みんなのシネマレビュー |
|
1301. ボーン・スプレマシー 前作同様に様々な国でロケを敢行していますが、前作よりもロケーションが活かされていると思った。カーアクションはここではイマイチな評判ですが、素直に「凄い」と思いました。車が暴走しながら大通りに合流するシーンってカーアクションではお決りのようにあるんだけど、不思議なくらいぶつからずに合流するのを見て「一回、やったろか」とか思ったりしてたんですが、この作品では思いっきりぶつかってます。ガンガンぶつかりまくってのカーアクションのリアル感がロケで得られたリアル感の喪失を防いでいた。主人公が瞬時に判断・行動する様を主人公の視線なり表情をその行動の前に短いカットで挿入することで見せてゆくのも前作以上に冴えわたる。先が見え見えの展開でも十分楽しめました。前作と同じ6点ですが、今作は限りなく7点に近い6点。[DVD(字幕)] 6点(2006-02-07 12:09:24)(良:1票) 1302. ボーン・アイデンティティー すごくテンポが良くって最後まで飽きることなく楽しめました。ヨーロッパロケもスパイ映画にリアリティを与えていて成功している。ただしアクションシーンでは、一部マットの動きを早回しで見せているのがあきらかでせっかくのリアリティをぶち壊している。そんな小細工しなくてもじゅうぶん見せてくれていたのに。何気なく立っている姿や歩いている姿でもじゅうぶんその筋のプロであることを覗わせていたと思う。あと、不満ではなくて疑問ですが、どうして銀行の番号がケツに埋め込まれてるの?主人公は何台もの車のナンバーを瞬時に憶える能力の持ち主なので、主人公には必要ないですよね。CIAがもしものときの為にやったにしても銀行名までは必要ないでしょ。その銀行にはエージェントらしき人物がいたし、他者に見られる可能性があるし実際漁師が見つけたし。あと考えられるのは主人公が記憶喪失になることを想定していた、、ぐらいしか思いつかない、、、。もしかして根本的なところで思い違いをしてます?もしそうなら【嘲笑】入れられる前にこっそり教えて。[DVD(字幕)] 6点(2006-02-06 16:08:47) 1303. 白い恐怖(1945) 《ネタバレ》 時代が求めていたもの、それは銀幕の美男美女スターによるラブロマンス。ヒッチコックは大衆とハリウッドを裏切らず、とりわけヒロインを眩しいくらいに美しく撮りながら、同時に映画への前衛精神も失うことなくこの作品を作り上げた。牛乳のシーンやラストのピストルのシーンなどの仕掛けのアイディアがいかにもヒッチらしい。ダリが作った夢のシーンは、予算の都合でロケが叶わなかったらしいが、やっぱりロケでやってほしかったなぁ。セットであることで独特の幻想的世界を構築してはいるんですが、なーんか違和感を感じる。普通、セットの夢なんか見ないし。記憶喪失の男の夢が真犯人に直結するご都合主義もホイホイと夢が分析、解明されてゆくご都合主義もテンポの良さと軸がロマンスであることでさほど気にならない。で、やっぱりバーグマンが綺麗。[DVD(字幕)] 6点(2006-02-03 16:50:30) 1304. バニラ・スカイ 《ネタバレ》 オリジナルと全く同じプロットゆえに一番印象に残ったのがぺネロぺの英語力だったりする。同じ役を演じているので二つの言語を操る堪能さが際立った。オリジナルのほうが純なぺネロぺと大胆なぺネロぺという幅広い「顔」を拝める。トムは二枚目セレブの役にピッタリだし、何よりも追いつめられてゆく役が妙にはまる人だ。キャメロンはオリジナルの女優さん以上の「悪夢の女」を披露してくれた。で、どちらが良いかというと、微妙なんだけど、オチの後の余韻はこの作品のほうがあったかな。まぁ、余韻というより色々想像しちゃったんです。「自分の都合の良い夢」の世界で生きつづけるのはいいんだけど、自分の都合の良い夢って絶対エロくなるような気がするんです。その夢、みんなで見てるんでしょ。それもなぁ、、。そんな余韻かよ![DVD(字幕)] 6点(2006-02-01 14:36:16) 1305. オープン・ユア・アイズ 《ネタバレ》 「オープン・ユア・アイズ」と囁かれる声と誰もいないストリートの描写によって、「夢」がこの作品の中で重要な役割を持っていることを冒頭で提示してくれているので、困惑することなく主人公を襲う不条理劇に身を委ねることができる。非常にややこしい展開を最適な構成で見せてゆく。オチは驚きのSF的展開へ。ここからが夢なんですよという親切丁寧なご説明のおかげで、よりわかりやすく理解できるわけですが、そのわかりやすさゆえに余韻の無いオチにもなってしまっているのが残念。ほんのちょっと答えをぼかすだけでかなり印象が変わってくると思うのですが、、。[DVD(字幕)] 6点(2006-01-31 16:44:32) 1306. エンド・オブ・バイオレンス 合理的に映画制作という名のビジネスをする主人公が衛星画像を利用した非公式の国家プロジェクトにまきこまれる。映像という媒体の手軽さと無限の可能性からなる危険性の提示、と同時に映像がそれを扱う人間によって脅威にも感動にもなりうる実に自由な存在であることを提示している。映像の魔力と魅力、、実にヴェンダースらしい題材だ。ここで描かれる暴力は映像が生み出したものではない。あくまで映像を利用して人間が生み出すのである。だから暴力の終焉もまた人間の手によってでしか為されない。そのとき映像が良識ある人の手によってなにがしかの役割を果たすかもしれない。ヴェンダースは映像に関わる者としての責務をこの映画で宣言しているように感じる。そして映画に出きることを常に考えているのだと思う。[ビデオ(字幕)] 6点(2006-01-25 16:14:11) 1307. ミリオンダラー・ホテル オープニングのホテルの屋上のシーンがスローモーションのせいか、U2のPVみたいな映像になってる、と感じたが、ラストに同じシーンが流れたときは主人公の命を長引かせる唯一の手法であるスローモーションがいとおしくも思えた。屋上からのジャンプは『ベルリン・天使の詩』を思い起こさずにはいられない。そうするとメル・ギブソンの背中の傷が翼をもがれた跡のようにも見えてくる。それぞれが傷を持つ住民たち。罪を背負い傷を癒す天使。全てが浄化されたかのような清清しいエンディングが印象的。罪を描き、その罪を許す。やっぱりこれは「ニューヨーク・天使の詩」だ。[ビデオ(字幕)] 6点(2006-01-23 14:36:21) 1308. アラバマ物語 黒人差別の激しいアメリカ南部において、偏見を持たず弁護士という仕事をこなし、二人の子供たちとは常に正面から接し、諍いの避け方をさりげなく見せ(近所のおばあさんとのやりとり)、いざというときには誰よりもたのもしく子供たちを守る(狂犬のシーン)。まさに理想の父親がいる。子供たちが黒人たちの中に違和感なくまぎれて裁判を傍観する姿や、父と黒人被疑者が町の人たちに取り囲まれた際の子供たちの行動は、子供たちの理想的な成長と理想的な親子関係を見せている。そしてそのことによってさらに理想の父親を確固たるものとしている。当時としてはかなり繊細に扱われるべきテーマを含んだ社会派でありながら「理想の父親像」を前面に描くことで受け入れやすい作品となっている。個人的には理想的すぎに感じるけど、当時のアメリカ、ましてやハリウッドにしてみれば、これくらい完璧なヒーローでもいないと作る側も観る側も受け入れられなかったのかもしれない。 異常者として恐れられるブーの逸話は差別の根源を描いていると思われる。話さないからわからない、わからないから怖い、怖いから攻撃する、という人間の持つ弱さゆえの悪循環。「ナントカ(忘れた)という鳥は殺してもいい」、コレも偏見かもしれない、ということか、、。 いい「話し」だし、演出も巧みなんだけど、差別される側の悲壮感というか、人間のおぞましさというか、ダークな部分をあえてオブラートで包んだような描き方にちょっぴりの不満。[DVD(字幕)] 6点(2006-01-19 15:27:23)(良:1票) 1309. 下妻物語 うむ、面白い。しかしこの作品の面白さは非常に危険です。映画が映画でなくなる危険をはらんでいます。この作品が映画じゃない、というわけではなく、この作品の魅力が映画とは違うところにあるということ。典型的なのが個人的に一番ウケた尼崎ネタ(めちゃ笑った)。画ではなくネタが強烈に楽しい。 それでも「パチンコはイヤ」の次の場面にパチンコ店にいて、「出るわけない」の次の場面にジャラジャラ出てる、という喜劇における古典的演出は冴えに冴え、アニメを交えたデジタル映像は新しさこそ無いものの、洗練されたイヤミのない奇抜さを演出しているし、個性を過大に表現したキャラクター造形は言うまでもなく素晴らしいの一言、、ということでコレはやっぱり映画であって、なんだかんだ言っても一応私の中ではOKな作品でした。[DVD(字幕)] 6点(2006-01-18 11:24:50)(良:2票) 1310. 大阪物語(1999) 「大阪」がぎゅっと凝縮された作品。商店街での会話なんて非常に大阪の空気が出てて良かったです。役者を関西出身者で固めての大阪ロケというのは、「大阪」を画面に映し出すための監督の拘りを感じます。監督は坂本順治でもなく井筒和幸でもない。東京の市川準。東京の人間がよくここまで「大阪」を描けたなぁと思うと同時に、やっぱり東京の人間だなぁとも感じます。中盤からのプチロードムービーは大阪を映し出すことのためだけにあるような無理を感じます。父を探して家を出た少女が南港を拠点にフェスティバルゲート、梅田、新世界、道頓堀、天神橋筋、、とあり得ない距離を瞬間移動しているのはまぁ良しとしよう。でも、あまりにも「大阪」っぽい風景の洪水が「父を探す旅」ではなく「大阪を探す旅」になってしまっている。その風景の選び方が、さすがCMクリエ-ターと感心するくらいポイントを押さえているので余計にそう感じる。物語の設定が芸人家族の修復というコテコテ大阪シチュエーションなのだから、商店街でのお見事な「大阪」の空気だけでじゅうぶん「大阪物語」が出来たのに、と思わずにはいられない。ちょっと残念。[ビデオ(字幕)] 6点(2006-01-17 13:01:20) 1311. Mr.BOO!ミスター・ブー ジャッキー・チェンと共に香港アクション映画の黄金期を作り出したと言っても過言ではないホイ3兄弟の贈るシリーズ1作目。一世を風靡したこのシリーズは、我々の世代ではやはり広川太一郎の声とともに記憶されている。字幕版(すなわち原語バージョン)で観ても、そのバカバカしさの連続は大いに笑わせてくれるものであるが、例えば原語版の、何も言わずにハミガキチューブを踏みつけて中身を出そうとするのに対し、吹き替え版では広川太一郎が「踏みチューブしてくれる」とかいちいちアホらしいダジャレをかましてくれて、バカバカしい作品がさらにそのバカバカしさをグレードアップさせており、やはり広川天晴れという印象におちつく。世代的に広川太一郎の声に居心地の良い懐かしさを感じているだけかもしれないが、この『Mr.BOO!』自体にもその世代のノスタルジー感を拭えないのはたしかで、今さら作品そのものを評価することは不可能かもしれない。よって、今受け入れられるシロモノかどうかは判断しかねる。[DVD(字幕)] 6点(2006-01-13 13:38:46) 1312. Mr.インクレディブル 今や、体の伸び縮みだって、あり得ない怪力だって、超高速移動だって、なんでも実写でできちゃう時代。でも実写だとちょっとひいちゃうような場面もアニメだとすんなり受け入られる。この『Mr.インクレディブル』はアニメであることの長所を存分に発揮した作品といえる。様々なスーパーパワーを違和感無く楽しめるのはアニメならではの醍醐味。ただ、なんとなくシコリを感じる。おそらくシンドロームの悪玉への過程の妙なリアルさが原因だと思う。だって、いくら根が歪んでいようが、スーパーヒーローが生み出したも当然の悪玉でしょ、アレって、、。まるで「ビン・ラディンを生み出したアメリカ」ってのは言いすぎにしても、なんだかなぁ、、。過程がどうであろうと悪は潰すべきというのは解かるんですが、わざわざ悪玉への過程を描かなくてもいいのに。『ブラックホーク・ダウン』でも書いたけど、アメリカの正義は悪(敵)がいて初めて意義がある、という構図がチラチラして、楽しむことにブレーキがかかっちゃうんです。考えすぎなのはわかってますが。もしかして『華氏911』へのディズニーの回答? いや、考えすぎですね、これも。 なんともイヤな大人になったもんだ。[DVD(字幕)] 6点(2006-01-11 15:29:50)(良:1票) 1313. 勝手にしやがれ!! 強奪計画 ハードボイルド喜劇とでも言おうか、男っぽさをコメディの中で見せるこの手のジャンルは一時期流行ました。かっこ良くキメても欧米人のようにはキメられず、その照れ隠しに喜劇がピッタリはまる、といういかにも日本向けジャンルで、既に日本においては古典ジャンルといってもよい。その代表が「傷天」であり、その後の「あぶ刑事」であるのでしょうが、これらの特徴として必要不可欠なのが主役のキャラの面白さだと思うのですが、ぐるぐるさんも書いておられますように、今作の主演二人のキャラはけして濃くはない。むしろ薄い。哀川翔のこれまでVシネで培ってきたキャラの濃さを考えれば、あえてそうしているとしか考えられない。つまりはキャラで勝負しない。ストーリーだってベタベタである。つまりストーリーでも勝負しない。ただ、自転車で疾走する二人を見てくれと。そのときの生き生きとした背景を見てくれと。ブツを絶妙!にキャッチし損ねる瞬間を見てくれと。二度目のブツと人質の交換シーンのバカバカしさと緊迫感が同時に襲ってくる感覚を味わってくれと、、、そういうことなんじゃないだろうか。私的には、笑いがもう少しツボをついてくれたら言うことなかったんですが。[ビデオ(字幕)] 6点(2005-12-12 15:46:32) 1314. 新・仁義なき戦い。(2000) 『トカレフ』までの坂本監督の作品には画面にも人物にも得体の知れないパワーを感じましたが、その後の作品ではそういったものが感じられなくなった。しかし、この作品は布袋寅泰の元来備わっているカリスマ性が加担しているのだろうか、そこそこの怪しげなパワーを感じた。深作の『仁義なき戦い』シリーズとは時代が違うのでドンパチの少ないいかにもビジネスライクなヤクザになっているのは仕方のないところ。それでも主人公たちの少年時代の描写なんか風景といい、暴力描写といい、オリジナルとはまた違った味と衝撃があります。そしてオリジナルがキャラが活きまくっていた群像劇なのに対し、こちらはあくまで布袋と豊川の二人をメインにし、それ以外のキャラをあえて淡白に描いているところがある(個人的にはもっと淡白に描いてもよかった)。これは近代ヤクザの跡目相続抗争を描いた作品ではなく、抗争に翻弄される二人を通して暴力の根源を描き出そうとした作品である。[DVD(字幕)] 6点(2005-12-07 14:02:15) 1315. 王手 衝撃のデビュー作『どついたるねん』から『鉄拳』を挟み、再び舞台を新世界に移した今作は例によって男の真剣勝負の世界を描く。ボクシングとは打って変わって動きの少ない将棋の試合。しかし赤井の大きく振りかざした指し手とパシッという駒の音、さらには扇子を使い、そして戦いを見守る人々の表情を指し込むことで観る者を飽きさせることなく引きこんでゆく。圧巻は若山富三郎と通天閣で勝負する平安将棋(って名前でしたっけ?)!勝負が圧巻なのではなく、黄金色に輝く将棋盤と駒の一つ一つの陰が見せる画が圧巻。赤井と対照的な存在の加藤がいい味出しているのに物語の軸に絡んでこない展開に不満というか、消化不良感を拭えませんが、ストーリー以上に背景である「新世界」がじゅうぶんに魅了させてくれます。大阪の中でも独特な空気を持った街「新世界」を最も堪能できる作品。[ビデオ(字幕)] 6点(2005-12-06 12:27:24) 1316. 鉄拳(1990) 前作『どついたるねん』同様のボクシング映画かと思ったのは前半のみ。師と弟子の関係の成熟してゆく様もボクサーの成長も省略され、これから大和武士がボクサーとしてのぼりつめようとしたそのとき、ドラマは大きく動き、ボクシング映画から正義VS悪のヒーローものに変容する。しかも主役は大和武士ではなく菅原文太だった。ジムの壁に描かれたウルトラマンはこのことを暗示していたのか!妻や子供にも愛想をつかされ、仕事もほったらかしのヒーローを夢見る男が、絶好の悪と遭遇し、夢を実現させるがごとくに戦うヒーロー映画。(と、書くとなんだかゼブラ-マンみたいだな、、。)しかも改造人間(一部)だし。バイクで駆けつける大和武士はさながら仮面ライダー2号だ!!坂本監督の初期作品は非常にわかりやすい男のドラマ、そして戦いのドラマが描かれますが、全てのベースはヒーローもののような気がする。この作品はそのことを強調しているように感じました。[DVD(字幕)] 6点(2005-12-05 13:56:54) 1317. ALI アリ モハメド・アリの試合をリアルタイムで何度か見ている。(アントニオ猪木との異種格闘技世界一決定戦も見た。)蝶のように舞い、蜂のように刺す。ヘビー級では考えられないような華麗なフットワークをウィル・スミスが、そして足だけを映し出した映像が見事に再現していた。「弱い犬ほどよく吼える」は世界共通ではなかったと衝撃を受けたアリの試合前の強気の暴言が機関銃のごとく飛び出す様も、ウィルが鋭い眼光をもってうまく表現していた。アリのバックボーンに関しては、とくに宗教に関することについては全く知らなかったので、この映画でそのことに触れるたびに強さの裏に隠されたものを覗き見るような感覚を持ち、映画の出来不出来とは関係なく孤独のアリを見守り、崇高なるアリを称えながらこの映画の世界に浸った。つまりこの映画はどうしてもその内容(アリの生き様)にいってしまう。アリの強さを知っていれば知っているほど。そこで評価すると10点しかあり得ないのであるが、映画の満足度で言うとそんなにはあげられない。なぜならば、アリのバックボーンとクライマックスのキンシャサでの試合に、あるいはその結果に映画としてのつながりが(アフリカ系黒人とキンシャサというつながり以外に)見えてこないから。と、書いたもののやはり実在の偉大なボクサーの一角を切り取った映画としてはじゅうぶんに満足できる作品。 (追記)・・と、昨日書いてはみたものの、兵役拒否もブラック・ムスリムも端折るわけにいかないし、キンシャサはクライマックスとして的確だし、やっぱりコレでいいのかも。うーん、でも何かが足りない気が、、。[DVD(字幕)] 6点(2005-12-01 16:18:41) 1318. 伊豆の踊子(1974) たしかに階級差の生み出す悲恋の物語の中で、ひたすらに三浦友和が山口百恵に送る眼差しと百恵の愛くるしい様が映し出されるだけで、物語が内包する残酷性が素通りしてゆくいわゆるアイドル映画なのですが、それだけで切り捨てるにはもったいないほどにアイドル百恵をとらえる画がきっちりとその純朴さと初恋の初々しい女心をとらえている。野山を歩く姿を情景とともにロングで収める画も、旅館の二階から見下ろす画も、別館の窓越しに見える踊り子の姿も、ひとつひとつが丁寧に撮られ、けしてストーリーに深みが無くてもじゅうぶんに見れる映画だと思います。小学生の頃、百恵ちゃんのファンだったという個人的な贔屓目を抜きにしても。たぶん。[ビデオ(字幕)] 6点(2005-11-24 12:42:59)(良:1票) 1319. ドッペルゲンガー 『カリスマ』がホラーでもなんでもない題材を思いっきりホラーで撮ったのに対し、今回は思いっきりホラーな題材をホラー的演出を封印し、この人の『勝手にしやがれ』シリーズ調のドタバタコメディのような演出で、さらに途中からはロードムービーにしてしまったというある意味すごく実験的な映画。だから、役所広司のドッペルゲンガ-はその存在とは裏腹にやたらと馴れ馴れしいし、ゾンビのごとき柄本明の最期はあまりにあっけないし、殺人者そのものの表情で迫り来るユースケ・サンタマリアも喜劇的オチにて画面から消え去る。黒沢清が実はものすごく怖く撮れる人だってことを知らずに観ると拍子抜けしてしまいかねない、そんな危険をはらんだ映画。それでもそれをやっちゃったことに対してはもっと高得点を捧げたいが、この作品単体での印象は今のところ6点が限界。といっても私の6点はけっこう楽しめた部類に入りますが。[DVD(字幕)] 6点(2005-11-18 16:07:04) 1320. Love Letter(1995) 始まることもなく終わってしまった藤井樹と藤井樹のラブストーリーが樹と同じ顔を持つ博子の手紙をきっかけに蘇る。死者に送った届くはずのないLove Letterが、甘くせつない図書カードというLove Letterを発見させる。時間を遡り蘇るその甘酸っぱさと死者を交えた毒のない三角関係が見事に岩井俊二の映像とマッチしている。そして岩井ワールドに染め上げられた女たちの透明感にやられる。残念なのは小樽の素晴らしいロケーションに対して神戸のそれは美しいんだけど神戸を感じさせないところ。さらに方言の持つ生々しさというよりも関西弁の持つ独特の生活臭が岩井ワールドとどうも相性が悪いような気がした。「お元気ですかー!」で一気に冷めてしまうスレた自分にも減点。[ビデオ(字幕)] 6点(2005-11-16 13:00:54)(良:1票)
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS