みんなのシネマレビュー
鱗歌さんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 3876
性別 男性
年齢 53歳

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

【製作年 : 1970年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順1234567891011121314151617181920
21222324252627282930
投稿日付順1234567891011121314151617181920
21222324252627282930
変更日付順1234567891011121314151617181920
21222324252627282930

1.  燃えよデブゴン この邦題を考えた人はマジで偉いと思います。後から考えれば「これしかない」という邦題なのですが、これを自分で思いつけと言われても、なかなか、できることではありません。言い得て妙、語感も良く、聞いてしっくり、見て納得。サモハンと言えばデブゴン、どころか、デブゴンってホントはサモハンって言うらしいぜ、ぐらいの定着度合い。この邦題が、日本におけるカンフー映画受容史に一定の影響を与えたことは、間違いない!と思うんですが、どうでしょうか。 とか何とか、力説するほど、内容は大して面白くはないんですけどね。チンピラとのゴタゴタやらしょうもない誘拐事件やら、とりとめのないオハナシに、演出の方もあまりこなれていない印象。ちなみに監督・武術指導もサモハンがやっており、武術指導の方はすでにかなりこなしてますが、映画監督としてはキャリア初期ですね。 せっかくの笑わせどころ(と思われる部分)も、あまり見せ方がうまくないもんで、もう一つピンと来ないんですよね。バナナのくだりもよくわからんし、サングラス買う際のポスターのネタも、もうちょっとうまい見せ方がありそうなもの。 しかし、終盤のタクシーに乗りそびれるあたりからは、絶好調。ようやく映画が活き活きとしてくる。でもって、待ち受ける3人の敵との対決の場所は、倉庫。殺風景ゆえに、かえって盛り上がるところです。 デブゴンと言うからには(本人が自ら名乗った訳ではありませんが・・・)役作りでもう少し体重を増やして欲しかった気もしますが、体形や顔立ちのコミカルさと、キレのあるスピーディな格闘の動きとのギャップ、まあ、充分ではないでしょうか。 チョイ役で、ユン・ピョウの姿も。[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-02-04 16:49:18)《改行有》

2.  西部無法伝 《ネタバレ》 これは意外な拾い物、実に楽しい映画。 「奴隷制」、というか、さらにひろげれば「人種差別」というものを、気持ちよく笑い飛ばしてて、イヤミを感じさせません。もちろん今の目で見れば、踏み込みが足りないとかいう批判もありうるかも知れないけれど、後からだったら何でも言える訳で。白人・黒人のコンビによるバディ・ムービーとして、しっかり楽しめる娯楽作品になっています。 80年代になってエディ・マーフィーが登場し、白人と対等、あるいはさらに主導権を握るくらいになってくるけれど、エディ・マーフィーはあくまでエディ・マーフィー本人でしかなく、一種の特殊解でしかなかったような印象も。一方、この『西部無法伝』のコンビの片割れを演じる黒人俳優も、黒人を代表する存在とまでは言えないけれど、軽口を叩きつついわば白人と黒人との間のつなぎ役となり、しかもやっぱり両者の間には埋めきれない溝があることもラストで示して見せる。いや、埋められない溝を埋めるためには、まず溝の存在を認識しなきゃいけない、ということか。この役をサラリとイヤミなく演じたこの俳優、誰なんだろう、冒頭のクレジットには「Lou Gossett」と出ていたけど、ルイス・ゴセット・ジュニアと関係があるのかないのか・・・『愛と青春の旅だち』の時のイメージが強く、とても本人とは思えないけれど、と思いながら見てたんですが、どうも本人らしい。ちょっとビックリ。 で、主人公2人組にさらに絡んでくる女性(スーザン・クラーク)。これがまた、見るからにズルそうな顔をしていて、ホラやっぱり、という展開。人種差別反対だけでなくウーマンリブ的な要素も入れてやろう、と欲張った訳ではないのでしょうが(でもその影響は多少はあるのかもしれない)、作品にさらにコミカルな要素が加わります。 物語はスピーディに展開し、あくまで軽いノリですが、見せ方が上手いこともあって語り口が一本調子にならず、楽しい作品に仕上がっています。[CS・衛星(字幕)] 8点(2024-01-02 07:46:04)《改行有》

3.  マーベリックの黄金 ユル・ブリンナー、50歳過ぎてこの爽やかな、少年のような笑顔。真似したいのは山々だが、できん。 この笑顔があればこそ、たまに彼がまじめな表情見せると、映画の空気もちょっぴり引き締まります。あくまでちょっぴり、基本は軽いノリ。 彼の役名「Catlow」がタイトルとなっているけれど、「ドラえもん」の主人公があくまでのび太であるように、この作品もどちらかと言うと、トラウトマン大佐でお馴染み(というか、他にはこれといって馴染みが無い)リチャード・クレンナ演じる保安官が、物語の進行役。彼がいきなり襲撃を受ける映画冒頭から、細かいショットを積み重ねたアクションシーンが、作品の活きの良さを感じさせます。 あまりカットを細切れにするのも、それが機械的に感じられたりすると、味気なかったりするもんですが、そしてこの作品でも「ちょっとやり過ぎか」と思わなくもなかったりするのですが、ギャグとしてやっている部分もあるので、楽しくこそあれ、イヤ味な感じはしません。カットを割り過ぎると、例えばR・クレンナが机の上のボトルに手をかけているのにアングルが変わると手が離れていたりするんですが、それもご愛敬。 黄金の争奪戦のオハナシ、ではあるのですが、あまりガツガツしていなくって、「黄金の奪い合い」という印象が薄く、登場人物たちの織りなす、どこに行きつくのかわからないやり取りに、主眼が置かれています。Y・ブリンナーとR・クレンナの凸凹コンビに、ミスタースポックでお馴染み(こちらも他にはこれと言って・・・)レナード・ニモイがちょっかいを出し、さらには先住民の襲撃もあって、物語を散らかし放題。 というコミカルな作品ながら、硝煙渦巻く銃撃戦は、なかなかの迫力。 ヘンな作品ですけど、でもやっぱり、楽しいのが一番、ですね。[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-12-03 16:00:24)《改行有》

4.  マルチプル・マニアックス こういう映画に高い点をつけたからと言ってホメている訳ではなく、低い点をつけたからといってケナしている訳でもないのだけど、とにかく、「高過ぎる点」か「低過ぎる点」かのどちらか、には、なっちゃいますわな。なにせ「変過ぎる」から、こればかりは、どうしようもない。でしょ? この作品(もはやこれを「作品」と呼ぶのかどうかもわからんけど)、ザックリ言うと、「聖と俗の対比」ってなことになるのかも知れないけれど、映画の作り手たち(=ドリームランダーズ)の思い入れが明らかに「俗」の方へ極端に偏っているので、対比も何もあったもんじゃない。 キリストの受難劇らしきもの(そう言い切るのは何となく憚られるので念のため「らしきもの」と言っておく)が挿入される一方で、ひたすら下品、モラルの対極を行くようなエピソードが続き、その挙句、おゲレツも突き抜けてしまえばそれは「聖」なのだと言わんばかりのラストへと突き進んでいく。 おゲレツ教の殉教者、聖女ディヴァイン、ってか。 いくらおゲレツとは言え、ピンク・フラミンゴみたいに「実際におゲレツを極めないと気が済まない」みたいなところまでは、さすがにまだ至ってはおりません。しかし、ピンク・フラミンゴ25周年版で監督自身が、家具を舐めまわすシーンに苦笑していましたが、ああいったおゲレツへの発作的な衝動、みたいなものは、このマルチプル・マニアックスでもすでに感じられて、素晴らしく意味不明な世界が繰り広げられています。意味不明でおバカ、だけど、強烈。これを「生き様」と呼ぶとちょっと重くなっちゃうんですが、そう言って言えなくもない。その生き様が、この作品には間違いなく投影されている。ような気がする。 いやはや、自由とは、まさにこのことだ、という短慮も、人生には必要かもしれない。[インターネット(字幕)] 9点(2023-10-15 18:03:26)《改行有》

5.  新・網走番外地 嵐呼ぶダンプ仁義 『新~』も含めての、網走番外地シリーズ最終作。思えば、刑務所シーンで敵対する相手も、かつては、いかにも粗暴そうな悪役顔の安部徹だったのが、いまや狡猾そうな経済ヤクザ風の風格を見せる小池朝雄へ。隔世の感があり・・・という程でもないでかすね。『新~』になってやや製作ペースが落ちたとは言え、シリーズ開始からまだ7年ほど。そもそも主演の健さんが、見た目、大して変わってない。いや、最後まで変わらなかったのが健さんという人、という気もしますが。 最終作、と言う訳で、それなりにマンネリ感もあり、勿論シリーズものですから、マンネリ上等!ではあるのですが、一方で「健さんしばり」「網走番外地しばり」というものも感じてしまうのは、タイトルを見てもわかるように、『トラック野郎』まであと一歩、のところまで来てるんですよね。ダンプトラックのカーチェイスはあるし、モナリザお京みたいなキャラまで登場するし。 しかし主演は健さん、監督は降旗康男。やっぱり菅原文太&鈴木則文とは、描く世界が違いますわな。違うんだけど、でも、トラックチェイスをクライマックスに持ってくりゃいいものを、やっぱり、殴り込みをかけてドスを振り回す展開に持ち込んでしまう、任侠映画しばり。 網走番外地は比較的、テキトーで自由度が高いシリーズだったはず、なんですけどねえ。冒頭の刑務所シーンで健さん自身が『昭和残侠伝 死んで貰います』(だと思う。間違ってたらごめん)を見ている、なんていう悪ノリには、その片鱗が。だけど本作、全体的にはマンネリ感が悪い方に出て、悪ノリかどうかはともかく、もう一つノレない印象。ちょっとダメかなあ、と思っていたら、マンネリ感の積み重ねでやっぱり最後は盛り上がってしまう。ダイナマイトでの襲撃といった派手なアクションも見どころ。丹波哲郎の温存も、ありがちと言えばありがちだけど、それでも、待ってました!と言いたくなる。 やっぱり、マンネリ上等、なんですよね。[インターネット(邦画)] 6点(2023-09-23 05:40:31)《改行有》

6.  マジック 《ネタバレ》 アンソニー・ホプキンスが全然人気のない手品師で、舞台でスベりまくってる冒頭シーンから、引きこまれてしまいます。芸人が舞台でスベる怖さってのが、よく伝わってきますね。この焦り具合。ははは。いや笑いごとじゃないって。 その彼が、腹話術をマジックに絡めた新ネタで、評判を呼ぶようになる。典型的な一発屋ですね。この後が、コワいですね。 という展開になる前に、この映画は別のコワさへ向かって行く。どうやらこれ、普通の腹話術芸ではないらしい。一人っきりの時でも人形との会話を続ける彼は、もはや二重人格みたいな状態になっちゃっているらしい。 そこまでは映画の比較的早い段階でわかるのですが、その重症度が掴み切れない。重症度と言っても、病の深さ、という意味を超えて、もはや超自然現象の域にまで達しているのか否か。基本的には、主人公の手で人形は動かされるし、主人公が横にいて初めて人形はしゃべるのだけど、明らかに音声が人形から発せられているシーンもあったりして。人形がしゃべっているのか、それとも主人公の幻聴なのか。 こういう曖昧さが、怖いんですね。何が起きるのか、何が起きうるのか、わからない怖さ。もしも人形がひとりでに動いたら怖いけれど、本当の怖さは、「もしも人形が動いたら」という怖さ、「もしかして今、動いたんじゃないか」という怖さ。 そしてもう一つの怖さは、人形の存在に引きずられていく主人公の姿。主体性を損なった主人公は、どう流されていくかわからない。この主人公と不倫してしまうアン・マーグレットは、さらにこの主人公に支配され、主体性を失いつつあるようにも見えるけれど、ラストで彼女は主体性を取り戻し・・・たように思いきや、もしかして別の何かに支配されたのでは? という「可能性」だけを提示した、曖昧な幕切れ。そう、こういう曖昧さが、怖いんです。[インターネット(字幕)] 9点(2023-09-10 18:20:05)《改行有》

7.  ザ・ブルード/怒りのメタファー 「何のこっちゃ」な邦題ですが、映画を見ればこれが意外に「どストライク」な邦題であったことに気づきます。 映画の内容の方も、あくまでホラーでありファンタジーなので、こういう事が実際に起こり得るかどうかは問わないことにし、細かい部分まで納得のいく説明がなされているかも問わないことにすると―――そういう事を問うのは元々、野暮というものだけど―――「何のこっちゃ」な展開かと思いきや、最後まで見ると、邦題のコンセプトに沿ってそれなりにまとまった内容であり設定であったことがわかります。 にも拘らずこの作品には、気持ち悪さ、落ち着かさなさ、といったものが横溢しています。何とも言えぬ、割り切れなさ。 前触れなく、突然、映画に登場する襲撃者。映画の中でその正体は明かされるものの、この最初に登場した時の「いる訳のないものがいた」「見てはいけないものを見てしまった」という感覚、これがずっと尾を引いて、最後まで何とも言えぬヤな感じが続きます。確かに、「怒り」の象徴としてこの異形のものたちは存在するのだけど、そういう可視化された「怒り」の裏には、可視化しきれない人間関係のドロドロしたものが渦巻いている。もっとも近接した人間関係である家族、その家族の中にすらドロドロが渦巻いている、という落ち着かなさ。わかっちゃあいるんだけど、それをこうやって映画で突きつけられると・・・。 音楽はハワード・ショア。まだキャリア初期の仕事だと思いますが、これまたなかなかに落ち着かない音楽を響かせて、ヤな感じをしっかり増幅してくれます。[インターネット(字幕)] 8点(2023-09-02 13:17:54)《改行有》

8.  悪魔の赤ちゃん2 前作でかなり出し惜しみしたとは言え、例の悪魔の赤ちゃん(←あくまで邦題ですが)の姿はすでに画面上に登場して我々も知っているので、2作目では遠慮なくガンガン登場するのか、と思いきや、やっぱり画面になかなか現れない。予算の関係なのかどうなのか(いや、そうに決まってる)。 しかし、この画面になかなか登場しない(させられない)制約というのは、これはこれで別の可能性も引き出している訳で、姿を写さない代わりに不気味な泣き声でその存在を描くのが、効果を上げています。いや、いくら低予算だろうが、リック・ベイカーの手によるナイスな造形の撮影用ギニョールはあるんだから、登場シーンを増やすことは可能、というか、むしろ増やしたくなるのが人情だろうけれど、そこはグッと堪えて、出し惜しみ。 見せてナンボのCG時代にはこういうアプローチも難しくなって(こういうアプローチをとる必要も無くなって?)、これもまた、良くも悪くも当時のホラー作品ならではの味わい、でしょうか。こういう映画が後の80年代のホラー量産の礎を作った、と思えば、ラリー・コーエンの先見の明みたいなものが感じられてきます。 という訳で、微妙なホメ言葉を並べて結局は、地味な作品だと私は言っているのですね。 姿は露わさねど、人数は増えた悪魔の赤ちゃん(数少ない出番ながら、動きは前作よりも良くなった気が)。彼らの抹殺を図ろうとする警察と、それを阻止しようとする組織の対立が描かれる、という趣向ですが、それなりに地味。地味ですが、雰囲気はある。夜の不気味さ、みたいなものがよく出ています。 で、例によって、我が子となると理性が揺らぐのが親心。周囲からすれば、次には一体何を言い出すやら予想できない、それが親心。 ラストの尻すぼみ感も含めて、これは一種のホームドラマなんですよ、きっと。[インターネット(字幕)] 7点(2023-08-14 08:31:05)《改行有》

9.  ザッツ・エンタテインメント 往年のMGMミュージカルの「さわり」ばかりを集めた超お楽しみ企画。そりゃ、楽しいワケです。でも何となく、こんな風に見どころばかり抜粋して楽しむ、ということに罪悪感みたいなものを感じる部分もあったりして。いわゆるファスト映画的な考え方のハシリのような。 殺人シーンばかりを集めてもホラー映画の面白さはわからないし、エロシーンばかり集めてもポルノ映画の何たるかはわからない。ミュージカルもしかり、と言いたいところだけど、このジャンルが一番、微妙かもしれない(笑)。ドラマとミュージカル部分との、一見、ちぐはぐな関係。それを、ホントに切り離してしまって、ミュージカルシーンだけを楽しんでしまう、ある種の「身も蓋も無さ」加減。それとも単純に、壮大な予告編を楽しんだと思えばいいんだろうか。 せめて、ミュージカル映画の引用以外の部分で見どころがあればいいのですが、そして実際、あのミュージカルスターの今、撮影所の今、が紹介される楽しみもあるっちゃあ、あるのですが、今ひとつ、演出に工夫が欲しい気も。スターが順番に互いを語りあう、という構成はそれなりに楽しめるのだけど。 今でこそ、レンタルビデオからさらに動画配信の時代となって、古い映画を見る機会にもだんだん恵まれるようになってきているけれど、こういう名シーン集を「新作映画」として出してくれることが旧作に触れる貴重な機会だった時代の作品、と思えば、これもまた映画史の中の一コマと呼ぶべき作品なのかも知れませぬ。[インターネット(字幕)] 7点(2023-06-17 04:05:07)(良:1票) 《改行有》

10.  新・網走番外地 吹雪のはぐれ狼 《ネタバレ》 網走番外地シリーズの懐の深さというか、デタラメさがよく表れた一本です。もはや完全にコメディ路線。だけどラストだけは突然、任侠指数がまさに指数関数的にハネ上がる、という謎の構成。よくもまあ、こんな企画が通ったもんです。網走番外地だからこそギリギリ可能なのであって、昭和残侠伝ではこんなこと、できません。 冒頭、刑務所内でイザコザがあり、あわや命を奪われそうになった健さん、それをすんでのところ岡田真澄神父が救う。というところまではいいのだけど、晴れて出所した健さん、何をどうトチ狂ったか、この神父こそ我が親分、と言う訳で親子の盃を交わし、教会での神のしもべとしての生活を始めることに。 この勘違いぶりだけでも充分、寅さん級の暴走なんですが、さらに教会のシスターに一目ぼれしてしまうに至っては、いやこれも寅さん路線ですけれども、後の東映で言えば、いかにも菅原文太向けの役どころ。それを健さんが演ってる、というのが、見てて可笑しくもあり、気恥ずかしくもあり。 シリーズの持つ暴力指向みたいなものは、この作品では比較的健全な路線に置き換えられ、ボクシングを通じて表現されます。教会に対し敵対するグループも登場しますが、教会の運営するボクシングジムの若者(谷隼人)に目をつけたり、彼に八百長を強要したり、まあ、そんなところです。 一体この作品のどこが「吹雪のはぐれ狼」なんだよ、という訳ですが、ここでの健さんは「迷える子羊」ではなく「迷える狼」、ではあるかもしれません。はぐれてはいない気もしますが・・・。そして「吹雪」。実際、いくつかのシーンではひどく吹雪いています。別に物語の上では、わざわざ吹雪の中で撮影する必要はなかったかもしれませんが、でもこういうシーンがあると雰囲気が出て、いいではないですか。 ここぞというシーンで長回しを用いているのも印象的。健さんと谷隼人がリングで向かい合うシーンでは3分近くを一気に見せ、それを見守る岡田真澄とのやり取りのカットを挿入した後、また長回し。 ボクシングのシーンで本格的なファイトを期待するのはさすがに無理がありますが、谷隼人の搾り上げられた肉体もあり、違和感の無い、迫真のシーンになっています。 終盤、いきなりとってつけたような悲劇が彼らを襲い、殴り込みを決意する健さんの姿をまた長回しで捉えた後、いよいよ敵の本拠地に乗り込むと、そこに待ち受けるのは若山富三郎。ひとりストーブにあたりながら餅を焼いてるその姿が、哀愁があって良いんですよねー。 こういう、作品のあちこちに突然現れる「良さ」が、また本作を珍作たらしめているような気もしますが。[インターネット(邦画)] 7点(2023-05-06 05:53:36)《改行有》

11.  アーノルド・シュワルツェネッガーの鋼鉄の男 《ネタバレ》 このシュワちゃんという人はこれまで、映画の中でさまざまな敵と戦ってきた訳ですが、このドキュメンタリ作品に出てくる彼のライバルたちこそ、最強最大の相手、のように思われてきます。 映画開始から、筋肉、筋肉、また筋肉。体の隅々まで怒張しまくった、全身デカマラ状態のこのライバルたちの、非常識なまでに凄まじい肉体を目の当たりにすると、あのいつもニコニコシュワちゃんが彼らに勝てそうな気は、まったくして来なくなります。。。が、ある意味、彼の本当のピークの時期を映像に捉えたのがこの作品。我々になじみのある80年代のシュワは、もはや彼の余生と言ってよいのかも。後の映画スター時代以上にニコニコしながら、最強の肉体美で(「美」かどうかはもはやよくわからんが)しっかり優勝をかっさらってしまう。優勝を争っているのが3人しかいないというこの状況がよくわからんと言えばわからんけど、まあ、ボディビル界における全世界の頂点、なんでしょう。見れば納得の、この肉体。 ムキムキと、実際に音を立てていそうな筋肉パフォーマンス。非現実感すら感じさせ、どこかユーモラスでもあるのですが、裏では苦痛に耐え続けた壮絶なトレーニングがそれを支えている。どうしてここまでやるのか、何が彼らを支えているのか、どうして他のことにこの情熱を向けられないのか(?)。そのアンバランスさが、不思議な感動に繋がります。人間が到達できる限界の世界、常人が理解できるかできないか紙一重の世界。 肉牛の品評会みたいにも見えてきますが・・・[インターネット(字幕)] 6点(2023-04-01 03:12:05)(良:1票) 《改行有》

