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プロフィール
コメント数 1888
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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681.  約束の宇宙(そら) 《ネタバレ》 完璧な宇宙飛行士なんて存在しない、完璧な母親が存在しないように――。子供の頃からの夢を叶え憧れの宇宙飛行士となった、シングルマザーのサラ。物理学者の夫とは離婚してしまったものの関係は良好、7歳になったばかりの娘ステラと満たされた日々を過ごしている。そんなある日、彼女は「プロキシマ」という火星着陸を目指す一大ミッションのクルーへと選抜されるのだった。宇宙飛行士としての最高の栄誉に喜びを隠せないサラ。だが、そのためにはステラと長い間離れて暮らさなければならない。当然、前人未到のそんな挑戦が確実に成功する保証もなく、下手をすればもう二度と娘に会うことが出来なくなるかもしれない。そんな様々な葛藤を抱えながらも過酷な訓練に励むサラだったが……。幼い娘を持つ女性宇宙飛行士が憧れの宇宙を目指して努力を重ねる日々を淡々と描いたヒューマン・ドラマ。そんな男ばかりが幅を利かす職場で、あくまで一人の人間として日々訓練に励む主人公には、ベテラン女優エヴァ・グリーン。最後まで静かに淡々と進むお話なのですが、彼女のナチュラルな演技が素晴らしくなかなか惹き込まれて観ることが出来ました。自らの娘への愛情と宇宙に行く夢という相反する感情に思い悩みながら、それでも黙々と訓練に励む彼女には思わずエールを送りたくなりますね。男社会の無言の圧力に押しつぶされそうになる女性たちというフェミニズムな視点もさりげなくて良い。エンドロールで表示される歴代女性宇宙飛行士たちの写真は、社会的な制約を前にそれでも夢を諦めなかった女性たちへの賛辞が感じられ、心地良い余韻を残してくれます。ただ、最後の展開は賛否が分かれるところ。宇宙へ向かうためにずっと無菌室で過ごしていた彼女が、娘とロケットを見る約束を果たすため施設を抜け出すというのはプロとして失格なのでは?ここまでずっとストイックに頑張って来た彼女の芯がぶれてしまったような感じがして僕はちょっと冷めてしまいました。ここは最後までプロに徹してほしかったし、そんな行動に出てしまった彼女に何らかのペナルティがあっても良かったのでは。と、最後がちょっと残念でしたが、それでも静謐な雰囲気が美しい佳品に仕上がっていたと思います。[DVD(字幕)] 6点(2022-07-01 07:22:09)

682.  ANNA/アナ(2019) 《ネタバレ》 常に死と隣り合わせの危険な任務を颯爽とこなす凄腕女スパイの活躍を、スピード感あふれる展開で見せるエンタメ・アクション。監督は、この手のジャンルを得意とするリュック・ベッソン。まあ面白いっちゃ面白いですけど、良くも悪くも薄味作品でしたね、これ。時間軸を行ったり来たりする脚本も手堅く纏められていて、終始キレのいいアクションシーンも見応えありますし、主役をはじめとする役者陣もみな華があって、最後までそこそこ楽しんで観ることは出来ました。でも……、心に残るものはほぼありません(笑)。そういうもんだと割り切って観るのが正解なんでしょうけど、自分はもう少し内容のある方が好みかも。暇つぶしで観る分には全然オッケーなんですけどね。[DVD(字幕)] 6点(2022-06-24 03:32:42)

683.  DUNE デューン/砂の惑星(2021) 《ネタバレ》 広大な銀河を支配する帝国の片隅にある、砂漠に覆われた小さな惑星デューン。宇宙空間の高速移動に欠かせない香料を唯一算出するこの惑星を巡り、強大な権力を有する皇帝とこの地を新たに統治することになった地方貴族アトレイデス家の間にきな臭い空気が漂い始める。やがて皇帝と結託したこの地を今まで支配していたハルコンネン家の陰謀により、アトレイデス家の当主は暗殺されてしまうのだった――。残された彼の一人息子であるポールは、命からがら母とともにデューンの砂漠地帯へと逃げ延びることに。そしてその地には、砂漠の中に住む強大な砂蟲を神とあがめる誇り高き先住民族たちが暮らしていたのだった……。壮大な世界観を有するSF小説の古典的名作を、独自の手法でこれまでにないSF映画を幾つも手掛けてきたドニ・ヴェルヌ―ヴ監督が実写化したという本作、何かと話題だったので今回鑑賞してみました。いやー、この監督の演出は相変わらずくどい!!重厚で細部まで作り込まれた独自の世界観やスタイリッシュながら重々しいアクション・シーンなどは確かに見応えありましたけれど、ストーリーが余りにも静かに淡々と進んでゆくため自分は途中で何度かうつらうつらとしてしまいました。面白いっちゃ面白いんですけど、退屈っちゃ退屈。ヴェルヌ―ヴのこれまでの作品ってその両者のせめぎ合いの中で、最後まで観ると結果面白さの方が勝つというのがパターンだったんですけど、今回はぎりぎり退屈さの方が勝ったかなという印象。壮大なシリーズの幕開けということで仕方ないのかな。まあ次作に期待ということで。[DVD(字幕)] 6点(2022-03-24 06:32:22)

684.  スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム 《ネタバレ》 誰もが知るスーパーヒーロー、スパイダーマンの大活躍を描いたエンタメ・シリーズ最新作。アベンジャーズに参入してしまった前作から、アンチアベンジャーズの自分としてはもう観る気が全く失せてしまったんですけど、サム・ライミ版からのファンとしての義務感から一応鑑賞してみました。冒頭、アベンジャーズシリーズからの続きみたいな展開にもうげんなり。指パッチンどうのこうのとか知らんし(怒)。純粋にスパイダーマンを楽しみたい自分みたいな人間にとっては、ニック・フューリーとかアイアンマンとのどうのこうのとかもうノイズでしかありませんって!!とはいえ、中盤に明かされる驚きのどんでん返しとかは素直に「おぉ」とはなりましたけどね。大量のドローンが飛び交う中でのバトルシーンなんかもいかにも金がかかってそうで、そこらへんはまぁ楽しめました。それだけに僕は、純粋にスパイダーマンの物語として楽しみたかったです。[DVD(字幕)] 6点(2022-03-10 23:00:53)

685.  ウェイティング・バーバリアンズ 帝国の黄昏 《ネタバレ》 ここは、帝国の端っこに位置する小さな辺境の町。心優しい民政官の元、人々は貧しいながらもずっと平和に暮らしてきた。ここからそう遠くない場所にある未開の地には昔から遊牧民が住み、たまに住民との小競り合いも起きるが、それでもこの静かな生活はずっと続くと信じていた。そんなある日、帝国の中央政府からジョル大佐という名の警察官僚が派遣されてくる。大佐は唐突に、「蛮族が帝国の領土を狙って攻めてくるという噂がある」と民政官に告げるのだった――。その日から、誇り高き遊牧民たちを蛮族と決めつけるジョル大佐の厳しい弾圧の日々が始まる。次々と捕らえられては激しい拷問と容赦ない尋問を受ける遊牧民たち。それまで平和だった辺境の町は、瞬く間に血生臭い空気に支配されることに。単なる一公務員に過ぎない民政官は、帝国の強大な権力を後ろ盾にする大佐に逆らうことも出来ず、なすすべもなく見守ることしか出来なかった。そんな折、彼は捕らえられた遊牧民の中に両親を殺された挙句自らも両足首を折られ、さらには両目を潰された少女を見つける。あまりの不憫さに彼女を引き取ることを決意した民政官だったが……。ノーベル賞作家の著した小説を基に、そんな辺境の小さな町で繰り広げられる憎しみと暴力の連鎖を寓話的に描いたヒューマン・ドラマ。最近スランプ気味のジョニー・デップが冷酷無比な軍幹部を演じ新境地を拓いたということで今回鑑賞してみました。まあ彼の演技がいいかどうかはさておき、これがウィリー・ウォンカやキャプテン・ジャック・スパロウと同一人物とは到底思えないほど、全く違うイメージを作り出しているのは事実。ここはさすがカメレオン俳優と言った感じですね。変なサングラスをずっと掛けてるとこは相変わらずでしたけど(笑)。お話の方は、極端なまでに無駄を削ぎ落した寓話的ないわゆる不条理劇。それまで何も問題なかった平和な町の中で、権力がいかに敵を作り不毛な争いを生み出すかがよく分かる。結局国家が権力を維持するためには、共通の敵を作り出して国民の不満を外へと向けさせるのが一番手っ取り早いということですね。それが絵本のような分かりやすい物語の中に結実しておりました。また、主人公となる民政官も絶対的な正義というわけではなく、彼も人間的な弱さを抱えている小市民というのもなかなか深い。きっとこのようなことは今も世界中で繰り返されているのでしょう。ただ、後半から幾分か腰砕けちゃったのか、物語の結論がかなり尻切れトンボに終わってしまったのが残念でした。もっとこのテーマを深く掘り下げてほしかったところ。殺伐とした世界観や脚本は悪くなかっただけに、何とも惜しい。[DVD(字幕)] 6点(2022-02-24 07:32:32)

686.  モンタナの目撃者 《ネタバレ》 山岳地帯で発生した火事を担当するベテラン消防隊員、ハンナ。だが、彼女は最近発生した山火事の消火活動中、風の方向を見誤り、目の前で幼い少年たちを死なせてしまうのだった。過失はなかったとされたものの、それでもハンナは事件の生々しい記憶に苦しめられていた。忌まわしき出来事から逃れるかのように、森の監視塔で業務に没頭するハンナはある日、森の中を彷徨うある少年を発見する。全身が泥で覆われ服には血の跡が生々しく残り、何かから逃れるようにひたすら森の中へと向かう少年。明らかな異常事態にハンナは持ち場を離れ彼の後を追うのだった――。少年を無事保護したハンナは、とにかく彼から事情を聴いてみる。すると、彼の口から驚きの事実を聞かされるのだった。なんと、公認会計士だった彼の父親は、大物政治家や大企業が絡む大規模な不正を追及していたのがばれ、暗殺者に殺されてしまったというのだ。警察も誰も信用できない。父が託したという不正の事実を記したメモを手にテレビ局へと向かう少年をとてもほっておくことが出来ず、ハンナは独自に彼と行動を共にする。だが、そんな二人を執拗に追う暗殺者は彼らを追い詰めるため山へと火を放つのだった……。人気女優アンジェリーナ・ジョリーがそんなトラウマに苦しむ消防隊員を熱演しているということで今回鑑賞してみました。監督は、社会に潜む闇を背景にした硬派なサスペンスを幾つも手掛けてきたテイラー・シェリダン。孤立無援となった消防隊員と無力な少年、そんな彼らを追い詰める殺し屋たちの冷酷っぷりが凄まじく、ただ顔を見られただけの通行人を無慈悲にも殺すばかりか、なんと捜査の手を遅らせるためだけに山へと火を放つのです。なんという地球環境に優しくない奴ら(笑)。そんな彼らといかにも熱そうな山火事の炎にダブルで追い詰められる主人公たちの逃避行は、常にハラハラドキドキの連続で目が離せません。特に、燃え盛る炎がすぐそこまで迫ってくるシーンは、こちらも思わず汗ばんでしまいそうなほどリアルでした。ただ、惜しいのは脚本に突っ込みどころが多い点。特に目につくのは、主人公を追い詰める殺し屋たちがあまりにも無計画すぎるところでしょう。遠く離れた地に住む標的を順番に殺そうという冒頭のシーンからしてまず不自然。依頼主が予算をケチったからだと言い訳がましく言ってましたが、何とも腑に落ちない。極めつけは、監視塔の上にいる少年たちを確認させるために、人質だけで昇らせるシーン。自分らは地面で見てるだけって、そりゃ逃げられて当然ですわ。と、そこら辺をもう少し考えてほしかった。これまで完成度の高い脚本を幾つも手掛けてきた監督だけに、惜しい。[DVD(字幕)] 6点(2022-02-11 14:30:35)(良:1票)

687.  ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償 《ネタバレ》 1960年代、公民権運動に揺れる激動のアメリカで、過激な黒人解放運動を展開した伝説的な政治結社「ブラックパンサー党」。暗殺されたその創始者マルコム・Xの後を継ぎ、自身も警察に殺害された指導者フレッド・ハンプトンの生涯を、組織に潜入捜査していたスパイの視点から描いた政治ドラマ。実話を基にしているということもあり、この全体を覆う圧倒的な熱量にはやられました。黒人の権利拡大を叫び自らの命を賭してまで活動を続ける党員たちと、政治には無頓着だったもののいつの間にか彼らに共感してゆくFBIの飼い犬潜入捜査員、彼らの鬼気迫るようなやり取りに最後まで釘付けです。特に、カリスマ的な指導者を演じたダニエル・カルーヤの熱演は素晴らしいものでした。聴衆をどんどんと熱狂させるアジテーションは観客さえも惹き込む熱気に帯びたもので、アカデミー賞受賞も納得の貫禄。と、制作者たちのこの事実を多くの人々に知ってもらいたいという情熱は確かに素晴らしいものでしたが、純粋に映画としての評価は正直微妙でした。事実を追うことに拘り過ぎたのか、ストーリーがちょっと分かりづらいところが多いんですよね、これ。しかも説明もあまりされないまま、ハンプトンが捕まったり、急に党本部で警察と激しい銃撃戦が始まったりと展開が急すぎてついていけなくなることもしばしば。潜入捜査物の醍醐味と言ってもいい、いつその正体が彼らにバレるのかというサスペンスももう少し盛り上げてほしかったところ。この驚きの事実を知れたという点で観てよかったとは思うのですが、映画としてはちょっと物足りなさが残る印象でした。それにしてもこの主人公の潜入捜査員が、それから何年も経ってテレビのインタビューを受け、それが放送された日に自ら命を絶ったというのは衝撃的ですね。それほどまでの傷を心に抱え込んでいたんでしょうか。人種差別問題の深い闇を改めて思い知らされました。[DVD(字幕)] 6点(2022-02-11 14:11:49)

688.  グリーンランド -地球最後の2日間- 《ネタバレ》 地球のほぼ真横を通り過ぎる巨大彗星クラークの接近を控え、にわかに天体観測ブームで沸くアメリカ。糖尿病を患う一人息子を抱えた一級建築士のジョンもまたその一人だ。仲の良い友人や親戚たちを集め、そんな史上最大の天体ショーを自宅で楽しもうとした矢先、彼のスマホに謎のメッセージが届けられる。「これは大統領アラートだ。訓練ではない。この連絡がきたのは、地下シェルターへの避難を許された選抜者のみ。繰り返す、これは訓練ではない」――。その直後、州最大の大都市に彗星の破片と思われる巨大隕石が直撃するのだった。遠く離れた地であるジョンの自宅も爆風で激しく揺れ、何が何だか分からぬままパニックへと陥る近所の人々。すぐさまニュースで確認すると、これはアメリカだけではなく、世界各地の大都市も同じように隕石の直撃を受け壊滅してしまったらしい。すぐさま指示された空港へと向かうジョンとその家族。だが、そこでジョンは病気の息子は乗せられないと告げられてしまうのだった……。巨大彗星衝突により滅亡の危機にさらされてしまった世界を舞台に、決死の覚悟で生き延びようともがくある家族の姿を描いたパニック・アクション。主演を務めるのは、男臭い役柄がウリのジェラルド・バトラー。まぁ昔からよくある隕石衝突型のディザスター・ムービーなのですが、映像はそこそこ迫力があってけっこう楽しめました。本作のポイントは、これまで一個だった隕石が小さな破片が幾つも連なった彗星であるところ。おかげで隕石衝突の醍醐味が何度も味わえてお得感倍増。まあそれが予算の都合か、ほとんどテレビニュースの中の小さな場面でしか見られないのはご愛敬ですけどね(笑)。ただ、お話が最後までずっと一本調子だったのがちょっと物足りなかったかな。主人公家族が逃げて離れ離れになって暴徒に襲われてまた逃げて……の繰り返し。もう少し違うエピソードも見たかったような。こういうパニックものって基本群像劇になりがちなんですけど、本作もそうした方が良かったように僕は思いました。とはいえ最後の無数の隕石衝突の映像は迫力あったし、家族愛に絞った脚本もベタですけどそこそこよく出来ていたし、普通に面白かったです。少なくとも最近のローランド・エメリッヒ作品なんかよりは楽しめました。[DVD(字幕)] 6点(2022-02-07 23:31:27)

689.  ストックホルム・ケース 《ネタバレ》 1970年代、ストックホルムの大手銀行で起きた人質立てこもり事件。銃と爆弾で武装した二人組の犯人は、銀行員の女性二人を人質にすると警察に無理難題を要求する。その様子は全国にテレビ中継され、当時の首相を巻き込んだ一大事件へと発展するのだった――。だが、時間の経過とともに双方のやり取りが膠着状態に陥ると、事件はおかしな展開を見せ始める。なんと本来は人質であったはずの女性行員二人が犯人に協力姿勢を見せ始め、さらには愛情に近い感情を吐露するようになったのだ。果たして彼らの間には何があったのか――。これはのちにストックホルム・シンドロームとして有名になる、そんな実際の事件を基に描かれた犯罪劇。荒くれ者で粗野な言動を繰り返す犯人を演じるのはまさに嵌まり役のイーサン・ホーク、そんな犯人に何故か心惹かれてゆく人質役には実力派女優のノオミ・ラパス。他にも主人公の相棒役でマーク・ストロングらも出ております。とにかく彼らの真に迫った熱演には圧倒されました。何をするかわからない危険な匂いをビンビン感じさせながら時に繊細で優しい一面を見せるイーサン・ホーク、子供のことを第一に考えながらもそんな彼に何故か惹かれてゆく人質ノオミ・ラパス。どちらも熟練の技を感じさせる素晴らしいもの。ただ、肝心のお話に関しては、僕は若干踏み込みが甘いような印象を持ってしまいました。ストックホルム症候群の語源となった、被害者と加害者の間に生じる不可解な連帯感。自分を殺すかもしれない犯人に人質であるこの平凡な女性がどうして協力姿勢を示し、さらには犯人が捕まると涙さえ見せたのか。その過程にいまいち説得力が感じられない。そこにはもっと観る者の魂を深く揺さぶるような真実があったはずなのでは。事実をただ忠実に再現しただけではやはり、上っ面をなぞっただけという批判をまぬかれないではないだろうか。題材や役者陣の熱演は良かっただけに、僕はどうしてもそこのところに物足りないものを感じてしまいました。惜しい。[DVD(字幕)] 6点(2022-01-27 06:01:38)

690.  永い言い訳 《ネタバレ》 突然のバス事故により、同時に妻を失ってしまった二人の男。ベストセラー作家として名の知れた衣笠幸夫は冷めきった夫婦関係から逃れるかのようにずるずると続けていた浮気の真っ最中に、一方のトラック運転手大宮陽一は可愛い盛りの二人の子供たちのために身を粉にして働いていたときに、そのことを知らされるのだった。突然のことに混乱し動揺を隠しきれない彼らは、バス会社が行った遺族説明会の帰りに連絡先を交換する。その後、陽一の子供たちを含めた食事の席で幸夫は彼らがギリギリの生活を余儀なくされていることを知るのだった。仕事に出れば2、3日は家を空けざるを得ない陽一のために、幸夫は何とはなしに子供たちの世話をしてもいいと申し出る。その日から幸男は週二日の約束で彼らの住む団地へと足を運ぶことに。中学受験を控えた思春期真っ盛りのお兄ちゃんとまだまだ甘えたい盛りの小さな妹、幸夫は手探りながらも徐々に子供たちと心を通わせてゆく。それでも大切な人を失ったという事実は彼らの心に重くのしかかってきて……。不幸な事故によって妻を突然失ってしまった対照的な二人の男の交流を静かに見つめたヒューマンドラマ。以前観た、この監督の代表作『ゆれる』がなかなか良かったので今回鑑賞してみました。一見仲の良さそうな二人の兄弟が抱え込んだ心の闇を冷徹に見つめた『ゆれる』と同じく、今回も描かれるのは対照的な二人の男の繊細な心の機微。作家として成功しつつも何処か満たされないものを抱えた主人公と地に足つけて子供たちのために頑張る平凡な男の微妙に擦れ違ってゆく心理描写は非常に丁寧で惹き込ませます。大好きなお母さんを失ってしまった子供たちのとても演技とは思えない自然な振る舞いも素晴らしく、哀しみを抱えながらも気丈に振る舞う彼らの表情には何とも切なくさせられます。ただ、『ゆれる』と比べるとどうしても物語に入り込めない自分が居ました。なんだかこれって世間一般にはびこる、あまりに凡庸な道徳観に縛られすぎていやしませんか。過去よりも未来の方が大事、親にとって子供たちは人生の糧、人は一人では生きていけない……。この作品に通底するそんな道徳の教科書のような価値観に、見れば見るほど僕は心が離れていってしまいました。確かにそれが正しいのかもしれませんが、自分はわざわざそんな凡庸な価値観を映画にまで押し付けられたくはありません。社会を緩やかに支配する、そんな常識という名の牢獄の先にある人間の真実を僕は知りたいと思うのです。『ゆれる』でこの監督との相性はいいかもと思ったのですが、もしかしたらそれはあの作品だけのものだったのかな。もう一本この監督の映画を観て、改めて判断したいと思います。[DVD(邦画)] 6点(2022-01-23 02:43:28)

691.  ミナリ 《ネタバレ》 1980年代のアメリカ南部を舞台に、移民としてこの地にやって来た韓国系アメリカ人とその家族の苦難の日々を淡々と見つめたヒューマン・ドラマ。ほとんどのセリフが韓国語でありながらアカデミー作品賞にノミネートされたということで今回鑑賞してみました。何が起こるわけでもない平凡な日々をただ淡々と描きながら、それでも最後まで見せきるのはこの監督の高度な演出力によるもの。破天荒なお祖母ちゃんや日曜は十字架を背負って町を歩く変わり者の農夫など、なかなか印象的な登場人物がたくさん出てくるのも魅力の一つでしょう。どこまでも夢を追い求める夫と家族の安寧を第一に考える妻の次第に擦れ違ってゆく心理描写も非常に丁寧で惹き込ませます。ただ、自分としてはいまいち嵌まらなかったです、これ。最後まであまりに地味で辛気臭いお話が延々と続き、観終わって僕はちょっとげんなりしちゃいましたわ。「これからも苦難の日々は続いてゆく」というラストも気が滅入るばかりで爽快感なんて欠片もありませんし。一つの作品としてその完成度の高さは認めますけれど、正直自分の好みではありませんでした。[DVD(字幕)] 6点(2022-01-08 02:33:44)

692.  ドリームランド 《ネタバレ》 ここは、荒涼とした大地が何処までも続く未墾の地、テキサス。家族とともに貧しい生活を送る17歳の青年ユージンは、何処にでも居る平凡な男の子だ。今は保安官の義父と暮らしているが、本当の父は彼がまだ幼いころに酒に溺れた挙句、夢を求めてメキシコへと旅立ったきり消息不明のままだった。心配性の母や幼い妹とともにそれでもこの地で生きていた彼は、ある日、町で不穏な噂を耳にする。銀行強盗を繰り返し何人も人を殺したという凶悪な犯罪者が、この町まで逃亡しているかもしれないというのだ。不安を感じながらも家に帰った彼は、納屋で驚きの事態に直面する――。なんと、その逃亡犯の女が、大怪我を負って隠れていたのだ。アリソンと名乗る彼女は、ユージンにどうか誰にも言わず逃亡に手を貸してほしいという。多額の報酬と彼女の魅惑的な笑顔に惹かれたユージンは、そのまま誰にも内緒で彼女を匿うのだった。罪は犯したが人は殺していないというアリソンの言葉を信じ、駄目だと分かりながらも潜伏生活に手を貸すユージン。だが、警察の手が間近に迫ってきたと感じた彼は、彼女とともに父が夢見たメキシコへと向かう決意をするのだが……。1930年代、アメリカ南部の閉塞感漂う田舎町を舞台に、犯罪者の女と大人しい青年との決死の逃避行を描いたクライム・ドラマ。そんな17歳の青年を惑わす犯罪者を演じたのは、いまやすっかり演技派としてのイメージが定着した人気女優マーゴット・ロビー。危険な匂いをぷんぷん漂わせる彼女はまさに嵌まり役としか言いようがなく、彼女に翻弄される純朴な青年との破滅的な恋の行方は終始ハラハラドキドキの連続で最後まで目が離せません。うだるような熱気に包まれたテキサスの空気も相俟って、なかなか緊張感に満ちた犯罪劇に仕上がっていたと思います。ただ、監督がこれが長編デビュー作ということもあってか、意味不明な演出がところどころにあったのが非常に惜しい。例えば冒頭のナレーション。実はこの青年の妹の回想という形で物語が進むのですが、これが非常に分かり辛く、しかも家族構成も説明不足でいったい誰が語り手なのかイマイチ分からない。物語の掴みとしてはマイナスというしかありません。致命的なのは、彼ら二人がホテルのバスルームで初めて関係を持つシーン。アリソンが切々ともう後戻り出来ないことを語るのですが、彼女の姿は画面の外で一切その姿が映らないんです。「あぁきっとマーゴット・ロビーがヌードNGで仕方なくこんな演出にしたんだろうなぁ」と思ってたらその後、普通にヌードの彼女が出てきて、「え、じゃあなんでこんな変な演出にしちゃったの?」と思わず呆然。きっと撮り方次第でものすごく印象的な良いシーンになったであろうに、何とも勿体ない。良い部分もたくさんあったのですが、それと同じくらい残念なところも目立つ作品でありました。ま、この監督の次作に期待ってことで。[DVD(字幕)] 6点(2022-01-05 03:12:46)

693.  パワー・オブ・ザ・ドッグ 《ネタバレ》 1920年代のアメリカ南部を舞台に、牧場主の兄弟とこの家に嫁ぐことになったとある未亡人、そして彼女の息子のそれぞれ複雑に絡み合う思惑を濃密に描いた心理サスペンス。主演を務めるのは、人気俳優ベネディクト・カンバーバッチとベテラン女優キルスティン・ダンスト。監督は、カンヌでパルムドールを受賞した名匠ジェーン・カンピオン。というわけで、観ながら思い出されるのはやはり同監督の名作『ピアノ・レッスン』でしょう。許されぬ愛に身を焦がす男女をこってり濃厚に演じたホリー・ハンター&ハーベイ・カイテルに負けず劣らずの熱演を見せてくれます。特に、ほとんど風呂にも入らず悪臭を放つ荒くれ者でありながら実は繊細な心の持ち主である牧場主を演じたB・ガンバ―バッチは見事でした。愛のない結婚生活から次第に酒に溺れてゆくK・ダンストの切なげな表情もなかなか良かったです。そして、最初は頼りない若者に過ぎなかった彼女の息子が次第に何考えているのか分からない得体のしれない存在へと変貌してゆくのも不気味でいい。ただ、『ピアノ・レッスン』と比べるとどうしても地味な印象を持ってしまったのも事実。何が足りないのかと考えてみると、それはやはり音楽なんじゃないでしょうか。あちらでは世界的なピアノ奏者マイケル・ナイマンの繊細で美しい旋律を持ったピアノ曲が全編に流れていて、非常に気品溢れる芸術作品へと昇華されておりました。対して本作、最後までほとんど音楽が使われず、終盤まで何とも地味な展開で気持ちが離れてしまうこともしばしば。最後に各々の思惑が明らかにされ、人間の底知れぬ怖さが浮き彫りになるというのは良かったのですが、いかんせんそこまでが長すぎます。いろいろと興味深い部分も多かったのですが、それと同じくらい欠点も目につく作品でありました。[インターネット(字幕)] 6点(2021-12-14 02:42:12)

694.  ペンギンが教えてくれたこと 《ネタバレ》 海外旅行中のタイで事故に遭い、下半身不随の障碍を負ってしまった母親とその家族の苦難の日々を実話を元に描いたヒューマン・ドラマ。3人のかわいい盛りの子供たちにも恵まれ順風満帆の人生を送っていたのにいきなり、そんな失意のどん底へと落とされてしまう母親を演じるのはベテラン女優ナオミ・ワッツ。タイトルにペンギンとありますが本作にペンギンは一切出てこず、実際はペンギンと名付けられた小さなカササギが物語の鍵となります。内容は、そんな小さな一羽の鳥がこの壊れかけた家族の絆を再生してゆくという、まあ率直に言ってベタなもの。物語の前半、不慮の事故により一生車椅子生活を強いられることになってしまったこの母親のあまりにも自己中心的な姿に、僕はちょっと観たのを後悔してしまうくらい腹が立ってしまいました。いやいや確かにしんどいのは分かるけれどもあなたより大変な思いをしている人はごまんといるし、自分を献身的に支えてくれる夫も居るし何より3人のかわいい子供たちも居るのに、何をそんな自分が世界で一番かわいそうみたいな態度取ってんだよ!っていう、ね。そう思わせるほどナオミ・ワッツの演技力が素晴らしいんでしょうけれども。まあ「子供がトイレで吐いてるのに自分はもう駆けつけることも出来ない、母親として私もう終わってる」という言葉には、確かに心動かされるものがありましたけれど。でも、その家族の元へと迷い込んだカササギとの交流を通じてこの主人公が次第に前向きな気持ちを取り戻してゆくというのは、実話ということもあってなかなか惹き込まれて観ることが出来ました。娘を思うあまり主人公に酷い言葉をはいてしまう母親の造形も何ともリアル。そして最後、色んなものを抱えながらもそれでも前を向いて生きてゆこうと決意する家族の姿には、素直にエールを送りたい気持ちにさせますね。ただ、最後にテロップで表示される「この母親はその後、カヤックで世界大会に出場し、障害者サーフィンで2度優勝した」との事実にはビックリ!え、そっちをメインで描くべきやったんじゃないの?(笑)。ここまでベタで行くなら、ペンギンとのエピソードはあくまでサブに抑えて、この失意のどん底にいた主人公がカヤックやサーフィンで世界へと羽ばたくというお話にした方がより面白くなったと思うんですけど……。[インターネット(字幕)] 6点(2021-12-12 02:49:13)

695.  ELI イーライ 《ネタバレ》 彼の名は、イーライ。数年前に発症した極度の免疫疾患により、少しでも外気に接すると瞬く間に皮膚が爛れてしまうという難病に侵された11歳の少年だ。なので、普段の生活は完全に外部と遮断されたテント内のみ、外出する時も完璧に防備された防護服を着なければならなかった。悲嘆に暮れた彼の両親は、様々な専門家を当たってみるものの有効な治療法を見出せぬまま時間だけが過ぎていった。そんな中、両親はこれこそ本物かもしれないと思しき専門医に行き当たる――。アメリカ郊外にひっそりと佇むその医師の治療施設は、外部との接触を一切絶った一軒の洋館だった。しかもそこは最新鋭の設備によって外気から完全に隔離され、この中であればイーライも普通の少年のように自由に生活することが出来るという。久しぶりの普通の生活に嬉しくなったイーライは、治療に専念するため、その洋館に両親とともに泊まり込むことに。だが、一日二日と過ぎてゆくごとに、彼はこの洋館に言い知れぬ違和感を感じ始める。何処からか自分を見つめる視線、いつに間にか壁に書かれていた謎のメッセージ、そして屋敷の外をうろつく怪しげな少女……。果たしてこの施設に隠された秘密とは?という極めてオーソドックスな設定のゴシック・ホラーなのですが、本作のミソは主人公の少年が外部との接触が一切無理という難病に侵されているという点。おかげでこの洋館から逃げ出せないという密室設定を無理なく作り出せている。そこで次々と巻き起こる怪異現象もまぁかなりベタではありましたけれど、それなりに怖くて一定の水準には達していたと思います。知らない洋館で夜を過ごすというのはやはり本能的な怖さを搔き立てるものがありますね。そこで繰り広げられる主人公の治療も禍々しくて大変グッド。特に、イーライの頭に電動ドリルを突っ込むシーンは思わず目を逸らせちゃいましたわ。このシーンを含め、何だか全体的に楳図かずおテイストを感じたのは自分だけでしょうか。そして、最後に明かされる驚愕の真相にもまんまと騙されてしまいました。なるほど、このどんでん返しは予想できませんでしたわ。監督はこの善悪の逆転劇を見せたかったのですね。とは言え、100%納得できたかというと全くそんなことはありませんでしたけど。納得度で言えば正直、25%くらいですかね。残りの75%は「んなアホなぁ」でした(笑)。と、オチがちょっと(かなり?)残念な作品でしたけれど、正統派ゴシック・ホラーとしてはぼちぼち楽しめると思います。[インターネット(字幕)] 6点(2021-11-29 06:01:17)(良:1票)

696.  ムクドリ 《ネタバレ》 生まれたばかりの赤ん坊を亡くしてしまった中年女性、リリー。以来、精神の不調から入退院を繰り返す夫を支えながら、近所のスーパーでパートとして働いていた彼女だったが、それでもふとした瞬間にどうしようもない悲しみに襲われるのだった。なんとか気分を変えようとリリーはある日、自宅の庭をガーデニングすることを思いつく。倉庫からスコップや鍬を取りだし、麦わら帽をかぶってこれから素敵なお庭を完成させようとした矢先、思いもよらぬ敵が彼女の前に立ち塞がるのだった。それは、一匹の小さなムクドリ――。庭で何かしようとするたびに自分のことを執拗に攻撃してくるそんな小さな闖入者に、いいように振り回されるリリー。ホームセンターでフクロウの置物や害獣用の駆除剤を手に入れ、なんとか撃退しようと目論むリリーだったが、どうにもうまくいかない。そんな折、病院に入院していた夫の病状が悪化しているとの連絡が……。大切なものを亡くし失意の中に生きていた中年女性が、小さなムクドリとの攻防を通じて自らの過去と向き合う姿を描いたヒューマン・ドラマ。主演を務めるのは、何処にでもいるような平凡なおばちゃんを演じさせたら右に出るもののいないメリッサ・マッカーシー。彼女のナチュラルな演技は抜群の安定感で、そんなどうしようもない悲しみに暮れるパート主婦をリアルに演じております。基本暗くなりがちな内容なのに、最後までそこまで重苦しくならないのは彼女の持ち前の明るさによるところが大きい。アメリカ郊外のノスタルジックな映像とほのぼのとした音楽も観ていて心地よく、この悲しい物語をいい感じに中和している。なので最後まで気持ちよく観ることが出来ました。ただ、彼女と裏庭に棲み着いたムクドリとの肝心の攻防が物語としてイマイチ巧く効いていないのが僕的には物足りなくも感じちゃいました。もっとスラップスティックなドタバタに振り切るか、あくまでリアルに徹するか、どちらかにしてほしかったですね。そうすれば、後半に明かされるムクドリの習性ももっと活きてきたと思うのに。この監督の前作『ドリーム』でも感じた、暗く重い物語をあくまで明るいエンターテインメントでという作風は嫌いじゃないだけに何とも惜しい。[インターネット(字幕)] 6点(2021-11-27 05:31:07)

697.  21ブリッジ 《ネタバレ》 ある夜、マンハッタン島で凶悪な強盗事件が発生。密売組織が隠していた大量のコカインを二人組の男が強奪しようとしたのだ。連絡を受けた警察がすぐに駆け付けたものの、自動小銃で武装した犯人と激しい銃撃戦となり、瞬く間に8人もの警察官が犠牲となるのだった――。捜査に乗り出したのは、正義感の強さからこれまで何人もの犯人を射殺して当局から目をつけられているデイビス刑事。明らかにプロの仕業だと判断した彼は、すぐさま前代未聞の処置を講ずるのだった。なんと夜明けまでの5時間、マンハッタン島を全面封鎖しようというのだ。島と外部を繋ぐ21の橋全てに検問所を設け、蟻一匹逃げ出せないような厳戒態勢を敷くデイビス刑事。執拗に犯人の行方を追う彼だったが、事件を予想だにしない展開を見せ始める。果たして事件の真相とは?急逝した実力派俳優チャドウィック・ボーズマンが制作・主演を務めたという本作を今回鑑賞してみました。たった一晩の出来事をほぼリアルタイムで追うことで、なかなか緊迫感に満ちた作品に仕上がっていたと思います。正義感に燃える熱血刑事と常に冷静沈着な女性麻薬捜査官というコンビも対照的で大変グッド。彼らともはや後がない犯人たちとの息詰まるような攻防は、多少ベタではあるけれどなかなか見応えありました。と、全体的には普通に良かったと思うのですが、僕としては何だか物足りないものを感じたのも事実。面白いっちゃ面白いんですけど、全てがあまりにも優等生的でこちらの想定したものを一切越えてこないんですよね、これ。事件の真相も途中で「あぁ、きっとこういうことで、この人がたぶん事件の黒幕なんだろうなぁ。でも、それだとベタすぎひん?」と思ったら、まさかのそのまんまでちょっと肩透かし。もう少しこの作品ならではと言った一捻りが欲しかったところですね。とはいえ、肩の凝らないサスペンス・アクションとしてはぼちぼち楽しめると思います。[インターネット(字幕)] 6点(2021-11-16 02:34:19)

698.  私というパズル 《ネタバレ》 赤ん坊を自宅出産した女性が、助産師のミスからか、産まれたばかりのその子供を死なせてしまい、以来激しい喪失感と罪悪感に苛まれる日々を淡々と見つめたヒューマン・ドラマ。見どころとなるのは、やはりなんといっても冒頭30分にも及ぶワンカットで撮られたリアルな出産シーンでしょう。不安や痛みがダイレクトに伝わってきて、まるで自分もその場で立ち会っているかのような緊張感が感じられました。このシーンは率直に見事というしかない。ただ、それ以降、映画はずっとこの子供を亡くした夫婦の苦悩の日々をひたすら淡々と描いてゆきます。アカデミー賞にノミネートされただけあって、主役を演じたヴァネッサ・カービーの熱演も真に迫っております。ただ、とにかく暗い!!正直自分はこういう後ろ向きな人々の激しい口論がひたすら続くような内容がかなり苦手です。いや、彼女たちの気持ちは分かるんですけどもう少し明るい内容というか、もっと希望を持てるような展開がないとちょっときついですね。もう気が滅入って仕方ありませんでした。病んだ妻に嫌気がさして浮気しちゃう夫も、余計なお世話を焼いてますます事態を拗らせちゃう身内も、誰も彼も全く好きになれませんし。きっと完成度は高いんでしょうけれど、自分はこういう内容は好きじゃないです。すんません。[インターネット(字幕)] 6点(2021-11-08 07:01:04)

699.  時の面影 《ネタバレ》 第二次大戦前夜、イギリスの歴史を揺るがすような世紀の大発見をなしたとあるアマチュア考古学者と地主の未亡人との交流を実話を元に描いたヒューマン・ドラマ。ベテラン俳優レイフ・ファインズとキャリー・マリガンが豪華共演ということで今回鑑賞。丁寧な演出と確かな時代考証、そして全体に漂う気品に満ちた美しい雰囲気とで終始心地よく観ることが出来ました。主演俳優二人の抑制の効いた静かな熱演も素晴らしく、何より第二次大戦前夜のイギリスを覆っていたであろう不穏な空気を忠実に再現することに成功している。と、作品の世界観はなかなか素晴らしかったのですが、肝心のお話の方には僕はちょっと物足りないものを感じてしまいました。一言で表すなら、「ザ・事実の羅列」。色んなエピソードが並列的に描かれるのですが、軸となるお話が何とも弱い。学会から軽視され続けた異端学者の偉業達成、戦争によって夫を失った未亡人の苦悩、宇宙に憧れる少年の鬱屈した青春の日々、これらのいったいどれをメインに見ればいいのか最後まで分かりません。特に、リリー・ジェイムズ演じる助手研究員の不倫話は明らかに不要。彼女が出てきて二人の男とチュッチュチュッチュするたびに何だか白けた気分になっちゃいましたわ。いや、見たいのはそこじゃないですから。全体に漂うこのノスタルジックな雰囲気や、世紀の大発見の裏に隠された市井の人々の努力を現代に蘇らせたその着想などは大変良かっただけに、惜しい。[インターネット(字幕)] 6点(2021-10-12 00:30:14)

700.  燃ゆる女の肖像 《ネタバレ》 18世紀、フランス。とある地方都市に住む裕福な貴族の元に招かれた、女性画家マリアンヌ。目的は、当家の結婚を控えた娘の肖像画を描くためだった。だが、長らく修道院生活を続けていたという娘のエロイーズは、親の決めた結婚に反発し、肖像画など描いてほしくないらしい。仕方なくマリアンヌは画家という身分を隠し、世話係と嘘をついて彼女を観察し、夜な夜な密かに絵筆をとることに。絵を描くために娘を見つめる画家と、真実を知らず見つめられることを意識してしまう娘――。嘘から始まった二人の危うい関係はやがて一線を越えてしまうのだった……。まだ同性愛者に根強い偏見が残る時代を背景に、女性同士という枠を越えて惹かれ合う貴族の娘と女性画家との秘めた愛を美しい映像で綴ったラブ・ストーリー。カンヌ映画祭で脚本賞を受賞したということで今回鑑賞してみました。確かに映像はとても詩的で繊細で大変良かったとは思うんですよ。紺碧の海に囲まれた雄大な大自然、中世の絵画を髣髴とさせる陰影に富んだ屋内の風景、その中で抗えない運命に翻弄される美しい二人の女性…。全体を通じて印象に残るシーンも多く、美術館で絵画鑑賞しているような気持ちで観ることが出来ました。ただ肝心のお話の方は正直微妙。禁断の愛に燃えるこの二人の女性が、確かに見た目は大変美しいんですけど、内面的な心理描写がかなり浅いので何とも感情移入しづらい。二人が一線を越えて思わずキスしてしまうという物語の肝となるシーンなんてあまりに唐突で、観客としてはちょっと置いてけぼり感が半端ないです。二人の次第に縮まってゆくこの距離感をもっと丁寧に描いてもらわないと。あと、お話の語り方というか編集の仕方が荒すぎませんか。場面が変わったら急に村人の祭りになっていて、自分は「いったいこれは何なんだ」と戸惑うしかありませんでした。物語の重要な鍵となる、オルフェの本の朗読もあまりに唐突に差し挟んでくるものだから非常に不自然で、伏線としても巧く効いていない。これで脚本賞など、カンヌも落ちたものだと思っちゃいましたわ。ただ前述したとおり、映像自体は非常に美しく気品に満ちたもので、長年抑圧されてきた性的マイノリティの悲痛な思いを汲み取ることには成功している。特に最後の振り返らずただ涙をこらえているエロイーズの表情には心動かされるものがありました。その点に於いては評価しましょう。6点。[DVD(字幕)] 6点(2021-09-14 03:36:53)

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