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プロフィール
コメント数 3870
性別 男性
年齢 53歳

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1721.  飢餓海峡 《ネタバレ》 この作品では、タイトルとは裏腹に、「飢餓」というものはあまり描かれていません。というのはつまり、三國連太郎演じる主人公・樽見の過去については必ずしも深く描かれてはいない、ということでして。もうひとりの主人公、左幸子演じる八重との出会いから、彼女を中心に描かれる戦後の描写は、貧しさはあるけれど、一種の自由さもあり(無論、犬飼から渡された大金のお陰ではあるものの)、その自由さは例えば東京の光景をどこまでもクレーン移動するカメラで拡がりをもって描く場面などからも感じられます。それに比べると、戦後10年以上たち、過去から決別し封印したはずの樽見が描かれる後半の、不自由さと圧迫感。貧しさイコール悪、とかいう単純な図式ではなく、暗い過去に閉じ込められた人間の姿そのものを、刑事との対決の中で描き(過去に閉じ込められた人間は樽見ばかりではない、伴淳三郎演じる弓坂刑事もその一人であり、その事実がまた樽見を過去に閉じ込める)、また北海道行きの船上という、開放感の光景の中で、「死」という最後の逃避を選ぶ姿を描く。もう、これ以上に追いつめられた三國連太郎を見ようと思ったら、『真剣勝負』の宍戸梅軒を見るしかないでしょうなあ。[CS・衛星(邦画)] 8点(2014-06-02 23:33:17)

1722.  ナイアガラ 《ネタバレ》 ジョゼフ・コットンがナイアガラの滝になぞらえて人生の教訓を語る。と来れば、追われる彼がボートを盗んだ時点で、おいおいおいおい、と思っちゃう。何がおいおいかというと、この後待ち受けている展開はもう明らかで。本当にそんなシーン、撮れるのだろうか、と。と思ったら、はいスミマセン、ネタバレですが、この後待ち受けていた滝からの転落シーン、ちょっとカワユイ合成映像でした。ここ、『ミッション』(86年英)の冒頭シーンでスタントマンを本当に滝から落としたように(と言っても安全のための仕掛けが施されていたそうですが)、豪快な転落シーンに仕上げてくれてたら、もう10点でも20点でも差し上げちゃうんですけれど(笑)。ダメ男が美人の奥さんをもうらうと苦労するよ、というサスペンス映画。マリリン・モンローがもうちょっとカリスマ性というか神秘性というか、とにかく絶対的な悪女ぶりをみせてくれると、映画にもっと凄みが出たかもしれないけれど、いかんせん、イモっぽく見えちゃうのです。しかし、迫力ある滝の光景と矮小な人間の愛憎劇との対比、はたまた、滝の迫力の醸し出す非日常感の中で展開される、「サスペンス映画の殺人シーンの撮影って、つい凝っちゃうよね」という凝った(笑)殺人シーン。見どころイロイロ、楽しめます。[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-06-02 22:11:18)

1723.  X-MEN:フューチャー&パスト さてワタクシ、X-MENの何たるかをまるでわかっていないのだけど(多少知っていても知らないフリをしちゃうのだけど)、今作、ミュータント退治ロボット・センチネル軍団の攻撃により、ミュータントたち大ピンチ!ってところからオハナシは始まったようです。このままでは全滅の危機。そうだ、過去にさかのぼってセンチネル計画を初期のうちに潰しちゃおう。これは名案。どこかで聞いたような作戦だけど。と言う訳で、ウルヴァリンが過去の世界へ向かうのだけど、タイムスリップする訳じゃなくって意識だけが過去の自分へと送り込まれる(ドラえもんの人生やりなおし機みたいなもんか)。だもんで、意識が送り込まれた過去の話と、体が残された危機の迫りくる未来の話が並行して描かれるのですが、ここで色々と問題が。(1)せっかく冒頭からバトル全開で、イイ感じにワケわからん開始だったのに、ここでくどくどと説明セリフを垂れてしまっていきなり失速。説明なんて後でいいんだ。最初は「謎」でいいんだ。(2)もっと問題なのは、過去の戦いが、未来をリセットするための戦いであること。クライマックスでは過去と未来の戦いが同時並行で描かれるけれど、「未来の方、いくら危機に見えても、どうせ(過去の戦い次第では)リセット可能なんだよね?」と思って観ると、これがもう、気分的には見事に盛り上がらない。あはは。差し迫ったもの、サスペンスの、欠落。(3)全編を通じ、ウルヴァリンが大して活躍しない、これは製作サイドの意識的なものでしょう。飛行機の後ろで居眠りするウルヴァリンを意地悪く映し込んだシーンが、それを象徴してます。しかし、あの肉体を見せておきながら、こうも活躍しないとは。(4)そもそも「意識だけが過去に行く」という設定が、単なる設定、オハナシの都合に過ぎず、意外性や驚きを伴った演出が何もないのは、チト寂しいのではないでしょうか。……と色々クサしつつも、ハチャメチャな部分も多くあって楽しめたりもしたのですが、このシリーズ、今後どう迷走するのか、ちょっと心配(エンドクレジット後に次回予告らしきシーンがあり、「あれ誰やねん」と周囲のザワつく声)。[映画館(字幕)] 6点(2014-06-02 21:25:43)

1724.  殺人拳・2 前作のラストでみんな死んじゃったから、第2作とは言ってもきっと関係ないオハナシだろう、と思ったら大間違い。死んでなかったんですね。前作の続きです。しかし、たかだか80分少々しかない作品なのに、前作の回想シーン(というか前作のアクションシーンの再利用)やら、格闘技のデモンストレーションやらが盛りだくさん。これでは中身が殆ど無くなってしまうではないですか。まあ、安っぽいアクション映画ではよく、ストーリーなんてあんまり無くって“アクションとアクションの繋ぎに申し訳程度のストーリーが挿入される程度”ってコトも珍しくないですからね。そういう意味では本作はさらに洗練されていて、そういう糊シロとしてのストーリーすらもなく、アクションシーンがただ羅列され、ひたすら散らかりまくってます。何故か唐突に雪山行ったかと思うと、刺客たちの襲撃を受け、サウナで山城新伍とじゃれあったかと思うとコワモテ連中の襲撃を受け、外人女性と知り合ったかと思うと即ベッドインし、そして即、襲撃される。ああ、慌ただしい。一応、最初はストーリー上の見せ場を作ろうとしたのか、主人公の好敵手のような位置づけで、武術に秀でた警察官・山上というキャラを登場させたのはよいけれど、まあ単なる思いつきだったんでしょう、主人公と大して絡むこともなく姿を消してしまいます(このヒトと、空手師範との、棒読み感あふれる会話シーン)。あと、主人公のマネージャーみたいな女性が出てきて、主人公との関係が気になるところですが、まあ、ほどほどに予想通りの展開ですね。あと、敵のボスの外国人、どうみてもヒッピー風情で、全く貫禄がないのですが、役立たずの部下をあっさり抹殺してしまう冷酷さ。その際の「オマエハ モウ イラナイ!」という、たどたどしい捨てゼリフとのミスマッチが、見所です。そう、見所は、多いんです。一応。[DVD(邦画)] 6点(2014-05-28 23:18:10)

1725.  大西部への道 西部へ向かう開拓民たちの旅路を、雄大な自然をバックに、さまざまなエピソードを織り交ぜて描いた壮大な映画。と言う場合は要注意、「物語が壮大過ぎて、映画にまとめ切れなかったね」と陰口を叩かれかねない。でまあ、本作にも、確かにそういう面がありますわなあ。さまざまな登場人物が現れ、さまざまなエピソードが積み重ねられて、それらが絡まり合うことで、ひとつの大きな物語を形成しているのですが、これがうまく噛み合うか、はたまたエピソードの羅列に終わるか。というのは、やはり、登場人物とエピソードをどれだけ印象的に描けるか、に懸かっているのでしょうが、本作、大味な感じは否めません。カーク・ダグラス、ロバート・ミッチャム、リチャード・ウィドマーク、という大物を並べて、とりあえずの貫禄は見せつけるものの、彼らの絡みが特定のエピソードに集中している感じなもんで、貫禄があるように見えた程には、人物像の幅が見えにくい。亡くした妻の話とか、あるいは息子の話とか、様々な膨らみがそこにはありえるハズなんだけど(中でも、カーク・ダグラスと息子との親子関係のエピソードなんて、こんな扱いでいいんだろうか?)。ま、しかし、時には容赦ない残酷な運命をも描きながら、特定の人物に入れ込むことなく、人々の苦難の行程をそのものを物語ること、それが本作の持ち味と言えるかも知れません。[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-05-24 14:14:26)

1726.  マン・オブ・スティール 動体視力検査みたいなアクションシーンが続きます。やってること自体は、大日本プロレスの蛍光灯デスマッチみたいなもんで、「突っ込んでナンボ、壊してナンボ」の格闘ですが、何しろスーパーマン映画、戦っているのが常人では無いので(デスマッチのプロレスラーもある意味、常人では無いと思うけれど)、スケールでっかく、市街地を舞台にドッタンバッタン。目に留まるやら留まらぬやらの超高速のバトルが展開されます。しかし、こういう作品を観ておりますと、かつてのクリストファー・リーヴのスーパーマン映画みたいなユーモラスな作品はもはや作れなくなってしまったんだな、と。あの手作り感プラスアルファ、といった感じの特殊効果、それはユーモラスでもあるし、大掛かりな撮影に驚きもあるし、何と言っても、「映像の中でいかに重力に逆らい重力から自由になるか」という楽しさがありました。一方、視覚効果技術が比較にならない位に進んだ本作では、「馬鹿力の連中が戦ったら当然こんな戦いになるよね」という映像を、極力違和感の無いように見せてくれる。それは確かに日常では絶対にお目にかかれない光景だし、よくできた映像でもあるけれど、どこか、“映画の設定への忠実さ”が先行してしまっている気もして。そう、映像技術が今ほど発達しておらず特殊効果に不自然さが目立った頃のスーパーマン映画の方が、むしろ、空を飛び超人的に戦う事の驚きが、映画の中で強調されていたように思えます。勿論、こういう、よくできたCGの映画だって嫌いじゃない、そういう映画だって観たい。でもかえってインパクトを出しづらくなってしまっているとしたら、皮肉なもんです。しかし本作の場合、主人公の少年時代のシーンにおける郷愁みたいなものもあまり描かれていないし、育ての父との別れの場面なんかも単なるスペクタクルにしてしまっていて感情に結びつかない。どうも、作り手の方も「特殊効果を駆使したハードな戦い」にのめり込み過ぎてしまっているのかな、と。[ブルーレイ(字幕)] 6点(2014-05-24 09:27:55)(良:3票)

1727.  激突!殺人拳 『トゥルー・ロマンス』における本作の登場、というのは、千葉チャンがプレスリー並みに神格化された瞬間であった訳ですが。それはともかく、千葉チャン主演のカラテ映画。なかなかエグい。眼つぶし攻撃は当たり前、キメ手は相手の肉体の一部をエグリ取る。なるほどこれは“殺人拳”。千葉チャン演じる剣琢磨、カネのためならどんな悪事も厭わないが、それ以上に、強いものにはガムシャラに向っていく、反骨の男。そんなワケで、物語はホンコンの五竜会とのまさに血で血を洗う抗争となっていくのですが、例によって例のごとく、敵役にはアヤシゲな怪人の数々が登場してバラエティに富んだ死闘が展開されます。しかしこの剣琢磨、日頃の不埒な行いが祟って何かと恨みも買っているもんで、演じられる死闘もだんだんワケがわからなくなってきて、最後はもう丸投げみたいに唐突に終わってしまう。このカタストロフ感が、最高です(笑)。しっかし、千葉チャンの披露する格闘アクション、さすがと言えばさすが、なのですが、本格感を出そうとするあまり、隙の無さを演出するあまり、脇を締めすぎた体勢でやや動きが小さくなっちゃってる感じもします。ここは今後の課題でしょう(今後って?)。でもその分、しっかりと「顔芸」でカバーしております。千葉チャンの気合いが溢れ過ぎるひたすらアヤシゲな表情に、ご注目。[DVD(邦画)] 7点(2014-05-19 21:35:11)

1728.  巴里の女性 コメディではないこと、自分は出演していないこと、というチャップリンの弁解めいた但し書きで始まる作品ですが、冒頭シーンでの、二階に幽閉された女と、通りに立つ男とのやりとり、まずここだけでもう、相当に気合いの入った演出に、引き込まれます。で、ここでは、貧しさと親の反対という障害を抱えた彼らは、強く惹かれあい、結ばれていたはずだったのに、ひょんなことから離れ離れになった彼らを、「ブルジョア社会」が切り裂いてしまう。富は、さまざまなチャンスをもたらすかも知れないけれど、ここでは、ひたすら辛口な視点でブルジョア社会が描かれ、二人のすれ違いは決定的なものとなっていきます。あの、投げ捨てた筈のネックレスを人に盗られまいと拾いに行く場面で付きまとう犬の皮肉な描写、マッドマックスのリンチシーンでも引用されていましたが(ホンマかいな)。実に見事な作品です。チャップリン作品を「どれだけ笑えたか」でしか語ってこなかったことへ、反省。[CS・衛星(字幕)] 9点(2014-05-11 16:29:36)

1729.  汚れなき悪戯 子供ってのは、天使の顔をした悪魔な訳で、マルセリーノ君も見事にロクなことしません。そのマルセリーノ君が、修道院の2階にひっそりと打ち捨てられているようなイエス像と、心を通わす。ここで、マルセリーノ君は、イエス様にパンや葡萄酒をせっせと持っていくのだけど、これらを盗んで持っていくのだから困ったもの、自分の食べる分を節約して持っていくのだったら美談なんだけど、とか思っちゃうのが日本人の正直な感想ではないですかね? しかし勿論、(特に最後まで)観ればわかるように、そんな単純なエエ話を描いた作品じゃないし、信心を通じて現世的ご利益を得る教訓噺でもない。ただ、どうしようもないくらいに無垢で美しくてはかないものを、そっと描いた作品ですね。こういう、小さな奇跡。まあ一人の子供が生まれてくること自体が、ひとつの奇跡なんですけれども。それがだんだん、天使の顔をした悪魔になり(笑)。[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-05-11 15:43:37)

1730.  プリンセスと魔法のキス ウチの子供が「どうしても気になるシーンがあるので見てくれ」というので何かと思ったら。“4つ折りの紙を開くシーンで、開いたら何故か折り目が6つ折りになってる”だってさ。おいおいそんな細かい事以外に感想はないのか、と思ったら、作品自体は結構面白かったとのこと。邦題はいかにもベタなプリンセスもの、といった感じですが、実際にはもっとイキのいい内容なんですね。かつ、ほとんど“プリンセス”ですら無い。最後のオチなんか、とんち映画と言ってもいいかも知れません。フルCGではないアニメ作品ならではの、紙芝居的にデフォルメされたミュージカルシーンも楽しいし。しかしアメリカのホタルってのは、あんなに不気味なんですかね??[地上波(字幕)] 7点(2014-05-11 10:14:39)(笑:1票)

1731.  午後の曳航 《ネタバレ》 「午後の曳航」といいますとあの、刑法41条にて処罰対象外とされる13歳の少年たちが、よってたかって大人を殺しちゃう、三島由紀夫の小説ですね。三島作品なので、ある程度、解析的な図式によって構成されてます。未亡人である母と船乗りの男との凡庸な恋愛ドラマを描く心理小説の面がある一方で、主人公の少年が属するグループの「首領」少年の存在は、極めてドライで観念的。前者の面は大人の側で閉ざされていて、主人公の少年はそれを外部から眺め、大人の世界に憧れなり畏怖なりを感じている。それは子供らしいと言えるとともに、やはり観念的なものであり、それが「日常」によって実は汚染されていたことを知った時の憎悪が、衝撃の結末に結びついて行く。この観念(論理)と憎悪(感情)の結びつきが、物語小説としての肉付けの上手さ、他の三島作品と比べた完成度の高い低いはともかく、例えば「金閣寺」で主人公が放火に踏み切る過程よりも、この作品の方が、何となく「腑に落ちる」感じがするのです。で、この映画。なかなかよく出来てます。原作が良いんでしょう(笑)、では身も蓋も無いですが。原題は「午後の曳航」の英訳版と同じですから、「小説を映画化しました」であることは間違いなく、実際、細かいところで意外に原作に忠実です。一方で、大人側のドラマの比率を原作よりも下げて、少年の視点を中心にしているのは、これは映画化にあたり妥当なアプローチでしょう(母と船乗りのラブシーンで流れるバッハの有名なへ短調協奏曲が、ベタなメロドラマを演出)。「首領」の美少年ぶり、彼のカリスマ性がよく出ていて、そこがコワさでもあります。あるいは情景の美しさ。心理や感情を書き込む小説に対し、「美」を描き込むことで、古典悲劇みたいな論理性を映画らしく演出しており、ラストシーンのロングショットなんか、いかにも「ばっちりキメてやったぜ」という感じです。ただし「美」でキメ過ぎれば、鼻についたりもする訳で、そこに限界もあるのかも知れませんが。[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-05-11 08:53:01)

1732.  11人のカウボーイ 《ネタバレ》 ジョン・ウェイン師匠が、11人の少年たちを引きつれて牛追いの旅に出る、という比較的明るいオハナシで、ジョン・ウィリアムズのテーマ曲も朗らかに鳴り響きますが、そうは言ってもこの旅、命がけ。牛の群れに巻き込まれれば死が待ち受けているし、はたまた道中には悪いオトナたちが彼らをつけ狙っている。音楽も複雑な色調に。そんな旅の中で、ジョン・ウェインは少年たちに対しては常に毅然とした態度を貫いているのですが、一行の中のもう一人の大人である頑固一徹のコックさんとの会話の中に、大人なりの心の揺らぎが表れたりも。少年たちの描写は、一部を除いてはっきりした性格付けはなされず、集団(Cowboys)として描かれる場面が多いですが、ジョン・ウェインとコックさん、この大人ふたりの描かれ方がなかなかに絶妙なのです。それにしても、少年たちが大人になること、というのは、西部劇の中ではやっぱり「悪人を殺すこと」でなければいけないんでしょうかね(悪人のリーダー、ブルース・ダーンへの仕打ちはさらにエゲツない)。ジョン・ウェインは、銃を持った悪人に背を向け、毅然と歩きながら射殺される。師匠の死を目の当たりにし、その毅然とした姿を心に刻んで、少年たちは大人の男へと成長する。かくして親父たるジョン・ウェインの魂は、少年たちへと受け注がれていくのですが、残念ながら、西部劇映画の魂は、もはや70年代に入って順調に引き継がれていくという訳にもいかず。結局のところ、「死んでみせることで復讐を喚起する」という素朴な図式に、良さもあれば限界もあるのかな、と。[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-05-06 16:23:12)

1733.  ブラッディ・ガン オーストラリアが舞台の西部劇、という点が異色と言えば異色ですが、内容的にはわりと正統派。トム・セレック演じる主人公のガンマンが、オーストラリアの雇い主(アラン・リックマン)の元にやってくるが、雇い主とひと悶着あり、砂漠に追放されちゃう。そこをアボリジニたちに救われて。と、ちょっとサンダードームみたいなオハナシでもあるのですが、いやなに、マッドマックスだって広い広い意味では西部劇の一種。本作はもっと明るくおおらかな作品ではあるのですが、アボリジニたちに対する迫害が描かれ、主人公がアラン・リックマンへ立ち向かっていくことに。主人公の持つ銃が、やみくもに長いライフル銃で、どんな遠くの敵でも倒しちゃう。それを飄々としたトム・セレックが何食わぬ表情でやってのけるのが、痛快なところ。射撃だけ超人的で、あとはとっても人間的なんですね。で、冒頭で知り合ったこれまた風変わりな女性との珍道中も見所なのですが、ここも、衝突と和解を繰り返すような単純な人間関係じゃなくって、突拍子もない女性の言動に手を焼きつつも飄々と受け流していくうちに、徐々に二人の関係が深まっていく様子がうまく描かれていて、そこから繋がるラストのオチも気が利いてます。途中の火災の場面で、一部、まだ火災発生前のシーンなのに部屋が燃えちゃってたりするのは、御愛嬌。[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-05-05 22:44:24)

1734.  吼えろ鉄拳 真田サンがここでも体張ってます、命賭けてます。ビル登ったり、爆薬の中を走り回ったり、二階建てバスの上でアクションしたり。中でも圧巻は、あ、何と東尋坊に頭から飛び込んじゃってます。良い子も悪い子もマネしないように。レイダースよろしく、おサルさんを連れてるな、と思ってたら、やっぱりレイダースのように馬から車に飛び乗ってみせる、ココも勿論、真田サン自らスタントをこなす(ン?レイダースって同じ81年の作品、当時まだ日本では公開されてませんね? レイダースのパクリではなくって、偶然にも似てしまっただけなのか?)。さて、真田サンの熱演に応えるように、キャストも豪華(と言ってよいのか?)。冒頭のクレジットで、アブドーラ・ザ・ブッチャーと成田三樹夫の名前が並んでるの見るだけで、壮観ですな。悪役の道を極めた二人がここに集結。いや、ブッチャーはここでは悪役ではなく、真田サンとじゃれあっているだけですが。オネーチャンたちに“スパルタカス~”なんぞと呼ばれて(←役名のようです)大張り切り、たどたどし過ぎる日本語で見得を切り(多分、「結構毛だらけ猫灰だらけ」と言ったんだと思うのですが)、巨体でプールに飛び込んで上がる水しぶきは、もうそれだけでスペクタクルシーン。さてそれでは悪役側の布陣はと言いますと、安岡力也が睨みをきかせたかと思えば、サイレントサムライ福本清三氏も謎の刺客として殺陣を披露。さらにはグレート小鹿会長も登場、あ、小鹿さん先日ベルトを獲ったそうで、おめでとうございます(すみません、何のベルトか知りませんけども、えへへ。しかし未だ現役。さすがです)。まあそれなりにキワモノ系の映画なもんで、明け方に一人でこっそり観てたら、こういう時に限ってウチの子供は早起きしてくる(笑)。しかし、激しいアクションとコミカルなシーンの連続、早朝から親子で大いに楽しみました(自転車のくだりがもう可笑しくって……)。こういう映画こそ、愛情を持って「バカ映画」と呼べる作品ですね。[DVD(邦画)] 7点(2014-05-03 21:09:23)

1735.  クロニクル ふだん我々が映画を観ている時、このシーン本当にカッコいいよな、などと感じることが時々あって、例えばそういうのが、ショットの意義であったりするんでしょうけれども、残念ながら、登場人物たちのカメラが捉えた映像という体裁をとったこの本作では、そういう「ショットの意義」ってのが欠落していて、ここにあるのはひたすら「このショットはこうやって撮られました」という理由説明ばかり。超能力があるから主人公がカメラを持たないシーンも使ってよし、とか、主人公以外のカメラで撮ったシーンもOK、とか、全編にわたり「言い訳」が述べられ続けるこんな作品も、珍しい。カッコいいシーンを撮るためにこの手法を選んだんなら歓迎だけど、選んだ手法のせいでカッコいいシーンが撮れない上に、こうやって言い訳ばかりを連ねるんでは、一体何やってるんだか。といささかウンザリしていると、クライマックスでは意外にも、主人公たちのバトルをバラバラなカメラがバラバラに断片化してみせるのが、妙にオモシロかったりするもんだから、何が幸いするかわかりません。[ブルーレイ(字幕)] 5点(2014-05-01 12:57:48)

1736.  ウルヴァリン:SAMURAI 確かにこりゃ「間違ったニッポン」ですな、何しろ新幹線にパンタグラフが無いもん。そんなの本作では間違いのうちに入らんだろうって? そうなんだけど、ここでは「高速鉄道の上で格闘を繰り広げる」という力学がすべてに優先し、そのためには物理法則にも新幹線の構造にもとことん近似がかけられちゃう。でその結果、素晴らしくワクワクするシーンに仕上がってます。リアリティを持ち込んだかと思えばぶち壊し、あえて期待を裏切りつつ、でも面白けりゃOKやんか、と。中でも入浴シーンは大いに受けました、これぞ間違った「間違ったニッポン」像、とでもいいますか。ウルヴァリン氏が海辺の村にやってくりゃ、こりゃ何だか「007は二度死ぬ」みたいだと思っていると、“窓の下にたまたまプール”って、これは確か「ダイヤモンドは永遠に」じゃなかったけか。何か期待を裏切ったかと思えば、こういうあたりは、誰もしてない期待に妙に忠実、と言ってよいのやら悪いのやら。友情物語のような発端なのに、妙なところオハナシが向っていくところも、期待をはぐらかしていて。全体的にはいささか話が暗い感じがして、いっそもう少し明るくハジケけちゃってもいいんじゃないの、と思わないでもないけれど、その辺りも、一連の「期待への裏切り」、なのかどうなのか。ところで、いくつかのシーンで「どこかで見たような。まさか鞆の浦?」と思って後で調べてみたら、ホントに鞆の浦でロケしてたんですね。福山駅でもロケしてたのこと、それは気付きませんでした。いっそ駅前の福山城も登場させれば、というところだけど、そういう安直な期待には応えませんよ、というのが、この映画。 それにしても日本人は、パチンコに夢中になったら最後、何があっても動じない。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2014-04-27 17:57:13)

1737.  明りを灯す人 舞台は中央アジア・キルギス共和国の、とある村。主人公は、その村で電気工事をやってる、いかにも朴訥としたオジサンですが、このヒトがこの映画の監督さんなんだそうで。こういう見事な作品を作るヒトが、こういう顔をしてるってのが、意表を突きますね。電気を引き明りを灯す、といのはいわば文明の第一歩。村の“はいてく”担当であるところのこのオジサン、電気の扱いにこそ慣れていても、別にインテリでも何でもない。自分に息子ができないことを悩んで、友人にトンデモない依頼をしたり、妙な事を信じて感電死しかけたり。その一方でオジサンは、風力発電なんぞにも取り組んで、彼なりの夢や希望を持っていたりもする。で、そんなオジサンの日常がそのまま続けばよいのだけど、村の外にはオジサンの知らない世界が広がっていて、その世界は、オジサンが村に文明をもたらすのよりもずっとずっと速いスピードで動いている。そしてその世知辛い外部の世界と接したら最後、元には戻れない……まるであの「遠くを見たかった」という子供が、木から降りられなくなったように。そして待ち受ける暗い運命、それは中盤のヤギを奪い合う競技で予告されていたり、冒頭シーンが思わぬ形で後のシーンに繋がったり、「風車」が象徴的に取り入れられていたりと、作品が巧みな構成を持ちながらも、一方ではノンビリした美しい光景が広がっていて、技巧に走った印象を与えることなく自然な映画の流れを感じさせる。見事な作品だと思います。[CS・衛星(字幕)] 9点(2014-04-27 13:43:07)

1738.  蒲田行進曲 ウチの子供たち(小学生と幼稚園児)が、この作品、やたら好きなんですけどね。一体、何考えてんですかね。本作、いかにも“舞台”なんです、と言わんばかりに、オーバーな演技が目立ってしまうのですが、これはきっと、舞台ならではの役者の熱っぽさを、映画にそのまま、取り入れようとしたものでしょう。“役者バカ”を描いた作品なのだから。これに呼応して、映画の描写もまた負けじとコミカルでオーバーな演出となっていて、滑稽でどこか哀しいバカ騒ぎ。何よりも魅力なのはやはり、登場人物たちの愚かしいまでの一途さ、ひたむきさ、ですね。物語の中心にいる3人もさることながら、蟹江敬三監督や清川虹子ママの存在も、負けず劣らず忘れ難い。みな一途、素敵なまでにバカ。それにしても、蒲田行進曲、なのに東映京都。なのにやっぱり松竹。[CS・衛星(邦画)] 8点(2014-04-23 23:05:32)

1739.  英国王のスピーチ 吃音症の王様がスピーチの練習をする、というだけのオハナシで、これといった大きな事件もないのに、親しみやすい娯楽作品に仕上げている点はまず、さすがだとは思います。背景の美術にもこだわりを見せながら、会話のシーンではあえて表情のアップを多用し、最後に画面を引いて背景を見せつけるあたりも、自信の表れなんでしょうかね。そしてもうひとつ、表情のアップを映画の主軸に置く理由としては、観る者を登場人物へ感情移入させようという計算も働いていそうです。だもんで、観終わって、ああよかったね、ってことにはなるのだけれど、しかし何か物足りない。ここには、「表情」や「人のよさ」はあるけれど、肝心の「行為」「行動」ってのがあまり描かれてなくって。役者の表情ってのは、一見、説得力があるように見えるけれど、映画に本当に説得力を持たせ、印象深いものとするのは、そこに盛り込まれるエピソードの方にこそあるんだと思うのです。本作はその点、少々弱い作品、という気がいたします。だいたい、最後のスピーチの場面で感動するとしたら、スピーチする姿に感動しているのやら、ベートーヴェンに感動しているのやら、知れたもんじゃないですし。あと、そうそう、どうしてこうも、ウィーン拠点の作曲家の曲ばかり挿入するんですかね、何とかイギリス音楽から見つくろえないもんですかね。こういうところがイギリス人の度量の広さと言えなくもないですけれども。[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-04-21 23:41:32)

1740.  ダイ・ハード 高校生だった当時、公開の数カ月前から、某雑誌で紹介されていたのを読んで、こりゃスゴい映画が来たぞ、と一人で盛り上がってたっけ。前売り券買ったらオマケにくれたマグネット、その後何年も大事に使ってたよ。満を持して、試験休みの平日に映画館に一番乗りしたのも、懐かしいような、大して懐かしくもないような。80年代、スタやらシュワやらのアクション映画に世間がやや辟易してた頃でもあり、必ずしも注目度は高かったとは言えず(クリスマスが舞台なのに正月映画じゃなくって2月公開だったし)、日本で本格的に人気に火がつくのはビデオリリースを待たねばならなかった(この人気を受け、続編の方が遥かにヒットした)。私が何ゆえあんなに事前に盛り上がっていたかというと、雑誌の紹介記事にビルが爆発してる写真が載ってたから。その一点だけで、こりゃ傑作なんじゃないかと期待しまくってしまった。ま、さすがに過剰かつ短絡的な期待だった訳ですが。でもそれ以来、ずっと愛着のある作品です。伏線が張り巡らされているのが面白い? いや、映画における「上手い伏線」ってのはもっとイメージに直結するものでしょう。本作のは伏線なんてのは、およそ機械的な「答え合わせ」に近いもの。2回目の観賞くらいまでは発見もあるけれど、すぐに底が割れてしまう。やっぱり本作の魅力、愛着を感じる点って、ズバリ、作品の素朴なカッコ良さにあると思います。屋上で追うテロリストたち、応戦するマクレーン、カメラが上がるとそこに、銃を構え静かに闊歩するAゴドノフのカッコ良さ。装甲車はカッコ良いし、そこにミサイルが打ちこまれりゃもっとカッコ良い。その瞬間、街中が戦場と化し、気分は大いに盛り上がります。何を考え何を狙っているのか掴めないAリックマンもカッコ良い。Bウィリスは真剣な表情や焦った表情は正直似合わないけれど、飄々としたり弱音吐いたりするとやたら好感度が上がる。FBIのヘリが現れたらさらに気分はヒートアップ。そしてあの屋上大爆破。この爆破シーン、ビルの遠景近景、飛び降りるマクレーンを上から撮ったり下から撮ったり、地上から見上げる人々の姿を交えたり、これでもかと様々なショットで描写し、時間も自由に引き延ばされていて、やっぱりこんなカッコ良いシーン、そうそう無いと思うのです。で結局、何度見ても、カッコ良いなあ、魅力的な作品だなあ、とそう思う次第です。[映画館(字幕)] 10点(2014-04-21 21:49:31)(良:1票)

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