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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順123
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1.  月に囚われた男 《ネタバレ》 先ほど観終わりました。かなり面白かったです。 この映画の秀逸な所は基本設定や場面設定 そしてプロットを徹底的に練り込んで有ると言う事です。 それでいて、作品の世界観や背景などは冒頭にザッと説明するのみで 殆ど明らかにされていない。 ある意味ではSFの定番で地味な話なのに 観ている者をこれだけグイグイと物語に引き込んで行くのは 上に書いた事柄(基本設定、場面設定、プロット)を 相当徹底的に練り込み、その過程で余計な物をそぎ落としたからこそ 全然違和感無く、これだけの作品に仕上がったのだと思いました。 私は昨今のド派手な演出ばかりで、粗を隠そうともしないハリウッド映画も この作品を見習って欲しいと思いますね。 この作品もやはり、あのブレードランナーを手本に取って作ってある映画で ある意味、レプリカント達が働いていたとされる 植民地星の実情に思いを馳せ、空想し、それを基にして1本の物語にしたかの様に 悲しく、重厚で、深いシナリオの中に 心洗われる余韻を残しつつ、最後まで痛快に見る事の出来た作品です。 作品の内容は 要するに莫大なエネルギーを生み出す月面の新エネルギーの採掘には 高レベルの放射能により、人間が重度の被爆に冒されてしまうというリスクが有った。 その為に採掘会社は違法なクローンを作り出し、偽の記憶を植え付けた上で 月の採掘基地に閉じ込め 3年の任期(実は重度の被爆により寿命が3年程度しか持たない)を課して 偽りのローテーションを繰り返させていた。 つまり、3年でクローンを廃棄処分にしてまた新しいクローンに交換し 採掘業務を延々と継続させ、金儲けしていた。 この映画の新しい所は作品に登場する会社側の管理AI つまり、会社が騙しているクローンを監視し管理するコンピューターに 性格や許容性、そしてある種の感情を持たせている所です。 結果的にこのAIが主人公達を助けた事で、物語が大きく展開して行く。 惜しい所は時間の関係なのか、予算の関係か分かりませんが クローンである主人公が脱出ポッドで脱出した後の話が 非常に駆け足で、ちょっと尻切れトンボに終わっている事です。 この最後をキッチリ落とせていれば 私は10点でも足りないぐらいの作品だと思いました。 8点と付けましたが、限りなく9点に近い。 どちらにせよ、1度見て損は無い作品です。 [DVD(字幕)] 8点(2012-08-16 19:34:33)(良:1票) 《改行有》

2.  リクルート 《ネタバレ》 先ほど観終わりました。 ウーン。。。。色々と惜しい映画ですね。。。 私が観終わって真っ先に思い出したのは ロバートレッドフォードとブラピが競演した「スパイ・ゲーム」です。 なんか、作風やエピソード、特に何も分からない若者を 老練な教官が厳しく教育し、一人前のスパイに仕立てて行くくだりが かなりよく似ています。 ただ、申し訳ないですが「スパイ・ゲーム」が8点としたら この作品は基本6点です。それだけ話の突き詰め方が甘いと感じました。 例えば、最後の最後でひっくり返すこの手の話は そうするだけの動機や背景がキッチリとプロットに施されてないと もうそれで完全にドッチラケます。 この作品も見事にドッチラケている。 例えばバークの背景を最後まで隠して置きたい為に レイラがCIAのどの線で動いているかという事を意図的に隠す。 これが非常に観ている方としては違和感が有ってイライラするんです。 レイラが終盤で追い詰められ、クレイトンにUSBメモリーを奪われ 何処かに電話するシーンが有りますが、「この時に彼女の背景を全部明かすべきだった」んですよ。 なんで、この線を最後まで曖昧にして置くのか意味が分かりません。 レイラの言い分通り、テストと称してCIA内部のセキュリティーの不備を 極秘に調べていたのであれば「それは誰が何の為にそうしていたのか?」 もし直接レイラがバークに操られていたのであれば、クレイトンの存在は不要ですよね。 バークが直接操れないからクレイトンをワザと脱落させて 自分の私兵に仕立てたと言う事なんででしょうが 肝心のレイラと相棒のザックの背景が全く曖昧なので 話の全体像が見えず、非常にイライラするんです。 ココが本当に致命的ですよ。 スパイアクションとしては抑制が効いて、まあまあ巧く出来ているのですが ラストの落とし方やイライラ感を考えると、申し訳ないですが、今回は4点献上します。 [DVD(字幕)] 4点(2012-04-01 18:27:46)(良:1票) 《改行有》

