みんなのシネマレビュー |
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1661. トゥルーライズ 《ネタバレ》 エンターテイメント性の高いアクションで個人的に大好きなのが、エスカレートするタイプです。本作においては、①雪中バトル→②街中での馬VSバイク→③孤島バトル→④橋落とし→⑤戦闘機、と5つのバトルフィールドを堪能できるわけですが、その中でも②のアクションが普通の娯楽映画であればクライマックスレベルの面白さ。決してつなぎアクションではないのです。序盤でこんなに見せちゃって大丈夫?と心配になるくらいです。ところがところが、③、④、⑤と立て続けに繰り広げられるアクションが、スケールを徐々にでっかくしていくという手法で、とにかくエスカレートしていくため、期待を裏切らない面白さ。いや、それでも②→③辺りでもしかすると食傷気味になってしまったかもしれませんが、ここで挿入されるのが浮気調査。もしかすると、箸休め的な意味をこめての浮気調査なのかもしれませんね。一度頭の中のアクションモードをリセットされるものですから、③からは第二幕として楽しめるんです。 だとすれば、あの浮気調査の一連の流れは、必要な中だるみコメディだと言えなくもないのかぁ。個人的には、あの浮気調査のところだけがしつこい上に好みに合わなくて興ざめしちゃったんですよねー。なにしろコメディとはいえ、奥さんを騙しまくって、怖い思いさせまくって、その上で奥さんの本心探ろうなんて見ていて気持ちの良いもんじゃないです。とても笑えません。品のなさを通り越して嫌悪感を抱くレベルなんです。正直この一連のシーンがなければ10点満点でも良いくらいの超娯楽大作。面白いけれど・・・惜しいなあ。[DVD(字幕)] 8点(2013-12-02 08:40:03)《改行有》 1662. ザ・ドライバー 《ネタバレ》 冒頭、カジノ強盗を乗せてから始まるカーチェイスがいきなりの見所のようでして、BGMの代わりに鳴り響く車のスキール音に魅了されちゃいます。映画は始まったばかりなのに、警察のパトカーが次から次に出てくる出てくる。にもかかわらず、顔色ひとつ変えず車を操るドライバー(ライアン・オニール)が最高にかっこいい。有無を言わさずツボにはまるキャラクターってのが誰しもあるとは思うんですが、僕にとってのこのドライバーはまさにそれ。最高です。 70年代の映画独特の、深刻になりすぎない空気感が映画全体に漂います。ですがその安心感をあざ笑うかのように、安全地帯にいるかと思われた仲介役の女性が悲惨な殺され方をされたりと、シビアな一面を垣間見せるところもあるんです。仲介役の女性に限らず、結構な割合で犠牲者が出てくるこの映画、なんか空気感とのギャップがあるんですよね。それもこの映画の魅力なのかもしれないです。[DVD(字幕)] 7点(2013-12-01 22:40:09)《改行有》 1663. つきせぬ想い 《ネタバレ》 高評価のなか大変申し訳ないのですが、いまいち感情移入しきれませんでした。芸術家肌で商業音楽を作りたがらないキットが、ミンと出会うことで再び音楽への情熱に目覚めるような内容であればもっと感動できたかも。中盤からはキットの音楽活動はほとんど影をひそめ、普通のラブストーリーに。もちろん恋愛映画なわけですからそれで良いのですが、音楽活動にゆきづまっているという最初の設定ももう少し大事にしてほしいものです。 それにトレイシーが良い人すぎて、キットが自分勝手に見えてしまったのもややマイナス。ミンに惹かれるのはわかるんですけど、トレイシーのもとを去る説得力にやや欠けるような気がします。 また、伏線はあったものの病気の再発が随分唐突に感じられました。時間の関係なのでしょうか?でもその割に、歌のシーンの回数は多く、結構時間を割いていた気がします。 全体的に粗削りな作風で、ちょっとバランスが悪いような気がします。ひとつひとつのシーンがすごく良かっただけに、ちょっと残念でした。[DVD(字幕)] 6点(2013-11-29 02:22:43)《改行有》 1664. 新・少林寺伝説 《ネタバレ》 冒頭で清朝VS少林寺の説明から始まったので、かなりスケールのでかい話を想像したのですが、思いのほかスケールがちっちゃくて、逆にびっくりしました。なにしろ、おなかが空いて、頭の悪そうな金持ちの用心棒になってからが長い長い。「私がこの家にいる限り、盗みは許さない」って立派なことをおっしゃられていましたが、本来の目的ってそれだっけ?って感じで、早く当初の目標を思い出してほしかったです。どうでも良いようなエピソードが多すぎたんですね。 いろんな敵キャラが出てきたことや、仲間もみんな個性的で強かったことはエンターテイメント性が強くて大満足。ただ肝心のラスボスがゴレンジャーに出てくるような怪人レベルでなんとも興ざめ。面白いんですけど気持ちがどこか盛り上がりきれないまま終わっちゃいました。[DVD(字幕)] 5点(2013-11-28 15:20:30)《改行有》 1665. ザ・ファーム/法律事務所 《ネタバレ》 原作未読。頭フル回転させながらの鑑賞です。 成績優秀なミッチが数多くの大手の誘いを断り、年収だけでなぜその事務所を選んだのかがまず理解できません。南部であれば、同じ年収でも物価が違うからみたいなことは言っていましたが、そんなことで?都会暮らしが長いなら、普通は都会での就職を望むんじゃない?そんで結局は選んだ事務所は超ブラック企業だったわけで、もっと真面目に就職先のことは調べようよと思ったしだいです。 ただ、事務所所属の弁護士が死んだ事故に不審なものを感じてからは、「成績優秀」の設定にふさわしく頭脳プレーを繰り広げる様には幾度となく感心。できればそのままスーパーマン設定でいってほしかったのですが、簡単に不倫の罠にはまっちゃったりして、なんかいまいち盛り上がりきれません。同じ罠にはめるにしても、もっと不可避な罠であれば説得力もあったでしょうに。 後半のタミー、アビー、レイと協力体制の同時進行で事務所摘発のために動いていく様はかなり盛り上がってくれました。はらはらドキドキの緊張感あり、逆転を予感させる高揚感あり、なんとも言えないほど気持ちがもりあがっちゃってしょうがなかったです。 で、オチはそれかー。というのが正直な感想。結局は保身優先で、現実であれば納得なのですが、映画ですからね。さもミッチが「弁護士資格も剥奪されず、なにもかもうまくいく方法を見つけた。」なんて期待させることを言うもんだから、期待しすぎちゃいました。[ブルーレイ(字幕)] 6点(2013-11-28 14:50:19)《改行有》 1666. ヤング・ゼネレーション 《ネタバレ》 4人の若者が作り出す独特の空気感がたまらない懐かしさを感じさせてくれます。例えば大学生のときの授業と授業の合間の待ち時間。フリーター時代、バイト仲間と特に何をするでもなく公園や駐車場でだらだらと過ごした時間。国も生きていた時間も違うのに、何故か共感を覚えてしまうものなんですね。 さて、映画としては主役のデーブと、ちっちゃいけれどすぐにきれちゃうムーチャーがかなりお気に入りなんですが、世間一般としてはどうなんでしょう?願わくばデーブ以外の3人もそれぞれ自転車の練習やって、もう少し納得のいく着地点が欲しかったかもです。デーブにおんぶにだっこで、ラストに周囲からの祝福だけもらってもなんかしっくりこないんですよね。 あともうひとつだけ苦言を呈するならば、ちょっと自転車レースに参加する動機が弱かったのが気になりました。レースに参加する動機に説得力がもう少しあれば、ラストの達成感はまた違ったものになったかもしれません。 ちなみに、脇をかためているたくさんの登場人物の中で、デーブの両親はかなり良い味を出していました。なんだかんだ言って息子を応援している父親がかなり好印象。イタリアかぶれだった息子がイタリア人たちの最低な一面を見てイタリア熱が醒めるわけですが、ラストで出会うフランス人留学生の女の子を気に入ってすぐにフランスかぶれになったのを見て、父親がびっくりした顔が最高に笑えます。[DVD(字幕)] 6点(2013-11-28 04:05:44)《改行有》 1667. アルカトラズからの脱出 《ネタバレ》 前半、なんて退屈な映画なんだろうと見ていたのですが、中盤から俄然緊迫感が出てくるのですね。実際の脱走計画を実行に移し始めてからの日々は、高い知能指数を誇るモリスがあの手この手で看守たちの目をあざむくものだから、最早痛快にさえ感じてしまいます。これはもう教育上良くない。「刑務所は脱走するためにある。」みたいな。でも閉じ込められたら脱走したくなっちゃうのは本能なのかもしれませんね。 ちなみに一人残ったバッツ、ベッドの中で涙しながら、逡巡していたのでしょうか。で、結局逃げることに決めたようですが、時すでに遅し。最後のチャンスを失う瞬間を見てしまうのはなんともつらいです。それにバッツには余命僅かの母親や優しい奥さんがいるわけですから、これはほんとつらかった。 緊張がピークに達したのは、「モリスを別の場所に移せ。」「では水曜日に」「遅いな。火曜の朝だ。」の所長たちの会話シーン。え?火曜の夜に脱出じゃ間に合わないじゃん!思わず、「いつ脱出するの?」「今でしょ。」ってフレーズが頭に浮かんじゃいましたが、ここはウルフのファインプレーでモリス達は脱出の予定を早めたのでした。でも本当に焦りました。 この素晴らしい映画、前半が長すぎなければ最高だと思います。 [DVD(字幕)] 6点(2013-11-26 02:23:22)(良:2票) 《改行有》 1668. Kids Return キッズ・リターン 《ネタバレ》 主演の二人はいわゆる「不良」であって、どうしても共感しづらい部分はあります。恐喝。暴力。真面目に頑張っている人間を不真面目な人間がたいした理由もなく傷つけ蹂躙しちゃうってのは見ていて腹立たしい。それでも見ているうちになんとなく二人を、とりわけシンジ君を応援しちゃうのは、二人がボクシングに出会ってからひたむきに頑張る姿を見てしまったからでしょうか。 ただこれにはいわゆる「不良君が良いことすると100倍良い人に見える」という心理が働いているのかもしれません。だって普通に考えれば、学生の頃から恋も就活もまじめにがんばっていて、ラスト辺りでタクシー田んぼにつっこんだ彼のほうが偉いと思うんですよ。なのに、この映画では主演の二人にスポットライトがあたっていて、サクセスストーリーではないけれど、二人にやっぱりなんとなく魅力を感じてしまう。そして田んぼにつっこんだ彼のようにはなりたくないと思ってしまう。二人にはラストで希望が残されましたけど、じゃあ彼は?冷静に考えれば理不尽ですよねー。 でも、その理不尽さってのは、映画の面白さには全く関係ないようです。この作品は面白いんです。鑑賞者が当事者意識を感じるようなリアルな雰囲気で、自分が経験したことのない人生をほんの少し疑似体験できるところが魅力的ですね。 今までに見た、群像劇のようなストーリーでは、この作品がそれぞれの終着点を描いていてすっきりしました。もちろん、その後もそれぞれの人生は続くという余韻を残しての終わり方も良かったと思います。[DVD(邦画)] 7点(2013-11-25 01:41:36)(良:1票) 《改行有》 1669. ブラック・サンデー 《ネタバレ》 不謹慎ではありますが、いつの間にかテロリスト側の作戦成功を心のどこかで願っている自分に驚きです。この映画の最大のポイントは、テロリスト側を完全な「悪」と断じていないことでしょう。テロリストの主犯の二人は、まるで被害者のような描かれかたなんです。戦争の被害者です。ダーリアが黒い9月に所属するまでの経緯や、マイケルが戦後味わった苦汁を考えれば、一心不乱にテロ計画を進める二人に同情の念と共感を覚えてしまうのです。 ただし、テロ行為そのものは、やはり「悪」なのでしょう。どんな境遇であっても、無差別殺人が許されるはずがありません。だからこその、あの結末なのだと思います。 また、あれだけ作戦決行までの準備に時間を費やす場面を映しながらも、映画が冗長になっていないところも素晴らしいです。電話爆弾。身代わりになって殺される友人。テロ計画の実験。街中の銃撃戦。いちいち目が離せません。そして各エピソードが挿入されることで、この計画自体がいかに困難なものであるかということをいちいち実感します。するとほーら、いつの間にかテロリストの二人を応援しちゃうんですよ~。反省。 [DVD(字幕)] 7点(2013-11-16 03:29:03)《改行有》 1670. 酔拳2 《ネタバレ》 ジャッキー映画ですから。アクションは当然良いに決まっています。そのうえで、酔えば酔うほど強くなるという設定が本当に良い。前半の工事現場で何のために映したのかわからない工事用アルコールを火に注ぐシーンが、後半まさかこの設定を活かすためだったとは・・・・!そんなことより、もっと丁寧に作ってほしい部分がいっぱいあるのに。 ジャッキー映画とセガール映画はストーリーを無視するように心がけているのに、今回はなんか気になってしょうがなかったんです。特に武術教官をしているとかいう爺ちゃんが殺されたってぇのに、モラルと倫理でできてるようなあの父親がそのことに全然ふれないんじゃ、ものすごくキャラがぶれません?と、なんか変なとこが気になっちゃって、後半イマイチ盛り上がり切れませんでした。そんなことを気にする僕がつまらない人間なのでしょうか・・・。 全然関係ないですけど、中盤までジャッキーは弟子かと思っていました。途中で息子だとわかって、「えええええええええ!?」なんかそこが一番驚きました。[DVD(吹替)] 6点(2013-11-13 04:17:21)(良:1票) 《改行有》 1671. 破線のマリス 《ネタバレ》 冒頭5分、黒木瞳演じる遠藤瑤子の仕事ぶりにまずひきこまれます。 その後、春名誠一(白井晃)と名乗る男から、郵政省の内部告発のビデオが持ち込まれ、序盤からかなりの緊迫感。しかも、実は春名なんて男は郵政省にはいないし、カフェのマスターまで仕込みだとわかっちゃって、「いったいあいつは誰なんだー。目的はなんだー。」と、知的好奇心をさんざん刺激されちゃいます。 で、結局真相は・・!教えてくれません。なんともひどいサスペンス&ミステリーです。問題出しっぱなしで、さんざん時間かけて解かせといて、答えは教えてくれないなんてそりゃあんまりです。 それでも最後まで見れたのは、もうひとつのミステリーと麻生(陣内)がいったいどうなってしまうのかがすごく気になったからです。そしてそっちの結末には、個人的にはまずまずの驚きがあり、満足です。子供にだけは合鍵渡しておく可能性もあるわけですしね。ただ、ビデオを撮るのはわかるんですけど、撮ったビデオを母親に送るのはどう考えても意味わかりません。 最後の「笑ってるよこいつ」ってのは完璧な決め台詞でしたね。ラストにふさわしい締めくくりだったと思います。[DVD(邦画)] 6点(2013-11-12 01:21:24)(良:1票) 《改行有》 1672. ブロンクス物語/愛につつまれた街 《ネタバレ》 一人の少年カロジェロ(通称C)と、彼を愛する父親ロレンツォ(デニーロ)、もう一人の父親的存在ソニー(パルミンテリ)の三角関係のような人間ドラマに心温められる映画でした。 カロジェロにとってソニーは憧れであり父親のような存在です。ただその一方で、カロジェロは実の父親であるロレンツォのことも信頼しています。 ソニーとロレンツォのカロジェロに対する教えってのは、真逆のようでいて、その根底にある「カロジェロにまっとうな人間になってほしい」という願いはまったく同じ。ただお互いの生きる世界も違えば、価値観も全く異なるため、ぶつかりあっちゃうのでしょう。 例えば、ロレンツォはカロジェロの友人関係に口出しはしません。一方ソニーはCと友人達を引き離しにかかります。結果、カロジェロは命を救われるわけです。かたぎであるロレンツォには気づくことができなかったカロジェロの友人達の危険性、若者特有の危うさってのをソニーは敏感に感じ取っていたのかもしれません。 ロレンツォとソニーはカロジェロをめぐってまるで恋敵のように反発しあう一方で、お互いのことを認め合っている風でもある。それはラストではっきりするわけですが、なんといってもそのときのロレンツォからソニーへの最後の一言が感動します。何気ない一言なのですが、まるでけんかばかりしていた親友に贈る手向けの言葉のようで、なんともあたたかい気持ちにさせられる一言でした。[DVD(字幕)] 7点(2013-11-10 14:32:36)《改行有》 1673. パーフェクト・ワールド 《ネタバレ》 完璧な悪人ではなく、完璧な善人でもなく、完璧な父親(がわり)でもなく、完璧な親子関係でもない、まさに中途半端なブッチと、そして父親のいないフィリップの擬似親子の関係に、ただもう素直に感動しました。 ブッチの善悪の価値基準というのはもう本当にあいまいで、だからクズのような殺人鬼と一緒に脱獄したことも、ブッチにとってはそんなに重要なことではなかったのでしょう。ブッチ本人のモラルというのも割りと適当で、犯罪を犯すことに対する罪悪感というのはあまり持ち合わせていないようです。 ただブッチにとっての『絶対悪』が、子供に危害を加える大人であり、そういった場面に出くわすと、画面全体からただならぬ緊張感が漂いはじめます。 最初のブッチの琴線に触れたのが相棒であり、彼は射殺されます。 そして次に琴線に触れそうになったのが道中親切に車に乗せてくれた家族です。車を汚した子供に母親が豹変したときのブッチから漂い始める緊張感。それを感じ取るフィリップ。ここは父親が肝要な対応を見せることで結局は何事も起こりません。 そしてブッチが撃たれる発端となった、黒人の子供が叩かれる一連のエピソード。 普段何事に対してもグレーな、どちらでも良いような対応を見せるブッチが、ただひとつだけ許せないものを感じさせてくれたとき、同調してはいけないのに、同調しブッチの幸せを願う自分がいました。 オープニングとラストシーンのつながりは最高です。 [DVD(字幕)] 9点(2013-10-31 14:45:20)(良:2票) 《改行有》 1674. 白銀に燃えて 《ネタバレ》 真っ白な雪景色に、機関車の煙が流れる様子が最高に美しい。ディズニーならではの映像の美しさと、わくわく感たっぷりの音楽が気分を最高に盛り上げてくれます。 犬ぞりレースに一人の若者が夢と希望をもって挑む、そしてディズニーとくれば、もちろんひねりもなんもない、どストレートな映画なわけですが、それが良くも悪くもディズニーなんですよね。だけど、そんな映画だからこその心地よさってのがあるものです。 ただこちらの作品は、明るいムードで始まった割には、いったんレースが始まると結構過酷なムードが漂い始めます。何度もピンチに陥ったり、妨害されたり、なんか見ていて痛々しい。その一方で、ピンチを乗り越えるたびに、名声が上がっちゃったりして、観ている側の満足感はちゃっかり満たしてくれる、まさに王道の感動スポーツアドベンチャー映画。 唯一難を言うならば、父の突然の死だったり、ライバルが突然自分の犬にかまれたり、ゴール目前で力尽きそうになったり、ピンチの演出がやや唐突すぎるのがどうしても不自然に見えてしまう。そんなシーンが続くと、やっぱなんか作り物っぽく、安っぽく見えてしまって、そこだけが少し残念でした・・・。 でも家族とかで見るのであれば、これくらいわかりやすいのもまた良いかもしれないですね。[DVD(字幕)] 7点(2013-10-19 06:57:48)《改行有》 1675. ペリカン文書 《ネタバレ》 ややこしいストーリーをわかりやすく面白く、万人にも愛されるように見せられることは映画の大きな魅力のひとつと思っている私には、この映画は正直そういった配慮が足りないところに不満を感じます。 人物相関がわかりにくい上に、グレイ(デンゼル・ワシントン)とダービー・ショウ(ジュリア)以外の登場人物の描写が一人ひとり薄いので、それぞれの思惑がかなり先まで進まないと全然見えてこない。いや、見えてこなくても良いのですが、せめてこちらが推理して楽しめるくらいのヒントやわかりやすさは欲しい。ミステリーという要素を含んだサスペンスを楽しむ醍醐味があんまり感じられないのです。なんか作っている側の自己満足感が漂う映画でした。 ただそれでも、要所要所で緊迫感のある演出は楽しむことができました。 見る前にかなり期待していたせいもありますが、残念ながら真相も含め、あまりぱっとしないまま映画が終わっちゃいました。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2013-10-17 14:28:48)(良:1票) 《改行有》 1676. 風の丘を越えて~西便制 《ネタバレ》 人生がそのままパンソリという芸道の追求にある父親ドンホと娘ソンファ、現実世界を見る息子ユボン。 ただ、ソンファにとってパンソリと同じくらい大切だったものが家族だったのかもしれません。ユボンを失ったときの娘の精神の崩壊というのは、目から光を失ったときのそれよりはるかに大きいものだと感じました。ソンファが唯一パンソリを歌えなくなったきっかけがユボンであるならば、ユボンは唯一ソンファと俗世間とをつなぐ存在だった気もするんです。もしそのことに気づいた父ドンホが、もうひとつの俗世間とのつながりであるソンファの目の光を奪ったとすれば、父ドンホはパンソリと同じくらいソンファを愛していたとも思えます。 だから結局、ユボンを失い、視力を失ったことで、恐らくはソンファのパンソリはその芸術性をより一層高めていったのでしょう。ところが、父ドンホが求め続ける「恨」の向こう側のような境地、ここには到達することができないわけです。父ドンホは、その境地を見ることなく他界してしまいます。 数年後、ユボンとソンファが再び再会を果たしたとき、皮肉にもパンソリはその境地に到達しちゃいます。パンソリと最も遠い位置にいたユボンという存在が、ソンファのパンソリを最後の境地に到達させるために必要だったとしたら、これはひとつの芸術が完成されるまでの物語。ただそこに、生身の人生を重ね合わせたことで、私たちのような俗人にも大きな感動と共感を感じさせてくれます。 最後、子供につられて歩く彼女を見たときに、もはや人間を超越した仙人や神を見る気持ちで、まるで悲劇のようなストーリーが全然悲劇にはなっていない不思議な感覚。娯楽映画とは言えませんが、何ともいえない余韻がしばらく心に残る映画ですね。[DVD(字幕)] 7点(2013-09-24 02:40:21)(良:1票) 《改行有》 1677. 父の祈りを 《ネタバレ》 当時のIRAやイギリスに関する知識が深ければ、また違った感想を抱くことができるのかもしれませんが、こればかりは仕方ありませんね。私は単純に冤罪、そして父子の絆の物語として観賞しました。 冤罪ものとして、本作ではまさに「生贄」ないしは「見せしめ」として文字通り血祭りにあげられてしまうコンロン親子とその家族に対し、同情の念を禁じえません。最後に無罪を勝ち取りますが、奪われた15年間という歳月はもう二度と戻ってはこないのです。父ジュゼッペの、妻や家族のいるところで最後を迎えたいという願いすらかないません。 主観的に見ても客観的に見ても、コンロン親子とその家族は暴走した国家権力の犠牲者です。しかも、コンロン親子でなくとも誰でも良かったというのがまた恐ろしく理不尽であり、不条理なわけです。その日、ジュゼッペがもしロンドンに行っていなければ、別の誰かがテロの被害者と国民の溜飲を下げるための生贄にされていたのでしょう。その日、ロンドンにいたアイルランド人であれば誰でも良かった、この事実が最も恐ろしい。 普段、情報操作されがちな私達大衆への警告のようなものすら感じます。 とてもわかりやすく、もしかすると映画用に多少脚色なりアレンジがされているのかもしれませんが、それをふまえても一度は見る価値のある映画だと感じました。[DVD(字幕)] 8点(2013-09-19 03:59:52)《改行有》 1678. トゥルー・ロマンス 《ネタバレ》 出所をごまかして、大量のヤクを売りつけようとするクラレンス(C・スレーター)。その現場を現行犯逮捕しようと罠をしかけて待ち構える警察。クラレンスとアラバマ(パトリシア・アークエット)の命とヤクを付け狙うマフィア。その包囲網が完璧なまでに狭まってきて、もうだめだ、これは完全なバッドエンディングだと思いきや、唐突に訪れるあのラスト。バカップル二人を完全に包囲していたしがらみや複雑な勢力図を、関係者全員を皆殺しにして白紙に戻すなんて、素敵すぎます。 バイオレンスに目がいきがちですが、この映画のメインはやはりラブストーリーなのでしょう。明らかに状況は悪くなる一方だし、この映画の場合むしろバッドエンディングが自然な流れだとも思うわけですが、あえて二人にハッピーエンドを用意したところに拍手を送りたいです。 こーゆーリセット系のストーリーって、予想もしないところで爽快感や解放感を感じることができちゃうので、えもいわれぬ余韻が残ってしまうのも魅力の一つかもです。 [DVD(字幕)] 8点(2013-09-19 01:33:52)《改行有》 1679. 桐島、部活やめるってよ 《ネタバレ》 原作未読です。予告も見ていません。予備知識ゼロで観賞しました。 だから、てっきり「桐島が部活をやめる理由」を推測して楽しむミステリーと勘違い。もうちょっとどんな映画か知ってから見るべきでした。 当然、見終わった後は???。そりゃそうです。ストーリーが始まらないうちに、映画が終わってしまうわけですから。いや、そうではなくて、桐島が部活をやめるという事実ひとつで波紋が広がりだす人間関係を楽しむものだとすれば、ストーリーはそこかしこに転がっていたわけですね。もう最初は何回も金曜日が来るからさっぱり意味がわからんかった。 ただ、そういう映画だと知ってから見ていれば、この映画はかなり興味深いかもです。 私が一つこの映画で深く感じたのは、ストーリーそのものとは関係ないのですが、日本の映画ってこれくらいのリアリティがあって良いのでは、ということです。 もちろん、すべての映画がそうあってほしいということでは全くないのですが、この映画のリアリズムって、日本人にしか感じることのできないリアリズムなんですよね。この映画から受けるノスタルジーやシンパシーやデジャヴ感ってのは、生粋の日本人だけが楽しめる特権だと思うのですよ。 自分ではない誰かの世界。誰かの人生。でも限りなく自分と近い世界で生きている人達の人生。そういった人達の人生を追体験できる、ある意味夢のような映画。 普通に考えれば、わざわざ映画にするような題材でもないものをあえて映画にしちゃったことで、逆にこの映画にしかない希少な価値が生まれているように感じるのです。 ぶっちゃけ、桐島君がなぜ部活やめちゃうのかわからなかったのが、心残りと言えば心残りです。それがこの映画のウリなんかもしれませんが、個人的にはそのせいで、見終わった後素直に面白いとは思えんかったです。 [DVD(字幕)] 5点(2013-09-11 03:58:27)《改行有》 1680. ブロンディー/女銀行強盗 《ネタバレ》 こういったサスペンスって、最初はどうしてもだらだらしちゃったり、受身ばっかりの展開にフラストレーションたまっちゃったりするんですよね。で、その分、中盤くらいから思いっきり巻き返せるかどうかが大事になると思うんですが・・・・おつりがくるくらい巻き返しましたね。本格的に銀行強盗の計画練り始めてから、俄然面白くなります。 キム・ベイシンガー演じるカレン・マッコイは、銀行強盗というよりプロの職人っていう感じ。まるで「ほこ×たて」みたい。「どんな警備システムでも侵入するプロのエンジニアVS絶対に破られない最新防衛システム」みたいな。 パソコンや図面とにらめっこしているときが最高にかっこいいわけですが、時折挿入される息子やJTとの触れ合いがまた最高に良い雰囲気なんです。そして、敵同士が手を組み、絶対不可能な防犯レベルトリプルAの大銀行に挑むのがまたアツい。 更にはそこから出し抜きまくりの反撃反撃でもう気分は爽快。そのまま飛びたっちゃっても良かったくらいなのに、最後にダメ押しとばかりにハラハラさせてくれちゃって、もうほんとにありがとうございました。とても面白かったです。 画像がちょっと良くない。特に暗いシーン。途中から慣れて気にならなくはなりましたけどね。[DVD(字幕)] 8点(2013-07-22 03:31:30)(良:1票) 《改行有》
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