みんなのシネマレビュー
鉄腕麗人さんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 2597
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
81828384858687888990919293949596979899100
101102103104105106107108109110111112113114115116117118119120
121122123124125126127128129130
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
81828384858687888990919293949596979899100
101102103104105106107108109110111112113114115116117118119120
121122123124125126127128129130
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
81828384858687888990919293949596979899100
101102103104105106107108109110111112113114115116117118119120
121122123124125126127128129130

1621.  バンク・ジョブ 《ネタバレ》 もはや娯楽映画のジャンルとしてはやり尽くしてしまっている感もあるケイパームービー(いわゆる金庫破り映画)。 今さら、どんなアイデアを持ち込んだところで、往年の名作の二番煎じ、三番煎じになってしまう可能性は極めて高く、中々“新しさ”を求めることは難しい。 ただし、今作においては、これまでのケイパームービーにはあまり無かった趣向を楽しむことができた。更にこれが実話を元にしてるってのだから、ちょっと驚く。 前述の危惧に漏れず、今作においても“金庫破り”そのものの展開は極めてオーソドックスで、過去の映画で何度も描かれてきたであろうプロットで構築されている。当然そこに目新しさは殆どない。 人生にくすぶり気味の主人公が、ふと持ちかけられた銀行の金庫破りに一発逆転を懸ける。 悪友を引き連れつつ、計画の片棒を担ぐ専門職を集めるくだりは、無駄無くテンポが良かったと思う。 金庫破りが成功するかしないかの展開も、緊張感とユーモアがバランスよく配置されており、娯楽性の巧さを感じた。 このあたりは、ベテラン監督ロジャー・ドナルドソンの手練ぶりが出ていたと思う。 なんだかんだはあるものの、金庫破りそのものは案外すんなりと成功してしまう。 「なんだ余裕だな」とその顛末に若干の物足りなさを感じ始めたところで、この映画が持つ本当のエンターテイメントが始まる。 破った金庫が、裏社会の面々御用達の貸金庫だったことから、主人公一味は悪党から政府の裏組織に至るまで、英国社会の表裏のあらゆる組織から追われる羽目になる。 この三つ巴、四つ巴の攻防が非常にエキサイティングに描かれている。しかもそれが実話だというのだから、殊更に面白味は深まる。 もちろん、この全てが事実だなんてことはないのだろうけれど、それでも実際にあった事件を元にして巧みなエンターテイメントに仕上げていることは事実。 あまりアクションシーンを与えられていないジェイソン・ステイサムの主人公ぶり、そして、非道なポルノ王に扮したデヴィッド・スーシェも印象的。[インターネット(字幕)] 6点(2013-03-17 19:18:33)(良:1票) 《改行有》

1622.  SR3 サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者 シリーズ通してひたすらに貫かれた“ワンシーンワンカット”という手法(意気込み)。登場人物たちの生々しい姿を切り取ったその手法と効果は、3作目にして極まったと思う。 主人公がイベント会場にこっそりと立ち入る場面から始まる十数分に渡るクライマックス。気が遠くなる程に延々と緻密に組まれたロングテイクが物凄かった。 まずこれまでのシリーズ作品とは明らかに一線を画す程にハードな映画世界に面食らった。 想像を遥かに超えたバイオレンス描写から物語は進み、主人公をどんどんと奈落の底へ叩き落とす。 「もうどうしようもないじゃないか……」と愛着のあるキャラクターの転落劇に、思わず気が滅入ってしまった。 入江悠監督の方向性はシリーズ通して終始一貫している。 日本語ラッパーの現実とそれに伴うであろう悲喜劇を真摯に捉え、主人公たちに決して安直な帰着は許さない。1作目、2作目同様、映画が終わっても主人公が抱える問題は一切解決してない。 ただ、それでもその先を生きていかなければならない。彼らに与えられるのは、その一筋の光とも言えない現実的な一つの「道筋」だけだ。 でもその厳しさこそが、このシリーズがラップという音楽に対する造詣に関わらず多くの人に勇気を与え、愛される理由だと思う。 と、映画としての価値の高さを認める一方で、個人的には一抹の不満も残る作品でもあった。 意欲的に描かれたハードな世界観は、実際の現場の人たちからするとある程度「リアル」な描写らしいが、知らない者にとってはどうにも「非現実感」を拭うことが出来なかった。 ハード描写そのものに現実感が無かったというよりも、その世界とこの映画シリーズのレギュラーキャラクターたちが絡むということに現実感を見出せなかったように思う。 主人公にのしかかる悲惨な現実の一つ一つが、何だか取って付けたように見えてしまったことは否めない。 クライマックスのロングテイクは素晴らしかったが、それだけにその後のシリーズにとってのある種お約束とも言える“場違いな”熱いラップシーンが、少々蛇足に感じてしまった。 ただし、そういった「難色」は、シリーズ全作品を認めた上で「2」が大好きという個人的な趣向によるものであろう。 したがって、このシリーズ完結編がエネルギーに溢れた凄い映画であるということに異論は勿論無い。[DVD(邦画)] 6点(2013-02-25 11:45:17)(良:1票) 《改行有》

1623.  ホビット/思いがけない冒険  「壮大」というよりは「膨大」な映像の“物量”に気圧された。 それがそのままエンターテイメント大作の質としてのパワーに直結して感じられたなら良かったのだけれど、鑑賞日は三が日の最終日、年末年始の疲労の蓄積がピークに達した状況では、正直呆然と眺めるしかなかった。 コンディションを整えられていなかったことに対しての自責を感じつつも、"見慣れた”映画世界に「退屈」を感じてしまったことは否めない。    「ロード・オブ・ザ・リング」(以下「LOTR」)三部作が映画史に燦然と残るファンタジー映画の傑作であることは間違いないと思っている。 その“前日譚”を同じピーター・ジャクソンが描き出すということに対しては、大いなる期待と同時に、「二番煎じにならないのか?」という危惧はどうしたって拭いされなかった。 結果として言えることは、やはり危惧した通り、何だか見慣れた映画世界がまた一からスタートしたのだなという印象に帰結してしまったということだ。 世界観の作り込みは当然ながらもの凄い。ただし、そこに前三部作を超越した何か“新しいスゴさ”があるかというと、そういうものは感じられなかった。 ガンダルフをはじめとしてお馴染みのキャラクターが登場するシーンは、かつての高揚感が彷彿とされ確かにアガる。ただそのアガり方も、あくまでスピンオフ的な盛り上がりに過ぎず、「前日譚」である以上「LOTR」を越える程の物語性は望めまいという固定概念が先行するため、今ひとつ高揚感に浸ることが出来ない。 またキャスティングの地味さも厳しい。俳優の名前で客を呼ぶタイプのエンターテイメント作品ではないということは分かっているが、新キャラクターの殆どが無名俳優ばかりで印象が薄いので、登場人物の多さがただの雑多さに繋がってしまっている。 たとえ現時点での知名度は低くとも、たとえばヴィゴ・モーテンセンやオーランド・ブルームクラスの実力やスター性を備えた俳優を起用してほしかったところだろう。 とはいえ新たな“三部作”は始まったばかり。顧みてみれば、「LOTR」の一作目を初めて観た時の印象もそれほど良くはなく、二作目、三作目の盛り上がり方で一気にシリーズ全体が昇華していった。 とりあえず前三部作を観直しつつ、次作「スマウグの荒らし場」の公開をじっくり待つことにしよう。[映画館(字幕)] 6点(2013-01-03 22:24:53)(良:1票) 《改行有》

1624.  ザ・レッジ -12時の死刑台- 何よりもまず言いたいのは、「リヴ・タイラーがいい」ということ。彼女のファンならば、そりゃあ必ず観るべきだろうし、必ずしも彼女のファンでなくても気になる存在感を見せてくれるだろうし、三十代半ばにさしかかったこの女優の雰囲気に対して、思わず「エロい!」と言わずにはいられなくなることは間違いない。 はっきり言って、そういう要素だけでこの映画に“価値”はある。 そのリヴ・タイラー演じる人妻の滲み出る“エロさ”こそが、ある意味この映画の裏テーマでもあるのだ 決して完成度の高い映画ではないということは否めないが、どういうスタンスでこの映画を見始めるかによって、観賞後の満足度は大いに変動するだろうと思う。 不幸にも日本版のトレーラーやイントロダクションを鵜呑みにしてしまって、今風のソリッドシチュエーション的なサスペンスだと思っていると、大いに肩透かしを食うだろう。 僕は幸運にも観賞後にトレーラーを観たので良かったが、明らかに映画の内容を無視し、部分的には改ざんすら見られるトレーラーの内容は噴飯ものだった。 日本版のイントロダクションには、「この4人のうち死ぬのは1人」などと阿呆かと思わせるキャッチコピーを掲げたりしてしまっているが、そもそもこの映画はそういうタイプのものではない。 この映画がテーマとするものは個々人における「信条」との関係性であり、登場自分のそれぞれが「信じるもの」に対して、ある者は積極的に、ある者は強制的に対峙させられる様を描いた物語であると思う。 それを少々サスペンスじみたストーリー展開で彩っているに過ぎない。 登場人物たちが、それぞれ経てきた人生を礎にして、進むべき道を決断させられる様は興味深く、部分的には胸に迫るものもあった。 ただし、先述の通りだからと言ってこの映画の完成度が高いというわけではない。 最終的に振り返ってみれば、結局何だったんだという程度のお話で、設定や展開があまりに腑に落ちない部分も多い。 4人の主要人物が登場するが、それぞれが結構苦いトラウマを抱えているわりには、どうも人間が薄っぺらく見える。ドラマ性を深める要素は多分にあるのに、今ひとつ感情移入が伴わないのは勿体ない。 ともあれ、リヴ・タイラーの貞淑さの奥から徐々に滲み出てくる“淫靡さ”を受け、主人公たち同様に恋狂うことを楽しむべき映画だと思う。[DVD(字幕)] 6点(2012-12-01 21:50:56)(良:1票) 《改行有》

1625.  フレンチ・コネクション こういう映画を観ると、自分は映画という娯楽に根本的な部分では「精巧な虚構」を求めているのだなと思う。 ザラつく画面に映し出されるリアルな息づかい、決してトントン拍子には運ばない物事の顛末、そして正義を司る者が常に「完勝」するなんてことはあり得ないという現実感。 その唐突な映画の終焉に対して「え、終わり?」と不満を禁じ得なかった自分は、この作品の持つ価値を感じつつも、どうしても最終的に「面白かった」とは思えなかった。 非常にどっちつかずな言い方になるが、それはイコールこの映画が「面白くなかった」ということではない。 ブルックリンの刑事たちの生々しい姿が延々と描き出される映画世界に対して、終始惹き付けられたことは間違いない。 怒濤のカーチェイスシーンから、映画史に残る有名な“背後からの射殺”シーンと、見所と見応えは枚挙に暇がない映画であった。 では何が自分自身の好みに沿わなかったのか。それは即ち、この映画の最大の売りである“リアリズム”に他ならないように思える。 この映画のモデルは実在の刑事であり、その元刑事の生き様を描き出したノンフィクションが原作である。 そして監督は、リアリティを徹底しドキュメンタリー的手法でこの映画を構築していったという。 その徹底したリアリズムが、個人的にキツかったのかもしれない。 それは、あまりに生々しい描写の連続で観るに耐えないというような分かりやすいキツさではない。 ありとあらゆる情報網が張り巡らされ、別に知りたくもない現実が次々に明るみになる現代社会に生きる者として、映画の世界にまで"現実感”を求めることに疲れたという表現が正しいように思う。 このハードボイルドな刑事映画に描かれていることとその方法は、圧倒的に正しいのだろう。 ただ、楽しくはない。とどのつまりそういうことだ。 奇しくもこの映画の公開と同じ年、もう一つのハードボイルド映画の中でもう一人の刑事が登場した。 今作のポパイ刑事と同様に、正義の名の下に問答無用に悪を葬るその刑事の通称は“ダーティ・ハリー”。 この二人のアウトロー刑事のスタンスは極めて似通ってはいる。 しかし、同じ丸腰の悪党に対してでも、背後から撃ち殺すポパイよりも、正面から堂々と撃ち殺すハリーの方が、やっぱり格好良い。[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-11-11 20:32:16)(良:1票) 《改行有》

1626.  アポロ18 17号を最後に計画終了となった筈のアポロ計画には、隠された「18号」の存在があったという導入から始まるフェイクドキュメンタリー。 そのイントロダクションは非常に興味深く、どのような映像世界が繰り広げられるのか、好奇心を駆り立てられた。 映像の精度はとても素晴らしかったと思う。 終始一貫、残された記録映像を繋ぎ合わせた風のフェイクドキュメンタリーの映像の完成度は高く、何故ここまで克明な記録映像が残されたのかという“理由付け”も含めて充分な説得力を備えていたと思う。 念願のアポロ計画に選抜され意気揚々と月面に向かう3人の宇宙飛行士が、目の当たりにする「真実」とは何なのか? その核心に向けて映画は適度な緊張感と不穏さを伴って、比較的テンポよく展開される。 と、いい塩梅のサスペンスフルな展開を楽しめてはいた。 が、結果的には得られた顛末に対して「満足」とはまでは遠く及ばなかったと言える。 端的に言ってしまえば、物語の核心におけるアイデアが少々ありきたり過ぎた。 アイデア自体がありきたりなので、そこから導き出される映像的な表現も、どこかで観たという印象の範囲を出ず、驚きが無かった。 フェイクドキュメンタリーという手法に固執するあまり、現実感と非現実感の狭間で縮こまってしまっているような印象を覚えた。 この手の展開であれば、どう転んでも最終的に「これが真実かもしれない」と思う人はいないだろうから、もっと思い切った展開に踏み込んでも良かったろうにと思う。 結果的に、特筆する程の娯楽性は得られず、追求したはずのリアリティ感も薄れてしまったことは残念。 ただしかし、試み自体はとても面白かったと思うし、低予算であろう製作費の中で映像的なクオリティーは極めて高かった。 終盤までの緊迫感はなかなかのものだったと感じるだけに、ただただ惜しかったという印象。[ブルーレイ(字幕)] 6点(2012-11-05 17:37:48)《改行有》

1627.  アンダルシア 女神の報復 映画の終盤、心身ともに疲弊し、化粧が薄れていくほどに顔立ちがよりシャープになり、エッジが効いた美貌が露になる黒木メイサが印象的。 彼女のルックスは、日本人女優の中ではやはり異質で、それ故になかなか雰囲気にマッチする映画に恵まれてこなかったと思う。 そんな彼女の美貌が違和感なくマッチするロケーションを実現し、映画世界に息づかせたことが、この国産娯楽映画が一定のクオリティーまで達していることを示す顕著な例だと思う。 何せ前作「アマルフィ」があまりに酷い映画だったので、それを観た殆どすべての人が、この続編の公開に対して冷笑を禁じ得なかっただろう。 明らかな“駄作”の二番煎じをして、一体誰が得するのだろうかと、この国の映画製作システムの奇妙さに辟易してしまっていた。 同じ製作スタッフに、当然同じ主演俳優、前作同様に某キー局のプロモーションの過剰さばかりが目につく“ザ・テレビ映画”としての存在感の強さ。この流れで、まさか一寸でも「面白い」と思える映画が生まれるなどとは夢にも思わなかった……。 そう、この映画、なんだか意外と「面白い」。 突き詰めていけば、前作同様に大味な展開の中に突っ込むべき「粗」は尽きない映画ではある。 けれど、そういう粗に対して目をつぶっても良いと思える程に、映画として面白い部分も充分に在る。 意味不明な程に冗長で陳腐だった前作に対して、演出的な巧さは劇的に向上していて、映画ならではの巧みさも所々で見られる。 更には冒頭に記した通り、ヒロインの美しさもきっちりと映画の中に組み込まれている。 部分的だったとしても、良いアクションシーンがあって、主人公のキャラクターにも愛着が備わって、映画的な面白味もあって、女優が美しいのならば、娯楽映画として何の問題もないじゃないかと思える。 決して「良い映画」だとは言わない。ただ間違いなく「悪い映画」ではない。 完璧な駄作からの見事な“巻き返し”。このあまりに想定外な製作陣の「成長」は、日本の映画ファンとして嬉しく、賞賛に値する。 このクオリティーをキープし超えていけるのならば、シリーズ化も大いに結構![DVD(邦画)] 6点(2012-10-15 23:48:48)(良:1票) 《改行有》

1628.  モンスターVSエイリアン 往年の東宝特撮映画、もしくは往年のアメリカモンスター映画を沢山観てきた人たちにとっては、楽しい映画であることは間違いないだろう。 主人公自体のキャラクターや、味方となるモンスターたち、悪役エイリアン、そして司令基地のデザインに至るまで、過去の特撮映画のありとあらゆる要素が詰め込まれている。 特に、日本の怪獣映画ファンにとっては、クライマックスのあるシーンはいやがおうにも“アガる↑”ことだろう。 特撮映画マニアのスタッフが、子供と一部の特撮映画マニアの大人たちのために作った映画であり、その部分が楽しければ問題ない映画だとは思う。 ただし、正直“それだけ”の映画であることも間違いない。 過去作に対してのリスペクトを込めたオマージュ作品であることは明らかだが、悪く言えば既存のアイデアを組み合わせただけで、目新しい“工夫”の無い映画だとも言える。 個人的には特撮映画ファンではあるけれど、オマージュ的要素を生かした上でのストーリー的な“新しさ”が無かったことは、最後の最後まで今ひとつ乗り切れなかった要因となってしまった。 主人公も含め、あらゆる“モンスター”たちが、徒党を組んで地球防衛に献身するという構図は楽しいものだったけれど、それぞれのキャラクターの中身が乏しく、行動の理由があまりに軽薄だったと思う。 “アメリカ人”に一方的に捕らえられ、半永久的に閉じ込められているにも関わらず、何の疑問も示さず彼らの言いなりになっている姿は、とても安直に見えた。 主人公においては、結婚を目前にした普通の人間の女性である。そんな女性が、隕石がぶつかって突如巨大化したからといって、その瞬間に捕縛され、強制的に“生物兵器”扱いされるのは、あまりに非人道的だし、三週間やそこらでその現実を全て受け止めて「これからも地球を守ろう!」なんてことになるわけがない。 そういう基本的な人間描写においては、あまりにも“乙女心”が分かっていない製作スタッフの“オタク魂”が過剰に出過ぎてしまった結果だと思った。 まあ、そういったあからさまな“ほつれ具合”も開き直って「味」として認めれば、全然問題はないのかもしれないけれど。[DVD(字幕)] 6点(2012-09-28 15:29:41)(良:1票) 《改行有》

1629.  メカニック(1972) 《ネタバレ》 リメイク作品であるジェイソン・ステイサム版を今年観たばかりだった。 オリジナル版を鑑賞し、何より強く思ったことは、想像以上に先立って観たリメイク版が洗練されているということだった。 ストーリーや諸々の細かい描写において、オリジナルである今作を踏まえつつ、より理にかなった改修がされていたということを知った。 詰まる所、殺し屋アクション映画の隠れた名作として名高い今作よりも、リメイク版の方が圧倒的に面白かったと言える。 数多いオリジナル作品とリメイク作品の関係性においては、それは非常に珍しいことだ。 このオリジナル版がリメイク版よりも劣っていた点は大きく二つ。 一つは、物語の発端となる暗殺依頼、主人公の恩人であり友人のハリーを組織の指示通りに殺すくだりの軽薄さ。 依頼の忠実な遂行のためとはいえ、長年の友人である人物を殆ど疑念も抱かぬまま、淡々と殺してしまうのは如何なものか。 このハリーの息子が、この後のストーリーの主軸に絡んでくるわけだから、ハリーというキャラクターとその暗殺シーンの軽薄さは、ただただ主人公の人間的魅力を削ぐだけだったと思う。 二つ目は、ラストの顛末。 大筋の流れはオリジナルもリメイクも変わらないが、プロフェッショナルとして主人公が、結局最後まで生き残る様を描いたリメイク版に対して、オリジナル版ではそういう描写が無いので、「え、それで終わり?」と非常にフラストレーションが溜まる結末になってしまっている。 どちらも、主人公の魅力そのものに大いに関わる要素だけに、映画自体の優劣に非常に関わっていつと思う。 ただそれでも、今作の映画としての面白味は充分ではないがきちんと備わっている。 その大きな要因は、何を置いても主演のチャールズ・ブロンソンの魅力そのものだと思う。 実はチャールズ・ブロンソンの主演映画を鑑賞するのは初めてだったが、無骨な佇まいの中に時折垣間見せるチャーミングさが、多くの映画ファンから愛された理由であることは、この一作品を観ただけ明らかだった。 是非、他の主演映画も観てみたいと思う。 そして、この往年の名優の魅力は、アクション俳優というジャンルの現在唯一の“生き残り”と言っていいジェイソン・ステイサムの魅力と極めて似通っている。 そういう部分も、リメイク作品が優れたアクション娯楽に仕上がった要因の大きな一つだと思う。[DVD(字幕)] 6点(2012-09-23 22:05:11)《改行有》

1630.  愛のむきだし 《ネタバレ》 いやあ、困った映画だ……。 というのが、鑑賞直後の率直な感想。“何”を重要視するかで、褒めちぎることも出来るし、どこまでも蔑むことも出来る。そういう映画だった。 タイトルが示す通り、「愛」そのもののあまりに無防備な“むきだし”の様を延々4時間見せ続ける。 それだけで、一言「凄い」と言えばその通りで、他のあらゆる映画とも似通わない“天上天下唯我独尊”的映画だと言っていい。そのオリジナリティと絶大なエネルギーは、もちろん賞賛に値すると思う。 しかし、観賞後しばらく時間が経過して、個人的には拭いされない「違和感」が先行していることに気付いた。 人間の本質的な雑多さと下世話な様に満ち溢れた映画であることは間違いない。 過剰な“エログロ”描写が、鑑賞者の好き嫌いを大別することも明らかだろう。 ただ自分が感じた「違和感」は、そういう部分のことではなかった。 端的に言えば、「宗教観」だと思う。 難しく微妙な宗教描写にも、この映画は堂々と土足で踏み込んでいく。僕は無信仰なので、それらの描写もこの映画のエネルギッシュな娯楽要素として受け入れることはできた。 しかし、よくよく考えれば、この映画の宗教描写はあまりに乱暴過ぎるのではないかと思った。 主人公は、明らかに怪しい新興宗教に陥っていくヒロインに対して、「あの新興宗教でなければ、他のどの宗教を信じてもいい」というようなことを言う。 無信仰な者の台詞であれば、べつに違和感はない。しかし、主人公が生まれた時から敬虔なクリスチャンの家庭で育った人間であることを踏まえると、ちょっとあり得ない台詞なんじゃないかと思う。 そして、この映画では、信仰の深い人間が徹底的に危うく脆い者として描かれる。 「宗教」がテーマの核心に存在しているが、この映画はどこかで、信仰を軽蔑しているように見えて仕方がなかった。 そういう“立ち位置”を今作に感じてしまうと、みっちりとエグい描写が羅列する程に、致命的な軽薄さが垣間見えてしまった。 ただし、このあまりに特異な映画世界に息づく演技者たちはすべて素晴らしい。 特に物語的な主人公と言っていい“3人”が凄い。 西島隆弘、満島ひかり、そして安藤サクラ、この若い3人の俳優が凄まじい存在感を全編に渡り放ち続けていた。 さて、結局面白かったのか、面白くなかったのかどっちなのだろう。 ああ、困った……。[DVD(邦画)] 6点(2012-09-19 23:11:55)《改行有》

1631.  バイオハザードV リトリビューション アリスの“半裸”拘束衣の復活、ジル・バレンタインの“胸チラ”コスチューム、エイダ・ウォンの“美脚”スリット……それらの要素があるだけで、このシリーズ最新作は少なくとも前作は超えていると言っていい。 敢えて大真面目に言わせてもらうが、ストーリーの整合性とかアクションのありきたり感以前に、前作に欠けていたものは、「エロさ」であった。 長い映画史においても、女性が主人公のホラー映画やアクション映画の傑作には「エロさ」が欠かせない。 このシリーズの第一作「バイオハザード」では、“脱ぎたがり”のミラ・ジョヴォヴィッチを主人公に起用したに相応しく、彼女の“半裸”で始まり“半裸”で終わるからこそ、素晴らしい娯楽映画に仕上がったと言っても過言ではない。 語弊を恐れず言わせてもらうならば、「エロさ」即ち「女性の美」は、それだけで映画の「娯楽」になり得る要素だと思う。 だから、そういう要素が部分的であれきちんと組み込まれている今作は、娯楽映画の方向性自体は間違っていないと言える。 しかし、だからと言って手放しで褒められる映画ではないことは、前々作くらいから明らかで、粗や突っ込みどころを挙げればきりがない。 整合性などは端からなくて、そういうことを気にしていると観られたものではないし、それに憤慨することが目に見えているのならば、観るべきではないだろう。 ここまできてこのシリーズの最新作を映画館まで観に行く人なんていうのは、もはや“ジャンキー”であり、面白くないことは分かっていても、映画館で観なければ気が済まなくなっているのだろう。 せめてもう少しカタルシスを感じられれば、手放しで喜べたとは思う。 あまりに工夫がなく、そもそも破綻してしまっているストーリー展開には呆れるばかりだが、そういうことは容易に予想できたにも関わらず映画館に足を運ばせ、こうなったら続編も観に行くと心に決めさせるこのシリーズの“麻薬性”は大したものだ。続編をどうせ作るんなら、来年くらいにさっさと公開してほしい。 取り敢えずは、最低限備えた「エロさ」に対して及第点。 あ、それと、復活したミシェル・ロドリゲス嬢の相変わらずの腕っ節と、あまりに珍しい女子大生演技のギャップには、もちろん萌え。[映画館(字幕)] 6点(2012-09-18 23:59:20)(笑:1票) (良:4票) 《改行有》

1632.  間諜X27 マレーネ・ディートリッヒの映画を観るのは、「情婦」に続いてまだ2作目だが、この人が映画史に残る大女優の名跡に相応しいことは、2作だけで充分に理解し得る。 「間諜X27」とういタイトルを見て、語意が分からなかった自分は、一体何の映画なのかちっとも分からなかった。 主演女優演じる未亡人が、政府の裏機関の人間にスカウトされ“女スパイ”に仕立て上げられる。そこでようやく、「間諜」=「スパイ」ということが理解できた。 “スパイ映画”として観たならば、古い映画だということをさっ引いたとしても娯楽性に乏しい。 物語自体のドラマ性も決して深みがあるとは言えず、面白味は薄いと言える。 しかし、それでもこの映画の価値を及第点レベルに押し上げているのは、言うまでもなくマレーネ・ディートリッヒの存在感に他ならない。 時代の混沌に巻き込まれつつ、最期まで「女性」としての凛とした姿を見せ続ける彼女の振る舞いに、性別を超越した“憧れ”を感じずにはいられなかった。[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-08-21 23:44:09)《改行有》

1633.  THE LAST MESSAGE 海猿 決して褒められた映画でないことは分かっている。分かっているが、結局「面白い」と思ってしまうのだから、もうこれは個人的な趣向であり仕方がない。 ありきたりな展開に、取って付けたような台詞回しが網羅され、全編通して失笑が無くなることはないのに、用意された娯楽性を充分に堪能してしまう。 それは、この映画シリーズに共通することで、詰まるところ、突っ込みどころは満載だけれど僕はこのシリーズの世界観そのものが嫌いじゃないんだろうと思う。 福岡県沖に建設された巨大天然ガスプラント施設にて不慮の事故で火災が発生し、当然の如く主人公たちのチームが現場へ向かう。 前作でも不満に思ったが、このシリーズは事故発生のプロセスが性急過ぎる。加えて主要登場人物たちのバックボーンを垣間見せる程度のプロローグも殆どないので、そもそもにおいて感情移入をする暇がない。 そのことが映画全体に蔓延する「取って付けた感」の最たる要因だろう。 今作で舞台となる天然ガスプラントは、政治的背景も絡ませやすく題材としては面白く思えたが、結局描き出される展開は前作の完全なる二番煎じである“ポセイドン・アドベンチャー”的ストーリーであり、あまりに新しさに欠けていたことは否めない。 と、自分の中の冷静な部分は映画における粗を的確に捉えているのに、それに反するかのようにクライマックスに合わせてまんまと高揚感は高ぶってしまっている。 「何なんだこれは?」と自分の中で不思議に感じつつも、これまた繰り返されるお決まりのクライマックスシーンにジワリとくる始末。 何の工夫もない馬鹿正直な“熱さ”に辟易しながらも、最終的にはいつもその“暑苦しさ”に呑み込まれてしまう。この映画シリーズには、そういう理屈ではない強引さだけは備わっていると思う。 そう自分自身に“いいわけ”して、公開中の最新作もちょっぴり気になってしまうのだった。[地上波(邦画)] 6点(2012-07-17 17:05:31)(良:1票) 《改行有》

1634.  アドレナリン(2006) 何か知らんが、アドレナリンを出し続けなければ心臓が停止するという毒薬を注入された男が、己の生命と復讐をかけ、他人の命と迷惑なんて顧みず街中を走り回るという映画。 馬鹿馬鹿しいにも程があると言わざるを得ないストーリーだが、それでもかろうじてエンターテイメントとして成立させている。 そして、この馬鹿馬鹿しさをまかり通せるのは、今はこの男しかいないだろう。 ジェイソン・ステイサムが、表現通りに“アドレナリン分泌しっ放し”の主人公を、“いつも通り”の存在感で体現してみせる。この映画のエンターテイメント性は、もうその存在感に頼りっぱなしと言っていい。 90%以上は「くだらない」と一笑に付してしまって良い映画だが、困ったことに主演俳優の存在性を盾にして、どうしたって印象に残ってしまうシーンが所々で映し出され、時に大笑いしてしまい、時にウルッときてしまうものだから、尚更始末が悪い。 公然○○○シーンや、まさかのラストシーンでの愛の告白からの衝撃のラストカット。 本当にこの映画を作った方々の頭はどうかしてしまってるんじゃないかと思ってしまう。主演俳優も含めて……。 そしてッ、このラストで続編があるってんだから、いよいよどうかしてるぜ![CS・衛星(字幕)] 6点(2012-06-07 15:33:20)(良:1票) 《改行有》

1635.  相棒 -劇場版Ⅱ- 警視庁占拠!特命係の一番長い夜 《ネタバレ》 警視庁内で使用されているPCが全て“Mac”であるという美術設定に対して「何てリアリティが無いんだ!」と、Macユーザーである僕はまず思ってしまった。 その一方で、何とも言えない後味の悪さには、警察組織内部の闇を描いたストーリー展開に相応しいリアルさを感じてしまい、“リアリティ”のバランスが非常にちぐはぐな映画であることは間違いないと思った。 警察組織の巨悪とそれにまつわる陰謀が、殆ど一人二人の裁量でどうにでも転んでしまう顛末には失笑を禁じ得なかった。 しかし、ストーリーに秘められた個々人の思いや行動原理には整合性があり、その部分がこの映画の娯楽レベルを一定の水準まで引き上げているのだろうと思う。 サブタイトルが示す通り、物語はほとんど警視庁内部で展開され、劇場版前作に比べ圧倒的に派手さは無いが、サスペンスとしての密度は今作の方が随分と高く、実に「相棒」らしい世界観が反映されていると思えた。 “衝撃”とされるラストの顛末については、「相棒」というシリーズそのものがこの映画で締めくくられるとういことであれば、それ相応の重みが加味されていたと思う。 だが、周知の通りこの映画の直後に至ってもテレビシリーズは繰り広げ続けられており、今なお完全終焉の気配はない。 であるならば、このラストは、「相棒」という世界観の人間模様において、あまりに勿体ないことをしていると言わざるを得ない。 ご冥福をお祈り致します……と、ついつい言いたくなる。[地上波(邦画)] 6点(2012-05-31 13:53:50)《改行有》

1636.  マチェーテ “いかつい”なんて形容ではあまりに言葉足らずの風貌の主人公が、巨大なナタを振り回す冒頭のバイオレンスシーン10分。そして、そうそうたる濃い過ぎるキャストが勢揃いのラストの大乱闘シーン10分。 この映画は、その合計20分だけで充分!というかそれ以外の部分は、よそ見して酒でも飲んでりゃあイイ。 当たり前のことだが、この映画において、完成度の低さに目くじらを立てること程愚かなことはない。 今作監督のロバート・ロドリゲスと、その盟友クエンティン・タランティーノ、ハリウッドきっての“悪ガキ”監督が企てた“グラインドハウス”映画の中で登場する実在しない映画の予告編から生まれた今作が、まともに完成していると思うことがそもそも間違い。「完成度」など存在すらするわけがない。 大部分を占める“クソ映画”的展開の中で、時折垣間見せるハイテンションシーンに馬鹿みたいに高揚することが出来ればそれで充分なのだ………とは思う。 とは思うからこそ、想定外の不満を感じた。それは、思ったよりもずっとキレイにまとまってしまっていることだ。 先述したように冒頭やラストは、それなりに荒れていてハチャメチャな様が見ていて楽しい。が、その他の部分が思ったよりも“暴走”していない。 そもそもストーリーなんてあってないようなものなのだから、整合性なんて無視して“ぐでんぐでん”な映画世界を見せてほしかったと思う。 その期待はずれの真っ当さが、目新しさを生まず、映画全体のテンポを悪くさせ、テンションが上がり切らなかった原因だろう。 主人公はもっとはっきりとした無頼漢であってほしかったし、豪華スター勢揃いの悪役陣ももっと振り切ったキャラクターで良かった。 そして、個人的に大好きなミシェル・ロドリゲス姐さんと、ジェシカ・アルバ嬢には、もっともっとセクシーシーンがあるべきだと思った……。 まあそれでもね、正義のダニー・トレホと悪党のスティーヴン・セガールというまさかの一騎打ちが観られるだけで、やはり充分な映画だろう。[ブルーレイ(字幕)] 6点(2012-05-02 00:46:37)(良:1票) 《改行有》

1637.  ももへの手紙 しまなみ海道を原付で何度か渡ったことがある。海風がとても気持ちよく、風景は抜群に良い。 しまなみ海道を原付で通行する際、橋の部分では自動車専用道路の測道を通行し、各島々に入ってからは、一端島内の一般道に下りて海岸線をぐるりと回ってから、再び橋の部分から自動車道に戻る仕組みになっている。 この映画のクライマックスでは、その細かな部分もきちんと描写されていた。 他にも映画全編に渡り瀬戸内の島の普遍的な“生活感”を描き出せていたことは素晴らしかったと思う。 その一方で、ストーリーそのものは大したものではない。 妖怪たちとの不思議な交流も含めて、どこかで見たことがあるようなありがちな世界観だった。 妖怪たちの造形と動きはユニークだけれど、キャラクター性そのものに目新しいインパクトは無く、存在感の薄さが気になった。 アニメ映画として、妖怪たちのこのキャラクターの薄さは非常に残念な部分だったと思う。 妖怪たちのキャラクターの薄さに対して、ヒロインはとても魅力的だった。 傷心し、身も心も渇ききった少女が、同じく心傷ついている母親と共に瀬戸内の島に移り住む。 少女にとっては「異世界」とも言える新しい生活環境の中で、戸惑いつつも、異形のものの“雫”に触れ、降雨に濡れ、さざ波を感じながら涙を流し、次第に“潤い”を取り戻していく姿は、まさしく文字通りに“瑞々しさ”を感じた。 この映画を彩る様々な要素は、とても有り触れたもので、それが物足りなさにも繋がっていることは否めない。 ただ、その普遍的な世界観伝える感動が、シンプルに響いてくることも事実で、観賞後にはヒロインと同様に心の潤いを覚えた。[映画館(邦画)] 6点(2012-04-22 18:20:52)《改行有》

1638.  ブリッツ 雑多な映画だ。いや、はっきりと「雑」と言ってしまって良いだろう。 極めて粗暴ながら警察を「天職」だと言い切るジェイソン・ステイサム演じる主人公が、警察官ばかりを狙う連続殺人鬼を追う。 ストーリーとして、至極単純明快でありながら、実際どういう映画かと言われれば説明しづらい。 というか、説明なんて面倒だから、とりあず観て、文句なり賞賛なり勝手にのたまってくれと言いたくなる。 この何だか“掴みきれない”原因は、登場するキャラクターたちの言動とか生き方が、揃いも揃って場当たり的で計算しなさ過ぎていることだと思う。 正義も悪党も皆、ただただ己のやりたいように動いていくので、その言動に対する善悪の判断以前に、「え?それでいいの?」と戸惑いが先行してしまう。 そういう部分から端を発する映画全体に漂う“違和感”が、この映画のオリジナリティとも言え、最大の突っ込みどころであると同時に、最も面白い部分とも言える。 また荒っぽい主人公が正反対のゲイの上司と志を共有していく関係性や、狡猾なのかただのイカレ野郎なのか判別し難い殺人鬼など、それぞれの人間描写はなかなか個性的でユニークだった。 今や“アクション映画スター”という肩書きの世界的トップランナーであるジェイソン・ステイサムの最新作だけに、結構な大作なんだろうと鑑賞し始めたが、想像以上に英国内向けの限定的な作品だったと言える。 そのことが、肩すかしや戸惑いに繋がってしまうかどうかは微妙なところだが、たぶん多くの人の想定外に「変な映画」であることは間違いないと思う。[DVD(字幕)] 6点(2012-04-04 23:29:39)《改行有》

1639.  カウボーイ&エイリアン 《ネタバレ》 「カウボーイ&エイリアン」なんてふざけたタイトルを掲げ、ダニエル・クレイグ&ハリソン・フォードという新旧のワイルド・ガイを競演させたこの映画が、エンターテイメント大作としてどうやってまとまっているのだろう?という疑問が、この映画に対する最大の興味だった。 その答えは、端から大作として綺麗にまとめる気なんて更々ない“とんでも映画”だということだった。 つまりは、“カウボーイ”と“エイリアン”を共存させたこの映画が、良い意味でも悪い意味でも、真っ当な映画である筈がないのだ。 当然ながら、“酷評”しようと思えばいくらでも出来る映画だろう。しかし、この映画の場合、もはや酷評することすらナンセンスに思える。 序盤から怒濤の突っ込みどころが散りばめらるが、ミステリアスなヒロインが炎の中から蘇るシーンを境にして、心の中で突っ込みを入れ続けている自分自身が馬鹿らしく思えてくる。 むしろ、このハチャメチャな世界観を馬鹿になって楽しむべきだろうと、心のシフトチェンジが起きる。 そこからは、オーソドックスな西部劇としてシンプルに楽しむことが出来た。 記憶を無くしたヒーロー、秘密を知るヒロイン、心に傷を負った老戦士、土着民族と盗賊らが、共同戦線を張り共通の「外敵」に挑む。この映画のプロットはそういう非常にありふれたものなのだ。 その敵が、今回はたまたま“エイリアン”だったということに過ぎない。 SF的な視点で見てしまうととてもじゃないが目も当てられない。 でも、大いに強引ではあるけれど、新しい要素を取り入れた西部劇として見れば、最終的には何だか悪くない映画に思えた。 決して褒められた映画ではないが、娯楽映画だからこそ許されるこの馬鹿馬鹿しさは、嫌いじゃない。[ブルーレイ(字幕)] 6点(2012-03-27 16:23:40)(良:1票) 《改行有》

1640.  アンノウン(2011) 《ネタバレ》 殆ど予備知識無く鑑賞を始めたので、冒頭から滲み出ているサスペンスフルな空気感にすんなりと引き込まれ、二転三転する展開を堪能しながら最後まで楽しむことが出来たことは間違いない。 サスペンスアクションとして、サスペンスの緊張感とアクションの高揚感がバランス良く配置されており、鑑賞直後の満足感は当初の想定よりも随分と高かったと言える。 ただし、観賞後数分間でちょっと振り返ってみると、粗という粗がポロポロと出てきてしまうことは否めない。 よく考えると映画全編に渡って言えることだが、「実は一流の○○○」だったというには、そもそもの言動がずさん過ぎて陳腐だ。 まず目的のために徹底した偽りを謀るとはいえ、目的地への移動中に至るまでその偽りを貫く必要があるのだろうか。これは明らかに観客を欺くためだけの演出であり、人間描写上の必要性はないと思う。 そんでもって、空港のタクシー乗り場で最も重要な鞄を置き忘れるって、どんだけうっかり屋さんなんだという話だ。これも結局、ストーリーとしての一つの目的を設置するためだけの設定であり、極めて安直だ。 他にも、一流ならば乗り込んだ先の言語で世間話くらいは出来るようにしとけよ!とか、ふいの自動車事故とはいえ簡単に気を失い過ぎだろ!咄嗟に飛び降りるとかそれくらいしようよ!とか一流の組織のメンバーのくせいに素人の女の子にやられてどうすんだ!とかとか……、一度突っ込み出したら止まらなくなってきそうだが、とにかくよくよく考えると用意されていたオチに対して整合性が無さ過ぎる要素に溢れてしまっている。 ストーリーのアイデア自体は、オリジナリティが高いとは言い難いけれども充分に面白味に長けている。それが興味を最後まで持続させる最大の要因だとも思う。 しかし、このアイデアであれば、ラストの顛末でもっとどぎつく踏み込むことができたなら、数多の粗を振り切って余りある映画に仕上がっていたかもしれないなと思う。リーアム・ニーソンのクライマックスの表情は観る者を惑わせる緊張感が含まれていて良かったけれど……。 まあそこまで完璧なクオリティーを求めるべき類いの映画ではないと思うし、観ている間と観終わった瞬間に満足していたならそれで充分だと思う。 と同時に、画面から溢れ出る上質な色調と巧い俳優陣の演技によって、もの凄く質の高い映画に“見えるだけ”に、やはり残念に思う。[DVD(字幕)] 6点(2012-02-26 02:14:25)(良:2票) 《改行有》

0160.62%
1592.27%
2752.89%
31425.47%
41716.58%
52449.40%
637114.29%
752920.37%
852520.22%
929511.36%
101706.55%

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS