みんなのシネマレビュー |
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1461. THE GREY 凍える太陽 《ネタバレ》 極寒の雪山に飛行機が墜落、生き残った男たちが、襲いくる狼の群れから逃れ決死の脱出を図るお話。以上、終わり。という、超シンプルイズベストな映画でした。場面の98%が雪山と森で、可愛いおねーちゃんどころか女性は一人も出てこず、放送禁止用語を連発し下ネタばっかり話すむさ苦しい髭モジャの中年男ばかりが出演(もう画面から加齢臭が臭い立ちそう笑)という、それだけ聞くととてもつまらない映画のように思えるけれど、やっぱり映画って優れた脚本と演出力さえあればいくらでも面白くなるという見本のような作品でした。極限状況に置かれ、時には反発しあいながらも力を合わせて必死に困難を突破しようとするのだけど、人間は常に弱い生き物で周りの困難ばかりか己の弱さによって身を滅ぼしてゆく男たち。美しい自然がもたらす脅威、人が生きる理由、そして神の不在。エンタメ映画として充分な水準を保ちながら、そんな深淵なテーマをも内包したなかなかの秀作だと僕は思います。[DVD(字幕)] 7点(2013-11-10 23:29:10) 1462. リンカーン弁護士 《ネタバレ》 刑事事件を専門に扱い、高級車リンカーンをオフィス代わりに超多忙な勝ち組生活を謳歌するエリート弁護士ミック。しかし実体は、犯罪者ばかりを顧客に持ち、金儲けのためならきわどい手法でも躊躇なく使うというダーティーな弁護士だった。ある日、知り合いからの紹介で、ミックはとある金持ちのボンボンが巻き込まれた娼婦暴行事件の弁護を引き受けることに。今回も楽勝で大金が稼げると高をくくっていた彼だったが、裁判が進行していくうちに彼のキャリアを根底から覆すような驚愕の事実が明らかとなってゆく。冒頭こそ、軽佻浮薄な拝金主義者という典型的法匪として観客の前に姿を現すミックだったが、物語の進行とともに、実は彼にもちゃんと弁護士としての譲れない信念があるということが分かってくる。それは「無実の人間は絶対に救うこと」。だからこそ、ミックは弁護士としての職務と人としての正義との狭間で苦悩することになるという展開には見事に惹き込まれました。主人公〝リンカーン弁護士〟の、善人と悪人の両面を併せ持つ一筋縄ではいかない人物造形も見事です。良作。[DVD(字幕)] 7点(2013-11-08 17:38:43)(良:2票) 1463. トールマン 《ネタバレ》 炭鉱が閉鎖され、すっかり寂れてしまった田舎町。謎の犯人・トールマンによる幼児誘拐事件が多発していた。幼い息子と共に平凡な日々を送る、看護師ジュリアの家庭にもトールマンの魔の手が忍び込む。すんでのところで息子を連れ去ろうとするトールマンを発見したジュリアは、決死の思いで追跡を開始するのだった。そこまで、てっきりよくあるスーパーナチュラルなホラーだと思って観ていたら、途中から「?」な展開が続き、おかしいなと思っていると、中盤「あちゃー」な逆転劇が起こっちゃいました。びっくり!確かに見事に騙されましたけど、でも観終わってじっくり考えてみたら、なんだか設定にとっても無理があるような気が…。子供が、自分をさらってきただろう女にこんな簡単に懐くもんかしら。それにこの〝貧困家庭の子供を幸せにしよう計画〟は速攻で破綻するだろうし。とか何だかんだ文句を言いながらも、あの前半のあっと驚く展開には小気味よく騙されちゃったので合格点かなー。もっとホラーしてても良かったかなとも思うけども。[DVD(字幕)] 6点(2013-11-01 19:19:23) 1464. 別離(2011) 《ネタバレ》 認知症を患う父親の介護と13年も連れ添った妻との離婚問題を抱えるナデルは、少しでも生活の負担を減らそうと訪問介護ヘルパーとして、妊娠している女性を雇うことに。しかし、そのヘルパーが仕事中に父親を放り出して出かけたことを知ったナデルは激高して彼女を突き飛ばしてしまう。その後、流産してしまった彼女を巡って愛憎渦巻くドロドロの人間ドラマが展開されてゆく。もう最初から最後までひたすら口論に次ぐ口論で描かれた、閉塞感漂うイラン社会のリアルな描写にはほんとゲンナリさせられたけど、ちゃんと最後まで緊張感を途切れさせずに見せきるところはさすがアカデミー外国語映画賞受賞作。どんな世界であれ大人たちの身勝手な理由に翻弄される子供たちの姿は見ていて本当に切ないです。ドキュメンタリーならまだしも、これを映画として見ることにちょっぴり疑問符を感じるところもあるけれど、核開発や反米イスラム国家という先入観の向こう側で必死に生きる市井の人々がいるという事実をあらためて思い起こさせてくれました。[DVD(字幕)] 6点(2013-11-01 09:59:24) 1465. ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館 《ネタバレ》 男手ひとつで幼い息子を育てる弁護士アーサー。働き口を確保するため、彼は単身、片田舎にあるとある館へと遺言書の調査に向かうことに。しかしそこで待ち受けていたのは、非業の死を遂げたある一人の女性の怨念蠢く妖艶な世界だった。無精髭を生やしてハリポタイメージからの脱却を図るラドクリフ君が主演した、とってもシンプルなゴシックホラー作品。なんだけど、さすがにちょっとこれはあまりにもオーソドックス過ぎると思うんですけど…。今までホラー映画で散々やり尽してきたようなネタがこれでもかとてんこ盛り。カラスやら幽霊やらが急に飛び出してきたり、効果音が突然でっかくなったり、なんだか怖がらせ方も全般的に古いよ!田舎の小さな遊園地によくある安っぽいお化け屋敷のような映画でした。もっと無茶苦茶してくれてもよかったと思うんだけどなー。あと、子供がいつ死ぬかとびくびくしながら暮らしている村人の皆さん、どうしてとっとと引っ越さないんですかね。[DVD(字幕)] 4点(2013-10-30 23:44:47)(良:1票) 1466. くるみ割り人形(2009) 《ネタバレ》 せっかくのクリスマスの夜なのに家でお留守番をすることになった少女メアリー。不貞腐れながらも伯父さんから貰ったくるみ割り人形と共にベッドで眠っていたら、突然、その人形に話しかけられ、そして夢とも幻想ともつかないネズミに支配された王国へと迷い込んでしまう。という、いまどきディズニーだって創らないだろう、何処にも新しい部分の全くない恥ずかしいくらい超オーソドックスなメルヘンファンタジー作品でした。こういう作品って、現実から幻想世界へと移行する描写が肝となるもんだけど、この作品はその部分がとにかく弱い。くるみ割り人形と一緒に部屋のドアを開けたら、クリスマスツリーが大きくなっていて部屋の天井もなくなってて、ただそこを登っていくだけって安直過ぎるって。それに魅力的な登場人物がほとんど居ないってところがもう致命的。ピエロとドラマーなんて完全に普通のおっさんじゃん(笑)。こういう作品を観ると、いかにティム・バートンが才能に満ち溢れた映画作家なのかが実に良く分かる。でもまあ、お金をたくさん集めて頑張って良い映画を創ろうとした監督の情熱(センスはないけど)と、ナチスという歴史的汚点のメタファーとしてネズミ軍団を描こうとしたところ(成功してないけど)は好感が持てたので5点。[DVD(字幕)] 5点(2013-10-30 23:23:59) 1467. ボーン・レガシー 《ネタバレ》 このボーンシリーズって取り敢えず1・2作目は観たのだけど、なんだか個人的に嵌らなくて、それは何故かと言うと登場人物たちがあまりにも完璧すぎて人間的魅力に乏しいからで、こういう完璧な主人公たちが活躍する疾走感溢れるアクションが好きな人の気持ちも分かるのだけど、僕はもういいやって感じで3作目は観てなかったのだけど、俳優や製作陣も心機一転して新たに創られたという今作、僕の好きなエドワード・ノートンも出てることだしとあらためて鑑賞してみました。うーん、映画が始まってから2時間以上のあいだ誰一人としてほとんど笑わない相変わらず超真面目な登場人物たちが織り成す、超糞真面目なストーリー展開は、やっぱり個人的に苦手だなぁ。でも、それを抜きにしても、ちょっと脚本上の粗が目立つような。クライマックスは当然エドワード・ノートンと直接対決するんだろうなーと思っていたら、唐突に出てきた№3とひたすらカーチェイスして、最後は何故かヨットに乗って「まあ復讐は果たせなかったけど、面倒臭いからこのままバカンスに行っちゃおう」って、ちょっとあまりにもやっつけ過ぎるでしょ、このオチ。[DVD(字幕)] 4点(2013-10-30 23:02:23) 1468. マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ 《ネタバレ》 やるせない悲しい現実の世界に生きる無垢な少年イングマル。結核を患うお母さんのために、彼は大好きな犬とも別れ、田舎の親戚の家にしばらく引き取られることに。美しい自然の世界で、自由奔放に生きる個性的な人々に出会い、イングマルは少しずつ大人になってゆく。常に屋根の修理をしている人、下着カタログを読んでもらうことで心の平穏を得る老人、ちょっとエッチなお姉さん、そしていつも男の格好をしている美少女・サガ。そんな何処かおかしなところがあるのだけど、とても魅力的な登場人物たちとの交流を通して、思春期入りたての子供たちの一瞬のきらめきを見事に捉えた本当に美しい映画でした。特に、心優しい人々ばかりの瑞々しい田舎の風景と対照的に、都会の大人たちがみんな冷酷なところが印象的。若き日のラッセ・ハルストレムの、その類稀なる才能の萌芽を充分堪能させてもらいました。 いつも男の子みたいに振舞っていたサガの切ない恋心が、めちゃくちゃ可愛かったー。[DVD(字幕)] 8点(2013-10-28 17:57:35) 1469. 最強のふたり 《ネタバレ》 パラグライダーの事故により首から下が不随になってしまった大富豪フィリップ。ひょんなことから彼に雇われることになった、素行の不良な黒人青年ドリス。全く違う世界に生きていた二人の心温まるような友情を描くヒューマンコメディ。恐らく意図してそう演出されているのだろうけど、とっっっても軽い!基本的に善人しか出てこないし、介護は楽勝でやりこなしちゃってるし、そして最後は誰も彼もが幸せになって終わります。この作品に「現実はそんな甘いもんじゃないっつーの!」と突っ込みを入れるのは野暮かもしれないけれど、人間の酷い悪意や現実の理不尽さをその片鱗でもいいのでもう少し漂わせて欲しかった。そしたらこの軽さがもっと活きると思うのだけど。まあ、結局、これは好みの問題なんだろうけどね。でも、最後の海辺の映像の美しさだけは印象に残りました。[DVD(字幕)] 5点(2013-10-28 16:24:45)(良:1票) 1470. もうひとりのシェイクスピア 《ネタバレ》 誰もが知る文豪シェイクスピアの遺した数々の名作群が、実はとある貴族が匿名で書いたものだった、という大胆な仮説と、王位継承を巡る愛憎渦巻く政治ドラマを絡めて描いた宮廷絵巻。シェイクスピアとは全く無縁の、お馬鹿アクション映画界の巨匠ローランド・エメリッヒが、突然こんな正統派な文芸作品を創ったということで、ちょっと興味を惹かれて思わず鑑賞しちゃいました。まず、現代のニューヨークの劇場から始まり、そのまま中世イギリス社会へと移行したかと思うとそこからさらに5年前へと溯り、そこからまたまた40年前へと大きく溯るという「なんじゃそりゃー!」な冒頭部分にびっくり。そして、誰が誰だか分かりにくい登場人物たちが織り成すいつの時代のどのエピソードなのか皆目つかめないシーンの数々に辟易。ようやく話が分かってきたのは1時間以上経ったころ。さすがにこれは映画としてはマイナスでしょー。あと、こんなにドロドロの人間ドラマなのに、なんだか全体的に薄っぺらい印象なのはさすがエメリッヒ君だね。それでも「いつまでもお馬鹿映画の巨匠だなんて言わせないぞー!」と頑張った感はひしひしと伝わってきたので、努力賞ということで5点あげる。[DVD(字幕)] 5点(2013-10-27 17:05:08) 1471. スウェプト・アウェイ 《ネタバレ》 なんかぬるい映画でした。センス溢れる作品でデビューした監督が、その勢いに乗って口説き落としたマドンナを主演に、「どうだい? こんな格差婚をしてしまって虐げられた日々を送っている僕だけど、そんな日々の不満を爆発させて、高慢ちきな嫁を調教する映画を撮ったんだぜ。そんな裏も読んで楽しんでくれ」という狙いが見事に空回りしてしまっている。なんだかんだ言って、これって結局、監督と嫁がノロけてるだけじゃん!!観ているほうはとってもシラけるんですけどー。なんだか友人のどうでもいい新婚旅行のホームビデオに毛が生えた程度の作品でした。[DVD(字幕)] 4点(2013-10-27 10:46:14) 1472. The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛 《ネタバレ》 ビルマ独立の英雄を父にもちながらも、平凡な生活を英国で営んでいたアウンサンスーチー女史。母の病を機に祖国へと戻った彼女は、祖国が直面する理不尽な現実を目の当たりにし、次第にその身を賭して民主化運動へとのめり込んでゆく。ミャンマーの民主化に多大な貢献をした実在の女性の半生を描いた伝記作品。確かに、ノーベル平和賞授賞式での息子のスピーチを古ぼけたラジオで必死に聴く姿や、ずっと支え続けてくれた夫との死別のシーンなど、現実の重みがあるからこそ印象に残るのだけど、なんだろう、このそこまで胸に響かない感じは。自分なりにそれを考えてみたのだけど、やっぱりそれは登場人物の誰にも人間らしさを感じなかったからだろうと思う。そんな理不尽な現実に家族が引き離されたのだから、子供たちはもっと嘆き苦しんだであろうに、そして所詮は赤の他人のために自分たちを放り出した母をもっと憎みもしたであろうに。夫ともそれこそ離婚すら考えるくらいに口喧嘩もしたであろうに。そんな剥き出しの人間の感情のぶつかり合いの果てに、そんなシーンがあるからこそもっと多くの人の心に響くのだろうと思うのに。どうして、そんな理不尽な現実の前に泣き叫ぶような人間の感情をちゃんと描かなかったのだろう。いや、描けなかったのだ。そんな最近の彼の作品に通ずる軽さが、良かれ悪しかれリュック・ベッソンという監督の今現在の才能の限界を示していると僕は思う。[DVD(字幕)] 5点(2013-10-27 10:01:21) 1473. HICK ルリ13歳の旅 《ネタバレ》 パパは酒浸りの駄目男、ママは愚痴ばっかりの浮気性、片田舎でそんな家族とともにどうしようもない生活を送っていた13歳の少女ルリはそんな自分を変えるために、着の身着のままで衝動的に家出し、ヒッチハイクでラスベガスを目指すことに。若いエネルギーに満ち溢れたルリが出会った一癖も二癖もある大人たちとの行き当たりばったりな旅を描いたロードムービー。なのだけど、ストーリーの不自然な部分や登場人物(特にルリ)の行動原理が理解不能でいまいち乗り切れず。もっと丁寧に描写してほしかったなー。でも「キックアス」のヒットガール役で、僕のロリコン魂に火を点けたクロエちゃんの惜しげもなく披露されるお宝映像の数々に、彼女のニンフェットな魅力に次々とやられちゃう作中のロリコンたち同様、今回も完全にノックアウトされちゃいました。ホットパンツ姿でソファに寝転がるクロエちゃん、サイコーっす!!ということで+1点(笑)。この監督って確実にロリコンだよね。だってルリが途中で意味不明に黒髪へと変えられベッドに縛られるシーンなんか、「こんなクロエちゃんも見てみたい!」という監督の願望だけで撮られたとしか思えないもん。 あ、それでこんなにストーリーがテキトーなのか(笑)。[DVD(字幕)] 5点(2013-10-25 16:56:23) 1474. 人生の特等席 《ネタバレ》 メジャーリーグのスカウトマンとして長年活躍していたのだけど、緑内障を患ってしまい引退の瀬戸際にいる老スカウトマン・ガス。ガスの娘でいまは敏腕弁護士として活躍するミッキー。過去の出来事が原因で今も確執を引き摺るそんな親子が、とある事情により田舎へと選手をスカウトするため旅にでることに。最初は反発していた二人だったが、のどかな田園風景が拡がる田舎で一緒に仕事をするうちにお互いの心のわだかまりが解きほぐされていく。正直、こんなベッタベタなお話は苦手だし、野球にも全く興味がないのだけど、グラントリノでも見せたイーストウッドの頑固ジジイっぷりが良い感じにさまになっていて、最後までけっこう楽しんで観れました。やっぱり格好良いよ、イーストウッド!シブいぜ!!だからこそ、彼の出ていないシーンのところどころに正直「うぅ~ん」てトコはありましたけど(特に都合よく出てくるダイヤの原石ピッチャー笑)、イーストウッドのシブさに免じて+1点。[DVD(字幕)] 7点(2013-10-24 11:38:14) 1475. ヒート 《ネタバレ》 『ゴットファーザーⅡ』以来の、アル・パチーノ&ロバート・デ・ニーロという世界でも最高峰に位置するであろう二大俳優の競演という奇跡のキャスティングで撮られたハードボイルド・アクションの傑作。もう冒頭からの二人の円熟の演技合戦が最高です。思えば、このころが二人の俳優としての最後の頂点だったのではないだろうか。そしてまさにどんどんと〝ヒート〟していくストーリー、徐々に高まっていく緊張感、その臨界点に達したところで唐突に暴発する白昼の銃撃戦!もう、堪らないっす!!それ以外にも、まだ若手だったころの(そして太っていなかったころの)ヴァル・キルマーなどの脇役陣も素晴らしい。もう、男の男による男のための映画!大好きです。[DVD(字幕)] 9点(2013-10-23 23:22:00) 1476. 幸福の罪 《ネタバレ》 一般よりは少しだけ裕福だけど、何処にでもあるような平凡な幸せを享受するとある家族。ある日突然、一家の大黒柱であるリハビリ医に児童への性的虐待という容疑で警察の捜査が入ることに。崩壊の危機に直面した家族の動揺と結束、そしてそんな家族に秘められたとある秘密を巡るサスペンス作品。なのだけど、ドラマとして見るにはまだまだ拙すぎるんじゃないでしょうか。いまいち何を見せたいのかよく分からない作品でした。そもそも捜査を担当する刑事がリハビリ医に浮気されたあげく妻を奪われた元夫って、裁判で弁護士の格好の攻撃材料になりかねないそんな人選はいくらなんでも普通しないと思うのだけど。それに、最後のまるで観客にご丁寧に説明するかのように延々と告白する妹もなんだかなーって感じです。でも、夢見がちな少女によって崩壊の危機へと追い込まれてしまった家族の人間ドラマを、淡々と描いた前半部分はそこそこ見応えがありました。[DVD(字幕)] 5点(2013-10-23 16:52:40) 1477. シャッター アイランド 《ネタバレ》 愛する妻を失い、いまだその傷心を引き摺るディカプリオ演じる連邦捜査官テディ。そんな彼が、謎の殺人事件を捜査するために乗り込んだ孤島の収容所で嵌り込む夢幻の世界。って、同時期に公開された「インセプション」と色々と思いっ切りかぶってるんですけどー。でもそこはやはりスコセッシ、冒頭のあの仰々しいオープニングに、ディカプリオが迷い込む悲壮感漂う孤独な男の狂気の世界、そしてそこで出会う亡き妻の妖艶な美しさ…。こちらはこちらで、やっぱりゾクゾクするくらい怪しい魅力に満ち溢れておりました。これはもしかして傑作の予感……?と、思っていたら後半の見事なまでの失速ぶりはびっくりですね。残念です。でも前半は好きな雰囲気だったので7点。[DVD(字幕)] 7点(2013-10-20 23:09:51) 1478. スパイダーマン(2002) 《ネタバレ》 それまで、一部にはカルト的な人気を誇っていたけれどいまいち売れていなかったサム・ライミ監督を一気にメジャーに押し上げた記念碑的大ヒット作。あのドロドログチョグチョのとても家族では観られない「死霊のはらわた」でデビューしたサム・ライミが、こんなにもビックネームになるなんてほんと感慨深い。そして内容は、もちろんそのCGを多用した迫力のアクションシーンの数々もさすがなんだけど、やはり見所はMJでしょう。あっちへふらふら、こっちへふらふら、まるでそこらの街灯へと引き寄せられる夏の夜の蛾のように、色んな男たちを渡り歩くMJ…。こんなにも世の女性の反感を買ったヒロインは初めてじゃないでしょーか。最後にそんなMJをようやくフッたスパイダーマンに、グリーンゴブリンを倒したときよりも大きな拍手を贈りたくなっちゃいます(笑)。[DVD(字幕)] 7点(2013-10-20 21:19:04) 1479. レスラー 《ネタバレ》 かつての栄光もいまや昔、スーパーでバイトしながら地方巡業のドサ回りレスラーへと落ちぶれてしまった中年駄目男ランディ。酒浸りで唯一の家族である娘にも嫌われていて、仕事場では大して仕事も出来ないくせに偉そうにしてリストラ寸前、そして極めつけは娘との和解の機会が訪れたというのに、ストリッパーとのおいしい夜のせいですっぽかしてしまう……。良いですねー、この駄目っぷり。本当に碌でもないわ。一時期の自身の境遇を確実に投影して、ほとんど地なんじゃないかというくらいの、迫真の演技をしてみせるミッキー・ロークがほんと素晴らしい。今作の監督ダーレン・アロノフスキーって「ブラック・スワン」のときのナタリー・ポートマンもそうだったけど、役者の秘められた才能を引き出すのがほんと巧い。そして、そんな碌でもない人生を送ってきたランディも、リングに上がれば応援してくれるファンのために自らの命をも顧みずに全力のファイトを発揮する。だってそこが彼の生きられる唯一の世界なんだから。どんなに駄目な人間でも、何処かに必ず自分の輝ける世界があると身を持って示してくれるミッキー・ロークの最後のジャンプが深く胸を打つ。良作。[DVD(字幕)] 8点(2013-10-20 20:31:08) 1480. ビューティフル・マインド 《ネタバレ》 何の前知識もなく「とある数学者のよくある伝記映画じゃろう」くらいの感覚で観たものだから、途中のあのあっと驚く衝撃の展開にはかなりびっくりさせられちゃいました。テレビの前で「えぇー!!」と、食べていたポテチを撒き散らしそうになったくらい。そして、統合失調症からくる幻覚に悩まされる主人公のお話にどんどんとのめり込んでしまって、最後は素直に感動。それにこういった何が現実で何が幻覚なのかという、自分のアイデンティティが根底から揺らいでしまうような映画が個人的に大好きなもので。特に、主人公が嵌り込む不毛な妄想の世界がリアルで不気味に陰鬱に、そしてときには妖艶に描かれているのも良い感じ。でも、これって実話なんですよねー、もし自分がこんな世界に嵌り込むことを思うととっても怖いです。ナッシュがノーベル賞を取れて本当に良かった。[DVD(字幕)] 8点(2013-10-20 20:01:15)
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