みんなのシネマレビュー |
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861. ショーン・オブ・ザ・デッド 《ネタバレ》 ゾンビ映画は大好き。この作品も良かったです。 特に、前半から中盤にかけてが良い。 ゾンビ映画の常識を、ちょっとだけスカす、おとぼけ演出の数々。 カフェの外でキスし合っていた男女が、カフェから出ると片方がゾンビ化していたり、ショーンは予兆には敏感なくせに、実際のゾンビには鈍感だったり。このノリってドリフのコントといっしょですね。 後半、パブに立てこもってからは、シリアス色が強くなりましたかね。その一方で、クイーンの曲に合わせてゾンビをぽこぽこ殴っちゃう演出もあり、ちょっとコメディとホラーのかみ合わせが悪くなったような気がします。 コメディだと思って見ていれば、それは『粗』ではなく『演出』。狙ってやっているのだから、良しと思えるし、気にならない。 でも後半、変に作り手の真面目な気持ちが伝わってきちゃうと、粗が気になり始めて仕方がありません。 『窓際に立つなよ。』『言い争いしている場合か。』『結局リズたちのマンションにいればみんな無事だったじゃねーかよ。』 などなど。まあ、いろいろ言いましたが、走らないゾンビを見られただけでも良しとします。 終盤にかけて、仲間が次々とゾンビの餌食になっていく展開にいたっては、従来のゾンビ映画とまったく同じテイスト。もちろん、ゾンビ好きにとって、それはそれで面白いのですが、前半のオリジナリティあふれる演出から期待されるようなクライマックスでなかったことは確かです。 ですが、オチで少し盛り返しましたね。 ゾンビとの共生をさまざまな形で紹介するメディア。こーゆー不謹慎なブラックユーモアてんこもり作品をイギリスが作っちゃったことに、時代を感じます。[DVD(字幕)] 7点(2017-03-22 01:04:33)(良:2票) 《改行有》 862. クローサー(2002) 《ネタバレ》 途中で主役が入れ替わるのにびっくり。まさかリン(スー・チー)が途中で死んでしまうとは夢にも思わず。 死んだ原因の一つが、妹の軽率な行動と、間接的とはいえコン刑事の執拗な追跡。なので、二人が姉のために手を組むといっても、なんかしっくりきません。 リンとクワン(ヴィッキー・チャオ)の姉妹関係。二人が協力して難局を切り抜ける姿。序盤、そして中盤の見所です。そこが良かったためか、リンが抜けてしまうと、どんなにアクションが凄くても、躍動感にあふれていても、ライバルと手を組んでも、喪失感が邪魔をします。だからノリきれない。 映画としてはテンポが良く、スピード感にあふれ、アクションもキャラクターも水準以上なので、非常に見応えがあると思います。 ただストーリーは浅いわりにわかりにくく、特に警察、黒幕、そのあたりの利害関係やキャラクター同士の相関図は不親切。脚本、設定が上手いとは言えないかもしれません。 恋愛パートは、悲哀を醸し出すのに一役かっているものの、中だるみの原因となってしまっているので、個人的には無くても良い。 総評。映画としては娯楽エッセンス盛り沢山で飽きませんが、ハッピーエンドとは言えないので個人的な好みと合致しませんでした。 あと、字幕でわかりづらいところを確認したくて、一部吹替えで見直しましたが、吹替えのほうがかなり良さそうです。 この作品に関しては、吹替えが断然オススメです。[DVD(字幕)] 7点(2017-03-15 03:07:27)《改行有》 863. ダブル・ビジョン 《ネタバレ》 ミステリー要素の強いホラーであり、サスペンス。 幽霊ものかと思ったけれど、違いますね。幻覚ものは何でもアリになってしまいがちなので好きではありませんが、これは許容範囲。 オチは微妙。今まで一度も出てきていなかった重病の少女が真犯人と言われてもピンと来ません。 それまで面識のなかった少女と主人公刑事。なのに、少女から『先に行ってるわ。ついてきて』と言われて、なぜかいっしょに死んでしまう主人公。まるで意味がわかりません。 そんなオチはともかく、主人公の家族とその過去のエピソードが大分興味をひかれますね。そして家族の行く末。はたしてこの家族はまたもとの仲の良い家族に戻れるのでしょうか。いえいえ、バッドエンドです。心は再び一つになれたのかもしれんけど、死んじゃったら元も子もないじゃん! とゆーわけで、結末には異議アリです。 でもちょっと泣いちゃったんですよね。離婚まで考えていたのに、死別のシーンで号泣する妻。なくした声を発する娘。こんなサスペンスホラーで泣くことになるとは思いませんでしたが、それくらいドラマ性があって面白い。 生々しい殺害描写やバトルロワイアル的要素もあって、娯楽映画としても楽しめます。デヴィッド・モースとのバディもの的なノリも楽しい。 じゃあ良い映画じゃん、って感じもしますが、何でもかんでも取り入れすぎちゃって、バランスを欠いている気もします。若干ごった煮の雰囲気があるわけです。グロイ描写もありますし、人によっては全く受け付けない作品でしょうね。 個人的には好きな作品です。ただ、ラストはハッピーエンドが良かったですね。 [DVD(字幕)] 7点(2017-03-12 15:41:46)《改行有》 864. ギャザリング 《ネタバレ》 周りの人たちから見えているのか見えていないのか。とても曖昧な存在『ギャザリング』=『集まる人たち』。 でもどうやら見えているっぽいし、触れることもできるみたいですね。ただ不死身。 その正体は『キリストの処刑をただ娯楽として傍観してしまったがために、呪いを受けた人たち。』です。 人類の苦悩の瞬間に必ず立ち会わなければいけない運命。 この『ただ見ているだけの人たち』の存在感がなかなかで、肌がざわつくような恐怖感を感じることができます。 設定、雰囲気、なかなか良いですね。ミステリー色も強く好み。 ただどうしてもホラーというにはパンチが弱く、もの足りません。特に、こーゆータイプは、いったんネタが割れてしまうと、最早行く末を見守るだけになってしまいがちです。まあ、それはどのミステリー系ホラーの作品にも言えることですが・・・。 また、ディテールが粗く、アイデア先行の作品には違いないので、そのアイデアが活かしきれていない印象もあります。 とは言え、気にならない程度。やはり、この設定、この雰囲気、そしてクリスティーナ・リッチ、個人的に大好きなので良作です。 最後まで飽きずに見ていられます。[DVD(字幕)] 7点(2017-03-12 02:56:52)(良:1票) 《改行有》 865. 9デイズ 《ネタバレ》 『よくあるバディもの』が好きな人にはたまらない作品。 アンソニー・ホプキンス演じるオークスの落ち着いた雰囲気と、クリス・ロック演じるジェイクのお調子者キャラが上手い具合にかみ合っています。 『犯罪組織』VS『CIA』という単純な対立構造に、『テロリストグループ』という第3勢力を絡ませたことで、ストーリーや演出に幅が出ているのが良い。かといって、ストーリーはいたってわかりやすく、シンプルで面白い。個人的には、犯罪組織ヴァスのグループの裏切り者の手引きによって、テロリストグループとの壮絶な潰しあいになるシークエンスが一番のお気に入りです。 ヴァスのグループのほうが、悪役としては格上のような気がしていたので、最終的にはテロリストグループとの一騎打ちになるというのは意外性があります。 ラストはしっかり事件解決。CIAの面々が替え玉に振り回される一方で、オークスはしっかり本物を追跡。CIAからも消されようとしていたジェイクが、最後に事件を解決。お金もしっかりもらって、里親に恩返しをし、結婚までできて、これ以上ないくらいのハッピーエンドですっきりです。 わかりやすさとテンポの良さ、そしてキャラクターの面白さで、エンターテイメントとしてはなかなか良いのではないでしょうか。[DVD(字幕)] 7点(2017-03-08 12:08:22)(良:1票) 《改行有》 866. g@me.(2003) 《ネタバレ》 読めそうでよめない展開が何気に面白い。 こちらの予想を絶妙な匙加減で裏切ってきます。 例えば、『この娘は実は葛城樹里ではないな。』っていうのは何となく読めても、それ以外の事はよくわからないわけです。 単純そうな謎かけで、いつの間にかいろいろと真相を考えてしまうのは、楽しいものです。 登場人物が意外と少なくて、ごちゃごちゃしていないのも好印象です。 『仕掛けに対してオチが弱い。』 『仲間由紀恵が大根。』 『真相解明のシーンが説明不足でカタルシスに欠ける。』 『恋愛シーンがうざくて、興醒めする。』 などなど、個人的な見解も含め、残念なポイントがいくつかあります。 映画としての完成度はそんなに高くないのかもしれませんね。 そういった点を含めても、やはり中盤以降は面白かったので、鑑賞後の満足度は高いです。[DVD(邦画)] 7点(2017-02-06 02:10:48)(良:1票) 《改行有》 867. レッド・サイレン 《ネタバレ》 序盤はサイコホラー。中盤からはサスペンスアクション。 緊張感があって面白い。 女捜査官に助けを求める娘。『母が家政婦を殺しました。』 これだけで面白そうなのに、娘を助けるもう一人の傭兵あがりの男。偶然娘が逃げ込んだ車が、戦闘のプロの車。随分都合の良い展開ではありますが、そんなことはどうでも良いのです。面白ければ。 アリス、ヒューゴー、スターロ刑事、母親エバ・クリステンセン、それぞれが強い個性をはなっていて良いですね。 母親から逃げながら、同時に死んだと言われている父親に会いに行くという設定も良い。 複雑になりすぎない程度に、複数の要素が絡み合うストーリー展開が楽しい。 アクションの一番の見せ場かもしれないビジネスホテルでの攻防。ここがあまりに暗すぎて何が起きているのか雰囲気しかわからないのがもったいない。その分恐怖感はあります。 冒頭の意味深なプロローグ。警察機構と富豪エバの癒着。スナッフビデオ。 映画に面白い味付けを出来そうな調味料は他にもありましたが、その辺はさらっとスルーされてしまいましたね。 そのぶん、映画がわかりやすくはなっていますが、最後まで見てなんとなく物足りなさも残りましたね。 やや尻すぼみ感のある作品です。[DVD(字幕)] 7点(2017-02-03 13:07:40)《改行有》 868. ボーン・アルティメイタム 《ネタバレ》 シリーズの中で、一番ついていくのが大変でしたね。 疲れた頭にムチうって、頑張ってついていった結果、『え?それで終わり?』っていうのが率直な感想でしょうか・・。 スパイ系アクションとしては見所満載で高水準。常に相手の一歩上をいく、爽快な頭脳戦は健在。 『記者と接触を試みようとする前半。』 『ニッキー・パーソンズ(ジュリア・スタイルズ)と行動を共にする中盤。』 どちらも記者やニッキーを守りながらピンチを脱するという展開が今までにないパターンで面白い。 ジェイソン・ボーンはもう無敵感丸出しなので、『ボーンが守るべき対象を守りきれるのか?』というシチュエーションは、新たな緊張感を生み出すことに成功しているようです。 ただ、今までのシリーズと違い、後半からクライマックスにかけてが今いち盛り上がりません。 『迫りくる危機をどう回避するのか?』の1作目。 『最愛の人を奪った者達への復讐』の2作目。 それに比べると、この3作目の動機はパンチが弱い気がするのです。 正直言うと、3作目ともなると、『ボーンはいったい何者なんだ?』っていうのに、・・・そもそも興味が湧かない・・・。 前菜、メインディッシュは凄い良かったんですけどね!やはり〆のデザートも大事っていうことです。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2017-01-30 04:14:02)(良:1票) 《改行有》 869. ミーン・ガールズ 《ネタバレ》 随分前に見たことがあった。 印象が薄くて見たことを忘れていました。 テンポが軽快。キャラクターに個性があってよい。ストーリーがわかりやすく、気楽に見られます。 その一方で、オチが弱く、パンチに欠けます。 『恋愛』『友情』『心の成長』、すべての面において描かれ方が中途半端です。 『性格の悪い女の子をこらしめるため、同じグループに入って弱みを握りつつ復讐する。』 確かに、『ダイエット食品』と偽って高カロリーのチョコレートバーを食べさせたり、アイデアやプロットは面白いのですが、それを最後まで上手く処理できなかった感じでしょうか。 結局『陰口ノート』の作成者はレジーナなのに、その罪をきせられたケイディ。あれ?最後まで見ても、濡れ衣きせられたままじゃないですか? 謝ってるし。ある意味冤罪事件と変わらない気がするのですが。 肝心な部分は全部ぼかして、なんか雰囲気でまとめられちゃいましたね。 それにケイディは確かにレジーナに対しては『ミーン・ガール』でしたけど、他の人に対しては普通だったと思います。 にも関わらず、何故か気付いたら全校生徒が敵にまわっている。 ・・・うーん、やはり腑に落ちないものが残りますねぇ・・。[DVD(字幕)] 7点(2017-01-22 05:42:03)《改行有》 870. MAY -メイ- 《ネタバレ》 小さい頃から自分だけを見てくれる『スージー』 でも生きている人間のお友達が欲しい。 『勇気を出して、仲良くなれそうなアダム。』 『なぜか向こうから好意を寄せてくれるポリー。』 私にも友達ができるかも。 あれ、なぜ私だけを見てくれないの。私の何が気に入らないの。 やっぱり私だけを見てくれるのは、あなただけよ、『スージー』。 あなただけが本当の親友だと、やっと気付いたわ。 ああ、唯一の親友『スージー』がばらばらになっちゃった。 思い出す母の一言。 『友達ができないなら、創っちゃいなさい。』 アダムの手。ポリーの首。アンブロシアの脚。最高のお友達を創るわ。 簡単にまとめるとこんなお話。 サイコ野郎のサイコ野郎によるサイコ野郎のための物語。 MAY主観でストーリーを構成しているため、観る者はMAYへの共感を多少は覚えるかもしれません。 ですが主観が変わればこれはやはりただのサスペンスホラーであります。 アダムもポリーもメイに対して優しい人間。それに対し、自分の事しか考えていないメイ。 もちろん、彼女には間違いなく発達障害があったのでしょう。だからと言って、理不尽に人の命を奪って良い理由にはならない。 彼女に同情の余地はなく、こんな人間が精神鑑定を理由に罪が軽くなったりしたらたまりません。 不快感と後味の悪さしか残らない作品です。 とは言え、映画としては面白い。 『私を見て』という一つのテーマがぶれることはありません。破滅へのストーリーが、ガラスケースがひび割れる音とともに刻まれていくストーリーテリングは不穏で最高。 衝撃のラストは文句なし。 ただ手が動いちゃうのは、余計ですけどね。[DVD(字幕)] 7点(2017-01-20 15:14:55)《改行有》 871. 呪信 999 《ネタバレ》 ホラー映画の定石を踏んだ手堅い作品。 演出やシーンとシーンのつながりに、拙い部分もありますが、最初からクオリティには期待していないので問題なし。 むしろ、プロットが思ったよりしっかりしていて好感が持てます。 発想は『ファイナルディスティネーション』で、ギミックは『着信アリ』ですね。 怖くはありませんが、その手口やグロ描写はそれなりに見応えがあって面白いですね。 この手の作品の登場人物って、誰も人の話を聞かないし、自分勝手だし、うっとうしいし、勝手に死ねよって思っちゃうので見ていて悲壮感はありません。いや、逆に、その辺の馬鹿さ加減って、アメリカもタイも同じなんだー、と変に感心しちゃいますね。こんなところにもグローバル化の波が。 ただ、『レインボー』なる女の子の正体だけは、最後までよくわかりませんでしたね。 もちろんそんな細かく追求するような作品でないことは確かなんだけど、気になります。 あの女の子が電話の主なのか。 それともただの『99999999』の伝導士なのか。 謎を残したまま、女の子は次の標的の元へ。いいですよ、この悲劇が繰り返されちゃう感じ、嫌いじゃないです。 高校の先生が授業で講義していた『パンドラの箱』の好奇心ばなしが、しっかり伏線として効いていたのはなかなか良い。 人は、『かけちゃだめ』と言われるとかけたくなるもの。 単純明快で、何のひねりもないけれど、そのとーりでございます。[DVD(吹替)] 7点(2017-01-16 04:44:05)《改行有》 872. ネバーランド 《ネタバレ》 『ピーターパン』作成秘話。 『実話』かどうかは知らないのですが、まるで実話のような趣きがありますね。 ジョニー・デップ、良いです。ケイト・ウィンスレット、良いです。 そして何より子供達が良いです。 『ピーター・パン』のモデルのピーターだけでなく、ジョージやマイク、それぞれに個性があるのが良いですね。 ストーリーは抑揚を抑えてあって、派手さは皆無。 ですが、登場人物たちの心の動きが小説のように感じられるので、見ていて飽きることはありません。 そして『ピーターパン公演初日』という見せ所もあり、観客達といっしょにこちらまで気分が高揚します。 『孤児院の子供達用に25席を確保する。』劇の雰囲気を盛り上げるための最後の仕掛けが、まさかの『客席』であり、『子供達の笑い声』というのが素晴らしい。 ただ悲しいかな。歳のせいか、見ていてどうしても心にひっかかる部分があって純粋な気持ちになりきれません。 ジョニデの奥さん。悪い人ではないのに、二人の仲が冷めきっています。そしてその理由は劇中では語られません。だからジョニデの奥さんが可哀想に見えてきちゃいます。その部分ではジョニデの行動に賛成できず、共感もできず、結果感情移入もできません。 夫婦仲は改善されないまま、結局離婚したってことになるのでしょうか。 このエピソードがこの作品に必要だったのかどうかがそもそも疑問。 実話であればもちろん必要なんでしょうね。もしフィクションだと割り切るのであれば、奥さんのことも大事にしつつ、ラスト二人で子供達を引き取るくらいの思い切ったハッピーエンド。そのほうが気持ちが良い。 見終わったあと、心の中になんかほろ苦いものが残っちゃいましたね。[DVD(字幕)] 7点(2017-01-13 15:19:21)《改行有》 873. シンデレラ・ストーリー 《ネタバレ》 現代版シンデレラ。それ以上でもなく、それ以下でもない。 継母たちは性格が悪く、意地も悪い。主人公のサムをいじめまくります。 ライバル同級生も同様。 そして王子様役は中身も外面もイケメン。 友人や父親、仕事先のロンダはさしずめ、姫の願いをかなえる魔法使いといったところでしょうか。 ご都合主義は当たり前。 何故ならこれは映画だから。 ラストはこれでもかっていうくらいの完璧なハッピーエンド。悪者達はこてんぱんにたたきのめされ、主人公たちはこれ以上無いくらいの幸せを手に入れます。 胸がすく思いというのはまさにこのこと。 『シンデレラ』を見たい人には、まさに期待通りのものを見せてくれる、変化球なしのストレート一本勝負。 観た後はきっと幸せな気持ちに浸れることでしょう。 ですが期待以上のものはいっっっっっっさい出てきませんよー。[DVD(字幕)] 7点(2017-01-04 05:57:47)《改行有》 874. フレイルティー/妄執 《ネタバレ》 『うわー、本当に見えていたのかー。』というのが率直な感想。 主観を『父親』にするか、『子供』にするかで、こんなにも映画のテイストって変わるものかと思いましたね。 もし父親主観であれば、『神の啓示を受けたダークヒーローもの』っぽくなったのかもしれません。 その場合、子供に殺されるシーンは悲劇として演出され、その後を継ぐアダムが最終的なダーク・ヒーローに。そして暗黒面に落ちた兄フェントンと最終決戦ですね。 ですが、フェントンを主人公に据え置いたことで、作品は完全なるホラー・サスペンスへ。 そりゃあ父親がいきなり『神』だ『使命』だ『悪魔』だと言い始めて、人を殺し始めたら、ホラー以外の何者でもありません。 よくできてるなー。 視点を変えることで、ジャンルも変わる。大変よくできています。 ただ設定にかなり曖昧ですっきりしない部分がありますね。 例えば、『自分の欲望のために人を殺したことがある』という人たちが悪魔としてリストアップされる。 それはいいのですが、まだ誰も殺していないフェントンまでもリストアップされるってのは、どうなんでしょ。 ラストの『神の手』の犯人は結局誰なのか。どちらがフェントンでアダムなのか。若干混乱した部分がありましたが、どうやらフェントンが『神の手』の犯人。アダムが『殺した』いや、『滅ぼした』のは、悪魔になったフェントンと母親殺しの刑事だけのようですね。 そのあたり、もう少しわかりやすくしてほしいものです。[DVD(字幕)] 7点(2016-12-31 03:53:04)《改行有》 875. ボーン・アイデンティティー 《ネタバレ》 ストーリーはともかくとして、アクションは好き。 『静』から『動』へのシフトが鮮やか。アクションで大事なのはこのメリハリかも。 プロの殺し屋同士の戦いというのは、理屈抜きでワクワクします。少年漫画に慣れ親しんできた者であれば、この作品に心ときめく部分があるはず。 4,000万$(でしたっけ?)かけて作られた人間兵器。その強さの度合いも、比較対象があって初めてわかるというもの。その意味では、ジェイソン・ボーンと戦ったプロの殺し屋たちの強さは合格点と言えるでしょう。また、得意科目に個性が感じられるのも◎ですね。『異種格闘技戦』はこうでなくては。 よって、個人的には、この作品は『ヒーローもの』ではないかと思うわけです。少年漫画で使われても面白そうな題材。こーゆーシチュエーションは、いくつになってもわくわくしちゃいますね。 また、前半から中盤にかけての緊張感は、ミステリー要素が強くてここも◎。この辺りは一級品のサスペンス映画を見ている興奮が味わえます。中盤以降はジェイソン・ボーンの強さがはっきりしちゃって、爽快感は増すのですが、緊張感は半減。要は、『ボーンがこの連中にどう落とし前をつけるのか』ってのが後半最大の見所になるのでしょうが、その点に関しては『賛否』の『否』の意見が多いのもわかる気はします。ただこれは前半の面白さによる期待値の膨れ上がりも要因になっていそうですけどね。確かに大作映画としての深みはそれほどでもないかもしれません。 ですが記憶を亡くした超強い主人公が、機転とずば抜けた戦闘力で次々とピンチを切り抜け、敵を撃破していく。単純だけれども、それだけで映画は十分面白いと感じさせてくれる作品です。 マイナスポイントはやはり恋愛パートかな。個人的にフランカ・ポテンテという女優にあまり魅力を感じません。 だから彼女とのラブシーンも『はあ。』 お金を渡して『逃げろ』って言うシーンも『はあ。』 最後再会できたときだけは、ハッピーエンドで『良かったね。』とは思いましたが、それ以上の感情は湧かず。残念。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-12-25 14:49:43)(良:1票) 《改行有》 876. ユー・ガット・サーブド 《ネタバレ》 明るいダンスバトルムービー。かと思いきや。マフィアあり。運び屋あり。ドラッグあり。少年が撃ち殺されたり、シビアな現実がちらほら。ダンスを楽しむ前に、あらためてアメリカは日本と随分違うなと実感。怖い国です。 それに、少年が撃ち殺されたというのに、『あいつとは仲直りできねえ。』とか、小さいことでまだもめているのにも違和感。そもそも、金を作らなければ自分の命だって危ないのだから、そんなことを言っている場合ではないはずなのに。ここの価値観に自分と大きなズレがあります。 ただ映画としては、起承転結がはっきりしていて、まあまあ面白いです。 もちろん細かいことを言い出せばきりがないくらい、言いたいことはいっぱいあります。 例えば、ラストの大会は、デビッドとエルが仲直りして、死んだセイントのために予選から同じチームでやってほしかった、とかね。せめてラストの声かけは、『デビッドからではなく、そこはエルからでしょーが!』と思ったのは私だけ?しかも『足りてる』って、エル、あんた・・・。男気の無さも、ここまでくるとがっかりなんですけど。 ダンスは凄い。ダンスのことはよくわかりませんが、少なくとも今まで見てきたダンスムービーの中では群を抜いています。この作品と比べてしまうと、他のダンスムービーはもはや問題にすらならないでしょう。 そんな中でも、オープニングと中盤のダンスバトルは特に好きです。ダンスって面白い。技だけではないんですね。ダンスを通して演出されるパフォーマンスの数々。『上着の交換』『スローモーション』『下半身のみ二人羽織』『マネキン』。もう様々。ダンスで表現できないものは無いな。と、感心しきりです。[DVD(字幕)] 7点(2016-12-19 05:36:00)《改行有》 877. ラブ・アクチュアリー 《ネタバレ》 個人的に苦手な『群像劇』ですが、この作品は各エピソードの起承転結がはっきりしていて面白いですね。 1つ1つのエピソードも、変にひねっていなくて、直球勝負のものが多いです。 よって、『新しさ』はほとんどなくて、『あるあるネタ』を楽しむ感じ。どれも使い古されたネタではあるものの、その分ある種のノスタルジーを感じながら見ることができます。 一時期少年誌などでよく連載された、『一話完結タイプの恋愛ショートストーリー』を見ている感覚に近いです。 それぞれのエピソードが、それぞれのクライマックスへ向けて少しずつ進んでいくので、中だるみすることもありません。 王道でいくと、『首相とメイド』、『作家とお手伝いさん』、『花嫁と花婿の親友』、『少年と少女』。 やや変化球なのは、『テスト撮影のモデルの男女』、『病気の弟を持つサラとカール』。 この作品では、『愛』は様々な形を描きます。それは恋人同士に限ったものではありません。往年のロック歌手とそのマネージャーの友情だったり、病気の弟と姉の家族愛だったり、義理の父親と息子の親子愛だったり、その愛の形は多岐にわたります。 だからこそ多くの人の心の琴線に何かがふれ、ここまでの好評価を受けるに至っているのではないでしょうか。 レビューを見ていても、心に残るエピソードは人それぞれというのがよくわかります。 私にとっては、『部下から慕われる上司ハリーとその妻カレン』、『花嫁ジュリエットと、彼女への思いを封印しようとするピーター』、この両エピソードは心にぐっとくるものがありました。 それ以外は、ただ楽しく、微笑ましく、鑑賞しました。どのエピソードも優しさに包まれているので、嫌な感じは一切しません。 大切なのは、劇中でどのエピソードも、どの愛の形も、否定はされていないってことでしょう。 その事実こそがまさに『ラブ・アクチュアリー』なのかもしれません。 ただ、クリスマス映画ということに異論はありませんが、裸が多いので、ファミリー向けとは言いがたいのが辛いところですね。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-12-13 06:08:28)(良:3票) 《改行有》 878. ROCK YOU! ロック・ユー! 《ネタバレ》 『馬上槍試合』なんてあまりなじみのないもので2時間。どーなることかと思いますよね。これがどーして、なかなか面白かったです。 各キャラクターたちの個性、役割もはっきりしていて、仲間が一人、また一人と増えていくのはRPGのよう。個人的には『鍛冶屋のおねーさん』が凄く好き。そしてヒロインの侍女。ヒロインより、この二人のほうが魅力的でした。 アダマーもわかりやすいくらいの『クソ野郎』で、悪役としては最高。 『エドワード王子』、『父親』、『エクター卿』。主人公を見守り、手助けしていく存在が、シンプルなストーリーにドラマ性と深みを添えます。さすがに泣きはしませんが、父親との再会シーンは素直に感動しちゃいますね。 個人的に苦手だったのは『チョーサー』。彼の『選手紹介』が、少々うっとうしい。謙虚を美徳とする日本人気質の肌に合わないだけかもしれませんが。 それから、中盤でやや中だるみを感じてしまったのは残念。特にヒロインとのエピソードが、私にとってどれも退屈で興味がわかなかったのが致命的。『ダンス』もそう。『テントでのやりとり』もそう。まあ、ヒロインが好みのタイプではなかったというのが、一番の原因かもしれませんが。 少々退屈なエピソードがあるものの、総じてよくできたエンターテイメント。全然知らんスポーツに、いつの間にか熱くなっているのは、『サルート・オブ・ジャガー』以来かも。 ささやかな笑い、ささやかな感動、ささやかな爽快感が程よくミックスされて、ちょっとだけ元気になれる作品ですね。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-12-10 11:08:12)(良:3票) 《改行有》 879. ガール・ネクスト・ドア 《ネタバレ》 予想より真面目でしっかりした設定のラブコメ。過激なシチュエーションの割りに、序盤・前半は手堅いつくりです。オーソドックスなラブコメとして、落ち着いて鑑賞できます。コメディがくどくないので、すっきりとしていて見やすいのもポイントが高いですね。 やや下品ではありますが、下品になりすぎないバランス感覚がグッド。出演者たちも、皆個性的で面白いです。 その一方で、プロットがストーリーに活かしきれていたかどうかは、何とも言えないところ。 特に中盤から終盤にかけて。ケリーが登場してからは、やや雰囲気が変わります。ヒロインであるはずのダニエルは次第に『脇』へと押しやられ、主人公のマシューとケリーのやりとりがメインとなっていきます。 『ダニエル』演じる『エリシャ・カスバート』はかなり魅力的。ですので、ケリーが登場してからは、ダニエルが各登場人物の動機付けのためのギミックと化してしまったのが、ちょっともったいない気がします。 でも前半のテンションが好きではあるものの、ずーとあのテンションでいかれると途中で飽きちゃうのも確か。 ケリーのせいでプチサスペンスの色合いが出てきて、次々とピンチに陥る主人公を見ているときは、ハラハラしていましたね。 ただその結果、ケリーに何の罰もないってのは、さすがに不満。 『ドラッグを飲ませる』『盗みを強制する』『殴る』『結果、奨学金のための選考会を台無しにされる』『留学生のための25,000ドルをパクる。』『ラストでダメ押しの恐喝。更に金を要求する。』 これだけやって、なんのお咎めもナシってのは、なんか納得いきません。 フィナーレはそんなケリーも含めて、無理矢理全員をハッピーエンドでしめくくっちゃいましたが、腑に落ちないものが残りました。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-12-05 03:29:44)(良:1票) 《改行有》 880. 殺人の追憶 《ネタバレ》 まいった。なんて後味の悪い映画なんだ。後味の悪さでいったら『ダンサー・イン・ザ・ダーク』『セブン』『息もできない』に匹敵します。 ラストもオチもクライマックスも、すべてにおいて救いがない。 最初少し目を離していたので、未解決事件なんちゃらも知らずに鑑賞。ただの猟奇殺人ものサスペンスと思って見ていたんですね。 『犯人はいったい?』みたいなお気楽な感じで。 で、見ていくうちに、いろんなテイストが混ざってきます。 警察の負の部分がメインなのか。連続強姦殺人事件がメインなのか。なんかよーわからんくなってくるんです。 『どうやら純粋にみんなで力を合わせて犯人を追い詰めていくとか、そういう話ではないらしいぞ』と、わかってくるんですね。 『とび蹴り刑事』は新しく来た課長に粛清されるし。やけを起こすし。足を切断するハメになるし。そのせいで唯一の目撃者は電車にはねられちゃうし。話があっちに行ったり、こっちに行ったり、忙しい。でも、犯人さえつかまれば、全て無事解決だと思ってがまんがまん。 ・・・と思っていたら、結局犯人はわからない。 犯人は、捕まるどころか、見つかりさえしません。もうびっくりドンキーですね。 そしてラストの少女の話。 いやー、恐ろしい。 この映画を何食わぬ顔で犯人が見ていたかもしれないと考えると、もう恐ろしさを通り越して憤りを感じますね。 知的障害者もかわいそうでしたが、何といっても女子学生のエピソードがしんどかったです。 後味の悪い映画ってのは、見ている間はこちらの心を掴んで離さないのだから、タチが悪いっす。[DVD(字幕)] 7点(2016-11-26 04:57:22)(良:1票) 《改行有》
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