3.  完全なる報復 《ネタバレ》 先ほど観終りました。 非常に残念な映画です。 勧善懲悪に拘って、相当の傑作を最後の最後で台無しにしてしまっている。 確かにクライドは凶悪な殺人者ですが 同時に不完全なアメリカ司法制度の被害者です。 私はニックが罰を受けなかったという所がどうしても納得が行かない。 彼は本当にクライドに学んだのでしょうか? みなさん言っていますが完全な報復には程遠い 不完全な報復、そしてとんでもなく片手落ちな正義です。 10年という月日を費やして 冷徹で頭脳明晰なクライドが計画した完全犯罪(結局露見しましたが)に比べ ニックの最後のやり口は非常ズサンで場当たり的で傲慢 臨時とはいえ、地方検事という立場から考えれば、正に恥知らずと言うしかない。 イライラついでに言ってしまえば、プロットにもスザンな所が多数有る。 普通あれだけの事をした囚人の独房には、監視カメラぐらい付けるのが普通です。 その他、クライドが購入した土地が終盤、アッサリ割れてしまう辺りもそうですが 地下を掘って刑務所にあれだけの用意周到な仕掛けを施していれば そのアジトにはカメラやセンサーぐらい付けてるでしょ。 それもこれも本当は些細な事で、映画自体の出来は本当に素晴らしいのです。 私は終盤に入るまでは非常にドキドキしながら見ていました。 それなのに全く、なんであんなラストへ強引に持って行かなければ成らなかったのか。 まあ、ココまでにしましょう。非常に不愉快だ。 ラストが煮え切ってキッチリ落ちていれば8点以上でしたが 今回は負けを悟り、潔く死んだクライドの鎮魂を意味を込めて 3点を献上します。 [DVD(字幕)] 3点(2012-04-01 17:32:21)(良:1票) 《改行有》

4.  クラッシュ(2004) 《ネタバレ》 先ほど観終わりました。 ウーン。。。私はそれほど嵌れませんでしたねー ただ、言わんとする所は良く分かります。 この映画のキーに成っているのは銃と人種、悪意と善意 そして個人それぞれの立場です。 銃を持っているから警官は特権を付与されている様に 人から思われ、自分も思い上がる。 その時もし、銃を持って居なかったら人を撃ち殺す事は無かったし タマタマその時、銃を持っていたから人は殺意を抱く。 白人は黒人を犯罪者と決めつけ、恐怖し、憎悪し 黒人は黒人以外に敵意を持ち、コンプレックスを持っている。 そしてみんな絶えずイライラし、不協和音の絶えない社会。 しかし、それでもそれぞれの立場で人は生きねば成らない。 そこには悪意も善意も、また、善意から生まれてしまう悪意も有る。 無論、その逆も。 これは正義、不正義という世を統べる建前以前に 人は善悪に関わらず、人として否応無く縛られる業という物が 厳然と有るという事なのでしょうか。 それをこの映画ではちょっと不完全(私の要求というか、我侭で見ればの話で)ですが そこそこ面白く描いています。 しかしねぇ。私はいかにもっていうエピソードに見えちゃうんですが この辺り、みなさんは違和感無かったでしょうか。 この監督の「スリーデイズ」という作品が非常に面白かった分 ちょっと拍子抜けした映画でした。 でも若い人が見ると、面白いのかも知れません。 [DVD(字幕)] 6点(2012-03-27 01:36:26)《改行有》

5.  ベンジャミン・バトン/数奇な人生 エート、テレビでやってていま観終わったので書きます。 私は見終わったらすぐに書く主義なものでして^^; 1口に言ってフォレストガンプに似てますね って、言われてもしょうがない映画かと思います。 寓話的、啓示的な所がもうすでに似てしまっている所へ 思い出日記のナレーション風で物語を構築して行く手法など もう完全にフォレストガンプなんですが 老人で生まれて若返って行くという初期設定は兎も角 その他のエピソードや登場人物すら相当に似ている と、思ったのは私の気のせいでしょうか? ただ、それがフォレストガンプの様に 映画自体が素晴らしい出来栄えなら私も文句有りません。 しかし、残念ながらこの作品は人生や一期一会 そして、主人公の数奇な人生を、全然描き切れてないとしか言い様が有りません。 数奇な人生というより ある意味で平凡で不条理な人生に思えて仕方が無く 特にベンジャミンの青年期以降の描き方などは 本当に安易で最悪だと思いました。 無論、私はハッピーエンドで有れ と、言っている訳ではなく 基本的に人間描写からプロットから はっきり言えば、映画その物の突き詰め方が甘く 特に出来事を駆け足でなぞったかの様な演出が 全然駄目駄目だったと思います。 最後も本当に中途半端な終わり方で、これ映画館で見たら 「なんじゃこりゃ!!」のレベルですね。私なら。 「セブン」はかなり面白かったんですが どうも、ココ10年ほどの作品は精細を欠いているというか 俳優は申し分なく、演出面でもキッチリ作ってあるのに 何か、大事な物が欠けている映画ばかりな気がして 残念で成りません。 [地上波(吹替)] 4点(2012-01-07 00:02:33)《改行有》

6.  デイブレイカー 《ネタバレ》 いま観終りました。中々面白かったです。 ヴァンパイヤが人間に代わって支配する世界。 しかし、彼等は人間の血液無しには生きられず もし、血を飲まずに居れば理性を失い、非常に醜いサブサイダーという化け物に変異してしまう。 その為、ヴァンパイヤ達は人間を捕獲しては眠らせながら 巨大な吸血システムに組み込んで血液を生産し それを富裕層のヴァンパイヤを中心にして配給する。 しかし、よく考えると、ヴァンパイヤが忌み嫌って化け物扱いしているサブサイダーこそ 吸血鬼本来の強力な力を発揮出来るヴァンパイヤだという皮肉な側面も含まれていて 私はこの点をもし掘り下げてプロットとして盛り込まれていたら B級でもかなりの名作だったと思いました。 また、この映画には社会風刺も側面も有ると思います。 滑稽なのはヴァンパイヤのホームレスなども居て 「血を下さい」などとボードに書いて胸に下げて立っている。 つまり、人の生血(現金)を吸って生きるヴァンパイヤが、強欲と傲慢の象徴である新自由主義者であり 眠りながら血液(現金)を供給している人間達が、新自由主義に洗脳され、そのシステムへ強制的に取り込まれた哀れで従順な消費者。 そして貧しくて血(現金)の配給が受けられず、サブサイダーに変異寸前の下層階級が 新自由主義の負け組みである貧困層。 また、当然ですが血(現金)を全く飲めずに理性を失って変異したサブサイダーは ヴァンパイヤ(新自由主義者)に害を成す移民や異教徒の暴徒、反逆者であり ヴァンパイヤに捕獲されずに生き延びている人間たちは 新自由主義体制に反抗するレジスタンス と、いう感じでしょうか。 こういう色分けで見ると非常にシックリ来ますね。 それが作品を見ているうちに良く分かって来るので 途中からニヤニヤして見てしまいましたが この映画には他者を犠牲にして自分の欲望を満たそうとする米軍ソックリな兵士など そういう強者の傲慢(特にアメリカ社会的な)に対する強烈な社会風刺が含まれていて 実に小気味いいですね。 但し、最後の方で人間に戻った兵士の扱いに困って、あっさり殺してしまう所などはちょっと減点対象です。 そういう目の粗い所はちょっと見え隠れしますが、中々の意欲作で内容も私の好みだったので 今回は7点を献上します。 [DVD(吹替)] 7点(2011-11-27 21:51:58)《改行有》

7.  96時間 《ネタバレ》 クライムアクションとしては屈指の出来なのでは無いでしょうか? 確かに細かく見れば、目の粗い設定などが見え隠れしますが それを吹き飛ばして余りあるスピード感と リーアム・ニーソンの娘を思う父親という、まさにはまり役の非常に秀逸な演技が功を奏して 最後まで一気呵成に見れてしまう娯楽作品に仕上がっています。 それにしてはかなり作品の知名度が低かったのが解せないのですが これだけの作品が何の賞も取ってないのですかね? 兎も角、理に敵ったガンアクション、東欧の組織誘拐&組織売春という犯罪組織の構図 主人公の元秘密工作員としての背景など、プロットも非常に多岐多彩でありながら 全く違和感無く1本のストーリーとしてまとまっていて、小気味よく 序盤以降、全然もたつき感が無いというのが、この作品の特徴です。 やはり、ニキータやレオンなど スタイリッシュなクライムアクションでありながら 一面フランス風味のちょっとドロ臭くて深い味わいの映画が作れる リュック・ベッソン脚本ならではの作品だと思いました。 また、監督のピエール・モレルも「パリより愛をこめて」などで ガンアクションに定評のある人で 私はこのコンビとスタッフでもう1作、作って欲しいとすら思いました。 [DVD(字幕)] 9点(2011-11-26 19:43:10)《改行有》

8.  ノーカントリー 先ほど見終わりました。 友人から勧められて見たんですが 確かにこの映画は一見すると麻薬取引に絡む金を横取りした事で 冷酷無比な殺し屋に追われる人間と、逆にその殺し屋を追う人間の物語ですが 中身は全然違う所に視点が置かれています。 また人に纏わる背景の殆どがぼやかされている。 この映画の最大の特徴は「こうやったらこうなる」と言う 人の運命における物理的作用とでも言うのでしょうか? 坂を転がるボールの前に壁を置けばそこでボールは止まる。 しかしその壁を少し斜めにすればまたボールは坂を転がり始める。 つまり人の運命を物理的作用として人間に当て嵌め 人間その物を物理的作用の1つの触媒として考えて プロットを編み出したとも言えるぐらいに この作品は起承転結に向けた演出が一切有りません。 まあ、それが逆に演出とも言えるかもですが その物理的運命を描く事の無味乾燥さと、この無慈悲さに感動せよ と、言われても私は考え込んでしまいます。 確かにこれは1つの哲学なのでしょう。 より深く推理すれば作者の意図した解釈も出来るのでしょうが 題材が題材だけに私は出来ませんでした。それはいや過ぎます。 なので、嵌れる人は嵌れるのでしょうが、私はイマイチ嵌れませんでした。 しかし、全体的な構成やアクションはしっかりしている意欲作なので 見て損したレベルでは無いと思います。 しかし、ラストの解釈もあれですが、色々と難しい作品では有ります。 [DVD(字幕)] 6点(2011-10-10 16:45:15)《改行有》

9.  ゲド戦記 私は宮崎アニメの大ファンなので、過去最低点をあえて付けさせて頂きます。 1口に言えば見たくなかった映画でした。 先日この作品を見て、未だに不快感が残っています。 友人からも見ないほうが良いと、言われていた映画でしたが コクリコ坂などと、また性懲りも無く、この息子さんが新作を作っているので 今回あえて見る事にしました。 はっきり言いましょう。 この監督にはアニメ映画監督としての才能は1カケラも有りません。 内容ウンヌン以前の話です。 父親である宮崎駿監督の映画初監督作品は あの「カリオストロの城」です。 それを考えればこの作品がどれだけ酷く そしてまた、父親が身を削って築いてきたジブリと言うブランドに どれだけ泥を塗ったのか分かるはずです。 貴方はそれすら分からないのでしょうか? 父親の地位の継承や金が目当てですか??つまりは世襲したいだけの話???? 普通の神経の人間なら世間にここまで酷評されれば、恥ずかしくて身を引くのが普通です。 才能を試すのは1度で十分のはずだ。 別のプロダクションに移って1から、下積みから修行して また監督業を始めるというなら兎も角 こんな酷い作品を作っておいて またすぐに新作を作って売り飛ばそうという暴挙をやっているのは 一体何故なのでしょう? あと、父親である駿氏がコクリコ坂の脚本を手がけたというのは本当の話でしょうか? ジブリのスタッフはそれで納得しているのでしょうか? 私は憤りを抑え切れません。 もし、吾郎氏のやっている事を駿氏が容認しているとすればもうジブリは終わりです。 もう私は2度とジブリの作品は見たくありません。 [地上波(邦画)] 0点(2011-07-17 23:24:36)(良:2票) 《改行有》

10.  ハッピーフライト(2008) 《ネタバレ》 いや、私は見た直後にレビューするのをモットーにしてまして いまテレビでこの映画がやってたものでレビューします。(笑) 中々面白かったです。 フジ主催の映画は海猿とか、毎度おなじみの何とか捜査線とか ドッチらけるのが多いんですが この映画は当たりですね。ドラマの延長ではなく、キチンと映画として撮られています。 ともかく、皆さん言ってる様にテンポが良い。 それでいて航空業務における技術的なギミックなども ふんだんに盛り込まれていて飽きさせない。 そしてその裏側もまあ、極端なんでしょうけれども 赤裸々にコミカルに描かれている。 何より力まずサラリと撮っている所が非常に良いです。 あと、秀逸なのは配役ですね。 この人をココにというのがキッチリと詰められていて 全然違和感が無い。 私的に好きなのは管制塔で双眼鏡握ってる、クールなお姉さん役の宮田早苗さんです。 あと、凸凹コンビのグランドスタッフ田畑さん。 この人も良い俳優さんに成りましたね。 一見温厚そうなサラリーマンで 実は短気な菅原大吉さんもいい味出してます。 なんていうのかな、出来の良い舞台劇を見ている様で 主役級を喰ってしまっている脇役陣というのでしょうか。 はっきり言ってこの映画 時任さん以外は主役級が全部脇役に喰われていたと思います(笑) 欲を言えば現場に口を出す無能な上役見たいなのが居ると 筋立てにアクセントが出来て、もっと面白かったのかも知れませんが 最後までスリリングでコミカルな風合いを保ちつつ、一気に観れた辺りは 最近2,3年の日本映画の中で1番面白かった作品です。 今回はオマケの8点にします。[地上波(邦画)] 8点(2011-02-05 23:37:58)《改行有》

11.  ザ・コーポレーション 先ほど観終わりました。良い作品だと思います。 しかし、基本的に社会ドキュメンタリーというよりは 特定のイデオロギーに元付く教化映画の様に思えて成りません。 昨今の企業、特に大企業は確かに傲慢です。酷いです。 しかし、それはこの映画で描かれている細かい具体的な事柄は兎も角 すでに世界中の多くの国民は認識していると思います。 この映画で描かれる主題を端的に言えば 「もはや市場原理、資本主義は腐り切って、人間に恩恵よりも、大きな害を及ぼす存在と成り果てている」 と、言う事です。 それは分っています。分っていてもどうする事も出来ないで居るのが今の社会なんです。 「明日から極悪な米メジャーの石油元売企業は全て解散せよ!!終わりだ!!」 と、言えばどうなるでしょうか?その翌日からライフライン(電気、水道、ガス)の全てが止まり、物流もストップし あっと言う間に世界は100年前に戻る事に成るでしょう。それを甘受出来ますか? この映画に出演している人々も、特定の企業の牛乳や洗剤なりは、或いは買わないのかも知れませんが 企業の作為や偽善で生み出した文明の果実を、全く齧らずに生活している訳ではないはずです。 つまり、もうそこで矛盾が生まれているし、極悪な特定の大企業を叩いたとしても、社会の本質は変わらないのです。 我々は文明の果実と言う甘い果物を、際限もなくばら撒いている列車に乗っている様なものです。 このままではいけないと思いつつも、100年前に暮らす人々から見れば 安楽で怠惰な甘い文明の果実をもはや、手放せないでいる。そのままで走っている。 つまり、この作品ではそういう部分の結論が出ていないのです。 「現代の資本主義が酷いのは分ったが、では資本主義に変わる新しい社会秩序とは何か?」 その新しい社会秩序なる物も現在の資本主義より もっと人々に大きな利益をもたらす存在に成り得ない限り、大多数を動かす事は難しいでしょう。 「人は利によって動く」何処の偉人も言わない言葉ですが、これが人間の本質を端的に表しています。 ですが、私はムーア氏(多分におこがましいですが)と同じく 無駄と分っていたとしても、自分の出来る範囲で 自分の信じる主義主張で、立ち上がろうと思っています。 それがいま必要な事だ、という事はこの映画を見て良く分かりました。[DVD(字幕)] 7点(2010-11-20 18:48:06)《改行有》

12.  宇宙戦争(2005) 《ネタバレ》 先ほど観終わりました。結構面白かったです。 ただ、ちょっとカタに嵌り過ぎているというか、原作が原作なので余り脱線も出来ないのでしょうけど 特に宇宙人の姿形などは、スピルバーグならではの もっと独特のギミックが有っても良かった様な気がします。 あと、主人公と家族は運が良過ぎると言うかなー 結局、家族全部が助かった辺りも(元妻の家族も含め) んー。。。。私はちょっと好きに成れませんでしたね。 今回は笑い無しの全編シリアスな展開で、そういう所もなんというか もっとあの宇宙人達がポカやらかすとか、地球人から見てアホ見たいな振る舞いをするとか そういう息を抜ける場所が欲しかったです。 モーとにかく、最初から最後まで悲惨で陰々滅々としていて、1つも良い事が無く 最後はエイリアンに仕返しするでも無く(まあ、ちょっとはしましたけどね)、微生物に勝手にやられて全滅してしまう。 なにもインデペンデンスデイ見たいに軽薄にしろと言っている訳ではなく もう少し、起承転結に含みを持たせた展開と結末が欲しかった気がします。 ただ、全体的な完成度はさすがに高い。なので7点にします。 [DVD(字幕)] 7点(2010-10-11 16:55:30)《改行有》

13.  ターミナル 《ネタバレ》 先ほど観終わりました。 異邦人が突然祖国の内戦勃発で、パスポートを無慈悲に取り上げられ、空港内に放り出される。 言葉は通じず、寝る場所も無い、貰ったなけなしの食券は風で飛ばされ、捨てられる(笑) そこで凹まずに主人公が空港サバイバルを開始する様は非常に滑稽 小ネタ、くすぐり満載に作られいて、この辺りはさすがに巧いです。 確かに空港警備の杓子定規さや傲慢さには腹が立ちますが ビクター自身も、空港の椅子をぶっ壊して寝床にするわ 自販機からはジュースをガメるわ、壁は勝手に造作変えちまうわで かなり好き勝手やっていたのも事実です。 ハゲの責任者も小才子然とした嫌な野郎ですが 従業員の行状や過去を知っていても、それとなく見逃していたりと 有る一面では柔軟性も持ち合わせている。 まあ、それを取引条件に使う所などは非常に官僚的でも有りますが 結局の所、仲間の協力などの無理押しで、ビクターが空港から出られてしまうくだりは いかにも強引で、取って付けた様な感じが拭えませんでした。 また、ヒロインとのラブロマンスも極めて中途半端で、どうにも消化不良ですね。 見終わって思った事は、非常にスピルバーグらしからぬ作品だという事です。 彼の過去の作品はどれも一貫した方向性があり、それを追求して行く形で、物語が進行するのですが この作品はアメリカにおける不法移民などの、マイノリティー迫害を描こうとしているのか? それとも単に空港行政における傲慢さや、いい加減さ、弱者に対する軽視を描こうとしているのか? はたまた、主人公の徒手空拳からの成り上がり物語と ヒロインとのラブロマンスなのか??? 実はそのどれもを主題として盛り込みつつも結局、1つも結論に至っていない気がするのです。 また、空港内(フードコートの店員、荷物仕分け、掃除夫)で働く人々が 実は過去アメリカにやって来た元移民であり、アメリカ社会における最下層に近い人々である事 それが為にビクターの行い(ヤギの薬の件)などに拍手喝采を送った事 この辺りが全然説明されてない、説明が成されて無いから方向性が希薄に成る。 だから作品自体も煮え切らないというか、ドッチ付かずに終っている様な気がします。 でも、空港の実態やサバイバルなどは珍しく、最後まで飽きずに観れました。 今回はちょっと甘めの7点にします(笑) [DVD(吹替)] 7点(2010-10-11 15:19:16)《改行有》

14.  サロゲート 《ネタバレ》 みんなさん点数低いですねー^^; 確かに世界観が過去のSF映画に似てたりは有りますが 私はこの難しい題材を意欲的に、よくここまで作ったと感心しました。 遠隔操作で自分専用のロボットを操る社会。操る自分は自宅で寝て暮らし そのロボットが仕事をこなし、報酬を得て暮らす社会。 って、イヤーそれ、私の理想世界ですよ、いやホントに! そう出来たらと何度思ったか知れません(笑) 五感など、感覚器官の乏しいロボットを操るのは疲れる作業かも知れませんが この作品に出て来るロボットは人間と同じか、それ以上の感覚で操れるらしく みんながドップリとこの横着システムに嵌って生きている(いいなぁ。。。) つまり、この作品の主題というのは 「人間がロボット操る事で、その操っているはずの人間の方がロボット化してしまう」 これが全編、骨太なプロットに繋がっていると思いました。 あと、主演のブルースウィリス。 この人が主演だと妙に明るくって オラオラ感やドヤドヤ感が満載のストーリーに成るのが定番なのですが 今回はかなり陰影苦渋に満ちた、渋い役回りに徹していて アクション主体というよりも、謎解きに重き置く展開に成っています。 サロゲートという遠隔ロボットシステムは、人間に表面を小奇麗に繕える自由を与えたとも言えます。 しかし、逆に言えば、人間自体が家に閉じ篭り、サロゲートと自らの姿(実体)の違いを否応無く見せ付けられる。 そして、益々家に閉じ篭り、サロゲート(建前)を益々美化してゆく。 それが人々の至上の喜びとなる。 まあ、何でも度が過ぎると醜くなる物ですが この作品はそういう「醜さや、いかがわしさ」までしっかりと描いています。 そして、最後のカタストロフとその後の再生は 全く、壮観の一言に尽きます。 かなり面白かったです。 [DVD(字幕)] 8点(2010-09-18 13:42:45)(良:1票) 《改行有》

15.  第9地区 《ネタバレ》 中々面白かったです。 ただ、この作品には大きな矛盾が有るのでは有りませんか? 自分で作った1発でビルに大穴を開けられるビームガン(?)を1個のキャットフードと交換したがるエビ 高度なアームスーツ(強化外骨格)を作りながら、それをキャットフード100個と交換してしまうエビ これは何故でしょうか? 私が異星人なら、それ等を利用して人間と戦いを挑み、エビの独立を勝ち取ろうとするでしょう。 しかし、エビ達は物乞いの様に人間へ食物をねだり 不潔で、ゴミを漁り、牛や豚を盗み、僅かな食物を巡って仲間同士で争う。 そして気に入らない事が有れば、すぐに殴ったり殺したりする、当然人間も殺される。 これは言わば、理性感覚の薄い原始人(もしかして黒人だと???)や動物の所業に他ならない。 かと思えば20年以上も母船のエネルギーの原材料を探して、自分たちの星へ帰ろうとしていたエビ達 彼等はエビの指導者だったのでしょうか??? そもそも、あの馬鹿でデカイ宇宙船の中は20年間も調査せずにほったらかし??? まったく、謎だらけです。 つまり、この作品はそういう謎を謎のままにするのが演出の様な所があり 地球へ来るに至った、異星人達の背景や性質について、殆ど明らかにされてません。 そしてそれはついに、最後まで明らかにされませんでした。 これ等を客観的視点による演出としてしまうのは、製作者側のエゴの様な気がしますね。 監督の弁ではこの作品は黒人差別が下敷きに成っているとの事でした。 しかし、作品を見る限り、それには失敗していると思います。 何故なら黒人達は自身が弱い立場だったから、近世に白人の侵略を受け、資源を奪われ、奴隷にされたのです。 彼等にもし、エビの作った機動歩兵が有れば、迷い無く、恨み骨髄の白人達を虐殺して回った事でしょう。 間違ってもキャットフードなどとは取り替えませんよ。 そういうなんと言うか、無理矢理なこじつけっぽいプロットがちょと残念でしたね。 ただ、先駆的なメカアクションや、主人公が受けた理不尽な悲劇、そして陰謀 その後の心変わり、そして秀逸なのが最後の造花作り。。。。 だけど、もうひと塩、味付けが足りなかった。 それがこの作品の惜しい所です。[DVD(字幕)] 6点(2010-09-17 23:36:40)(良:1票) 《改行有》

16.  U.N.エージェント 1990年以降、このユーゴスラビアを巡る長い長い軍事紛争の悲劇はヨシップ・ブロズ・チトーという ある意味では優秀過ぎる指導者の出現から始まっていると言えます。 彼の功罪は徹底した自主自立に元付いた平等主義(自主管理社会主義)でしょう。 1900年代初頭、民族もバラバラなら宗教も言語もバラバラで 欧州の火薬庫と称されていたバルカン半島を あっと言う間に纏め上げた政治力とカリスマ、そしてその歴史的功績 なによりもスターリンの大粛清の災禍を防いだ英雄として 現代に置いても彼を崇拝する社会学者が多いです。 彼はトータルナショナルディフェンス つまり、コミューンと言う国家における最小の自治組織レベルで総皆兵制を敷き 非常に強固な連邦武装中立体制を作り上げました。 しかし、この体制は国内の民族主義を、徹底排除する事で成り立つシステムであり その為の緻密な軍制組織を有していた事が後々の紛争の種と成る。 また、ユーゴの国家体制と言うのはチトーの影響力(政治的カリスマ)が有ってこその体制で ある意味で独善的な超トップダウン的ヒエラルキーであり 「国益の分配を公平に行う」と言う前提条件が崩れてしまえば 後は上層組織が暴走するのは自明のシステムでした。 その懸念通り、彼が死んだ後はその国家システムが瓦解し、民族、宗教ごとの対立が激化し 国民はめいめいの持つナショナリズムに突き動かされ、雄たけびを上げて備蓄されていた武器を取り 隣近所に住む異民族、異教徒へ銃を向けたという状況が簡単に言えばユーゴ紛争の始まりであり スレブレニツァの虐殺は、ラトコ・ムラディッチという扇動者が 幾つかの自治軍からセルビア人の民族主義者を纏め上げて作った いわば独立愚連隊に等しい組織だった。そういう流れがユーゴ全土で連鎖し 軍閥が入り乱れる封建主義的な群雄割拠状態を作ったのです。 ムラディッチは元々国粋的な民族主義に傾倒していて、しかもヒエラルキーの上層を統べる1人であり それに自治区ごとの軍制が伴う為、ある意味で局地的独裁者でも有った事が災いしました。 酷な言い方かも知れませんが、チトーは自分の亡き後、この国がどうなるかまで見通せなかったのでしょうか。 もしそれが見通せて居たなら、チトーは近代史に燦然と輝く、偉人と成っていた事でしょう。[DVD(字幕)] 7点(2010-09-06 22:31:50)《改行有》

17.  サマーウォーズ 《ネタバレ》 え-と、さっきやってたんで書き込みます(笑) 他の人も言ってますが人物描写が甘過ぎますね。 これじゃあとても感情移入出来ない。 少なくとも大人向けでは無い事を理由にする以前に 基本的な部分が煮詰められてないと思いました。 まず、オズについてシステム的なギミックや趣味性が独りよがりというか これで他者の共感を得られると思ってしまう所が痛い。 私は最後まで違和感が有りました。あんなアバターは嫌です。 直感的に理解出来る部分が有ったとしても、細部が非常に説明不足で 例えば原発の制御や、人工衛星の制御をオズで一元化するというのであれば それに足る理由付けや、大きな未来観や世界像が無いと非常に陳腐に成ります。 「その方が合理的で便利だから」では全く納得出来ません。 その他、暗号をノートに列記して解読していますがこれは何故でしょう? 何故、ノートに書き写す必要が有るのか??? 計算ならパソコンの計算ソフトの方が早いでしょう。 製作者側の未熟さと言ってしまえばそれまでですが そういう勘所をおざなり、曖昧にしたまま、勢いで物事を片付け様としても共感は出来ません。 その他、終盤のご都合主義などもいただけませんね。 ただ、そういう目の荒さを除けば非常に勢いがある作品です。 特にラブマシーンの描き方などは斬新ですね。シナリオ自体の目の付け所も悪くない。 問題は細部に拘ってないという事です。話の勢いでカタをつけ様としてしまっているので 最後が花札のコイコイに成ったんでしょう。(笑) それと、ネットワークの全体像や最後は衛星が落ちてくる、じゃあ軌道をずらそう キーボードを乱打して鼻血が。。。これはどこかで聞いたお話ですよね。 いえ、某作品のマネは良いんですが それがが未消化のままに散りばめられているのでかなりイライラします。 もっと作品のシークエンスをキッチリと煮詰めて 独自性に溢れた作品であれば随分と印象が違ったのかも知れません。[地上波(邦画)] 5点(2010-08-07 00:19:39)《改行有》

18.  それでもボクはやってない この作品は裁判も含めた日本の司法制度という物の不備を描くだけでなく 人が人を裁くという正義や法律の原点原理が いかに不完全で嘘っぱちな物かを明らかしにた作品でしょう。 また、日本の場合、江戸時代からの大岡裁きとも言うべき 「まず、お上に対して恐れ入れ、罪を素直に認め、恐れ入るなら許してやる」 こういう封建的俗習に元付いた起訴便宜主義が、未だに当局側で罷り通っている。 逆に考えればこれは犯罪者側にとってはオイシイ話です。 軽微な犯罪なら、被害者に相応の示談金を払い 後は素直に「ハイハイ」と従っていれば、自動的に検パイ(検事裁量の起訴猶予)に成り、釈放だからです。 逆に、今回の主人公の様な冤罪被害者にとっては非常に不利です。 やってもいない犯罪を「やったと言え、やったと言えば許してやる」 と、言われて否認すれば、お上に楯突いた事となり、当局は何が何でも有罪に持ち込もうとする。 警察側の意図でワザとズサンな証拠集めと捜査が成され 有罪を前提とした誘導尋問や、証拠の歪曲が行われた後、検察が強引に起訴に足る証拠固めをする。 裁判所は裁判所で有罪に都合の良い証拠だけを、裁判官の独断で取り上げ それを合理的根拠として強引にコジ付け、有罪判決を下す 全てが可及的速やかに効率重視で、一方的に進められて行く。 これでは有罪率99.9%もうなずけます。話に成らないのです。 何故、欧州などの先進国には死刑制度が無い国が多いのか? つまり、人が人を裁くという行為がいかに不完全で理不尽な行為であるかを 裁判員や裁判官自身が認識し、だから死刑判決の様な重い責任は負えない。こういう事ではないでしょうか? そもそも、海外の裁判員制度は素人の国民でも裁判に参加させる事で 民意を判決に反映させる事が出来るという、公平原理の大儀名分からですが しかし内実は当局側の責任分担(責任逃れ)として作られた制度とも言えます。 翻って考えれば日本の様に死刑制度が有る国が 今までよくも無神経に、こんな司法制度を続けて来たものだと 再認識させられる作品でも有ります。 話は変わりますが電車内の痴漢被害は 「満員電車という、馬鹿馬鹿しい電車の乗り方を無くすだけで0に成る」とは思いませんか?? まあ、これも司法制度と同じく、効率重視の社会倫理の中では馬鹿げた方法だと 一笑に付されてしまうのでしょうけれど。[DVD(邦画)] 8点(2010-06-15 03:56:31)(良:3票) 《改行有》

19.  ヒトラーの贋札 《ネタバレ》 良い作品ですね。 主人公のサリーはロシアから逃れた、元画家の偽札作りの名人で小悪党然とした男ですが 彼の特技は天性、人の本質を見抜く力が有り、それにより彼は生き延び様とする。 当時、写真はごく限られた上流階級にしか縁が無く、カメラ自体も超高価で 下層階級の人間は街で似顔絵を書く、似顔絵師という連中に似顔絵を描いて貰っていた。 つまり、そこまで考え抜いて、あえて危険を承知で伍長に 「絵を書いたのは私です」と、名乗り出る事で自分を特技を売り込んだ訳です。 目論見は図に当たり、単純な伍長はご満悦で自分の似顔絵を書かせ ウマイい具合にそこへ隊長まで通り掛かってお駄賃に食料を貰う事が出来た。 と、まあ、機を見るに敏と言いますか、実に抜け目の無い男なのです。 そんな男が移送先でバッタリと出会ったのが 以前贋札作りで逮捕された犯罪捜査局のヘルツォークと 共産主義者のブルガーという若者だった。 このヘルツォークも実はサリーと同じく、抜け目ない奴で たぶんサリーを知っていたからこそ ヒムラーにベルンハルト作戦(偽札作戦)を進言したのかも知れない。 実に食えない男です。 また、ブルガーはサリーと正反対な理想主義者です。 ある意味、死にたがっているとも言える程に現状に絶望している。 サリーが単純な小悪党に終らないのはその精神の根底に 「悪党に成り下がった現在の自分」と「ロシアで捨てたはずの理想や同胞意識をむき出しにした過去の自分」 の両方が有ったからでしょう。 彼が単なる小悪党ならブルガーをナチに売っています。 それをせずに極限状態の中で何度も危ない橋を渡りながら ブルガーや仲間達を庇ったのは、ブルガーの中に過去の自分を見たからであり 忘れ掛けていた同胞意識の目覚めと相まって、彼等を助ける事が目標に成った。 逆に言えばブルガー等を庇うサリーの立場をギリギリまで立てて 事を遂行しようとしたヘルツォークも、タダ者ではないと言えますね。 現に偽ポンド札の製作には大成功して、実際にトンでもない額が当時の市場に流れてしまいました。 サリーは戦後、マンマとヘルツォークから贋札を奪って逃げ失せますが 結局思い直して、カジノでわざと全部スッてしまう。この辺りはまあ、出来過ぎですな(笑) しかし、この手の映画の中では、実に小気味良く、しかしちゃんと内容有る作品に仕上がっています。[DVD(吹替)] 8点(2010-05-26 04:26:23)(良:1票) 《改行有》

20.  シッコ 《ネタバレ》 今見終わりました。 お恥ずかしい事に私もこの監督の事を色眼鏡で見ていた1人でした。 しかしこの作品は文句無しに素晴らしい。医療ドキュメンタリーとしては傑作の部類です。 アメリカにおける医療問題の歴史を細部に至るまで詳しくリサーチして 彼独特の表現方法で作品にしています。 彼の作品は全般にどれもシニカルです。 だがこの作品は、そう、確かにシニカルでは有りますが 同時に暖かいヒューマ二ズムにも溢れている。 突き詰めれば結局、アメリカは資本主義がトコトン行き着いた国だと言う事なのでしょう。 政治が1部大企業の言い成りに政治を進め それが医療に関してまでクチバシを入れると、どういう事態に成るのか? それを年代も踏まえ、赤裸々に暴露しています。 政治家は皆、金を掴まされ製薬会社の代弁者となり ごく限られた金持ちだけしか正当な医療を受けられない。 貧乏人は文字通り、身ぐるみ剥がれる様に、有り金を全部医療費に巻き上げられ 必要な医療を途中で打ち切られ、そのままガンが進行して死んだり カネが無くなったと見るや、路傍へ打ち捨てられてしまう。 文字通り、「文無しは死ね!うせろ!」と、こうです。 私は目を疑いましたが、今やアメリカではそんな事が日常茶飯事に行われて居る。 はた、と、考え直すと日本でも現在、特別養護老人ホームに申し込んでも 全国で42万人の待機者が居て、仕方なく劣悪で小規模な介護ホームへ押し込まれた 寝たきり老人が火災で7人焼死したというニュースや 他にも収入が無く、健康保険料が払えないからと言って自治体に保険証を取り上げられ 医療を受けられない人々も増えていると聞きます。 その一方で大規模外食チェーンのオーナーが病院経営の規制緩和を求め 病院事業の株式化を政府に働きかけていたりしている。 つまりわが国も決して「対岸の火事」では無いと言う事なのです。 作品の後半に呼吸器の薬がアメリカ本土で買えば120ドルもするのに キューバでは僅か5セントで手に入る事を知り、女性が号泣していた場面が有りますが 「日本では絶対その様な事態に成らない」と言えるのでしょうか? 私は今の日本医療の現状を考えると空恐ろしく成ります。 また同時に、オバマ大統領の成立させた皆保険制度が早晩覆らない事も祈ります。。。 [DVD(字幕)] 9点(2010-05-03 00:44:46)《改行有》

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