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プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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1041.  ジャバウォッキー 《ネタバレ》 シュヴァンクマイエルの短編はどれも好きですが、コレと『家での静かな一週間』は別格です。多くの作品にみられる擬人化された無機物の動きと音楽のコラボレーションも、「繰り返し」を軸に展開させ最後にきっちりとオチをつける構成の妙もいつもどうりに完璧で、尚且つ余分なものが無い。内容はあいかわらずの不思議ワールドであるが、鳥篭に行き着くエンディングを見る限り、新作『ルナシー』同様に「抑圧」がひとつのテーマにあると思われる。女の子の人形に課せられる通過儀礼。試行錯誤の迷路は悪意無き黒猫になんども邪魔されながら(このときの「ア~ア~ア~・・」って音楽、最高!笑える!)成長した人形に待ち受けるのは社会の檻。抑圧の時代を生きたシュヴァンクマイエルにとってはこれもまたシュールレアリズム。[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-04-06 13:25:35)

1042.  肉片の恋 《ネタバレ》 生まれて初めて肉片に感情移入してしまった。あっという間に終わる短い作品ですが、監督のほかの作品同様にかなりの手間と時間を費やしているのは間違いなく、だからこそこの肉片には心が宿っている。「CGの映像は死んでいる」というシュヴァンクマイエルの言葉を実証するように。肉片は肉片らしく動き、肉片らしく踊り、肉片らしく抱擁する。[CS・衛星(字幕)] 7点(2007-04-05 13:36:49)(良:1票)

1043.  アリス(1988) シュヴァンクマイエルの作るコマ撮りアニメーションにはいつも不気味さとコミカルさが共存する。でもこの「不気味」な部分、「グロテスク」な部分こそが実は子供の視点としてリアルなものであって、「コミカル」な部分というのはシュヴァンクマイエルの中の大人の視点によって作品に作品らしさを吹き込んでいるだけにすぎないような気がする。そういう意味ではやっぱりこれは大人のための作品である。さらに「不気味」「グロテスク」を消し去ったディズニーの『不思議の国のアリス』も「子供に見せたい大人」のための作品であって、大人が不気味と感じるものを子供も不気味に感じるという妄想かもしれない概念によって作られているのだと思う。今度、機会があったらこの『アリス』を子供に見せてみようか。意外と「不気味」「グロテスク」と感じずに普通に楽しむかもしれない。気持ち悪いと言って触れない虫やナメクジを子供のときは平気で触って遊んでいたように。ちょっと勇気がいりますが。[DVD(字幕)] 7点(2007-04-04 12:01:38)

1044.  庭園 《ネタバレ》 いつもの「モノ」を擬人化するのとは反対に「ヒト」を「モノ」として描く。そこにはチェコ全体主義が揶揄されているわけですが、チェコの人たちにとっては揶揄というには解かりやすすぎるくらいの描写らしく、だからこそ長きに亘っての上映禁止処分となったのでしょう。家(国家)を守る人垣。人垣となる人の面々にはおじいさんもいれば妊婦さんもいる。服装も様々でそれぞれの人垣に至る経緯に興味を抱いてしまいます。この世界に存在する音の強調と共にシュールレアリズム全開!(ネタバレもなにもあったもんじゃないと思うけど一応ネタバレに)[CS・衛星(字幕)] 7点(2007-04-03 16:09:58)

1045.  ルナシー 《ネタバレ》 精神病院を舞台にした管理する者と管理される者の、抑圧と自由のせめぎ合い、という簡単なお話ではない。『まぼろしの市街戦』は正常と異常があって主人公は二者択一に迫られる。『カッコーの巣の上で』は抑圧と自由があって主人公は戦う。この『ルナシー』は結果的には病院を仕切る二つの方法が描かれるがそれだけで終わらない。二つの方法とは「完全な自由」と「徹底した監視と体罰」。冒頭に監督自身が言ったもう一つのやり方が描かれない。でも実は描かれていた。以前シュヴァンクマイエルについて書かれた物を読んだことがあるのですが、そこでたしか「完全なる管理」について語ったものがありましたがそれが描かれていました。この作品はストーリーは実写で描かれ、その合間にいつものシュヴァンクマイエルらしいグロテスクな舌や肉がストーリーの進行とは関係なく映される。でもストーリーには繋がらなくてもこの舌や肉は確実に話をなぞっている事に気づきます。ラストカットはラップで包装された肉。透明なラップ。管理されていることに気づかない管理。冒頭で監督がもう一つのやり方について言う。「それが使われているのが我々の住む狂った世界」。  哲学的ホラーとはよく言ったもので、ここで書ききれるほどの浅い作品ではありません。侯爵のあきらかなモデルとなっているサド侯爵について知りたくなりました。知ることによってこの作品のもっと深いところに行き着きたい。そんな欲望を奮い起こさせる刺激的な作品です。[映画館(字幕)] 8点(2007-04-02 17:39:22)(良:1票)

1046.   傑作『アカルイミライ』以降、黒沢清はホラー以外のジャンルを撮るだろうと思ったし期待してたのですが、またホラーかよ!と思いつつもそもそも黒沢清の映画は「ホラー」だとか「ミステリー」だとかというより「クロサワキヨシ」というジャンルの映画と言っても過言ではなく、この『叫』もまたとびっきりの「クロサワキヨシ」だったので結局のところ予想どおりたいへん満足できました。「アカルイミライ」のために埋め立てられ、途中で放置された場所を舞台に、まるで『CURE』の殺人のように人は何かに誘導されて殺人を犯す。殺人現場に残る自分の痕跡(偶然にも同時期に公開中のトニー・スコット『デジャヴ』と酷似!)に『ドッペルゲンガー』を彷彿させ、多くの黒沢映画に登場する「幽霊」と「終末」が描かれる。『ニンゲン合格』や『大いなる幻影』がこの世界に存在することの意味を問いただしたように幽霊は人間であったときの存在を無にしようとする人々を許さない。どこを切っても「クロサワキヨシ」でありながら常に進化し続けるクロサワ映画。同じようで同じじゃない。切り口を変えるだけで全く新しい映画にしてしまう。「見なかったことに」がもたらす恐怖。この映画、けして「見なかったことに」なんてできません。[映画館(邦画)] 7点(2007-03-30 14:36:13)

1047.  河(1997) 《ネタバレ》 汚い河で死体の役をした翌日から首に痛みを感じ、いろいろな治療を試みる、という上辺のストーリーはことごとく要点だけが映され間がスッポリと抜け落ちている。心情までもが省かれる。しかし上辺のストーリーとは一見関係のない、例えば雨漏れのシーンだとか、父の一人での食事だとか、家の中でのただトイレに行くときの家族のすれ違いだとか、母とその愛人らしき男との何をするでもないシーンだとかは長すぎるくらいの長回しで映される。映画は息子に襲った奇病という「事件」を描かずにそれぞれの孤独を描き出す。その徹底ぶりが独特の作風を作り出す。そして「事件」を描かないからこそ見えてくるものを提示し、「事件」を描かずとも映画が成り立つことを証明している。ホテルの窓から這い出してゆく主人公の行く末は映されない。しかし常にどんよりとした暗さを見せてきた画面が最後に光を映している。実に映画的なエンディング。[ビデオ(字幕)] 7点(2007-03-29 11:23:57)

1048.  侍(1965) ストーリーが実に良く出来ている。面白いと思う。でもよく出来たストーリーゆえに全編が説明で支配されている。とは言ってもその説明もまた実にうまくこなしている。退屈になりがちな説明をテンポをつくるクローズアップの画を差し込みながらの早いカット割りで見せることで間延び感を出来るだけ廃し、怒りや悲しみといった内面の描写を極力排除し物語をシンプルに進行させることで活劇たらしめている。それでも東野英治郎が説明する回想シーンはややくどい。[ビデオ(邦画)] 6点(2007-03-28 14:07:06)

1049.  鳥(1963) 小学生くらいでテレビで見たのが最初で、ヒッチコック作品としても初体験となった今作は、私にはっきりとトラウマを植えつけた。「鳥」に対してではなく「ヒッチコック」に対してのトラウマである。劇場初体験の『JAWS/ジョーズ』は間違いなく「サメ」に対するトラウマ的な不安を長らく持たされることになったのだが、この作品はやっぱり「鳥」ではなく「ヒッチコック」。たしかに「鳥」は怖かった。でも小学生の私の脳裏に焼きついたのはあの母親の焦点の合わない目であり、小さな子供を抱えた女のヒステリックな顔なんです。はっきり言っちゃいますが、コレで「ヒッチコック」を嫌いになりました(今は立ち直りました)。幸いにも「女」に対するトラウマでなかったことが救いです。で、思ったのですが、何人かの方も「鳥」と「女」を関連付けたレビューをされてますが、この鳥はやっぱり女の象徴ですよ。集団ヒステリーですよ。女が一番怖いってことですよ。と、支離滅裂な結論で逃げる私はまだトラウマを克服しきれていないようです。 あと初見時のプチトラウマがもう一つありました。淀川さんの顔。「怖いですね」って言ってる顔が嬉しそうだったから。[DVD(字幕)] 7点(2007-03-27 14:00:56)(笑:1票)

1050.   冒頭の猪狩りの主役はどこまでも青く続く広大な山々。唯一家族がそろったシーンを唯一陽光まぶしい晴天としたこだわりの中で、丘の頂点に立つ人物を別の丘から撮るという贅沢。カメラから何百メートルではきかないかもしれない距離をおいて演技をする俳優たち。人間の小ささと共に舞台の背景である「世界」を最大限に見せてくれる。後半でも野村萬斎が城跡に佇む超ロングショットが無常観を醸している。一方、合戦シーンは全体を捉えずにまるでカメラが合戦のど真ん中にあるかのようにその躍動だけを見せてくる。台詞回しは不自然な舞台劇風。もちろんその時代の自然な会話というものを知らないのであくまで私見ですが、仕切りの無い、あるいは無いように見せた世界で演劇をする。つまりは映画は嘘の世界であり作られた世界であるということを前提に、でも視点は無限にあるのだという監督の映画観の表れのような気がしました。とにかくこの妥協無き画は天晴れである。[ビデオ(邦画)] 7点(2007-03-26 14:16:42)(良:1票)

1051.  陽のあたる場所 物語は金で目がくらみ人間らしさを見失ってしまったための悲劇、つまり資本主義を糾弾したものがベースにあるのですが、カメラはメロドラマを捉える。その背景には撮影時の赤狩りに対処したという事実があるらしいのですが、まちがいなくエリザベス・テイラーの美貌がメロドラマへの欲求を加速させています。そして訪れる、肩越しから超どアップで捉えたチュー!!映画史上に残る美しいキスシーン。リズの美貌があのシーンを可能にし、あのシーンがリズのその後の活躍を確約したといっても過言ではないと思う。そして物語はこのシーンへ向けて進み、このシーンが余韻としてその後のシーンに影響を与えている。[DVD(字幕)] 7点(2007-03-23 13:28:55)(良:1票)

1052.  ジャイアンツ ロック・ハドソンとエリザベス・テイラーの出会いが描かれる冒頭の東部でのシーン、そしてガラッと情景が変わる西部へ。このあたりが実に期待を抱かせる素晴らしい画作りに溢れていて好きです。その後人種差別という避けては通れぬ暗い影を主人公が堂々とあからさまに見せ付ける。妻の訴えで偏見が消えてしまうというような生易しいものではない空気をじゅうぶんに見せ続けたからこそ、ラストのレストラン騒動が心地よい。ただこの映画はそれだけの映画ではなく、妻に恋する一牧童のジェームス・ディーンのストーリーも描かれる。とくに中盤からはジェームス・ディーンがメインといってもいいくらいに画面を支配する。後半になってくるとまるで別の映画のようにテーマが拡散してゆく。ジョージ・スティーブンスのこの映画にかける情熱は称えたい。ホントにじゅうぶん伝わってくる。が、この作品は欲張りすぎてただ壮大さだけが残ってしまった感が拭えない。ジェームス・ディーンが名優であることを再認識させるものとはなっているが、この作品ではもっと脇に徹するべきだったと思う。[DVD(字幕)] 6点(2007-03-22 11:43:39)(良:1票)

1053.  アンネの日記(1959) 《ネタバレ》 150分のやや長尺の作品ながら、そしてそのほとんどが隠し部屋という限定された空間が占めるにもかかわらず、全く退屈感を抱かせずに見せきったのは、原作の持つ真摯なメッセージよりも脚本と演出の力によるところが大きいと思う。ユダヤ人迫害の悲惨さよりもあくまで多感な時期の少女の多感さゆえの不安や喜び、家族との確執や恋愛を映し続けることで、画面にはけして映らない悲惨な状況がよりズシンと響く。モノクロ映画なのに最後の屋根裏部屋での陽光を浴びた二人のせつないキスシーンはカラーで記憶されています。[DVD(字幕)] 7点(2007-03-20 13:23:48)

1054.  有頂天時代 アステアとロジャースのコンビで作られた作品ってのはそもそもダンスと歌を見せる作品なわけだから、当然超一流のダンスが拝めるのは当たり前で、それだけで満足できる方も当然おられるだろうし、おられるのも納得の華麗なダンスが満載なのですが、もともとダンスなり歌の鑑賞なら断然生(ナマ)でしょ!と思う私にとって、また特別にアステアとロジャースのファンでもない私にとってはイマイチ高揚感を得られなかったりする。それはこの作品に限らないのですが。とは言うもののコメディとしてのノリもよく、展開のテンポもよいので、ダンスシーン以外でけっこう楽しめました。ダンスシーンではなんといっても影とのダンス。あそこは魅せてくれます。[DVD(字幕)] 6点(2007-03-19 19:06:05)

1055.  不良少女モニカ 《ネタバレ》 「今日の映画界にあって『國民の創生』と同じ役割を果たしている」とゴダールに絶賛され、ヌーベルヴァーグの監督たちに多大な影響を及ぼしたという本作は『夏の遊び』同様に「若き日」を同じくあっという間に過ぎ去ってしまう「眩しい夏」にリンクさせて見せる。大人社会から脱出し北欧の夏を満喫する若い男女。そして当然やってくる終焉の日。若い男はすさんだ大人社会に適応しようと懸命に働く。愛する女と自分の子供のためにという目的があるから。しかし若い女は自分の子供ですら自らの自由を奪う社会の一部にしか見えない。女は自らを堕落させてゆく。それを象徴するシーンがレストランだかバーだかで昔の恋人と思われる男と会っているときの、画面を観る我々に向けた恐ろしいまでに冷たい眼差しである。もうこの後は見なくてもわかる、それほどまでに強烈にその後を暗示させるシーンであり、ついさっきまで画面にあった夏の陽気が嘘であるかのように観る者を凍りつかせる。そしてとんでもない映画を観ているのだと、この瞬間自覚するのである。[映画館(字幕)] 8点(2007-03-16 19:03:39)

1056.  夏の遊び 《ネタバレ》 「初めて何から何まで自分のもの、という感じの映画が撮れた」とベルイマンが言うところの本作は、神の不在だとか性の問題だとかという難しいテーマが一切無い、実に甘酸っぱい悲恋の物語である。回想で綴られるひと夏が瑞々しく描かれ、またその回想が作品の大半を占めるのですが、青春時代のキラキラ感というかその一瞬にしか出せない陽気さというものが見事なまでに再現されています。その中で『歓喜に向って』でも主演したマイ・ブリット・ニルソンが眩しいくらいに青春の陽気を発散する。ベルイマンの多くの作品に見られる鏡を使った演出も、本作が最も意味深く、最も印象深く効果を発揮している。鏡に映ったバレリーナは涙を拭いて新しい自分を見つける。そうやって大人へと成長する。[映画館(字幕)] 8点(2007-03-15 17:13:04)

1057.  歓喜に向って 《ネタバレ》 ベルイマンの作品群の中ではあまり評価されていないようなのですが、私はおもいっきり泣きましたよ、これ。『歓喜に向かって』の「歓喜」はラストに演奏されるベートーヴェンの第九「歓喜の歌」のことなのですが、そこにはもうひとつの意味が露にされます。物語は妻の事故を知らせる電話から始まり妻の死を知らされるところから回想に入ってゆきます。そしてラストで現実に帰り、その死を受け入れて前を向こうと懸命に演奏する男と、その姿を見つめる幼い息子、そしてその息子を見つめ返す父の中にまさに「歓喜」が宿るのです。音楽という芸術を通して芸術家であることの困難さが描かれる一方で、「歓喜」へと導く芸術の力を見せつける。感動作というベルイマンらしからぬ作品でありながらも、映画も演劇もまた大衆の歓喜の源であるべきというベルイマンの声が聞こえてきそうな作品でもあります。スウェーデン・サイレント映画の巨匠であり、ベルイマンの師でもあるヴィクトル・シューストレムのまさに主人公の師としての演技がポイントポイントで和やかさと笑いをもたらし、作品全体を軽やかにしている。[映画館(字幕)] 8点(2007-03-14 13:10:16)

1058.  処女の泉 《ネタバレ》 娘を殺され、自らも人を殺めた男が教会を建てると誓う。このシーンがあるせいで泉があたかも神のお告げのような印象を与えているが、どうやらこのラストシーンは脚本家がどうしても入れたかったシーンであり、一方ベルイマンは入れたくなかったシーンだそうです。ということであれば解かる。ベルイマンが他の作品の多くに取り入れたように、この作品もまた神の不在が語られる。古代の宗教とキリスト教。貧しい者と裕福な者で神が異なるという矛盾。人を信じる者の理不尽な顚末(スウェーデン映画史上初めての繊細な強姦シーンがことさらに理不尽さを強調する)。復讐のための人殺し。そして罪から救われるための祈り。全ての人が祈るが自分のための祈りでしかないことは画面が伝えている。けして光が仰がれるわけでもなく、空が映されるわけでもなく、ただひたすら祈る人々だけが画面に映される。そして湧き出る泉がむなしく映される。[映画館(字幕)] 7点(2007-03-13 15:38:05)

1059.  魔笛(1974) ベルイマンが「オペラ」で認める2作品のうちの1つがこの「魔笛」なのだそうです。この作品を観た際にオペラを専門とする方のトークショーがあったのですが、第二幕がモーツァルトのスコアよりも構成がうまくわかりやすいと絶賛されていました。難解にとられがちなベルイマンですが、彼は映画はエンターテイメントだと言い切っています。そしてそのエンターテイメントは観客のためにあると。それが顕著に表れているのがこの作品だと思う。上記の第二幕の脚色もそうですが、本来のドイツ語ではなくスウェーデンの子供たちにもわかるように(そもそもテレビ放映用に作られている)スウェーデン語が使われており、さらに歌のシーンで字幕板まで登場します。それでもちゃんとオペラ歌手を使って作ってあります。一部の富裕層だけに楽しまれる「オペラ」を大衆にまだ引き下げ、いやこの場合“引き上げた”と言う方が的確でしょうか、つまり芸術は全ての人が楽しむ権利を持っているということがベルイマン思想の根底にあることがじゅうぶんに伺われます。クローズアップの多用はオペラグラスで観た視点ということかもしれませんが、映画だけが持つ視点でもあり、真上から、あるいは真後ろからの視点という劇中劇でありながらも演劇には不可能で映画では可能な視点の提供は「これは映画である」という主張のような気がしました。とにかく「映画」と「オペラ」を楽しみました。[映画館(字幕)] 7点(2007-03-12 16:24:48)

1060.  リオ・ブラボー 『真昼の決闘』を西部劇ではない!と断じたホークスとウェインの正真正銘の西部劇。たしかに『真昼の決闘』は社会派映画としての隠喩が色濃く、西部劇が娯楽の王道であるならば、かなり逸脱していると言えよう。それはそれで面白いと思うのだが、強い保安官(もちろん女には弱い)に強い絆で結ばれた助っ人たちが手強い状況に屈することなく、そして観客にもこいつらならやってのけるという期待をどんな窮地にも抱かせながら、その期待にちゃんと応えてくれるこの映画は王道の中の王道としていつまでも色あせることなく楽しめるのだ。『真昼の決闘』のプロットを使うのはちょっとずるい気もするが、何かを伝えるために映画を作るのではなく、ただ観客に愛される映画を作るという気概だけで、こんなにも楽しい映画が出来てしまう。どんな映画にもこれが根底にあればちゃんと誰かが認めてくれる。またそういうのは画面に透けて見えてくる。[DVD(字幕)] 7点(2007-03-09 18:38:01)(良:1票)

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