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blue - アンドレ・タカシさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 blue
レビュワー アンドレ・タカシさん
点数 7点
投稿日時 2009-08-31 22:25:25
変更日時 2010-02-07 02:14:52
レビュー内容
桐島が遠藤に魅かれた理由は分かります。きれいで大人っぽい物腰と喋り方。タバコを吹かす仕草さえ、自分に無いもので満ちている。妊娠中絶救急車停学という過去も、その偶像の中に納まるエピソードでした。その遠藤は自分のことを「何もない」と言うが、桐島には意味が分からなかった。デッザンを始めた桐島は一気に「何もない」遠藤を置き去りにした。彼女は自分の好きな道を見つけただけ。でも、それが遠藤にショックを与えることを漠然と意識していたはずだ。そこには自分に隠れて妊娠の相手と旅行したことへの抗議、というより復讐も含まれていた。このシーンは残酷だ。美術室で突き飛ばした遠藤が何も言えずに涙を浮かべたとき、初めて自分の仕打ちに気付く。一度感情をぶつけ合えば、元の距離感に戻れる。帰着点から遡ればとても分かりやすい女子高生の感情の流れが、少ない台詞のやり取りで丁寧に描かれる。夜通し歩いた明け方の青い光が、澄んだ空気感の中に二人を浮かびあがらせる。タイトルのblueは未成熟と解釈しました。中年の感想ですが、過ぎ去ってみると10代後半の1ページという以外に後の人生に繋がりを持たず周囲にも言えないような出来事でも、何度も思い出す記憶があるとしたら、それは紛れもなく青春です。この映画はそれをストレートに扱っていると思います。
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