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プロフィール
コメント数 47
性別 男性
年齢 49歳
自己紹介  敬愛するマルクス兄弟の次男 (僕も次男です) にして、知る人ぞ知る屈指の男性ハープ奏者、ハーポ・マルクスよりハンドルネームを拝借。彼と同年代のチャップリンに始まり、同じく同年代のキートン、ロイド、そしてサイレント期を含めた「クラシック」映画を、喜劇を中心に邦画・洋画問わず、こよなく愛しています。

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1.  ザ・ビート~青春の鼓動 《ネタバレ》  これより2年後に公開された、あの『いまを生きる』を先取りしているかのような、高校が舞台の「詩」が大きなポイントとなるドラマ。開巻と同時に、いかにも危険なスラム街という感じの、車道や壁の寒色が目に焼き付いてくるような街並み。登場する高校生たちは、男女とも喧嘩っ早くドラッグに手を出し、バスケットボールのスリー・オン・スリーのようなゲームやボクシングに興じていますが、その服装や顔付きと言い、街並みとは対照的にどこか洗練されている感じさえして、不思議な画になっています。  彼らが通うオスモ・ハイスクールは、日本のいわゆる課題校以上に暗く、乱雑な雰囲気ですが、教師たちは一様に「ひからびた」顔付き。そこへ転校して来るレックスは、往年のフランス男優ジェラール・フィリップのような面影を持つ、風采の上がらない生徒。登場するや、早くも「トロ公」とからかわれ始めるも、日本のような陰惨さはなく、周りもそういう奴と割り切っているようで、これも妙に彼らの洗練さを窺わせています。レックスは、一風変わっていながらも、次第に仲間たちにも受け入れられるようになり、そんな彼の影響か、エルズワース先生の国語の授業でも、詩のテストでの彼ら成績は、みるみる向上して行きます。  クライマックスは、即興詩人のレックスに徐々に触発されたビリーとケイトの兄妹が、学校の文化祭 (タレント・ショウ) で自作詩の見事な朗読をするところ。「ビーッ・ザ・ビーッ (Beat the beat) 、バ!バ!」というチャンツに乗って、対立していた街の不良グループ同士までもが1つになって行く辺りは、『いまを生きる』に比べれば確かに荒削りなプロットかも知れませんが、率直に気持ちの良いものです。ラストで、忽然と姿を消したレックスを探して、かつて彼と来た海岸に来る一団を照らす、目に鮮やかな夕陽と、聳え立つビル群。オープニングとの見事な対比は、素晴らしいと思います。「今、私は誰?」「誰になりたい?」詩の世界では、みんな自由に誰にでもなれる、という手ほどきを残して、風のように消えたレックス。これぐらいの粗さは、却って想像力を心地よく刺激してくれると思います。日本では劇場未公開、ビデオ発売のみ (DVD発売なし)、ケーブルテレビで放映されただけの、知られざる佳作です。[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-08-26 02:30:30)《改行有》

2.  ラヴ・ハッピー  マルクス兄弟の最高傑作との誉れ高い『我輩はカモである』から20年、チームとしては第2次世界大戦直前に一度引退しながら、『マルクス捕物帳』に引き続いてカムバックして作られた、珍しいハーポ原作・主演の映画。結果的に、これがマルクス兄弟最後の作品となりました。  全体的に、昼間の場面でもどこか夜のような独特の雰囲気が漂っています。『我輩はカモである』を何回も観た直後に初見したのですが、この時61歳だったとは思えないハーポの、一向に衰えていない奇想天外な魅力、そして何と言っても、十八番のハープ演奏のシーン (今回は「スワニー河」) は絶品です。開巻直後のストーリー説明と、終盤に登場する私立探偵、サム・グルーニオン役のグルーチョも、この頃から始めていたクイズ番組の司会者っぽい、当意即妙のウィットを披露。チコは、20年前の『ココナッツ』以来となる「ジプシー・ラヴソング」を見事に演奏して、愉しませてくれます。  因みにこの映画、レンタル店で借りられると思いますが、その時はよく探してみて下さい。コメディのコーナーにない場合は、チョイ役でワンシーン出演しているマリリン・モンローのコーナーに置いてあることがあります (僕が発見したのは、このケースでした) 。[ビデオ(字幕)] 10点(2007-10-19 14:12:45)《改行有》

3.  雲の中で散歩  僕にとって、アンソニー・クイン演じるとぼけた祖父が何とも良い味を出して忘れられません。キアヌ・リーヴスが初めて家に来て、ぽつねんとそれを虚ろな目で見ていたお祖父さん。キアヌを明らかに嫌っている主人から、「パパも何とか言ってやれ」とけしかけられるや、何と「よく来たね」と答えて「落とす」所には、大笑いしました。他にも、大好物のチョコレートを食べると、しみじみと喜びの呻き声を上げたり…。『ナバロンの要塞』でも、ほんのちょっぴり垣間見せた意外な三枚目ぶりは、34年経っても健在でした。[映画館(字幕)] 5点(2007-03-02 22:59:06)

4.  娘道成寺 蛇炎の恋  私生活でも、日本舞踊を習っているという牧瀬里穂さんですが、本職の中村福助さんに比べて、彼女が実際に躍るシーンが非常に少なかったのが、何とも残念です。モダンバレエの練習シーンは多かったのですが…。それにしても、ラストシーンが難解で…。牧瀬さんの変わらぬ美しさに、6点啓上します。[映画館(邦画)] 6点(2007-03-02 22:58:44)

5.  G.I.ジェーン 《ネタバレ》  唯一今でも覚えているのが、デミ・ムーアに救命してもらった鬼上官が、いつも引用していた詩集を、彼女のロッカーに残して歩み去るラストシーン。そして、肩越しに振り返って初めて僅かに見せる微笑…これには、不覚にもグッと来てしまいました。[映画館(字幕)] 6点(2007-03-02 22:58:16)

6.  キートンのエキストラ  キートン初の完全トーキー映画。台詞回しや声が、容貌と釣り合わずに凋落していった、大部分のサイレント映画時代のスターとは違い、キートンはなかなかどうして良い響きのバリトンの声の持ち主。ラスト近く、ソロで聴かせてくれるミュージカル・ナンバーとダンスも、さすがに幼少の頃から舞台歴があるキートンに相応しい出来栄え。ただ、MGMならではのミュージカル重視作品故に、キートンの名人芸のアクロバットが、この映画では影を潜めてしまっているのが残念!とは言え、台詞合わせ (監督の演技指導) で、台詞以外の余計な部分までいちいち喋ってしまって、監督の突っ込みがエスカレートしていく様は、後年の日本でのドリフターズやコント55号のコントでも、忠実に再現されていただけに、その元を見つけたようで嬉しかったです。[DVD(字幕)] 7点(2007-03-02 22:57:57)

7.  ニッポン無責任時代  植木等さんやハナ肇さんが、所々で「まったく、戦後生まれの奴らは…」「まったく、最近のニッポンは狂っとる!」と文句を言うのが、妙に印象的でした。今も、この頃から変わってないどころか、ますますひどくなる一方なんだよな…。[ビデオ(邦画)] 7点(2007-03-02 22:57:18)

8.  キートンの月ロケット  サイレント映画時代の三大喜劇王の一人、バスター・キートンの、延べ127本出演作のうち、MGMを解雇された1930年代後半以降の脇役出演のものは、実に半分にも上ります。中には、『ハード・ラック』 (1921) のように、かつては現存しないとして「幻のキートン映画」と呼ばれていながら、再発見されたという珍品もあります。 この映画は、そんなキートンの後半生の、膨大なB級出演作の中でも、珍品中の珍品: (1) メキシコで撮った作品です。 (2) オリジナルはスペイン語ながら、何故か現存するプリントは、英語吹き替え版のみ (Amazon.comにも、これしかありません) 。 (3) 日本では劇場未公開にも拘わらず、何とビデオ発売されています (Yahoo!オークションで偶然出品されていたのを、入手しました) 。  ストーリーそのものは、往年のサイレント映画時代のような奇想天外かつ荒唐無稽なもの…と、それを言っちゃあおしまいですが、何よりも第二次世界大戦が終わった年に作られた、キートンの珍しい出演作。しかも、キートンを含めて出演者全員の台詞が、スペイン語から英語に吹き替え…というだけでも、非常に謎の映画 (笑) 。『サンセット大通り』 (1950) 『ライムライト』 (1952) という名作へのゲスト出演に比べると、非常に地味で知られざる仕事ですが、これも紛れもないキートン映画なのです。[ビデオ(字幕)] 7点(2007-03-02 22:56:50)《改行有》

9.  ホット・ショット2  前作に比べると、ほんの僅かに切れが落ちている感じはしますが、パンフォーカスで撮られた画面の隅々にまでギャグが満載されている愉しさは、相変わらずお見事。それにしても、英語の同音異義語を活用したギャグ、ジョークが光ります。字幕も、それを活かすべく結構工夫されていますね。いわゆる「駄洒落」もちょっと含まれているのですが、全然寒くなく、例えば駅の場面での「ボード!」など (→探してみてくださいね) 、視覚的な笑いへ増幅されているのには、大笑いしながらも感心してしまいました。[映画館(字幕)] 8点(2007-03-02 22:54:52)

10.  ミセス・ダウト 《ネタバレ》  大好きなロビン・ウィリアムスの、エンターテイナーとして面目躍如ぶりには、拍手喝采!そして、あまり触れられていませんが、家政婦ミセス・ダウトファイアとして、かつての我が子たちに接するダニエルが、冒頭とは別人のように毅然として、言葉遣いやマナーなどをきちっと躾けているのには、感心しました。もちろん、「上品なイギリスの老婦人」になりきった上での立ち居振る舞いの一部なのでしょうが、ただ単に厳しく厳格なだけではなく、素顔のダニエル本来の楽しいキャラクターがあるからこそ、子供たちもちゃんとなついたのかも知れません。  ところで、ラスト近くのTV番組収録のシーンで、つまらないので降板させられていた恐竜番組の講師のおじいさん (25年間も担当!) が、後釜のミセス・ダウトファイアの番組で、郵便配達夫役としてちゃんと復帰していたのが、ちょっぴり嬉しかったです (本人も、実は結構楽しそう!) 。[映画館(字幕)] 8点(2007-03-02 22:54:24)《改行有》

11.  ご冗談でショ  舞台での長い芸歴を引っ提げて、『ココナッツ』 (1929) で映画デビューしたマルクス兄弟が、舞台を離れて本格的に映画に出演するようになった第2本目の作品。今の日本の大学生に対しても、グルーチョ学長の皮肉は十分な切れ味を発揮するでしょう。チコとハーポの公然たる間抜けっぷりには、敬意さえ表したくなるほどです。この映画では、ライトモチーフとして全編を通して至る所で4人の兄弟に歌われる (ハーポは、口笛で馬に聞かせて、得意のハープでも絶品の演奏を聞かせてくれます) 、『Everyone Says I Love You』という歌が素晴らしいです。これは後年、グルーチョを師と仰ぐウッディ・アレンの『世界中がアイラブユー』 (1996) の原題名に使われ、その劇中でも、マルクス兄弟へのオマージュとしてやはりライトモチーフとして聞かせてくれます。[映画館(字幕)] 8点(2007-03-02 22:53:42)

12.  チャップリンのニューヨークの王様  チャップリンが、名作『ライムライト』 (1952) 完成後の渡欧中に、アメリカ司法局から再入国は保障せず、という事実上の国外追放の通告を受けて、そのまま住み着いたヨーロッパで撮った、最後の主演作。確かに、前作に比べてちょっぴり太めになったチャップリンは、「放浪紳士チャーリー」の頃の全盛期よりも切れこそありませんが、どの時代になっても変わらぬ、彼らしい愉しい演出を見せてくれます。僕が好きなのは、シャドフ王がホテルの浴室で、隣の浴室でシャワーを浴びながら歌を歌っている女性を覗き見ようとするシーンと、アン・ケイと一緒に出かけるナイトクラブでの、2人組コメディアンのパントマイム・ショウのシーン。どちらも、チャップリン自らがじっくり演技指導をしたに違いない、彼の動きや表情、仕草をそのまま忠実に再現したような、実に愉しいシーンに仕上がっています。また、この映画ではホテルのルームサービスや、レストランで料理を注文するシーンが、やたら多く出て来ます。チャップリンの映画では、食べ物が特に丹念に写されることが多いと思うのですが (例:『犬の生活』でのホットドッグ、『キッド』でのパンケーキ、『黄金狂時代』でのドタ靴や豆スープとコーヒー、『街の灯』でのスパゲッティ、『モダン・タイムス』でのバナナや自動給食機でのとうもろこし・スープ・ケーキ、カフェテリアでのお盆2つ山積みの料理の数々…などなど) 、この映画を観た後、僕もホテルに泊まってルームサービスを注文してみたくなりました。[ビデオ(字幕)] 8点(2007-03-02 22:52:27)

13.  吾輩は猫である(1975) 《ネタバレ》  明治時代の庶民、富豪、貧乏インテリの家庭の様子が垣間見られたようで、あの独特の空気が印象的でした。蛍光灯がない時代の家って、やっぱり今と比べれば薄暗く感じられるものですね。それにしても、東風さんの考案した「俳劇」の劇中劇が笑えました。高浜虚子のある俳句が出来るまでだけ (!) の超短編一幕ものにも関わらず、舞台に柳の木を植え、そこに生きたカラスを縛り付け、おまけに裸の美女 (既に、イメージは苦沙弥先生の姪・雪江さんで決定済み) に行水させるというセット。そこへ、何故か花道から、寒月さん扮する高浜虚子が飄々と登場、舞台の全景を見渡し、感嘆の声を漏らして「行水の 女に惚れる 烏かな」という句を読んで、おしまい (笑) ほんとにこれを全部見せてくれるという市川監督の発想にも、笑えました。  あと、三波伸介さん演ずる高利貸の滑稽な尊大ぶり、そして終盤で大臣候補から降ろされ、落胆して一転してのコミカルな物腰:「 (溜息) 煙草もない… (湯呑みの蓋を取り、口元へ持って行って初めて空っぽなのに気付き、無言で凝視してから) …お茶もない。ナンニモない」――まさに喜劇役者でしたね。[CS・衛星(邦画)] 8点(2007-03-02 22:51:10)《改行有》

14.  クレージー作戦 先手必勝  バックに流れる、青島幸男さん作詞の『いろいろ節』が愉しい、オープニングのクレジットロール:「ア、いーろいーろ~あるーよ、いーろいーろね。そんなこーたどーでも…いぃぃぃぃぃっじゃねえか」という、植木等さんの歌声は、ライトモチーフとして劇中にも再登場。その直後に、ハナ肇さんも少し歌声を披露。やっぱり、クレージーキャッツは音楽が中核であったことが、再認識出来ます。開巻直ちに、ごろ寝している植木さんが『スーダラ節』を口ずさんでいるクロースアップ…と思いきや、カメラはぐんぐん引いて行き、何と彼が留置場に拘留されていた、というギャグ。警備員や同じ房の拘留者たちに、「いやぁ!どうもご苦労ご苦労!」と鷹揚に声をかける、植木さんならではの無責任男ぶりは、特に秀逸です。[CS・衛星(邦画)] 9点(2007-03-02 22:49:52)

15.  男はつらいよ 純情篇 《ネタバレ》  タイトルバックが鳥瞰撮影という、シリーズの中でも珍しいオープニング。序盤のサブプロットで登場する、森繁久弥さん・宮本信子さんという名優が登場するのを暗示しているかのよう。中盤辺りから登場する、 (寅次郎曰く「スケベ医者」の) 山下医師。これを演じているのは、後に二代目おいちゃん役として出演する、松村達雄さん。渥美さん、松村さん、そして初代おいちゃんの森川信さんが、束の間だけ同じ画面に登場してのやり取りが、もう堪りません。  松村さんは、おいちゃん役以外でも『男はつらいよ』シリーズに度々出演していますが、本作での山下医師は特に秀逸。「あの先生はなぁ、自分の腕に自信がない時は、すぐに他の医者を紹介するんだ。その点じゃあ、信頼出来るぜ」と、おいちゃんが珍妙に評して言う彼は、若尾文子さん演じるヒロインが寝込んだと (誤って) 聴くや、息せき切って駆けつけるものの、具合が悪いのは寅次郎だと聞かされるや、呆れて帰って行くという豹変ぶり。  また、終盤近くで、寅次郎が診療室に乗り込んで来た時も、何と咥え煙草で「はいぃ。息を…ふぅーーと吸ってぇ…」と、長髪の患者を聴診中という有様。直後、その患者が「男」と判るや、松村さん独特の「バカァ!」が炸裂するというシークエンス、BGMもない地味なものですが、非常に秀逸なおかしさでした。  (*2005年6月30日付け追記:松村達雄さん逝去の報に接し、追悼の意を込めて再見しました。松村さん、貴方は素晴らしかったです)[ビデオ(邦画)] 9点(2007-03-02 22:49:11)(良:1票) 《改行有》

16.  男はつらいよ 葛飾立志篇 《ネタバレ》  マドンナの筧礼子「先生」が、眼鏡をかけて考え事をしながら歩いていた…と、米倉斉加年さん扮する巡査が話していたのを、耳をダンボにして聴いていた寅さん。早速、眼鏡屋から自前の眼鏡を買って登場。そこの主人を初め、周囲の人は茫然自失の怪訝な顔。先述の巡査も、すれ違い様にそれが目に入って、思わず自転車からずっこける。直後、場面は帝釈天へ。結び付けられていたお御籤をいじっている源公の前で、インテリぶって眼鏡をずり上げる寅さん。声を殺して笑い続ける源公の側から、御前様が登場。「考え事をしていました」という寅さんに、「いったいぃ、ナニを考えておったのかニ?」「はい、己について考えておりました」「己について…お前が…!」こうして、久しぶりに御前様からお茶に誘われた寅さん、「昔、中国にぃ…達磨ジェン師という偉い坊さんが…」という講釈を垂れる御前様の後に付いて行くか、と思いきや、まだ声もなく笑いのツボにはまっている源公の所へ小走りで戻り、「…達磨ジェン師!」と、御前様の口調を真似た掛け声と共に、源公を一撃で蹴り倒す。御前様の笠智衆さんの、あの独特の台詞回し。そして、渥美清さんと佐藤蛾次郎さんのコンビが先述のシーンで見せる、タイミングと動きの抜群の巧さ。全体の一部のシーンですが、これ自体が完成したコントのように思われる、秀逸なものだと思います。[ビデオ(邦画)] 10点(2007-03-02 22:48:52)(良:2票)

17.  七人の侍 《ネタバレ》  英語字幕付きのアメリカ版ビデオを、Amazon.comから買って、何度も何度も観た映画。  2000年5月、地元の総合図書館が主催した黒澤明映画祭では、この『七人の侍』が抜群の集客力でした。僕が最も好きな「侍探し」の一連のシークエンスの中で、勘兵衛の武勇と優しさにしびれ、木刀代わりの薪を上段に構え、戸口で待ち伏せしている勝四郎を見破った五郎兵衛の「はっはっはっはっは…ご冗談を」には、勘兵衛と一緒になって膝を叩いて感嘆し、五郎兵衛が「ところでお主…野武士を、30人ほど斬ってみる気はないかな?」と持ちかけられた途端に、ガタッ!と薪割りを仕損じる平八に大爆笑…と、観客が素晴らしく一体となって食い入るように観入ったのを、昨日のことのように思い出します。  今や伝説となった、クライマックスの豪雨の中の死闘の末、久蔵と菊千代を失いながらも野武士を全滅させたシーン。勘兵衛に「野武士はもうおらん!」と宣言された瞬間、子供のように慟哭する勝四郎。その瞬間、安堵感と疲労でがっくりと膝を着く「連合軍」のロングショットの虚ろな美しさ。その時、会場から思わずすすり泣きの音がちらほら…。劇場で観られたことを誇りに思います。[映画館(邦画)] 10点(2007-03-02 22:48:26)(良:1票) 《改行有》

18.  男はつらいよ 寅次郎夢枕 《ネタバレ》  冒頭から、帰郷した寅さんがまた旅に出て行くまでにかけての、一連のシークエンスが秀逸。珍しく早い段階で帰郷した寅さんを巡って、とらや一家が自分のことを褒め称えてくれる様 (本当は、早速ヘソを曲げかけた寅さんへの対処策) に感激して改悛し、御前様もわざわざ彼を褒めに訪れ、早速翌日、彼の縁談でみんなが奔走するも、結果は案の定無反応。そこへかかって来た、寅さんへの縁談の電話。これを、電話に出た二代目おいちゃん・松村さんの受け応えのみで展開させる描写が、とても良かったですね。  また、中盤から登場する、午前様の甥である東大助教授・岡倉先生。これを演じるのは、その後のシリーズにも脇役で登場する、米倉斉加年さん。自身も東大卒である山田洋次監督が、大学の研究者をカリカチュアして、変人として描いているのは、ちょっと誤解を六回ほど与える危険性もあるものの (笑) 、なかなか徹底していて、これはこれで面白かったです。[地上波(邦画)] 10点(2007-03-02 22:47:59)(良:1票) 《改行有》

19.  国士無双(1986)  衛星映画劇場で放映されていた時に、30分経った辺りから何気なく点けて観たのですが、中井貴一さんが原田美枝子さん (終了後に、ネットで調べて彼女だと判りました) をおんぶしようとしたり、フランキー堺さん扮する伊勢守 (本物) との対話・その後の決闘など、終始一貫している脱力感と間抜けっぷりには、ハマりました。いや、今もずっとそうです (←現在完了形) 。  それにしても、特定の台詞の可笑しみを、さらに強調するべく瞬間的にインサートされる映像 (にゃ~んと鳴く猫の顔のクロースアップや、鰻の蒲焼を焼く模様) の数々には、大笑いしました。もし、今度放映されたら絶対に録画しますぞ![CS・衛星(邦画)] 9点(2007-03-02 22:47:10)《改行有》

20.  マルクス一番乗り  前半の、保安官から借りた馬草代を稼ぐために、チコがグルーチョをペテンにかけるシーンが、まさに秀逸。『マルクス兄弟 オペラは踊る』の時と同様、兄弟はクランクインする前に地方巡業を行い、舞台で観客の前で主要なギャグを演じて、その反応を基に推敲を重ねたとか。舞台出身のマルクス兄弟だけに、そこで鍛え上げたアンサンブルを基本に、映画的な演出を加えてスケールの大きな楽しさを余すところなく発揮しています。唯一、惜しい点があるとすれば、それはミュージカルシーンがやや長過ぎた感が否めないことでしょうか。とは言え、高らかに堂々と歌い上げるラストシーンは見事![CS・衛星(字幕)] 9点(2007-03-02 22:45:56)

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