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タイトル名 |
田園に死す |
レビュワー |
一般人さん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2006-04-12 21:23:34 |
変更日時 |
2010-09-18 00:14:23 |
レビュー内容 |
いま見終わりました。いつか見たいと思ってた映画だったですが。
私は小説の方はまったく読んでないんですが、この映画の本質はなんと言うんでしょうか 日本の山村には、古くから奇習や因習と共に外帯的に広がりの無さから 外から見ると相当おかしい倫理や常識が、実は今でも罷り通る地域が多数有ると聞いた事が有ります。
手塚治虫氏の著書に「奇子」という、近親相姦を題材にしたこの手の悪しき村社会を描いた漫画作品が有りますが つまり日本というのは戦後、外面だけは高度成長を果たし、小綺麗な町並みを手に入れたが 1皮剥けば寺山氏の描く魑魅魍魎が跋扈し、その歪を覆い隠しつつ履行する社会なのである。
と、そんな感じの風刺が数多く出てきます。まあ、それだけじゃ無いんですけどね。 また氏独特な田臭と言うんでしょうか。土臭い演出がより一層それを際立たせています。
その他、個性的な登場人物が多数出てきまして、その中でも一番印象に残ったのは 死神装束の噂婆さん達を、もっとも忌まわしく、象徴的に描いている事です。
実は彼女達こそ日本の古き因習の根源であり しかしその一味でもある母を持つ寺山氏自身の弱点であり だがそこから遁れ様としても決して遁れられぬ宿命であり そしてこの映画唯一にして最大の矛盾点でも有る。こんな所でしょうか。
ラストで殺すはずだった母との食卓を現代の町並みと重ね合わせた事が 氏の苛立ちと葛藤を如実に表しています。 今と成ってはあの頃がそういう時代だったのか としか言えませんが ある意味、この作品も戦後史の1つなのかも知れません。
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