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81.  ガールズ&パンツァー 最終章 第2話 《ネタバレ》 BC自由学園との対戦後、実は今まで直接対戦したことがなかった知波単学園との対戦となります。 毎作、それぞれの戦車が史実とか戦車スペックに沿った活躍がいかに実現されるか? をワクワクしながら観てますが、BC自由学園戦のMk.IV戦車の見せ場もなかなか決まって良かったんですけど、本作の一番の見どころは知波単学園戦……つまり、第2次大戦期の日本戦車がいかにして他国の対戦車戦を戦いえるか? というところに重点があると思っており、まず戦闘舞台が日本が史上初対戦車戦をしたと思われる東南アジア戦線を思わせる熱帯雨林の戦場で、日本戦車の売り……当時、世界初ディーゼルエンジンを搭載した戦車の機動性を生かせる泥沼の地形に、砲塔の口径差と装甲差を覆し接近戦を挑むチャンスのある見晴らしの悪い森林地帯での戦闘、そして秘密兵器の登場……と、日本戦車にとって夢のような熱い戦闘となってます。 主役は主人公側なのか、日本人としては知波単学園を応援すべきなのではないか? と迷う(けど、結局主人公側が勝つのでしょうが)。 前章と同じく山場で終わり、次章で決着がつくと思われますが、最後の山場に幻の~とか出んかなあ(何)とか思ってますが地形的に無理かなーとも想像しております。 いずれにせよ、続きが楽しみです。[映画館(邦画)] 7点(2019-08-26 03:36:36)《改行有》

82.  天気の子 《ネタバレ》  元々、新海誠監督の、青臭く、痛々しい、青春恋愛ものは大好きで、今回はベタベタのド直球で、しかも監督の得意な、青い空と、白い雲と、天候の表現に、シンクロ度の上がったRADWINPSの楽曲で、メジャーになって資金も潤沢になればそりゃまあ気持ちの良い映画ができるだろうと、期待したところ、期待を裏切られず、しかも「監督が信じるであろう所のハッピーエンド」にすることに、ためらいがなくなって、実に気持ちの良い、イイ作品と思いました!(5回も観に行ってしまいました……まだ行くかも)  賛否の分かれるエンドについては、演出的に唐突感があるのはさておき(そこまでなるとは想像してなかったよ! という感じ)、このエゴイズムは1周回って、現代的に極めて正しい結末かなあと、私は非常に納得が行ったです。  以下、かなりネタバレしますので、未見の方は注意。 --  個人的にこの話って、ブラック企業の社畜の話かなあと思って見てしまったのですが(そのような演出も多々あるので)、だから、ヒロインが世の中を天気にするために命を投げ出す、というのは、某企業で過酷な業務で自殺したブラック企業の一従業員とかと同じだなあと。  で、今の価値観では、そういうやり方は間違っている、という認識になっており、 「逃げればいいよ」 って言うんですが、それでも自分が逃げると「周りが迷惑する」とかの自己責任の呪いにかかって逃げられない人が現実にはあまりにも多く、この映画ではそれらの問題に対して明確に、 「(大切な)人1人の命の方が大切だ!」 と主張してるのがとても新しい、現代の理想的な「正しさ」に則った結末だなあと思いました。 --  また、エンタメで、ヒーローとか自己犠牲とかを否定しつつ面白い話を作れるか? というジレンマがあるんですけど、この「天気の子」は「ヒーローや自己犠牲などなくても、恋愛ものなら面白いエンタメは作れる!」と言ってるところが革新的作品ではなかろうか? --  主人公の家とかの描写がないので感情移入しがたい、という感想はよく見ますが、幸か不幸か、私は、主人公みたいに逃げて、救われたような経験があるので、なんかよくわかるなあと思いながら観ておりました。最初にヒロインの部屋に主人公が訪れたときに、ヒロインが、 「そっか」 と一言だけ言って、何でもないことのように流してくれたことに主人公がどれほど救われただろうと思いましたし、元のところに戻ればすべて丸く収まるとわかっていても、戻りたくない、というのも、すごくよくわかります。  「不登校」とか割と近い感じと思いますが、戻って学校に通えば周りは丸く収まるのでしょうが「そこに戻ることで私の心が死んでしまうことに対して何ら配慮はされないのでしょうか?」みたいな感じ。  むしろ、最近、事件関係者の個人情報をわざわざ公開するのは非人道的なことではないか? という批判があり、この主人公の背景の話を明らかにするのも同様の下世話な野次馬根性的なところがあるかなーというのもあって、個人的には、あまり明らかにされなくてホッとした、という感じでした(よく見ると、回想エピソードや言葉の端々で結構色々語られてますが)。 --  主人公は恩を受けた人に迷惑をかけまくる~云々については、そもそも健康で文化的な最低限度の生活すら満たされない境遇で恩義とかありえんし、私から見ると、主人公らって、どこからどう見てもガキんちょに過ぎないので、 「これくらいの迷惑くらい、どんと来い」 と言えるような世の中であると良いんだけどなあと思いました。  それよりも「どうしても救わねばならない大切なものは何か?」を知らせて欲しい感じでしょうか(この作品はもちろん恋愛ものなので、それは「愛」になるに決まってるのですが)。 --  この話で、個人的に唯一文句を付けるとしたら「終わりはもっとハッピーエンドにしてくれても良かった」というくらいでしょうか。  東京が、あのような事態になったということは、大企業や官憲の地方移管が進んで地方で莫大な雇用が生まれ、実は、日本全土としては事件後の方が経済的に豊かになってても全然不思議ではない(笑)。  唯一、須賀さんが、立派な事務所を持って職員も何人か雇えるようになって、事件後の方が経済的に豊かになった、悪いことばかりではなかったと、ささやかに主張してるくらいで、恋愛ものっていうものもあって悲壮感をぬぐい切れてないんですけど。  もうちょっと大人というものの狡さやしぶとさを信じて、楽観的に描いてくれると嬉しいなあ、という感じでした。  以上です(長文失礼)。[映画館(邦画)] 10点(2019-08-25 23:17:43)(良:1票) 《改行有》

