|
1. レスラー
めちゃ深い映画。
年老いてもプロレスで会場を沸かせる一方、娘との不和、貧窮、恋などリング外で待ち受けるのは厳しい現実。それは目を覆いたくなる程のリアリティで描かれるプロレスで負う傷や病気よりも痛々しい。そんな辛い現実と寿命を確実に縮めるが華やかなリングのどちらが自分のステージなのか葛藤する主人公。
プロレスにはどちらが善玉でどちらが悪玉かというシナリオが決まっているが、現実世界にはそんなものは存在しない。
”名前”が人生において選択した道を表現している点も深い。[DVD(字幕)] 9点(2020-03-25 13:32:27)(良:1票) 《改行有》
2. キル・ビル Vol.1(日本版)
《ネタバレ》 クエンティン・タランティーノ監督4作品目。
タランティーノ節炸裂で最高に楽しい作品だった。これは常識破りのタランティーノの発想、センスを純粋に楽しむ映画。ストーリーは単純で同じ暗殺団の仲間にリンチされお腹にいる子供を奪われた(と思った)花嫁の復讐の物語。
時系列入れ替えによる脚本と超個性的なキャラクター達に奇想天外な世界観、壮絶アクションの数々、アニメの挿入。楽しめる要素がてんこ盛り。千葉真一に栗山千明、田中要次、國村隼といった日本人キャストも多数出演。
キルビルの世界観は常軌を逸しているが、虜になる。沖縄で寿司屋を営む服部半蔵から日本刀を授かるとか東京のヤクザNO.1の用心棒GoGo夕張は超凶暴な女子高生で制服姿で鉄球みたいな凶器を操るとか、一見なんやそれと思うけどだんだんその設定が自分の中でハマってくる。
印象深いシーンも多い。ブライドとヴァニータ・グリーンのナイフでの決闘にクレイジー88との死闘。意外と変態医者バックを倒すシーンも好きですね。そしてオーレン石井との雪の降り積もる日本庭園での闘い。ユマ・サーマンとルーシー・リューがお互い片言の日本語で言葉を交わして始まる一騎打ち。オーレン石井を倒して流れる梶芽衣子の修羅の花は最高!
キルビルは全編にわたりタランティーノの選曲センスが冴えわたる。opのBang Bangに始まり布袋の有名なテーマ、Don't let me be misunder
stoodなど最高のマッチングを堪能できる。タランティーノは自身の映画に既存の歌や音楽しか使用しないことについて自分の映画の本質を理解できない知らない人に作曲を頼みたくないからだとコメントしているが、タランティーノ主導の元で既存のものを使用するからこそこのマッチングも成立していると言わざるを得ない。
とにかくタランティーノの繰り出すアトラクションのような映画。日本人にとってはニヤニヤしてしまう箇所も多いし、映画として未体験ばっかりでとても面白かった。これぞタランティーノ!!
ただ、いくらなんでもクレイジー88は血が出すぎ。[DVD(字幕)] 9点(2019-09-14 21:04:00)(良:2票) 《改行有》
|