みんなのシネマレビュー
simさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 102
性別

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

評価順123456
投稿日付順123456
変更日付順123456

41.  パラサイト 半地下の家族 《ネタバレ》  韓国映画は久々に観たのですが、数年前と比べて、とてつもなく洗練されて極めて完成度の高い作品となってました。  以前よくあった、泥臭さやグロテスクさも、うまいことするりと見せるなあと感心しきり。  雨の場面が、わりと日本的に、シャレにならなくてえげつなかった。  あいかわらずエンタメに社会性を組み込むのがうまい。  ネットに情報が上がってますが、作中に出てくる韓国の社会的状況とか風物が分かってると、より一層理解が進む感じですね。  話の仕掛けは、すごい! なるほどー!!! と、かなり衝撃的で面白いんですけど、これ系の先行作はいくつかあるなと思って、技巧的には完璧だけど、ちょっとこう、美しさが足らんかなあ、と感じました。  あと、「インディアン」ってどうなのか。  そんなところです。[映画館(字幕)] 8点(2020-01-16 01:28:57)《改行有》

42.  スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け 《ネタバレ》  EP4劇場上映からずっと観てるファンですが、というか、映画ってこんなに面白いんだ! と、あんまり面白くていきなり2週観ましたが(当時入替制でなかったので)、その長大なシリーズがようやく無事完結して感無量というところです。  話としてはEP8のあれこれがバッサリなかったことにされて(酷)、EP9で元通りのベタな王道ストーリに戻ったということで、いつものスターウォーズのノリだとEP9の前半をEP8でやって、EP9の後半がEP9になるのではないか、というように思ったりしました(EP8は、あれはあれで好きですけれども)。  例のキスシーンについては、劇場では悲鳴が上がってましたが(笑)、いや、展開上これまでの親密度と展開から言ってそう行くしかないかなあ、ということで個人的には納得。しかし亡くなってしまうのは、よくある「女性向け物語で、都合よく死んだり別れる女性にとって都合の良いだけの色男」的で、どうなんだろうとちょっと思いました。予言が成就されるが実はそれこそが真のハッピーエンドなのだ! 的オチを一瞬夢想しました。  あと、個人的に、暗黒面レイが、アクションとかビジュアルが超絶かっこ良くて! もっと本格的に戦うシーンが見たかったなあと思いました(最終戦の心の中の戦いとかで(スピンオフまだ!?))。  そんなところです。[映画館(字幕)] 8点(2020-01-01 22:55:23)《改行有》

43.  ヒックとドラゴン 聖地への冒険 《ネタバレ》 ヒックとドラゴン3部作の完結編ということで、非常に良かったです。 第1作の最大の懸念がようやく解消されましたし。 なんか、今年は主人公キャラの背景を掘り下げる系の話がやけに多くて何なんだて感じなのですが、ドラゴンの多様な生態系を独自に創作したこのヒックとドラゴンこそ、ぴったりのテーマだったなあと、あの目くるめく美しい世界が見られただけで眼福でした。正直、ドラゴンの生態と、多彩で美しい世界が見られればストーリは割と何でもいいかなっていう話と認識してるので(何となくハッピーに終わってれば)、まったく期待してなかったのですけど、3部作の結末としてきっちり〆てきたので、ちょっと、おおおお! ってなりました。 メインの話は、悪役が薄いっていうか、いや、設定だけ見てると結構ハードで極悪な敵だったと思うんですけど、因縁のある一番の相手がドラゴン(しかも、本作の設定では知性レベルが現実のペットくらいな感じ)なので、深い話を展開する余地がなくて、かといって悪役側から因縁の暗い話をネチネチやるのも作品の明るい傾向と合わんしで、結局薄く描かざるを得ないという感じでした。いちおう大艦隊でスケール感を出そうとはしてましたが…… トゥースの求愛ダンスとか、その辺の生態が詳細に描かれてたのは非常に面白かったです(トゥースが人間世界に慣れ過ぎて、ドラゴンのそういう決まった踊り方なりアプローチの仕方が全然分からなくて困るのを、人間のヒックがどういうわけかフォロー(笑)するところとか)。[映画館(吹替)] 8点(2019-12-28 10:03:55)《改行有》

44.  シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション 《ネタバレ》 終始笑いの絶えない上映で、とても楽しく観られました。 エンドのGet Wildへの入りも完璧。 エロチックなギャグがフランス映画テイストで妖艶なのも良し。 個人的に一番爆笑したのは、ミッション完了直前でその曲流すか!!!!!! てところです。 笑いじぬかと思った。 いちおう、いじったネタのフォローもちゃんとあって安心して観られます。 唯一減点は、動物ネタはあかんやろう、というくらいですた。[映画館(吹替)] 8点(2019-12-14 00:50:21)《改行有》

45.  アベンジャーズ/エンドゲーム 《ネタバレ》  とりあえず、長年の壮大なシリーズをまとめ上げたのと、あのすべてのヒーローが大集結する壮大でワクワクする山場を構築したスタッフに敬意を表したいと思います。素晴らしい作品をありがとうございます! そしてお疲れさま!  ……という前置きをした上で以下文句を書いていこうかと思います(強ネタバレ注意)。 --  一つ目、前回のエンドが納得できなかったのでタイムトラベルでやり直そう、というのは、安直にもほどがあると思いました(笑)(キャラクター能力的に可能でも不思議ではないけど)。  いちおうその辺は、作品自体がかなり自覚的で、作中過去のタイムトラベル映画のギャグをやってたりするし、ネット上でもその辺に言及した製作者側の情報が出てきてるみたいですが、前景の結末が納得できないので、時間を巻き戻してやり直しましょう、と言いだしたら、もう何でもやりたい放題になってしまって、これまであった制約や葛藤が、あそこで悩んでたのはいったい何だったんだろうという脱力感に見舞われました。  一方、そういうちゃぶ台返しを用意してあるからこそ、前回の決定的完全敗北を容赦なく描けたとか、MCUシリーズヒーロー総集結総活躍の展開を描けたというのはあって、またタイムトラベルで発生する色々な矛盾点などは練り込まれた脚本と映像で、だいたい違和感が漏れなく取り除かれてあまり気にせず見られるようになってたとは思います。  あと、エンドでキャップの最後の場面もタイムトラベルネタで、いかにもいい話っぽいオチにしてるけどあそこだけちょっととってつけたような感じがあって(おそらくテイクをいくつも撮って協議の上、あの結末にしたと想像しますが)、加えて私自身がMCUシリーズの中のキャプテンアメリカシリーズだけぽっかり穴が開いたように観られてなかったので(評判良いので観たいなとは思ってたんですけど)、わざわざあそこまですることに対する思い入れが何もなく、蛇足感が半端なかったです(キャプテンアメリカ、ウィンター・ソルジャーは必須ということでしょうか?)  一応時間ネタについては「ドクター・ストレンジ」で実はそんな裏技も使えるんだよと伏線が張ってあったりはしました(こちらは履修済み)(これも必須?)。 --  二つ目、重要キャラが死んでお涙頂戴展開は好きじゃないなあ。というのがありまして、昨年あたりからそういう傾向の作品が多いんですけど、そういうのが出てくると「良いハッピーエンドのネタが今年は思いつかなかったんだろう」(確かに難しいので)と思ってしまうのがあり、この作品もその例に漏れなかった、というのが多少がっかりでした。あれだけの資金と知力を集結しても誰も死なない良いオチはそうそう出てこないものなのか。  最終的に救われなかった人が何人か出ますが(そのせいで、またもう一回タイムトラベルでやり直そうという気も起こらない仕掛けになってる)、個人的にはネビュラさんが、あの過去の回心前のネビュラさんをぶち殺して終わりだったのは、まあまあまあ、ちょっと待て、と突っ込まずにはいられなかった(笑)。割と脇のキャラクターで、十二分に出番があったので話の尺上仕方なかったであろうとはいえ。 --  ……というようなわけで、ストーリー的には正直かなり安直な作りになってて、話の筋への革新的アイデアとか技巧的な挑戦というものは全く見られない代わりに、すべての仕掛けは、あの大量のヒーローたちを漏れなく活躍させる舞台をお膳立てしよう、というところに注力された作品だったのかなと思います。これらすべてはヒーローを活躍させるためのアトラクションショーであり、ストーリー的奇抜さはバッサリ捨て、とにかくわかりやすく単純化しました、という創作の指針の選択でしょう。そこにハリウッドの、日本とは桁違いの、マネーと頭脳を総集結投入すればこれだけのものができる、という答えの一つかと。そしてそれはnot for meかなあとも感じました(キャプテンアメリカも観られてなかったし)。  そんなわけで、演出は素晴らしいけどストーリーとしては安直なので、そのまま点を付けると7点くらいかなあと思ったのですが、最後のヒーロー大集結のワクワク感と、タイムトラベルネタで大好きな「Time After Time」と「Somewhere in Time」への言及があったので、+1して8点くらいかなあということになった次第であります。[映画館(字幕)] 8点(2019-05-01 23:41:59)《改行有》

46.  THE GUILTY ギルティ(2018) 《ネタバレ》 「電話からの声と音だけで、誘拐事件を解決する」という特殊なシチュエーションの物語で、主人公は緊急通報指令室のオペレーター……要するに日本でいうと、110番通報の対応オペレーターの映画で、事件の情報が音声情報しか提供されないので、想像力による緊迫感とか、誤解とか、を扱ったサスペンスです。 しかも、主人公は映画中緊急通報指令室からほぼ動くことがないので、映画で時々ある、いわゆる「ワンシチュエーション映画」の特殊パターンと言っていいかと思います。有名なのだと「12人の怒れる男」とか「キサラギ」とかの名作がありますが、特徴としてはとにかく脚本がテクニカルで、展開が二転三転どころか四転五転くらいする大変技巧的な作品になります。 この映画だと「音声情報」しか伝えられてこないので、視聴者に想像力が求められるのがさらに難易度を高めています。私は特に違和感なく観られましたが、人によっては言葉だけでは想像できなくてよくわからないという人もあるかなあ、とは思いました。 ……という前提を乗り越えた上で、内容ですが、この映画の脚本は場面ごとの感情設定の演出が途轍もなくうまいなと思いました。そういう内容の話を聞いたら、そりゃ同情するでしょう、とか、そんなことがあったら腹が立ちますよね! というような主人公&視聴者の感情を自在に操った上で、あとになって、それは音声だけの誤認識で全然間違ってましたよ! と、何度も何度もひっくり返されます。もう、ハラハラドキドキの展開にしてやられてしまいました。 そして、最後の決断。タイトル。 久々(?)のワンシチュエーション映画の傑作誕生! ということで、そういうのが好きな方はぜひ観られるがよろしいかと思われます。[映画館(字幕)] 8点(2019-03-18 00:25:09)《改行有》

47.  ラ・ラ・ランド 《ネタバレ》 好みが分かれるので、あまり人にはお勧めしないのですが、「こうであったらいいのになあ」を極限まで美しく愛おしく描いた究極のファンタジーと思います。現実にはうまく行かないところが、心がえぐられてなお素晴らしい(マゾ気味)。 超好き。 中盤ちょっとダラッとする辺だけ、やや自重して減点。[映画館(吹替)] 8点(2018-12-18 00:27:17)《改行有》

48.  ペンギン・ハイウェイ 《ネタバレ》 森見登美彦原作の、ライトなジュヴナイル……と見せかけて、結構ガチなSF作品の映画化(SF大賞受賞作)。 原作もとても好きで、アニメになったら映像が映えるだろうなあと思ってたら、期待以上のすばらしい美しい出来栄えで、原作知ってる方にもお勧めできます。 この映画ですごいと思うのは、あの結構難解で難しい原作の「オチ」を完璧に理解した上でプラスαの演出しているところです。 原作者様に、よほどしっかりした取材をされたのかと思われて、ちょっと感動してしまいました。 興味のある方は、ぜひぜひ原作もチェックされて、その差や、映像では説明されなかった諸々の謎についても確認されると、より面白さを味わえるかと思われます。 個人的には、大好きだった原作の「ウチダ君の証明」が端折られてしまったのが残念でしたが、枝葉のエピソードなので、まあー、しょうがないかなーと、納得はしてます(メインのアクションとか素晴らしかったし)。 というわけで、平成最後の夏の終わりにふさわしい、少年期の、ひと夏の終わりの物語の哀愁感+究極のSF的ハッピーエンドのドラマをご堪能いただければ幸いかと!(熱烈宣伝)[映画館(邦画)] 8点(2018-08-28 21:55:28)《改行有》

49.  万引き家族 《ネタバレ》 個人的に、同監督作品の「誰も知らない」の続きと思って観てしまってたのですが、そう思って観ると終盤の少年の行動は当然そうするでしょう! と共感しました。 あと、是枝監督作品にしてはかなりエンターテインメントしていて(一般的には全くエンタメしてないかのように見えるでしょうが)、話のエンドはともかく、『救い』が多く描かれ、それらを描くために各役者の演技を極限まで引き出す演出、編集がされてて非常に良い出来で、これでパルム・ドール受賞は、それは取るでしょう、という充実した作品だったと思います。 実のところこの話のモチーフって、とても古めかしい、子供を拾ってきて居ついてしまいましたよとか、育ての親と生みの親のどちらが子供にとって良いのか? というコテコテの人情噺で、前世紀だとハッピーエンドで終わって、いい話だったねと終わるところが、今世紀では、それは単純に犯罪になってしまうし、法律によって生みの親に子供を託すのが何だか知らんけど社会的に正しいことだとされている(各種フィクションでそんなことねーよ! と指摘はそこらじゅうでされてますが)という風に、世間の方の価値観が変わってしまってることに対して、今のおまえたちはどう想像するんだこの結末を、と叩きつけるようなエンドになってるのが、視聴者に対する挑戦なのかなあと思ったりなんかしました。 例えば、主人公の親父と少年がわかれて最後に親父が追っかけたところで、映画の中ではカットされた、バスが止まって少年と親父が抱き合う場面が視聴者であるあなたは想像できますか? とか、女の子の最後のベランダの場面は、話の冒頭にあえて戻した演出をしてるんですけど、あそこで、「万引き家族」と言われて主人公の家族は違法とわかってるけれども助けることを選んだ。視聴者であるあなたの目の前に全く同じ状況が映画のエンドで提示される。そこで、あなただったら助けますか? とかいうところです。 この作品で描かれる貧困はリアルなようでありながらわりとファンタジー(そんなに悪い人は出てこない)という認識なんですが、この世間の想像力の欠如に対する訴えかけについて、 「他に教えられる事がなかったんですよ」 と、主人公が金を稼ぐために万引きしか教えられなかったことについて、教育もなく追い詰められて困窮した人だったら、それは仕様がないないよね、ととらえられるか、そんなのあり得ないだろうと拒絶するしかできないか、というようなところも問うてるかなあと思います。ホームレスなどの困窮者が表向き見えるところから排除されたことで(今はむしろ格差拡大で増えてさえしているかもと想像しますが)、そんなもの想像もできなくなってるだろうなあとか、自己責任論とか、あるいは裁判員裁判でそういった想像力の欠如があるので、困窮者でアル中まがいの状況になってる人がそんなつじつまの合ったまともな証言などできないだろう、ということに対して、裁判員に選ばれた人が驚くほど冷酷な反応をするとか、そんな話を伝え聞いたりしてると、こういう話に共感しがたい人も増えてるかなあと思ったりなんかもしました。[映画館(邦画)] 8点(2018-07-22 18:39:58)(良:1票) 《改行有》

50.  皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ 《ネタバレ》 主人公があまりに孤独すぎて、目が死んでて、それが正義に目覚める瞬間に魂が震えました。 悪役が、とにかくチャラくて、メチャクチャで、しぶとくて、とことんゲスなのが良い。 ヒロインのアレッシアはそんなに奇麗というほどでもないんですけど、観てるうちにどんどん美しく見えてきます。 アクションは、低予算ながらきっちりポイントは押さえててがんばってる感じですが、「スーパー・パワー対スーパー・パワーは、単純に素手で殴り合ってるのと変わらない」というのが、目から鱗で面白かったです。 あと、観覧車は何度観ても泣けてしまいます。[DVD(字幕)] 8点(2018-07-19 00:55:16)《改行有》

51.  映画 聲の形 《ネタバレ》 原作を読んで、映画館で観て、DVD購入してそれも観ました。 原作から好きで、映画版は、原作で好きだった映画作成のエピソードが削られてるのが非常に残念でしたが、尺を考えるとやむなしかなあ、それでも、うまくまとめられたなあ、という感想です。 原作を観てたので、そもそもエンタメ的な、楽しく心なごむような話は全く期待しておらず(そういうのを期待する人には全くお勧めできない)、いじめという繊細かつ深刻な問題を、いかに逃げずに真摯に描いてくれるかを観に行き、おおむねよくできていたように感じました。いじめをした人間はもちろん悪いのですが、それを目の前でやられてるにも限らず傍観するのも問題あるかもしれないし、これはタブー視される問題ですが、いじめられる方にも問題があるのかもしれない(声をあげろ)というところまで踏み込んでいる作品はそうないかと。 かなりしんどい内容なので、あれですが、この作品の内容を深くまで理解して観ようとするのであれば、2回以上観ることをお勧めします。2回目以降ですと、小学生期のヒロインの手話や、発言が、実際何を言おうとしていたのかがほとんど理解できるようになっています。ヒロインが一体何を訴えて、それがまったく周りに通じず、どんな残酷なことになっているか。大変良くわかって精神的に再起不能になれます(しくしく)。 あと、原作で一番疑問だったのは、何故ヒロインは主人公のことが好きになるんだろう?(あんなひどい目にあわされたのに)という点で、原作の時は少年漫画誌補正で何だか知らないけどヒロインは主人公を好きになるお約束? と流してたのが映画版で解消されることを期待して観てました。そして、その回答は映画版できちんと描かれていた、と思います。ただ、主人公は最後までそのことに気づかずに終わってしまうので、主人公は理解して救われたように思ってるけど実は何もわかってない残酷な終わりにも見えます。ただ、気付いてしまっていると主人公の死は免れ得ず心中物語にでもなってしまってたかと思われるので、そこまでにしなかったのは、製作者さまの優しさかなあと思いました(この辺はあくまで自己解釈です)。 そんなところで。[DVD(邦画)] 8点(2018-07-17 21:50:52)《改行有》

52.  マッドマックス:フュリオサ 《ネタバレ》  IMAX音響で視聴。  怒りのデスロードの前日譚という事で「怒りのデス・ロード」に熱狂したのと、主演のフュリオサを、以前から応援してるアニヤ・テイラージョイが演じるという事で、非常に期待して観に行った感じです。  端的な感想としては、マッドマックス世界をバリバリ描いてイカレタ世界観とか、激しいアクションシーンの数々とか、各役者の熱演とか新登場キャラも良かったし、ストーリ展開や落ちはマッドマックス世界らしい展開と落ちで良い感じと思ったんですが、フュリオサの敵役のディメンタス将軍がショボくて、せっかくいいお膳立てをされても悪役が映えないとメリハリが付かないよなー、ということで、実に惜しい感じでした。  あと、アニヤ・テイラージョイ演じるフュリオサが美しすぎる(笑)。  幼少期のフュリオサは子供なのに肝が据わってたくましく美しく将来の成長が楽しみな感じで非常に良かったし、母親のスナイパーもメチャカッコいいし、フュリオサを助けてくれる警護隊長ジャックもカッコいいし、あと、今回はまだ負けないイモータン・ジョーが悪役だけどクソカッコイイというのが驚きでしたか、アニヤ演じるフュリオサも中盤恒例の難しいダンプのカーアクションで大活躍で熱演してしており、それぞれ良かったんですけど全体のまとまりとしてどうかってところで。  クリス・ヘムズワース演じるディメンタス将軍は、いろいろ非常に難しい役柄と思われて長台詞や見せ場が多数あって熱演されてたと思うんですけど、マッドマックス世界的なありがちな残虐な悪役かというとそうでもなく、それは意外性として悪くはないんですが、文明が失われた世界で過去の文学とか知識を身につけた知的な悪役ならそれでも良いかと思ったらそうでもなく、意外と簡単な騙しにすぐ引っかかって間抜けな面を見せ、逃げたフュリオサを追うため閉じた門をどう知的にクリアしていくかというと知性のかけらもなく力推しで巨大ジープで無理やり門を押しつぶして進むとか、フュリオサに追われて逃げる時も姑息にせこく立ち回って、小物臭が半端なく、言ってることも行動も支離滅裂で一貫性がなく、全然復讐に値しないっていうか、全体の構成が復讐相手の悪役さえ引き立てばそれだけで全体が締まるようにおぜん立てされてたにもかかわらず、悪役として煮え切らないため、いまいちまとまらなかった印象を受けました。  クリス・ヘムズワースは悪役はあんまり向いてないのかもなーって思ったり。  あと気になったのは、アニヤ・テイラージョイが美し過ぎるせいでついつい綺麗に見せるカットを長めに撮ってしまうというのが本作でも発揮されてしまってるのが、フュリオサって性別を隠して潜伏してるはずなのに目立ちすぎるのはどうかというのがあり、緊張感を削いでたかと。あと警護隊長ジャックが人生経験豊富で思慮深そうなのにすぐにフュリオサに恋に落ちてしまうのがちょっとどうかというのと、アニヤ・テイラージョイ演じるキャラクターが素直に恋愛関係になると必ず相手はしぬ(苦笑)展開がすごいベタに来て、またかー><と思ってしまいました。  あとフュリオサって完全に自立して力強い印象だった(幼少期もそうだったし)のが、女性的な弱い一面がちらほら各所に見えてしまったのがどうかとも思ったり。  逆に良かったのはイモータン・ジョーが終始一貫筋が通ってて悪の魅力に満ち満ちてたのと、アクションシーンも相変わらずの迫力に新アイデアも盛り込まれて素晴らしかった(パラシュート最高!)ってところですか。  落ちについては、個人的にはマッドマックス世界的にとても良かった(マッドマックス世界ならそう来なくっちゃ!)んですけど、ああなるには悪役がバチクソにキレキレに引き立ってないとなあ、ということで実に惜しい印象でした。  そんなところです。[映画館(字幕)] 7点(2024-06-11 13:53:43)《改行有》

53.  劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re: 《ネタバレ》  公開翌日視聴。  TVアニメ版は大ファンで円盤・動画等で20周以上は観ましたか。原作のコミックス版は個人的に正直音楽シーンも1枚絵だけでほとんど描かれないので音楽もの漫画としてどうなんだろうという微妙な評価だったのですが(最近の4,5巻の辺は割としっかり目に描かれてきてる気がしますか)、アニメでライブ部分が過剰にがっつり描かれて補完されて化けた印象の作品です。  劇場版は「総集編」というようにTVアニメ版8話までをメインストーリーを見せ場をきっちり押さえつつざっと一通り流しており、話の導入が「そこから入るのか」とちょっと意表をつかれたのですが最後までキッチリまとまって満足な内容でした。TV版を観てない人にも理解可能かは私自身はわからないのですが、映画版で初見だったらしい人が「めっちゃ良かった」と言ってたので未見の人でも一通りの話の流れがわかる作りにできてたかと思われます。  新規要素については新規映像は細かい部分であったらしいのですがどこかまでは私には正確にはわかりませんでした。オープニング曲とエンド曲が新曲でこれまた非常に良い曲でファンの人にもおすすめと思いました。あと路上ライブの演奏シーンがフルバージョンで一通り聴けるので、おお! って思ったかな。作品外ですけど映画館のマナー動画でぼっちざろっく版マナー動画が劇場版と合わせて公開してこれまた楽しいのでお勧めです。  上でも書きましたが、ライブ部分の音響が劇場環境だととにかく素晴らしく臨場感があるのと、個人的に家環境なんかだとロックバンドの演奏ってメロディラインはわかるけど裏方的なベースの低音が聞きづらく背景になってて良くわからないというのがありますが、劇場版ではがっつりカッチョええのがしっかり聴けるので非常に良かったです。個人的に人間的にはクズ扱いだけど音楽的には先導者であるリョウさん推しなので、リョウさんのかっちょええベースががっつり聞けるぜヤッハー! て感じでした(俺得)。  で、総集編なので色々端折られて、練習部分などはぼざろの名曲を流しつつTV版のカットをガーっと流してく感じの演出をしてて、この手法がハリウッド映画のアニメで出てきたときは手抜きだろうと思いつつ笑っちゃったんですが、音楽系作品で総集編で圧縮するには非常に良い手法だなあとしみじみ思ったりしました。  あとTV版はメインの成長物語だけでなく枝葉のくだらない演出でも笑わせるという日常系的な面白さもあるのですが、総集編だとさすがにそこはカットせざるを得ないという事でぼっちちゃんの恥ずかしいあれやこれやは綺麗にぼかされてるのでそれらも観たい方はTV版視聴されることをお勧めします。  ちなみにダムはありません(笑)。[映画館(邦画)] 7点(2024-06-09 13:15:55)《改行有》

54.  哀れなるものたち 《ネタバレ》  ロングランしてて、アカデミー賞も各賞とってちょうどいい時間にやってたので観ました。  スタイリッシュな芸術的作品も割と好きな口です。  R18なんで大人向けの寓話的な作品という事で、まあ面白かったんですけど、個人的にはコメディっていってるけど、ある種、今のリアル過ぎ、生々しすぎじゃね?(寓話的幻想的作品が、現実以上に現実的に見えてしまう瞬間があるみたいな)という感じがして、ブラックユーモアとして笑わせようとしてるっぽいけど笑えないかな(苦笑)て感じでした。フェミニズム的題材作品としてみると、今だとちょっと古めかしいというか、時代設定が昔なので仕方ないかもしらんけど、せっかく寓話的ファンタジー作品をやるならもっと先端的にえぐったのをやってくれると逆に痛快で好きだったりしますが、そこまで振り切れてはおらず、差し引き今の現代的感覚と同じくらいになっちゃったかな、という感じ。  斬新さがちと足らんかな?  あとはなんだろう、下世話ですけど、アカデミー受賞作で話題になった女優が2~3年後くらいに濡れ場とかの多い汚れ役をやり出すサイクルがありまして、典型的なそういうサイクルの作品だなあと思ってしまったのと(とはいえビジュアルは素晴らしいのに当たって各賞も受賞して良かったなというところではありますが)、主人公が子供から現代的な女性に成長して魅力的になってくのは良いんですけど、最終的にたどりついた安寧の地が自らの力で勝ちとったものではなく 「たまたま運よく獲得できただけ」 なので、じゃあこの話が終わって平和な人生が続いてくかというと次の瞬間無慈悲な理不尽によってすべてを失っても全く不思議ではない状況で、ハッピーエンドと言えるのかどうなのか何とも言えん終わりだなあと思ったのと、最後のオチは割とベタなブラックジョークなんですけど、中盤で不遇な人々に対する慈悲の心は学んだのに、キリスト教的な、 「汝の敵を愛せよ」 は学習しなかったんだなあという、精神的に成長して大人的人格を身につけたけど、それには欠陥があったみたいな、そんなようなことを思いました。  あと、(映像作品での)フランケンシュタイン的映像表現があるせいで、画面が結構グロテスクだったりして、私はグロいのは苦手なのでちょっと受け付けなかったのと、話のメインの動機や道標が、性的快楽とか結婚とかになってるのが、今だとセックスレスとか、そもそも結婚自体しなくなってきている現状を踏まえると、生々しいだけで、ちょっと価値観が古めかしいかなとも思ったり。個人的には、ペドロ・アルモドバル監督の「私が生きる肌」くらいやってくれたら、ひゅー! って思ったんですが。  とはいうものの、ビジュアル(衣装や舞台)は素晴らしいし(私は主人公の服のパフスリーブが赤毛のアン(映画)のスタイルなので時代は1920年代前後くらいかなあとか思ってたのですが)、エマ・ストーンの演技も素晴らしくて総じて楽しませていただいた感じです。  ああ、あと、主人公が「世界を見る」というので、もっとアレコレいろんな場所に行っていろんな経験を積むのかと思ったら、意外とそんなにどこにも行かなくて、物足りなかったかな。旅程は船に乗ってアフリカの辺? にちょろっと立ち寄ってお金無くなって、パリに舞い戻って、家に帰ってきただけですからね(上映時間は長いんですけど)。  そんなところです。[映画館(字幕)] 7点(2024-03-25 13:44:10)《改行有》

55.  君たちはどう生きるか(2023) 《ネタバレ》  観ました。  環境はIMAXのほぼ最上級環境で。宮崎駿作品なら映像&音響の良い所で見とどけないといかんなと思い。  率直な感想としては、宮崎駿監督、まだまだやるなあ!(感嘆)て感じでした。  絵が最後まで息切れせずに割としっかりしてたのは、他の人に描いてもらってたんやねと知ったりしました。  本映画についてはだいぶ前に情報がちらっと出ていて「君たちはどう生きるか」の漫画版が出てちょっと評判になった後に実はそのタイトルで映画を作ろうとしている、という話が出て、そのあとその小説の映画版ではなくて作中の主人公が愛読してる本が『君たちはどう生きるか』だってだけ、という情報が出たりなんかしてたのを見ながら思い出しました。  『君たちはどう生きるか』と本映画の内容が合ってるかというとほぼ関係なくて、『君たちはどう生きるか』って卑屈と罪悪感と裏切りの話じゃん、てのに対して本映画だと主人公が初期の宮崎駿作品のようにとてもしっかり主人公主人公してて強い意志を持って行動していくので、なんかもう心根が全然違うわけで、まあ別物です。  まあ、終盤のあの人……が深読みすればそんなような心境の人と言えなくもなく、監督の心情に近い人でもあってそこで共感したのかとか思いましたが元の『君たちはどう生きるか』の主人公の人ってまったく偉い立場の権力を持った人でもないただの普通の人であるのに対して、あなたはもうすでに絶大な権力を持ってて、何を泣き言言ってるんだと言わざるを得ず、なので主人公が話の途中で『君たちはどう生きるか』を読んで泣く場面があるんですけど、いやいやいやあなたのそのキャラクターでその本の話にどう涙できるかさっぱりわからんわ、て感じでしたか。  で、元の話が現実の普通の人の話なので、現実を舞台にした展開になっていくかと思ってたら、どんどん異様な様相を見せていき、まさにジブリワールド、宮崎駿ワールド全開の破天荒な展開になっていって、そういや宮崎駿監督って、メルヘン・ファンタジーの鬼才でもあったよなあと思いだしたりしました。そっち方向は『思い出のマーニー』ですっかり米林宏昌監督に追い抜かれたと思ってたのですが、いやいやまだまだやるじゃんと。  でまあ不思議の国のアリスばりのナンセンスな展開をしていくので、途中が、ええ!? なんでそんな風に行くの? みたいな電波的なご都合主義っぽい展開が多いんですけど、宮崎駿監督作品って物語的要請とか映像的説得力の剛腕とテンポの良さで違和感なく話を進めてしまう感性の達人で、ナウシカと同時期にやってた『シュナの旅』でもまさにそうだったわと思いだした感じです。  本映画で個人的に好きになったのは、いままで自分の言い訳ばかりして体よく装うことに終始してて自分のことでいっぱいいっぱいで勝手な人だと思ってたのが、本作では新進の存在に対して暖かいまなざしで見られるようになったような表現があって、丸くなったなあってところです。  あと、主人公の母親が主人公を抱きしめて、あんた本当に良い子だねえ! しっかり生まなきゃ! とかいう場面はホロっと来てしまいますね。  そんなところです。[映画館(邦画)] 7点(2023-08-30 15:10:09)《改行有》

56.  ヴァチカンのエクソシスト 《ネタバレ》  ラッセル・クロウって「L.A.コンフィデンシャル」や「グラディエーター」とかの肉体派アクション俳優か、「インサイダー」「ビューティフル・マインド」等の演技派かの両極端をやるので本作はどっちやねん? と思いつつ観に行ったんですが、予想通りというかなんというか肉体派のマッチョなエクソシスト(悪魔祓い師)でした。たしかにあんまりなかった方向性かも(香港映画とかだと霊幻道士とかがマッチョな悪魔祓いだったりしますが)。  ホラー演出は割と本格的なおどろおどろしい昔ながらの演出をしていて、「オカルト映画」と呼ばれたような古式ゆかしい凝った設定と舞台立てをしてて、けっこうドキドキさせてくれます。またスプラッターな部分もあるので、そう思って観に行った方がよろしいでしょう(PG12ですし)。  それから昔ながらの悪魔祓い物を意外にも踏襲しており、悪魔が、関わる人の精神的な弱みに付け込んで攻撃してくるんですが、それが登場人物たちのトラウマになってるのが、すごいちゃんとしてて、おおお! って思うんですけど、 「悪魔は人間の精神的な弱みに付け込んでくる」 「はい」 「なので、キミの犯した罪についてたった今から告解をする! 私も告解する!」 (おもむろにお互い告解し合う) (悪魔祓いの覚悟完了!!!) みたいな演出をしてくるのでゲラゲラ笑っちゃいました。とてもバカっぽくて良いです(笑)(いいぞもっとやれ)。  あとはラッセルクロウ神父が髭でヴェスパに乗ってくるのが絵的にカッコイイみたいな可愛いみたいないい感じで、相棒になる新米神父もけなげで頑張ってて良いし、なかなか楽しい作品でした(続編に期待したい)。  ちなみに、主人公は実在のエクソシストだそうで、エクソシストについては他にドキュメント映画もあって、実際にそういう組織がヴァチカンにあるそうで、それをもとにしたエンタメ映画ができてきたと思ったらこれだよw って感じでニヤニヤしてしまいました。  あとは、昔の名作オカルト映画のオマージュっぽい場面が多数あって、それもまた観てて楽しい所でした。[映画館(字幕)] 7点(2023-07-19 03:58:41)《改行有》

57.  ピアノ・レッスン 《ネタバレ》  劇場公開前に出たマイケル・ナイマンのアルバムがすごくて観た口で、音楽は素晴らしいです。  けど他のナイマン作曲のピーター・グリーナウェイ作品なんかを見るとしばしば思うのですが曲と映像が合ってるかというと微妙な押し付けがましい感じもあったりするのがアレだったりはするんですが。  話は、私は結構好きなんですけど、うちの人は子供がぶち切れるところが感情的に受け入れられなかったみたいで、そこがダメなんだと思ったりなんかしました。  作品の題材とかテーマについては、時代背景がわかってないとわからんだろうなという所はあります。  1993年て日本ではまだ男女雇用均等法がまともに適用されてなかった頃の女性差別バリバリだった頃で、女性に自発的な意思などないと思われてたし、そもそも女性が性欲を持ってるなんて許されんことだ、なんていう風に認識されてた時代の話、さらに話の設定はもう一昔前になってて自由恋愛とかありえない、という状況で徹底的に反逆する主人公、てところかと思います。  あの何だろう。ちょっと前にアカデミーを獲った「シェイプ・オブ・ウォーター」で、言葉の話せない主人公が、言葉の話せる普通の人よりずっとある種、饒舌で悪態をつきまくってるという演出がありましたが、その先駆けとなったっていうか正直ネタとしてパクッてんじゃないのか、と言いたくなるようなところもあったりします。で、言葉を話すことができない代わりに言葉以上に饒舌なピアノの音が鳴るっていうわけですよ。  そんな感じで私的には好きな作品ですが、最後に水中に浮かぶ主人公の亡骸(イメージ)は、ちょっとグロテスクでどうだかと思ったりする作品だったりします。  そんなところで。[映画館(字幕)] 7点(2023-04-25 22:49:20)《改行有》

58.  エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 《ネタバレ》  笑いました。  まあその「スイス・アーミー・マン」の監督さんの作品なので、ろくなものではないだろう(笑)と期待して観に行って、その通りだったという感じです。  尻ネタについては、前作がしつこくオナラのネタを繰り返しやってたので相変わらずそっち方向が好きなんやねえという。  混沌とした、とにかくあれこれぶち込んだカオスな映像&展開は、往年のモンティ・パイソン~のテリー・ギリアム監督だったらこういうハチャメチャなのを嬉々として撮られただろうなあと懐かしさも覚える感じで、私は現代版「バンデットQ」かなあとか思いながら観た感じでした。  で、そもそも「マルチバース」という設定が割と何でもありの無敵状態になってしまうので、最近ハリウッドのヒーロー系で繰り返しやってるけど設定としてはあんまり面白くないと思ってるのですが、そこでじゃあ、無敵を無敵にしないためどんな制限をカセとして設置するかがキモと思っており、その枷を「スイス・アーミー・マン」の監督らしい実にバカバカしい設定にしてくれたおかげで、けっこう笑えた。尻争いとかたまらんw。  あと、ほとんど無敵状態になったとしてそこでどんな物語を語るのか? というところでアメリカ映画では定番の「家族もの」に持って行ったのが、またそれかよとげんなりしたのですが、それが作品として絶妙にかみ合ってしまったかなと。  マルチバースとは、人の人生のあり得たかもしれない選択肢としてなんだか普遍的なものとして見えてきたりして。  それが主演のミシェル・ヨーの人生とも重なり合い。  指がソーセージ人間の話も、昨今のポリコレ的なかつて差別的扱いのギャグネタだったものが時代と共にシリアスな問題として扱われるよう価値観が変わってきたのを、まさにギャグネタで超高速で再現してるみたいな。  敵との、家族間の愛憎の物語も、昨今の家族問題、いままさに日本の政治が家族間というものの考え方について政策的に激しく汚染されてたものが、1個人を尊重して考え方を改めるべきという傾向になってきてると思うんですけど、それを自分だけ納得して勝手に感動的な話にするな的な現代的問題を戯画的に描いてるようにも見えます。  ……ていう感じに、このふざけたしょうもないギャグネタが絶妙に時代にマッチしてしまって、なんか、賞まで受賞しちゃったよ、ha! ha! ha!  て感じでした。  あと主人公の旦那役のキー・ホイ・クァンが、インディ・ジョーンズ魔宮の伝説のインディの相棒の少年で、授賞式でハリソン・フォード&フェイブルマンで来てた監督と共に同窓会状態になってなのは、なかなか胸熱でしたか。  そんなところです。[映画館(字幕)] 7点(2023-03-15 13:40:35)《改行有》

59.  イニシェリン島の精霊 《ネタバレ》  視聴直後の感想は「えー。。。」でした。  前作はカタルシスあったんですけど、本作は最後まで決着がつかず解説もほとんどされず、文化的背景わからん人にはさっぱりわからんままモヤモヤ終わる。  話的には、北アイルランド紛争辺りを元にした寓話的話と思われ表層的にはイニシェリン島というイギリス近海の田舎の島で二人の友人だった男の一方が突然「お前のことが嫌いになったので絶交だ」宣言して途方にくれる話でした。そしてどんどんドツボにハマっていく。  予告編では絶交宣言に何か重大な理由があり作中明らかになってくと思ったのですが、表層的な「理由」は説明されるもののそれだけにしてはいくら何でもやりすぎでしょうという過激な部分もあり、嫌いになったというわりにはいざという時には助けてくれたりするし、よくわからない。謎も解けず対決の決着もしっかりつかず、かなりフラストレーションがたまりました。  登場人物が多面的で、一見嫌な奴だけどよく付き合ってみるといい所や憎めないところもある人物造形は相変わらずうまく、つい引き込まれて見てしまいます。主人公パードリックはバカなんだけどしばしば良いこと言うし人助けもするしなんか憎めない。  タイトルがいまいちと思ったのですが「バンシー」を「精霊」と訳すのはいかがなものかと。「バンシー」と言っても一般人には伝わらないので変えたと思われるのですが、死に近いおどろおどろしい雰囲気を出すもうちょっといい言葉があったんじゃないか。作中では「死神」と呼ぶ場面があったりはしましたが。  以下盛大なネタバレです。                    ネット上あまり情報が出てなさそうなので、私が気付いたところを書きます。  本作の重要要素の一つは  「フィドル」  と思います。  フィドルというのはバイオリンとだいたい同一のものですが、文化的には全く別物で、有名なたとえ話では「ヴァイオリンは歌う、しかしフィドルは踊る」「フィドルにビールをこぼしてもだれも泣くものはいない」とか言われます。映画タイタニックでは最下層の貧困層がフィドルの演奏の中で祭りのように踊る場面があったりなんかしました  同じものが文化圏によってまったく異なる扱いをされる。それがフィドル。  フィドルはアイリッシュミュージック等の伝統的音楽楽器の一つで、演奏する曲もクラシック音楽ではなくアイリッシュミュージック等の民族音楽。そしてジプシーっぽい人がたびたび聞きに来ていっしょに演奏したりするわけですよ。しかも音楽学校の学生がわざわざ僻地までやってくる時点で、主人公コルムは、相当有名なフィドル弾きの名手であると想像され、そんな大家が後世に残すためオリジナルのフィドルの曲を作曲してるって寸法で。  で、なぜ友人であることをやめたいのか問われた時に1600年代のモーツァルトの名前を上げて有名な音楽は200年残る自分もそういうものを残したいというわけです。  ところがその直後に、パードリックの妹にモーツァルトの活動年代は1700年であり間違っていると指摘される。つまり説明のためにモーツァルトの名前を挙げたが、実はモーツァルトについてそこまで詳しいわけではない、という事実が暴かれる。  これってどういうことかと言うとフィドルって1600年代頃から演奏されてきたと言われるのですが「あなた方西欧音楽文化圏の人にわかりやすくそちらの有名人物で例えると、モーツァルトという人物の曲が200年以上も残り続けてるのと同様に、自分もそんな音楽を残したい」という意図だったと考えられるわけです。  ここで愕然とするのは、モーツァルトと言われればどんな人物でどんな曲を残したか音楽に詳しくな人でもある程度出てくるのに対して、逆に我々がフィドルの名演奏家/名作曲家を知ってるか、と聞かれしても誰一人思い浮かばない点です(日本国内にフィドルの演奏家がいて以前TV上で演奏してました。名前は忘れてしまいましたが)。  しかもアイルランドは長年紛争し続けていて国が消失する危険があり国が亡くなったら民族音楽などの文化も消滅する可能性があり絵空事でなく数十年後には何もかもがなくなってても全然不思議でない。  そんな中200年以上残るフィドルの名曲を残そう/フィドル名演奏家を育成しようとか志してるわけで。  加えて話の舞台となってる島もすぐ近くでずっと戦い続けてるってことは明日にも巻き込まれて戦場になる危険があってお互い所属する民族の違いによって引き裂かれる可能性が濃厚で、それらも考慮した上で別れようと提案してるようにも見えるんですよね。  とかなんとか思ったりしました。[映画館(字幕)] 7点(2023-02-01 10:32:13)《改行有》

60.  すずめの戸締まり 《ネタバレ》  震災テーマの希望ある決着は非常に良かったです。良い。  伝奇ものっぽいおどろおどろしい感じも、こんなのも描けたんだーと、今後こっち方面で特化した作品を作られたら楽しそう! と思ったりなんかしました。  しかしいろいろ気になる点が多々あり、列挙しておきます。 -- ・主人公の成長物語として見ると物足りなかった  男性主人公だと、  自分のことは自分で助けるしかないと覚悟を決める  →力を得る  →自分の力によって助かる他者がいることを知る  →公的使命感に目覚める  とかいう展開になるのが女性主人公だと、  そもそも自分を救うのは自分と思ってない(力がなくて、得ようと思っても得られないとあきらめている)  →力を得る  →自分で自分のことを助けられるんだ  という感じで、男性主人公の成長物語のスタート地点に立っただけなんですけどと思ってしまって、重要ではあるけど、なんかな(主人公たちがヒロイックな力を持ってるので余計に)という感想。ゴールがそれならもっと地味な設定にした方が良くなかろうか。 -- ・今までの作品とは変わって恋愛をメインのテーマにしないのはわかるんだけど、突然「好きな人のために!」とか言いだして、中途半端で、それっぽい伏線とかエピソードも足しちゃってるので、どっちがやりたいのかよくわからんみたいな -- ・草太が「死にたくない」とか言いだすのが全く解せない  そもそも自分の家系でやってる戸締りの使命のために自分の人生の何割かが消費されても構わないと受け入れて全国行脚までする覚悟が決まってるキャラが、そんなん言うか? と思ってしまい。(いきなり受け入れがたいのはわかるけどそのうち納得するキャラにしか見えない)  なんか、主人公が助ける目的成立のために無理やりそういう言動やら性格に捻じ曲げられてるようにしか見えなくて、新海誠作品て、自分の考えたかんどうてきなはなし成立のために登場人物や、場合によっては視聴者の感情移入する感情まで捻じ曲げようとしてくるところが、しばしば気持ち悪くなってくるのですが(失礼)。 -- ・昭和の懐かしいメロディ連打がなんだかなあ  前までのRADWINPS全開が好きだったので、賛否両論あるけど慣れもあるだろうし、期待してたのですが、なくて拍子抜けでした。  「懐かしがる人はこういうのが聞きたいんだろう?」的あざとさも鼻についてしまい。 -- ・ダイジンがかわいそう  社会正義のために特定個人を犠牲にすることはやめよう、というのが最近の方向性と思ってたのですが、非人間存在を犠牲に肩代わりにするってやってることが偽善で本質的に変わってなくて、非常に昔ながらの偽善的解決になってて、そうじゃない誰も犠牲にならない地平を期待してたのだがなあ。[映画館(邦画)] 7点(2022-12-14 13:41:47)《改行有》

010.98%
100.00%
200.00%
300.00%
410.98%
521.96%
61514.71%
73231.37%
83332.35%
9109.80%
1087.84%

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS