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プロフィール
コメント数 1888
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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101.  三島由紀夫VS東大全共闘 50年の真実 《ネタバレ》 1969年5月、その日、東京大学駒場キャンパスのある教室は異様な熱気に包まれていた。何故なら、反体制を掲げ時に過激な行動で世間を騒がせた東大全共闘と世界的ベストセラー作家として名声を欲しいままにする三島由紀夫との討論会が行われたからだ。観衆も含め1000人を超える学生グループとたった一人敵地ともいえる教室へとやって来た大作家。片や共産革命を掲げる左翼思想グループ、片や天皇崇拝を主張し国家主義を是とする右翼的作家。真っ向から主義主張の異なる両者の対決は、文字通り命を掛けた激しい激論となった――。本作は、長い間テレビ局の倉庫に眠っていたそんな貴重な映像を再編集して50年目の今日、新たに世間に公表しようと試みた挑戦的ドキュメンタリーだ。中学生だった頃に三島由紀夫の傑作『仮面の告白』を読んで衝撃を受けた自分としては、感慨深いものを感じながらの鑑賞となった。当時の異様な熱気を生々しく写し取った映像は最後まで緊張感が途切れず、両者の激しい舌戦はまるで激しい格闘技を見ているかのような感覚にさせられる。特に、三島由紀夫の生涯のテーマとも言える「世界を変えるのは認識か行動か」という重要な思想が時折垣間見えるのが興味深い。高度な知性によって世界を変革しようという三島氏と文字通り暴力も辞さない行動によって世界を変えようという学生たちとの討論が最後まで噛み合わないのは当然だが、三島がそんな学生たちに理解を持って接していたのが印象的だった。もしかすると氏は、学生たちに深い羨望のようなものを感じていたのではないか。あくまで文筆活動で戦後のぬるま湯に浸かり切ったような日本を変えようとした三島氏が最期、あのような暴挙に出たのはもしかするとこの討論会で学生たちが見せた清々しいまでの若さに影響されたのかもしれない。もちろんかなり穿った見方であることは承知の上だが。ただ、討論会の途中から急に登場する、この時代のひろゆきみたいな芥氏という人物。この人の存在が自分は最後まで不快で仕方なかった。ずっとへらへらしながら自分以外の人間を小馬鹿にしているようなその態度が終始鬱陶しい。幼い娘を抱えながらこの討論会に参加しているのだが、それも「娘の子育てに忙しい自分が、ここで面白そうなことをしているみたいなのでなんとなく参加しただけだし」という言い訳を最初から用意している感じがしてなんとも不愉快。現在の年老いた芥氏にインタビューしているシーンもあるのだが、ここでも変わらず人を小馬鹿にしたような態度で「人ってどれだけ年取っても変わらないものだ」と思わず笑ってしまった。こんな男に最後まで真摯に対応した三島氏の度量の深さには改めて尊敬の念を抱かずにはいられない。反対に、悔恨を感じながらもあの頃の自分たちを肯定せざるを得ない心境で滔々と告白する全共闘の当事者たち。行動を起こしながらも結局世界を変えられなかった彼らには、三島の最後の長編『豊饒の海』にも通じる無常感すら感じる。この貴重な映像を50年後の今日、公開してくれた制作陣に改めて敬意を表したい。[DVD(邦画)] 8点(2023-02-13 09:13:15)

102.  パーフェクト・ケア 《ネタバレ》 彼女の名は、マーラ・グレイソン。認知症を患い判断能力の衰えた高齢者を対象に、本人に代わって生活の基盤を守ることを目的とした会社を経営する若き成功者だ。身寄りがない、もしくはとてもケアを保証できない身内ばかりの高齢者を、裁判所の正式な許可を取って成年後見人となり、財産の管理、住居の確保、介護サービスの拡充などを行っている。誰もが幸せな老後を過ごせる権利を尊重するそのビジネスモデルは、現代のマザー・テレサと呼ぶにふさわしい素晴らしいものだった――。だが、その実態は、裏で手を回した医師に誇張した診断書を書かせ、結託した介護施設に高齢者をほぼ軟禁すると、その財産を骨の髄まで搾り取るという悪徳後見人だ。どれだけ親族に訴えられようが豊富な資金と優秀な弁護士とで徹底的に退ける。そうして多くの高齢者を生かさず殺さず抱え込み、日々莫大な利益をあげることに成功している。「この世は、奪う者と奪われる者しかいない」と豪語するそんなマーラが今回目をつけたのは、高級住宅地で独り暮らしをしている高齢女性。身寄りがなく、仲の良い友人もいない。しかも金融機関で長年働いてきた彼女は莫大な貯金を貯め込んでいた。「彼女こそ私が待ち望んでいた金の卵だ」。さっそく嘘の診断書を手に裁判所へと向かうマーラ。いつものように彼女を介護施設に無理やり入所させることに成功すると、その財産を徹底的に査定・売却してゆく。だが、マーラはまだ知らなかった。その〝金の卵〟には、恐るべき裏の顔があることを……。冒頭から流れるように見せられる介護ビジネスを巡る暗部には驚くばかり。高齢者を人間とも思わず、ただ金を生み出す家畜のようにしか考えていない介護施設や医師、そして主人公が経営する介護ケアサービス会社。本当にこんなことが行われているのではないかと思わせる、妙にリアルなところがとても恐ろしい。『ゴーンガール』でついた強烈な悪女イメージをさらに更新するようなロザムント・パイクの嵌まりっぷりが見事。新たなターゲットとなった高齢者が実は主人公を上回るような闇組織の加護にあったというのもピカレスク・ロマンとしてぞくぞくするような面白さがありました。とにかく全員悪人ばかり。でも、何故か惹き付けられるこの感覚は、『ナイトクローラー』以来かも。ただ黒幕であるピーター・ディンクレイジが登場してからは、ちょっと自分が求めていたものと違う展開となってしまったのが残念。このまま介護ビジネスの暗部を巡る社会派サスペンスとして更なる闇を見せてくれるのかと思いきや、途中からマフィアの裏金を巡る普通のクライムドラマとなってしまい自分は少し肩透かし感がありました。もう少し、この介護ビジネスの酷い内幕を活かしてほしかったですね。とは言え、ピーター・ディンクレイジの不気味な存在感も良かったし、彼とパイクとの極悪対極悪の対決は見応え充分。最後まで充実した映画体験をさせていただきました。[DVD(字幕)] 8点(2023-02-13 08:03:16)

103.  西部戦線異状なし(2022) 《ネタバレ》 凄惨を極めた第一次大戦下のヨーロッパを舞台に、愛国心から志願した若き一兵士の目を通して戦争の真実を見つめた反戦ドラマ。過去に何度も映画化されたドイツの作家レマルクの古典的反戦小説『西部戦線異状なし』を再び映像化したという本作、今年のアカデミー作品賞はじめ数々の部門でノミネートを果たしたということで今回鑑賞。いやはや、予想していたこととは言え、凄まじい内容でした。汚泥と硝煙に塗れた塹壕戦はこちらにまで血の臭いが漂ってきそうなほどリアルで、観ているだけで胃のあたりが重くなります。さっきまで和気藹々と話していた同僚の兵士が上官の命令とともに出撃し、呆気なく命を落とすシーンは戦争の不条理を否が応でも分からせてくれますね。そんなこと気にもしない国の上層部は、きれいな広い部屋で豪華な食事にありついている……。戦争の実態をこれ以上ないくらい皮肉たっぷりに描いている。そして最後。あと15分で停戦が成立するというのに、将軍の意地とプライドのために再び出撃させられる一兵士たち。まさに無駄死にとしか言いようのない絶望感漂うラストは、戦争の虚しさをこれでもかというほど訴えかけてきます。自分や自分の大事な人がもしこの場に居たらと思うと堪えられない……。今も同じようなことがウクライナで起こっているのだろう。ますます混迷の度を深めてゆく現代社会に於いて、真に観るべき映画の一つと言っていい。[インターネット(字幕)] 8点(2023-02-13 07:05:32)

104.  アイダよ、何処へ? 《ネタバレ》 1995年、冷戦終結により勃発した民族紛争が泥沼化していたボスニア・ヘルツェゴビナ。ムスリム勢力の町スレブレニツァはセルビア側の激しい攻撃の末、とうとう陥落してしまう。2万5千人におよぶ町の住民たちはたちまち難民化、安全を求めて国連平和維持軍が駐留していた基地へと一斉に雪崩れ込んでくる。当初は住民たちを受け入れていた国連側も余りの数の多さに途中で受け入れを拒否。結果、基地の周りには行き場を失くした町の住民たちが大勢なす術もなく立ち尽くすことに――。国連の通訳として働く元高校教師アイダは、そんな難民の中に自分の家族も含まれていることを知るのだった。夫と2人の息子だけでも基地に入れてほしいと上官に懇願するアイダ。だが、更なる混乱を恐れた上官は彼女の要望を拒否する。到底納得できないアイダは、何とかして家族を安全な基地内に引き入れようと画策するのだが、さまざまな手続きの壁に阻まれどうにもうまくいかない。そんな折、セルビア側の司令官ムラディッチ将軍から住民を安全な場所に移動させるので速やかに引き渡せとの要請が国連側に届く。何か信用できないものを感じたアイダは、家族とともに逃げようとするのだが……。デビュー以来、一貫してボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争を題材とした映画を撮り続けるヤスミラ・ジュバニッチ監督の最新作は、そんな過酷な運命に翻弄される一人の女性を通して戦争の不条理を冷徹に見つめたヒューマン・ドラマでした。この監督の作品は今回初めて観ましたが、全体を覆うひりひりするような緊張感がとにかく真に迫っておりました。この時代、この地で実際に撮られたドキュメンタリー映画なんじゃないかと思えるくらい。そんな中、ただ家族を救いたいがために奔走する主人公。国連にたまたま通訳として現地採用されたというだけで、軍人でも実力者でもない単なる一市民のエイダに出来ることなんてたかが知れている。それでも愛する子供たちをなんとしても救おうと駆けずり回る彼女には胸が締め付けられる思いでした。でも、そんな過酷な現実は彼女だけのものではなく、ここに押し寄せた2万5千人の全ての人々にそれぞれの事情がある。そう思うとやはりやり切れない思いにさせられます。みんな普通に生活していただけなのに。そして最後に辿り着く悲惨な現実――。戦争の愚かさをこれ以上ないくらい痛感させられてしまいます。過去を乗り越え、気丈に振る舞っていたエイダがそれでも最後に辿り着いた場で泣き崩れてしまった姿に自分も思わず涙してしまいました。最後に表示される、「スレブレニツァの女性たちと殺害された8372名の息子・父・夫・兄弟・いとこ・隣人に捧ぐ」というテロップが重い。ただただ最後、彼女が育てた教え子たちがいつまでも平和に過ごせることを祈るばかり。人間の愚かさと悲哀を鋭く捉えたなかなかの秀作と言っていい。[DVD(字幕)] 8点(2023-02-10 08:33:06)

105.  アンテベラム 《ネタバレ》 南北戦争真っただ中のアメリカ南部の田舎町。白人に誘拐され綿花農場で奴隷として働く女性エデンは、横柄な白人に日々虫けらのような酷い扱いを受けていた。日中はいつ倒れてもおかしくない過酷な労働を強いられ、夜は白人の主人に無理やり夜の相手をさせられる。少しでも抵抗しようものなら激しい制裁を受けることに。北軍が勝利しまがりなりにも奴隷が解放されるのは、まだ先の話。エデンは、生まれてくる時代を間違えたのだと自分を納得させるしかない。それでも彼女は希望を捨てず、残してきた大事なもののため密かに農場脱出を図るのだが――。一方、現代のニューヨークに生きる社会学者ヴェロニカは、黒人で女性という自身のアイデンティティ解放のために日々活動を続けている。優しい夫にも支えられ、愛する娘と充実した毎日を送るヴェロニカ。だが、そんな彼女を疎ましく思っている保守派のまなざしは、彼女が成功すればするほどより厳しさを増してゆく。ある日、仲の良い友人たちと久しぶりのディナーを楽しんでいたヴェロニカに怪しい影が忍び寄ってくる……。過酷な時代を生きたある無名の黒人奴隷と現代に華々しく生きる黒人社会学者、一見何の繋がりもない二つの物語はいつどこで交わることになるのか?実力派女優ジャネール・モネイがそんな異なる時代を生きる女性を演じたことでも話題となったサスペンス・スリラー。とにかくこの監督のセンスに尽きると思います!冒頭、不穏な音楽をバックにワンカットで撮られた農場のシーンで掴みはバッチリ。これから何かとてつもなく嫌なことが起こりそうな息詰まるようなこの空気感を、開始10分で作り出せるのは大したものだと思います。その後、主人公の黒人奴隷としての不条理極まりない現実を延々描いた後で、突如として現代の洗練されたニューヨークへと舞台が移るのも素晴らしい演出。正反対の立場にいる女性たちを同じ女優が演じることで、これまで黒人が受けてきた不当な差別の歴史を浮き彫りにさせることに成功している。彼女たちは違う時代に生を受けた生まれ変わりなのか――。そう思わせといてからのことの真相の明かし方ももはやセンスしか感じません(スマホの音!)。まぁ肝心の真相は荒唐無稽でリアリティ皆無のものだったのですが、ここまでセンス良く見せられると素直に受け入れられちゃいますね。社会派映画として充分良く出来ているのに、サスペンス映画としても普通に面白いのも大変グッド。主人公に徐々に迫ってくる危機の見せ方なんてぞくぞくする怖さがありました。特にタクシーの中で主人公が暴行を受けてるのに、隣を走る友人たちは知らずにはしゃいでるシーンは「あぁぁぁ!」と変な声が出ちゃいましたわ。この監督の知的で品のいいセンスはこれから要注目。次作が楽しみな才能にまた出会えてしまいました。[DVD(字幕)] 8点(2023-02-10 07:31:08)

106.  消えない罪 《ネタバレ》 彼女の名は、ルース・スレイター。過去、保安官を射殺した罪で捕まり、20年も服役して今日出所してきたばかりの哀しい女性だ。当然仕事もなければ貯金もゼロ、両親はすでに亡くなり友人ももはや音信不通、頼るあてもない。そんなルースの唯一の心の拠り所は、彼女が捕まったときに離れ離れとなってしまった幼い妹の存在だった。当時5歳だった妹との生活は、これまで辛いことばかりだったルースの人生の中で一番光り輝いていた瞬間だった。だが、これまで獄中から何度も手紙を書いたが返信は一切なし、面会すら叶わず、知っていることは風の便りに何処かの裕福な家庭に養子に貰われたという情報だけ。生きていれば今頃25歳になっているはず。小さな水産加工会社に採用され働き始めた彼女は、独力で妹の行方を捜し始める。でも、警官殺しの過去は簡単には彼女を許してくれない。世間からの厳しい目に晒され、次第に孤立してゆくルース。さらには事件の遺族から嫌がらせの電話まで受けるように。どんどんと追い詰められてゆくルースだったが、相談を聞いた優しい弁護士から妹の居場所を突き止めたとの知らせが届き……。許されざる罪を犯してしまった孤独な女性の更生の日々を淡々と見つめたヒューマン・ドラマ。世間から孤立し、次第に行き場を失くしてゆくそんな元犯罪者を演じるのは実力派女優サンドラ・ブロック。観ればみるほど気が滅入るような陰鬱なお話なのですが、監督の丁寧な演出のおかげで最後まで惹き込まれて観ることが出来ました。刑務所から出所してきたばかりの彼女の日常をひたすら追うのではなく、彼女と偶然知り合うことになった弁護士一家、彼女と生き別れ今は義理の家族と幸せに暮らしている妹、そして彼女に父親を殺された被害者遺族、それぞれのドラマに焦点をあてる演出は相当巧み。互いに信じる価値観や信念があり、それが相容れないためにどんどんとぶつかり合ってゆく様は、誰もの気持ちが分かるぶん切なさが半端ないです。ただ唯一の肉親に会いたい主人公、今やかけがえのない家族の一員である娘を守りたい義理の親たち、主人公に父親を殺され人生をめちゃくちゃにされた兄弟……。「きっとこれは誰も幸せにならない暗い結末を迎えるんだろうな」と正直、げんなりしながら観ていたのだけど、でも、最後のシーンで自分は救われたような気持ちになりました。確かに現状は何も変わっちゃいない、何なら事態はますます複雑で不幸になるかもしれない。それでも主人公は最後、生きる希望を取り戻した。不幸で理不尽な現実に微かな希望の光を当てる、慈しみに満ちた秀作。[インターネット(字幕)] 8点(2023-01-30 08:05:12)

107.  グレイマン 《ネタバレ》 常に死と隣り合わせの危険な任務ばかりを請け負う、CIAの極秘部隊、通称「グレイマン(見えない男)」。その正体はいつでも使い捨てに出来る凶悪な元犯罪者ばかりで構成された部隊だった。CIA高官にスカウトされて獄中生活から抜け出して以来、30年も人知れず活躍しているエージェント、シックスもその一人。今回彼にくだされた任務は裏社会で暗躍する武器商人の暗殺。簡単に終わるミッションのはずだった。だが、標的であるはずの犯罪者は殺される直前、彼にあるものを渡し、衝撃の告白をする。「俺もお前と同じグレイマンだ。CIAは俺たちをハメようとしている。頼む、このデータを公にして組織に復讐してくれ」――。すぐさまCIAの幹部によって、最重要ターゲットにされてしまったシックス。世界中の暗殺者に命を狙われながらも、陰謀を暴くために世界を駆け巡る彼だったが……。巨大な陰謀に巻き込まれた凄腕エージェントの活躍を世界的スケールで描いたエンタメ・アクション。監督はマーブルアベンジャーズシリーズを幾つも手掛け、現代エンタメ映画界を牽引するルッソ兄弟。自分は、アンチアベンジャーズの人間なんでこの監督の名はもちろん知っていたのですが、今回初めて鑑賞してみました。いやはやこれが素晴らしいエンタメ映画に仕上がっていて、めちゃくちゃ面白いじゃないですか!!冒頭から怒涛のように続くアクションシーンが終始キレッキレでサイコーに楽しかったです。「どうやって撮ってんだ、これ」という空間を自由自在に動くカメラワーク、誰がどこで何をしているかがちゃんと分かるように計算されつくした編集、とにかくお金を掛けたであろうゴージャス&スタイリッシュなアクション。もうどれもこれも完璧でした。特にプラハでのカーチェイスは最近観たアクション映画の中では出色の名シーン。世界を救うためとは言え、さすがに破壊しすぎちゃいまっかという突っ込みはナシですね(笑)。まぁストーリーは王道中の王道で驚きなど一切ないベタなものだけど、ライアン・ゴズリングをはじめとする登場人物がみんな魅力的なので最後までワクワクしながら観れちゃいます。あのクリス・エバンス演じる冷酷非道なのに何処かお間抜けな悪役もいい味出してましたね~。ただ、上司が2人も自己犠牲で死んじゃうのはやり過ぎかな。ここは1人で良かったように思う。あと、ペンチで爪を剝がすシーンは痛いから止めて!とは言え、自分は充分大満足。アベンジャーズシリーズも一段落したようだし?ルッソ兄弟、これからはこんな面白い映画をいっぱい撮ってね![インターネット(字幕)] 8点(2023-01-26 07:06:30)(良:1票)

108.  ナイブズ・アウト:グラスオニオン 《ネタバレ》 そこは数多くの謎が隠された、〝グラス・オニオン(ガラスの玉ねぎ)〟の島――。独創的なアイデアで巨万の富を築き上げたIT企業CEO、マイルズ・ブロン。稀代のミステリー好きでもある彼は、恒例となっているあるゲームを今年も開催するのだった。それは、風光明媚なギリシャにある孤島に参加者を集め、彼のシナリオに沿ったミステリーゲームを行い誰が先に真相を突き止めるか競うというもの。マイルズからの招待状を手に、さっそく意気揚々とその絶海の孤島へとやって来た古い友人たち。再選を狙うアメリカの州知事、天才の名をほしいままにする科学者、影響力絶大の人気ユーチューバーカップル、世界中に工場を持つアパレル会社社長とその秘書、そして彼とは長い裁判闘争を続けていたはずの共同創始者……。そこに何故か、招待していないはずの孤高の名探偵ブノワ・ブランまで顔を揃えている。不審に思いながらもいつも通りミステリーゲームの開催を宣言するマイルズ。だが、その直後マイルズが計画していたものとは違う、本物の殺人事件が発生するのだった。慌てふためく参加者たち。果たして誰が何の目的で事件を起こしたのか?誰もが疑心暗鬼に陥る中、やがて第二の殺人が起きてしまう……。風変りな名探偵ブノワ・ブランが再び難事件へと挑む人気ミステリーシリーズ第2弾。前作以上に豪華キャストを揃えて制作された本作、これが前作以上に面白い極上のエンタメ作品に仕上がっておりました!!様々な仕掛けが施された「招待状」を参加者たちが悪戦苦闘しながら開封する冒頭部で、もう掴みはバッチリ。そこからギリシャのグラス・オニオンへと舞台を移してからは最後まで怒涛の展開で、ホント息つく暇もありません。存分にお金をかけたであろうゴージャスな映像とそれぞれに思惑を抱えた癖の強いキャラクターたちが織りなす腹の探り合い、そして二転三転するテンポのいい脚本…。観客にとにかく楽しんでもらおうという監督の思いが伝わってきて大変グッド。全編に散りばめられた上質のユーモアも素晴らしい。主催者のエドワード・ノートンが自信満々に前口上を述べた後、ダニエル・グレイグ演じる名探偵がすんなり謎解きするシーンで思わずにんまり。エドワード・ノートンの苦々しい顔がもうサイコーでした。ジェレミー・レナーの激辛ソースとか普通に笑っちゃったし。肝心のミステリーも散りばめられた伏線が全て後半に回収されるという手際の良さでなかなか考えられてますなぁ。まさか途中でお話が事件前夜にまで戻るとは予想外でしたが、それも全然不自然には感じず。最後のモナ・リザの扱いなんてかなり不謹慎だけど、爽快感は抜群!いやー、潔いまでにエンタメに拘ったサイコーに楽しい作品でした。続編、期待して待ってます!![インターネット(字幕)] 8点(2023-01-09 06:20:06)

109.  ギレルモ・デル・トロのピノッキオ 《ネタバレ》 命を宿した木彫りの人形の大冒険を描いたイタリア児童文学の名作『ピノッキオ』。アニメや実写などこれまで何度も映像化されてきたこの名作を今回クレイアニメという手法で映画化。しかも監督はなんとギレルモ・デル・トロ!これは観ないわけにはいきますまい。早速インターネットで鑑賞してみました。そんな僕の期待を裏切らない、素晴らしい出来の作品でした!とにかく圧倒的に手間暇かけたであろう映像が凄い。見た目はちゃんと手作りの人形なのにここまですべらかに動くんですから、いったいどれだけの時間をかけたのやらと気が遠くなりますなぁ。ゼペット爺さんに造られたという主人公の造形も思いっ切り木彫り感が残っているリアルな質感で、可愛すぎず気持ち悪すぎずという絶妙の匙加減でした。嘘をついたときに伸びるハナも思いっ切り普通の樹木なのも拘りが感じられて良い。当時のムッソリーニ政権がもたらしたファシズムの暗い影をテーマとした物語も深みがあって非常に良かったです。声優陣も豪華で、特にコオロギのクリケット氏を演じたユアン・マクレガーが声だけなのに彼と分かるほどの存在感が凄い。最後の歌声なんて聞き惚れてしまいました。ウサギたちが働く死者の国もユーモラスで大変グッド。僕の大好きな『パンズ・ラビリンス』を髣髴させる、この何処か暗い世界観がとにかくツボでした。うん、なかなか面白かったです。8点!![インターネット(字幕)] 8点(2022-12-27 04:52:38)(良:1票)

110.  ビッグバグ 《ネタバレ》 時は2045年。人類は、高度に発達した科学技術とAIにより自ら思考し行動するロボットに頼り切った生活を送っていた。全ての家事をこなすお手伝いロボと豪華な一軒家で暮らす中年女性アリスもそんな一人。ある日、彼女の家に偶然6人の人々がやってくる。アリスと親密なお付き合いをしているテレビプロデューサー、彼に無理やり連れてこられた息子、今は新しい妻と新婚ほやほやなアリスのかつての夫、その妻、彼らが新婚旅行に行く間この家で過ごすことになっているアリスの娘、そして迷い込んだ飼い犬を捜しにたまたまやって来たお隣のおばさん――。表面上は和気藹々と過ごしていた彼らに、突然悲劇が訪れる。なんと急に家のロックが掛かり、開かなくなってしまったのだ。どうにかしてドアを開けようとするも、AIに全てコントロールされたセキュリティは住民にはどうにも出来ない。しばらくすると彼らは衝撃の事実を知ることになるのだった。量産型人型ロボット「ヨニクス」が反旗を翻し、なんと人類を奴隷にしようと言うのだ。果たして、家の中に閉じ込められたそんな7人とロボットたちの運命は?近未来を舞台に、ある一軒家に閉じ込められた人々の右往左往をスラップスティックに描いたブラック・コメディ。監督は、『アメリ』や『天才スピヴェット』で有名なジャン・ピエール・ジュネ。僕の大好きな監督の最新作ということで、今回期待して鑑賞してみました。そんな僕の期待を全く裏切らない、素晴らしい出来の作品でしたね、これ。正直、この映画に中身などこれっぽっちもありません。ただひたすら監督の悪ふざけ一歩手前のドタバタを延々見せられるだけ。なのに、最後までワクワクしながら観ていられたのは、ひとえにこの監督の遊び心溢れるセンスのなせる技なんでしょう。とにかくオシャレ!お手伝いロボをはじめとするアンドロイドたちのキュートさなんて、もう最高でした。このお手伝いロボが人間の見栄や嫉妬や愛情をいちいち数値化して驚くところとか最高に皮肉が効いていて大変グッド。他にもアインシュタイン型ロボやレトロなお掃除ロボもみな魅力的で、自分もこんな家に住みたいなんて思っちゃいました(たぶん3日で限界迎えそうだけど笑)。対する人間たちも全く負けておりません。性欲持て余し気味の奥様カップルに意識高い系の元夫夫婦、そして思春期拗らせティーンエイジャー。特に死んだ犬のクローンを何匹も飼ってる隣の家のヒステリー気味マダムとか、鬱陶しいのに妙に憎めないところなんてまさにジュネって感じですね。後半のヨニクスがやってきてからのドタバタも終始センス爆発で最高に面白かったです。最後のオチはいかにもB級SF映画って感じのキレの良さで思わず拍手。ポップなセンスと底意地の悪さだけでこんな愛すべき佳品を撮れちゃうジュネ監督はやっぱり凄い!うん、何処までもついていきます~~。[インターネット(字幕)] 8点(2022-12-22 08:37:50)

111.  ゾンビーワールドへようこそ 《ネタバレ》 子供の頃に入隊したボースカウトを未だに続けている高校生、ベンとカーター。2人の大親友でスカウトが生きがいのオギーの手前、今すぐ辞めたいとはとても言い出しづらくもはや惰性で続けていた。そんなある日、2人はクラスのイケてる女子に今夜開催される秘密のパーティーへのお誘いを受けるのだった。しかもそこにはヤリ〇ンで有名な女の子もたくさん出席するらしい。「これで俺たちも童貞卒業だ!!」。降ってわいた事態に思わず浮足立つ2人。でも、今夜は前々から約束していたオギーとのキャンプの日。考えた末に彼らは、オギーが寝静まった夜中にキャンプを抜け出し、パーティー会場へと向かう計画を立てる。だが、彼らは知らなかった。同じ頃、近くのバイオ研究所から大量のゾンビが逃げ出し、付近の住民に手当たり次第襲い掛かっていることを――。偶然知り合ったストリップバーのセクシーなお姉さんとともにゾンビが支配する町を脱出しようとする2人。ところがパーティーにはカーターのお姉ちゃんも出席していた。事態を知ったオギーとも合流した彼らは、ボーイスカウトで身に着けた様々な技術を駆使し、パーティー会場へと向かうのだが……。冴えないボーイスカウト3人組が大量のゾンビどもと戦う姿をコミカルに描いたサバイバル・アクション。とにかく面白かったです、これ!!冒頭のいかにも殺され要員のアホアホな清掃員がゾンビに喰われるシーンから掴みはバッチリ。続いて登場する主人公3人組のいかにも童貞というイモ臭い感じがもうサイコーでした。奥手な主人公とおっぱいのことしか頭にない友達とのおバカな会話も終始ニヤニヤが止まらなかったです。そして襲ってくる大量のゾンビたちとの死闘!どれもお約束のベタなものばかりでしたが、どれも見せ方が凝ってるので最後まで飽きさせない。ゾンビに囲まれているのに巨乳ゾンビのおっぱいは一応揉んどくあいつとか、トランポリンでおじさんゾンビのあれを命綱にしちゃう主人公とか、スカウトの隊長の家でトイレを借りる太っちょのあいつがトイレットペーパーを重ねて置いて使うとか、細かいネタがいちいち面白い。あと、好きな女の子の部屋でパーティー会場を記した日記を捜すシーン。女の子の下着がたくさん入った引き出しに動揺して思わず閉めちゃう主人公なんていかにも童貞ぽくて大変グッド(しかも結局日記はこの中にあったし!笑)。白いタンクトップにホットパンツというお約束な格好のおねーさんがお色気ムンムンなのもポイント高い。彼らが最後、ホームセンターで拵えたお手製武器でゾンビの巣窟へと乗り込むシーンは、ベタですけどやぱ最高にテンション上がっちゃいました!この3人のなんだかんだ仲間思いなとこもよいね~。うん、なかなか面白かった!8点![DVD(字幕)] 8点(2022-11-28 06:33:58)(良:1票)

112.  17歳の瞳に映る世界 《ネタバレ》 ペンシルバニアの田舎町で平凡な毎日を送る17歳の高校生オータムは、何処にでもいるような普通の女の子。保守的な両親の元、スーパーのレジ打ちのバイトをしながらただなんとなく日々を過ごしている。そんなある日、オータムはもう一か月以上も生理が来ていないことに気づく。密かに訪れた町の産婦人科で診察してもらった彼女に告げられたのは、妊娠10週目という事実。予想もしていなかったことに思わず動揺してしまうオータム。とてもじゃないが両親に話すことは出来ない。そもそも産んで育てる勇気もない。だが、彼女が暮らすペンシルバニアでは、未成年の妊娠中絶には両親の同意が必要だった。ここから遠く離れたニューヨークに行けば、お金さえ払えば手術を受けられる――。ネットで調べてそのことを知ったオータムは、唯一の親友でバイト仲間のスカイラーとともに夜行バスへと乗り込むのだった……。中絶手術を受けるためにニューヨークへと向かう17歳の2人の少女の旅路を終始淡々と見つめたガールズ・ロードムービー。そんななんともネガティブなお話なのに、あまり暗さを感じさせないのはこの監督のリリシズムに満ちた詩的センスによるところが大きい。それぞれに孤独を抱えたこの少女たちの旅路は終始不安定で今にも壊れてしまいそうな危うさが漂っているのに、非常に美しく洗練されている。この感性はなかなかのもの。親身になって相談に乗ってくれていると思っていた、地元の産科医のおばちゃんがゴリゴリの中絶反対派だというのもリアル。一日で終わると思っていた手術が、この産科医の誤診のせいで二日かかってしまうというはなんとも皮肉ですね。すぐにお金もなくなり、泊まるあてもなくなって次第に追い詰められてゆく2人。親友がお金を稼ぐために会ったばかりの男とキスをするシーンで、柱の陰で主人公と密かに手を繋ぐところはとても切ない余韻を残してくれます。この二人の友情が永遠に続けばいいと願わずにはいられない名シーンでした。他にも、中絶前にカウンセラーが幾つも質問する中で、最初は服用している薬だとか病歴だとかだったのが最後の方で男の暴力についての質問に変わってゆくシーン。最初は気丈に振る舞っていた主人公が次第に涙をこらえられなくなるところも、男の身勝手な欲望への女性たちの静かな怒りが感じられ色々と考えさせられます。全てが終わったあと、空虚な笑顔で会話する2人、虚しさと充実感が入り混じって何とも切ない。エンドロールで流れる歌がまた染みます。とにかく2人の等身大の魅力にやられました。シスターフッド映画の新たな地平を拓いた、なかなかの秀作と言っていいんじゃないでしょうか。この監督、これから要注目ですね。[DVD(字幕)] 8点(2022-10-18 04:15:50)

113.  ウィリーズ・ワンダーランド 《ネタバレ》 ようこそウィリーズワンダーランドへ――。ここは夢と希望に満ち溢れた、イタチのウィリーとその仲間たちがお出迎えしてくれる夢の国。いつでも陽気な音楽が流れ、美味しいホットドックとコーラが君を楽しませてくれるぞ。ピンボールみたいな面白いゲームも盛りだくさん、時間が経つのも忘れて夢中になれること間違いなしだ。そして、君の誕生日には更なるサプライズ!!パパやママも巻き込んでの最高にハッピーなパーティーの開催だ。ワニのアーティ、妖精のサラ、カメレオンのキャミーなんて愉快な仲間たちも君を祝ってくれるぞ!!でもね、ちょっと待ってくれ。今、大人の事情で遊園地はお休み中なんだ。何があったの?なんて子供は聞いちゃダメダメ。大人になればそのうち分かってくるからね。でも、良い子のみんなは心配しなくて大丈夫!今、久しぶりのオープンに向けて、とびっきり優秀なお掃除スタッフが一晩掛けてピッカピカにしてるとこなんだ――。と言う訳で、そんな倒産した遊園地の清掃員として雇われたのは、毎度おなじみニコラス・ケイジさん。スタッフ専用のウィリーズTシャツを着て、もはや廃墟同然の夢の国を明日にも再開できるように一晩掛けて掃除するのが彼の仕事だ。そんな黙々と働く彼の背後に忍び寄る怪しい影が……。そう、ここのアニマルロボットたちには殺人鬼の霊が宿り、生きた人間を見ると見境なく襲ってくるのだ!!果たしてニコジーは殺人ロボットの妨害に負けず、無事にお掃除を完了できるのか?というお話。いや、何なんですか、これ(笑)。久々にきましたね、こんなぶっ飛んだ映画。まさか、ニコラス・ケイジが最後まで一言も喋らないなんて!彼の長いキャリアでも初なんじゃないかな。そんな無言のニコジーがひたすら掃除してひたすらアニマルロボットと戦ってたまに休憩中にエナジードリンク飲んでピンボールを楽しむ…。本当にたったそれだけなのになんでこんな面白いんでしょう!明らかに着ぐるみなのに、これをアニマルロボットだと言い張る強引さ(妖精なんて仮面付けた単なる人間じゃん!笑)もバカバカしすぎて大変グッド。そんなロボットをひたすらボコボコにするニコジーも負けず劣らず変なのも良いですね~。時間になったらどれだけ敵が暴れていようが休憩してドリンク片手にピンボールって、この監督、どんな頭しとんねん。途中参加してくる地元の不良グループもアホアホすぎてサイコーでした。特に、何処でも発情しちゃう巨乳のビッチおねーちゃん。文字通り昇天したいがためにエッチしちゃったとしか思えません。んで、最後はグラサンでキメた無言のニコジーとヒロインが何故かくっついて荒野へと旅立って終わり。いやー、清々しいほどに中身がないですね~~~。と、もはや何もかもがぶっ飛びすぎててサイコーに面白かったです。ニコラスさんの映画はたまにこういうのが来るから止められないのよね。[DVD(字幕)] 8点(2022-09-16 07:11:23)(良:1票)

114.  ガンパウダー・ミルクシェイク 《ネタバレ》 彼女の名は、サム。幼い頃から弱肉強食の裏社会で生きてきた凄腕の殺し屋だ。強大な力を有する犯罪組織「ファーム(会社)」に所属し、日々くだされる過酷な任務を神経をすり減らしながらこなしている。同じく暗殺者だった母親は15年前にへまを犯して組織を逃げ出し、以来行方不明のままだ。そんなある日、サムに極秘の任務がくだる。それはファームの金を盗んで逃亡した会計士を殺し、盗まれた金を全額回収してくるというものだった――。すぐさまターゲットが泊まるホテルへと向かうサム。だが、その会計士は9歳になる娘を人質に取られ、脅されて仕方なく金を盗んだだけだった。早く金を持っていかなければ娘の命すら危うい。それでもファームは、子供なんて知ったことか、今すぐ金を持ってくるんだの一点張り。「そんな!子供を見殺しになんて出来ない!」。自身の悲しい過去から、サムは子供を救い組織を裏切ることを決意する。9歳の少女とともにそんな彼女が逃げ込んだのは、表向きは図書館でありながら裏では殺し屋たちに武器を密売する危険な女たちの砦だった……。男たちが仕切る強大な犯罪組織を相手に孤軍奮闘する女殺し屋たちの活躍をノンストップで描いたバイオレンス・アクション。リアリティなどはなから度外視、荒唐無稽な漫画みたいなお話なのですが、全編に漂う独特の雰囲気、徹底的に無駄を削ぎ落した分かりやすい脚本、キレッキレのアクションの連続に僕は最後までテンション上がりっぱなしでした!とにかく主人公サムをはじめとする女たちがカッコ良すぎ!全員キャラ立ちしまくった図書館の3人の女殺し屋はもちろんのこと、サムとバディを組む9歳の女の子エミリーがかわいすぎました。腕が麻痺してしまったサムのために彼女がハンドルを操作するカーチェイス・シーンは、監督のセンスが炸裂しまくりで思わず拍手。実は生きていた母親と図書館の女たちが組織の男どもを相手に武器を振り回すシーンで、ジャニス・ジョプリンを流すなんて反則過ぎますわ~。全編にセンスの良いユーモアを散りばめてるのも大変グッド。クライマックス、サムが図書館の色んな本に隠された武器を捜しながら戦うシーンは、バカバカしすぎてサイコーでした(この図書館どーなっとんねん!笑)。何気に、女たちの自立と連携を意味するシスターフッド的視点をテーマとしているのも現代的で良いですね。うん、面白かった!8点![DVD(字幕)] 8点(2022-09-02 07:30:46)

115.  スティルウォーター 《ネタバレ》 彼の名は、ビル・ベイカー。オクラホマ州スティルウォーターで長年石油採掘業に従事し、現在は建設関係の日雇い仕事で食いつなぐ平凡な男だ。妻は何年も前に亡くなり、今は狭い借家で一人暮らし。唯一の肉親である一人娘のアリソンは現在フランスにいて、もう何年もアメリカには帰ってきていない。何故なら、アリソンは今、マルセイユの刑務所に服役中だから――。そう、彼女は当時恋人だった女性を殺害した罪で捕まり、刑務所でもう5年も過ごしているのだ。娘と久しぶりの面会を果たすため、この地を訪れたビル。面会室で再会したアリソンは、彼にとあるお願いをする。それは彼女の無実を証明できるかもしれない新証人を見つけてほしいというものだった。「分かった。父さんが何とかする」と約束し、娘と別れたビル。だが、担当弁護士に話してもまともに取り合ってくれない。そればかりか、ビルはマルセイユの土地勘もなくフランス語もろくに話せない。途方に暮れるビルは、偶然知り合った幼い娘を女手一つで育てる舞台女優ヴィルジニーの手を借り、マルセイユの街を奔走するのだが……。監督は、前作でアカデミー賞の栄誉に輝くトム・マッカーシー。いかにも彼らしい丁寧な演出と考え抜かれた脚本の力が光る佳品に仕上がってましたね、これ。ほとんど説明もないまま、この主人公の父親がフランスの娘へと会いにゆく旅路を淡々と描いた一連の冒頭シーン。留学中の娘に会いにいくのかと思いきや、どうやら娘は刑務所にいるらしいと段々と分かってくるところから、もう観客の心を掴むことに成功しています。セリフの一つ一つが全て意味をなし、編集や音楽の使い方もばっちり、のちに重要な登場人物となるシングルマザーの親子との出会いもとても自然で気が付いたら物語の世界にどっぷりと浸っている自分が居ました。この父親が娘の無実を晴らすために奮闘するストーリーかと思わせながら、後半、主人公を助けてくれるシングルマザーとの大人の恋愛ドラマへと変貌する手際の良さも見事。マット・デイモンをはじめとする役者陣の熱演も素晴らしく、特に9歳とは思えぬ演技を披露したマヤ役の女の子。この子の表情豊かな存在感がこのともすれば重くなりがちな物語にいいアクセントを与えてくれています。彼女と、刑務所から仮出所してきたアリソンが初対面するシーンは何とも微笑ましく、その後、刑務所に戻ったアリソンの行為には思わず悔し泣きしてしまいました。そして、大事な人と出会い、新たな生活を手に入れたと思われた主人公がそれでも犯してしまう罪。駄目だと分かっているのに、大切なものを失うかもしれないのに、それでも止められなかった彼には思わず共感。人生は後悔の連続だが、それでも大事な人のために生きていこうと決意するビルの最後の表情が切ない余韻を残してくれます。なかなか見応えのあるヒューマン・ドラマの秀作でありました。[DVD(字幕)] 8点(2022-08-24 06:44:02)

116.  パーム・スプリングス 《ネタバレ》 よくある話だろ、同じ日が永遠にループするって――。砂漠に囲まれたリゾート地パーム・スプリングスでひらかれる友人の結婚式。彼女とともに招待を受けたナイルズは、当日の朝、高級ホテルの一室で目を覚ます。ホテルの窓から見渡せる美しい風景や美味しいお酒を心ゆくまで堪能し、彼はひと時の非日常を楽しむのだった。披露宴ではただいま倦怠期真っただ中の彼女をほったらかし、偶然知り合った花嫁の姉サラと意気投合。そのままサラと会場を抜け出すと、誰もいない砂漠で良い感じになる。すると突然、ナイルズは謎の老人に襲われ、弓で肩を撃ち抜かれるのだった。だが、「あーあ、今度は弓か…」とさも当然のように矢を引き抜くと、ナイルズは近くにある洞窟で赤い光を放つ謎の石へと滑り落ちてゆく――。次の瞬間、何故かナイルズはまた結婚式当日の朝に目を覚ます。いつものように彼女と交わす会話、ホテルのプールでのんびりと飲むお酒、そして昨日と同じく始まる披露宴……。そう、彼は同じ日が何度もループするという謎の現象に見舞われ、もう何万回も同じ日を繰り返しているのだ。だが、今回のループはいつもと違う。急に怒り狂ったサラが彼に詰め寄って来たのだ。なんとサラも赤い光へと飛び込み、同じように無限ループの中へと囚われてしまったらしい。果たして二人の運命は?同じ日が永遠に繰り返されるという不条理な事態に囚われた男女を終始軽快に描いたタイムループ・ラブストーリー。何も期待せず、ただゴールデングローブ賞ノミネートということで今回鑑賞。これが意外や意外、監督のセンスが随所に光る小気味の良いエンタメに仕上がっていて、すんごく面白かったです。何よりストーリーの見せ方が抜群に巧い!このタイムループの複雑なルール設定を冒頭10分で自然に分かりやすく伝える監督の手際の良さには素直に脱帽。凡百の同ジャンルの作品がこのルール設定の詰めが甘いせいで後半グダグダになることが多い中、本作はここら辺がしっかりしているので最後まで飽きさせません。なかなか考え抜かれた良い脚本じゃないですかね、これ。それに主人公が嵌まり込む無限ループに他のキャラが途中参加してくるというのもけっこう斬新。ループに巻き込まれたことを恨んで何度も復讐に来る老人に殺されるシーンとか、その手法がどれもバラエティに富んでいるのも大変グッド。ここら辺、ループ物のツボをしっかり押さえていて、観ていて楽しい。そして最後、刺激はないけど安定した毎日か、何が起こるか分からないけれどそれでも未来に向けて進むのかという選択を迫られる主人公。何処か安部公房をも髣髴させる哲学的なテーマをさりげなく提示するその手腕の鮮やかさも見事。いや、この監督、もしかしたら将来大化けするかもです。[DVD(字幕)] 8点(2022-06-12 04:09:27)

117.  ディア・エヴァン・ハンセン 《ネタバレ》 親愛なるエヴァン・ハンセンへ。今日はきっと君にとって素晴らしい一日になる――。内向的で誰にも心を開けない孤独な高校生、エヴァン・ハンセン。精神的に不安定で抗鬱薬を手放せない彼はある日、カウンセラーに言われるまま、自分へと手紙を書いてみる。それは誰にも読まれることなく自分だけの手紙になるはずだった。ところがその手紙は、学校一の問題児として有名だったクラスメイトのコナーが偶然手に取ってしまう。薬物を濫用し、ことあるごとに暴力沙汰を起こすコナー。そんな彼に当然、エヴァンは返してもらうように言う。ところがコナーは、馬鹿にしたような態度で手紙をポケットに仕舞うと、その場を去ってしまうのだった。数日後、エヴァンは学校から衝撃的な事実を知らされることに。なんとコナーは、長らく苦しめられてきた薬物依存の後遺症から自ら命を絶ってしまったのだ。そして、彼の唯一遺された形見はポケットに仕舞われていた〝親友〟への手紙だった――。それは自分が書いたもので、彼とは親友でも何でもない。哀しみに暮れ、エヴァンのことを息子の唯一の親友だと思い込んだ両親に、彼はそんな真実を言うことが出来なかった。さらにはコナーの妹ゾーイに密かに想いを寄せていたエヴァンは、自らが書いた文章を彼からのメールだと偽って両親に見せてしまう。すぐにばれるような些細で杜撰な嘘。だが、彼の唯一の〝親友〟として追悼集会でスピーチした彼は、精神的に苦しむ人たちの共感を一気に受け、次第に時の人となってしまう……。孤独で内向的な青年がついたとある嘘を巡り、現代社会で生きづらさを抱えた人々の間に拡がってゆく波紋を瑞々しく描いた青春ミュージカル。監督は、決して特別ではない人々の人生の光と影を美しい映像の中に描き出すスティーブン・チョボスキー。いかにも彼らしい、キラキラと光り輝くような映像と観る者の心に直接訴えかけてくるような音楽の融合は素晴らしかったです!薬物依存、発達障害、家庭内暴力、そして自殺……。ともすれば非常に暗くなりがちなこれらのテーマをあくまで明るくポップにミュージカルとして描くという離れ業を、決して嫌味にならず映像化してみせたこの監督のセンスには素直に脱帽です。見事な歌唱力を披露してくれた主人公は当然のこと、脇を固めるジュリアン・ムーアやエイミー・アダムスというベテラン勢もいい仕事している。彼が思わずついてしまった嘘は確かに許されることではない。それでも自分も若ければ、まして恋焦がれる女の子の気を惹くためなら同じことをしたかもしれない。そう思わせるところも巧い。彼の嘘がいつばれるのかとひやひやしましたが、この痛々しさもまた青春あるある。若いころ、自分も同じような失敗をいっぱいしてきましたしね。最後、全てを失ってもそれでも前を向いて生きていこうとする主人公には思わず共感。人は誰しも弱い生き物で傷つくことで成長してゆくのだということを改めて教えてくれる、青春ミュージカルの佳品でありました。お薦め![DVD(字幕)] 8点(2022-05-18 05:12:53)

118.  Swallow スワロウ 《ネタバレ》 超一流企業の御曹司と結婚し、誰もがうらやむような生活を手に入れた専業主婦ハンター。ニューヨーク郊外の一等地に建つ豪邸に住み、自由気ままな日々を過ごしている彼女は、最近妊娠が判明し、これからますます幸せになることが約束されていた。だが、横柄でプライド高い夫は常に仕事が第一で妻の話などろくに聞こうとしない。何かと干渉してくる夫の両親も結局、産まれてくる子供にしか興味がない。そんな実は孤独で満たされない毎日を過ごしていたハンターはある日、ふとした好奇心からガラス玉を吞み込んでみるのだった――。次の日、トイレでようを足してみると、そこには昨日吞み込んだガラス玉が何事もなかったように存在していた。何かをやり遂げたような充実感を味わったハンターは、その日から次々と異物を呑み込んでゆく。画鋲、口紅、小さな置物、そして電池……。当然、それは夫とその両親にも知られることとなり、ハンターは無理やりカウンセリングと24時間監視する介護人をつけられてしまう。それでもハンターは、何かを呑み込みたいという衝動を抑えることが出来なかった……。異食症という心の病に侵された専業主婦の孤独な日常を美しい映像で綴ったヒューマン・ドラマ。今回この作品で異食症なるものをはじめて知りましたが、いやー、ちょっときつかったですね~。ビー玉や安全ピンまではまだ耐えられましたが、剝き出しの画鋲を呑み込んじゃうシーンとそれをトイレで排出するシーンはさすがに痛々しく観てられませんでした。血がべちゃっと付いてる便器の中に手を突っ込んで画鋲を探すとか正直、「誰得やねん、この映像!」と思わず停止ボタンを押しそうになっちゃいましたわ。でも、色彩感覚あふれる映像や知的でおしゃれな音楽の使い方など、全編にわたって監督のセンスをビシバシ感じるのでついつい観続けることに。すると中盤、主人公の衝撃の過去が明らかにされ、そのトラウマからこのような行動に走ったのだと分かると俄然、作品世界に惹き込まれている自分がいました。なるほど、これは男の身勝手な欲望に振り回される女たちの切実な哀しみに寄り添った物語だったのですね。女は子供を産む機械だと思っているような男たちへの一種の復讐として異物を呑み込んでしまう主人公。子供なんか産みたくないのに男のために仕方なく子宮を差し出した自分への罰という側面もあるのだろう。最後、様々な女性たちが行きかう女子トイレの映像で終わるのも良いセンスしている。そう、女はそれぞれに男が知らない悩みを抱えているのだ。とは言え、生理的に受け付けないシーンが幾つかあったので自分はもう一度観るのはちょっときついです。この監督の才能は確かだと思うので、次は違うテーマの作品を観てみたいですね。[DVD(字幕)] 8点(2022-05-04 05:45:56)

119.  すべてが変わった日 《ネタバレ》 マーガレットとジョージは長年連れ添った熟年夫婦。もはや老境に差し掛かろうかという歳になった彼らは、人生の良い時も悪い時もともに乗り越えてきた。中でも一番辛かったのは、結婚し赤ん坊が生まれたばかりだった一人息子が、乗馬中の事故でこの世を去ってしまったこと。それでも遺された孫だけを生きがいにこれまで頑張ってこれた。そんな孫の母親であるローナが、この度再婚することに。「大丈夫、二人の新居はすぐ近くの町だし、いつでも会いに行ける」――。そう自分に言い聞かせるマーガレットだったが、ある日、可愛い孫に手を挙げる義父の姿を目撃してしまうのだった。さらには、何の断りもなくローナが義父の実家へと引っ越してしまう。いやな予感に押しつぶされそうになるマーガレット。居ても立ってもいられなくなった彼女は、元保安官であるジョージに孫を探して連れ戻そうと提案するのだった。義父の実家がノースダコタにあるという情報のみを頼りにオンボロ車で旅立つ夫婦だったが…。息子を亡くし失意の中に生きてきた初老の夫婦が、連れ去られた孫を探して旅する姿を描いたロード・ムービー。名優ダイアン・レインとケビン・コスナーがそんな長年連れ添った夫婦役を演じているということで今回鑑賞してみました。とにかくこの二人の、本当に夫婦としてずっと暮らしてきたんじゃないかとしか思えないくらい自然な姿にやられちゃいました。もはや人生の終わりが見えてきただろう二人の枯れた佇まいがとてもいい。そんな夫婦が古い車で旅する前半部分は何とものんびりしていて、でも息子を亡くしたという哀しみも充分に伝わり、上質のロード・ムービーを観ているようでした。ところが後半、孫を強引に家へと連れてきた義父家族が登場してから作品の空気ががらりと変わります。特にこの家族を精神的に支配するお祖母ちゃんの強烈な存在感!次に何をするか分からない不気味な言動がすんごく怖い。でも、こういうきっついおばさんって結構居るよねと思わせるところがまた巧いです。物語はここから、明らかに虐待を受けているだろう孫とその母親を主人公夫婦がどうにかして救い出そうともがく展開になってゆきます。この脚本も良く出来ている。血縁的には孫にあたるのだけど、息子が死んで母親が再婚したのだから法律上は赤の他人。客観的に見れば、明らかにこの主人公の方が誘拐犯となってしまう。ここら辺、何とも歯痒い。そんな八方塞がりの状況を打開するために夫婦が最後に取った行動……。きっと孫を救うにはこの方法しかなかったのだと思うと、何とも言えない切ない余韻を残してくれます。観終わった後、「良い映画を観たなぁ」としみじみ思える良品でありました。[DVD(字幕)] 8点(2022-03-29 02:02:41)

120.  ヒルズ・ハブ・アイズ 《ネタバレ》 ここはかつて政府による極秘の核実験が行われ、放射能によって汚染されてしまったアメリカの砂漠地帯。一帯は強固なバリケードによって封鎖され、中に入るには完全密閉された防護服を着ないと危険は免れない。そんな見捨てられた地にある日、キャンピングカーに乗った何も知らない一組の家族が通りかかる。定年退職を機にカリフォルニアまで旅する元刑事とその子供たち、長女とその娘婿の間にはまだ生まれたばかりの赤ん坊もいる。だが、そんな平凡な家族を丘の上から虎視眈々と見つめる謎の目が――。何もない砂利道で急にパンクするキャンピングカー。携帯も通じず、見渡す限り何もないこの不毛の地で途方に暮れる家族たち。そんな彼らに突如として異形の者どもが襲い掛かってくるのだった。銃を手にしたとても人間とは思えない恐ろしき怪物たちは、家族を一人、また一人と血祭りにあげてゆく。訳も分からずパニックへと陥る平凡な家族たち。果たして奴らは何者なのか?核実験による放射能で突然変異をおこした異形の者どもによって、恐怖のどん底へと叩き落される家族をノンストップで描いたスプラッター・スリラー。監督は、その容赦のないゴア描写で一世を風靡したアレクサンドル・アジャ。彼が悪名高い『ピラニア3D』で一気にメジャーになる前に撮ったという本作を今回鑑賞してみました。率直な感想としては、いやー、相変わらず中身がないです(笑)。でもその分、やり過ぎ残虐描写には相当気合が入ってます。斧で脳天直撃から始まり、散弾銃で顔バボーンやら、犬のハラワタくり抜いたりやら、挙句の果ては家族の目の前でお爺ちゃんを火あぶりにしたりしちゃいます。そして、この家族を襲う悪役たちの造形!放射能で奇形を患ったという設定なのですが、とにかく気持ち悪い!特に中盤に出てくる、頭が異常に膨れ上がって起き上がることが出来ずずっと寝たきりのミュータント。これ、夢に出てきそうなくらいエグかった……。もう最後まで、ポリコレ?何それ?って感じです(笑)。ストーリーの方も中身がない分、そんな異常者に追い詰められる描写はかなりキレッキレで最後まで楽しんで観ることが出来ました。犬のビューティー&ビーストも何気にいい仕事してます。最後のオチもシニカルで大変グッド。うん、なかなか面白かった。ただ、不謹慎極まりないですけどね(笑)。[DVD(字幕)] 8点(2022-03-07 06:33:53)

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