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121.  1917 命をかけた伝令 《ネタバレ》 ほとんど予備知識なしで映画館へ。まさかの疑似ワンショット演出に最初はかなり戸惑いましたが、2人の若い兵士の視点から少しずつ第一次世界大戦の西部戦線の有様が見えてくる構成は見事です。とくに、廃墟の町での夜〜早朝にかけてのシーンは、撮影監督ロジャー・ディーキンスらしい赤い炎と光と影が交錯する美しいシーンながら、ワンショット演出のサスペンスが冴えまくり、戦場の恐ろしさも体験させてくれる唯一無二の経験ができます。この一連のシーンを見るためだけに、映画館で見る価値はあると思います。ただ、「戦争映画」ではありますが、『プライベート・ライアン』のような「大作戦」ではなく、作戦の中止を伝える伝令を描いた映画なので、戦闘シーンそのものはとても控えめです。阿鼻叫喚の戦場描写というよりは、どこから狙われるかわからないサスペンス演出が中心で、「迫力の戦闘シーン」を期待してしまうと思ってたのと違う映画と感じてしまうかも。また、戦争映画ではおなじみの極限的な人間ドラマも、中盤で予想外のことは起きますが、基本的にはベタで新しさには欠ける。展開もちょっとご都合主義的。ドラマや脚本よりも、徹底した兵士目線で生まれる緊迫感とディーキンスの凝りまくった映像を堪能するタイプの映画なのかなと思います。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2020-01-20 20:39:09)

122.  アルキメデスの大戦 《ネタバレ》 機内上映で鑑賞。映画館とはほど遠い環境ながら冒頭の映像には素直に感心。米軍との「兵士の扱い方」の対比も見事。ただ予備知識なしだったのですが、本編に入ったら、戦前の日本じゃなくて昭和か平成のサラリーマンドラマ(指摘してる人が多いけど、本当に池井戸作品っぽい)みたいになっていっていく。菅田くんが演じる主人公も数学論理バカと思わせて、いきなり米留学を「感情」で取りやめてしまって拍子抜け。鶴瓶さん演じる社長の協力を得るための作戦も「ひたすら待つ」なんて本当にサラリーマンドラマ。結局はお嬢さんの登場で形勢逆転なんてのもサラリーマンドラマの典型ではないか。ほぼその調子で最後の数式がどのように導き出されたのかの論理も曖昧なままの最終会議へ・・・。天才によるロジカルな対決よりも根性と熱意で押し切るおなじみのドラマとして楽しんだほうが正解なんだろう。あと、ある種の合理性よりも戦艦の「美しさ」に惹かれてしまう部分というのは、ファシズムの論理にも重なる部分があってへえとは思った。ただ、ああいう滅びの美学みたいなもの(=戦争は避けられない、ならば・・・)が、冒頭で描かれた「命を粗末にする日本」と重なると最悪の結果になるよというメッセージへつながるのであれば評価できるのだけれども、結局はおなじみのテレビドラマだけど最後はちょっとダークでビターな感じにしてみました風で流してしまっているのも気になる。[インターネット(邦画)] 5点(2020-01-19 00:15:18)

123.  2人のローマ教皇 《ネタバレ》 アンソニー・ホプキンスとジョナサン・プライスの2人のベテラン俳優のやりとりを見ているだけで楽しい。2人ともイギリス生まれの英語母語者なのに、ホプキンスのドイツ訛り英語(ときどきラテン語混じり)の独特の間とか、かつて『エビータ』ではフアン・ペロンを演じたプライスのスペイン語訛り英語のユーモラスな感じとか、役者ってすごいと素直に感心してしまう。そして、2人が母語ではない英語で会話することで生まれる不思議な距離感。意見は正反対でわかりあってるわけではないのに、それでも人間と人間が対話することで生まれる、心のどこかとどこかが「つながった」その瞬間を見事に描いていると思います。そして、物語は、ユーモラスな二人のやりとりの先に、それぞれが過去に犯した罪へとクローズアップしていく。罪ゆえに指導者の座を降りようとするベネディクト16世と、過去の罪に向かい合うがゆえに指導者の立場を躊躇するベルゴリオ枢機卿。リーダーシップとは何か。罪や過ちの「責任を取る」とはどういうことなのか。このあたりの道徳観がすっぽりと抜け落ちた自称指導者ばかりの世の中で、世界で最も古い、権威主義の象徴のようなローマ教会で起きた変化にまだまだ世の中捨てたものではない、という前向きな気持ちにさせてくれるのも素晴らしい。[インターネット(字幕)] 7点(2020-01-19 00:01:54)

124.  バーニング 劇場版 《ネタバレ》 噂通りのスゴイ映画。何重にも物語が交錯し、さまざまな解釈を呼びこむ巧みな構成。難解という評判もあるけれど、前半のヘミとの出会いからベンの登場による不穏な三角関係からは、韓国社会の格差問題への社会派的な問題意識も垣間見えるし、中盤のヘミの失踪からのサスペンスな展開は次に何が起こるのかという緊張感に満ちている。そんなわけで、構えて鑑賞したものの、結局はエンタメ的にも楽しめてしまった。ネット配信で見たので、1回見たあと、すぐにまた見直すと、いろんな言葉や表情、そしてショットの数々の意味が膨らみ、二重三重においしい。解釈はいろいろあって、あちこちでいろんな解釈を聞いたり、読んだりするのも楽しい。個人的には、存在というか「実在」をめぐる物語として見た。冒頭のソウルの街頭の雑然さ、生々しいセックスのシーン、ジョンスのどうにも散らかった実家、北朝鮮のプロパガンダ放送が流れる田舎の風景まで、前半はたしかにそこに「人」や「もの」が「在る」さまが描かれていたように思う。それが、あの夕陽のなかでヘミが踊る名シーンから、画面からは「在ったはず」のものが忽然と消えていく。「不在」が募り、現実と虚構が入り交じり、人々の証言は食い違う。何が何だかよくわからなくなったときに現れた、あるアイテムと「猫」の強烈な実在感。なかったと思っていたものが「在り」、あったはずのものがなくなる終盤の展開は、「実在」感の喪失という使い古されたテーマを、新しい感性で描いたと思う。「実在」感の喪失と、でもそのなかで確かに「在った」ことを信じて「書く」という行為は、まさに村上春樹の小説そのものであり、そういう意味では、やっぱりこれは非常に優れた「納屋を焼く」のアダプテーションなんだと思います。[インターネット(字幕)] 9点(2020-01-11 13:28:04)

125.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 《ネタバレ》 50年代のハリウッド黄金時代に西部劇スターだったリックとそのスタントマンのクリフ。二人のやりとりは、スター二人の圧倒的魅力もあって軽妙で楽しい。そして、マーゴット・ロビー演じるシャロン・テートのあっけらかんとした明るさ。映画館のシーンは彼女の表情を見ているだけで、こちらも幸福感に包まれる。こんな魅力が満載の映画なのに、どこか不吉な空気が張り詰めている。もちろん、その夢のような時間の儚さは、映画の背景にチャールズ・マンソン事件があるらしいと聞かされた観客みんなが知ってる。幸福感があふれるほど、それがまもなく壊される予感に切ない気持ちでスクリーンを見つめていたはずだ。しかし、タランティーノが用意した物語のラストは、予想していたものと違って、なんとまあ、落ち目のスターとスタントマンが大暴れして、「そのまま」終わってしまった。 悲劇の現実があるからこそ、フィクションのなかでこそ夢を、という考え方は当然あるだろう。ただ、個人的には、「ヒッピーめ」と新しい時代の象徴を嫌悪の目でにらみつけるディカプリオも、「古き良き時代」を葬り去ろうとする力を圧倒的な暴力で返り討ちにするブラピも、結局は新しい時代を拒否して「古き良き時代」の殻に閉じこもるどこかの大統領とそれを支持する人たちの姿にも重なってしまうのだ。とくに、東洋のカンフースターを圧倒するブラピ、襲撃グループの女性の頭を必要以上に何度も打ち付けるブラピの姿に、『ファイトクラブ』の頃のような自省的な像は全く見えてこない。外国人を黙らせ、生意気な女を焼き尽くせと言わんばかりの暴力に、どんな魅力があると言うのだろう(もちろん、カルトを肯定したいのではなく、相手がクレイジーな女だったとしても「絵」として気分がいいものではない、ということだ)。 映画としては、『キル・ビル』の頃と比べると飛躍的に巧くなって、円熟の境地に達したといっていいタランティーノ映画の魅力満載で、ぜひじっくり楽しみたい作品だ。けれど、全体の構図としては、60年代に幅をきかすようになった「あいつら」がアメリカをダメにした、という『フォレストガンプ』と全く同じプロットにも見える。俺の好きなものを奪ったやつらを暴力で返り討ちにするというタランティーノのモチーフが、最悪に近いかたちで具現化されてしまった・・といったほうが正直なところ。[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2019-12-30 11:48:09)(良:3票) 《改行有》

126.  フランシス・ハ 《ネタバレ》 『マリッジ・ストーリー』は今年の、『レディ・バード』は昨年のベスト作品だった私にとって悪いわけがない。序盤のグレタ・ガーウィグが踊るシーン。一生懸命踊ってるのは伝わるのに、素人の私が見ても「あ、ダメだこりゃ」と思わせるダンスぶりが素晴らしい。恋愛も友人も家族も、それなりに恵まれているのに満たされない。それでついつい張らなくてもいい意地を張って、金欠のくせになぜかパリに海外旅行してしまう。27歳という、夢を追うにも落ち着くにも微妙な年、『レディ・バード』のその後、『マリッジ・ストーリー』のその前を見ているかのような等身大の痛みと、じんわりと押し寄せる共感。モノクロで、ニューヨークの若者たちを描いて、ここぞというタイミングでボウイの『モダン・ラブ』が流れる、いかにもなアート系ミニシアター風だけど、やってることは人情喜劇。会話劇だけど余計な説明台詞は排除して、噛み気味のタイミングで短いエピソードを詰め込み、俳優たちの魅力的な演技で引っ張っていく手法は、まさにバームバック節。グレタ・ガーウィグとの黄金コンビ(+カイロ・レンになる前のアダム・ドライバーも!)を堪能できる、いまとなっては贅沢な一作です。[インターネット(字幕)] 8点(2019-12-20 20:52:52)

127.  パッセンジャー(2016) 《ネタバレ》 120年の宇宙旅行中に冷凍睡眠状態からなぜか覚醒してしまった男女、という設定は絶妙。その裏にある「秘密」は、まあ想像どおりではあったけれど、ジェニファー・ローレンス&クリス・プラットの主演俳優2人の圧倒的なスターパワーで押し切った感じ。とくにジェニファー・ローレンスは、旬の女優が放つセクシーなオーラだけでなく、「秘密」を知って豹変する表情など演技も絶品。熱愛ピークからの居心地最悪の地獄絵図状況に、こちらまで居たたまれない気持ちになりました。ただ物語の雲行きは、後半のローレンス・フィッシュバーンの登場あたりから怪しく・・・。彼の登場と退場は物語的に都合よすぎる(あの何でもできる腕輪を渡すため、だけのように見える)。不具合の真相は、それぐらい想定しておけ、としか言いようがないことだし。アクション演出自体もしょぼい。ラストの選択は、無理矢理眠らせる方向にしないと、彼が「やったこと」の責任は宙ぶらりんになってしまう。だいたい「孤独」の厳しさ・恐ろしさを知ってるジムだからこそ、自分が死んで彼女を1人でも生存させること以外の選択肢をなんとしても探ってほしかった。せっかくの秀逸な設定で描かれる「愛」の表現が、一回命かけて守った、その後は二人でイチャイチャするってところだったのが残念。もっと違うかたちの描き方あったんじゃないかなと思いつつ、まあ美男美女の幸せそうな画でなんかごまかされた気分。あと、邦題。なぜ単数にしたんだろう。まったく意味がわからない。[インターネット(字幕)] 5点(2019-11-30 22:15:56)(良:1票)

128.  アイリッシュマン 《ネタバレ》 Netflixで見ました。トラック運転手であり殺し屋でもあるフランク、兄貴分のラッセル、そして組合活動家のジミーの3人の関係を稀代の名優3人が演じるわけだから、演技合戦は見応え十分。とくに3人の関係が破綻し事件へと流れていく過程は、制約の少ない配信系映画だからこそ描けた丁寧さと描き込みにうなるしかない。個人的には、スコセッシといえば『グッドフェローズ』や『ウルフ・オブ・ウォールストリート』に代表される早送りのようなスピード感ある演出が好みだけれど、この映画はスロー再生したような演出で、重厚ではあるけれどさすがに3時間半は長かった。ただ、最終盤に、この作品がある種の「終活」映画であることが明らかになってくると、そのゆったりとした流れやスロー再生的な演出の意味もわかってくる。そして、ラストの見事な引きの画から見えてくるのは、前出2作品のような「駆け抜けた」感ではなく、家族や友人などさまざまなものを失ってきたフランクの孤独感と寂寥感だけであり、それがギャングと暴力の映画を撮ってきたスコセッシ御大がたどり着いた境地なのだとすれば、それはそれで納得感もありました。それから、若い時代も特殊メイクなのかCGなのかデニーロやペシが直接演じていて、映像技術の進歩には目を見張るけど、顔は若いのに動きがおじいさんなのはちょっと不自然・・・。とくに、娘を小突いたグロサリーの親父を懲らしめるシーンのデニーロの動きは年齢相応で、別の意味でなんだか寂しい気持ちになりました。[インターネット(字幕)] 7点(2019-11-28 23:22:49)

129.  アナと雪の女王2 《ネタバレ》 公開直後のカナダの映画館で子どもと鑑賞。前作は楽曲、とくにLet It Goのインパクトは凄まじかったものの(日本公開前に現地で予備知識ゼロで観たので)、物語としてはガチャガチャとして落ち着かない印象でしたが、続編はストーリーもそれなりに練られていたように思えたし、キャラも無駄に増やさず広げなかったのもよかったと思う。音楽もミュージカルとしては各曲のクォリティも高く、また配分もバランスがいい(前作は明らかに前半に曲が偏っていたし)。映像も6年分の技術の進化に対応して見応え十分だった。それでも、終幕後の感想としては「いまいち盛り上がらず」な感じなのはなぜなんだろう。やっぱり前作の魅力は、あのアンバランスさにあったように思う。あのLet It Goを大画面・音響で観るためだけに映画館に行っていいんじゃないかと思ったのに対し、今作はバランスは取れた良作感はあったものの、何度も観たいかといわれれば微妙な感じ。前作以後のディズニーの流れに乗って、「社会正義」の側へと振ったストーリーも歓迎だけれど、この映画で観たいのは「そこ」ではなかったような気が。最初にダムが出てきたところで、落としどころが見えてしまったのもマイナスだったのかもしれない。後半は暗い画面が連続するのも、ちょっともったいない。子どもが歌える感じの歌でもない。クリストフの80年代ラブソング風のシーンは、自分は直撃世代だと思うけど、あまりにもターゲットが狭い。そもそも今作のターゲットの今の子どもの親層もピンとこないのではないか。劇場では明らかに白けた雰囲気になっていた。オラフの前作ストーリー紹介で爆笑して会場が暖まっていただけに、その冷却効果はかなり大きかったような・・・。というわけで、全体的にまとまりはあったけど、前作のような爆発力は感じられず。前作の成功体験ゆえの縛りも感じるし(とくにエルサの歌や変身あたりで・・)、気候正義とか自然との共生というテーマだったら「アナ雪」でやる必要なかった気がする。[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2019-11-26 03:15:29)(良:1票)

130.  アス 《ネタバレ》 ジョーダン・ピール監督・脚本作品は、前作『ゲットアウト』もそうだったけど、会話劇のほうに魅力が詰まってる。家族のあいだのつい笑ってしまうブラックな会話、白人友人家族との微妙な距離感とか、そのへんに他の人にはない独特のユーモア感覚があって面白い。一方の動きの演出についてバリエーションがそこまで多いわけではないので、心理劇として高いレベルにあった前作と比べると、中盤以降のホラー・アクションの部分には少し退屈した部分もありました。プロットや設定の荒唐無稽さはちょっとつまづくと一気にかみ合わなくなりそうだけれど、ユーモアと寓話感でなんとかバランスを保った感じ。好きなのはラストのこれまでの構図を一気にひっくり返す仕掛け。ちょっとだけ「そうなんじゃないかなー」と思いながら見ていたけど、ものすごく切なくて胸は熱くなるのに、背筋はスーッと寒くなる、ちょっと他にはない感覚を味わうことができました。そして、人種も国籍も階級も性別も、生まれ落ちた環境の違いで全く違う人生を歩まされてしまうということの恐ろしさというメッセージを、とてもわかりやすく示してくれたと思います。[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 7点(2019-11-12 01:39:46)

131.  イエスタデイ(2019) 《ネタバレ》 設定だけの「出落ち」映画かと思ったけど、意外と楽しめた。最後のクレジットで脚本が『ラブ・アクチュアリー』『ノッティングヒル』のリチャード・カーティスと知って納得。ビートルズはこの映画のテーマではなく、あくまで「設定」で、メインは売れない歌手の主人公と幼なじみのガールフレンドのあいだのラブコメだ。主人公の周辺がちょっとヘンだけどみんな「いい人」なのもこの手の映画の定番。恋愛のライバルが簡単に身を退いちゃうのもそう。というわけで、主人公も、歌詞の世界や人間関係などにも詳しい熱心なファンではなく、いち音楽ファンとしての立ち位置なので、ビートルズのほうはあまり深堀りしない。そういう意味では、終盤の「あの人」登場は個人的には蛇足だったように思う。海の近くで1人ひっそりと暮らすなんてルーク・スカイウォーカーかよ、とちょっと思ったりして。「あの人」が出てくるんだったら、「あっちの人」は?とか余計な疑問が広がったりもして・・・。ベタなラブコメを、ビートルズのいない世界というアイデアで味付けした映画、として楽しんだほうがいいんだろう。ただ、50年間「ラブ&ピース」も「イマジン」もなかった世界だと思ったら、もう少し毒がある展開でもよかったんじゃないかなあ、と思ったりもする。[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 6点(2019-11-09 01:00:43)

132.  パラサイト 半地下の家族 《ネタバレ》 北米の映画館にて英語字幕版を鑑賞。話題の作品ということもあって映画館はほぼ満員。笑ったり、驚いたり、感度のよい観客のみなさんも最後は不思議な静けさに。ポン・ジュノ監督らしい格差社会の「寓話」です。絶対的・絶望的なわかりあえなさを描いたという意味では、監督の達観した「毒」が見事に発揮された一作だと思います。序盤の貧乏一家がどんどん金持ち一家に入り込んでいくプロセスは、それぞれが自分の思考の枠組にいいように考えるプロセスをコメディタッチで描いて、どんどん引き込まれます。大雨の日から一転する物語は、「パラサイト」、モールス信号、臭いなどをメタファーに、これでもかと貧乏一家を追い詰めます。とくに半地下の家が水没するシーン、その後の避難所のシーンは、ちょうど同時期に日本を襲った台風・大雨のニュース映像を思わせ、そこに浮き彫りにされる格差の現実は韓国だけの話ではないのだと痛感しました。韓国映画らしい凄惨なシーンに続くラストは、それでも貧乏一家が見せる人間性の力強さをじんわりと伝えてくれて大満足。大雨のシーンを思えば、来年1月と言わず今すぐに日本で公開してほしいと思います。[映画館(字幕)] 8点(2019-11-07 19:33:25)(良:2票)

133.  アトミック・ブロンド 《ネタバレ》 雰囲気作りはすばらしい。歴史の大きな転換点にあったベルリンの雰囲気、80年代のイントロ最強二大巨頭といえるBlue Mondayで始まりUnder Pressureで終わる音楽。シャーリーズ・セロンの痛そうなアクションの数々。「当たれば痛い」という当たり前のことをちゃんと描いてる。アクションの描き方が丁寧で、動きがロジカルなのも見ていて気持ちいい。ただ、その雰囲気とストーリーが合っていないような・・・。いわゆる人間的なドラマよりも、誰が味方で誰が敵かわからない&実のところ主人公が何者かもわからないというサスペンスで引っ張るのだけれど、半分を過ぎたあたりからだんだんどうでもよくなってくる。ストーリーを追わなきゃという意識がだんだん麻痺してくる。終始鳴ってる音楽と見せ場多数のアクションもまるで「そうはいってもストーリーあんまり関係ないですよ」というメッセージに聞こえてくるというか・・・。スパイ映画、政治スリラー映画、アクション映画、音楽映画、シャーリーズ・セロン映画の要素をぎゅっと凝縮して2時間以内に詰め込んだ結果、トータルバランスがちょっとおかしくなったように思います。映画ってやっぱり足し算だけじゃなくて、引き算も大事なんだなーと思いました。[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 6点(2019-11-05 23:32:14)

134.  タクシー運転手 約束は海を越えて 《ネタバレ》 ソン・ガンホは相変わらず素晴らしい。彼の英雄的とは言い難い、娘想いの1人の中年男の目線から、少しずつ光州で起きている事態が明らかになっていく序盤〜中盤がすばらしい。だからこそ、終盤のあの交差点での彼の迷いに誰もが共感できるし、その決断が感動的なものになる。でも、それ以上に印象的だったのは、主人公の周りの庶民キャラのみなさん。タクシー仲間から光州の学生まで、揃いも揃って、水木しげるの漫画から出てきたような「庶民」顔。対する軍側にはもうちょっと整った顔立ちの方々が目立つなど、このキャスティングはたぶん狙ってやっている。そういうフツーの庶民キャラのおかげで、自国民に銃を向けるという行為が、いかに異様で恐ろしいことなのかが伝わってくる。悲劇のあいだに挟まれるコメディタッチのやりとりも効果的。エンターテインメントの教科書のような展開だった。難点は、教科書どおり過ぎる展開(とくにミュージシャン志望の学生の顛末)と(他の方も挙げている)ラストのアクション。ラストのチェイスは、絵としては盛り上がるわけだけれど、若い兵士のなかにも疑問視する人がいたというかたちで結んだほうが、庶民のヒロイズムを描いた本作にはふさわしかったはずなのに、本当にもったいない。まあ、でもあそこでサービスしちゃうのが、韓国映画らしいのかもしれない。軍事独裁時代の話とはいえ、自国の負の歴史をエンタメ風味できっちり描く韓国映画界にも敬意を表して。[インターネット(字幕)] 7点(2019-11-03 05:57:51)(良:2票)

135.  ジョーカー 《ネタバレ》 見終わった後、しばらく呆然と立ち上がれなかった。社会のどん底で苦しむ男アーサーが、どんどん追い詰められて狂気に達する話・・として見れば、実は映画としてはよくあるモチーフだと思う。それでも、この映画で描かれる悲劇は、貧しさや病気を抱える困難だけではない。むしろ、一度は自分も「何者か」なのかもしれないと期待したところから突き落とされるアイデンティティの危機が、危険な一線を超えるきっかけになっているところが、現代のジョーカー像に説得力を与えている(だから彼が「墜ちる」境界線を超える行為は、病院でのあの行動になるのだろう)。それも、アーサーの内面にまで入り込むくらい近接するカメラワークと、肉体全体で狂気への道のりを表現したホアキン・フェニックスのどうかしている演技あってのこと。どうやったって比較されてしまうのは『ダークナイト』のジョーカー像だろうけれど、ホアキン・フェニックスの濃密な内面をさらすジョーカーへのアプローチは、ヒース・レジャーの恐ろしく空虚なジョーカー像とは対照的で、全く異なったジョーカーを描くことに成功した。個人的には、ラストのゴッサム・シティの「暴動」の表現には、ある種の嫌悪感すら抱いたけれど、それも監督の狙いなんだと思います。それにしても、ファレリー兄弟といい、アダム・マッケイといい、おバカコメディ映画を撮ってきた監督のシリアス路線の切れ味はすさまじい。きっと「コメディ」のなかに、映画の何たるか、というのが詰まっているのでしょう。[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2019-10-05 22:48:12)(良:3票)

136.  バイス 《ネタバレ》 アダム・マッケイ監督の前作『マネー・ショート』は公開年の個人的ベスト映画だっただけに、同じ路線の政治ドラマコメディとして期待値が上がりまくった状態で鑑賞。面白かったけど、期待したほどではないか・・・というのが見終わった第一印象。前作も今作もポイントは、ある人の成功物語の背後に世界的な悲劇が存在するという両義性にあると思います。思わず笑ってしまうんだけど、実はこの笑いの裏に惨劇・悲劇が潜んでいるという居心地の悪さ。今作も、ホワイトハウスでのややバカバカしい会話劇の合間に、空爆や拷問などの目を背けたくなるシーンが挟み込まれています。ただ今回は、惨劇面は「言われなくてもわかっている」感はあるので、ちょっとしつこいというか、くどい印象もありました。そこは前作くらいのバランスのほうが効果的だったか。演技面は、あいかわらずの外見まで変えてきたクリスチャン・ベイルをはじめ、エイミー・アダムスのリン・チェイニーも、スティーヴ・カレルのラムズフェルドも、サム・ロックウェルのジョージ・Wも全部すばらしく、めちゃくちゃ高いレベルの演技を堪能できて、それだけでも楽しいです。ナレーターの正体のアイデアは面白いと思ったけど、この物語でこのプロットがどこまで重要だったのかは、よくわからない。そして、「あえて」チェイニーの内面を描くことを避ける(「そのとき彼が何を思ったのかはわからない」というナレーションは秀逸)手法も、とても興味深いと感じたけれど、その意義はまだ自分のなかでうまく理解というか落とし込めていない。全体としては、もう少し時間がたつか、何回か繰り返して見ると、じわじわとこの映画の良さ、斬新さがわかってくるのかもしれない、そういうタイプの作品でした。[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 7点(2019-09-14 22:25:42)

137.  マーダー・ミステリー 《ネタバレ》 まあ、細かいことを言ってはいけない作品なのは間違いない。自分としてもお気楽作品をNetflixでサーフィンして巡りあった一本。時間も90分ちょいと長すぎず。お節介でセレブ願望ありのジェニファー・アニストンと妻の尻に引かれるテキトーな警官アダム・サンドラーの夫婦は、それぞれ18番な役どころなので、二人の掛け合いは楽しいし、最初の殺人のときの不謹慎ギャグなどつい笑ってしまった箇所もいくつかある。南仏〜モナコをめぐる観光気分も悪くない。忽那汐里さんがハリウッドで元気にしてる姿を見るのもいい。とはいえ、肝心のプロットがダメ過ぎる。中盤以降のどんでん返しの連続は、犯人が誰かなんてどうでもよくなるという意味で明らかに逆効果だし、中途半端なカーチェイス(しかも中年女性がF1ドライバーを追うという無茶な展開)がこの映画に必要なのかもわからない。ある意味、自分のように90年代に『フレンズ』とかアダム・サンドラーのコメディ映画が好きだった方限定で、何の期待もせずに見れば、それなりに楽しい時間は過ごせるか・・・。それ以外の人は手を出さない方がいい気がする。[インターネット(字幕)] 4点(2019-09-14 03:12:52)(良:1票)

138.  アベンジャーズ/エンドゲーム 《ネタバレ》 1つの映画を次の映画の予告編にしてしまったMCUには、ちょっと自分は否定的でした。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズや「ブラックパンサー」は楽しく見てましたが、ヒーロー大集合の「アベンジャーズ」にはどうも興味を持てず、飛行機で暇な時に見る程度の中途半端な観客でした。ただ、いよいよすべての予告編の「完結編」が出たことと、たまたま少し時間ができたことで、これまでの主要作品をまとめて見てみることに。そうすると、一つ一つの映画にちゃんと個性があって、さらに「assemble」させる脚本・演出の巧みさに感心し、徐々にはまっていき、いよいよの「エンドゲーム」でした。 個人的には、前作『インフィニティウォー』がヒーロー大集合ものの究極的な作品であっちこそが「マーベルらしい」作品かなと思いましたが、「エンドゲーム」は逆に最初からこの作品に関わってきた6人にスポットライトがあたり、展開もスローでマーベルらしいジョークもまじえ、じっくり描いてました。その方法として、タイムスリップを導入するのも脚本の妙。ただたんに歴史改変ものとするだけでなく、それぞれが抱えている過去と対面し、それぞれの過去に「落とし前」をつける展開になっている、文字通りの完結編。そして、タメにためて「assemble」の一声からやっと本当のヒーロー大集合バトル、そしてさらに30分かけてのエンディング&クレジット。というわけで、これは「昔からの」ファン大感謝祭だったわけですね。これは11年この作品に付き合ってきたファンの方からすれば、11年越しの伏線回収なわけで、あらためてこのプロジェクトがすさまじい時間とエネルギーで作られたことがわかります。もちろん、ここ1ヶ月くらいで追っかけてきた自分も、それはグッとくるものはありましたが、11年見てきた人はこんなん冷静に見られないんじゃないかと、余計な心配までしてしまいました。 ただ、後付けのタイムスリップや自己犠牲展開は、ヒーロー映画としてはちょっと残念。過去に戻っても取り返しがつかないからこそ「ヒーロー」を人々は求めるわけだし、自分や誰かを犠牲にしない選択肢を模索するのも現代のヒーローには必要なんじゃないかな、と。そういう意味ではソウル・ストーンの件とラストはうーん。ここは違う展開を期待していました。 それでも、この作品から学んだことは、映画はスタッフと俳優だけでできるものではなく、観客・ファンがいてはじめて成立するもの。そして、11年見続ける人たちがいたから、この壮大な実験が成立し、私のような「ニワカ」かつ「懐疑派」でも楽しめるように、ちゃんと終わってくれた。11年間これを熱心に支えてきたファンのみなさんに心から敬意を感じました。[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 8点(2019-08-26 08:03:03)(良:4票) 《改行有》

139.  キャプテン・マーベル ブリー・ラーソンがとにかく魅力的。「ワンダーウーマン」のような典型的美人ではないけれども、表情や仕草で、可愛さ、美しさ、芯の強さがしっかり表現されてる。たぶん、「女優を魅力的に見せる」ことについては、ルッソ兄弟ではなく、今作の演出陣で大正解だったのだと思う。オスカー女優に微妙なスーツのマーベルヒーローかよ、とちょっと疑問符でしたが、それが吹き飛ぶはまりっぷりでした。ストーリーも、90年代ネタはいちいち楽しく、若返ったサミュエル・L・ジャクソンとのやりとりも楽しい(でも「パルプフィクション」を思えば若返り過ぎで登場時は笑ってしまった)。『インフィニティウォー』からのつながりは、思ったより本筋におかれていて、続けてみてればお得感もある。ただ、インフィニティウォーを見てしまった後だと、この映画のアクション演出のつまらなさがとても残念。ブリー・ラーソンの鈍重な走りっぷり。単体でみればなんだかのどかで微笑ましくむしろ好感もあるのですが、『アベンジャーズ』シリーズのブラック・ウィドーやらオコエやらのかっこいい女性アクションを見た後だと、ちょっとレベルが違い過ぎる。さらに、アクションのスピード感、特殊能力の見せ方、「待ってました!」的な見栄の切り方など、先に「インフィニティ・ウォー」を見ていないと楽しみ半減な作りなのに、先に見てしまうとこの映画のアクション演出にがっかりするしかないという矛盾・・・・。単体でもおすすめできる完成度ですが、『インフィニティウォー』と『エンドゲーム』という超超大作に挟まれたことで単体で評価しにくい難しい立ち位置になってしまった一作という感じです。[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 6点(2019-08-25 22:10:19)(良:1票)

140.  アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー 《ネタバレ》 ヒーロー多過ぎで、ごちゃごちゃしてそうで敬遠してきたMCUですが、やっぱり見てみるかということでほぼ順番に見てきました。そのなかで一番びっくりしたのは、この『インフィニティ・ウォー』かもしれない。続編があるのはわかっているので、どうせ中継ぎなんだろうなあとは思っていたし、だからラストの「衝撃」はそれほどでもなかったんですが(それはそれで楽しみを半減させてるとも言えるけど)、それより驚いたのは、ごちゃごちゃ出てくるヒーローたちの世界観をちゃんと保ったまま、ヒーロー大集合をやってのけた、という点。とくに新顔のドクター・ストレンジとか、GOTGの面々とか、ブラックパンサーをそれぞれの映画世界のまま持ってきちゃったのは、脚本も演出もすごいと素直に感心しました。とくに、GOTGについては、ピーターとガモーラ、あと色物要員としてロケット&グルートくらいしか出番はないかと思ったら、ドラックスやネビュラ、さらにマンティスにまでちゃんと見せ場があってびっくり。このすさまじいバランス感覚。ほかにも、オコエとブラック・ウィドーとスカーレット・ウィッチの「強い女」3人衆の戦いとか、ソーとロケットの掛け合いとか、トニーとストレンジのちょっと似たもの同士なやりとりとか、説明抜きで、掛け合いと戦いぶりだけで登場人物どうしの関係性が見事に描かれていて、さすがのマーベル・スタジオの脚本&演出センスに脱帽でした。『シビル・ウォー』では無理矢理感があったヒーロー大集合(あれはキャプテン・アメリカ世界に無理矢理ほかのヒーローを連れてきた、という感じだった)ですが、今作くらいやり切ってくれたら満足です。ただ、その割を食ったのは、もしかしたらオリジナル・メンバーたち、とくにキャップ(最初「誰?」状態)、ハルク(今回はギャグ担当か)、ブラック・ウィドー(ワカンダだと「強い女」枠も交通渋滞)だったかもしれないけど(あとお休みだったホークアイ)、彼らの見せ場は次作なんでしょう、きっと。全員に見せ場を用意して盛り上げ、かつ物語上不都合のないかたちで退場させて整理し、最終作のための舞台設定をする。中継ぎ映画としては最強・究極の映画。[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 8点(2019-08-23 02:28:56)(良:1票)

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