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タイトル名 |
ガタカ |
レビュワー |
よしのぶさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2009-09-06 17:26:37 |
変更日時 |
2009-09-06 17:26:37 |
レビュー内容 |
SFとサスペンスとヒューマンドラマと恋愛の見事に融合した作品。不適格者ヴィンセントにとって宇宙へ行くとはどういうことか?それは天上であり、神に近づくことであり、差別され続ける地上社会を逃れること。夢であり、自己実現であり、存在理由の根源なのだ。それが故にどのような手段、たとえ違法であろうとも宇宙に行こうとする。DNAの優劣で身分や職業が決められてしまう社会への挑戦でもある。彼の身分詐称、偽装工作は徐々に剥がれてゆくが、理解者も増えてゆく。DNA提供者のユージーン、恋人のアイリーン、弟の刑事、検査官。宇宙に行くことで、彼の夢は達成されたのだろうか?ユージーンの場合を考察してみよう。彼はDNAエリートだが、エリートの世界ほど競争の激しいものはない。銀メダルしかとれずに挫折し、車に飛び込んで自殺未遂。(エリートならもっと確実に死ぬ方法を選ぶはずだが…)下半身不随に。生活費を得るため、ヴィンセントにDNAを提供するが、次第に彼の夢に向かう生き方に共鳴してゆく。エリートが不適格者(生まれながらの敗者)に心を打たれたのだ。だがこれが悲劇の引き金となる。ヴィンセントがユージーンであるためには、入れ替わった自分が消滅しなければならない。彼はヴィンセントに自分を託し、自分を消滅させる。バッドエンドだ。そもそもこの物語は「偽装工作すれば夢が叶う」というメッセージに受け取られかねない危険性を孕んでいる。偽装にばかり焦点が当てられるからだ。ラストは正々堂々とジェロームとしてではなく、ヴィンセントとして宇宙旅行に行かなければ本当の自己実現にならないだろう。検査員が偽装に目をつぶったように、社会もそれを受け入れる素地がある。弟も競泳で負けて、兄の”努力の賜物としての体力・気力”を知ったのだ。「DNAよりも努力がまさる」がテーマ。「DNAよりも偽装工作」の印象が残るのはまずい。自殺は生命の軽視。努力の大切さを知ったユージーンこと再出発すべきだろう。別人として偽りの人生を続けることがどれほどの重荷になるか、容易に想像できる。誰もが6本指のピアニストのように成功できるはずだ。SFとしての欠点も目立つ。コンタクトや身長伸ばし手術や弱い心臓などは安易に見抜けるはず。殺人事件も監視カメラを見ればいい。また個人情報が保護されていないのは不自然。階段シーンや恋人が全てを悟るシーンなどとてもよかったです。 |
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