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男はつらいよ 寅次郎子守唄 - 鱗歌さんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 男はつらいよ 寅次郎子守唄
レビュワー 鱗歌さん
点数 8点
投稿日時 2014-02-22 04:20:35
変更日時 2014-02-22 04:20:35
レビュー内容
コメディならではの強引さが楽しい作品です。まず博の労災事故、ここで早くも看護師さんであるマドンナが登場して物語の布石を打つ。え、強引どころか、計算された脚本やんか、ってか。しかし、寅さんが帰宅し、老後の備えの話題となると、まるで会話を事前に予期し構想を練っていたかのように、壮大かつ軽薄な計画をスラスラ披露する寅さん、当然喧嘩となりとらやを飛び出すが、老後の備えと称していた通帳を捨て台詞と共にさくらに渡すと、それは実はさくら名義の通帳だったというオチ。喧嘩してカッコよく飛び出すところまで全て事前に織込み済みだったとしか思えない寅さんの全言動、コメディたるもの、このくらい強引でなくっては。そこから一転、侘しい港町でアンパンを買う寅さんの姿、風情があっていい感じ。しかし強引さは手綱を緩めず、知りあった甲斐性無しの男に赤ちゃんを押しつけられる展開。この後、登場人物の誰一人、警察に届けるべきという発想を持たないのが大変よろしい。この赤ちゃんが寅さんとマドンナを結びつける存在であり、一方とらやの面々はこれを阻止しようとムダな足掻きをする訳ですが。マドンナも強引にとらやに出入りするようになり、最初っから、寅さんにホレさせておいて後で別の男に走る算段だったとしか思えない。このシリーズのマドンナとして、これだけ自分の義務(?)に忠実なヒトも珍しいのでは。寅さんもこれに応え、いつにもまして軽薄で無責任な言動の数々を披露。当然にして最終的にマドンナは他のムサい男を強引にも選択。失恋したと知った瞬間に旅支度をする寅さんも、それを大して止めもしないとらやの面々も、素晴らしいほどに要領が良く、こういうストレートさも本作を実にサバけたものにしています。例の赤ちゃん、最後まで物語をかき回す役として存在してくれればいいのに、残念ながら作品の途中で退場してしまう。こうして物語を「整理」してしまうのが、本シリーズの限界かとも思う反面、最後に「遠い空の下で元気にしてるよ」と顔を見せてくれるのが、本シリーズの優しさか、とも。ところで、コーラスに参加した後のさくら、丸めた紙を持ってますが、楽譜ですかね。丸めちゃってるってことは、もう参加する気ないんですかね。喫茶店で丸めた紙を窓際に押し込んでましたが、このまま置いて行く気なんでしょうね。と思ったらその後のシーンでもまだ持ってましたね。意外に続ける気なんですね。
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