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プロフィール
コメント数 3267
性別 男性
自己紹介 監督別鑑賞作品数

成瀨巳喜男 69
溝口健二 34
川島雄三 41
小津安二郎 37
石井輝男 24
豊田四郎 19
石井岳龍 18
矢崎仁司 12
西川美和 8
山下敦弘 15
今泉力哉 21
フェデリコ・フェリーニ 24
ミケランジェロ・アントニオーニ 14
ピエル・パオロ・パゾリーニ 16
ルキノ・ヴィスコンティ 17
ジャン=リュック・ゴダール 36
フランソワ・トリュフォー 24
ルイ・マル 17
ジャン・ルノワール 15
ジャック・ベッケル 13
ジャン=ピエール・メルヴィル 11
ロベール・ブレッソン 12
イングマール・ベルイマン 27
アルフレッド・ヒッチコック 53
ジム・ジャームッシュ 15
ホウ・シャオシェン 19
ウォン・カーウァイ 14
ジャ・ジャンクー 9

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601.  化石 《ネタバレ》 死生観を綴った作品であり、真っ向から「生」と「死」というものに取り組んだ内容の作品である。 自分がガンだと知った辺りから、「これは単に暗いだけの作品か?」と思ったが、ガンの手術に成功し、次は「なんだ、単なるハッピーエンドの作品か!」と思った矢先に、今度は「ガンの手術に成功したのに会社を辞めて浮かぬ顔」・・・という、死の病に対峙した人間が持つ複雑な心境の変化を細やかに描いており、なかなかの力作となっている。 主人公を演じた建設会社のオーナー社長役の佐分利信は、終始画面に出ずっぱりで、しかも3時間を超える長尺作品ということもあり、晩年の佐分利信をこれでもか!とばかりに堪能できる仕上がりとなっている。 1975年の作品なのに、杉村春子が出てきた時には感動すらおぼえた。 『午後の遺言状』の時は、ずっとサングラスをかけたままの演技だったし。 70年代以前の杉村春子を沢山観てきただけに、1975年の作品で、往年の杉村春子らしさが出た彼女をスクリーンで観られたのは、懐かしさをも感じることができた。 その他、若さと美しさの残る小川真由美や栗原小巻、渋み全開の宇野重吉や宮口精二などが脇を固めていて、キャスティング的にも満足。 そして何と言っても、神山繁! 最近の白髪でハゲた外見の神山繁しか知らない私にとって、黒髪をなびかせた四十過ぎの神山繁は、最大のインパクト、というか、正直笑いそうになった(失敬)。 内容に話を戻すと、3時間以上の間、ずっと「生」と「死」について、佐分利信が悩み、それを加藤剛がナレーションするという、極めて重い内容ではあるのだが、観終えた後は、自分自身も「これからどう生きていくべきか」、「死に臨んで何をすべきか」みたいなことを、映画館を出た後も考えさせられたりして、余韻を残す作品であった。 決して観ていて楽しい気分になれる作品ではないので、娯楽作品にしか興味のない人には、まったくオススメできない日本映画である。 一方で、映画によって深く感銘を受けたり、映画が自分の人生観に影響を与え、それにより色々考えてみる機会を得たいと思っている人には、是非オススメしたい重厚な日本映画である。[映画館(邦画)] 7点(2010-03-13 20:14:11)《改行有》

602.  シチズン・ドッグ 大好きなジャンルの「タイ恋愛映画」。 映像センスと、タイ・バンコクの街を映した映像は抜群に良い。 ヒロインもスレンダーで、腕がすべすべしていて美しい。 これだけで十分なのに、余計なCG効果やコメディ要素が多すぎた。 趣向を凝らしていて、苦労して創り込んでいるのは分かるが、むしろその苦労を、映像や主軸となるロマンス劇の方に更に注ぎ込んでくれたら、タイ映画ならではの完璧なる美しいラブストーリーに仕上がったに違いない。 そう思うと非常に残念ではあるが、タイ映画って、こういうコメディ要素を所々に挿入したりするパターンが多いので、仕方ないかとは思う。 いわゆる映画文化の違いとして、これはこれで楽しく受けれいれるだけの度量が、私に足りなかっただけかもしれない。 ただ、映像センスは抜群に良いので、「珠玉のアジア映画」というフレコミは、十分にクリアーしている。 もう少しクールで、バンコクの街の特徴を活かした様な、美しくストレートなタイ恋愛映画をいつの日か観てみたいものだ。 そんなタイ映画を探すべく、今後もタイ映画をはじめとした、貴重なアジア映画をどんどん観ていきたい。[DVD(字幕)] 7点(2010-03-09 23:50:39)《改行有》

603.  初恋(1997) 《ネタバレ》 ウォン・カーウァイ製作、クリストファー・ドイル撮影、金城武出演という、まさに鉄板の組み合わせで、監督の腕次第では、『恋する惑星』『天使の涙』に匹敵する作品が出来上がる要素は十分だったのだが・・・ 俳優出身のエリック・コットが、カーウァイから打診を受けて2年かけて作ったという不要なエピソードがあまりにしつこすぎて、作品全体の雰囲気を台無しにしている。 金城武とリー・ウェイウェイ共演のパート、「夢遊病の少女と精神病の清掃員」の話が素晴らしいできだっただけに余計に残念! 不夜城の香港を舞台にしていて、香港の夜の雰囲気が十分に表現された傑作だった。 リー・ウェイウェイは脚が綺麗で、しかもそのサービスショットも多く、見とれてしまった。 金城武は、相変わらず香港の夜を彷徨う男が良く似合う。 一方、もう一つのパートである「10年前に結婚が嫌で逃げた男と、逃げられた女の再会と復讐」を描いたパートはいまいちの出来。 ドイルの幻想的な映像とこのような現実的すぎる話は合っていない。 ラストは監督が出てきて、この作品を作り終えた感想を涙顔で語って終わるのだが、これがちっともよろしくない。 大体、おっさんの涙なんてラストに観たくない! これじゃあ、「天使の涙」じゃなくて「おっさんの涙」だよ! [ビデオ(字幕)] 7点(2010-02-28 19:37:42)《改行有》

604.  意志の勝利 (8bitさん、先にコメント失礼いたします) ヒトラー自らレニ監督に依頼し創らせたという、まさに歴史に残るドキュメンタリー映画。 本作の最大の見所は、やはり終幕のヒトラー演説のシーン。 いつもに増してヒトラーが計算ずくのハイテンションとジェスチャーで、民衆を扇動する。 この演説シーンは、まさに圧巻で、自分がその場所にもし居たら、間違いなく洗脳されるだろう、と思わせるだけの凄みがある。 そして、この演説は、何故か聴いていて元気が出る。 仕事の疲れが、何故か取れていく。 つまり、過去の映像であるにも関わらず、ヒトラーという類い稀な人物のエネルギーが、画面を通して自分に伝わってくるのだ。 自分は別にヒトラーが好きではないが、少なくとも、この演説シーンを観ている間は、そう感じた。 民衆を一つの方向へ向けて一致団結させ動かす、その演説のエネルギーたるは、時空を超える凄さであった。 これだけの才能とバイタリティを持つ人間は、おそらく長い歴史をみても少数であろう。 こういった人間は、常人を超えた才能を持つがゆえに、その目標も高く、限られた時間でその高い目標を達成するために過激な手段を選択してしまう。 つまり、ナチスでいう過激な手段とは、独裁であり、戦争であった。 超人的な能力を持つ人間こそが持つ危険性。 そして、その超人的な人間が扇動した時に、衆人が影響を受けてしまう危険性。 更には群集心理。 ナチス・ドイツという世紀の悪玉が生まれ膨張していったその様子を、このドキュメンタリーは鮮烈に捉えており、色々な意味で映画史に残る傑作ドキュメンタリーと言えるのではないだろうか。 [インターネット(字幕)] 7点(2010-02-20 23:51:40)(良:1票) 《改行有》

605.  人間みな兄弟 1960年当時、全国52箇所に存在した“部落”を取り上げた貴重なドキュメンタリー・フィルム。 太くて舗装された住宅街の路地が終り、そこから先は細くて未舗装な道がある。 つまり、それが被差別部落とそれ以外との境界線である。 何たる露骨な差別だろうか。 江戸時代の「士・農・工・商・えた・ひにん」の差別制度に端を発し、高度成長の始まった昭和の時代においてもなお存在した被差別部落。 彼らの住む場所は、およそ人間が住むには適さない一つ以上の条件を満たした場所であったらしい。 こういったナレーションがとても印象に残っており、白黒ドキュメンタリーを観る興奮を高めてくれた。 現代において、被差別部落の話題は、テレビで真っ向から取り上げられる機会はほとんど無い。 それだけに、こういった上映の機会は、貴重極まりないのではなかろうか。 少なくとも、こういった差別が日本人によって日本人に行われていたという事実は、厳然として認めなければならないだろう。 それにしても、当時、被差別部落の人々が、スト妨害などの反社会的な暴力運動にお金によって駆り出されていたことは、悲しむべき事実である。 お金のためとはいえ、そのような反社会的運動に参加してしまった以上、それ以降は更に社会からの風当たりも厳しく、なお一層厳しい環境に追い込まれたことは想像に難くない。 まさに負の循環であり、そこまで計算して被差別部落の人々を使った権力団体は、断罪に値する。[映画館(邦画)] 7点(2010-02-08 19:46:46)《改行有》

606.  水のないプール 《ネタバレ》 『十階のモスキート』『コミック雑誌なんかいらない!』に匹敵する、“ヤバイ”内田裕也の観られる貴重な邦画。 1980年代の邦画ならではのチープさがたまらない。 クロロホルムで眠らせて、連日レイプ。 これが本作の主題だが、それを延々と見せる後半は、むしろマンネリを感じた。 それより良かったのが前半部分。 内田裕也は、しがない駅員で、“カチカチカチ”と鋏を鳴らしながら毎日改札で切符を切る退屈な毎日。 家に帰れば、肥えた醜い嫁さんが待っている。 だけど、その鬱積したものが突如爆発し、暴言を吐いたりして、意外に暴れん坊な内田裕也。 この退廃した日常にやられ、狂気を孕み、危うい雰囲気をプンプンさせる目つきの悪い内田裕也が、コミカルでいてとてもカッコよい。 エロ目的で観るのが本来だろうけど、エロとは直接関係のない、この前半部分に、本作ならではの魅力、そして内田裕也ならではの魅力を感じた。[ビデオ(邦画)] 7点(2010-02-01 00:25:48)《改行有》

607.  一瞬の夢 定職を持たずスリで生計を立て、女性に対しても奥手で、それでいて言動はツッパッている。 コンプレックスを抱え、人生の目標や明確な生き甲斐を見出せていない迷える若者像(外見は若者っぽくないが)が、本作の主人公ウーである。 器用に生きてきた人間には決して共感はできないだろう。 ウーは、長い目で人生をみることができていない。 それでいて、どこかで刺激を求めているし、カラオケバーで出会った女性には、一応恋心みたいなものを持ちはする。 しかし、そんなフラフラした男に、女性は魅力を感じるはずもなく、それは“一瞬の夢”と終り、失恋することになる。 自分の20代の頃の苦しみを思い出すようで、観ていると辛いが、その分、強烈に感情移入できた。 何かが満ち足りていないからこそ、女性にのめりこむが、満ち足りていないプラプラ人間だから、相手にされず、逃げられる。 それで余計にふさぎこむ・・・ このような負のスパイラル、苦悩の青春の日々に立たされているウーを、本作は淡々と冷淡に客観的にカメラに捉えているが、物語の最後も何も救済は行われず、突き放した形で、本作は幕を閉じる。 作品としては救いがないが、アメリカ映画のように短絡的なハッピーエンドやバッドエンドにするよりは、数段マシである。 青春の一時期を切り取ったような作品だから、そんな短時間で結論めいたものは出なくて当然で、むしろその方が自然でリアリティがある。 ところで、カラオケバーのシーンで、室内の照明の影響で画面が赤くなる。 本作の監督ジャ・ジャンクーを、“キタノブルー”の北野武が見出したわけだが、このカラオケバーのシーンは、まさに“ジャジャンクーレッド”とでも命名したい様な映像で、北野武とジャ・ジャンクーという二人の監督の接点を見た気がした。[ビデオ(字幕)] 7点(2010-01-30 22:24:15)《改行有》

608.  美しき冒険旅行 エログロナンセンス満載でありながら、アドベンチャー的要素も併せ持った類い稀なる作品。 後年の『ブリキの太鼓』に類似し、そして匹敵するインパクトを感じた。 とにかく美脚がすごい! すばらしい! そして、虫がわいてるシーンの映像、特に音が気持ち悪い。 これほど気持ち悪い映像を観たのは、ほんと久しぶりだ。 夢に出そうである。 ラスト近くで、○人のアレが見えてしまうのが、ご愛嬌ではなく、狙いとすら感じてしまう程の内容だった。 にしても、これは『美しき冒険旅行』ではなく、『エログロナンセンスな冒険旅行』と改名した方がいいだろう。 カルト的な作品として有名な他の作品たちを、凌駕する程の濃い内容だった。 一度観たら忘れられない作品となった(なってしまった)。 だけどやっぱり、美脚の一言に尽きるかな。 腰のくびれた白ブラウスに、ミニスカート。 あれで冒険旅行とやらは、完全に反則![DVD(字幕)] 7点(2010-01-19 00:50:23)(良:2票) 《改行有》

609.  コンナオトナノオンナノコ 話の内容や、一部ファンタジックな作りには好みが合わないものの、キャスティングをはじめとして、映像的な部分などが、とても“映画”然しているのが良い。 メジャー路線の日本映画が、テレビドラマの延長みたいな作りになっているのに対して、本作のこうした“映画”らしさは、とても貴重である。[DVD(邦画)] 7点(2010-01-16 20:15:30)《改行有》

610.  1900年 《ネタバレ》 歴史の波と階級格差に翻弄されたロバート・デ・ニーロとジェラール・ドパルデューの親友ふたり。 しかし、衝突し合いながらも、老いるまでどつき合う二人を見ていると、心の奥底では繋がっていたのだと感じる。 環境によって、仲がいいはずの親友同士が、こうした諍いを起こすのは、私達の世界にもある話で、ある意味、とても哀しい話ではある。 だが、ラストでそれは美しく飾られ、幕を閉じた。 ベルナルド・ベルトルッチは、こうした歴史大作を作らせると巧い。 『ラストエンペラー』と並ぶ、ベルトルッチの一大叙事詩的作品であり、見応えのある作品だった。[ビデオ(字幕)] 7点(2010-01-14 23:10:46)《改行有》

611.  彼女と彼(1963) 団地に住む平凡な夫婦と、そこに起る何気ない日常を、普通に、だが、不気味に綴った作品。 武満徹の音楽がマッチしているかどうかは微妙なところだが、団地の何の変哲もない風景すら不気味に見えてしまうその音楽の影響力は凄いものがある。 左幸子が珍しく魅力的に見えた。 普通の主婦だが、どこかに団地妻的なエロスを感じた。 その夫を演じた岡田英次は、役所勤めというお堅いサラリーマンを見事に演じていた。 平凡でそれなりに幸せだが、どこか充ち足りない。 そんな団地住まいの中産階級な夫婦を、淡々とモノクロ映像に映しただけの作品なのだが、サスペンス的な風味も相まって、最後まで予想以上に楽しめた。 羽仁進はドキュメンタリー出身の監督だと聞くが、その作風には多分にその影響が見て取れる。 団地には数多くの世帯があり、その中の一家族の生活を、覗き見するような感覚にさえなった。 ラストは不思議な余韻が残った。 何を言わんとしているのか、いまいち理解に苦しむが、それがまた不気味で、いい味を出していたように思う。 左幸子の演技の巧さも再確認できる作品である。[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-01-09 17:53:44)《改行有》

612.  偽れる装い 《ネタバレ》 ようやく観ることのできたジャック・ベッケル監督作品。 DVDを購入してまで観たが、これがやっぱりベッケルらしい作風で、満足することができた。 男女の恋の駆け引き。 時には演技をし、嘘をついたり相手を騙したりしながら、相手の気を引こうとする。 そうこうしているうちに、仲がこじれて、恋はうまくいかず・・・ 相手の気をひくために演技をしているうちに、いつの間にか本気になり、やがて狂気へと走る。 その凄みがラストでは見事に表現されていた。 ベッケル作品の初期とあって、後年の作品群に比べるとベッケルらしい卒のなさはまだ不完全だが、それでも十分にベッケル印を確認できた。 ジャック・ベッケル。 師匠のジャン・ルノワールにも劣らない凄みを感じる監督である。[DVD(字幕)] 7点(2010-01-07 00:20:02)《改行有》

613.  拳銃は俺のパスポート 《ネタバレ》 『ある殺し屋』と並ぶ和製ハードボイルドの傑作として挙げられることの多い本作。 まずは、陰鬱なモノクロ映像が雰囲気を盛り立てる。 冒頭の暗殺シーンは、発砲場所の位置取りから始まって、銃を手際よく組み立てるシーン、そして発砲してからの逃亡にいたるまで、まさにプロの仕事と言えるシーンの連続で、息をのむ緊張感に漲っている。 ただ、後半に進むにつれ、この序盤で見せた緊張感はトーンダウンし、やや都合の良い結末へと収縮していってしまうのが残念である。 それにしても、宍戸錠の膨れた頬は、今みても不自然すぎる。 あの人工形成した頬がなくても、十分渋くてかっこいいと思えるのだが・・・[ビデオ(邦画)] 7点(2010-01-03 17:58:12)《改行有》

614.  蟻の兵隊 主演の奥村氏が、病床の97歳の先輩を訪れるシーンが最も印象に残った。 「私の力不足です、申し訳ありません」と謝罪し、植物人間に近い状態の先輩は、何度となく奇跡のように反応をみせる。 国に捨てられた悔しさはどれほど凄まじいものなのかを垣間見た気がした。 高齢になった今でも、その悔しさを少しでも晴らす為に、老体にムチ打って行動に出る。 そのエネルギーはまさに負のエネルギーとも言えるもので、戦争というものが残した傷跡の深さを痛いほどに体感できた。 侵略され惨殺された中国人はもちろん被害者だが、こうした傷跡が老年になってもいっこうに癒えない元日本兵も、紛れもない戦争被害者であるのだ。 戦争はあらゆる方面で人々に深い傷跡を残した。 どんな世の中になろうとも、戦争だけは起こしてはならない。 平和ボケした現代において、その平和の有り難味を感じることのできる貴重なドキュメンタリーである。 こんな作品を観てしまうと、不景気だのなんだのと、自分の身を憂うことが恥ずかしく思えてくる。 そして、日頃のストレスなんて、ほんの些細なことだと思えてくるのだ。[DVD(邦画)] 7点(2009-12-29 01:45:56)《改行有》

615.  記憶の扉 《ネタバレ》 この手のオチものって、あまり好みではないし、しかも実は死んでいた・・・ってのは、オチとして夢オチに匹敵するやめてもらいたいオチの一つなのだが、それでも、それまでが十分面白いから、何とか許せる。 死人ジェラール・ドパルデューと署長ロマン・ポランスキーとの緊迫感あふれるガチンコの遣り取り。 これだけでサスペンス的な雰囲気を十分に堪能できる。 それにしても本作のジェラール・ドパルデューは、曙太郎に見えて仕方なかった。 ジェラール・ドパルデューって、こんな顔だっけ?! しかも体型がやばすぎ! あの体型だと相当に不健康だと思われるので、これ以降のジェラール・ドパルデューの健康状態が気になって仕方なかった。[ビデオ(字幕)] 7点(2009-12-24 01:15:28)《改行有》

616.  キャバレー日記 日活ロマンポルノという枠組みを超えた快作! 新宿歌舞伎町のキャバレーを舞台に、その悲喜こもごもを描いた作品。 当時のキャバレーって、こんなにも無法地帯だったのだろうか。 そんな興味を抱きつつ、細部に渡ってリアルな描写に興奮し、楽しんだ。 キャバレーって、今でいうキャバクラ的なイメージがあったんだけど、本作で描かれているキャバレーのサービス内容は、キャバクラとお○わりパブと○サロのサービスを全て含み、実に過激。 規制が増えすぎ、歌舞伎町浄化作戦といういらぬお節介的な政策のせいで、歌舞伎町という街が、いかに骨抜きにされ、猥雑さと面白味が無くなってしまったか。 健全な社会といえば聞こえはいいけど、古き悪き時代というものはとっても貴重であり、又、時代という流れの中で、限られた期間にのみ存在したかけがえのない黒い光であったのだ。 そして、高度成長期を頑張り抜いた、サラリーマン達の陰のエネルギー源だったのではないだろうか。 こういう、時代を強く反映した映画を観ると、清く美しい現代の社会は、実に面白味に欠けるものだと感じずにはいられない。 こうして、“東洋一の歓楽街”と謳われた新宿歌舞伎町は死んでいくのだと・・・[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-12-23 03:06:31)《改行有》

617.  女狙撃兵マリュートカ 《ネタバレ》 よくある、捕虜にする側と捕虜となった側との、男女のロマンスを描いた内容だが、性別が逆で、捕虜にする側が女性で捕虜になる側が男性という設定である。 この二人がやがて恋に落ちるであろうことは容易に予想がつくが、その先があった・・・ 組織に忠誠を尽くし、愛する男さえも自らの手で射殺。 “狙撃兵”として、最後まで己のポリシーを貫き通した。 だがそこには虚しさしか残らない。 愛が、この世で一番重いものだと、痛烈に訴えかけるラスト。 男女がお互いを愛し合っていたとしても、文化や思想を異にする場合、男女の仲というものは、一筋縄ではいかない。 お互いを愛し合っていることを、お互いは確かに感じているはずなのに、どうにもならない悲劇的な結末を迎えてしまう。 そういった、愛というもののもどかしさ、難しさを痛切に感じた。[ビデオ(字幕)] 7点(2009-12-23 00:08:59)《改行有》

618.  黒い瞳 監督のニキータ・ミハルコフは相変わらず巧い。 最後の余韻の残し方なんて半端なし。 観た後も、あのオチのことを考えてしまった。 マルチェロ・マストロヤンニが演じたいい加減な男が、ロシア人女性を裏切ったことによって、幸せになれた誠実な男。 これは何とも皮肉。 この事実を、この誠実な男が知ってしまったら、どうなるんだろう・・そう考えてしまった。[ビデオ(字幕)] 7点(2009-12-16 00:07:45)《改行有》

619.  カフーを待ちわびて 新宿のバルト9で、上映開始時刻を勘違いしてロードショーを逃して以来、待ちに待った鑑賞。 まさに『カフーを待ちわびて』を待ちわびてました。 沖縄の今帰仁村で、むさぐるしいヒゲを生やし、髪は長くてボサボサ、仕事もせずにニート状態のうだつの上がらない玉鉄の元に、この上ない美人が突然やってくる・・・ 主演女優のマイコは、スレンダーながら、出るところ、つまりは胸とお尻が出ていて、腰のクビレは十分で、髪の毛もすこぶる綺麗で、服装も色っぽく、肌は透ける様な色白で、文句ナシの美人であります。 こんな女性がいきなり家にやってきたら、うだつが上がっていようといまいと、男なら誰しもが溺れてしまうことでしょう。 舞台が元々綺麗な沖縄なので、その点を考慮すると、もう少し綺麗に撮れなかったかな、と多少の不満は残るものの、それでも沖縄独特の風土と文化、雰囲気などは満喫できるレベルの映像である。 ストーリーは、ほどほどといったところだが、ラストのお約束的な再会シーンは、期待を裏切らず、健やかな気分で観終えることができる。 沖縄やマイコといった良い素材を活かしつつ、無難なストーリーでまとめ上げているので、十分満足できる作品に仕上がっている。 でも、変に裏のあるストーリー設定にするより、玉鉄とマイコの二人だけの時間の流れを、沖縄の自然と文化をふんだんに使いながら、ゆっくりと進行していった方が、万人には好まれずとも、沖縄映画として日本映画史に残る傑作となり得たと思うだけに、残念ではあった。[DVD(邦画)] 7点(2009-12-05 18:28:10)《改行有》

620.  精神 広い意味での精神病(統合失調症を含み、神経症、うつ病、PTSDなどのあらゆる精神疾患)患者の、診察風景や病院内での様子を、「観察」と称して患者の顔にモザイクもかけずに撮りあげたドキュメンタリー。 その赤裸々な内容は、監督自身が主張している通り、「健常者と精神病者との間のカーテンを取り払う」という意味における意義は果たしているかとは思うが、それ以上に、結局は精神病者を特異な素材として扱ってしまい、逆に精神病者に対する偏見をも増幅させてしまったのではないだろうか。 その功罪たるは、十分に話題性があるものの、監督自身の真の意図が何だか曖昧なのではないか?とか、単に好奇心を満たす為だけに撮ったのでは?と疑念がわいてしまった。 実際に、映像の中でも、患者が逆に監督に対して「この映画の意図は何ですか?」と質問もしていた。 監督は、「観察」映画と考え、余計なナレーションや恣意性を排して、ひたすら精神病者という被写体をカメラにおさめたのだろうが、それが当の精神病者にとってプラスになっているとは言い難い気がした。 観ている観客が、精神病者に対して十分な知識を持っている人ばかりなのなら、この撮影スタイルで問題はない。 しかし、「健常者と精神病者との間のカーテンを取り払うのが目的」と明言している以上、精神病について啓蒙する様なナレーションを効果的に入れる必要性があったんじゃなかろうか。 観ている者が、精神病に関して素人だったとしても、偏見を増大させることなく安全にこの作品を観ることができただろうに思う。 「ありのままを映像で見せる」ということは、他の題材に関してなら有効だろうが、殊に“精神病”に関しては、この上なく危険なスタイルであると言わざるを得ない。 しかしながら、医療に従事する私としては、個人的に非常な関心を持って観ることができたし、新たに知ることができた一面もあったので、全くもってマイナスなドキュメンタリーだとは思わない。 マイナスな要素と、色んな意味でのリスクを伴った、その功罪の是非を問うべき問題作であろう。[映画館(邦画)] 7点(2009-11-29 19:10:13)《改行有》

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