12.  明日なき追撃 《ネタバレ》 主演のカーク・ダグラスが製作・監督を務めた意欲作、とは言ってもヒーローものの超大作を目指すでもなく(ジョン・ウェインとの違い)、皮肉が効いたイキな小品に仕上がってます。小品とは言え、機関車を使ったちょいとスペクタクルなシーンもあり。 まず冒頭のタイトル前の夜のシーン、思わせぶりに、セリフを最小限に絞り、ツカミは上々。 ブルース・ダーンが酒場で銃撃する場面なども、ほとんど表情を変えない彼の顔と、テーブルを銃弾が突き抜けるアップの映像とを交互に描くスタイリッシュな演出で、こういうのもなかなか気が利いてます。 その後、「ちょっとした場面」が描かれます。酒場の誰もがブルース・ダーンに恐れをなして何も言わずに黙り込む中、ワンちゃんだけが彼に吠え掛かるのですが、彼がエサを投げると、たちまちエサに夢中に食らいつく。これだけだったら、ユーモラスな1シーンの挿入、に過ぎないのですが、その後の映画の展開を見ていると、実はこの作品を象徴するシーンであったりもします・・・・ 映画は中盤に、カーク・ダグラスが演説する夜のシーンを長くとり、その後はブルース・ダーンを護送する機関車のシーンからクライマックスへ。映画が描くシチュエーションを、欲張らずに数を絞って、じっくり描く。こういうのも、シャレてます。詰め込まないで、しっかり、じっくり描く。何かが起こりそうな雰囲気が、徐々に高まっていく。 クライマックスでは機関車を舞台にしたアクションで盛り上げて、見どころも充分、だけどラストで変化球も見せ、いやあ、なかなか心憎い作品でした。[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-03-11 05:32:04)《改行有》

13.  昭和残侠伝 吼えろ唐獅子 冒頭のクレジット見て、主役は当然健さんだわな、準主役に松方弘樹か、そしてこれまた当然の池部良。そんでもって、鶴田浩二まで! とか思ってても、映画見てるうちにそういうのは念頭から消えてしまうので、後で本当に鶴田浩二が出てくると、やっぱり驚いてしまう(笑)。 この作品でも、昭和残侠伝のフォーマットは守られていて。いつも通りっちゃあいつも通りなんですが、今回は、任侠映画であると同時に、剣豪映画のようにも見えてくる。剣の達人同士、互いに通じ合うものがある、高倉健と鶴田浩二。剣の道を絶ち、今は一介の市井人として暮らす池部良。若侍・松方弘樹の運命を狂わせるのは、ヤクザ渡世の仁義というよりも、もはや、封建社会の理不尽さと言うべきか。 健さんもまた、結果的にその理不尽さに加担せざるを得ない、やるせなさ。静かな怒りが頂点に達したとき、その先にあるのは「革命」・・・とまでは言わないけれど、旧秩序を、束縛を蹴散らす、カタルシス。「その後」が描かれることが無い、映画ならではの大団円です。 一部、撮影に荒さを感じる部分もあったけど、そういうのも作品の迫力の一つ。 いや~オモシロかった! けど、そもそも親分に嫌われてるのなら、どうして、松方弘樹はムショ行きを免除されたんだろうか??[CS・衛星(邦画)] 8点(2022-09-19 09:10:16)《改行有》

14.  日本女侠伝 激斗ひめゆり岬 《ネタバレ》 1971年の作品、ってことですから、沖縄返還直前ですね。まだアメリカに占領されてたころの沖縄。 藤純子がバリバリのおきなんちゅメイクで登場し、違和感ありまくりなのですが、男勝りでちょっとガサツな感じのお姉さん、といったところ。こういうのを「女侠」って言って、いいんですかねえ。任侠道でも何でもなく、普通に「社長」です。 とは言え、そこには例によって例のごとく、あくどいヤクザどもが登場し、あの手この手の嫌がらせ。 かつての激戦地沖縄、ということで、不発弾を始め、ヤバそうな武器がゴロゴロしていて、ちょっといくら何でも、と言う気がしつつ、見て見ぬふりを。 主人公と最初はぶつかりつつも、やがて互いに信頼関係で結ばれるヤクザ者が、菅原文太。二人の向こうには海に沈む夕日。いやあ、沖縄だなあ。 普通ならクライマックスの殴り込みでそのまま映画が幕を閉じるところ、この作品では苦みに満ちた後日談を付け加え、沖縄の置かれた状況の理不尽さを表すワケですが、ちょっと無理矢理、ですかねえ。[インターネット(邦画)] 6点(2022-07-25 22:16:21)《改行有》

15.  関東テキヤ一家 喧嘩火祭り 《ネタバレ》 今回は「ごろめんひまつり」と読むんだそうです。 例によって多彩な登場人物。冷静に考えるとお馴染みのメンツが殆どのような気もするけれど、梅宮辰夫やら渡瀬恒彦やらが惜しげも無く投入されて物語は膨らむ一方。しまいにゃ、どう考えてもエキストラに毛が生えたような花屋のお姉さんまで、菅原文太の顔を見るや、「死んだ兄にソックリ」などと言って強引にストーリーに絡んできて、もう、定員オーバーです。 しかしそういう複雑怪奇な(というか、行き当たりばったり出たとこ任せの)人間関係を、物語の進行とともに見事に捌き切っている、これはまさに名人芸としか言いようがありません。 鈴木則文、おそるべし。 とは言え、渡瀬恒彦の起用は、少し勿体なかったですかね。あと、岡八郎。は、どうでもいいか。 地方の祭りの光景が映画に織り込まれていて、ちょっとトラック野郎みたいですが(実際、トラックも出てくる)、祭りの光景とリンチ・暴行が並行して描かれる凄まじさ。その勢いでクライマックスの殴り込みに突入し、銃を振り回す梅宮辰夫の姿は、前半の射的のシーンからの一種の変奏でもあるけれど、ちょっと、不良番長魂が降臨したかのような。 いやはや、盛りだくさん、でした。[インターネット(邦画)] 8点(2022-07-05 22:23:03)《改行有》

16.  ジャッキー・チェンの秘龍拳/少林門 《ネタバレ》 ジョン・ウー作品、ということですが、まだ白いハトとかは登場せず、かの御大も昔はこんなの撮ってたんだなあ、と。武術監督は、敵役で出演もしている、サモ・ハン。顔は丸いが、まだデブという程では。一部、様式美(?)に走ったヘンな格闘シーンもありますが、全般的にはハイレベルなアクションが展開されます。 邦題に「ジャッキー・チェンの」という文言が入っていることから薄々は警戒してしまうのですが、やはりというか何というか、主演はジャッキーに非ず。クレジットは三番目で、名義は陳元龍。 物語の進行に従って、武術に心得のある面々が集まり、トレーニングを積み、敵に反旗を翻す、という流れはやはり魅力的。特定のスターに寄りかからない、集団抗争劇風のカンフー映画。 敵の統領が的を弓で射るが、矢はヘナチョコな軌道で飛んでいく。従者に矢を取りに行かせ、その直後に凄まじい勢いの矢を放って従者を射殺してしまう、なんていうシーンが、ウマいですね。この射殺されるヤツが、顔を見るとどうやらこれも若き日の、ユン・ピョウ、らしいのですが、直前に微妙にアヤシげな素振りを見せていて、微かに「オヤ」と思わせた直後にブチ殺されてしまい、その驚きと同時に、彼が刺客であったことが発覚する、という流れ。いや、スバラシイ。 終盤の戦いにはたっぷりと時間をとって、これでもかとアクションを見せてくれます。一人、また一人と斃されていく味方。ジャッキー・チェンが刺されるシーンで仰々しく流れる音楽は・・・あちゃ、これはメシアンのトゥランガリラ交響曲。どうせ、無許可で使用してるんじゃないかと思いつつ。 味方の犠牲の上に掴む勝利、もしジョン・ウーのカラーがすでにここにあるとしたら、そういう悲愴感漂うヒロイズム、でしょうか。[インターネット(字幕)] 8点(2022-06-26 13:45:37)《改行有》

17.  レッド・ドラゴン(1976) 『ドラゴン怒りの鉄拳』よりもコチラの肩を持つことは、自分でも非合理だとは思うんですけどね、どうしたらいいんでしょうね。 どうせデタラメな日本人が出てくるデタラメな作品なんだったら、多少コミカルなジャッキー・チェンの方が似合ってるかな、と。曲がりなりにも主人公の成長物語、に出来るところが、ブルース・リーにはない持ち味。にしては、中盤の「今、成長過程です」感が乏しいですが。 例によって日本人が悪役のストーリー、しかし、日本人役らしき登場人物たちの日本語らしきセリフは、ほぼ聴き取れないので、「いや、これは日本人じゃないんだっ」だと思いながら楽しむことも可能かと。 とは言え、敵の岡村先生、基本は功夫スタイルの格闘だけど、ちょっとカラテ風味を感じさせるキックとか、「なんちゃって柔道」風の投げとか、やっぱり一応は日本が敵、ということで。 終盤の格闘アクションは量・質ともに充実してて、これが無けりゃ私も褒めないんですけど、本作、なかなか盛り上がりました。[インターネット(字幕)] 7点(2022-06-25 10:46:48)《改行有》

18.  びっくり武士道 コント55号というと、基本的には欽ちゃんが二郎さんを追い詰めて、「ボケに対するツッコミ」というよりも、ツッコミがボケを呼んでまたそれがツッコミを生む、みたいな無限ループのイメージ。 しかしこの作品では二郎さんがコワモテのメチャクチャ強い武芸者、それに対し欽ちゃんはフニャフニャの弱腰のお侍さん。これがまた実に、役柄にピッタリだったりするのです。 二郎さんの異常なまでの強さ、向かい来る相手を空高く投げまくるあたりのアホらしい誇張(これはもはやカンフーハッスルの先駆的作品、と言ってよいのではなかろうか)。こういったあたりはしっかりギャグ映画になってるし、欽ちゃんの怯えた表情も見どころ、ではありますが、基本的にはシリアスなものを含んだオハナシで、ちょっと噛み合わない印象も。 音楽は冨田勲。シンセサイザーらしき音色も聞こえてきます。[インターネット(邦画)] 6点(2022-06-19 10:30:54)《改行有》

19.  不良少女 魔子 《ネタバレ》 小野寺昭が若いですねー。でもあまり変わりませんねー。特にあの独特の、張りのない声が。 さて本作、暴力・犯罪に明け暮れる破滅的で無軌道な若者たちの群像劇、といいたいところですが、もう一つ、不良指数が上がらない。まあ、結構ワルい事はしてて、お陰で敵対組織とのイザコサに発展するにはするのですが、結局のところ、主人公たる不良少女・魔子、ってのが、意外に古風な女性なんですね。だから、どちらかというと、湿っぽい方向に物語は進んでいきます。誰のせいかって? それはもちろん、小野寺昭。 魔子が兄の藤竜也を刺してしまうまでの一連のやりとりを描く場面は、なかなかでした。他はイマイチ。[インターネット(邦画)] 5点(2022-06-14 22:26:44)《改行有》

20.  ウィッカーマン(1973) 《ネタバレ》 行方不明の少女を捜すお巡りさんが足を踏み入れた島は、エロ教団に支配されてましたとさ。と言う訳で、ややオカルトじみたサスペンス、というかエロ映画。というか、なぜかこれ、ミュージカル仕立てなんですねえ。一体、何なんでしょうか。 エロと言っても、かなり投げやりなハダカですが。 という、何だか煮え切らない映画、そうはいいつつも何となく迷宮感みたいなものが徐々に出て来た挙げ句、終盤は妙にテンション上がって盛り上がる、というのがますます訳が判らない。うん、ホント、妙に盛り上がるんです。たぶん、投げやりだからでしょう。 炎に包まれた巨大な人形が崩れた向こうに、海に沈みゆく夕日をカメラが捉えるラストシーンなどは、こんなヘンタイ映画にもったいないくらいに素晴らしくもカッコいいではないですか。ちょっと、ヤラレたな、と。[インターネット(字幕)] 6点(2022-06-12 22:35:34)《改行有》

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS