みんなのシネマレビュー |
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1701. 2001年宇宙の旅 《ネタバレ》 ちゃんとした回答のない、観た人間それぞれの感性にそれは委ねられるという芸術性を得ることが出来た恐らく最初の映画ではないだろうか。ピカソの「ゲルニカ」がその難解さゆえに人々に記憶されるように、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」がその深淵さゆえに忘れられない印象を残すように、この映画もその多様な解釈のゆえに恐らくこれからも永遠に人々の記憶に残るだろう。映画を芸術にまで高めた天才・キューブリックのエポックメイキングな傑作。[DVD(字幕)] 9点(2013-04-10 12:45:37) 1702. 博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか 《ネタバレ》 東西冷戦が激化し、いつ核戦争が起こってもおかしくない社会情勢のなかで撮られたキューブリックの強烈なブラック・コメディ。政治がいかに無茶苦茶で愚かで馬鹿馬鹿しく決定されていくかということ、そしてそれに関与できない多くの人々のそんな漠然とした不安感を乾いた笑いにまで昇華させたキューブリックの初期の傑作。ラスト、幾つものきのこ雲の映像に流される「また会いましょう」は、当時の「もう笑うしかない」というような社会不安を見事に表している。そしてそれは形こそ違えど今現代もあまり変わっていない。[DVD(字幕)] 8点(2013-04-10 12:32:54) 1703. ロリータ(1962) 《ネタバレ》 テーマのわりには、キューブリック作品なのに凡庸な印象。当時の社会情勢がそれを許さなかったのか、あのナボコフの原作が放つ強烈な気持ちの悪い毒のような雰囲気が全然描かれておらず、肝心の少女ロリータにも中年男を惑わし虜にさせる妖美な魅力も感じられない。キューブリックにしては普通の作品でした。[DVD(字幕)] 5点(2013-04-10 12:19:08) 1704. マーガレット・サッチャー/鉄の女の涙 《ネタバレ》 いまだ賛否の分かれているイギリス初の女性首相の伝記映画。なのだけど彼女がまだご存命ということで制作陣が萎縮してしまったのか、テーマの搾りきれていないなんとも散漫な映画となってしまった。男性中心社会でのし上がっていくまさに〝鉄の女〟のパワフルな女性の姿を描きたかったのか、それとも年老いて認知症を患った孤独な女性の〝もののあはれ〟的哀愁を描きたかったのか、それともそんなパワフルな女性を影で支え続けた夫との〝ラブストーリー〟を描きたかったのか。どれもこれもが中途半端で残念な作品。それでもストレスなく観れたということと、やはりメリル・ストリープの演技が素晴らしかったので6点。[DVD(字幕)] 6点(2013-04-10 12:09:12) 1705. ドライヴ(2011) 《ネタバレ》 映画通のあいだで評価の高い新鋭監督の作品ということで、同監督の『ヴァルハラ・ライジング』に引き続き鑑賞したのだけど、残念ながらやはり僕には合わない監督だった。センス溢れる映像に乾いた暴力描写、そこに流されるカッコいい音楽と評価されるのは分かるのだけど、どうしても乗り切れない。ほとんど感情表現しない主人公に共感できるかどうかがこの作品(および監督)の評価の分かれ目だと思う。あと、主人公があんなにがんがん人を殺してるのに警察はなにしてるの?なにがあろうと五分で逃げると冒頭で述べていたのに、そこらへんはけっこう大胆。そこにも整合性が感じられなかった。[DVD(字幕)] 5点(2013-04-10 11:57:29) 1706. ロンドン・ブルバード -LAST BODYGUARD- 《ネタバレ》 しょーもな。コリン・ファレル主演ということで鑑賞してみたのだけど、はっきり言って最後まで観るのが苦痛でしかたなかった。画面のいちいちにキレがないし、因果律も全くと言っていいほど働いてないから何も伝わってこないし、登場人物の誰もが何がしたいのか意味不明だし。ようやく終わったと思ったら、どうだ!と言わんばかりのでかでかとした監督のクレジット……。苦笑いするしかなかったです。とほほ(笑)。[DVD(字幕)] 3点(2013-04-06 17:06:21) 1707. ダイ・ハード3 《ネタバレ》 大傑作である1の監督ジョン・マクティアナンが再びメガホンを取ったものの、先の作品はやっぱり映画の神様が舞い降りてきた奇跡の一本だったのだなぁと思わせる、それくらい凡庸なアクション映画。ダイハードって名前を冠せられてなければ、普通のブルース・ウィリス主演のアクション映画の一つとしてすぐに忘れられているであろうといくくらい尻すぼみの地味な作品でした。最後の敵がヘリから落ちて死ぬってどれだけ盛り上がらないラストなんだッッ。[DVD(字幕)] 5点(2013-04-04 12:41:33) 1708. ダイ・ハード 《ネタバレ》 アクション映画の古典的名作。初めて観たのは、恐らく小学校六年か中一のころ。この作品と『ターミネーター』によって僕は完全に映画中毒にさせられてしまいました。さらりと平凡に始まるオープニングから、徐々に混乱が大きくなってそれがどんどんとビル全体に広がっていく。炙りだされる人間関係、テロリストや警察や人質たちの交差する思惑、そして人間味溢れる主人公の活躍によって映画は中盤に最高の臨界点を迎えます。まるで徹底的に考え抜かれたビルの設計図を見せられているような完璧な脚本!アクション映画としては、僕のなかでは最高峰に位置する大好きな作品です。[DVD(字幕)] 9点(2013-04-04 12:31:57) 1709. アイアンマン2 《ネタバレ》 やっぱり前作が奇跡だったんだろうなーと再確認させられた作品。やっぱり2なんだから敵も二倍にしてヒーローにも新しい仲間をつけて……と安易に設定してしまったがために、なんともしまりのない作品に仕上がってしまいました。典型的凡庸なアメコミヒーローもの。ロバート・ダウニー・Jrが相変わらず魅力的なだけに残念![DVD(字幕)] 4点(2013-04-04 12:12:57) 1710. アイアンマン 《ネタバレ》 もうこういうCG満載のスーパーヒーローものは食傷気味だなぁとほとんど期待しないで観たんだけど、これがなかなか奇跡でも起きたのか意外にも面白く仕上がっててびっくり。まあ、確かにストーリーなんてあってなきが如しなんだけど、やっぱりなんといってもアイアンマン=ロバート・ダウニー・Jrのはまり役に尽きる。いままでになかったチョイ悪親父のヒーローって設定が斬新で、彼が思いっ切り人間味溢れているから思わず応援したくなってしまうんだよね。[DVD(字幕)] 6点(2013-04-04 12:06:31) 1711. リアル・スティール 《ネタバレ》 もう、ベッタベタ。冒頭10分で最後の映像まで予想できるような、そんな恥ずかしくなるような王道ストーリー。でも、そんなベタベタな映画って普通は古臭くって最後まで観ていられないんだけど、この作品はロボットボクシングという新しい題材を扱ったせいか最後まで飽きずに面白く観れた。それに、映像の隅々までこだわりを持って作られているところも、そんな古さを感じさせない一助になっているように思う。格闘ゲームで育った世代のお父さんが息子と一緒に観たら最高に盛り上がれるんじゃないかな。そんな王将のラーメンみたいな映画デス。ちゃんとお父さん向けに、出てくるお姉さんはみな巨乳でセクシーだよ(笑)。[DVD(字幕)] 7点(2013-04-04 11:54:02) 1712. ウォーリー 《ネタバレ》 こういう人類が滅びた世界でたった一人孤独に生きる主人公という設定は、個人的に手塚治虫の火の鳥を読んで以来大好き(どんな偏った趣味だ?!笑)だったので期待して観た。確かに、前半のウォーリーがゴキブリだけをたった一人の共に、独りぼっちでひたすらゴミを片付け続ける姿が切なくてキュンキュンしていたのだけど、宇宙船に乗り込んで人類が出てきた辺りから興醒め。自堕落ゆえに太ってしまった人間の描写がなんだかグロテスクだし、何よりウォーリーの孤独感が薄れてしまった。それでもイブとのラブストーリーは可愛かったので7点![DVD(字幕)] 7点(2013-04-03 13:06:35) 1713. カールじいさんの空飛ぶ家 《ネタバレ》 この映画、完全に出オチ。冒頭10分の平凡だけどささやかな幸せのなかに生きた、ある老夫婦の歴史と、その後、誰にも心を開けず偏屈になったじいさんが沢山の風船を家に付けてファンタジックに空に飛び上がるところで、もう全精力を使い果たしたといった感じ。さすがにその後はアイデアが続かなかったのか、以降はかなり退屈な作品になってしまった。冒頭10分が素晴らしい出来だけに、残念![DVD(字幕)] 6点(2013-04-03 12:52:36) 1714. 乱 《ネタバレ》 黒澤明監督が最後に撮った時代劇だけに、その終幕を飾るにふさわしい傑作。ある戦国武将一族の栄光と没落を重厚に描き出す。その丹念に描かれた絵画のように美しい映像(特に主人公が見る悪夢のシーンが素晴らしい)と、哲学的な深いストーリーはとても魅力的なパワーに溢れている。そして、最後に盲目の青年が崖の淵を頼りなげに歩く姿は日本的もののあはれを見事に表現している。何度も観るには体力がいるが、何年かに一度観返したい映画。[DVD(字幕)] 8点(2013-04-03 10:34:02) 1715. シティ・オブ・ゴッド 《ネタバレ》 映画が始まってから、ひたすら延々と繰り返される過激なバイオレンス描写と子供を含めた登場人物たちの盗みと殺し合いシーン、事実を基にしたとてつもなく重たいストーリーなんだけど、ブラジルという乾いた土地柄がなせる技か、最後まで一気に見せる。そして鑑賞後の気分は何故か爽快感さえあった。それは、冒頭の鶏を追いかけて走る男の姿に象徴されるように、人間の生きるエネルギーを良くも悪くも肯定的に描いているからだろう。ライオンが草食動物を噛み殺すのに理由など要らないように、ここの人間たちはただひたすら必死に生きている。まさに〝神の街〟としか言いようのない世界を濃密に描き出した俊英の手腕に拍手。[DVD(字幕)] 8点(2013-04-03 10:32:33) 1716. ホテル・ルワンダ 《ネタバレ》 実際にルワンダで起きた民族浄化を基に作られた社会派映画。だけど、その語り口は主人公にホテル・支配人という市井の人をおいたことでとても柔らかいものになっていて、スムーズに作品世界に入っていける。そして徐々に暴かれていく人間の本性、残酷な現実、そして世界の無関心……。引き上げていくジャーナリストが深い諦念とともに語る、「俺たちの撮った映像を見たって、世界の人間は「怖いね」ってディナーの手を少し止めるだけだ」との台詞は、とても考えさせられる深い言葉だ。それでも人間を信じようとするドン・チードルの抑えた演技が胸を打つ。[DVD(字幕)] 8点(2013-04-03 10:14:45) 1717. トロール・ハンター 《ネタバレ》 『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』以来、延々と作られてきたよくあるフェイク・ドキュメンタリーだとほとんど期待もせずに観たのだけど、これが意外に面白かった。その手の映画にありがちな過剰な悲愴感や見辛い画面のブレもなく、上質なユーモアさえ漂わせているところがいい。トロールが太陽の光を浴びると石になる理由を科学的に説明してみせたかと思うと、今度はキリスト教徒の血を嗅ぎ分ける理由はなにも説明なしとか、そんな設定の詰めの甘さがB級感溢れていて素敵。そして、何よりボヤキながらトロールの駆除をするベテラン・ハンターが、普通に親戚に居そうな何処にでもいるおっさんなのが笑っちゃう。[DVD(字幕)] 7点(2013-03-31 18:16:21) 1718. フェイス/オフ 《ネタバレ》 いかにもジョン・ウーらしい、どうしようもなく馬鹿馬鹿しい映画なんだけど、ちょっとこの作品だけは奇跡が起こったのか、むちゃくちゃ面白い。ニコラス・ケイジとジョン・トラボルタという2大癖のある顔を持つ濃ゆい俳優がぶつかり合って発する熱気のようなものに痺れてしまった。特に、冒頭のグラサン姿のニコラスがマント翻しながら空港に現れるところは、笑っちゃうくらいにカッコいい!!思えば、このころのニコラスが一番輝いていたかなー。[DVD(字幕)] 7点(2013-03-30 10:45:22) 1719. M:I-2 《ネタバレ》 もう前作の『ミッション・イン・ポッシブル』とか全く関係のなくなってしまった、ジョン・ウー印のお馬鹿アクション映画。そのわりには、いまいちカタルシスに欠けていたように思います。[DVD(字幕)] 4点(2013-03-30 10:36:32) 1720. ペイチェック 消された記憶 《ネタバレ》 フィリップ・k・ディックの近未来SFの、あの自分の記憶やアイデンティティーがストーリーが進むに連れてどんどんあやふやになっていくような不安感が大好きなので、けっこう好きです、この映画。もっと知性的でスタイリッシュな作品を撮る監督だったら傑作になっていたかもだけど、そこはやっぱりジョン・ウー、最後は「お金かけましたー!」な平凡なアクションになってしまったのがちょっと残念かな。それでも僕は充分に楽しめました。[DVD(字幕)] 6点(2013-03-30 10:31:11)
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