みんなのシネマレビュー |
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1941. BROTHER 「その男凶暴につき」「ソナチネ」とバイオレンスの秀作を生み出してきた北野武であるが、今作は北野ワールドにおけるバイオレンス性という点でのひとつの頂点となる作品だと思う。世の中にバイオレンス映画と呼ばれるものは数多いが、この映画ほど狂気的な凶暴性と同時に鮮烈な叙情感を描き出している映画は他にないだろう。その「動」と「静」の絶妙な共存こそ北野武の世界観であり秀逸さに他ならない。展開されるすべてのシーンが衝撃的であり、感慨深い。[映画館(邦画)] 8点(2003-12-16 01:14:45) 1942. 風花(2000) いまひとつ起伏のないストーリー展開に一見退屈さを感じるが、人間の心の傷の回復を描くという点で今作は非常に秀でていることに気付く。人間の心なんてものは憎憎しいほどに、愛しいほどに複雑で、一度ついた傷は簡単に修復されるものではない。この映画の主人公の男女が辿ったように、ゆっくりと、大きく回り道しながら回復するかどうかという微妙なところをさまよい続けるものだと思った。その人間の心らしい、まどろっこしさがこの映画の最大の要点だ。7点(2003-12-16 01:04:17)(良:1票) 1943. バグダッド・カフェ 非常に「淡々とした」ストーリーなのだけれど、ふとした出会いによる人々の心の交流が非常に濃厚に描かれる。一歩間違えると退屈と感じるところだが、絶妙な演出のユニークさが引きつける。さりげなくはあるが映像も音楽もとても印象深い秀逸さに溢れている。何ともいえない解放感に溢れたラストシーンがとても感慨深い。[ビデオ(字幕)] 7点(2003-12-16 00:56:49) 1944. マン・オン・ザ・ムーン 実在のコメディアンを演じたジム・キャリーはまさにハマリ役で言い演技を見せていたと思うが、ストーリー展開が散漫で盛り上がりとテンポの良さに欠ける部分があった。主人公のキャラクターには非常に絶妙な可笑しさと悲しさが相対しあっており感慨深さがあっただけに、それを生かせない映画に終始してしまったことは残念だ。[ビデオ(字幕)] 4点(2003-12-16 00:50:51) 1945. ラスト サムライ この映画のもつ価値は、あらゆる意味において計り知れない。クライマックスの合戦シーン、おもわず身震いと同時に「見事…」とつぶやいてしまった。勝元の眼差し、氏尾の剣技、たかの静粛さ、SILENT SAMURAIの寡黙、そして日本の情景の美、この映画で燦然と描かれたすべては、現代の日本人が「忘れている」ではなく、もはや「知らない」と言わざるを得ない日本という国の美学、サムライという生き様の崇高さに他ならない。ひとつひとつのシーン、何気ない言動までもにこれほど感動と興奮を覚えた映画は本当に久しぶりだ。紛れもない傑作である。渡辺謙、真田広之ら日本人俳優たちは本当に素晴らしかったが、私はあえて、この映画をハリウッド大作として、尊敬すべき侍魂をもって体現してみせたトム・クルーズに深い賞賛を送りたい。 10点(2003-12-14 03:53:04)(良:1票) 1946. プリンス・オブ・エジプト ディズニー映画ではないからなのかあまりに低い完成度には拍子抜けした。モロにアメリカ風のエジプト人の描写にも違和感があった。尺も短く史劇的な深みもまるでない。2点(2003-12-13 21:19:31) 1947. クリムゾン・リバー ジャン・レノ&ヴァンサン・カッセルのフランス二大俳優に新進気鋭のマチュー・カソビッツの組み合わせによるサスペンスということで大いに期待したが、結果は散々だった。冒頭から中盤にかけてのサスペンスフルは雰囲気よく緊迫感も絶大だったが、サスペンス映画においてもっとも重要なラストの顛末があまりにお粗末であった。問題はやはり盛り上がりに欠けた脚本の完成度の低さだと思う。3点(2003-12-13 21:13:58)(良:1票) 1948. セント・オブ・ウーマン/夢の香り 何を置いても曲のある退役軍人を濃厚に演じるアル・パチーノの存在感とそのパフォーマンスが素晴らしい。渋くカッコ良さを存分に魅せながら同時に人間の哀愁をまざまざと感じさせることにおいて彼ほど秀でた俳優は他にいないのではないか。アル・パチーノというと若い頃のギラギラとした雰囲気が印象深い人も多いと思うが、昨今ますますその磨きのかかった老獪さに尊敬の畏怖さえ感じる。クライマックスでは感動的というよりも、人間として身震いを感じた。[ビデオ(字幕)] 8点(2003-12-13 20:59:43) 1949. はつ恋(2000) ストーリー的にはシンプルで映画にできる規模の物語ではないかもしれないが、映画女優田中麗奈の存在感がこの作品を印象深いものに仕上げている。特にラスト、夜桜の下で輝く彼女の笑顔には、彼女の女優としてのとてつもない魅力を感じずにはいられない。7点(2003-12-13 20:52:31) 1950. グリーンマイル 触れ込み通りの感動的というよりも、ラストに集約される哲学的なストーリーが感慨深い。だから感動して泣く映画ではなく、ファンタジックなストーリーに裏づけされた人間の業を描いた映画と言える。[映画館(字幕)] 8点(2003-12-13 20:41:26) 1951. MONDAY 泥酔した男の暴走を軸に展開する破錠感たっぷりのストーリーは、まさにSABUワールドでありエネルギッシュでユニークだが、やはり傑作「ポストマンブルース」などと比べると完成度の低さは否めない。細かい演出、映像や音づくりにはまったく問題ないだけに、やはり問題は脚本のまとまり不足か。4点(2003-12-13 20:23:18) 1952. ひまわり(2000) 今や売れっ子正統派監督となった行定勲のデビュー作である。ところどころ彼らしい秀逸な映画世界は垣間見えるが、大筋のストーリーに対して展開のテンションがチグハグでまとまりに欠ける感じがする。もっとローテンションな雰囲気で押し通してよかったと思う。[ビデオ(邦画)] 4点(2003-12-13 19:57:57) 1953. ブリキの太鼓 あの主人公を演じた役者は子供?それとも小さな大人?そのあまりに違和感が残るような深い表情に自分の中で説明がつかなかった。破天荒なストーリーをまかりとおす絶妙にチグハグな人物描写に何ともいえない気持ち悪さが残る。映画の出来の是非を聞かれれば、明らかに非とは答えられない完成度だけれども、今作の不気味さを前に私はどうしても他人に勧めることは出来ない。5点(2003-12-13 19:54:13) 1954. 恋におちたシェイクスピア 観る前のイメージに反して非常にテンポの良いストーリー展開と小気味いいキャラクター陣が大いに楽しめた。主演のグウィネス・パルトロウとジョセフ・ファインズの雰囲気がとても文芸的で映画世界にマッチしていたと思う。演出、映像世界など映画自体の完成度も極めて高く、存分に満足できる娯楽文芸映画だった。[ビデオ(字幕)] 8点(2003-12-13 19:46:08) 1955. バッファロー'66 ただ見た目のセンスの良さだけを追い求めて面白くない映画は多々あるが、ここまで雰囲気的なセンスの良さを追求して尚面白い映画も珍しい。はっきり言って内容がどうこうと言える映画ではなく、ただただその世界観に引き込まれる。「オシャレな映画」などと言うと軽薄に聞こえるが、今作ほどその名にふさわしい秀作はない。7点(2003-12-12 01:41:44) 1956. ダンサー・イン・ザ・ダーク あくまでも徹底的な悲劇に私の心は揺らぎっぱなしだった。基本的に悲劇は苦手だし好きではないのだけれど、この映画が描くものはもはや好きとか嫌いとかそういうレベルではない。辛い現実を覆い隠そうとするかのような濃厚な幻想でのダンスシーン。哀しいまでに躍動的に歌い踊るその姿は、誰が何と言おうとも私は「幸福」そのものだと言いたい。幻想であろうと何であろうと、彼女が生きぬいたその様は、「悲劇」さえも越えた深い深い「幸福」だったに違いない。[映画館(字幕)] 10点(2003-12-12 01:34:50)(良:1票) 1957. エニイ・ギブン・サンデー 圧倒的な映画としての迫力で見応えは確かにあるのだけれど、終わってみると結局、何を主題にした映画だったのかということが非常に曖昧だったように思う。説得力のある映像とストーリー展開で明らかに完成度は高いと言えるのだけれど、伝わってくるテーマの曖昧さが作品の印象度を下げている感がある。[ビデオ(字幕)] 5点(2003-12-12 01:23:36) 1958. ミッション・トゥ・マーズ 宇宙への無限性という、宇宙哲学を語る上では王道的な主題をクオリティの高い映像と共に見せつけてくる秀作であった。宇宙空間の虚無とか未知を精神世界のそれとリンクさせる展開は非常に興味深く、一生命体としての感慨深さを感じた。ティム・ロビンスが早々に消えてしまうのには残念だったが、極めて完成度の高い映画だったと思う。[DVD(字幕)] 8点(2003-12-12 01:19:22)(良:1票) 1959. PARTY7 「鮫肌男と桃尻女」の影響で相当に期待したんだけど、豪華でユニークなキャスト陣と特異な環境設定を生かし切れずに終始してしまっている。あの奇妙な空間とキャラクターをもっと生かした絶妙な脚本を用意してほしかったと思う。4点(2003-12-10 17:51:05) 1960. バトル・ロワイアル 公開前に話題になったほどの問題性は感じなかったが、バイオレンス映画とすれば斬新な緊迫感と暴力性に溢れていたと思う。安藤政信、ビートたけしをはじめとする脇役たちの演技はそれぞれインパクトがあり良かったが、主役を張った藤原竜也の不出来な演技がひとり浮いていたように思う。中盤の展開的には非常に良かったのだけれど、主演の二人が街中に消えていく安易なラストシーンで一気に白けてしまった。ラストさえあれでなければ、結構好きな映画になっていたかも知れないが…。4点(2003-12-10 17:45:46)
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