑務所で孤立無援となってしまう主人公の焦燥感は息が詰まるほど。ただ、それに対して脚本がいまいち。話が無駄にややこしいうえに、後半になるにつれどんどんとサスペンスが盛り下がってゆくというのが映画として致命的。主人公が最後にどうしてそんな行動を取ったかもよく分かんないし、なぜ、最後の最後でクライヴ・オーウェンが捕まったのかも意味不明。ストーリーの見せ方をもっと考えてほしかった。残念![DVD(字幕)] 4点(2022-08-19 06:15:07)(良:1票)

452.  RUN/ラン 《ネタバレ》 生まれつき病弱で車椅子が手放せない女子高生、クロエ。毎日様々な種類の薬を服用し、たびたび喘息の発作にも悩まされる彼女は、周りの介助がなければ生活することもままならなかった。そんな彼女を献身的に支えるのは、これまで女手一つで育ててきた母親、ダイアン。クロエは、過剰なまでの愛情で自分を支えるそんな母とずっと郊外の一軒家で暮らしてきた。ところが、大学進学を機に一人暮らしを始めたいというクロエの言葉を境に母親の態度が徐々に変化し始める。次第に不信感を募らせたクロエは、母親の目を盗んで毎日飲まされる薬の正体を探り始めるのだった。そのうちの一つである緑色のカプセル、それはなんと犬用の筋弛緩剤だった――。「お母さんは私をどうしようというの?」。底知れぬ恐怖を感じたクロエは、たった一人で母親の手から逃れようとするのだが……。自らを徹底的に管理しようとする母親とその手を逃れ自由を求めてもがく娘の葛藤を終始不穏に描いたサスペンス・スリラー。とにかく脚本に捻りがなさすぎ!こんな単純で時間も90分に満たない短い作品なのに、途中の引き伸ばし感が半端なく最後まで観るのがかなり苦痛でした。舞台もほぼこの一軒家の中だけ、登場人物もほぼこの親子だけというこの設定で90分持たそうと思うとだいぶ高度な演出力が必要になると思うのですが、正直そんなもの皆無。ひたすら地味で凡庸な展開と地味で凡庸な映像と地味で凡庸なキャラクターのてんこ盛り。脚本にも突っ込みどころ満載です。途中、捕まえた娘を母親が家に監禁するのですが、わざわざそこに娘の出生の秘密が書かれた新聞の切り抜きを保管してるというバカっぷり。いや、何のために自分が不利になるだけのそんなもん残しとくねん!後味が悪いだけでさして面白くもない最後のオチに至ってはもはや怒りすら湧いてきちゃいました。監督は、パソコンのモニター上の映像だけで最後まで展開する『search/サーチ』を撮ったアニーシュ・チャガンティ。前作で見せた、あの技ありなアイデアと練られた脚本の力はいったいどこへいったのでしょう。正直、観るだけ時間の無駄の凡作としか僕には思えませんでした。[DVD(字幕)] 3点(2022-08-19 06:11:19)

453.  ビーチ・バム まじめに不真面目 《ネタバレ》 かつて一冊だけ出した詩集が大成功を収め、天才の名をほしいままにした詩人ムーンドッグ。だが、それ以降は酒とドラッグと女に溺れ、新著も出せぬまま無駄に時間だけが過ぎていった。それでも本人は来る日も来る日もパーティー三昧、毎日酒浸りで娼婦たちと面白おかしく暮らし、生活費は資産家の妻に頼りっぱなしという自由気儘な日々を過ごしている。そんなある日、妻が交通事故であっさりと帰らぬ人になるのだった。遺された遺産は、彼が新しく本を出さなければ相続させないという妻の遺言により、彼の手に渡ることはなかった。新作を書かなければ明日にも無一文になってしまう――。窮地に陥ったムーンドッグは、娘の助言もあり、ひとまずアルコール依存症のリハビリ施設に入ることを決意するのだったが……。フロリダののどかな港町を舞台に、社会のルールに捉われず自由に生きる放蕩の詩人の破天荒な日常をコミカルに描いたヒューマン・ドラマ。この作品の評価のポイントとなるのは、主人公であるこの詩人を「社会の既成概念や倫理観に縛られることなく自由に生きることを選んだ反骨の詩人」と捉えるか、それとも「全ての社会的責任から逃げた、どうしようもない社会不適格者」と捉えるかで大きく変わってくるのでしょうね。残念ながら自分は後者でした。もうとにかくこのマシュー・マコノヒー演じる主人公が、身近にいたら絶対関わりたくない人間ナンバー1で、観ていて不快感しか湧いてきません。仕事もせずに朝から晩まで酒浸り、フロリダの港をふらふらと歩き回って、気が向くととにかく女とやりまくり、肝心の生活費は妻に頼りっ切りで結婚を控えた娘のことなど自分には関係ないとばかりに麻薬にふける。これで太宰治のように文学史に残る傑作を書いていれば受け入れられるのですが、こいつ、新作を書く気なんてさらさらなし。いまだ過去の栄光にすがるだけというこの主人公に過剰移入なんて一切できませんって!それにリハビリ施設から逃げ出した後にやってることは、もはや明らかな犯罪です。警察、早く捕まえろっつーの!悲愴感を一切出さず、ほのぼのとした雰囲気を最後まで貫き通したのは新しいといえば新しいですけど、自分はそういったわけでさっぱり楽しめませんでした。編集の仕方や音楽の使い方などにはそこそこセンスを感じたし、マシュー・マコノヒーの肩の力が抜けた演技などは観ていて心地良い部分もあったので、5点。[DVD(字幕)] 5点(2022-08-19 06:06:35)

454.  サバービコン 仮面を被った街 《ネタバレ》 ようこそ、心躍る町サバービコンへ――。そこは、アメリカ郊外にある典型的な中産階級の町だ。誰もが同じような家に住み、誰もが同じような生活レベルを維持し、誰もが同じような宗教を信じ、そして誰もが白人だ。そんな平和だが閉鎖的な町にある日、黒人の家族が越してくることに。白人たちの小さなざわめきは瞬く間に町の隅々にまで拡がり、芽生えた悪意はやがて剥き出しの憎悪となって人々の生活を侵食してゆく。そんな折、その黒人家族の隣に住むロッジ家に、二人組の泥棒が入る。一家の大黒柱であるガードナー、一人息子のニッキーと事故で下半身が不自由となった妻、そんな平凡なロッジ家の生活はその日を境に一変してしまうのだった。妻は殺され、犯人は逃亡、遺された家族も心に深い傷を負ってしまった。どこにであるような平凡な悲劇。だが、息子のニッキーだけは気付いてしまう。自分の父親が重大な嘘を吐いていることに…。果たして事件の真相とは?小さな町で起こった平凡な強盗殺人事件、その背後に隠された秘密を巡り、どんどんと追い詰められてゆく一家族の騒動をスラップスティックに描いたブラック・コメディ。監督はハリウッドの人気俳優ジョージ・クルーニー、脚本はこれまたハリウッドを代表する実力派のコーエン兄弟。主演には、マッド・デイモンをはじめ、一流どころが名を連ねております。この布陣が示す通り、抜群の安定度が光るクライム・ドラマの佳品に仕上がっていましたね、これ。社会の不条理を子供の目で風刺する、コーエン兄弟のその目線の鋭さは相変わらず健在。悪意の連鎖がどんどんと拡がり、やがて破滅が破滅を呼ぶさまは観ていて心苦しくもあるのですが、誰もが心に持っているだろう残酷さを良い感じで刺激してくるので、最後まで惹き込まれて観ることが出来ました。特に、邪魔になった保険調査員を殺してしまい、その死体を車で遠くへと捨ててきたマッド・デイモンが血だらけのまま、チャリンコでふらふらと帰るとこは思わず笑っちゃいました。子供が隠れたベッドの上で、犯人と助けに来た伯父さんが揉み合いになるシーンはサスペンスフルで大変いい(蛇の扱い方が巧い!)。人種差別の扱いが本筋といまいち絡まずちょっと中途半端なところは残念でしたが、総じて僕は満足でした。うん、けっこう面白かったです。7点![DVD(字幕)] 7点(2022-08-12 10:51:10)

455.  ベイビーティース 《ネタバレ》 難病を患い過酷な闘病生活を送る16歳の少女と孤独な不良少年の青春の日々を瑞々しく描いたラブストーリー。監督が、長編デビュー作となる本作で幾つもの賞を受賞したということで今回鑑賞してみました。とにかくこの監督のセンスの良さに尽きると思います。ほとんど音楽も使わず映像も終始ブレブレな手持ち撮影、そして登場人物もごく限られているのに最後まで観客の心を捉えて離さないこの品の良いセンスは大変グッド。それぞれのエピソードを小さな章のように見せる演出や等身大の登場人物たちが織りなす繊細な心理描写もなかなかに素晴らしい。ただ、本作の評価の分かれ目となりそうなのが、この余りにもベタすぎる脚本でしょう。これまで何百本と撮られてきた難病ものラブストーリーをなぞっただけで、正直、捻りがなさすぎる。最後もお涙頂戴の悲恋で終わってしまいます。抜群にセンスの良い映像だとか、抒情性溢れる語り口など、この監督の才能は確かだと思うので次作に期待ってところですね。[DVD(字幕)] 6点(2022-08-11 02:17:37)

456.  クライシス(2021) 《ネタバレ》 近年アメリカで社会問題となっている、極めて依存性の強い鎮痛剤オピオイドをテーマにした社会派サスペンス。ゲイリー・オールドマンとアーミー・ハマー共演ということで今回鑑賞してみました。物語は、製薬会社からの依頼で臨床試験に臨みつつも新薬の致命的な欠陥を見つけてしまう大学教授と麻薬組織の壊滅を目論む囮捜査官、そして薬によって大切な一人息子を失くしてしまった母親を相互に描いてゆきます。つまりは、群像劇。利益優先の製薬会社から事実を隠蔽するように求められた大学教授の葛藤や、麻薬組織に潜り込んだ捜査官のいつばれるか分からない緊迫感などはそれぞれよく描けていたと思います。ただ、この三つの物語が有機的に絡み合っておらず、最後まで何ともちぐはぐな印象になってしまうのが本作の弱点。麻薬捜査官と息子を失くした母親の物語は一応最後の方でリンクしますが、大学教授の話は最後まで残りの二つと完全に切り離されています。それに大学教授のエピソード以外は、オピオイド関係ないような気がするんですけど……。きっと元はこのインサイダー告発者となる大学教授のお話だけがあって、でもそれだけじゃ地味だということで後になってこの二つのエピソードを足したんでしょうね。それならそれでもっと脚本を練るべきだったのでは。群像劇としても社会派サスペンスとしても何とも中途半端なお話でございました。[DVD(字幕)] 5点(2022-08-09 05:00:50)

457.  ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 《ネタバレ》 悪をもって悪を征す!あの死をも恐れぬ〝超極悪部隊〟が帰って来た!様々なヒーローたちによって刑務所にぶち込まれた、イカレ頭の極悪人たちを寄せ集めて作られた、その名も「決死部隊(スーサイド・スクワッド)」。今回彼らが送り込まれたのは、政情不安に揺れる南米の小さな島国。ここで良からぬことを企んでいる反米政権の野望を阻止せよというのが今回の任務だ。娘のために依頼を引き受けた武器のプロフェッショナル、ブラッドスポート。正義のためなら殺人も辞さない孤高のヒーロー、ピースメイカー。凶悪な人喰いサメ人間であるキングシャーク、ナナウエ。世界中のネズミを自由に操ることが出来るラットマスター、クレオ。全身から七色の水玉を発射できるポルカドットマン、アブナー。そして、次に何をするか全く予想が出来ない危険なギャルビッチ、ハーレイ・クイン。数々の困難を乗り越え、島の中枢へと辿り着いた彼らは、あるマッドサイエンティストの危険な研究に巻き込まれてゆく……。映画としてはポンコツだったものの、ハーレイクインという凄まじくキャラ立ちしたクソビッチ(失礼!)なアンチヒロインを生み出したエンタメ映画の続編。さして期待はしていなかったのですが、世間の評判がすこぶる良かったので今回鑑賞。うん、前評判通りめちゃくちゃ面白かったです!!全くもって華のないメンバーが登場する冒頭、「大丈夫かいな…」という不安も束の間、あっさり彼らが全滅するシーンから掴みはバッチリ。特に手足を取り外せるだけが能力のTDKと変なイタチ男が泳げなくて死ぬところはもう爆笑。そこから本家の主人公が登場してからは怒涛の展開。最後まで息つく暇もないほど楽しませてもらいました~。特に槍を持ったハーレイクインが花びらを巻き散らしながら男どもを薙ぎ倒してゆくところは、最近観た映画の中でも屈指の名シーン。『キックアス』のヒットガールに匹敵するほどで、もうこのシーンだけでご飯何杯でもいけます。そんな彼女に他のキャラが負けているかと言えば全くそんなこともなく、誰もが如何なく自らのキャラを発揮させているのも見事!特に出オチかと思われたキングシャークが、最後まで見ると一番かわいく思えてくるから不思議です。ネズミ女も何気に可愛いし、一番地味な水玉男もその妄想世界で楽しませてくれます(オカンいっぱい!笑)。監督は、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を撮ったジェームズ・ガン。なるほど、この全てのキャラクターへの並々ならぬ拘りは、この監督の特性だったのですね。最後、それぞれの能力を駆使したヒトデ怪獣との闘いは最高にテンション上がっちゃいました。むちゃくちゃやっているように見えて、実は細部まで緻密に計算された演出も素晴らしいとしか言いようがない。うん、もう一度言いますが、サイコーに面白かったです。ホント、あのポンコツな前作はなんだったんだ(笑)。[DVD(字幕)] 9点(2022-08-08 10:48:41)(良:2票)

458.  海底47m 《ネタバレ》 メキシコへとバカンスで訪れた若く美しい二人の姉妹。現地で知り合った男たちに誘われるまま、彼女たちは鮫が目の前で見られるというアクティビティを楽しむことに。船で沖合へとやって来た彼女たちは、その強固な檻の中に入り、凶悪な鮫がうじゃうじゃいるという海中へと沈めてもらうのだった。間近にまで迫って来る強大な鮫の姿に興奮を隠せない二人。だが、その直後にあり得ないような悲劇が二人を襲う。船の上で檻を支えていたワイヤーが折れ、彼女たちを閉じ込めていた檻が暗い海の底へと瞬く間に落ちてしまったのだ。辿り着いたのは、海底47メートル――。そこは凶悪な鮫が縦横無尽に暴れ回り、助けてくれる者は誰も居ない、海上の光すら届かない暗黒の世界だった。ボンベの酸素も残り僅か。果たして彼女たちは無事にまた日の光を見ることが出来るのか?海底に取り残された姉妹の究極の恐怖を、ワンアイデア・ワンシュチュエーションで描いたパニック・スリラー。まあいかにも低予算で撮られたであろうそんな本作、これがなかなか演出のキレが良いエンタメ映画の佳品に仕上がっていたと思います。事前の想像通り、お話の7、8割方は海の中で展開されるのですが、このブルーを基調とした映像がキレイ過ぎず汚過ぎないちょうどいい見やすさでした。カメラワークの専門的なことは分かりませんが、この映像技術はなかなかのものなんじゃないですかね。そんなリアルな海の中に取り残される姉妹も、姉は冷静沈着だが臆病、妹は行動的で活発だが少々無計画と各々のキャラがちゃんと立っているのもポイント高い。そしてもちろん最後までナイスな水着姿なのも大変グッドです(笑)。この手の作品に必ず必要な適度なグロ描写も抑制が効いていて良かったと思います。まあシュチュエーションがこれだけなんで、途中で若干ダレてしまうとこはあるものの僕は最後までそこそこ楽しめました。もっと鮫さんたちに活躍してもらってもよかったような気がしなくもないですが、そこは予算の関係なのかな。ただ、ラストの展開には僕は少々否の立場。努力の末、主人公たちは助かった→と思ったら実は主人公の幻覚でした。バッドエンドか→と思ったらやっぱり救出部隊がやってきて……ってちょっとクドいよ!!そこらへんがイマイチでしたけれど、真夏の熱帯夜にビールでも飲みながら観るには最適な映画でありました。[DVD(字幕)] 6点(2022-08-08 10:36:11)

459.  シドニー・ホールの失踪 《ネタバレ》 既存の価値観を真っ向から否定するような挑戦的な内容で、全米ベストセラーとなった青春小説『郊外の悲劇』。デビュー作にして一躍時代の寵児となった作者であるシドニー・ホールは、プレッシャーからかなかなか二作目が書き出せずにいた。そんな折、この小説に影響された青年が自らその命を絶ち、全米中で賛否両論含めた議論が巻き起こるのだった。精神的に追い詰められたシドニーはある日、着の身着のままの姿で失踪してしまう――。以来シドニー・ホールの消息は誰にも分からず次第に人々は彼のことを忘れていった。だが、七年もの月日が過ぎたころ、いくつかの図書館で彼の著作が燃やされるという事件が多発する。老犬を連れ、ふらりと現れた犯人こそが彼なのではないか。疑問を抱いたある人物が彼の調査を開始する。浮かび上がってきたのは、シドニー・ホールという男の深い哀しみに満ちた人生だった……。失踪したベストセラー作家のミステリアスな半生を、三つの時間を行き交いながら綴るヒューマン・ミステリー。描かれるのは作家シドニー・ホールのまだ無名だったハイスクール時代と、やがてベストセラー作家となった彼の栄光とプレッシャーの日々、そして一匹の老犬だけを相棒に全米を放浪する空白の時期という人生のターニング・ポイントとなった三つの時代のエピソード。この三つの時間軸を複雑に行き交いながら同時並行で描くという難しい手法を使っているのですが、ちゃんとそれがいつの時代の話なのか観客に分かるように描き分けているのは巧いと思います。どの時代のお話にもちゃんとそれぞれに明確なテーマと謎が存在し、全体としてある一人の男の人生を重層的に浮かび上がらせることに成功しています。そして、それら三つの時代に様々な姿で立ち現れる美しい女性メロディの存在も煌びやかで大変いい。彼女を演じたエル・ファニングがとてもキュートで、まさに嵌まり役。ただ、物語の終盤、それぞれのエピソードに隠された謎が全て明らかにされるのですが、それらが一本の映画としてうまく纏まっていないのが本作の弱いところ。青春期の初恋と友情、デビュー後の挫折と喪失、失踪後の絶望と再生、これらの要素が有機的に巧く絡み合っていません。なんだか別々の映画を一本に編集しなおしたような印象を受けてしまいました。きちんと整理されたストーリーテリングが抜群に巧かっただけになんとも惜しい。[DVD(字幕)] 6点(2022-08-04 12:06:02)

460.  チャイルド・オブ・ゴッド 《ネタバレ》 彼もまた“神の子”だ。あなたと同じように――。アメリカ北部の寂れた田舎町に住む孤独な男、レスラー・バラード。十歳にして父親を自殺で失い母親にも捨てられた彼は、以来天涯孤独な人生を送ってきた。精神的に深刻な問題を抱えた彼は周りの人間とうまくコミュニケーションを取ることが出来ず、自分を守ってくれる古びたライフルだけを片手に、打ち捨てられた山小屋でその日暮らしの孤独な生活を何年も続けている。もちろん村人からは厄介者扱い、保安官からも常に目を付けられていた。そんなある日、山道を歩いていた彼は事故を起こし立ち往生している車を発見する。覗いてみると、車内には一組の男女の死体が横たわっていた。触れてみるとまだ微かに温もりが残っている。初めて感じた女の温もり。思わずレスラーは、その女の死体と性行為をしてしまうのだった。そのことに味をしめた彼は以来、次々と女を殺しその死体を犯し始めるようになる……。長年の孤独な生活から精神に異常をきたしてしまった男、彼が犯すことになる数々の許されざる罪を乾いた空気の中に描くバイオレンス・スリラー。原作は現代アメリカ文学の重鎮、コーマック・マッカーシー。監督は俳優としても活躍するジェームズ・フランコ。『ノー・カントリー』『ザ・ロード』『悪の法則』といった作品で名高いマッカーシーが原作だけあって、この血と暴力に満ちた物語はいかにも彼らしい閉塞感に満ちた重厚なものだった。「倫理観や道徳といったものが完全に壊れてしまい、世にも恐ろしい罪を躊躇なく犯してしまう彼を同じ人間と言っていいのか」といった重々しいテーマを、無駄を削ぎ落したシンプルなストーリーの中に描き出す意図は充分伝わってくる。果たして神は居るのだろうか――。このイカレタ男の視点で最後まで物語を進行させ、観る者の倫理観を激しく揺さぶって来るところなどその踏み越えた姿勢は高く評価されていいだろう。ただ、この原作を映画化するのであれば、もう少しこのテーマに深みを与えても良かったのかもしれない。最後まで、この罪深き“神の子”になんの罰も赦しも与えないところなど、きっと意図してのことなのだろうがどうしても物足りなさが残る。内容が内容だけに決して観ていて気分のいい作品ではないが、人間の生存欲求の根源性や神の不在などを考えるきっかけとして観る価値は充分にある。[DVD(字幕)] 6点(2022-08-04 11:52:23)

010.05%
190.48%
2492.60%
31266.67%
424913.19%
533217.58%
648625.74%
733317.64%
821811.55%
9713.76%
10140.74%

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS