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Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 2597
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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1221.  突入せよ!「あさま山荘」事件 日本の事件史に残る「あさま荘事件」を、敢えて警察組織側からの目線のみで描いた今作。 事件解決に挑む警察官それぞれの奮闘を描き連ねるものの、そこには爽快なヒーロー像は存在せず、むしろ時代の過渡期の中での警察組織の“未成熟さ”を如実に表していることが、とても興味深かった。 事件解決に挑んだ警察官たちの働きを美談的に描いたドキュメンタリーも多々あるであろう中、最もエンターテイメントに徹していいはずのこの映画が、現場に居合わせた人物たちの良い部分も悪い部分も含めた“人間らしさ”をありのままに描いていることに、作り手の潔さとそれに伴う説得力を感じた。 組織としてあまりに未完成な醜態をさらす映画の中の警察には、正直観ていて辟易してきた。 ただし、まだまだ経験値の乏しい“途上中”の国の中で起こった事件に対して、その対応に追われた警察の実態はまさにこのようなものだったのだろうと思えた。 そして、実際問題右も左も分からぬままで、文字通り命をかけて解決に臨んだ熱さには、作り物ではない感動を覚えた。 社会と組織がもっと成熟していれば、幾人かの命が消えることも無かったかもしれない。 でもいつの世であっても、“今”を生きる者は、そういう“命”の犠牲の上に立っているものだろうと思う。[DVD(邦画)] 7点(2011-10-12 14:51:25)《改行有》

1222.  ワイルド・スピード 或る知り合いの女性と話をしていると、普段の大人し気な印象に反して「クルマが好きだ」ということを初めて知った。 なんとF1観戦に国内のサーキットまで行ったこともあるという。 まさかと思い聞いた。「じゃあ『ワイルド・スピード』っていう映画も好きなんじゃない?」 彼女は「大好きだ」と即答し、シリーズ全作観ていると言った。 僕自身が自身の趣向を人生における最優先事項に考えているので、他人が何かしらを「好きだ」とテンションを上げて表現する様を見ると、自分がそのこと自体に対してそれ程興味の無いことであっても、涙が出る程嬉しくなる。 ちょうどシリーズ最終作が公開されており、ことのほか評価が高いようで気になっていたこともあったが、ふと触れた他人の「趣向」に大いに影響されて、その帰り道に寄ったTSUTAYAで即座にシリーズ第一作目の今作をレンタルした。 充分すぎる程に想定していたことで、「大好きだ」と言った女性も断言していたことだが、観終わった後には見事に“何も”残らない。 本当に何か映画を観たのかと疑心を覚える程に、頭の中がすっきりと空っぽになっていることに気づいた。 賢明な映画ファンなら即座に納得するだろうが、それはこの映画の存在性に対する「正解」である。 観賞後に何か思いを巡らせる必要など微塵も持ち合わせていない。映画を観ているその瞬間だけ楽しんでいられれば良い。それ以上もそれ以下も、この映画は求めていない。 こりゃあもうシリーズ全作観て、公開中の最新作まで突っ走ってみるしか無い。 ただ一つ注意すべきは、観賞後の「安全運転」、ただそれだけ。[DVD(字幕)] 7点(2011-10-02 01:20:10)(良:1票) 《改行有》

1223.  猿の惑星・征服 映画史に残る伝説のSF映画「猿の惑星」から端を発したシリーズ第4作。 他の多くのシリーズ化された映画と同様に、第一作目があまりにも大傑作であるが故に、続編以降の作品は尽く大衆から酷評されている。 しかし、個人的には、この「猿の惑星」シリーズの各作品を観てきて、必ずしも第2作以降が蛇足だとは思わない。 むしろ、SF的見地に立ってひとつの題材をたくみに膨らませてみせた良質なシリーズだと思える。 今作にしても、40年前の映画ならではのチープさやテンポの悪さはそりゃあ随所に見られるが、前作「新・猿の惑星」から転じたストーリーを確実に継承し、人間社会の愚かしさ、さらには生物の栄枯衰退の儚さまでもを表現した力強い作品だと思った。 人類が滅びた未来世界からやってきた猿の夫婦から生まれた子が、現代の猿たちの“王”となり、やがて破滅する世界の起源となる様には、膨大な時間を輪廻するかの如き壮大さと、だからこそ殊更に感じる生物の切なさを感じ、何とも言えない思いが巡った。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2011-09-27 23:54:36)《改行有》

1224.  オズの魔法使 たぶんこの映画を幼少期に観ていたなら、自分の人生においてフェイバリットな映画の一本になっていたことだろうと思う。 自分にとっての「メリー・ポピンズ」やその他のディズニー映画がそうだったように、多くの人にとって今作が生涯忘られないファンタジー映画であろうことは疑いようが無い。 ただ、初めての鑑賞としては、自分は少々歳をとりすぎてしまったようだ。 まあでも、そんなことはどうでもいいと思う。 70年という歳月を越えて、あらゆる年代の世界中の人々を魅了してきた世界観が、色あせること無くそのままの形で現代の世にも残り続けていることに、「映画」という文化そのものの素晴らしさを感じずにはいられない。 有名すぎる主題歌の通り、この物語はこれからも“虹を越えて”多くの子供たちを夢の世界に連れて行ってくれるだろう。 P.S.リメイクされるとしたら、きっとジョニー・デップが案山子役でキャスティングされることだろう。[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-09-22 17:14:19)《改行有》

1225.  レボリューション6 破壊活動やら革命運動なんてものは、平和ボケした日本で普通の人生を送っている自分にはあまりに縁遠いことだけれど、それらのことは突き詰めれば、先行きが見えない若い日々の抑えられない熱情の表現なのだろうと思う。 だから、そういった過激な行動が伴わなくても、誰しも「あの頃は良かった」だとか「若い日々に戻りたい」と思うのだろう。 きっとそれは、何かしらの思いを携えて“若い日々”を過ごしたすべての人に当てはまることだろうと思うし、すなわちこの映画に登場する6人の仲間たちに共鳴してしまう部分が誰しもあるということだと思う。 破壊的で過激な青春時代を過ごした6人の仲間。彼らがかつてしかけた爆弾が十数年の月日を経て爆発したことをきっかけに再会する。 彼らの言動のすべてに共感出来るはずはない。基本的には愚かな犯罪者だと思う。 でも、彼らがかつて過ごした日々の彼らにとっての価値や、失った時間とその代償に得た人生の価値、仲間と再会したことで生じた喜びや悲しみは、よく分かる。 繊細な光と音楽の中で、軽快感と共にビターで儚い人間模様を描いた良いドイツ映画だったと思う。[DVD(字幕)] 7点(2011-08-06 11:21:59)《改行有》

1226.  スカイライン-征服- トレーラーを観て興味はそそられていたのだが、インターネット上にはことごとく酷評が並んでいたので、レンタルまで待とうかと思い始めていた。 しかし、昨夜、フォローしている某クリエイターのTwitterで、「面白いB級SF映画だ」と賛辞するコメントを初めて見つけ、やっぱり観に行くことにした。 B級SFであれば、酷評が賑わうことは、必ずしもマイナスポイントではないかもしれないと思ったからだ。 その映画ファンとしての思惑は幸運にも的中したと言える。 ウィル・スミスが出てくるような娯楽大作を観にきたつもりだったならば、確かに酷評は避けられないだろう。「糞映画」と言い捨てられても仕方が無い。 というか、「糞映画」であることは間違いないことかもしれない。 ただ同時に、これこそが「SF映画」であると高らかに宣言したい衝動にも襲われる。 それは、この映画が常に“規定路線”からの脱線を狙い続けているからだ。 いつ、観客が期待し想像している展開を裏切ってやろうか。と、この映画は終始“企んでいる”。 観客のイメージを超えることこそが、SFの醍醐味であり、最近はそういった気概に溢れた作品が少ない。 登場人物は極めて少なく、キャストは無名俳優ばかり。映像のクオリティーは極めて高いが、場面展開は最低限に抑えられ、製作費の根本的な少なさは嫌が上にも感じる。 しかし、その低予算の中で、“どんな形であれ”観客を驚かしてやろうという意志と「悪ふざけ」は評価に値すると思う。 また一方で、この映画の監督(兄弟)は日本の漫画に精通しているのではないかとも思えた。 エイリアンたちのグロテスクな触手や、主人公が異形のものと“混じりあっていく”描写は、岩明均の「寄生獣」を思い起こさせた。 そして、人間が光でおびき寄せた小魚を貪る様に捕獲するかの如きエイリアンによる「侵略」の様と、そこに見え隠れする“皮肉”は、藤子・F・不二雄の短編「絶滅の島」を彷彿とさせた。 そういう部分は、日本の漫画ファンだからこそ余計に無視出来ない面白味だと思う。 とにかく、大多数が蔑む映画であることは間違いないが、その大衆からの否定感が、殊更にこの映画のSF性を証明している様な気がしてならない。[映画館(字幕)] 7点(2011-07-02 15:43:41)(良:2票) 《改行有》

1227.  SUPER8/スーパーエイト(2011) J・J・エイブラムス+スティーヴン・スピルバーグ、新旧のエンターテイメント作家が組んだ娯楽大作。 “実体”を見せない謎に溢れたトレーラーをはじめとするプロモーション。 映画ファンの好奇心をこれでもかとくすぐる魅惑的な要素に、鑑賞前の期待は大いに膨らんだ。 「一体、どんな映画世界を見せてくれるのだろう」と、無意識に「見たことがない映画」への期待が高まっていたとも言える。 まず言っておくと、無意識に期待してた“驚き”が存在する映画ではなかった。 いまやハリウッドのトップランナーと言っても過言ではないエイブラムス監督が描き出す映像の完成度は凄まじかったけれど、内容は、どこかで見たことがある映画とどこかで見たことがある映画が幾つも合わさって、どこかで見たことがあるストーリーが紡ぎ出されたという感じだったことは否めない。 正直、「面白くない!」と拒絶する人は大勢居るだろうし、「何て面白い映画だ!」なんて言う人には「もっと色々な映画を観てほしい」と思う。 でも、やっぱり僕は、「面白かった」と言っておきたい。 期待していたエンターテイメントとしての“衝撃”は殆ど皆無だったと言ってもいいが、「映画」そのものに対する“愛”は溢れている作品だったと思う。 過去の数々の映画の“使い回し”と切り捨てることもできるが、同時に名作に対する“尊敬”と"愛情”の表現と言えなくもない。 劇中で少年たちが自分たちの大好きなゾンビ映画を一生懸命に撮影することと同じように、気鋭のエンターテイメント作家が、かつて夢中になった数々の娯楽映画の自分なりの「再現」に挑んだのだと思えてならない。 もちろん、だからと言って映画として面白いポイントがなければ、それはただのクリエイターの自己満足であり「駄作」に間違いない。 僕にとっての今作の最大の魅力は、凄まじしい映像世界などではなく、子役たちのパフォーマンスだった。 エル・ファニングをはじめとする若い若い俳優たちの瑞々しい演技が素晴らしかった。 8ミリ映画製作に励む瞳、人間関係に悩む瞳、はじめての恋をする瞳、得体の知れない恐怖に怯える瞳、目の前で繰り広げられる様々な出来事に対して、純粋な感情をあらわす“瞳の光”が何よりも魅力的だったと思う。 完成度の高い映画とはとても言えないけれど、どうしても無下に否定することが出来ない。そんな映画。[映画館(字幕)] 7点(2011-06-26 21:59:02)(良:2票) 《改行有》

1228.  ナイト&デイ 長年映画を見続けていると、面白い映画と面白くない映画の判別は大概的確に出来るつもりになっている。 トム・クルーズとキャメロン・ディアスという、“今更感”たっぷりの「二大スターの共演」というアピールポイントに対して、まるで新鮮味が感じられず、劇場公開時には完全に「面白くないだろう」とスルーしてしまった。 そんなわけで、レンタルショップの新作コーナーにパッケージが並び始めてから数週間経ってからようやく鑑賞。 いや、参ったね。大雑把で馬鹿馬鹿しい映画だが、きっぱりと面白かった。 自分の判別能力の未熟さを痛感するとともに、これだから映画は面白いと再確認させてもらった。 ストーリー展開に特筆するほどの驚きはない。概ね、予想されたストーリー、そして予想されたエンディングが映し出される。にも関わらず、「面白い」と断言出来ることこそが、良い映画である証明だと思う。 ピークは過ぎたと言わざるを得ないスター俳優を強引に共演させて、見慣れた派手なアクションと都合の良いストーリー展開でハッピーエンドを迎える程度の映画だとばかり思っていた。 しかし、実際に映し出されたのは、予想を遥かに超える痛快さと愉快さと愛すべき馬鹿馬鹿しさを携えた、長年ハリウッドの娯楽映画に親しんできた映画ファンにとって“ハッピー”なアクション映画だった。 中盤までは、もっと若くて生きの良いスターを起用した方がもっとアグレッシブな映画になるんじゃないかなどとも思った。 でも、ラストシーンの頃には、それぞれの哀愁も含めて、主人公の二人のことが大好きになっている。 終始追いつめられた状態で突き進む彼らの姿が、次第にトム・クルーズ、キャメロン・ディアスの俳優としての存在性に重なってきて、「もう後戻りは出来ない」という思いがやけに生々しく伝わってきた。 それは、“スター俳優”の力量であり、彼らの意地だったように思う。 ラストの顛末は、ベタなハッピーエンドのようにも見える。 けれど、強大な追っ手から逃れるように何も持たない二人が、ひたすらに南米の最南端に向かっていく姿には、刹那的な幸福を求める儚さも感じられた。 “粗”なんて数え上げれば切りがないけど、面白いんだからそんなものどうでもいいじゃないか。 と、ある意味、心から「安心」してみられる「安全」な映画だ。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2011-06-25 02:43:03)(良:3票) 《改行有》

1229.  トッツィー 想定外の後味の良さが印象的な映画だった。 映画の9割以上は女装したダスティン・ホフマンが、魅力的なキャラクター性を発揮しつつドタバタとした人間模様が展開される物語だ。 当然、“偽り”は最終的にばれて、それがうまい具合にハッピーエンドにつながるのだろうと思っていたのだけれど、そうではなかった。 主人公が自分の正体を明かすクライマックスを終えて、その後に続くエピローグが素晴らしかった。 女装した自分に求婚したヒロインの父親に会いに行って酒を飲みかわしたり、険悪なままのヒロインを待ち伏せしてたどたどしく自分の本心を伝えたりする。 その決して仰々しくドラマチックではない、人間と人間の対話の様が、無性に心に残った。 アメリカ映画を代表する「名作」と評されるわりには、正直全体的にグダグダしていて粗も多い。 個人的に期待していたビル・マーレーの役所も、彼としては珍しいほどに普通。 なのに、エンディングが流れた瞬間には、不思議なほどに爽快感に溢れている。 つまるところ、この映画そのものが、ダスティン・ホフマンという大俳優の成せる業だろうと思う。[DVD(字幕)] 7点(2011-05-14 02:53:46)《改行有》

1230.  トイレット わりと多くの人が思い当たることかもしれないが、中学生くらいの頃、僕は結構トイレに“依存”していた。 特にお腹が痛いわけでもないのに、毎朝トイレに30分くらいこもっていた。その年頃特有の精神的なものだったろうと思う。 もちろん今はそんなことは殆どないのだが、以来、僕にとって「トイレ」という場所は、何となく精神を落ち着かせる場所になった。 この映画の中で、もたいまさこ演じる“ばーちゃん”は、トイレから出る度に深いため息をつく。 そのため息には、不安と安堵が入り交じったような何とも言えない心情が滲み出ている。 トイレで行う「排泄」という行為は、どうしても軽視されがちだけれど、僕たちが「生きている」ということの「証」を残すための行為とも言えると思う。 長く生きれば生きる程、その日常の行為から、今生きている自分自身の姿を鑑みることが出来るようになるのかもしれない。 だからこそ、“ばーちゃん”は、その度に深いため息をついているのではないかと思った。 母親を亡くしたアメリカ人の孫たちと、日本人のばーちゃんのささやかに奇妙な共同生活からは、人が人を思うほんの少しの温かささえあれば、人間はどのようにも生きていられるということをしっかりと感じることができる。 「自分らしく生きる」という簡単に言えて、決して簡単ではない生き方を、「かもめ食堂」、「めがね」の荻上監督らしい独特の世界観で見事に表現していると思う。 そして、この監督の映画に毎回登場するもたいまさこは、本当に素晴らしい。[DVD(字幕)] 7点(2011-05-09 17:09:05)《改行有》

1231.  あしたのジョー(2010) 矢吹丈のストレートが力石徹の頬にめり込む。力石徹のアッパーが矢吹丈の身体を宙に持ち上げる。 拳がゆっくりと顔にめり込む、震える表情筋、乱れる毛髪、吹き出る体液……。 あの宿命の好敵手との決着と悲劇を、映像として具現化出来た様を観た時点で、この映画の存在価値は揺るがないと思った。 原作が長年語り継がれてきた“伝説”である以上、やはり評価における「比較」は避けられない。 この映画は、ある部分では原作を越え、ある部分では大いに物足りない作品だと思う。 まず前述の通り“対戦シーン”は、申し分ない。メインキャストの二人はしっかりと映像に映える身体づくりをし、それをCGクリエイター出身の監督が文字通り「縦横無尽」のビジュアルで切り撮っている。 山下智久の“丈”は、猛々しさは物足りなかったが、重圧をはね除けるための彼なりの努力と意地は見られた。 香川照之の“丹下”は、原作のキャラクターそのもののビジュアルと存在感を、流石の演技力とボクシングへの造詣の深さをもってして見せてくれた。 が、この映画におけるすべての要素の中で最も価値が高かったのは、伊勢谷友介の“力石”をおいて他に無い。 その体躯、眼差し、立ち振る舞い、存在感、そこに居たのはまさしく「力石徹」だった。 役者のパフォーマンスと、監督の創造性よって映し出されたビジュアルそのものが確固たるエンターテイメントであり、そこには「人気漫画を映像化する」ことの意義が確実に表されていたと思う。 一方で、圧倒的に欠けていたのは、対戦シーン以外の「情感」だった。 どうしても映画化における尺の制約があるので、ストーリーが端折られてしまうことは仕方が無い。 ただ端折られているはずの各シーンのテンポが悪く、展開が稚拙だったため、本来そこから伝わってくるべきキャラクターたちの感情の描き方が希薄に思えた。 丈と丹下との絆だったり、丈自身の心情そのものが薄っぺらに感じてしまう部分があったことは、ドラマとしては致命的だったと思う。 そういう意味では、ドラマ性の部分においても、「力石徹」に食われてしまっている印象も受ける。 トータル的には、伝説的な人気漫画に真正面から挑戦し、しっかりと映画化した作品だと思うし、面白い映画であることは間違いない。 ただし、「力石徹」を登場させられない以上、続編には挑むべきではないとは思う。[映画館(邦画)] 7点(2011-02-14 00:00:24)(良:1票) 《改行有》

1232.  ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 シリーズ第5作目にしてようやく「ハリー・ポッター」というエンターテイメントの面白味を味わえるようになった気がする。 この物語は、表面を何重にも“お子様向け”のファンタジーでコーティングした飴玉のようなもので、飽きるような甘ったるさを何層も溶かしていくと、やっと深い旨味に到達する。 そしてその旨味に達すると、前の甘さが懐かしく、大切なものだったということに気づかされる。 そんなわけで、物語全体が核心に向けて突き進んでいく5作目で初めて、全編通して鑑賞に堪える面白味を備えた映画作品として仕上がっていると思った。 主人公が両親の敵であり最大の敵であるラスボスに立ち向かっていこうとする様は描いた今作では、そのための礎となる自分自身の確固たる”居場所”と共に闘う“仲間”を見出していく。 そのくだりは極めてベタでストーリー展開として目新しさはないが、シリーズ4作目までの時に回りくどいほどの長い長い物語が伏線となり、ベタさを”王道的”とも言い換えられる説得力を備えていると思う。 世界的人気シリーズの面白味にようやく気づいた反面、やはりこのシリーズは”お子様向け”だと改めて思う。 それは、自分自身がきっちりと“お子様”の頃に、第1作目「賢者の石」を観て、自身の成長と共に各作品を観ていけていたなら、どの作品に対してもその時々に応じた面白味を感じることが出来たであろうと思うからだ。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2011-01-05 13:49:09)(良:1票) 《改行有》

1233.  オーケストラ! 「音楽」に造詣が深いわけではなく、指揮者の違いによるオーケストラの善し悪しなんて、正直分からない。 だけれど、「音楽」という表現には、“幸福”と“狂気”がそれぞれ平等に混在し、携わる人間の人生を導き、支配するということを、この映画は意外な程に深く物語る。 落ちぶれた元・天才指揮者が、かつての楽団のメンバーを寄せ集めて、紆余曲折のコメディ展開を繰り広げながら、爽快感溢れるラストに結する映画だろう……と、思っていた。 映画の“表面的”なニュアンスは、概ねそれに相違ないのだけれど、ストーリーの核心と描き出すテーマの本質は、想像以上に深いところまで踏み込んでいく。 旧ソ連の政治的背景の中で抑圧された主人公たちのバックボーン、現在の生活の中の鬱積と矛盾。そして、「音楽」そのものの本質的な光と闇。 ベタなサクセスストーリーと見せて、映し出された物語と人々の言動には、決して一筋縄ではいかない“思い”の混沌が見え隠れする。 ただ、そういった様々な側面の複雑な問題も、すべてひっくるめて吸収してしまうエネルギーが、「音楽」にはあって、それを表現することの素晴らしさを改めて訴えてくる。 そもそもの設定や展開には大いに強引でチープな部分も多いけど、そんなことどうもよく思わせてくれる「魅力」が色々なところに詰まった映画だと思った。[DVD(字幕)] 7点(2010-11-27 02:38:36)《改行有》

1234.  アガサ・クリスティー ミス・マープル3 復讐の女神<TVM> 《ネタバレ》 ミステリーにおける“探偵”は、物語の真相を解き明かす先導者であり、同時に犯人を奈落の底に突き落とす”死神”でもあると思う。 謎の解明は即ち、殺人者に対する処刑宣告であり、その様は時に無慈悲で恐ろしい。 そういったミステリーの主人公の“正義漢”と表裏一体の“恐ろしさ”を、今作のミス・マープルからは如実に感じられた。まさに「復讐の女神」という主題にふさわしい。 古き友人の遺言に導かれるようにミステリーツアーに参加するミス・マープル。そこに集まるわけありの人物たち。 アガサ・クリスティー作品の大定番と言える舞台設定の中で、殺人が起こり、過ぎ去った殺人事件の真相が導き出される。 展開は極めて王道的だが、冒頭から感じられる禍々しさがストーリーの全編に溢れ、緊張感を増幅させる。 多くのミステリー作品で見られる顛末と同じく、真相を暴かれた殺人者は自ら命を絶つ。 その定番の展開を見る度に、みすみす死なすなよと思ってきたけれど、もはやそれはミステリーそのものの定石であり、避けられるものではないのだと感じてきた。 ミステリーにおいて、真相を解明する者は、同時に死刑宣告者であり、すべての主人公はその宿命を負っているのだ。[CS・衛星(吹替)] 7点(2010-10-20 14:38:27)《改行有》

1235.  アンドロメダ・・・ 2010年、日本国内を席巻したトピックスの一つとして挙げられるのは、小惑星探査機「はやぶさ」の帰還だろう。 それまで見向きもしなかったものに対して、突如として熱狂することは、善し悪しは別として昨今の日本人の特色だ。 このトピックスで日本中が沸いた際、何かのメディアで評論家が興味深い“不安”を口にしていた。 それは、無人探査機が地球から遠く離れた小惑星から採取したその「物質」が、地球の生態系において全く無害で、人類の科学技術で管理できるものだと、誰が断言できるのかということだった。 大多数の賞賛の中で、その空気の読めないコメントは、特に取り上げられることもなくスルーされた。 だが、その“不安”は、充分に考えるべき要素だと思った。 そして、それに極めて類似する不安要素を、このマイケル・クライトン原作の映画作品に感じた。 映画として優れた娯楽性を見せる作品とは言い難い。 宇宙から飛来した謎の病原体を、4人の科学者たちが深い深い地下の秘密施設で研究し続ける映画で、作中の科学者たちと同様、延々と繰り返される終わりの見えない研究室の風景には、退屈感が蔓延する。 主要キャストの4人も、オジンとオバンばかりで格好良さがまるで無い。 謎の物体が、突如として真の姿を現し始める瞬間など、スリリングな場面は幾つかあるのだが、もっと娯楽性高く映画全体を魅せる方法はいくらでもあるように思う。 ただ、今年「はやぶさ」に対する安直な熱狂があったからこそ、この映画が描き出す「恐怖」は、実はすぐそこに迫っているのではないかという緊張感を増幅させる。 そう考えていくと、分かりやすい娯楽性なんてこの映画には必要なく、延々と続く研究シーンと同じく、「未知なるもの」に対する実態の見えない分かりにくさこそが、「本質」なのだとも思える。[DVD(字幕)] 7点(2010-10-18 22:32:41)(良:2票) 《改行有》

1236.  アガサ・クリスティー ミス・マープル2 動く指<TVM> アガサ・クリスティー原作の人気シリーズ「ミス・マープル」。そのテレビ映画シリーズを今回初めて続けて鑑賞し、今作が3作品目。 ようやくこのシリーズの特徴として、“ミス・マープル”は決して主人公ではないということに気づいた。 様々な人間模様の中から渦巻く謎と殺人事件。その「真相」を導き出すのは、“第三者”である謎解き好きの老婦人ではなく、その人間模様の中にどっぷりと息づく当事者であることが多いようだ。 一般的な名探偵ものとは一線を画し、名探偵役のミス・マープルは、節々で観察眼の鋭さを見せるものの、その立ち位置は、我々「鑑賞者」の目線に近い。 そのかわりに、物語の中で描かれる人間関係に密接な人物が事件を解いていくことで、よりドラマ性が深化し、ただのミステリーに留まらない情感を生み出していると思った。 イングランドの田舎町で出回る怪文書を軸に、閉鎖的環境ならではの人間関係の“ひずみ”とそれに伴う“殺人”を巧みに描き出した今作も、その例に漏れず、繊細な人間ドラマと上質なミステリーを同時に味わわせてくれる。[CS・衛星(吹替)] 7点(2010-10-15 11:00:16)《改行有》

1237.  アガサ・クリスティー ミス・マープル2 スリーピング・マーダー<TVM> アガサ・クリスティの「ミス・マープル」シリーズの映像作品を初めて観た。 謎を解き明かす主人公が地味な老婦人ということで、それほど興味はそそられず恐る恐る観始めたが、冒頭から繰り広げられる上質なミステリアスに途端に引き込まれた。 婚約を機にインドからイングランドへ移ってきたヒロインが、何かに導かれるように訪れた売り家にて、養生時に見た「殺人」の記憶が突然蘇ったことから、それまで眠っていた事件が目覚める。 ヒロインと事件にまつわる人々が入れ替わり立ち替わりし、複雑な人間模様があらわれてくるくだりは、アガサ・クリスティらしいストーリーテリングで、事件の真相と並行して導き出される隠された人間ドラマが秀逸だった。 ソフィア・マイルズが演じたヒロインが、蘇る記憶に苦悩しながらもアグレッシブに過去の人間関係を辿っていくので、ミス・マープルの存在性が薄く感じてしまったことは如何なものかと思う。 が、一つのミステリー作品としての完成度は極めて高く、オールドイングランドを舞台に洗練された文体の世界観を堪能できた。[CS・衛星(吹替)] 7点(2010-10-05 13:00:01)《改行有》

1238.  レポゼッション・メン 《ネタバレ》 「レポゼッション・メン」=“回収人”というタイトルの意味を聞いただけでも、このSF映画の大体のストーリーは想像できるだろう。 “人工臓器”の販売が一般化している近未来。高額商品のため、購入者は当然の如くローン支払いとなる。支払いが滞った“滞納者”の前には、“回収人”が現れ、問答無用に臓器を回収していく。当然、臓器の回収はそのまま「死」を意味する。 一流の回収人として活躍していた主人公だったが、ある事故により一転、自分自身が人工臓器の利用者となり、回収人に追われる立場となってしまう……。 まあよくあるプロットだと思う。定石通りに、追われる立場となった主人公は、かつて勤めていた大企業に対峙し、反撃を始めるわけだ。 追っ手や企業の社員たちを次々に殺していく主人公の様は、よくあるヒーロー像に見える。 臓器を巡る独特のグロテスクさと、軽快なアクションシーンが絶妙に融合し、痛快なSFアクション映画だなと好感触を覚え始めた頃、致命的な違和感に気づく。 それは、この主人公の行動には、「正義」が伴っていないということだ。 大企業が展開する人工臓器販売はれっきとしたビジネスであり、その“回収方法”には非人道的な要素が含まれているものの、映画世界の中では、“滞納者”に対するあくまで合法的な“取り立て行為”である。 そして、主人公が置かれた危機的な立場も、あくまで“滞納者”である故の必然的な状況であり、それに真っ向から反発して企業関係者を抹殺していく様には、実は道理が無い。 その不道理を通したまま、映画は結末を迎える……。 「ああ…これは駄作だな」と諦めかけた次の瞬間、このSF映画は「真意」を見せる。 成る程。終盤にかけての強引な展開や、整合性の無さ、ジュード・ロウのおよそ彼らしくない妙に大味な演技や、フォレスト・ウィッテカーをキャスティングしている理由までが、途端に鮮明になる。 まさにSF映画らしい「転回」であり、その真相の領域がいったい何処までを含んでいるのかなどということを考えると、より一層ストーリーに深みが増してくる。 あまり過剰な先入観を持たずに、最後までシンプルな思考で観ることが出来たなら、存分に楽しめる映画だと思う。[映画館(字幕)] 7点(2010-09-23 16:47:18)《改行有》

1239.  名探偵ポワロ 死との約束<TVM> 遺跡発掘現場にて会した“訳ありの一族”。周囲から忌み嫌われる夫人が殺される。 アガサ・クリスティの原作のみならず、もはやミステリーそのものの大定番の舞台設定の中で、物語は展開していく。 はっきり言うと、用意された「真相」も、“定番”であることは否定できない。 並のミステリーであれば、“オチ”の正体を薄々感じさせるストーリーなど、退屈過ぎ馬鹿らしくて追っていられない。 ただこれがアガサ・クリスティの「名探偵ポワロ」である以上、“退屈”なんてものは存在しない。 何となく真相は見えつつも、デヴィッド・スーシェ扮するポワロの推理劇に身を任せることを厭わない。予定調和の中に身を置くことに、むしろ心地良ささえ感じる。 砂漠の灼熱の中で突如発生した謎が、陽炎のように大きく膨らみ、名探偵により束の間の実体を見せ、去っていく。 アガサ・クリスティらしい叙情的なミステリーに、安心して没頭させられる。 P.S.「ハムナムトラ」シリーズのジョン・ハナーが出演しており、明らかに「砂漠の遺跡発掘現場」という舞台設定を意識したキャスティングにほくそ笑んだ。[CS・衛星(吹替)] 7点(2010-09-21 13:28:21)《改行有》

1240.  96時間 《ネタバレ》 元CIAの父親が、人身売買組織にさらわれた愛娘を救出するために、死闘を繰り広げるというストーリー。 ストーリー設定にそれ以上の膨らみはなく、設定だけをみれば何ともチープな映画である。 リーアム・ニーソンが体を張って繰り広げるアクションシーンは、それなりにスタイリッシュに表現されているが、アクション映画として特筆するほどのものではない。 9割以上の要素は、はっきり言って「凡庸」に尽きる。 ただし、残りの1割の要素が、この映画のオリジナリティをある意味”強引”に高めている。 それは即ち、「娘を溺愛する父親の容赦なさ」だ。 娘をさらった悪党に対して、電話口できっぱり「処刑宣告」をしたかと思えば、カリフォルニアから海を越え数時間後には事件が発生したパリへ。 単身で悪の組織本体に乗り込み、暴れまわり、ほぼ壊滅状態に追い込む。 更には、古い友人らしいフランス当局の幹部の自宅に“お邪魔”し、実は悪と通じていたその友人の妻の腕を問答無用に撃ち抜き、情報提供を強制する始末。 とにかく娘の救出に対して「障害」となるものは、何であろうと蹴散らし、悪党は容赦なく残虐なまでに皆殺しにしていく。 映画の冒頭、主人公は別れた妻から、その神経質な性格に対して「異常だ」と苦言を呈される。 その時は主人公に対して同情が生まれたが、映画が展開していくにつれ、「ああ、確かにこの父親は異常だ」と納得させれるほどに、主人公の行動力は常軌を逸している。 主人公のその尋常でない怒りっぷりは、“唖然”を通り越し、感じたことのない爽快感に繋がっていく。 その尋常でなさが、絶体絶命の愛娘のピンチを非常識に救っていく。 決して物語としてクオリティの高い映画ではないが、この“容赦なさ”は評価に値する。劇中何度も「親父怖え~」と呟いてしまった。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2010-09-18 15:40:58)(良:2票) 《改行有》

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