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コメント数 3870
性別 男性
年齢 53歳

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1641.  アトミック・ブロンド 冒頭、傷だらけのシャーリーズ・セロンが素っ裸になってたり、さらには氷の風呂に入ったり、という堂々ぶり。この時点で、何があったのか知らんけどとにかくこのヒト、無敵だな、という印象を与えてくれるのですが、いやはや、実際、無敵です。 彼女が事情聴取を受けている「今」と、そこに至るまでの経緯が描かれる「過去」との間で時間を行き来する、回想譚のような構成になっており(一方でこれは、ある仕掛けにもなっているのですが)、つまりは「過去」の話が次第に「今」、つまり一種のタイムリミットへと近づいていく構成でもあります。 傷だらけになった経緯、とは言っても、全編を通じて格闘また格闘、狭い車内でのシバキ合いとか、あるいは同性愛シーンも広い意味での「格闘」と捉えれば、ひたすら体を張りまくり。そりゃいずれは傷だらけになろうってもんです。 しかし決め手は、階段その他でこれでもかこれでもかと繰り広げられる、ワンカット撮影の一大格闘。「ワンカットって言っても、実際はさっき一瞬、切ってたんじゃないの~」とか、一生懸命、つなぎ目を探してしまうのが悪い癖ですが、少なくとも何ら違和感を感じさせず、見てる側が心配になるくらいのエンドレスの戦いになってます。階段から転落したけど大丈夫なの、とか、アドリブじゃなくってホントに事前に決められた通りに動いているの、とか、しまいにカメラマンも足を踏み外して階段から転げ落ちるんじゃないの、とか。 この長回しに至って、「過去」と「今」との間を詰めるように進んできた時間軸が、突然、別の方向に流れ始めたような不思議な印象をもたらします。戦いの場所がどんどん移動していく空間的な広がりとともに、時間も別方向に広がり始めたかのような。こうなるともう、カットって、どこでカットすりゃいいもんなんでしょうね。 あと、本作で、雨も降ってないのに人々が一斉に傘を開く場面があって、印象的ですが、これと呼応するかのように、土砂ぶりの中で傘をささずに立っているシーンもあったりして、なかなかキマってます。 とにかく、シャーリーズ・セロンのカッコよさが際立っている作品です。男どものダメさ加減が際立ってる、とも言えるのかも知れませんが[CS・衛星(吹替)] 7点(2020-04-26 12:25:00)(良:1票) 《改行有》

1642.  アメリカン・グラフィティ 《ネタバレ》 まあ、オハナシ自体が面白い訳でもないし(というかストーリーらしいものは特に無いし)、撮り方がウマい訳でもないし・・・要するに「アメリカだからといって、美男と美女が映画みたいなロマンスを日々繰り広げている訳ではない」ってコトですね。冴えない田舎町を舞台に、冴えない連中がひたすら夜の街を徘徊し続ける。車で街を走り続けても、同じような連中とすれ違うばかり。まるで永久に夜が明けないかのように、目的も際限もないような夜遊びが続くんですけれども。 そんなの夜遊びとは言えんだろう、ツマランだろう、ってったって、そりゃイマドキの夜遊びと比べるからであって、比べる対象が無ければ、こういう日常しか無ければ、これこそが楽しみ、若者の特権、ってもんでしょう。 だけど、夜が無限続く訳でもなく、すなわち青春が無限に続く訳でもなく、夜明けも間近になってリチャード・ドレイファスはようやく、ある行動を起こすけれど、すでに遅かりし。残された時間は限られているのだから。 「後悔先に立たず」という、その事実を、我々は後になって「後悔」するしかないんですけれどね。 でも映画はそれも含めて、わりと肯定的に過去を(製作当時からしたらわずか10年ほど前の過去ですけれども)振り返りながら描いています。飛行機で旅立つリチャード・ドレイファス。空撮で見下ろす故郷の風景が、なんともイイですね。[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-04-26 11:14:37)《改行有》

1643.  ネイビー・シールズ(1990) アメリカ海軍ネタの映画が多いのはやっぱり、海軍がいちばん撮影に協力的なんですかね。トップガンなんていう映画も、海軍の協力のもとに色々とカッチョよいシーンを撮って、それをストーリーで適当につないだようなところがあって(そのせいかどうか、陸地を飛んでたはずの戦闘機が、墜落するとそこは海だったりする)、その点、本作も同様に、適当に戦闘シーンを寄せ集めて、適当に埋め草のようなストーリーでつなぎ合わせた、大変に適当な構成なんですけれども。しかし本作は、適当さが、数段上回ってますね。海軍の協力の有無など関係なく、ホントに戦闘シーンの単なる寄せ集めで、ストーリーなんて無いも同然。マイケル・ビーンとチャーリー・シーンが主役っぽく登場するけれど、どちらかがいなくったって物語は成立しそうだし、なんなら、いっそ両方いなくっても、何とかなるかも知れない。 という、いかにも中身の無いサッパリした感じが、欲が無いというか、コダワリが無いというか。どうせ娯楽なんだからこんなもんでしょ、という割り切りが、ヒシヒシと伝わってきます。リアリティだの辻褄だのを気にしないから、アクションシーンを存分に散りばめられるし、クライマックスではアクションがどんどん派手に、そしておバカになっていきます。すばらしい。 そもそも、走ってるクルマから意味もなく海に飛び込むという、あの意味もないシーンがあるだけで、意味もなくホメたくなる、というもんですよ。[CS・衛星(吹替)] 7点(2020-04-20 21:37:51)《改行有》

1644.  ハード・コア(2018) 《ネタバレ》 こういうの見てるとつくづく、時間の流れってのはこの世の中、一定でも何でもなくって、人によって明らかに「違う時間」を生きてるなあ、と。そういう時間の淀みみたいなものが、よく出ています。 青臭く、そして懐かしくもある、自意識の泥沼。奥手だから生真面目で、生真面目だから奥手で、正義感だか言い訳だかわからないものに縛られてて、でもしっかり性欲にも縛られてて。そこには「解は無い」んですけどね。 で、こんなヒトたちだから、たとえ生活の中に超高性能スーパーロボットが現れたところで、もうどうしようもない訳で。ロボットは結局は何もしてくれないし、何も変わらない。せいぜい、できるのは「退場すること」。ロボットができるのは、その手助けだけ。 やけに、タバコが、印象的でした。[DVD(邦画)] 7点(2020-04-15 20:54:22)《改行有》

1645.  海峡 高倉健と吉永小百合、二大スターを主役に据え、青函トンネル工事という題材にかこつけて実際は二人の男女の恋愛を描いた人間ドラマ・・・かと思ったら、これが正反対。壮絶な工事の模様を描いたスペクタクル路線の映画で、もう、小百合さんなんかそっちのけ。物語の発端から関わってくる三浦友和なんて、普通ならかなりのキーパーソンのはずなんですけれども、惜しげもなく雑魚キャラへと追いやられてしまってて。かろうじて「オヤジ」こと森繁久彌は、存在感を出すことを許されておりますが、まあとにかく、トンネル工事の映画です。ひたすら、湧き出てくる水との戦い、かなり大がかりなセットを組んでいるようですが、実際のトンネル工事現場でのロケ撮影もあるのでしょうか、とにかく臨場感はかなりのもの(実際の工事中に映画が製作され、映画の中でトンネルが貫通してから間もなく、実際のトンネルも貫通)。 トンネル内だけではなく、吹雪などの厳しい大自然もみどころで、『八甲田山』ふたたび、といった趣きも。いい「画」をとるためならば、たとえ火の中、水の底。俳優もスタッフも体張ってます。シケの中、小船が荒波にもまれているシーンからして、かなり危険な香りが。 終わりの方の居酒屋で、健さんと吉永小百合が二人きり、ここだけとってつけたように恋愛ドラマになってて、ちょっとヘンなんですけれども、それよりも、トンネルが貫通して涙する健さんに、猛烈に違和感を感じてしまうのは、何なんでしょうね。健さんだってそりゃ、泣くときもあるんでしょうけれど。[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-04-06 20:59:33)《改行有》

1646.  寄生獣 完結編 私、ほとんどマンガ読まないんですけど、この「寄生獣」は大学時代の研究室に先輩が買ったのが転がってて、夢中で読みました。コミック最終巻の発売は先輩の卒業後だったので私が買って寄贈してきましたが。 で、当時は「まるでターミネーター2みたいだけど、コッチの方が面白いんじゃない?」ってな会話を周囲としていた程度だったんですが、私が認識していなかったのは、実は「ターミネーター2の公開より、寄生獣の連載開始の方が、ずっと先だった」ってことなんですね。この映画化にあたって、後藤さんとの対決シーンの舞台を紅蓮の炎の中に設定したのも、何やら意味ありげ、まるで「マンガ」と「ハリウッド」を両方、ここに取り込もうとしているかのような。こういうアレンジは賛否両論あるとは思いますが、劇的な盛り上がりとなっていて私は結構、好きです。映画化にあたっては、2本分の尺を使いつつ、取捨選択しつつも、全体としてはやや原作に引きずられ過ぎ、盛り込み過ぎで、少し消化不良な感じもあるんですけれど、でも、1作目もこの完結編も、ここぞという場面では大胆にアレンジを加えて、映画ならではの見せ場になってます。 ただ本作、ちと後藤さんに冷たくないですかね。もうちょっと活躍させてあげて欲しかった(笑)。三木さんの挙動不審が印象的なのは、これはどうやらホントにヤクをやっていたみたいなので、とても太刀打ちできませんけれどね。でも、作品自体の関心が、我らがヒーロー・後藤さんよりもむしろ、しがない親父・倉森の方に向かっているようなところがあって。「倉森vs田宮」が、一番のクライマックスでした。[DVD(邦画)] 7点(2020-04-04 14:31:57)《改行有》

1647.  ビッグ・アメリカン まず冒頭、壮大なる西部開拓時代のオハナシか・・・と思ったら、これが実は単なる見世物(仰々しい邦題もここではミスディレクションに貢献しちゃってます)。要するにあの、バッファロー・ビルがやってたという、ワイルド・ウェスト・ショーのオナハシ、なんですね。アメリカ開拓史ってのは、土地の開拓が終わったら、今度はビジネスの開拓が始まって、休む間もありません。 バッファロー・ビルを演じているのがポール・ニューマン、だもんで、すでに何だか胡散臭い。そもそもこのヒトは本物のバッファロー・ビルなのやら、もしかしてニセモノなんじゃないの、とすら思えてきたり。冒頭のクレジットでも役名は単にThe Starとだけ書かれてるし。もっとも、他の登場人物もみな、役名が名前では書かれていなくって、本物だろうと偽物だろうと、もうどうでもいいのですが。 実際、劇中で行われるショーは、代役あり、失敗による流血沙汰あり、まあ、テキトーなんです。 そんな中で、先住民役として雇われている(本物の)先住民のオジサン、こちらは本物のシッティング・ブルっぽい(でも、そもそもシッティング・ブルなどというキャラクターの来歴自体、ギミックじみた少々アヤシイところがあるのですが)。で、言葉数も多くなく、いつもどこか醒めた表情をしていて、それがユーモラスであると同時に、強烈な皮肉を漂わせています。 皮肉と言えば、バート・ランカスターの存在。何かと登場はするけれど、この状況に関わる気が、あるのか無いのか、超然と涼しい顔。作家の彼がこの状況を作り上げたのかも知れないけれど、もう彼にもどうにもならないし、多分、どうする気もなさそう。 ショーの中で大事故でも起これば、映画としては娯楽色が出るけれど、本作は、物語をそういう娯楽路線へ開放することもなくって。「事故が起こったら大変だよね」というサスペンスはもちろんあるけれど、あくまでその中途半端な不安定さのまま、主人公が取り残されたようにフイと映画が終わっちゃう。 一方で現実世界の商業主義は、紆余曲折はあれど行き詰まることなく拡大の一歩をたどって、この先、壮大なカタストロフが待ち受けているのか、どうなのか。[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-03-23 17:21:04)《改行有》

1648.  終電車 《ネタバレ》 ドイツ占領下のパリで、とある劇場の人間模様。さぞかしナチスの弾圧で苦しんでいるのかと思いきや、さにあらず、意外に皆さん伸び伸びとしてます。冒頭、ドイツ兵に撫でられた子供の頭を「汚らわしい」とばかり、せっせと洗う母親が出てきたみたいに、なかなかの逞しさ。だからこんなご時世でも、劇場なんてものをやっていられる訳ですが。時々、停電が発生したりして、そういう時だけ、戦時下であることを思い起こさせます。 で、劇場には看板女優のドヌーヴがいて、そこにややテキトーなところのある俳優、ドパルデューがやってきて。何だかんだとウダウダやってるので、こんなんじゃきっと、この映画が終わるまでに上演に辿り着かないんじゃなかろうか、と思えてきたり。 一方で劇場の地下には、看板女優の夫である演出家が、周囲には亡命したと思わせておきながら実はひっそり、潜んでいる。壁の穴から階上の劇場の様子が聞こえてくるもんで、そこが彼の指定席。 で、意外にもちゃんと上演にはたどり着くのですが、準安定状態だった占領下から、終盤に突然戦局が動いて(その唐突さがややコミカルですらあります)、そのせいで何だかむしろ、不安定になってしまうようなところもあって。駆け足でハッピーエンド(なのか?)に向かって行きます。 怪人の登場しない、「オペラ座の怪人」。[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-03-20 02:32:38)《改行有》

1649.  エアポート’75 エアポートシリーズというとあの、「アランドロンが操縦するコンコルドが小型機と衝突してバミューダ海域に沈没するけど、ジョージケネディが何とかしてくれる」ってヤツですね。←色々混ざっちゃってますが、要するにこの2作目以降は、似たり寄ったり、ということで。ただし個人的には、シリーズ中で一番印象深い作品ではあります。 この第2作、シリーズ中でも一番の低予算らしいですけど、確かに、映画のかなりの部分を占める機内シーンからは、あまり気合いが感じられません。まあ、群像劇としての体裁でさまざまな乗客を登場させておきながら、物語の中では彼らをほとんどホッタラカシにしてしまっている脚本にも、責任がありそうですが。 とは言え一方で、本物のジャンボを飛ばせて撮影したらしい空撮シーンの数々、これはなかなかスゴいです。見応えあります。「次から次に大事件」というタイプの映画ではなく、小型機との衝突後もやや地味な展開ですが、空撮のリアリティが緊張感を(何とか)維持しつつ、終盤を(何とか)盛り上げています。不測の事態によりCAが操縦桿を握るという設定は、『乱気流 タービュランス』あたりにも影響を与えていそうです(何と小さい影響力・・・)。あの、よくわからん装置と計器に囲まれながら恐る恐る操縦する、不安感と楽しさ。 それに、本シリーズ無くしては『フライングハイ』も無い訳で(だから?)、そういった後の映画界への貢献を称えて、ソルトレイクシティ空港を「ジョージケネディ空港」と名付けてはどうだろうか。[CS・衛星(吹替)] 7点(2020-03-15 10:19:04)(良:1票) 《改行有》

1650.  あゝひめゆりの塔 映画開始早々の運動会シーンで、登場人物たちの顔立ちも話し言葉も、その他何もかもが「こりゃ沖縄じゃないよなあ」という感じなのですが、製作は1968年、まだ沖縄が返還される前ですから、仕方ないっちゃあ、仕方ない。というよりも、女子学生の運動会に何とか忍び込みたい男子学生たち、それをたしなめる吉永小百合、なんていう日活青春テイストが、映画を観る人々と登場人物たちとの距離感を縮めるのには確かに必要なのかも知れませぬ。だから、冒頭の渡哲也にわざわざ釘を刺されるまでも無いだろう、とは思うのですが。 という、まず馴染み深い日常があって、戦火が近づきつつあることをナレーションが解説しつつもその実感はなかなか湧かないのですが、次第に不穏な空気が流れるようになり、やがて日常は、過酷な戦場へと変化していくことに。米軍による攻撃の描写が、いろいろ違和感を感じさせる部分も多いのですが、少なくとも、「日活青春路線の映画がここまでやるか」と思わせるだけのものはある、激しい描写になっています。一方で、吉永小百合は清純派でなければならず、清純派は演技がクサくなくてはならぬ、みたいなこの感じは、ちょっとどうなんでしょうね。むしろ「表に出さずに堪える」ことが感情表現につながる場合もあると思うのですが。 最初の方で、男子学生の列と女子学生の列が、それぞれ別の歌を歌いながらすれ違う場面、異なる歌が重なりつつ、さらにそこにセリフまで重なって、映画的なポリフォニーになっているのですが、その後も、卒業式の場面で「仰げば尊し」の歌声と砲声が重なったりとか、切断された手足が砲撃で飛び散った中に花が咲いているとかいった対比が織り込まれており、「平和vs戦争」という対立軸を強調しています。そういう意味では、戦争映画と青春映画とが本作の中で必ずしもうまく混ざっていないこと自体が、作品の欠点もありながら、一方では本作の独自性にもなっているように思われます。[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-03-08 12:42:23)《改行有》

1651.  昼下りの情事 《ネタバレ》 まず冒頭、パリではどこもかしこも、イチャイチャする男女ばかりなんですよ、と、フランス人への偏見モード全開。まあ、この後の物語展開に対する言い訳みたいなもんかも知れませんが。 とあるオッサンが妻の浮気調査を私立探偵に依頼、結果、これはクロですなあ、という訳で依頼人のオッサンはピストル片手に浮気現場へ。一方、この話を盗み聞きしてしまったのが、私立探偵の娘であるオードリー・ヘップバーン。揉め事を未然に防ごうと現場のホテルへ先回り、依頼人の妻と、浮気相手である大富豪でプレイボーイのジジイ(=プレイジジイとでも言うんだろうか)に、カクカクシカジカ事情を伝え、その場は丸く収まる・・・はずが、今度はジジイとオードリーが何となくいい感じになっちゃう、というオハナシ。何でこんなジジイがモテるんだよ、一体このジジイ何者だよ、とか思っちゃうんですが、何者も何も、ゲイリー・クーパーなんだから仕方がない。でも、いつの間にこんなに老けたんだ、クーパー。メイクかも知れませんが、かなりのジジイ感です。 で、オードリーがこのジジイに弄ばれるのか、心配だなあ、と思って見ていると、ジジイはジジイで彼女に弄ばれてるようなところがあり、お互いヤキモキしてる。大人の恋愛かと思ったら、少年少女のようなところもあって。 中盤、オードリーが手紙を何度も書き直した上で封筒に入れ、しかしそれを投函することなく燃やしてしまうまでの一連の挙動を、長々とワンカットで描いているのですが、確かにワンカットで捉えるだけの魅力が、彼女の仕草に溢れています。そりゃジジイも参るでしょう。 でも結局は、ヘボ探偵かと思ってた彼女の父が、一枚も二枚もウワテでした、というのがなかなか気が利いてます。もっとも、もしも彼女の父がラストで一枚噛んでいなかったら、「そんな終わり方でいいのか!」と暴れたくなるところですが。[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-03-07 15:42:36)《改行有》

1652.  危険な情事 《ネタバレ》 蝶々夫人が自刃するも死にきれず、自分を捨てたピンカートンにストーカーのごとく付き纏う、ってな感じのオハナシ。 マイケル・ダグラス演じる主人公、「蝶々夫人」のクライマックスに涙したとか何とか言いながら、自分は自分で妻子のいない間にチャッカリ浮気して、相手とさっさとオサラバしよう、ってんだから、虫がいいにも程がある。どう考えても主人公の方が悪い訳です。 アメリカの恐怖映画というと、無関係の事態に巻き込まれるとか、得体の知れないモンスターみたいなヤツに襲われるとか、そういう理不尽さがベースとなっている印象があるのですが、本作はそうではなく、他人からの「恨み」というものが恐怖の源泉にあって。どっちかというと、日本の「うらめしや」系のコワさですね。でも暗がりにボンヤリ現れるだけ(?)の日本の幽霊とは違って、本作のグレン・クローズはアフロな髪型をなびかせ、積極的にワイルドに、迫ってきます。でもただただ迫ってくるだけではなく、押したと思えば引いてみたり、この辺りの匙加減が本作の上手いところです。 クライマックスの舞台が風呂場になってて、これが妙に生々しくてコワいんですね。風呂場というのがそもそも、人間が最も無防備になる場所で、なのに硬そうなモノが色々とあり、争うには最もヤな場所なんですけれども、それに加え、本作では「水」のイメージがまたヤな感じを醸し出してます。二人が親密になるキッカケとなった雨の場面とか、彼女が自殺未遂を企てる中盤の場面とか。とにかく、妙に生々しいんです。ヤな感じです。[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-03-01 16:02:11)《改行有》

1653.  1917 命をかけた伝令 全編ワンカット(風)、とか言ってるけど、途中、主人公が気絶するので、全編ツーカット(風)です。だからどうという訳でもありませんが。 戦争映画というと、どれだけ派手にスペクタクルを演出するか、がキモみたいなところがありますが、本作は比較的その点、抑制されています。むしろ静かなシーンが多いとも言える中、代わりに、打ち捨てられたような無数の死体とか、人間を後目に我が物顔のネズミたちの姿とかが、戦争の恐怖を物語っています。加えて、どこまで続くとも知れぬ塹壕が示す、戦争の巨大さ。 上空からの俯瞰で一気に規模感を示すのも一つの手ではあるのでしょうが、本作では主人公とともにカメラも地を這い続けることで、この映画ならではの規模感を出しています。 はたまた、主人公の移動に伴って画面に登場する、様々な光景。ときには、この近所で本当に凄惨な戦いが繰り広げられているのだろうか、と思わせる牧歌的な平原も登場しますが、それでもドンヨリとした雰囲気が晴れることは無く。 かつてヒッチコックが『ロープ』でカット割りなし映像に挑戦した時は、「いかにカットを割らずに、カットを割ったような効果を上げるか」みたいな、もはや意味不明の努力にハマりこんでいたようなところがありましたが、本作も、サテ、このワンカット風の映像がどこまで効果的なんだろうか、ってな面はあって、しばしば作品の制約にもなってます。例えば、作品に赤ん坊が登場したら、やっぱりカメラがその表情を捉えて欲しい、と思うのが人情ですが、ワンカットの制約下ではそういうこともできないし。 一方で、上述の塹壕の表現などはワンカットならではだし、飛行機の墜落シーンなどもワンカットと(おそらくは)CGとの組み合わせで独特の緊迫感を出しています。 そして何よりも、あの、出撃する大勢の兵士たちが走っていく中を、主人公だけが異なる方向に走り続けるシーンの、印象的なこと。直前までボロボロでヨロヨロだった主人公が一人、周囲を異なるベクトルを持ち、人とぶつかってこけつまろびつ、いやむしろぶつかるたびに走りの力強さを増していくようなその姿。これは、本作の白眉と言ってよいと思います。[映画館(字幕)] 7点(2020-02-22 05:34:51)(良:2票) 《改行有》

1654.  祇園の暗殺者 近衛十四郎というヒトは、いつも暑苦しい程に自信マンマンの表情を浮かべている印象があるのですけど(表情というより、もはや「自信」が顔の一部になっているかのような…)、別にいつもいつもそういう訳ではない、というのがこの映画。 時は幕末、京の街では彼を始めとする浪士たちが、血も涙もない人斬りを繰り返している。で、今日も首尾よく(?)、ターゲットの家に乗り込み、見事仕留めたはいいけれど、押し入れの中に不穏な空気、戸を開けてみるとそこには、恐怖と驚きに顔を引きつらせた子供の姿が。で、この映画、何がポイントかといいますと、このシーンの子供の顔が、完全に「呪怨顔」なんですね。バッチリ時代を先取りしてます。この呪怨顔を見てしまったら、さすがの十四郎フェイスも曇ろうというもの。以降、主人公は罪の意識に捉われたか、ときに殺人の幻影に悩まされ、何かと調子が出なくなっていく。そして彼に訪れる暗い運命。 終盤の、狭く入り組んだ京の路地を舞台に繰り広げられる追跡劇が見どころで、ついには鴨川べりと思しき水辺に追い詰められるのだけど、それは作品の中盤でも描かれた暗殺パターン。因果はめぐる、といいますか。 人斬りがテーマながら必ずしもチャンバラに重きを置かず、代わりに呪怨テイストを絡めてきたのが、ちょっと異色な時代劇でした。[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-02-22 03:41:41)《改行有》

1655.  舞踏会の手帖 《ネタバレ》 夫を亡くしたマダムがふと見つけた手帖。そこにはかつての若き日の思い出、舞踏会で知り合った男性たちの名前が書かれている。 という訳で、マダムは思い出を探りに、これらの男性のもとを訪れる、というオムニバスっぽい構成。この過去に思いを馳せる冒頭部分は、合成映像があったり、壁に舞踏会で踊る人々の影が映し出されたり、ちょいと幻想的な演出があります。 でもまあ、自分のこういう「恋愛時代」をホジクリ返したって、大抵、ロクなことはないんですよね。だもんで、主人公が誰の元を訪れようと、ロクな話が聴ける訳もなく。一件目の訪問先からすでにして家庭崩壊状態、幸先悪いことこの上もない。二件目、三件目と訪問を重ねるにつれ、気のせいか、相手先がだんだんエキセントリックになってきて(それにつれて主人公のマダムの存在感も薄れてきて)、最後に訪れたアヤシイ医者の家に至っては、撮影するカメラまで傾いている(笑)。どうして手帖の人物はみんなこうもヘンになってしまったのやら。 と思ってたら、医者が最後ではなくって、この後もう一軒寄った先の男性は、平凡な散髪屋のオヤジになっておりました。平凡が一番よね、でも何となく寂しい。だから言わんこっちゃないのよ、そういう過去をホジクリ返しても、幻滅以外に何がある? と思ってたら、この平凡オヤジも最後ではなくって、これがホントのラスト一軒、というオマケ付き。あきらめが悪いというか何というか。映画的にはこれでオチがつくのですが、主人公は救われたのやら、もはや救いがたいのやら。[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-02-08 03:47:56)(良:1票) 《改行有》

1656.  森の石松鬼より恐い 「森の石松」の舞台演出に悩む演出家が、ある日タイムスリップして石松本人になっちゃう、というSF超大(?)作。 という訳で、演出家役の錦之助がカツラ無しで登場し、なかなかレアです。しかし錦之助、時代劇カツラをかぶっていないと、結構、フツーのおっさんで、こんなにもオーラが無いのかと。いや失礼。 それが、目が覚めると自分が森の石松本人になっていて、その事実を飲み込むまでがドタバタの連続。そのネタでここまで引っ張るかと思うくらい引っ張るのですが、この石松ワールドの配役が、冒頭の現代のシーンと被っているせいで主人公も混乱する、ってのがどうにも可笑しく、ああ、あのヒトがこの役で再登場するのか、と大いに楽しませてくれます。そんじゃあ寿司屋の大将・鶴田浩二もきっとどこかに再登場するよね、と期待していると、まあ再登場はするものの、これはちょっと肩透かしですが。 とにかくこの前半の引っ張りで、主人公が簡単にこの世界に入り込めない、ってのがあるからこそ、あれやこれやの事件に巻き込まれ、彼自身も「石松」としての自分にめり込んでいく後半が、冴えわたるんですね。ただのドタバタに終わらず、クライマックスではしっかり、森の石松譚を堪能させてくれます。 例によってというべきか、屋外ロケシーンとスタジオセットシーンで、あまりに声の響きに差があり、これ何とかならないもんですかね。[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-01-25 03:06:08)《改行有》

1657.  大いなる西部 《ネタバレ》 まずはお馴染みの音楽で「ああ西部劇だなあ」と思い、これでもかと登場する雄大な自然に「やっぱり西部劇だなあ」と思う。馬の隊列も大自然の中にスッポリ収まり、主人公たちの二人の殴り合いにいたっては、もうただただ、大自然の中で転がされているだけ、のような。 という、いかにも西部劇な雰囲気が充満してはいるのだけど、実際には、西部劇の世界の終焉、みたいなものを感じさせるオハナシでもあります。 東京の男性が関西の女性と知り合って彼女の故郷に行ってみたら、そこにはいるのはどう見てもカタギと思えない皆さんばかりだった、ってのを数十倍スケールアップしたようなオハナシで、アメリカ東部出身の主人公からしたら西部の開拓地は別世界もいいところ。しかし、主人公は涼しい顔で自分自身を最後まで貫き続け、その点はドラマとしてどうなのよ、と思ったりもするのですが、いずれにせよ物語は、彼をよそに西部の世界同士が「最後の戦い」を繰り広げ、新しい世界の到来を示して幕を閉じます。 実は結構、「らしくない西部劇」という気もいたします。[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-01-25 02:44:45)(良:1票) 《改行有》

1658.  ウィンター・ウォー/厳寒の攻防戦 フィンランド製の戦争映画、オリジナル完全版197分。長いですよ。って、言うまでもないけれど。 特に物語らしきものもなく、これといって背景が語られることもなく、ただただ、どことも知れぬ雪原での戦闘が続きます。家庭では普通の男たちであったものが、戦場では兵士となって、そこには兵士としての彼らの日常がある。日中は弾が飛び交い、戦車が迫ってくる一方、夜には束の間の休息があって。また時にはサウナにも入ったりして。そしてまた戦闘が始まれば、塹壕に身を潜め、戦車に立ち向かい、吹き飛ばされた仲間が肉塊と化すしていく、そういう日常。どことも知れぬ雪原で死んでいく仲間たち。 そんでもって、延々と描かれた戦闘が、突然終わりを告げるラスト、ってのはなかなか衝撃的です。もはや、この映画の長さ、戦闘シーンの長さ自体が、完全版ではひとつの意味を持っているとも言っていいのではないでしょうか。[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-01-12 11:34:29)《改行有》

1659.  殺しが静かにやって来る 《ネタバレ》 マカロニとかスパゲッティとかいう西部劇のタイプとはだいぶ印象が異なって、雪に囲まれた町と山岳地帯が舞台。音楽もノリのよいマカロニ調ではなくって静かなものが多く(酒場ではショパンが流れてます・・・?)、抒情的です。むしろ、もはやオカルト映画のテイストに近いかも。ときに、大胆な、というか、乱暴な、というか、単に「雑な」というか、そういうカメラワークが、どこかオドロオドロしい雰囲気にも繋がってますし、やってることも結構エゲツない。実際、保安官が馬車の窓から外を見たらそこに逆さ吊りの死体の顔、なんていうシーンは、犬神家もビックリです。 オハナシの方は、途中までは正直、よくワカラン。っていうか、一体誰が主人公なんだよ、と。誰がと言えばそりゃ、トランティニャンなのでしょうけれど、そもそもの印象が強くない上に、役どころはサイレントサムライならぬ、サイレントガンマン。セリフが無く、出番も多くなく、さらに印象が薄くなっちゃう。敵役の方がむしろ、クラキンみたいな強烈な人相で(←本人です)存在感を示しまくってます。しかし、どんなに女優の顔が怖くっても物語の中心にいればそれはヒロインなのであり、ヒロインとラブシーンを繰り広げてそこにとってつけたように情熱的なBGMが被されば、残念ながらこのトランティニャンが主人公なんだろうと認めざるを得ないわけです。 とか何とか、ボロクソ書いてますけれど、物語の進行とともにちゃんと焦点が結ばれていくのは、さすが(カメラの方は、ときどき焦点がボケてますが・・・)。人質をとった敵が待ち受ける死地へ、ひとり赴く主人公。この場面、ヒロインが敵の伝言を主人公にまるまる伝えた上で「これは罠よ、行かないで」などというくらいなら、そもそも伝言を伝えるなよ、と言いたくなるのですが、まあこれは、こんなヒロインと結ばれてしまった主人公が不幸だった、ということで。 まさかまさかのラストです。いや、まさか。[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-01-12 09:49:07)《改行有》

1660.  ランペイジ 巨獣大乱闘 ゴリラとオオカミが巨大化して、ワニがさらに巨大化して、街中で大暴れする。というシンプルな怪獣映画。ドウェイン・ジョンソンは巨大化しませんが、一緒に大暴れ。 とことん暴れ回ってくれるので、怪獣映画としては上出来でしょう。ひたすら破壊が繰り広げられるハチャメチャの中で、瓦礫が上から降ってくる描写などの芸の細かいところもあったりして、こういうのが結構楽しかったりします。 同じく街が破壊されるドウェイン・ジョンソン映画でも、かつて『カリフォルニア・ダウン』などというツマラナイ映画があったけど、コチラの方が数段面白いわい、と思ったら、実は同じ監督だったのね。残念。って別に残念がることでもないけれど。 いずれにせよ、レジェンダリーが、次はゴジラとキングコングを映画の中で戦わせるんだとか何とか言ってるけれど、本作ほどは盛り上がらないと思うよ、きっと(という予想が裏切られるに越したことはないけれど)。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-01-08 21:23:59)《改行有》

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