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コメント数 49
性別 男性
年齢 77歳
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1.  花とアリス〈劇場版〉 よかった。よく分からないのに、観たあと、さわやかで味わい深い何かがしっかり伝わってくる。コミカルなのに繊細で確かな存在感を放っている二人の少女とその世界。その孤独。最後のバレーのシーンでも、なにかしらはっきりはしないのに、自然に周りの者たちを惹きつけてしまうものがあるということか。すれっからしの大人たちにも、外部にも、この世代の少女たちからあふれ出るなにかがみんなにも分かるはずだ、という監督のおおらかな確信に敬服。[CS・衛星(邦画)] 9点(2018-04-25 20:48:25)

2.  バグダッド・カフェ この不思議な気持ちは何なのか。訳も分からないのに深い余韻に浸される、ほんとに不思議な映画だった。映像もすばらしい。ラスベガスに向かう砂漠の中に、オアシスのように確かにある異空間。私たちの身近にもあるのかもしれない。この映画の魅力はやはり、あの太ったドイツ女、主人公ジャスミンの魅力ではないだろうか。少しの誇張もなく、どこまでも抑えられた演技のせいか、じっくり考え、まっすぐに人を見るジャスミンの、抱きしめたくなるような人の良さがひかる。それがみんなの心に染み込んでいく。最後のショウは圧巻だった。いつまでも忘れないだろう。本は読んでも、本の良さは読む人の力量にかかってくる。映画は観るだけで心をこんなに豊かにしてくれる。[CS・衛星(字幕)] 9点(2014-10-11 16:56:24)

3.  ギルバート・グレイプ 観終わって、もやもやしてたものが、370の「たきたて」さんのコメントを読んですっきりした。たきたてさん、ありがとう。/今日この作品を二回目観て、改めて青春映画の傑作という気がした。前回観たときはなぜか(もしかしてギルバートを誘惑する奥さんとのことに攪乱されて)その全体像を結べなかった。二回目観てはじめて優しくてかしこいベッキーとの出会いのすばらしさ、澄み切った二人の会話の自然さ、すばらしさに気が付いた。バスの中で…、土砂降りの雨に打たれながら…、焚火のそばで…。本当に感動的だった。[CS・衛星(字幕)] 9点(2014-07-29 09:50:08)

4.  マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ 《ネタバレ》 病気のお母さんがどういう気持ちでいたのか、もしかして子供らにちょっと冷たいお母さんだったのか、それは謎のまま。ふつう私たちは家族の愛情、特に母親の愛に支えられて厳しい世間に出ていく、とイメージしている。そこでも家族の絆が支えになっていて、やがて歳をとれば、自分の親や家族のことを改めて振り返り、その絆を確認したりもする。けどこの映画は逆だ。少年は、病弱だが「本ばかり読んでる」お母さんとの絆にずっと悩んでいる。あらかじめ失われた絆をどうすれば結びなおせるのか、どうすればよかったのかと考える。「犬のような人生」だと考え、人工衛星に乗せられたライカ犬より「自分はまだマシ」と慰める。ところが過酷に見えた外の世界ではあったが、叔父さん夫婦やその周りの人々、学校や新しい仲間、男の子のふりをしている美しい少女とのつきあい、それらみんなが少年を慰め、見守り、成長させて行く。そうやって少年の傷をいやしていく。もしかして、こちらの方がより真実に近いのかもしれない。そしてこう考える方が救われる。元気が出てくる。すばらしい映画だった。[CS・衛星(字幕)] 9点(2014-07-18 01:26:39)

5.  ショーシャンクの空に 観たのは二回目だけど、やっぱり素晴らしかった。筋立ての緻密さや物語の面白さ、ほとんど非の打ち所がない。それにしてもなぜこんな特異な状況での物語にわれわれが強く感情移入してしまうのだろうか。われわれを取り巻く現実がいかに厳しく、そこからの脱出がいかに絶望的に見える場合であっても、人は希望を捨ててはいけない。今のこの現実とは違う、別の、希望に満ちた世界があることを信じなけれないけない、そういうことをこの映画が訴えているからだろう。われわれもまた今の一人一人の現実のなかにしっかり取り込まれているのではないか、そこから勇気を出して抜け出そうとすることを、諦めているのではないか、そういうことを考えた。[CS・衛星(字幕)] 9点(2014-07-15 22:30:47)

6.  サイドカーに犬 子供は何もかも知っているのかもしれない…。けれどそれを自分の意志としてに表すことができないし、もしかして言葉にさえならない形ですべてを感じ取っているのかもしれないのだ。自分も子供のころ、苦しい胸の内を周りの大人たちに言えなかった経験がある。男の自分さえそうだった。まして女の子…。この映画は、一人の少女が父親の風変わりな愛人…実はこの上なくやさしい女性…の少女への愛情を感じ取りながら、次第に一人の一人前の女性に成長していく…その出発点に立つという話だ。最後の、父親の腹にする頭突きは、少女の怒り…それは父親と父親の背後にある子供には訳の分からない大人たちの世界に対する言葉にならない怒りなのだろう。わたしはこの映画を見て涙が出て仕方がなかった。[ブルーレイ(邦画)] 9点(2014-05-30 22:55:58)

7.  恐怖のメロディ この映画、以前から題名だけは知ってたけど初めて観た。1971年の上映時には新鮮だったのでは。たしかに怖い。精神医学の対象になるような現代人・白人社会の病理が古典的に描かれてる。それを際立たせているのが黒人の多用。主人公の仕事上の相棒も身代わりに被害にあう手伝いさんもそして最後に難を逃れて主人公たちが安らぎを得る黒人集会。音楽のせいだけではないだろう。このころまでは黒人対白人の対立はシンプルだったということか。保守派のイーストウッドはそういうことをしっかり踏まえて出てきたということがわかった。そして後の彼の作品の原型をなすように、複雑な問題を最後の一撃で解決する。もっとも本質的で正当な暴力によって。[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-12-25 12:27:20)

8.  センチメンタル・アドベンチャー 何年か前にBSで観たものを録画でもういちど観て、やっぱりよかった。アメリカがまだまだ貧しかった時代。いったん住み着いた土地から、不況でたくさんの労働人口が吐き出されていった時代のこと…。人の世の過酷さと、そこで夢を追いかけて生きるしかない人間の哀しさが、淡々と描かれている。人は何を求めて生きるのか。なぜ苦しまなければならないのか。主人公のレッドだけでなく、彼に巻き込まれてしまう者たち全員が、はかない夢を追い求めてしまう。そんななかで甥のホイットだけは、最後まで冷静にレッドを見つめ、理解し、愛おしむ。何という悲しい作品だろうと考えこんでしまった。その埃っぽく哀れな夢に向かって生きる人間の姿をイーストウッドは、最後までレッドに寄り添ったホイットのやさしい心で受け止め、救おうとしたのだろうか。レッドの遺した小さな作品たちに何かが遺ると言いたかったのだろうか…。それにしてもこのホイットを演じた子役、イーストウッドの実の息子だという。見事というほかない。すばらしかった。[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-04-01 19:59:39)

9.  ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 《ネタバレ》 なんともいえないほど不思議で、映像もきれいで、考えさせられる作品だった。いつかもう一回観ようと録画を残しておこうという気になる。何がほんとにあった事実かというのは解らないから、それはいったんわきに置くとして、作品が語ろうとしている限りでの真実を推測するとしてもやっぱり次のようになる。トラの物語は、一人で漂流をつづける間に少年が、それまでの船上での惨劇から自分の心を守るために、動物たちの物語に置き換えて作り上げたものだった。だから救出されたときの一番の感情も、そういう自分との別れ、、その悲しみ、そこからの新たな出発ということになったのかもしれない。日本の神さまとも近いはずだから、これからはヒンドゥーの神々のことも少しは勉強しなくては…と思った。なんか人間の宗教的な悲しみというようなものが、映像の美しさとともに、強く心に残る作品だった。[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-01-03 14:29:33)

10.  アメリカン・ビューティー 《ネタバレ》 久しぶりに解釈に苦しむ骨のある映画を観た、という感じだ。こんな過激なものがすでに1999年に出て、社会からある程度まで評価されたというのだから、アメリカという国はやはりすごいなあと感心してしまう。家族というものに、子供を中心にした、あるいは夫婦愛を核にした求心力が働いているのは、まだ子供が放っておけば死んでしまう幼い間だけのことだ。みんなばらばら…なのがむしろ常態であり、それこそ近代家族というものの本質ではないだろうか。どんなホームドラマもどこか気持ち悪いのもそのせいだ。構成員のだれもが耐えてはいけない無理をし、その疑似共同体を生きている。 ではその一人ひとりはどう生きたらいいのか、また可能なのか。それがこの映画のテーマだ。主人公の父親は娘の友達に恋をし、それを成就させようとする。娘は娘で死に物狂いで父親に反抗し、憎んでいる。母親は夫への愛をいったん保留にしたまま、企業の中で地位を占めることに狂奔している。みながそれぞれに軽薄だ。だがこの物語を書いた原作者に一番近いのはおそらく、娘の恋人になっていく燐家の青年だ。彼だけが冷静で自分も行動しながら全体を見ている。 青年は崩壊するアメリカのただ中にあって、一人ひとりが必死に生きるしかないと言う。そのとき一人ひとりの、その一瞬一瞬に現われる美しさ、それがアメリカン・ビューティであり、それに賭けるしかないという。それはこの映画でのように最後の悲劇で終わる可能性も秘めている。だがアメリカはそんなことは百も承知なのだ。この映画に現われている救いはただひとつ、娘と青年の二人だ。この二人により最後の悲劇が確認されて映画は終わる。二人の結びつきが不幸な全体を受け止めたということか。[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-11-30 21:56:30)《改行有》

11.  蜘蛛女のキス 《ネタバレ》 これは監獄に収監された政治犯と、彼をスパイさせるために同室に送り込まれたゲイの物語。けれど主役は圧倒的にゲイの男の方。かつて軍事独裁政権だった韓国も民主化され、アウンサンスーチーのビルマ(ミャンマー)もそれが終わろうとしている。この映画の男が闘っているような20世紀の政治はますます地上から消えつつある。そしてその名残を記憶にとどめようとするかのように、この男の「政治」は古典的だ。そういう時代の「政治と人間」というテーマでした。だからもう「人間」の方が深くて輝いて見えるのは隠しようもない。しかもこの男の述べる政治・信念からは、本当の葛藤、リアルな切迫が感じられない。作品として表現されていない。だけどこの映画のいちばんの面白さは、最後に、そんな男の「政治の貧困」を知ったうえで、自分の出獄時、男のために危険な任務を引き受けてやり、それに殉じてやるところにある。そして最後は男の仲間に、組織を守るため殺されてしまう。 政治というものの過酷さは昔も今も変わらない。それを批判しても仕方ない。だが政治を一歩づつ良い方向に進めてきたのは、圧倒的に多数の、名もない「人間」たちなのだということかもしれない。[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-08-08 09:37:44)《改行有》

12.  フェイク 《ネタバレ》 おとり捜査官のドニーはうだつの上がらない兄貴分のために、足を洗うカネを家に隠し持っていた。めったに家に戻らない夫の愛情を信じられなくなっていた妻が、そのカネを見つけて夫を疑う。そのときのドニーの言葉が悲しい。「おれは仕事に殺されて息もできない。でも抜けられない。見殺しにできない。正義の味方気取りで今までやってきた。結果はどうだ、君の言う通り今ではおれもマフィアみたいだ」。若かったころわれわれの多くは正義の味方気取りで世間に出た。そしてその世間からみな抜けられなくなった。そのしがらみのなかで愛する者を見つけ執着する物にとりつかれた。ドニーは任務をやり遂げ、こちらの世界に戻る。戻ることで何を得たか、こちらの世界とはどういうものか。この作品はきっちりそれを問うている。二人の主役も周りのマフィアたちも、全員の演技が冴えわたっている。日本のたけしのヤクザ映画など恥ずかしくなってくる。[DVD(字幕)] 8点(2014-11-03 15:45:14)(良:1票)

13.  ストレンジャー・ザン・パラダイス なんなんだ?この分かりにくさ。訳が分からん。分からないときは他の人の感想を読んだら、誰か一人はうまく説明してくれてるんだけど、それもない。それなのになんか面白い。なんかいいんだよね。おもしろい!観終わるとうれしくなってくる。だれかが、書いてたけど、やっぱりあの彼女のたんたんとした、それでいて優しい、しっかりした魅力。これが中心にある。そして最後の結末や、全体を通じての二人の男の可愛いバカさ加減。人生って皮肉なものだねってことか。観てよかった。[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-10-03 18:56:22)

14.  ワイルド・レンジ 最後の銃撃 アメリカ民主主義の原点を確認するような、気持ちの良い佳作。日本のナイーヴな絶対平和主義者なら何と観るだろうか。[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-08-19 18:59:54)

15.  マイ・ルーム ダイアン・キートンとメリル・ストリーブの演じる姉妹。ディカプリオの演じる妹の息子。三人の関係がそれぞれ良く描けていて見ごたえがある。完成度の高い作品で、すなおに感動できた。人は報われることなく愛せるものなのだろうか。ダイアンキートンのやさしい顔を見ていると本当のような気がしてくる。彼女のおかげでみんなギリギリのところで救われていく。本当だと信じたい。[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-08-12 17:21:10)

16.  ザ・マスター 《ネタバレ》 なんとも不思議な映画だ。けど分かる。これはマスター(教祖)と呼ばれる男と主人公との友情の物語だ。偶然、マスターのもとに転がり込むが、戦争で受けた傷を治せず、マスターの教えにも染まらないまま、憑かず離れずにいる主人公。いったい何を考えていっしょにいるのか、初めから終わりまで(正確には終わり近くまで)分からないまま映画は続く。二人の関係について考えてみた。およそあらゆる宗教の教祖や、なんらかのイデオロギー団体でそれなりの地位を保っているほどの男なら、心のどこかで、もちろん無意識にだが、自分のかかげる教義が嘘であること、言わば人の心を救う作り話であり、そういう理論装置でしかないことを知っているのではないだろうか。だから「マスター」は、この男を見限れないし、信頼もしている。簡単に主従関係に入ることで心の安定を求めようとしないこの男の自由さに友情さえ感じている。主人公の自由で、自分になびかない、訳のわからない魂に、自分と合い通じるものがあることを感じ取っているのだ。さて、ほとんど何を考えているかわからないままの、そしてどこか異常なままの主人公は、マスターが最後に、もう一度戻って来い、一緒にやろうと提案した時、初めて苦しい選択に迫られた表情を見せる。これ一回だけだ。しかし男は自由な生き方を選ぶ。どんなに貧しく惨めな孤独でも、一人で生きる…自由に生る…、そんなつぶやきが最後に甘い歌に乗って響いてくる。終わる直前まで、暗く憂鬱なだけの映画だったが、かすかにかすかに…おかしみのような哀しさが伝わってくる。(ちなみにカルトの話というと敬遠しがちな方のために一言述べておくと、マスターの教義はけっして狂信的なものではなく、一言でいえば輪廻転生みたいなもので、どこかにこんなのが一つや二つ現われてもいいなあ…と思う程度のものです)。[DVD(字幕)] 8点(2014-07-27 18:55:40)

17.  八日目の蝉 《ネタバレ》 これは幼いころの一時期、自分を誘拐した女に育てられた記憶を持つ主人公(井上真央)が、そのせいで屈折した関係しか築けなかった実の両親との、和解に至るまでの死と再生の物語だ。その和解は映画の最後になってやっと訪れる。自分を誘拐した女(永作博美)との幼い記憶を離島に訪ね、そこで女が別離の瞬間までいかに自分を愛してくれていたかを、はっきり確認できて初めて可能となる。過去を取り戻し、過去を肯定できて初めて、同時に、自分も両親(特に母親)を憎んではいなかったと言えるようになる。そして自分も彼女(永作)や島の人々が自分を愛してくれたように、やがて産まれてくる自分の子をも愛せるという自信を持つ。なぜ死と再生の物語かというと、こうしてはじめて主人公は死を選ばず、八日目の蝉になっても、一人で新しい世界を見ようという気になれたのだから。エンジェルというカルトやライターとの関係など、あまりすっきりとしない面もあったが、それらを差し引いてもすばらしいラストだった。永作の演技が光っている。すべてが明らかになり、最後に中島美嘉の歌が鳴り響くのもよい。[CS・衛星(邦画)] 8点(2014-07-21 16:12:42)(良:1票)