83.  アベンジャーズ/エンドゲーム 《ネタバレ》  とりあえず、長年の壮大なシリーズをまとめ上げたのと、あのすべてのヒーローが大集結する壮大でワクワクする山場を構築したスタッフに敬意を表したいと思います。素晴らしい作品をありがとうございます! そしてお疲れさま!  ……という前置きをした上で以下文句を書いていこうかと思います(強ネタバレ注意)。 --  一つ目、前回のエンドが納得できなかったのでタイムトラベルでやり直そう、というのは、安直にもほどがあると思いました(笑)(キャラクター能力的に可能でも不思議ではないけど)。  いちおうその辺は、作品自体がかなり自覚的で、作中過去のタイムトラベル映画のギャグをやってたりするし、ネット上でもその辺に言及した製作者側の情報が出てきてるみたいですが、前景の結末が納得できないので、時間を巻き戻してやり直しましょう、と言いだしたら、もう何でもやりたい放題になってしまって、これまであった制約や葛藤が、あそこで悩んでたのはいったい何だったんだろうという脱力感に見舞われました。  一方、そういうちゃぶ台返しを用意してあるからこそ、前回の決定的完全敗北を容赦なく描けたとか、MCUシリーズヒーロー総集結総活躍の展開を描けたというのはあって、またタイムトラベルで発生する色々な矛盾点などは練り込まれた脚本と映像で、だいたい違和感が漏れなく取り除かれてあまり気にせず見られるようになってたとは思います。  あと、エンドでキャップの最後の場面もタイムトラベルネタで、いかにもいい話っぽいオチにしてるけどあそこだけちょっととってつけたような感じがあって(おそらくテイクをいくつも撮って協議の上、あの結末にしたと想像しますが)、加えて私自身がMCUシリーズの中のキャプテンアメリカシリーズだけぽっかり穴が開いたように観られてなかったので(評判良いので観たいなとは思ってたんですけど)、わざわざあそこまですることに対する思い入れが何もなく、蛇足感が半端なかったです(キャプテンアメリカ、ウィンター・ソルジャーは必須ということでしょうか?)  一応時間ネタについては「ドクター・ストレンジ」で実はそんな裏技も使えるんだよと伏線が張ってあったりはしました(こちらは履修済み)(これも必須?)。 --  二つ目、重要キャラが死んでお涙頂戴展開は好きじゃないなあ。というのがありまして、昨年あたりからそういう傾向の作品が多いんですけど、そういうのが出てくると「良いハッピーエンドのネタが今年は思いつかなかったんだろう」(確かに難しいので)と思ってしまうのがあり、この作品もその例に漏れなかった、というのが多少がっかりでした。あれだけの資金と知力を集結しても誰も死なない良いオチはそうそう出てこないものなのか。  最終的に救われなかった人が何人か出ますが(そのせいで、またもう一回タイムトラベルでやり直そうという気も起こらない仕掛けになってる)、個人的にはネビュラさんが、あの過去の回心前のネビュラさんをぶち殺して終わりだったのは、まあまあまあ、ちょっと待て、と突っ込まずにはいられなかった(笑)。割と脇のキャラクターで、十二分に出番があったので話の尺上仕方なかったであろうとはいえ。 --  ……というようなわけで、ストーリー的には正直かなり安直な作りになってて、話の筋への革新的アイデアとか技巧的な挑戦というものは全く見られない代わりに、すべての仕掛けは、あの大量のヒーローたちを漏れなく活躍させる舞台をお膳立てしよう、というところに注力された作品だったのかなと思います。これらすべてはヒーローを活躍させるためのアトラクションショーであり、ストーリー的奇抜さはバッサリ捨て、とにかくわかりやすく単純化しました、という創作の指針の選択でしょう。そこにハリウッドの、日本とは桁違いの、マネーと頭脳を総集結投入すればこれだけのものができる、という答えの一つかと。そしてそれはnot for meかなあとも感じました(キャプテンアメリカも観られてなかったし)。  そんなわけで、演出は素晴らしいけどストーリーとしては安直なので、そのまま点を付けると7点くらいかなあと思ったのですが、最後のヒーロー大集結のワクワク感と、タイムトラベルネタで大好きな「Time After Time」と「Somewhere in Time」への言及があったので、+1して8点くらいかなあということになった次第であります。[映画館(字幕)] 8点(2019-05-01 23:41:59)《改行有》

84.  ハンターキラー 潜航せよ 《ネタバレ》 潜水艦ものに外れなし! と言われますが、これもなかなかハラハラドキドキ、謀略アクション娯楽作で良かったです。 「ワイルド・スピード」のスタッフによる制作ということで、エンタメ度、ヒロイック度が上がっており、その分、理詰め部分はゆるいです。しかし、様々工夫が凝らされてて楽しい。ポップコーン片手に気楽に観るのが良さげかと。 あと、熱い展開がてんこ盛りで燃えます。個人的には、斜面の場面が「おおおおおおおお!!!」っと、内心超盛り上がりました。良い。[映画館(字幕)] 7点(2019-04-16 22:13:28)(良:1票) 《改行有》

85.  THE GUILTY ギルティ(2018) 《ネタバレ》 「電話からの声と音だけで、誘拐事件を解決する」という特殊なシチュエーションの物語で、主人公は緊急通報指令室のオペレーター……要するに日本でいうと、110番通報の対応オペレーターの映画で、事件の情報が音声情報しか提供されないので、想像力による緊迫感とか、誤解とか、を扱ったサスペンスです。 しかも、主人公は映画中緊急通報指令室からほぼ動くことがないので、映画で時々ある、いわゆる「ワンシチュエーション映画」の特殊パターンと言っていいかと思います。有名なのだと「12人の怒れる男」とか「キサラギ」とかの名作がありますが、特徴としてはとにかく脚本がテクニカルで、展開が二転三転どころか四転五転くらいする大変技巧的な作品になります。 この映画だと「音声情報」しか伝えられてこないので、視聴者に想像力が求められるのがさらに難易度を高めています。私は特に違和感なく観られましたが、人によっては言葉だけでは想像できなくてよくわからないという人もあるかなあ、とは思いました。 ……という前提を乗り越えた上で、内容ですが、この映画の脚本は場面ごとの感情設定の演出が途轍もなくうまいなと思いました。そういう内容の話を聞いたら、そりゃ同情するでしょう、とか、そんなことがあったら腹が立ちますよね! というような主人公&視聴者の感情を自在に操った上で、あとになって、それは音声だけの誤認識で全然間違ってましたよ! と、何度も何度もひっくり返されます。もう、ハラハラドキドキの展開にしてやられてしまいました。 そして、最後の決断。タイトル。 久々(?)のワンシチュエーション映画の傑作誕生! ということで、そういうのが好きな方はぜひ観られるがよろしいかと思われます。[映画館(字幕)] 8点(2019-03-18 00:25:09)《改行有》

86.  スパイダーマン:スパイダーバース 《ネタバレ》  映像表現は、現状アニメ史上最高クラスの映像といってよく、観てると、過去の名作のかっちょいいフレーズをいいとこどりで取り入れまくってよくこんな完成度の高い異次元レベルの作品を構築したものだと感心しました。  ただ技術的にすごいだけだと、数年後にはこれくらいのレベルのものが陳腐化してごく普通当たり前になるのかなあ、というのは思いました。  とはいうものの映像の未来を先取りして見せてくれる作品ではあった。  ストーリー面については、それまでただの学生だった主人公少年が、様々な経緯を経てヒーローとして目覚めるという、まさに王道ストーリーで瑕疵もなく非常にうまく処理されてますが、それ以上でもそれ以下でもないという印象。特にヒーローとしてまだ準備できてない状況から、真のヒーローとして目覚める展開はいまひとつインパクトに欠けて、映像でごまかしてるけど、そこまでかあ? と思ってしまいました。  登場人物が非常に多くてそれぞれのエピソード消化に時間を取られて、たっぷり描けなかったのかなと思いますが、ヒーロー誕生の物語としては正直物足りなかったです。  あと、多次元のスパーダーマン(スパイダーウーマン等)が次元転送装置で主人公の次元に集まってきて、毎回毎回目覚めるときに身近な人の死を乗り越える展開が必ずあるというメタ視点を入れて、それは仕方ないことで共感できるのは私たちだけという解説がされるんですけど、そういうメタ視点を入れるなら、なぜ毎回毎回大切な人を制作者は殺すのか、というところに憤りを覚えることなく何事もなくスルーされるのが、メタストーリーとしてかなり軟弱でいまいちかなと思ってしまって、すみません。ひねくれた作品ばかり見てるもので^^;  というわけで、難癖めいた引っ掛かりを個人的には思ってしまったのですけど(失礼)、とにかく映像はとてつもなくすばらしく(ひゃっほう!)、ストーリーもきちんとしていて、スパイダーマンやマーベル作品のファンに向けたかゆい隠しネタもたくさん盛り込まれた、とてつもなく良い作品なので、今のうちに観られるのがよろしいかと思われます。[映画館(吹替)] 7点(2019-03-16 12:11:38)《改行有》

87.  バジュランギおじさんと、小さな迷子 《ネタバレ》 年々ぶっ飛んだ王道エンタメ映画を提供してくるインド映画の、今年の1本。 近年のインド映画はとにかくコテコテでベタベタな表現に、あの耳について離れないカレー味のキレキレのダンスと歌と踊りで押し寄せてくる印象で、最近はインドの社会問題もうまくエンタメに乗せて扱うようになってきており、今回はいまだ紛争をしてると思われるインド・パキスタン問題でした。 そこ来ますか(笑)。 インド主流のヒンズー教は多神教ですが、信奉する神様によって思想というか信条が変わるみたいで、このバジュランギおじさんは「ハヌマーン」を信奉しており、その教義に基づくのかよくわかりませんが、 ・レスリングを親から習わせられる(弱いと言われてたけど実は強い) ・卑怯なことは絶対せず常に正々堂々真正面から対決する ・嘘は絶対つかない という信条を持っており、絶対的に自分に課している。 それが、助けた迷子が、実はパキスタン人だったことが明らかになり、母親のもとに連れて行こうとするが、そもそもインドとパキスタンは過去のガンジーの件があって政情不安でお互い憎しみあっており、デモや場合によってはテロすらもあり得る。入国すら困難。 というところで、ただ、迷子の子供をパキスタンの親元に届けるだけでも大変なのに、上記の主人公の信条、「卑怯なことは絶対せず常に正々堂々真正面から対決する」「嘘は絶対つかない」があるため、道のりは限りなく困難になり到底実現不可能と思われるのが、最終的に主人公がどこまでも善良で「卑怯なことは絶対せず常に正々堂々真正面から対決する」「嘘は絶対つかない」を貫き通すがゆえに、主人公の善意のみによる行動に周りがほだされて、到底不可能と思われたものが共感した人々の協力によりだんだんと実現されていく、そんな熱い話でした。 現実にこんなことが可能かというと、非常に難しいんじゃないかなと思うんですが、現実に無理であったとしても 「こうあって欲しい」 を描くのが、エンタメであり、もしかしたら現実自体を変えうるのがエンタメのすごいところで、この作品はとてつもなくベタだけれどもまさにエンタメの王道と言っていい作品と思います。 いま、ちょうど高評価によるリバイバル上映が各地で行われ、観れる機会が増えてきてますので、興味を持たれた方はぜひ見てみるとよいかもしれません。[映画館(吹替)] 9点(2019-03-02 13:15:35)(良:1票) 《改行有》

88.  アリータ:バトル・エンジェル 《ネタバレ》 3D版吹替で見ました。 原作からのファンですが、あのクズ鉄町の街並みと空気感が3DCGでこんなにリアルに描かれる時が来るとは思いもよらず、感無量で感動してしまいました。アクション、映像はとにかく素晴らしい。 原作に準拠した、目の異様な大きさが前評判で話題になってましたが、映画中は全く気にならず、むしろ主人公の心情を表情で雄弁に語って3DCG表現として新しい境地を切り開いたように思います。だんだん見てると可愛く見えてくるところも、前作アバター以上によく感じられました。 ストーリー的にはユーゴ編終了までで、細かい印象的なエピソードが大方盛り込まれ、ファン的には非常にうれしいですが、やはり詰め込みすぎ感はぬぐい切れず、感情展開に無理やり的な部分がそこかしこにみられます。 そこは主人公はとにかく勧善懲悪的にひたすら悪者をバッタバッタとなぎ倒していく、という単純さで乗り越えようとしてて大方許容範囲かなあと思うんですが、唯一「ユーゴの回想シーン」……なぜユーゴが命を懸けてまで空を目指そうとしたのか……だけでも入れた欲しかったかなあと。 そこだけが、原作「銃夢」はサイバーパンクなビジュアルだけでなく、日本的なドロドロした心理展開もきちんとエグって回収してくるのが、とても好きなところなので、今後、その辺もうちょっと補足されて改善されるともう完璧なんじゃないかなと思いました。 当然続編もやるんですよね?(期待[映画館(吹替)] 6点(2019-02-23 12:14:34)《改行有》

89.  サスペリア(2018) 《ネタバレ》 前作が大好きな人間の感想ですが、サスペリアというものを、美しくもおぞましいものをとことん突き詰めて描く(他は知らない)作品という認識で観ており、前作でそれは大体成し遂げられてしまってもうこれは覆しようがないな、というところにリメイク……再構成の作品を作っても生半可なものでは劣化コピーにしかならないであろうところで、 主人公を赤毛にする というアイデアですべてを持っていく力技で、わりと面白く見られました。 少なくともインパクトだけで言えばこれ以上のものは今年はもう観られないかも、という感覚です。 最初の惨殺のエグい場面が、前作の痛いけど美しいものと比べると、グロくて吐きそうなのは、インパクトは素晴らしく、あまり目に慣れてないモダンバレエとおどろおどろしい現代音楽風音楽で描くのもアイデアとして悪くはないと思い、最後のクライマックスでどこまで見るもおぞましい耐え難いものが現れるのかとワクワクした。 しかし終わってみると一番インパクトがあって恐ろしかったのは最初のあの場面だったというので、ちょっと肩透かしを食らわせられてしまいました。最後はあの何倍ものすごいものを見せていただきたかった。 ただ、現代芸術的なものをおぞましい恐ろしいものの象徴として使うセンスが100年前くらいのすごい古めかしいカビの生えたようなセンスで安直ではないか、というのがあってそこは何とかならんものか、というのと、あと魔女集団が成立する説得力として、第2次大戦~1970年代くらいの時代背景を持ってくるのは、悪くないと思うんですけど、見せ方のバランスに問題があってそれが上映時間の長さに直結してしまっており、前作と同じく90分程度にまとめられなかったものかと。デビット・リンチのおどろおどろしい系でも同じような時代背景っぽいものを匂わせることがあって好きなんですけど、そういうのはチラッと見せて、マニアが調べてみたら実はしっかりとした考証があった……とかいう程度のバランスが良いかと思いますが、本作では見せすぎかなあという印象でした。 エンドが前作と反転してることについては、主人公が赤毛になった時点でもう納得なので個人的に全然OKで、そっちを行くならスージーとマダム・ブランの絡みをもっとやってよ! という物足りなさはありました。 そんな感じです。[映画館(字幕)] 7点(2019-02-09 14:45:35)(良:1票) 《改行有》

90.  アリー/スター誕生 《ネタバレ》 主演が世界トップクラスの歌手というとても贅沢な映画で、歌はとにかく素晴らしい。 しかし、デビュー前の素人時代からアーティストとして貫禄がありすぎるのでは、というのはありました。 いちおう、ガガ自身、メジャーになる前の体験に重なる部分があるということで頑張ってはいましたが……。 話の展開は以前の版を観てたのでわかってて、ああ、やっぱりという感じでした。 曲が、作品的にわりと清純な曲をメインに持ってきてるんですけど、ガガの曲のイメージとか、今どきの普通の曲のイメージからするとそればっかりなのもどうなんだろう、ちょっと時代錯誤的ではないか? と考えたりもしました。たとえば、新しい時代に合わせてリメイクする場合に、たとえば全部ラップに置き換えるみたいなそういうチャレンジはないんだろうか、とかそんなのです。 エンド曲およびその演出は、過去作同様「素晴らしい」の一言に尽きました。 うむ。[映画館(字幕)] 7点(2018-12-29 00:47:48)《改行有》

91.  ラ・ラ・ランド 《ネタバレ》 好みが分かれるので、あまり人にはお勧めしないのですが、「こうであったらいいのになあ」を極限まで美しく愛おしく描いた究極のファンタジーと思います。現実にはうまく行かないところが、心がえぐられてなお素晴らしい(マゾ気味)。 超好き。 中盤ちょっとダラッとする辺だけ、やや自重して減点。[映画館(吹替)] 8点(2018-12-18 00:27:17)《改行有》

92.  風立ちぬ(2013) 《ネタバレ》 この映画は、ぶっちゃけ映画「セッション」と同じテーマの作品と思うのですが、要するに美しいものを創るためにどこまでヒトデナシになれるかという話。 「セッション」では作り手がヒトデナシであるということを自覚しているので、それなりの因果応報もあって、その上で、素晴らしい芸術を生み出す事実に震撼としたりもしたのですが、この「風立ちぬ」はその辺の倫理観によるリミッターが何もなく、ただただヒトデナシ行為が粛々として続けられていき、それがヒトデナシ行為でないかのようにごまかして描かれ、最後にはあたかも美しい物語であったかのように美化されて終わるという、割とどうしようもない救いがたい自己満足作品かなあと思いました。 相変わらず映像は素晴らしいので、倫理的に誤ったヒトデナシ行為を、あたかも美しい素晴らしいものであるかのように誤認させる極めて悪質極まりない作品という認識で、だから最後に「生きねば」とか、主人公がふざけたことを言い始めますが、くそじじいはとっととしねよ、としか思えませんでした。 あと、時期的に宮崎吾朗氏の「ゲド戦記」への返歌的作品かなと思いつつも観てたのですが、作中には息子どころか子供の話すら一切出てこないありさまで(さすがにあの当時結婚して子供の話が一切出てこないのは異常でしょうと思うのですが)、何もかもすっぱりなかったことにされてて、その辺りも酷さに拍車をかけています。 現在、結局引退すると言ったくせに、また復帰しておりますが、本作のような純文学的な話を描こうとするとどうしてもヒトデナシな話になって勘弁してほしい感じなので、どうせ作るならエンタメ作品を! と思う次第です。[映画館(邦画)] 0点(2018-12-16 07:59:13)(良:1票) 《改行有》

93.  パッドマン 5億人の女性を救った男 《ネタバレ》 インドはカースト制のため、あまたの差別・偏見があり、それを乗り越えるような題材の映画も最近増えてきて良作が多いのですが、これも非常に良い作品でした(「P.K.」「ダンガル」など)。 主人公は、妻のためを思って、ひたすらパッド(ナプキン)制作に奔走しますが、そこには、こんなにもたくさんの偏見と障害があったとは。 主人公がイケメンでいいやつで、とにかく愛妻家で、観ててハラハラしながらも応援したくなります。 インド映画なので例によってダンスシーンがあって楽しいです。 上映時間も例によって長めで「インターミッション」なんて久しぶりに見ました(「きっとうまくいく」以来か)。 製品開発だけにとどまらず、それをどのように展開していくか? というところが今風ビジネスの先駆けにもなってて非常に面白かったです。 映画「バーフバリ王の凱旋(完全版)」で、民の生活を良くするために自動機械を開発するエピソードがあって、発想は面白いけど現実的にはどうだろう? と疑問に思ってたのですが、この映画を観ると、それって本当にできるし、下手に高額な機械を作るよりも、手作業でできるごく安価なちょっとした装置を作った方が、意外とコスト削減になる――特に、この映画の件では、人の生活・人生を激変させるほどまでに劇的に――という辺りが目から鱗でした。[映画館(字幕)] 7点(2018-12-08 08:48:07)(良:2票) 《改行有》

94.  ボヘミアン・ラプソディ 《ネタバレ》 正直、洋楽というものはほとんど聴かない、わからないし、QUEENという存在にまったく何の思い入れもない、コンサートやライブにまともに行ったことは一度もない……けど、有名曲を聴けば、聴いたことある曲もあるなあという人間の感想なので、あまり参考にならないかもしれません。 とにかく、ミュージックが素晴らしく、特に最後のコンサート場面は、演奏・パフォーマンス・音響とも最高に素晴らしいと思いました。ぜひ音響の良いアトモス上映とかIMAXとかで聴かれるのがよろしいかと。絶叫上映をやる? という話もあるので、好きな方は参加されてみるといいかもですね。 今だと現代アートやゲームなどでインタラクティブな表現をするのが1手法として確立してますが、音楽の世界で、観客と一体になってインタラクティブ歌う、しかも現代アートなどではなく一般人を相手に……というスタイルを確立したのがQUEENなのでしょうか。そこは先駆者としてすごいなと思いました。 話の方は、伝記なので事象は事実に基づいてるのでしょうが、この手の話の展開としては割と生ぬるいというか、特に葛藤もなく、とんとん拍子にスターになっていくだけですし、妻との軋轢も主人公の善良さで、ほとんど衝突もなくスルーされますし、セクシャルマイノリティの話にしても「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」のような、この戦いに勝利せねば女性という部族の誇りが未来永劫棄損される。絶対に負けることは許されない!!! みたいな世紀の歴史的転換点というような盛り上げ方もあまりなく、ぬるい演出で(ネタ的には、そういう盛り上げもできそうだったけど)……、という感じに、最近ありがちな話の要点は押さえてるけどどこにも振り切れず無難に押さえた感じかなあと、感じました。 それより、音楽とか、出演者の伝説のアーティストの再現を優先したということでしょうか。 劇場では、泣いてる人もいて、上映後拍手も起こったりしましたが、上記のように個人的にまったく思い入れがなかったので、私にはそこまで深いレベルの感傷は、この話については、わからんなーという疎外感を割と覚えたりしました。 というわけで、音楽映画としては素晴らしく、QUEENに思い入れのある方には極上の映画かと思いますが、Not for meだったかなあと、そんな映画でした。[映画館(字幕)] 6点(2018-11-15 07:06:44)《改行有》

95.  GODZILLA 星を喰う者 《ネタバレ》 一応、三部作これまで見てきたので、これも観ました。 評判が微妙なのは事前観測済みで期待せずに行きました。 話の最終的なオチは、まあ順当というか、主人公の心情的にそうするしかないわなという感じで了承。 ただ、面白くできそうなネタはいっぱいあるのにそれは全スルーして、そこに落としますかいという。 CGは、頑張っててソコソコかっこいい感じではある(ギドラの絶望感はまあまあイケてるかと)んですが、予算の都合で無難に押さえてあまりはっちゃけれてない感じでした。 前作もそうでした。 個人的な希望としては、やっぱり前作でハルオがメカゴジラと合体してゴジラ・アースとタイマン・バトルするとか、あるいは今作のテーマに沿ってハルオがあくまで人であることにこだわるのであれば、代わりに意識不明になったユウコが覚醒してメカゴジラとなって戦うとかですね(動いてほしいのは、実写のような、ちゃんと立ち上がって動く方です。メカゴジラは「レディ・プレイヤー1」のが断然動いてましたね……)、そうやってメカゴジラがメカ怪獣としてプロレスバトルできることにしておけば、本話では、地球・世界を守るため、仇敵であるゴジラと手を取り合って、しかも地球のモスラも合わせて共闘して、異次元怪獣ギドラと対決する!!! という激熱展開もできたと思うんですね。 実にもったいない;;。 あとはまあ、本作は主人公ハルオがほとんど状況に流されるまま腑抜けみたいになってるんですけど、それにしてもメトフィエス(櫻井孝宏)を筆頭に、みんなハルオを好きすぎるだろうという、ハルオおよび、豪華声優さま方を愛でる映画としては一聴の価値ありと思います。解説役の博士も超楽しそうに喋りまくってていい感じです。 というわけで、まったく万人にはお勧めできない、コンニャク問答しまくり映画ですが、マニアックな嗜好が好きな方には、ネタとして観ておかれても良いかなという、そんな感じの作品でした。[映画館(邦画)] 6点(2018-11-15 06:44:56)《改行有》

96.  ごっこ 《ネタバレ》  2016年に亡くなられてしまった、小路啓之氏の漫画「ごっこ」が原作の映画です。  引きこもりのニート(パパやん)が、幼い娘(ヨヨ子)を単身育てる、ほのぼの親子話……と見せかけて、一筋縄では行かないエグい物語を、ポップに軽妙に描く(そして泣ける)という離れ業の原作を、いかに映画化するのか? を期待して行ったのですが、観た最後には、もうボロボロ泣いてました。今年一番泣いたと思います。劇場内も、そこかしこからすすり泣きの聞こえる、心を震わされる作品でした。  個人的にすごいと思ったのは、主演の千原ジュニア(パパやん)の顔面演技です。よく、小説や何かで「鬼の形相」とかいう描写をされることがありますが、アニメや映像効果を使えばそういうのは作れるんですけど、生の人間の表情で、あんな形相をすることができるのだと、心底、震えました。「そんなわけあるか」と、声を振り絞って言う、あの形相を、私は一生忘れられないでしょう。  平尾菜々花のヨヨ子も素晴らしく、子供っぽい無邪気な姿と、時折垣間見せる大人びた雰囲気と、パパやんとの心の触れ合いが、とにかく心の通った演技でグッとくる。  周りの人たちもそれぞれ心の通った演技をしてて、それぞれみんな良いんですけど、個人的には、主人公のパパやんといつも喧嘩する近所のオッサンとだんだん仲良くなってくのが好きです。  原作漫画を見ると、いったいこのダラダラ長い話をどう映画にまとめるんだ? と思うんですが、重要なエッセンスを的確に抜き出し、1個のまとまった流れの物語にして、なおかつ原作のメインテーマもきっちり押さえる(ある意味凌駕すらするところもある)……という脚本・編集も素晴らしい仕事をされてると思います。  あと、最近の似たテーマの映画として「万引き家族」がありますが、個人的には、是枝監督の「誰も知らない」→「万引き家族」を観た上で、この「ごっこ」を最後に観ると、すべてが報われるかと思います。フィクション・夢物語の力というものを、まさに見せてくれる、素晴らしい作品と思いました。  今年は、何年かに1度くらいのすごい作品がいくつもあって、泣ける系の映画も良作が多いのですが、もうこれ以上は来ないだろうと思ってたのが、こんなダークホースが現れるとは思ってもみませんでした。  上映館が非常に少ないのが苦しいところではありますが、こういう系統の作品が好きな方にはぜひ観ていただきたいところであります。[映画館(邦画)] 10点(2018-11-06 00:01:03)《改行有》

97.  ペンギン・ハイウェイ 《ネタバレ》 森見登美彦原作の、ライトなジュヴナイル……と見せかけて、結構ガチなSF作品の映画化(SF大賞受賞作)。 原作もとても好きで、アニメになったら映像が映えるだろうなあと思ってたら、期待以上のすばらしい美しい出来栄えで、原作知ってる方にもお勧めできます。 この映画ですごいと思うのは、あの結構難解で難しい原作の「オチ」を完璧に理解した上でプラスαの演出しているところです。 原作者様に、よほどしっかりした取材をされたのかと思われて、ちょっと感動してしまいました。 興味のある方は、ぜひぜひ原作もチェックされて、その差や、映像では説明されなかった諸々の謎についても確認されると、より面白さを味わえるかと思われます。 個人的には、大好きだった原作の「ウチダ君の証明」が端折られてしまったのが残念でしたが、枝葉のエピソードなので、まあー、しょうがないかなーと、納得はしてます(メインのアクションとか素晴らしかったし)。 というわけで、平成最後の夏の終わりにふさわしい、少年期の、ひと夏の終わりの物語の哀愁感+究極のSF的ハッピーエンドのドラマをご堪能いただければ幸いかと!(熱烈宣伝)[映画館(邦画)] 8点(2018-08-28 21:55:28)《改行有》

98.  バトル・オブ・ザ・セクシーズ 「リトル・ミス・サンシャイン」の監督コンビの新作です。 1970年代の女性解放運動の流れの中で、全米女子テニスチャンピオンのビリー・ジーン・キングが男子元チャンピオンのボビー・リッグスと世紀の対決します。 男女格差を扱った、社会派の、当時の時代の変わり目をよくとらえた秀作と思いました。 さて、あれから40年以上経ちましたが、今の日本はどんな状況でしょうか? などと思ったり。[映画館(字幕)] 7点(2018-08-13 16:20:10)《改行有》

99.  ダンサー・イン・ザ・ダーク 《ネタバレ》 この映画を劇場で観たとき、リアルの仕事環境が酷くて死にそうな状況だったのですが「どんな酷い状況でもミュージカルさえあれば魂は救われる」というテーマに、すごい救われたのを覚えています。 西欧の悲劇的話でよく、現実の主人公は肉体的に死んでしまうけれども、魂は神の御許に行って天国で幸せになるみたいな落ちの話がよくあるんですけど、キリスト教など信じてない人間からすると「そんなの信じられるかよ」「現実でうまく行ってる人が酷い死を迎えた人に対する罪悪感を晴らすためのごまかしでしょう」としか思えなくて、感情移入できたことが一度もなかったのですが、この作品では、確かに神(音楽の神様?)がいた。そのように感じられた、私にとって初めての作品でした。 DVDライナーノートの監督インタビューなんか見ると「ネタバレするな」的なことが書かれているので、ここでは明確には書けないのですが、この作品は、本当は、劇場で観る(聴く)のが良いと思います。 劇場版では冒頭の音楽の場面がずっと真っ暗でした(3分くらい?)。 DVD版だと抽象画のような映像が表示されて、元々の作品の意図が分かりづらくなってると思います。 で、最期の場面なんですが、劇場だとすごい良くわかるんですけど、家などの環境だと何が何だかわからないまま見過ごしてしまう(作品テーマ的には「聴き過ごしてしまう」)可能性が非常に高くて、ヘッドホンで、周りの雑音をすべてシャットアウトした上で観る(聴く)ことをお勧めします。 入門編として、工場のプレス機のSEをしっかり聴いてみて、そこで何が起こってるかがわかると良いかと。 以上、そんなところです。[映画館(字幕)] 10点(2018-07-29 12:18:52)《改行有》

100.  万引き家族 《ネタバレ》 個人的に、同監督作品の「誰も知らない」の続きと思って観てしまってたのですが、そう思って観ると終盤の少年の行動は当然そうするでしょう! と共感しました。 あと、是枝監督作品にしてはかなりエンターテインメントしていて(一般的には全くエンタメしてないかのように見えるでしょうが)、話のエンドはともかく、『救い』が多く描かれ、それらを描くために各役者の演技を極限まで引き出す演出、編集がされてて非常に良い出来で、これでパルム・ドール受賞は、それは取るでしょう、という充実した作品だったと思います。 実のところこの話のモチーフって、とても古めかしい、子供を拾ってきて居ついてしまいましたよとか、育ての親と生みの親のどちらが子供にとって良いのか? というコテコテの人情噺で、前世紀だとハッピーエンドで終わって、いい話だったねと終わるところが、今世紀では、それは単純に犯罪になってしまうし、法律によって生みの親に子供を託すのが何だか知らんけど社会的に正しいことだとされている(各種フィクションでそんなことねーよ! と指摘はそこらじゅうでされてますが)という風に、世間の方の価値観が変わってしまってることに対して、今のおまえたちはどう想像するんだこの結末を、と叩きつけるようなエンドになってるのが、視聴者に対する挑戦なのかなあと思ったりなんかしました。 例えば、主人公の親父と少年がわかれて最後に親父が追っかけたところで、映画の中ではカットされた、バスが止まって少年と親父が抱き合う場面が視聴者であるあなたは想像できますか? とか、女の子の最後のベランダの場面は、話の冒頭にあえて戻した演出をしてるんですけど、あそこで、「万引き家族」と言われて主人公の家族は違法とわかってるけれども助けることを選んだ。視聴者であるあなたの目の前に全く同じ状況が映画のエンドで提示される。そこで、あなただったら助けますか? とかいうところです。 この作品で描かれる貧困はリアルなようでありながらわりとファンタジー(そんなに悪い人は出てこない)という認識なんですが、この世間の想像力の欠如に対する訴えかけについて、 「他に教えられる事がなかったんですよ」 と、主人公が金を稼ぐために万引きしか教えられなかったことについて、教育もなく追い詰められて困窮した人だったら、それは仕様がないないよね、ととらえられるか、そんなのあり得ないだろうと拒絶するしかできないか、というようなところも問うてるかなあと思います。ホームレスなどの困窮者が表向き見えるところから排除されたことで(今はむしろ格差拡大で増えてさえしているかもと想像しますが)、そんなもの想像もできなくなってるだろうなあとか、自己責任論とか、あるいは裁判員裁判でそういった想像力の欠如があるので、困窮者でアル中まがいの状況になってる人がそんなつじつまの合ったまともな証言などできないだろう、ということに対して、裁判員に選ばれた人が驚くほど冷酷な反応をするとか、そんな話を伝え聞いたりしてると、こういう話に共感しがたい人も増えてるかなあと思ったりなんかもしました。[映画館(邦画)] 8点(2018-07-22 18:39:58)(良:1票) 《改行有》

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