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タイトル名 |
素晴らしき哉、人生!(1946) |
レビュワー |
円盤人さん |
点数 |
6点 |
投稿日時 |
2004-12-23 18:19:22 |
変更日時 |
2004-12-23 18:30:05 |
レビュー内容 |
いい作品ですが、2時間は長すぎます。ハートフルな寓話テイストの物語なら、まず100分以内に収めたいところ。その点で脚本は今ひとつですね。長さの要因となっている一例を挙げましょう。ジョージ(ジェームズ・スチュワート)が娘の担任教師をなじって、その夫に殴られるエピソード【A】。これによってジョージは神を見限り【B】、唇を切ります。唇の傷は、別世界に連れて行かれたときのオン・オフ表現に使われます【C】。「Aからの因果関係によってBとCがもたらされる」わけですが、これは脚本的に言うと「BとCを導くためにAという伏線をしいている」ということなんです。しかし一方で、ジョージが車で木に激突する場面が別に存在します。BとCにはここから繋げることもできる。つまり、車の事故で悪態をつき、血を流したことにしてしまえば、わざわざAのエピソードを入れる必要がなくなるんです。しかも担任教師と夫はこの一連の流れでしか登場しないんですから、まるまるカットしても特に問題ありません。本作は、その場その場の楽しいアイデア(2ドルの夫婦など)が冴え渡っていますが、こうした伏線が全体的にうまくない。カットしても作品の質が損なわれない部分が多いとしたら、やはり脚本の詰めが弱いのです。にもかかわらず後味さわやかなのは、物語自体の温かみもありますが、最後の最後になって、本作では随一ともいえる最高の伏線――「天使のベルの音」が鮮やかに決まるせいでしょう。 |
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