みんなのシネマレビュー |
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961. 岳-ガク- 《ネタバレ》 真面目に映画を作ろうとしている意志は感じられました。過去の山での死亡事故を語らせることで主役二人のキャラクターに深みが生まれている。各キャストも概ねいい配役だったと思います。特に小栗旬はハッキリ言ってテンションも含め端から見れば狂人のような純粋無垢な"三歩"を上手く演じていたかと。また何人かの方が仰っている通り、死体をフォールする場面は衝撃的でした。問題は余りに監督の技量が足りていないことでしょうか。正に今のダメな邦画に蔓延している病理の見本市みたいな演出ばかりになってしまっていたと思います。まず映画なのに画面に動きが余りにも乏しいこと。特に会話場面ではキャラクターに全く動きが見られないばかりか、カメラも基本的に固定してピクリとも動かさず、カメラの視点を切り替えるだけ。だから山岳救助隊が通報を受けたシーンなどは事態は緊迫している筈なのに全く画面に切迫感が生まれていない。そしてその画面の動きの無さを誤魔化すために只管気分を盛り上げるために音楽を流しまくる。恐らくですがこの映画からBGMを取り除くと全然盛り上がらない映画になっていると思います。それってつまり音楽に全てを頼っているってことなんですよね。ホントに面白い映画は「ここぞ!」という場面で音楽を効果的に使っています。それからスローモーションをとにかく多用していること。本作では確か五回は同じようなスローモーションの場面があったと思います。明らかに多過ぎ。決定的な場面でスローモーションというのは定番の演出ですが一つの作品で何度もあると流石に食傷気味になってしまう。監督のフィルモグラフィを見ますと今までドラマの監督としてキャリアを積まれている方の様なので、また映画を撮るときがあったら是非映画的な演出を増やしてほしいと思います。流石にテレビ屋的な演出を二時間見続けるのは辛い。[地上波(邦画)] 5点(2012-09-23 23:58:03) 962. 天国の門 《ネタバレ》 一言で感想を述べてしまいますと、疲れた……。普段は長尺な映画であっても集中したら一気に観てしまう性質なのですがこれは三日間位に分けて観てしまいました。その位に物語に起伏が少なく実に観ていて飽きる。皆さんも仰る通り映像は素晴らしいし、ヒロインのエラや彼女を巡る男たちの感情の機微の描き方も実に巧みだ。この辺りは流石は巨匠という気がします。しっかし物語のカタストロフィまでに150分を費やすってのはいくらなんでも長すぎというのが率直な意見です(完全版の場合)。しかもやっと訪れる最後の戦闘で移民たちは凶弾に倒れていきますが彼らの個人個人にはスポットライトが当てられていないのでそれ程に大きな衝撃もありませんでした。同じく終盤に味方サイドがバタバタ死んでいく「プライベート・ライアン」みたく一個人にまで作品内で言及しておけば最後の戦闘も活きてくるのではないかと思ったのですがどーなんでしょう。[DVD(字幕)] 5点(2012-08-25 23:47:31) 963. パリ、テキサス 《ネタバレ》 小津安二郎を嫌でも思わせる俯瞰的なカット、驚異的なロングテイク、主人公の心情描写を極力排しその演出がラストのピープショウでの会話において意味を成すシーンなどは実に良い。既に言い尽くされている通り各シーンの撮影の上手さ、シネマスコープには目を奪われます。物語としても私も主人公と同じく結構嫉妬深い性格なのでかなり感情移入もしてしまいました。ただ一言だけ言わせてもらうと、とにかく"眠かった"という感想になってしまいます。各シーンに役者のアクションが余りないので仕方が無いとはいえ、取りあえずエンターテイメント性を映画に求める人間としてはやや観ていて辛い映画でした。ライ・クーダのギターも激シブなのですがそれ以上に眠気を誘う音楽にしか聴こえない。[DVD(字幕)] 5点(2012-07-21 23:41:27)(良:1票) 964. ダーク・シャドウ(2012) 《ネタバレ》 全編にゴシックな雰囲気とナンセンスなギャグが織り交ぜられており、昔のティム・バートンの様な作品でした。