みんなのシネマレビュー
楢山節考(1958) - ドラえもんさんのレビュー
◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

タイトル名 楢山節考(1958)
レビュワー ドラえもんさん
点数 10点
投稿日時 2005-09-06 18:37:28
変更日時 2005-09-07 11:18:00
レビュー内容
深沢七郎が1956年に発表した原作を木下恵介が映画化した作品であり、後年今村昌平がリメークした同名タイトル作品のオリジナル版でもある。そして木下作品としては、「二十四の瞳」と並ぶ昭和を代表する名作である。 物語は信州の山奥深い寒村を舞台にした、姥捨てという因習に基づく老母とその息子の心の葛藤と情愛を描いたもの。いくら“口減らし”の為とはいえ、70歳を迎えると山へ捨てられるという「掟」の情け容赦のなさ。土着の古臭い慣習からすれば、非人間的で残酷な行為でさえも正当化されてしまう怖さ。貧しさからくる因習は余りにも露骨であり、その悲惨さは信じ難いほどだが、本作は決してそういった暗い部分を前面に押し出して描こうとはしていない。むしろ聞き伝えの民話をひたすら叙情的に描こうとしたものであり、斬新で実験的な手法を用いることで木下恵介の才能が存分に発揮された作品だったと言える。黒子が口上を述べる場面から始まるように、その演出はまるで舞台劇をそのままカメラに収めたような方法で統一されている。舞台装置としての書き割りや、場面が変換するときの幕の使い方、あるいは照明に至るまで徹底して舞台的な構成と演出に拘りながら、神秘的かつ荘厳で、どこまでも格調高く描かれていく。まるで歌舞伎を観るようなその様式美は、色彩設計ですら人工的でありながら、統一された美しさを醸し出している。そのテーマ性とは趣を異にして、全編木下作品らしい温か味を感じさせる一方で、田中絹代演ずるおりんが臼で歯を折るという、本編で最も凄惨なシーンとして強烈に印象が残っている。その静寂を破壊するかのような音の響きは、未だに忘れられない。鴉が谷底から乱舞する夕景の中、母親と息子の道行きの終盤のシークエンスは、本作の最大の見所である。とりわけ後ろ髪を引かれる思いで山を後にする息子の背後で、白く雪が降り始めていた姥捨山が、晩秋の景色に変わるという演出の見事さ。言葉ではとても表現できない情感溢れる名シーンであり、これこそが演出の妙というものなのであろう。 もはやこれを芸術と言わずして何と言おうか。確かビデオ化はされておらず、目に触れる事の少ない作品だが、機会を見つけて是非鑑賞して欲しい傑作である。
ドラえもん さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2013-04-06007/スカイフォール56.50点
ダイ・ハード/ラスト・デイ84.83点
2008-05-06長江哀歌86.04点
2007-10-18ツォツィ96.26点
2007-07-29世界最速のインディアン97.41点
2007-07-29ブラックブック87.43点
2007-04-29ポセイドン(2006)75.87点
2007-03-18ディパーテッド95.98点
2007-02-25それでもボクはやってない107.60点
2007-02-18単騎、千里を走る。66.64点
楢山節考(1958)のレビュー一覧を見る


Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS