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プロフィール
コメント数 2534
性別
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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【製作年 : 2020年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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81.  バズ・ライトイヤー 《ネタバレ》  意外なくらいにSF映画。話のキーになるのがウラシマ効果で、その基本を理解していること前提ってハナシなのでピクサーのお子様向けアニメーションってイメージで見ると結構キツいカンジがあるかもしれないわ。『トップをねらえ!』とか『インターステラー』とかのノリね。って言うか話のベースがどうも『ロスト・イン・スペース』の影響がある気がするのよね。『宇宙家族ロビンソン』じゃなくネトフリのリメイクドラマじゃなくビミョーなデキだった1998年製作の映画版のアレ。なのでこの映画もまたビミョーなカンジがしちゃうのよね・・・  映画は最初から見せ場の連続で、だけどひたすらにドタバタしているので少しは落ち着け、って言いたくなるわ。それに猪突猛進、だけど延々と空回りし続けるバズ・ライトイヤーはそんなに愛着の持てるキャラではないし、途中で仲間となる連中は大変にウザいし(特に役立たずのヒゲ面!)、シンプルな目標に対してどんどんと失敗を繰り返してゆく展開は爽快という訳にはいかないし。ネコ型ロボットのソックスの有能っぷりが救いかしらねぇ。  不時着した惑星についてはもう少し説明が欲しかったかしら。「森と荒地に大きい虫と蔦状の触手、以上。」って状態でそれ以外の情報がまるで無くて。あの星こそが主舞台で、そして歴史を刻んでゆく場所なのに。  バズとアリーシャとのドラマはもっと劇的に盛り上がっていいハズなのにバズの自業自得感のある行動の結果としての時間経過なので落ち着きのない展開も手伝ってどうにも響いてこないのよね。  敵の宇宙船に乗り込むのがクライマックス、っていうのもありがち過ぎるほどにありがちなのだけれど、わざとそういうノリを求めてる感じもするのね。アンディが好きになるB級SF感。でも1995年のアンディ少年がどうしてこの映画を、特にバズを好きになったのか、どこにそういう魅力があったのか、ちょっとピンと来なかったかなぁ。  デザイン関係はSF映画としての意匠が全編に凝らしてあって魅力的だったわ。特にメカニックはカートゥーン的なノリは避けてハードな感じで。でも思い出すのがズゴックだったりVF-19だったりミネルバだったりと日本産アニメの影響が無きにしもあらず。  あと、縦に広いIMAX GTテクノロジーでの鑑賞ではイジーが船外に出るシーンでの宇宙の拡がりが効果的だと思ったわ。  あちこちに『トイ・ストーリー』シリーズに繋がる要素が散りばめてあるのは楽しかったわね。設定的にこちらこそが原点ですっていうカタチなので、この映画のバズやザーグが具体的にどうオモチャのバズやザーグに反映されたのか、みたいなのが描かれていて。  全体的には大味なSF大作ってイメージ。ピクサーは『ソウルフル・ワールド』『私ときどきレッサーパンダ』などここ数作、子供向けの壁を突き抜けてきてるのはいいのだけれど、そうなると今度はライバルいっぱいの世界になるのでその中での勝負となると甘くはないわ。  っていうかバズって「無限の彼方へ!」が決め台詞だけれど実際の映画は全然「無限の彼方へ」って話じゃなかったわねぇ・・・[映画館(吹替)] 6点(2022-07-03 16:26:57)(良:1票) 《改行有》

82.  ハケンアニメ! 《ネタバレ》  2つのアニメ番組の制作に携わる人々の姿を通じて、作品を創造してゆく動機、意志、苦悩、スタッフ間の摩擦、調和、制作にまつわる現実的な障害、問題、組織のあり様を面白く、そして感動的に描いているわ。  創作意欲に突き動かされればそれで作品が成立するワケじゃなくて、1つの作品が世に送り出されるまでにとても多くの人手と手順を踏む事になる、それが生々しい混乱劇となって興味深く見られるの。  個性的な登場人物に揉まれながら成長してゆく新人監督を吉岡里帆さんが好演。最初から最後まで飾り気のない地味なキャラなのだけれど、だからこその存在感があって。  そして彼女が(一方的に?)反目する事になるプロデューサーの柄本佑さんは淡々としながら要所要所でインパクトを与えるおいしい役どころ。個人的にはこちらの『サウンドバック』組を中心に見てたカンジで中村倫也さん&尾野真千子さんの『運命戦線リデルライト』組にはそんなには気持ちが動かなかったかも。  映画は2つのアニメが競いあって放送開始から最終話まで駆け抜ける様を描いているのだけど、その期間の設定ゆえ、ちょっとエピソードが足らない感もありつつ長さを感じさせもして。いきなり全てが進行中な状態から始まって大勢の人達、多くの舞台、多くのセリフが駆け抜けて、それでも監督の自宅やお風呂屋さんのシーンで緩急付けてるつもり、なのでしょうけれどゴチャゴチャした印象とテンポ悪くなってる印象とが混在しちゃってるカンジね。  2つのアニメの映像がかなり挿入される事で更にゴチャついた感が無きにしもあらずなのだけど、でもその2つのアニメはしっかりと設定、デザインされて、よく動いてちゃんと世界が確立している状態は見事だわ。  あと、大事なところがパロディなのはむしろ残念。『ライトスタッフ』や『アルマゲドン』や『モンスターズ・インク』やアレやコレやでお馴染みの横並びスローモーとか、エンドロール後のラストカットとか、この映画オリジナルな映像ではないって印象になっちゃって。  そしてどうしても気になってしまうやりがい搾取感。この映画はアニメ業界の実態を色々と描きつつも現場の闇からは目を逸らしている感じね。熱意にほだされて動く下請のアニメーターたち、だけど下請スタジオの多くのアニメーターがいくら働いても残業手当も受け取れず10万円未満の固定給で生きている現実があって、でもこの映画は現場の上の人達の熱意は描いても、それを支える下の方の人達の問題は語らない、そこが「あくまで娯楽映画として見てください」っていう、本編で描かれていたしがらみを突破してゆく意志に反してるこの映画の皮肉な限界。  今、映画の製作現場でのセクハラやパワハラ、違法な労働体制が白日の下に晒されている中、この映画はひと昔前の作品って感じがしないでもないわ。[映画館(邦画)] 6点(2022-05-26 15:53:05)(良:1票) 《改行有》

83.  トップガン マーヴェリック 《ネタバレ》  実際に役者さんが戦闘機に乗って撮ってる映像の迫力はもの凄いし、CGを多用してるようだけれどそれを全く感じさせない戦闘シーンに進化を感じたわ。  だけどナカミは良くも悪くも『トップガン』そのまんま。懐かしの80年代の世界。うわあ、今の時代にこんなの見せられてるんだぁ、って(ベッドシーンの映像表現なんかスゴいわよ)。  前作から36年が経過して、その時間の流れがしっかと映像に刻まれているわ。前作のキャラクターたちが辿った道、その重さ、残酷さ。だけど脳筋イケイケだった前作から何かが成長、進化するワケもなくそのまま脳筋イケイケな現在が展開してゆくのよね。ブルース・リー師匠の精神そのままに『スター・ウォーズ』のデススター攻略戦みたいな作戦に挑むマッチョたちの物語、過去の遺物なんて言わさない!って根性論の世界。マーヴェリックとグースの息子との不和だって根性論で乗り切ってゆくようなモノだし。ついでに音楽もメインはもちろんおなじみのアレね。  相変わらず悪い敵国だったら攻め入ってOK!って、だけどNATOに敵対する国を叩け!みたいなかなり生臭い状態なワケで。そこら辺、娯楽映画、ファンタジーとして割り切ってね、ってのも前作から変わらないのよね。あれだけのコトをしたらまず間違いなく開戦に至ると思うのだけど、そうならない世界のお話し。こことは違うマルチバースみたいなモン。  映画はトニーに敬意を表しているのかしら、前作のヤな撮り方まで踏襲しちゃってるわ。アゴと頭が切れた大アップ頻出とか逆光いっぱいとか。それでもスーパー35を70mmまでブローアップして粒子ザラザラだった前作に比べたら今回のIMAX版はかなりマシになったわ。  でもね、人殺しの道具な戦闘機をカッコいいと思っちゃうのもまた事実なのよね。戦闘機が飛んでる映像の気持ち良さ、大画面いっぱいの飛行ショットの爽快さは抗えないし、過去の遺物扱いされてもやっぱりF-14カッコいいわぁ、って。兵器に抱くカッコいいって感覚は戦意高揚のためのワナにかかった状態なのかしらねぇ。せめてそのカッコ良さは創作の中だけで完結していて欲しいものだけれど。  相変わらずのトムの俺様映画だけれど、それだけトムの頑張りっぷりもおなじみトム走りも見られるし、大迫力の映像と音響(前作はただやかましいだけだったけど)で迫力たっぷり、とりあえず頭カラッポにして見るのが吉、って映画。現実は全然別のハナシだけどね。[試写会(字幕)] 6点(2022-05-13 20:50:47)(良:2票) 《改行有》

84.  ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス 《ネタバレ》  予習として『ワンダヴィジョン』と『ホワット・イフ...?』と『ロキ』を見とけ、ってなハナシだったので見たのだけどなんだか余計にワケ判んなくなっちゃって。この人誰?この人どこに出てたっけ?この人死んだんだっけ?ってのが続出して更に前の映画を見直さなくちゃダメ?みたいな。『ワンダ』のダーシーがステキって思ったのだけど、それがアタマの中で『ソー』でステキだったダーシーと繋がるのは『ホワット』を見てから、って有り様。まあ『ワンダヴィジョン』は見ておいた方が吉、ってカンジ。ワンダがああなっていった経緯や二人の息子の事なんかが描かれているから。『ホワット・イフ...?』と『ロキ』はマルチバース的なアレって事でそんなには。  っていうか、予告編で思わせてた良いストレンジVS悪いストレンジっていうのを期待してしまうと思いきり肩透かし、それはもうごくごく一部分でしかなくて。むしろこれって『ワンダヴィジョン』の完結編的なカンジね。ストレンジ&未来のミズ・アメリカ(よね?)VSワンダ、って状態でワンダが徹底的にヴィランになっていて、あー、ワンダ、戻れないところまで来ちゃったのねぇ、って。なんか随分と可哀想な扱いになっちゃってない?  ストレンジの映画としては魔法ワールドの神秘!みたいな前作の方が面白かったかしらねぇ。今回は監督のカラーに合わせたってワケじゃないのでしょうけれど・・・いや、合わせてるかしらねぇ、とてもホラー色強いわ。サム・ライミ監督のテンション高めなホラー映像続出、かなりグロよ。特にキツかったのがヒーロー達が次々と惨殺される展開。容赦無し、お子様にトラウマ植え付けそうな感じでディズニーはアレでよくOK出したわね。見てて『X-MEN:フューチャー&パスト』でドン引きしたことを思い出したけどヒーローが惨殺される展開ってホント苦手。そしてそういうのが好きな人たちっていうのが確実に存在してるのよねぇ・・・。あと監督的&音楽的に『オズ はじまりの戦い』感も。ワンダがエヴァノラみたい。  アタシとしてはもっと“ストレンジ自身”が活躍する映画が見たかったわ。ストレンジおじさん、せっかくいいオトコなのに悪かったりゾンビだったり色々ヘン。  それにしてもマルチバースって概念はあまりよろしくないわね(『スパイダーバース』や『ノー・ウェイ・ホーム』は名作だったけれど)。色々なコトが出来ちゃうのでなんでもアリになっちゃって幾らでも広げられちゃう。ぶくぶくと肥大化して受け手は追い切れなくなっちゃうし製作側も制御も出来なくなるんじゃない? 映画だけならともかく「ドラマも見ないと完璧とは言えません、そのためにサブスクに契約して月額料金払いましょう」って、なんか・・・ねぇ?[映画館(字幕)] 6点(2022-05-05 16:35:19)(良:1票) 《改行有》

85.  THE BATMAN-ザ・バットマン- 《ネタバレ》  『セブン』の世界のバットマン、みたいな映画ね。  陰鬱な、雨が降り続く鉛色の街で繰り広げられる犯罪とそれを追う人々の物語。っていうかジャンル的にはホントに刑事アクション、探偵アクションものな雰囲気が強くて(ゴードン警部とのバディものでもあるし)、ヒーローがバキバキ活躍します、って映画ではないのよね。  その雰囲気作りのために多くがリアルでそして地味だわ。ペンギンは普通のおっちゃんだしキャットウーマンはなんか鼻マスク? リドラー(古いおたくはついナゾラーって言っちゃうわね)は安い仮装したヘンタイ、みたいな。バットマンだけはちゃんとしてるけど。  ヒーローものとしての華は徹底的に排除されてるのね。  謎を追ってあっち行きこっち行きあっちに戻って、みたいな展開が芯にあって、その上でブルース・ウェインの過去と現在があって、キャットウーマンの過去と現在があって、リドラーの・・・で、クライマックスのスペクタクルな展開があるので盛り沢山、その分長いわ。『ダークナイト』と一緒で「まだ~?」ってなっちゃった。  『セブン』みたいとは書いたけど演出やカメラはそこまでは到達していないので目を見張るほど、というホドでもないし、バットマンとして説明しておかなくちゃいけない部分はさすがに知ってるワケだしねぇ。今回は自分の知識とどれだけ違いがあるのかしら?っていう興味はあったけれど。  でもパティンソンは良いわ。従来のブルース・ウェインとバットマンの光と影みたいな描き分けは無くなってずーっと影。ずーっと暗いの。むしろブルース・ウェイン状態の方がコミュ障の人間嫌いだもの。バットマン状態では暴力ってカタチで他者とコミュニケーション取ってるもの。  バットマンになる時には目の周りを黒く塗ってる、そのマスクをしてない状態が妙に似合ってて。アタシがアレ真似してもV8を讃えよ!みたいになるわね。  パティンソン、16年半前に生で見た時には(ハリポタの時ね)軽そうなにいちゃんってカンジだったけど、憂いを含んだいいオトコになったわ。  こういうイメージこそが『バットマン』だ!みたいなのがファンの本音なんでしょうけれど、アタシ的にはもう少しヒーローものとしての華が欲しかったかな。あともうちょい短く。[映画館(字幕)] 6点(2022-03-17 16:17:38)(良:1票) 《改行有》

86.  ゴーストバスターズ/アフターライフ 《ネタバレ》  『ゴーストバスターズ』は全部リアルタイムで見てきてるのだけれど、好きなのは黒歴史扱いされてそうな2016年版だけなのよね。1作目は笑えないコメディとちょぼちょぼなスペクタクルって印象しかないわ。  でも今回の映画はとってもワクワクしたし感動したのね。1作目のことを大切にして、1作目への愛に溢れていて。1作目から37年を経た時の重さがリアルに伝わってきて、自分が生きた年月と重なって実感を伴って感慨深くて。  1作目のあのクルマ、あのガジェットの数々、懐かしい日々、還らない人・・・。音楽もエルマー・バーンスタインが創造した世界にきっちりとオマージュを捧げていて。深い深いノスタルジーと感傷の世界へと誘われていったわ。  でもちょっと待った。この映画自体、なんか新しいコトしてる?  出てくるモノは1作目で創造されたモノばっかり。登場人物たちは1作目のガジェットを使うだけだし、敵は1作目のゴーザ、門の神、鍵の神、緑の大食いのアイツとマシュマロマン。1作目のネタばかりで構成されちゃってるのよね。  オリジナルなのはドラマ部分くらいなのだけれど、それも1作目のキャラクターから発展させたものだし、1作目のオマージュばかりに忙しくてこの映画独自の魅力はなんだかとても頼りないモノになっちゃってるのね。せっかく主人公の女の子は魅力的なのに、彼女と彼女をめぐる人々のドラマはスカスカ、お母さんもお兄ちゃんも先生も仲間もあまりちゃんと活躍できてはいなくて、クライマックスの肝心なところはやっぱり大々的ノスタルジー!って状態。  これ、1作目が存在しなければ一切何も成立しない映画なの。せめて次世代へのバトンタッチをきっちりちゃんとしておくべきなのだけどラストシーンもあんなでしょ? 懐かしさに感動した、感傷的になった、でもそれだけでいいのかしら?  映画もアンタも共にトシ取ったし、みんなで一緒に棺桶にGO!みたいな感覚になっちゃったわよ。[映画館(字幕)] 6点(2022-03-17 15:05:52)《改行有》

87.  ウエスト・サイド・ストーリー(2021)  前回の映画はそんなに好きじゃなくて、今回もそんなにだったのだけれども、「そんなに」の感覚そのものは昔とは別だったわ。昔は物語に引っかかったのだけど、何しろ40年以上前に見たっきりだし。で、じゃあ何が今回そんなになのかな?ってしばし考え込んで。  一つには舞台のミュージカルをいっぱい観るようになって(ヅカオタだし)、生の歌と踊りと演技に触れる事で自分なりにミュージカル映画の在り様を考えるようになって。  古のミュージカル映画はアステアやジーン・ケリーのダンスをそれこそコッテリと見せてくれたわ。きっちり全身の動きを捉えて。だけど前回の『ウエスト・サイド物語』も含めて、以後ミュージカル映画ってカット割り過ぎになった感じがするのね。MTV時代を経て尚更細切れになって。テンポ良く繋ぐジョン・ランディスの『スリラー』の感覚、アレね。でもアレはリズムのキモチ良さを伝える手法ではあっても演者の実力はあんまり伝わらない。  ソロのヴォーカルならばアップでも細かくカット割ってもいいけれど、ダンスのソロやデュエットは足元をしっかり、全身を捉えて、群舞は俯瞰で、しっかと長く撮ってこそ。でもみんな細かく切っちゃう。それってリズム的にはキモチ良くてもダンスを魅せるという点についてはとっても物足らない。ミュージカル映画は演者の実力をあまり信用してないジャンルなんじゃないかしら?って思ってしまうのよね。実際の実力もそうなのかもしれないけれど。この映画もどうにもダンスを見る気持ち良さには繋がりきってゆかなかったわ。もっとステップを見せて、もっと全体を見せて、って。  そしてもう一つ。あたしアレだわ、やっぱりヤヌス・カミンスキーの撮影があんまり好きじゃないんだわ。スピルバーグ大好き!だけど昔の方がカメラは良かったわよねぇ、って。光と影の使い方が特徴的っていうのはスピルバーグ的には昔からだし、ならばバトラーやジグモンドやダビューの方がステキだったわ、って。スローカムはそんなでも、だけど。  今回の映画なんか冒頭にティーガーIのフリしたT34/85がキュルキュル出てきても、トライポッドがヴォーン!って言いながら出てきてもおかしくないような画でしょ。コレが今のスピルバーグ印だ、って言われても、それでいいのかしら?って思ってしまうのね。まあスピルバーグがカミンスキーに絶対の信頼を置いてるようなので仕方ない、こちらが合わないだけのハナシなのだけれども。  でもね、ミュージカルはカチッとした、被写体をしっかと捉える画で見たいのね。スティディカム使いながらなおガタガタするような画はあんまり見たくないのよね。  結局は好みの問題なのでしょうけれど、目とアタマで舞台を切り取ってゆくっていう行為が日常的になってからはミュージカル映画の見方も変わってきたわ。[映画館(字幕)] 6点(2022-02-15 15:47:56)(良:2票) 《改行有》

88.  大怪獣のあとしまつ 《ネタバレ》  6点だと『シン・ゴジラ』より点数上だわね・・・  ネットではかなり騒がれてるけれど大袈裟過ぎるわね。悪いクセよ。コレ、いつもの三木聡監督作品。それ以上でもそれ以下でもなくて。マトモじゃないヘンな人達が出てきてユルい物語を展開する毎度のアレ。ふせえりさんと岩松了さんが出てきてわちゃわちゃするヤツ。  最大の問題は怪獣をモチーフにして大作然として作られた事でいつもの三木聡作品よりもずっと広い層、特に五月蠅い層にアピールしちゃった、ってところかしらねぇ。こんなのホントはテアトル新宿あたりで上映して判ってるお客さんだけで「あーやっぱり」って感覚を共有してればいいようなモノなのに新宿ピカデリーの1番スクリーンにかけるようなマネするから。前作『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』あたりから作品の内容と製作・公開規模との間に齟齬が生じてるカンジね。  川の上に横たわる大怪獣の死体をどうするか、それぞれの思惑で動く政府の人々とそれに振り回される現場。シリアスほぼ無し、くだらない笑いと下ネタで繰り広げられる混乱劇。三木聡監督のセンスに慣れてなければ地獄かもしれないわ。慣れていてもシンドい部分が無きにしもあらずだけれど。  特に終盤のガス放出を巡ってのアクションからラストのオチまでのグダグダな展開は見ていてツラいわ。盛り上げるためのテンポの悪いタメ、結局は無駄になる部分にやたらに時間をかけて肝心なところで思いきり失速するの、三木監督のよろしくない点ね。  でもまあアタシはそういう三木監督らしさを楽しめもしたし、『シン・ゴジラ』や『パシフィック・リム』『クローバーフィールド』『バトルシップ』あたりを思いきりダメにしたような感じとかもそれはそれで楽しいし。一方で震災、原発事故やコロナ禍を映して皮肉った、悲観的な視点も感じられて。ちょっとネトウヨ的視点があったりしない?とも思ったけれど。  『亀は意外と速く泳ぐ』で蒼井優さんに「〇ンコ」言わせちゃうような監督だからシチュエーション的に土屋大鳳ちゃんにも「ウ〇コ」言わせそうだったけど言わなかったわね「ウン〇」。でも蒼井優さんが感電して頭チリチリになるような映画撮ってる監督の映画なので、そういうモンだって覚悟しなくちゃだわ。これでも『大日本人』や『ギャラクシー街道』なんかに比べたら全然フツーよ? 『デビルマン』は元からそこまで酷いと思ってないので基準にならないけど。[映画館(邦画)] 6点(2022-02-08 15:45:54)(良:2票) 《改行有》

89.  マトリックス レザレクションズ 《ネタバレ》  ただの焼き直しだったり一作目に比べて極端に精彩を欠いてたりとかしてたらヤだなぁっていう不安と、新しいマトリックスの物語が見られるっていう期待と。見終っての感想としては、前者と後者の印象が4:6くらいの割合だったので6点ね。  前者についてはきっと作ってる側もかなり意識したのよね、3部作をメタ化する事で作ってる側の心情の吐露とかホンネとか言い訳とかにも思わせて楽しませてくれたし、後者は結局なんだったのよ?ふざけてんの?って状態だった『レボリューション』を仕切り直してネオとトリニティの更なる物語を見せてくれたし。  ただ、いくら言い訳しても茶化しても精彩の欠きっぷりは如何ともし難いわ。映像表現と美術と音楽、明らかにレベルダウンしてるわ。一作目の独特なフィルムノワール感は失われて最近のCGいっぱい使ってます系映画の中に埋もれてしまうようなフツーなカンジになって。アクションも一作目こそが元祖で以降多くの作品で真似されたけれど、本家ですらそこに及ばなくて残念ね。  クライマックスなんてラナ監督ってばゾンビ映画やりたかったのねぇ、って。大したデキでもなかった『新感染半島 ファイナル・ステージ』のクライマックスの再現したかったのかしら?みたいな(カーチェイスとゾンビね)。  モーフィアスはメタ発言ばっかりで軽過ぎだし、スミスは妙に人間臭くなって喋り過ぎだし。  そうね、この映画、デキの悪いアニメみたいに設定をセリフで説明しまくりだわ。それだけ説明しなければならないほど、『レボリューション』で世界をややこしい事にしちゃってたっていうのもあるんでしょうけれど、仕切り直しに時間かけ過ぎね。押井守のウザいトコまで真似しなくていいのよ?  でも一作目の映像表現の最大の見せ場だったバレットタイムをキーワードに時間を操られたサスペンスシーンは見ていて面白かったし、女性艦長の活躍やトリニティの覚醒等、ラナ監督の変遷を感じられて良かったわ。ネオとトリニティの関係はちょっと某古典SFを思わせたりもしたけれど。  何かと不満はあるけれど、でも『リローデッド』以降そーんなには褒められたモンでもなかった気もするので、これもまあそんなモンよ、ってところ。[映画館(字幕)] 6点(2021-12-21 20:39:15)《改行有》

90.  ロン/僕のポンコツ・ボット 《ネタバレ》  予告編などから受けるイメージそのまんま。『E.T.』フォーマットのアレ。規格外なロボットのハナシだから『ショート・サーキット』かしらね。スマホをそのままロボット化したような機能が今日的って言えるけれど、そういうガワの変化(進化ではなくて)はあっても中身は新鮮味に欠けるわ。  で、コレは個人的に受けた印象の問題で、気にならない人もいるでしょうけれど、ワリと最初の方の主人公の行動にドン引きしちゃって、以降、彼からキモチが離れまくっちゃって。彼、自分のBボットを守るための身代わりにデモ機を犠牲にするのよね。自分の特別な一体は他のBボットとは違います、っていう。アタシから見たら心っぽいモノが芽生えた彼のロンも他のコ達のBボットもデモ機も一緒の、それぞれに大切なモノよ?  その、善と悪、肯定と否定みたいな白黒ハッキリさせたような独善性が作品全体を貫いていて鼻に付いてしまったのね。結論にしてもロンこそが理想で、他のSNSや動画配信に縛られた道具としてのBボットは否定されるべきものとして、一つのカタチに統一させちゃう。いやそこは多様性、選択の余地があっていいでしょ? アレじゃ一つの思想で支配した方が幸せ、みたいな状態だわ(正確には1つのフォーマットの中での個性は存在してる、ってカンジね)。  それにモロにジョブズのカンファレンスまんまです、っていうアレはもう海外アニメーションで(実写映画でも)一体何度見たことかしら? もはや禁じ手にした方がいいんじゃない?ってレベル。  それも含めてサブスクで配信されている複数(結構多く)の海外アニメーションと似ていて(ついでに書くとこのテの海外アニメーション作品の多くが片親なのよね)、そしてそれらとの大きな差異、優位点は見られない作品ね。ひと昔前の海外アニメーションを見ているみたいで、今、コレをスクリーンで新作として見るのはちょっとねぇ、と思ってしまったわ。20世紀フォックスアニメーションの遺品としての哀感が漂っていたりはする、かしら?[映画館(吹替)] 6点(2021-11-07 21:22:49)(良:1票) 《改行有》

91.  パーム・スプリングス 《ネタバレ》  タイムループものということで、この映画は先発の作品に対して利点と弱点とが存在してるわね。  利点はジャンル化していることで「コレはタイムループものです」っていうのを映画開始から早々に観客に理解させられること。冒頭からその説明は簡潔よ。最初に、何が起きるかを予め認識した行動を主人公が取る事でその日を繰り返している事を理解させ、次に翌日(同じ日だけど)早々ヒロインが主人公の元にさっさと怒鳴り込んでくる事でヒロインも巻き込まれた事を示して。繰り返しパターンをじっくり描写して説明しなくても観客はタイムループもののセオリーを理解した上で見ているので省略可、みたいな。これまで一切このジャンルに触れた事のない人にとっては咀嚼に時間かかりそうだけど。  弱点は新鮮じゃないってこと。これまでに見たモノとの大きな差異、この映画独自のオリジナルな魅力には欠けるのね。『ハッピー・デス・デイ』と似たような映像、エピソードがあちこちにあって、比較になってしまいがち。この映画のメッセージ、テーマは悪く言ってしまうとありがちだわ。停滞した日常からの脱却、一歩を踏み出すこと、ワリと常識的なのよね。『ハッピー・デス・デイ』の突き抜けっぷりに比べると優等生的で(ミニシアター系のインディーズっぽい空気も手伝って)、面白さもそれなりね。ループしてる人間が全部で3人居て、という設定からの展開に面白味はあるのだけど。  すっかり諦めて受け入れている主人公と、つらい現実と戦うヒロイン、それぞれの立場の対比からドラマが生まれて、でも後半はそれがワリとダルい展開をもたらしてしまう感じね。90分という短い尺のワリにちょっとダレるわ。クライマックス、主人公の語りをヒロインがウンザリしてみせるのだけど、それは観客側も同じね。  もちろんタイムループもの特有の面白さはちゃんとあるので、そこを楽しむのが吉というカンジ。背景となる土地の風景や空気感がいいカンジで、そこも楽しめるわ。ちょっとループしてみるのもいいかも、くらいな世界で。[映画館(字幕)] 6点(2021-04-14 21:58:21)(良:1票) 《改行有》

92.  ソニック・ザ・ムービー 《ネタバレ》  最初にハッキリ言っちゃうと往年のセガオタクなアタシにコレはヌルいわ。ヌルゲーよ。なんなの?ソニックのあのガキっぽい淋しがり屋のエイリアンって設定は。ソニックっていったらもっと尖っててクールでカッコいいハリネズミでしょ?  ってアタシの中のソニックはメガドラの『1』『2』『3』とメガ-CDの『ソニックCD』、サターンは飛び越して(何しろ『ソニック』、サターンじゃ格闘ゲーくらいしか出てない)、ドリキャスの『アドベンチャー』『2』くらいまでなのよね。それ以降の、敵だったハズの京都のヒゲ親父と慣れ合うようになってからのソニックはもうどうでもいいので知らないのよね。って、つまりこのソニックってお子ちゃまに媚びまくり出してからのそっちに寄ってるのかしら?  大体ソニックはスピード命ではあるのだけど、この映画じゃそれ通り越して超高速、DCコミックのフラッシュかマーベルのクイックシルバー状態だわよ。つまりその能力の見せ方自体も何番煎じか、ってカンジよね。  そのクセ、弱いわ。具合悪くなっちゃうソニックって、なんなんでしょ?  せめてファンサービスでゲーム版の音楽を流してくれてもいいのに、そこもほんのちょっとだけ。ちなみにアタシが好きなのは『1』のスターライトゾーンの曲ね。あそこ、前の面の水中でさんざん窒息しそうになった後での高速面で一気に解放感、星空の多重スクロールがキモチいいの。ってどうでもいいわね。  全体的にB級、ジム・キャリーもなんだかB級役者みたいに見えて可哀想ねぇ、ってカンジなのよね。  ただ、つまんなくはないの。娯楽映画としてはそれなりよ。コレがソニックでござい、って言われると「はぁああ?」ってカンジではあるのだけど、元気な青いETです、みたいな視点で見れば悪くないわ。安っぽいなりに色々とアクションの形を見せてくれるし。カーチェイスシーンなんか頑張ってます、みたいなカンジよね。大変さが見えちゃうのもどうかとは思うけど。  リングの扱いはもう少しなんとかして欲しかったケド(アレ、機能としては面クリ後のボーナスステージ行きのリングだわね)。もっといっぱい出してハデにばら撒いてよ!みたいな。  ラストに至ってエッグマン誕生、テイルス登場で、ああここからが『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』の世界?ってカンジで実は前日譚?みたいな、でもじゃあここから尖ってクールでカッコいいハリネズミになってくれるのかしらねぇ?[映画館(吹替)] 6点(2021-04-08 21:41:05)(良:1票) 《改行有》

93.  シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| 《ネタバレ》  『惑星大戦争』?『惑星大戦争』なの?と思ったそばから『さよならジュピター』で「やりやがったな」みたいな。  それはともかく、期待したほどではなく、でも危惧したほどでもなくて、まあこんなモンでしょう、みたいなカンジで。『Q』であそこまで違った道を進んだのだから、そこから続く今作はもっともっと違ったモノを見せてくれると思ったのだけど、『THE END~』のクライマックスの存在がやっぱり影を落としてるし、だけどアレほどにはポカーンって状態ではなくて、それなりの結末を見せてくれて。前作ほどには突き放してなくて、もっとずっと人に寄っていて。  でもまあ『まどマギ』みたいな『エヴァ』よね・・・  ゲンドウのクライマックスの自分語りがまー超ウザくってさ、だけどアレがある意味エヴァって事象に対する監督の言い訳というか紆余曲折した上での今の心境みたいなモノなのね、と思うと、んー、まあどうでもいいわ。はいはいそうですね、くらいなモンだわ。あそこ、長さの原因になってる感じだけど、もっと削って欲しかったくらい。ダレたわ。  気合いの入った、パワフルな絵創りは良かったわ。シネスコの画角いっぱいに横倒し状態で人物入れるのが頻出するのはちょっとやり過ぎな気もしたけど。  エヴァの時代っていうのがもう時代遅れで恥ずかしい世界になるギリギリのところでエヴァに完全にケリ付けて、俺らはここに残るのでお前ら若者達は先へ進め!みたいなカンジになってる気もしたのね。冒頭に書いた映画群とか『さらば宇宙戦艦ヤマト』とかの露骨な引用もオールドタイプの自認みたいなモノで。それを自覚してるあたりは潔いのかもしれないわ。だけどカヲルくんがあんなだから第4、第5のエヴァが現れる危険性もないことはないのかもしれないわね・・・ 【追記】  気になったところ。男をしょうもないダメな生き物として描きつつ、最後にはそういう男を女に受容させるっていうのは男目線の甘えよね。何十年も生きて表現してきた上でなお男のだらしの無さを女に許容させるって、それはアニメ界に巣食う病みたいなモノかしら。パヤオも御大もそういうところあるでしょ。細田監督もそう。そろそろ業界全体でアップデートしたらどうかしら?[映画館(邦画)] 6点(2021-03-08 20:03:30)(良:2票) 《改行有》

94.  魔女見習いをさがして 《ネタバレ》  『おジャ魔女どれみ』シリーズを見て育った世代を通して(アタシはその時点で十分に育ちきってたけど)、子供の頃から今まで経てきた時間、そしてこれから生きてゆく時間について描いた映画。主役は3人の魔法の無いリアルを生きる女性で、作品世界としては『どれみ』と直接的な繋がりはほぼナシね。  まだ若いけれども人生どんづまり気味の3人が『どれみ』を通じて知り合って、意気投合して、でもケンカしたりもして、お互いが大切な存在になってゆく姿は感動的だし、『どれみ』に思い入れがあればその感動は更に大きなものになるわ。  ただし問題はいっぱい。これって「あー感動した」で済ませていいの?っていう。  まず、3人以外の登場人物が3人のドラマを描くためのダシでしかないのよね。レイカのクソ野郎な彼氏にしろ、ミレの会社のバカ達にしろ、ソラが告白する男にしろ、きちっとハナシにケリを付けずにほっぽりだすだけなのよね。それがたとえロクでもない存在であってもドラマとして雑だわ。  でも、いくらなんでもレイカのお父さん周りの描写に関しては雑過ぎるでしょ。お父さん、もう余命幾ばくもないのは明らかよね。再婚相手とまだ幼い娘がいて、当然そこにはレイカと母親の姿を投影していいハズなのよ。なのにそこはドラマにはせずにほったらかしで終了。あの母娘は映画の中で全く救われないの。  レイカはクソ野郎を捨てた直後にほいほいと東京のミレの元に行ってしまうけれど、いきなり辞められたバイト先のお好み焼き屋はどうなったのかしら?  ミレも会社をさっくり辞めたけれど、なんで前の上司に辞表出したの? 彼女の役職だと辞表じゃなくて退職願じゃなくて? レイカ同様いきなり辞めちゃえるモノ?  そして、そういう雑さの上で彼女達の選択って、過去の嫌なしがらみは全部切り捨てて、好きな者同士だけで閉ざされた世界を作ってそこで生きていきましょう、って結論なのよね。それでいいのかしら? 飛び立ってゆくどれみ達の姿とは裏腹に随分と内向きじゃなくて?  このところ、海外アニメーションの名作、傑作が次々と公開されて、それらに慣れた目にこの映画は良くも悪くも「アニメねぇ」って感じなのだけど、そしてその記号的アニメ表現は『どれみ』準拠なのは当たり前なのでしょうけれど、未来を指向する作品なのに先に進めてない、むしろ後退してると思うの。『どれみ』ノスタルジーならばそれでもいいのかもしれない、でも2020年という今にアニメという日本独自の文化がどういう道を選択すべきなのか、って点に関して、ちょっと無自覚過ぎる気がするのよね。御大やパヤオの嘆きも判んないコトもないわね。[映画館(邦画)] 6点(2020-11-20 15:57:27)(良:1票) 《改行有》

95.  映像研には手を出すな! 《ネタバレ》  嫌な予感はしてたわ。  監督は『トリガール!』『3D彼女 リアルガール』と「オタクを題材にしながらオタクを見下した視点」で映画を撮る人だから。その不安はこの映画でも解消されてない。  メイン以外の様々な面倒なオタクを笑いモノにしてみせるし、メインにしたところで、その情熱のカタチの表層を描くことはしても、その対象への姿勢、そして努力の末に結実したものをキチンと見せる事はしないわ。ゴチャゴチャと盛り込んだ(多くはただ映画を賑やかすための)要素によって掻き消されてしまったモノも少なくないのね。  『映像研に手を出すな!』が描いたものは、こんなガチャガチャとしたバカ騒ぎ(オタクには厳しいクセに一方で『踊る大捜査線』のパロディの、お決まりのセリフの脇で室井さんのモノマネしてるなんてところまで拘るのよね)じゃなくって、アニメーション(アニメでなく。この映画はその違いすら理解できないままに描かれるんじゃない?と思っていたけれど、それ以前の問題だったわ)についての真っ直ぐな情熱を描いた物語なハズじゃ?って。  それでもコレを酷い映画と切り捨てる事ができないのは、乃木坂46のメイン3人が、ちゃんと浅草氏、金森氏、水崎氏に見えたから。っていうか、それ以外の何者でもない、そこに3人がいたから。再現度とかなんとかってレベルじゃなくて、今のアイドルに疎いアタシにはその3人が映像研の3人としか思えてなくて、生きた彼女達の姿を見ているコトが単純に嬉しかったのね。斎藤飛鳥氏、梅澤美波氏、山下美月氏の功績は大きいわ。  あと、音響部が繰り出す音、アレは映画館って環境があればこそ。5.1chをガンガンと鳴らしてみせて、少なくともそこには映画化の意味があった感じね。  彼女達がアニメーションに向ける情熱と、その結果としての作品の全貌は、アニメ版を見て補完するのが吉ね。『未来少年コナン』の再現も含めて湯浅政明監督のアニメーションに向ける情熱がシンクロして映像研の目指したモノが完璧なカタチで見られるから。[映画館(邦画)] 6点(2020-09-29 20:40:18)(良:1票) 《改行有》

96.  思い、思われ、ふり、ふられ(アニメ映画版) 《ネタバレ》  実写版は三木孝浩監督と浜辺美波、北村匠海って鉄板の布陣で爽やかな良い青春映画となったけれど、このアニメ版もコレはコレで。日本のアニメの良さが実写版とは全く違った魅力を放ってるわ。  基本的な物語こそ一緒だけれど、全くの別物と言っていいレベル。実写では不可能なデフォルメを多用してキャラに魅力を持たせてるし(ここら辺は原作準拠なのかな?)、ラブラブな展開に突入すると共に突如入るキラキラエフェクトは見ていて恥ずかしかったりもするけれど、それもアニメならではの魅力ね。  ただ、終盤になって失速してしまうのがなんだかもったいなくて残念。実写版ではそれぞれの家庭環境や現実的な問題、将来の夢や目標も盛り込んでいたのに対して、こちらはラブラブメインの展開で、だけど終盤になって家庭や将来がのしかかってくるので、そこでスローダウンしてテンションダダ下がりになっちゃうのよね。せっかくテンポ良く(良過ぎて移り気で恋多き面々になっちゃってる感はあったけれど)ラブラブほんわかワールドだったのに。そのまま上がりきらずにエンドロールになっちゃう感じで、ちょっと画竜点睛を欠く感は否めないのね。もっとあっさりすっきりまとめちゃって良かったんじゃないかなぁ。  高台から眺める風景なんか、実写版に比べるとあまり重要視されてなかったりして、何かキーになる映像なりアイテムなりがあれば、って思ったわ。その役割を果たしそうだったハズの朱里のジュエルケースはちょっと全体のトーンから浮いた感じの存在だったし。  でも、こういうアニメはやっぱりキャラクターデザインと作画が命なので、その点、魅力的な絵を見せてくれたところは評価したいわ。[映画館(邦画)] 6点(2020-09-19 23:57:43)《改行有》

97.  青くて痛くて脆い 《ネタバレ》  かなりアンフェアなミスリードよね。真実が明らかになるまではサスペンス映画のごとく見せてゆくものだから、ずーっと不安感と緊張感に支配された状態が続くのだけれど、明らかになった瞬間にタイトルの意味が判って、思っていたような映画じゃないことが判って、あー、そういうコト・・・って肩透かし、脱力感に襲われて。  キモチは判る、理解できるのだけど、その極端な行動は一貫して「なんなのよ?」ってカンジ。でもあの瞬間からカレの見え方がガラリと変化してしまうっていうのは面白かったわ。  大量に配された登場人物の、でも多くがそんなに物語に対して有機的に機能している存在には思えなくて、世界を構成する要素です、くらいな。この映画の知識が全然ないままに見たので「あ、松本穂香出てる、森七菜も出てる」みたいな楽しみ方はあったけれど。にしても森七菜の学校の先生に対して物語として特に何もしないカンジなのはモヤるわね。  ラストの選べなかったルート、生きられなかったルートは切なくて、だけど最後にヤツに与えられたチャンスはそれでも甘すぎやしませんか?と思ってしまったり。いや、若ければ人生はまだまだ選べる道はあるのでしょうけれど、でも、ヤツには壊してしまったものの大きさに対する自覚はあんまりないような気がしてしまうわ。  失ったもの、失われた時間の大きさ、その痛みをガッツリ描く、ってほどに残酷にはなれないでしょうけどね。[映画館(邦画)] 6点(2020-09-14 21:58:25)《改行有》

98.  2分の1の魔法 《ネタバレ》  ピクサーは技術こそ革新的だけど作品の中身は保守的、って印象があって、これも予告編段階であーんまり食指動かなかったのね。なんとなく内容は予測できちゃうし、デザイン的には主人公とその兄がまるで『ヒックとドラゴン』のヒックとスノットみたいだし、みたいな。  だけどファンタジー世界が今の人間社会みたいになっちゃってる、ってのは面白そう、と。  ところが本編見たら、人間社会っぽいファンタジー世界の描写は極小っていうか、普通の風景にファンタジーな生き物をはめ込んだだけじゃん、みたいな状態で、少なくも『ズートピア』や『ベイマックス』みたいな作品世界デザインの妙味みたいなのはあまりなくて。クライマックスのドラゴンはちょっと良かったけど。ああ、やっぱりあの絵には意味があったのね、みたいな。  ロードムービーとなる物語はどっかで見たような展開が連なってるカンジで(橋は『最後の聖戦』だわよね)、退屈はしないけれど、新鮮な驚きや感動はもはやここには存在しないのかしら?って状態で見ていたわ。  それでも最後に家族の物語に集約して、そして兄に花を持たせた点は感動したわ。この物語の本当の主人公はお兄さんだったのね。  これ見よがしな世界観・設定デザインの披露みたいなのを期待しちゃうのは日本のアニメに慣れ過ぎ?(そしてそこで終わっちゃってて物語はガタガタってアニメのなんと多いことでしょう)みたいな自省はあるけれど、良質・安定だけではどうしても、ねぇ。実際、みんなピクサーブランド飽きてきてないかしら?  そうそう、ディズニーのハンパなローカライズはどうにかならないかしら? 手書きの文字がフォント状態ってのはさすがにマズいわ。原語のまんまの方がまだマシよ。  あと天下のディズニーの日本語版主題歌に既成曲使うのもどうなのかしらねぇ?[映画館(吹替)] 6点(2020-08-30 12:12:21)《改行有》

99.  一度死んでみた 《ネタバレ》  豪華なチョイ役の人々、ペラペラな内容、尺もテレビの2時間枠にぴったり収まるように作られた典型的なフジテレビ映画。  冒頭からしばしはテンポ良く進むので、あ、コレは無駄なくスッキリと作られて好感持てるかも、と思ったものの中盤以降はダラダラ。元々、大して容量のある物語ではないので、90分ちょっとでも尺を持て余してるカンジがするわ。クライマックスの棺桶争奪からのチェイスなんか構成からしたら無駄な展開よね。あの歌がクライマックスでいいハズなのだから。火葬場まで到達しないとせっかくの伏線がキモチ良く回収できないってコトなのでしょうけど(回収した伏線をわざわざセリフで説明しちゃうのマジ不粋)。  チェイス以降はその後の遺言のやりとり部分も含めて展開が弛緩しちゃったわ。  ただ、そういうバカっぽい、バラエティノリの映画で広瀬すずがバカっぽい演技をしている、って状況の面白さはあるのね。  それに冒頭の(予告編でもさんざん聴かされた)「デスデスデスデス!」ってアレは正直なところ聴いてらんないレベルの酷さで、だから彼女に歌わせるのって酷じゃね?とか思ってたんだけど、クライマックスでの歌でしっかと聴かせるところまで持っていってるので、ああ、なんだ、そんな実力もあったんだ、ってキッチリ納得させてくれて。  映画を堪能した、って感覚は全く薄いけれど、広瀬すず主演のバラエティドラマをなんとなく楽しんじゃったって程度の感じね。  ところでエンディング後の1シーンはあれ、余計だったんじゃない? そこまでになってたかしら?[映画館(邦画)] 6点(2020-06-25 21:12:12)《改行有》

100.  ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey 《ネタバレ》  この11年ほどは3日に一度は映画館に行ってたのに新型コロナの自粛ワールドで『野性の呼び声』以来、実に94日ぶりの映画館ね。自粛再開した映画館では旧作ばかりが上映されている中、再開後もまた上映してくれて良かったわ。  ポスターのビジュアルを見た時には『スーサイド・スクワッド』の時の方が良かった?って思ったハーレイ・クインだけれども、動き出すとやっぱり魅力的。彼女が主役な分だけ、未消化感ハンパなかった『スーサイド~』よりも堪能できたわ、ってあくまでハーレイに関しては、だけど。  正直、物語は退屈。悪の支配者の陰謀とかダイヤモンドに隠された秘密だとかダイヤをくすねたスリの少女だとか、そういうネタには一切新味がなくて、物語の面白さではあまり引っ張れてないので前半は結構キツいわ。ハーレイも行き当たりばったりな行動をするので物語をキチンと運ぶ芯が存在してないような状態で。複数のキャラクターをアレコレと描くためにやたらとっ散らかった印象だし。  でも、それはクライマックスでオンナ達が共闘してクソ男どもをボコりまくるためのお膳立て。極端なコト言っちゃえば、そのキモチ良さのためだけに存在してる映画って言えるのかも。ジェンダーハラスメントからの解放、ミソジニストが見たら失神しちゃいそうなシロモノね。  これまでのハーレイならば最終的には「プリンちゃん」が救けにくる、プリンちゃんの元に戻る、結局はプリンちゃん無しでは生きてゆけない、そんな描かれ方になったのでしょうけれど、この映画ではもちろん、そんなコトはなくってプリンちゃんと別れた彼女はキッチリと独立して生きてゆく、ってラストになっていて、それはとても正しい道だと思ったわ。それってDCコミックが築いた伝統の中での在り様としてはどうなの?ってのはこの際どうでも良くて、ね。  ちなみに2か月自粛していた職場が復活したはいいけれど時短になってしまって大幅に給料減は避けられなくて、どうもこれからは映画も週一が精一杯なカンジね・・・コロナウィルスのバカ。[映画館(字幕)] 6点(2020-06-04 15:23:05)(良:1票) 《改行有》

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