18.  おとなのけんか 《ネタバレ》 なんともいや…すごいというか、ここまでやるか…というか、欧米人(アングロサクソン)のすさまじさに呆れるし、脱帽もする。日本人などが想像もできないほど思弁的で感情的だ。ため息が出るほどの違いだ。子供のケンカに端を発して二組の夫婦が事後処理に集まるが、収拾がつかなくなる。それどころかますますエスカレートして、二家族の間、二つの夫婦それぞれの間、4人の大人それぞれが入り乱れて喧嘩しはじめる。子供同士はなんなく仲直りしたことが最後に示唆されているが、少しもめでたくはない。最後には全員が消耗しつくし、くたくたになって果てるが、終わりではない。そのことは花瓶に投げ込まれて故障していたはずのケータイが復活して最後に鳴りはじめることでも分かる。じつはこの小道具がこの劇の隠れた舞台回しをやっていた。悪辣な製薬会社の顧問弁護士をやっているケイトの夫に何度もかかってきて、4人の話し合いを中断させる。これが訴訟社会・競争社会である外の世界を思い知らせている。劇の進行と会社に入れ知恵する男の助言がぴったり合っている。原題はCarnageとのことだが、これは「修羅場」か、それとも「リベラルな」ジョディが話すスーダンの「大量虐殺」も暗示してるのか。つまりそういうアフリカの現実ほどわれわれは荒んでいるということか…。たしかにこれはやり過ぎでもある。最後の三分の一くらいになると、もうやめてくれと言いたくなる。しかしそれは私の甘さかもしれない。酒も入り四人をズタズタにすることが監督の狙いだったのかもしれない。とにかくすごかった。わたしの好きなケイト・ウィンスレットが立ったまま大量のゲロを吐く。あの演技はあらかじめ口に含んでいるだけではできないはず。胃から吐き出したとしか考えられない量だ。あのシーンを抜きにしても、すべてが徹底していた。まったく毛唐のやることは…、明治人ならこうつぶやきたくなるような、そんなすごい映画だった。[DVD(字幕)] 8点(2014-07-20 15:27:52)

19.  フライド・グリーン・トマト 《ネタバレ》 アメリカ民主主義の健全さか?黒人差別を乗り越えてきたアメリカの自由や女性解放のたくましさを見せつけられるようで…さわやかな感動をおぼえる。よくまとまっている。黒人奴隷をかかえていた南部諸州でも、彼らを家庭内に擁してよい関係を結んでいたこともわかる。この映画のテーマはこういうことか…。時には人を殺してしまわなければならないような厳しい闘いによってはじめて、黒人も女も解放される。そして何よりも友だちを守るために闘わねばならなくなるときがある。その愛の連鎖により、人は世代を超えて何かを伝えて行く。 ところで…最後まで見ても分からなかったけど、物語を語ってくれた老婆ニニーはイジー本人なんだよねえ。他人の事のように語っていたけど。だからルースの墓の前にお供え物があったことをあらかじめ知っていて、それを彼女に教えた。(そうだとすると蜂蜜をいつのまに用意していたのかわからなくなるけど…)。こういう理解でいいかどうか誰か教えてくれないかなあ…。[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-07-09 16:56:53)《改行有》

20.  ミスティック・リバー 社会の不条理をこれでもかと見せ付けられるクリント・イーストウッド監督渾身の力作…、とだれかが書いてたけど、ほんとにその通りだと思った。圧倒的な空気感です。音楽がほとんどないのに、得体のしれない通奏低音が鳴り続けているような不思議な感覚です。人間の不条理や狂気の連鎖、憎しみの伝播?そういうものが最初の性犯罪から始まって、人の社会はこれを断ち切ることができないのだ。そしていつも取り返しがつかないところにまで進んでしまう。要するに救いがないのだ。そう考えると、不満が残ったこの映画の終わり方もすこし受け入れられるような気がしてくる。みんな病んでいる。いちばんまともに見える刑事さえ、妻の無言電話にどう対したらいいのかわからない。そして真犯人は人々の予想もつかぬところに見つかる。予想もつかない悪意や憎しみが人間の社会には潜んでいるのだ。この物語の終わり方をどうすればよいのか、イーストウッドにもわからなかったのだと思う。唯一示された救いは、最後に刑事が自分から先に心を開き、妻が電話の向かうでやっと口をきいた…ということくらいか。[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-06-22 21:14:03)

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