最早お決まりのキャストが演技(というか顔芸に近い)で笑わせてくれ、今回はお色気に力が入っておりエヴァ・グリーンとベラ・ヒースコートはそれぞれ異なるエロさを見せてくれていたので結構楽しめました。ジョニー・デップとエヴァ・グリーンの三次元デストロイセックスは余りの下らなさに正直言って笑っちゃいましたし。ただしこれは脚本の問題だと思いますが、折角200年振りに地上に出たヴァンパイアという幾らでも面白くなりそうな話を完全に殺しちゃってましたね。劇場内でどこに笑いが起きていたかというと矢張りイギリス紳士風に喋る主人公が現代の物や価値観に面食らうシーンだったと思うのですよ。でもこの映画だとそれをそんなに引っ張らない。もっとヴァンパイアカルチャーギャップコメディとかいう中々見れないジャンルの笑いを観たかったなあと思いましたねー。それからどうでも良いことですが、ティム・バートンは最近は毎度毎度自分の嫁に酷い役を演じさせますね。今回なんてジョニデに口でしてあげた挙句に顔だけ出して海に沈められちゃうんだからスゲェ。最早そういう夫婦間のプレイなのか?[映画館(字幕)] 5点(2012-06-03 00:59:25) 965. 宇宙戦争(1953) 1953年という制作年を考えるとこの映画は確かに当時の人々の心を掴んだことは良く分かります。第二次大戦が終結し人類が宇宙に目を向けだした時代、宇宙からの侵略者という話は実在感があったのでしょう。有名なオーソン・ウェルズがラジオで一芝居打ったらパニックが起きたという話もある位ですからね。しかし宇宙開発も大した話題性が無い現在に観るとそんな話あるかよと思ってしまうので、こういう映画は矢張りその時代に観てこそ本当に意味があるのだと感じました。画作りは決して当時の技術から考えても高いとは思えず、特に世界中の戦況や火星人の侵攻の進捗をナレーションで済ましてしまってるのはどうかなーと思いますね。しかし終盤の人類の希望を踏みつける暴徒達の蛮行と最後の瞬間を安らかに迎えようと教会に集まる人たちのシーンは名場面ですね。[DVD(字幕)] 5点(2012-05-03 22:00:34) 966. デス・レース2000年 《ネタバレ》 B級すら遥か彼方に見えるほどのZ級映画。でもこれがなかなか面白い。人を殺したら得点になるというバカげた設定と、無駄に脱ぎまくる女性陣、最後は無理くり社会批判をして終わるあたりのお茶の濁し方が下手くそすぎて笑えます。良い映画だけを愛でる人はこんな映画嫌いなんでしょうが、私は結構好きです。観た後になんにも残んないですけどね。[DVD(字幕)] 5点(2012-03-31 16:39:43) 967. フローラ 《ネタバレ》 植物人間の飢餓感がこちらに真に迫ってくる感じがすさまじい。子どもには見せられない作品ですね。[DVD(字幕)] 5点(2012-03-25 18:02:55) 968. 自然の歴史(組曲) 《ネタバレ》 様々な種類の生物をストップモーションアニメで見せつつ、その合間に食事をする男の口のアップが映される。人間が他者を食しているという事実を認識させたかったのでしょうか。映画館で観ているときは色々考えていたのですが、観終わると特に何だか良く分からなかった。[映画館(字幕)] 5点(2012-03-25 16:37:34) 969. ブラインドネス 《ネタバレ》 最後までジュリアン・ムーア演じる、唯一目が見える主人公の行動原理が理解できなかった作品です。シティ・オブ・ゴッドの時の画面で起こっている事柄はエグいんだけれどもどこか明るい雰囲気のようなものが本作の場合には皆無で、非常に閉塞感のある雰囲気を出していた点は素晴らしかった。[映画館(字幕)] 5点(2012-03-04 22:40:27) 970. スモール・ソルジャーズ 《ネタバレ》 何故だか急に懐かしくなって観直したところ、結構いろんな発見がありました。まずはゴーゴーナイトとコマンドーの二面性です。それぞれがアメリカのアイデンティティである自由と愛国心を体現しており、自由を愛し争いを嫌うゴーゴーナイトを善、ナショナリズムを掲げ好戦的なコマンドーを悪として描いている点に作り手の政治的スタンスが表れている点が面白い。ただ作品として面白いかと言われればハッキリ言って詰まらない場面も多い。ホントにダメだと思った点は、結構中盤から適役のコマンドーがミサイルまがいな物や、爆発物など普通に人間に立ち向かう術を身に付けてしまう所。トイ・ストーリーが同じ動く玩具という話であれだけ面白かったのは、玩具の世界でのミニマルな闘いがコミカルだったからでしょう。玩具同士の闘いが終わった後に、最後の敵としてとんでもない武器を持った玩具が遂に人間をも脅かすという展開になればハラハラしますが、この映画のラストの展開は中盤の展開をスケールアップしただけで発展性が無い。だから次第に人間と玩具のドンパチに飽きてくる。更に言うとエピローグでゴーゴーナイトが生きているのはともかくとして、明らかに諸悪の根源とも言える兵器会社の社長が全てを金で解決して御咎めなしって幾らなんでも酷すぎる。この展開を子どもになんて説明すればいいんだ?[DVD(字幕)] 5点(2012-02-16 23:25:03) 971. スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい 《ネタバレ》 脚本段階でアホな映画にならざるを得ないのは判っていた筈なのに、半端に真面目にやってしまっているのが残念なところ。いっぱいおっぱいが出る点は素晴らしい。なお暗殺者がいっぱいというタイトルだが、暗殺者らしい奴は皆無。どいつもこいつも自己主張が強すぎるわ![DVD(字幕)] 5点(2012-02-12 20:55:41) 972. ヴィレッジ(2004) 《ネタバレ》 オチが実は現代の話だったという点は別に問題ないのですが、なぜネタを割ってから話を蛇足的に続けるかが良く分かりません。オチで驚かせてあとは薬を持って帰るだけにすればいいのに、なんで保護区監視員のケヴィンが薬を取れる取れないをサスペンスとして描こうとするのか。そんなシーンは絶対に必要ないと思うんですけどねー。[映画館(字幕)] 5点(2012-01-08 20:59:22) 973. フライトナイト/恐怖の夜 《ネタバレ》 ヴァンパイア映画やホラー映画としては仕様もない作品なのですが(驚かしてくるタイミングが洩れなく全て読めてしまい全然怖くない)、この映画のターゲットであろうティーン層に受けるようにお色気シーンを無駄に詰め込んでおり、映画館の中も終始楽しい雰囲気でした。なんせ出てくる女性はすべて異なったエロさを備えている程の徹底振り。主人公の彼女は「正統派活発美少女」、母親は「中年ならではの色気があるシングルマザー」、残念ながらグールになっちゃう女の子は「ビッチ系ストリッパー」、ここまでサービスされると製作者が「観客がそれぞれ好きな女の子に萌えてくれ」と気遣いをしてくれている気にさえなりましたよ。何言ってるんだ俺は。とにかく適度にお色気があるB級映画としてはOK![映画館(字幕)] 5点(2012-01-08 18:07:45)(笑:1票) (良:1票) 974. ハプニング 《ネタバレ》 発想は面白いし、数々の自殺の見せ方も見事でした。物語の中心に夫婦の不仲を配置し、物語が進展するごとにその問題も進展し解決していく構造も悪くないと思います。キャスティングも無駄に派手さを求めておらず、この物語の持つ淡々と進行する恐怖に違和感を感じることはありませんでした。特にゾーイ・デシャネルのいい年なのに幼く見える雰囲気作りは見事と言うしかありません。ただ不満点というかそりゃ映画では無理だろと思う点も多々あります。第一に襲い掛かってくる敵が"風"であること。こういうパニック物は敵が明確でなければイマイチ怖くない。端的に言いますと怪物でも自然現象でも「あれに触れると死んでしまう」感がないと画面に緊張感が生まれませんでしょう。しかしこの映画での敵は目に直接見えない風なのです。私にはイマイチ風に直接恐怖を感じなかった点が大きなマイナスポイントでした。[DVD(字幕)] 5点(2012-01-03 23:56:34) 975. インモータルズ/神々の戦い 《ネタバレ》 前情報を全く入れずに観に行ったので、エンドクレジットで監督:ターセム・シンの名が出て驚きました。確かに「ザ・セル」の様な異形の怪物描写や無駄に登場するファラリスの雄牛(巫女が入れられてた拷問具)など彼らしさを感じる部分もありましたが、どうしてもアクションシーン満載のバイオレンス・ムービーには不向きな気がしてしまいます。勿論新しい境地に踏み込もうとした姿勢は良いのですが、個人的には「落下の王国」の様な徹底した映像美に戻ってきてほしい気がします。あとこんな突っ込みはいちいち野暮だとは思うのですが、ヒロインの巫女の姉妹達の人種がバラバラってのは無いでしょ。どんな人種なんだ。先祖返りでもしたのか。ギリシアの神々の外見がそれぞれ異なる人種なのも「タイタンの戦い」「マイティ・ソー」と同じく凄い違和感です。現在のビッグバジェットを掛けた映画では主要登場人物に色々な系統の人種を起用する必要があるから起こることでしょうが、本作の舞台は紀元前1000年前のギリシアです。もう少し違和感を感じさせない程度の配慮が欲しかった。[映画館(字幕)] 5点(2011-12-11 07:33:23) 976. ステロイド合衆国 NO MORE 筋肉ヒステリー。[DVD(字幕)] 5点(2011-11-05 22:22:56) 977. 怪盗グルーの月泥棒 《ネタバレ》 完全に子ども向きにカテゴライズされた作品になっています。もう少しグルー自身のトラウマ、親との軋轢等を丹念に描けば面白くなったかも。折角キャラクターが立っているのに勿体無い様に感じます。あちらこちらを走り回るウンバルンバみたいなキャラクターが可愛い。[DVD(吹替)] 5点(2011-09-24 22:12:27) 978. 北北西に進路を取れ 《ネタバレ》 「陰謀に巻き込まれる主人公」とヒッチコックのお家芸的な映画ですが、イマイチ乗り切れず。一番の理由は上映時間の長さでしょうか。この手のアクションサスペンスで2時間超えはチョットきつかった。100分くらいの小品として纏めているとグッと評価は上がったと思います。[DVD(字幕)] 5点(2011-08-19 07:02:45) 979. ブタがいた教室 《ネタバレ》 脚本に良い点と悪い点が混在していると強く感じました。良い点は子どもの表情や言動が非常に”それ”っぽいこと。食に対して議論する子どもたちのたどたどしいのだけれど、自分の意見を真剣に伝えようとする表情が印象に残ります。そしてキャラクターの立て方も上手い。大して一人ひとりがクローズアップされている訳ではないのに、いつの間にか個々に個性が生まれている。だからこそ生徒たちの食に対する迷いも強く伝わってきました。悪い点はPちゃんを「食べる」か「食べない」か、という二元論に終始していること。広く知られている通り、今の世界では食に対する態度は多岐にわたっています。それも子どもに伝えなければ真の食育とは言えないと思います。それから余談になりますが、音楽の使い方が極めて不愉快。悲しいシーンではノスタルジックなピアノの音楽をひたすら流す。音楽で無理やり感動させようとする演出は大嫌い。[地上波(邦画)] 5点(2011-07-16 16:45:25) 980. ウルヴァリン:X-MEN ZERO なんというか一番苦手なタイプのスピンオフ作品。シリーズで人気のウルヴァリンを取り敢えず主役にして、あとは適当なヴィランをでっちあげ、最後にこれまでのキャラをそれとなく登場させるっていう流れ。柳の下のどじょうをすくおうとしたのがバレバレで、正直詰まらなかったです。問題は色々あるのですが、そもそもウルヴァリンという孤独を背負った男を通して何を観客に伝えたかったのか?それが全く見えてこなかった。単に私の読解力不足なのかも……。[DVD(吹替)] 5点(2011-06-19 12:08:04)
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