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タイトル名 |
バウンド(1996) |
レビュワー |
黒蜥蜴さん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2003-12-11 13:30:27 |
変更日時 |
2003-12-11 13:49:05 |
レビュー内容 |
文句なしに傑作だと思う。マフィア映画はたくさんあるが、レズビアンのカップルにマフィアが引っ掻き回されるという発想がおもしろい。(構図としては、極端な男社会であるマフィアの世界を、女が崩しにかかったという点でフェミニスト的だという捉え方も可能だが、明言は避ける。)ストーリーの面白さや脚本の良さにもうなったが、五感(視覚、聴覚)に直接働きかける演出が何よりも印象的だった。俯瞰やズームを効果的に駆使したカメラワークにより、映像に三次元的な厚みと閉塞感を与え、この物語自体がある種の閉鎖された世界で繰り広げられていることを象徴、それによって各人物間の緊張が増幅される。そして、クライマックスで白いペンキの上に、真っ赤な血を流して倒れ込むシーザー。白と朱の色彩コントラストによって金を巡る戦いの最後を締めくくり、その熾烈さを見事に物語る。さらに、コーキーとウ゛ァイオレットのからみのシーンでの音響。絞り出されるかのようにもれる吐息や、レザーが擦れる音といった動物的でエロチックな効果音(吐息っていうのは音響と言うよりは厳密には役者の演技の一部か?ま、「効果」的に働いた「音」ってことで・・・)が、両者の間の野性的なまでに激しい愛情を巧みに表現している。こういった五感への働きかけで、骨の髄までどっぷりとこの映画の世界観に浸かり、心の芯の部分でじっくり堪能することができたと思う。映画の醍醐味を再度味わった。 |
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