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1321. パラサイト 宇宙から来た寄生生物という設定、そして誰が寄生されたかわからないところからくるサスペンス、正体を見破る方法があることで生まれるドラマ、、ロドリゲスが敬愛するジョン・カーペンターの『遊星からの物体X』を彷彿させるプロットに舞台を閉塞感極まる南極基地から開放感みなぎるアメリカの高校に移し、若さとスピード感溢れる脚本をもとに作られた堂々たるB級SFホラー。てか、ベタベタのB級SFホラー。B級といっても干からびた寄生生物が水を得て動き出す様や鼠を赤い食指で捕まえる様の特撮はA級といってもよく、このあたりをB級になりきれていないととるか、しっかりと作られたB級ととるかで評価も変わってくる。私としては『遊星からの物体X』のパロディとして登場する首だけの女の先生からタコ足が出てきてにゅるにゅると移動するシーンを見ただけで妙に満足してしまった。ラストで平和が訪れ五体満足で登場することの漠然とした疑問も心地よかったりする。ドラッグの吸引をふさぐために鼻の穴がピシャっと閉まるのもべつに閉じなくても吸引のふりだけでいいじゃんと思いつつも笑って許せてしまう。私のボーダーラインを下げさせる力を持った作品。[DVD(字幕)] 6点(2005-11-11 12:18:46) 1322. エル・マリアッチ 低予算なのにお金をかけたように見せる、ということがこの作品を面白くさせているとは到底思わない。低予算だから良いとも思わない。お金をかけようがかけなかろうが、面白ければよい。で、この作品は面白い。もちろんお金をかけられなかったゆえの創意工夫があってこその面白さがこの作品を支配しているわけですが、お金が無かったからしょうがなかったという、車椅子を使って移動撮影したから結果的にローアングルになったとか、アマチュア俳優たちのロケーションに溶け込んだ佇まいとか、偶発的に撮れたような画がこの作品をよりエキサイティングな作品にしている。これもそれもロドリゲスの才能がベースにあってこそだと思いますが。で、その才能が発揮されているのが初期短編『BEDHEAD』同様、編集作業だと思います。スローと早回しも効果的でした。難を言うなら、いらないシーンがチラホラあったことぐらい。あと好みの問題で女優、、ですかね。ま、それも制作上、予算上の都合で仕方がないところもあるんですが。[DVD(字幕)] 6点(2005-11-09 11:26:58)(良:3票) 1323. 夕陽のガンマン 『荒野の用心棒』と同じ臭い。テーマソングも同じ雰囲気。イーストウッドは同じようなキャラ。しかしリー・ヴァン・クリーフがもう一人の主人公として登場するだけで、ヒーローが悪を倒すという簡単ストーリーが、どこでどう転ぶかわからないスリルある展開へ変貌する。実際、冒頭でとてつもない強さを見せつけたヴァン・クリーフの描写は、二人の賞金稼ぎ同志の戦いを予感させるし、その圧倒的な強さはヒーローの危機を予感させる。そこにさらに賞金首が絡んで三者のサスペンスフルな関係が最後まであきさせない作品にしている。ただ、オルゴールの曲が止まったら撃ち合うってのはちょっとかっこよすぎ。だいたい初めて聞く者にしたらあの曲の終わり方は「いつ終わんねん!」って終わり方なので酷だと思います。[ビデオ(字幕)] 6点(2005-11-04 16:50:19)(良:1票) 1324. ビートルジュース バートンの作家性だとか、娯楽性だとかは別にして、確実に賞賛できる部分って彼の独創性だと思う。その独創性が爆発しているのがこの作品。死後の世界をこんなにも奔放に描いた作品もそうはない。その発想の自由さと独自性もさることながら、そのイマジネーションを映像化する技も含めて、バートンは非常に素晴らしいクリエーターだと言える。個性が際立つと当然好き嫌いも際立つでしょうが、だからこそバートンにはコアなファンが多いんでしょうね。私は好き、、とは胸を張って言えるほど好きではないのですが、それでも個性際立つ作品には惹かれるし「個性派」といわれる人は大好きです。 “幽霊は見えないもの”ではなく、“常識から逸脱したものを認めようとしないから見れない”という発想がいかにも「逸脱」をも「個性」に変換させるバートンらしくて良かった。あと、お母さんの、勝手に体が踊りだすときの顔がツボにはまった。[DVD(字幕)] 6点(2005-10-21 18:58:44) 1325. ビッグ・フィッシュ 映画はどんなにリアルに描こうとも虚構の世界にすぎない。中でもティム・バートンの映画はその虚構性がぶっ飛んでいる。一方人生は現実そのもの。しかし人生の「今」だけが現実であって過去は既に現実ではなく虚構をおびたものに変貌する。中でもこの作品に登場する父の語る人生劇はその虚構性がぶっ飛んでいる。ぶっ飛んだ虚構性を「子供の時は楽しめた」と言う息子の言葉はバートンの映画を子供向けだと言っているのと同じ。結婚式のスピーチに対しての息子の意見は、観客を無視した作り手の自己満足映画だと言っている。しかし息子は最後には虚構を楽しむこと、そして虚構の中にこそ真実があること、さらに虚構を創作することの幸せを発見してこの映画を締めくくる。まるでティム・バートンの遺書のような映画。個人的には息子だけがのけ者というのが気に入らない。のけ者は虚構を語る父であってほしい。息子がぎりぎりセーフで父の語る人生劇の最終章を作り上げるというのも感動はできるけど別に感動しなくてもいいので「らしさ」を出してほしかった。はやまるな!バートン![DVD(字幕)] 6点(2005-10-18 12:04:17)(良:1票) 1326. スタンド・バイ・ミー この作品がなぜここまで名作として評価されるのか。4人の子供たちのセリフや行動は原作通りで常に物語が優先され、映画だからこそ描いてほしい子供特有の茶目っ気やバカさ加減や弱さや強さは全く描かれていないし、そのひとつひとつの行動はノスタルジーに浸るにはあまりにドラマチックなのに。しかし、大人になったゴーディの回想録というつくり、線路を歩く姿、無言の帰宅、、といったものが誰もが郷愁の念を思い起こさせるスイッチとなり、その一点のみで名作へと昇華し得た作品ではなかろうか。旅で得たものが示されなくても何かが変わった、という少年時代の1ページという原作にもあったストーリー上のノスタルジー以上のものが「線路を歩く」という画にある。メインの少年4人以外の人物描写を極力省いたことも視点がはっきりして良かった。[ビデオ(字幕)] 6点(2005-09-29 14:26:56) 1327. デッドゾーン 《ネタバレ》 クローネンバーグに詳しくないのですが、私が知る限りのクローネンバーグの個性があまり無かったように感じる。初の原作小説の映画化というのが個性の発揮の障害となったのでしょうか。ところがこの作品、彼の作品の中でも高い評価を得ているというのはなんとも皮肉ですね。ウォーケンのまわりにたち込める哀しみのオーラが他のクローネンバーグ作品にも通じる雰囲気を持っています。ある議員候補者の恐るべき未来を見てしまった主人公がある決意をし実行に移すという物語の過程で様々な自らの能力に対する葛藤が描かれていって、主人公の深い哀しみに説得力を持たせてゆくのですが、連続殺人事件のエピソードが中途半端に感じた。それからあの議員候補者!どう見ても当選確実な人気者には見えないし、実力者にも見えない。子供を盾にする様はやりすぎでしょう。いくらバカでも。[ビデオ(字幕)] 6点(2005-09-28 14:29:32) 1328. レイクサイド マーダーケース 《ネタバレ》 原作はミステリー小説だけど、ミステリーとしては撮らないぞ、と思ったけどプロデューサーがうるさいんで、カタチだけミステリー仕立てにしてみました、、というのは勝手な想像ですがそんな感じ。青山テイストな作家性が原作ストーリーを意識しすぎてあまり出ていない。それでも仰向けの女の顔を上から撮った画で始まり、ストーリーの中の伏線ではなく映画の構成上の伏線としてラストに繋げたあたりに映像作家としての拘りを感じる。子供の犯罪に対して親はどう対応するべきか。『EUREKA ユリイカ』((←ネタバレ有り))で少年を出頭させた役所広司はこの作品でも罪を償うべきであると訴える。しかし役所の演じた役はどちらも本当の父親ではない。本当の親なら子供の未来のために完全犯罪に仕立て上げるのか。『EUREKA ユリイカ』で決着したはずの問題を今度は親の視点でぶり返させる。親に見放された子供たちと親に期待しない子供たち。この2作品、ひとりの親としては考えさせられます。[DVD(字幕)] 6点(2005-09-16 17:09:46) 1329. 川の流れに草は青々 オープニング、物語が始まる前に、子供達が電車と競争しているシーンを見た瞬間、この監督が才能有る作家であり私好みの作家であることが確定。いつになったら学校につくんだ?ってくらい自由気ままな子供達のなにげない行いが映し出され、物語が始まっても物語とは関係のない行動ゆえに省かれがちな子供達の日常が常に背景と同化し、そのことによって物語に深みというか味わいが生まれ、同時に少年時代を懐かしむような心地の良いノスタルジーに浸れる。ただ、所々で先生と子供達が戯れたり、大人同志の楽しんでる様をセリフを消して音楽とともにパパッと見せるシーンがあるんですが、どうにもわざとらしい演技なんですよね。例えば、こんなシーンはないのですが、コイツ~っておでこをつついてエヘってするような気恥ずかしさが溢れた感じの。バックに流れる独特の陽気な歌も影響していると思うのですが、ちょっとクサイです。でも、なんか癖になりそうなクサさでもあるんですけどね。その演出自体にノスタルジーがあって。[ビデオ(字幕)] 6点(2005-09-06 14:01:15) 1330. 空の大怪獣ラドン 当時の特撮怪獣モノって独特のレトロ感があって好きです。この作品も例にもれずですが、それって特撮であることとかミニチュアの町の再現から成るものじゃなくて、きっと怪獣が出てこない部分で描かれる風景や家屋のセットからくるような気がします。そういう意味でもこの作品は炭坑の現場、工場、事務所、集合家屋、そしてその住民たちの独特の生々しさに溢れていて、ラドンそのものよりも強烈に印象に残っています。かといって、ラドンがダメってことじゃなく、むしろ幼少の頃からゴジラやガメラよりも、ただ飛ぶという行為だけでとてつもない破壊力を見せつけるラドンが好きでした。はっきりと見えるピアノ線は電線がひっかかってるんですよ、きっと。学者や警察を交えた会議はシリアスなくせして怪獣の存在にあまり驚かずに淡々と進むのは怪獣映画全盛期ゆえでしょうか。それはそうとラドンって、プテラノドンだったんですね。[ビデオ(字幕)] 6点(2005-09-02 15:46:33)(良:1票) 1331. リトル・ダンサー すごーくもったいないと思いました。ものすごくいい雰囲気で炭鉱の町を再現していてその町をバックに歩いたり走ったりしている日常の画がすごく印象的なのに、ここぞというときに人物メインの描写になってしまう。炭鉱閉鎖に向かう時代の荒んだ状況も通り一遍でしか語らないもんだから、父の一大決心のスト破りもいまいち盛り上がらない。これは抑えた演出というものではなく、あきらかに感動を誘うための過剰演出がなされているにもかかわらずにです。家族愛を映し出すところで力を入れている結果として、抑え気味にさらっと描かれたダンス教師の娘とのエピソードなんかはけっこう好きです。あと、「夢」を前面に出さず、本当にバレエが夢なのかどうかも本人にもよくわからないというあやふやな、そしてそれが子供ってもん、という主人公の描き方も自然で好感が持てる。ただ踊ることが好きな少年がいて、その才能を見出したダンス教師がいて、その才能を伸ばしてやりたい父がいる。伸ばしてやりたいけど、それが困難な状況にあるところでこのドラマは生まれるわけで、やっぱりもう少し炭鉱町の悲劇が描かれてもよかったのではなかろうか。[DVD(字幕)] 6点(2005-08-31 13:43:02)(良:1票) 1332. 普通の人々 《ネタバレ》 中学生の時に、大好きなレッドフォード初監督作ということで見に行きました。レッドフォードのそれまでの主演作のような娯楽作を期待していたわけではないが、あまりにもシビアな内容に当時の私の中でうまく消化しきれずにいた作品。とりわけ母の描写と母と子の修復されることの無いエンディングに納得がいかなかった。現実的といえば現実的なんですが、そもそも最初から中坊の私の中ではカウンセリング自体が現実的ではなかった(後にアメリカ映画をたくさん見てゆくと当たり前のようにカウンセラーが出てきてるんで、単なる無知でしかなかったわけですが)し、ストレートな家族愛というのも見た時期が時期だけに寒かったわけですが、それでも惹きつけられるように見入ったことも確かで、それはきっと家族の崩壊という悲劇があまりに普通に存在しているように描かれていることへの衝撃を味わっていたのだと思います。今思い返すと、けっこうドラマチックな内容なんですよね。それをあえて地味~に仕上げたことでリアルを導き出した作品だと思います。[映画館(字幕)] 6点(2005-08-22 14:29:05) 1333. 落ちた偶像 脚本がうまい。ベインズの、昔アフリカで人を殺したことがあるという冗談も、少年が高い所にある窓辺に立って婦人に叱られるのも、全て伏線となっている。冒頭でベインズが少年に対し「良い嘘もある」と話しているがこれも重要な伏線。うまい!うますぎ!!大人の嘘に合わせる嘘、秘密を守るための嘘、大好きな人(ベインズ)をかばう為の嘘、、大人の世界が解からない子供が自分なりに賢明につく嘘がベインズをどんどん不利にしてゆく。無駄が一切無いサスペンスであり、子供の心情を見事に描いた心理サスペンスとも言える。無駄が無いぶん、出来すぎ感も否めませんが。[CS・衛星(字幕)] 6点(2005-08-18 17:14:31) 1334. 宇宙戦争(2005) 《ネタバレ》 宇宙人襲来という非現実的な設定を「身近な恐怖」にまで昇華させたリアルな映像が圧巻。なにかが起こっていることを父の言動に察知し、不安の絶頂で、そのなにかを見てしまったときの娘の赤くなった目から伝わる恐怖感。娘を守りぬかねばならないボストンまでの過酷なロードムービーの序章として上々のすべりだし。棘が刺さっていても身体が自然に押し出すのを待つという娘の言葉がそのままこの作品のストーリーにリンクするというニクイ伏線といい、父と息子のキャッチボールで見せる二人の関係とお互いの適性の見せ方もスピルバーグらしい芸の細かさ。結果的に妹を危険にさらさせた兄の行動や、家族を殺されて家に立てこもる男の異様な思考は、戦うことを美徳と考えることへの警笛か?また圧倒的な軍事力を持ってしてもその地が侵略を許さないという結末は、現アメリカへの警告か?・・とすれば、娘が捕まって助けに行ってドカーン!とか、既に死に体の敵にミサイルを撃ってビジュアル的に相手が倒れる様を見せるのはいらないんじゃないだろうか。前半のように、宇宙人とかポッドの中とか見せないほうがぜったい良いってのもありますが、実際私の隣にいたカップルがこんなあり得ない会話をしていました。 女「なんで宇宙人、死んだん?」男「トム・クルーズが爆破させたやろ。たぶんあれが親玉ちゃうか」女「あ、やっぱ、そーなんや。やっと謎がとけた」・・・オマエらが謎や。[映画館(字幕)] 6点(2005-08-12 12:19:33)(笑:3票) (良:1票) 1335. マイノリティ・リポート プリコグの見た映像を指揮者のごとき手さばきで、並べなおしたり拡大したりする様はまるで映画の編集作業そのもの。会社存続の為の策略によって、捜査の指揮権を奪われ、追われる身となる主人公というのも、映画会社の利益最優先の末の監督交代劇のようだ。スピルバーグがそんなことを暗喩として描いたかどうかは知らないが、これで冒頭からじゅうぶんな興味を私に抱かせた。ジェット噴射機を背負い、空中を浮遊する追手たちの姿は、敬愛するトリュフォーの『華氏451』へのオマージュか?そういえば、『華氏451』は一方的に垂れ流される映像に依存することの危険性を提示していたが、今作品も映像に対する過度の信頼における危険性を提示している。深読みしていくとけっこう楽しめるのがスピルバーグ映画の面白さでもある。リアルな未来像も○(レクサス2054年モデルも見れたし、なにをおいても有名女優と××出来ちゃうバーチャル風俗に興味深々、、恥)。主人公がヒーローではなく、ドラッグに頼る弱さと弱みをを持った普通のパパというのも好印象。しかし後半、妻が事実を知ってからの展開の早いこと。そして安直なこと。ハリウッドでヒットメーカーであり続ける監督の送り出した娯楽作品の限界点でしょうか。おしい。[DVD(字幕)] 6点(2005-08-10 18:18:16)(良:2票) 1336. キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン 《ネタバレ》 おそらく何をしてもそれなりの成功を手に入れるだけの才能をじゅうぶんに持っていただろう青年が、親の離婚をきっかけに、その父への純真なる想いのせいで、その才能の使い道を誤ってしまう。彼の詐欺行為には悪意が感じられず、反対にパイロットという肩書きにまんまと騙される人間たちを滑稽に描く。そして巷の詐欺映画に感じるゲーム感覚よりも主人公の孤独が終始漂う。スピルバーグは娯楽作品として無難に仕上げながらも、自分の想いを必ずと言っていいほど作品に乗せてくる。見た目で人を判断することへのマイノリティの怒りであるとか、自らの父への想いとか。そこがこの作品がコメディでありながらも心底楽しめないものになっているような気がする(『ターミナル』でもそう感じた)。でも、そこがスピルバーグらしくて好きだったりもする。逃げずに帰ってくるラストのくだりは、離婚している捜査官に、そして自分を信じてくれる捜査官に、父を見たから。最後まで父と息子のドラマにしているのがスピルバーグらしい。ディカプリオもまた、実に大胆でありながら大人になりきれない主人公をうまく演じていたと思う。[DVD(字幕)] 6点(2005-08-05 16:48:32) 1337. マッチスティック・メン 《ネタバレ》 どんでん返しがあるということを聞いていたせいか、驚きはしませんでしたが、オチが読めようが読めまいがどっちでもいい作品だと思います。このどんでん返しが観客を騙すためのものではないとは言いきれませんが、儚い親子愛を描くための展開のひとつにすぎないことは確かだと思います。子を愛しいと思う親心を利用した詐欺ということで不快に思う気持ちも解かりますが、子を想う愛の大きさが一人の男の人生観までも変えてしまうという物語と見れば、ラストシーンもなかなかに良いのでは。キリコさんが「スティングを思い出すか、ペーパームーンを感じるか・・・」と書かれていますが、私は後者ですね。室内に漏れる外の光の描写にリドリー・スコットを感じました。[映画館(字幕)] 6点(2005-08-04 16:11:07) 1338. ビッグ・ガン 腕利きの殺し屋が家族の為に引退をしようとするが...という、ごくごくありふれたストーリーです。カーチェイスでもおきまりのパターンで、花屋に突っ込むシーンがあり、当然ジャンプ台も用意されています。それでもアクセルを踏み込んだときのエンジン音は、ヨーロッパ車独特の乾いた音が鳴り響き、スピード感もあってじゅうぶんに楽しめました。そして、哀しみを背負った殺し屋に、美貌のアラン・ドロンがこれまたよくはまる。シチリア人に見えないところがイタイが、どこか陰のある表情がこの役にピッタリ。演技というより、彼の美しい顔にはそもそも哀愁が漂っているように見えるから、ポーカーフェイスの裏にとてつもない哀しみが備わっているように見えちゃうんです。その陰のある表情から一変、ラストシーンで笑顔で友人の車に近づくドロン。そしてその後のストップモーションとなるなんとも言えない表情...うーん、いいねぇ。[ビデオ(字幕)] 6点(2005-07-29 19:15:20)(良:1票) 1339. リトル・オデッサ 《ネタバレ》 みなさんがおっしゃるように哀しさで溢れています。これは、けして弟が悲劇的な死を迎えるからではなく、この作品が常に家族を描いているにもかかわらず、主人公だけが最初から最後まで家族の一員になり得ず、望むはずもない家族の崩壊を自分のせいで招いてしまうから。弟を殴った父を草原の中でひざまつかせ銃口を向けるシーンの、なんて哀しいこと。息子を売ってしまう父親の、なんて憐れなこと。兄弟二人が母をはさんで座る、そう、ただ3人いっしょに座るだけという儚い妄想の、なんて痛ましいこと。雪が積もり、陽の明るさとともに雪が解けてゆくという背景への丁寧な心遣いも好感が持てる。地味な展開を、全編に流れる聖歌が作品に深みを与える。ただひとつ、残念だったのが、ラスト、兄と兄を殺しにきた連中と知らせに来た弟と助けに来た仲間が交錯するシーンの盛り上がりの無さ。緊迫感と美しさが全然足りない。緊迫感は許せても美しさは譲れません。とくにシーツ越しの人影を撃つところは最大限の美をもって撮ってほしかった。と、思うのは欲張りすぎでしょうか。[ビデオ(字幕)] 6点(2005-07-28 15:38:30) 1340. ニキータ 6~7回くらい見ているだろうか、、ベニスのホテルのバスルームのシーンだけ(笑)。楽しい旅行から一転、落胆するニキ-タ。ターゲットの確認をする電話の声。ドアを隔てた恋人の声。そしてニキータの感情とは別に身体に覚えこまされた、まさにプロの殺し屋であることをまざまざと見せつける一瞬の仕事。何度見てもいい。単純なストーリーにハリウッドばりの派手なアクションを見せながら、教官と恋人の二人の男からの異なった愛を軸に、かといってそこを強調することなく描いたことで安っぽくないドラマに仕上がった。ハリウッド映画にはない独特の空気が好印象を与えるが、ストーリー重視で演出が雑に感じるところはハリウッド映画と同じように感じた。ラストはあれでいいと思うが、アクションシーンが洗練されているぶん、なんだかつりあわないというか、違和感を感じたのは確か。[映画館(字幕)] 6点(2005-07-27 16:05:06)(良:1票)
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