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タイトル名 |
チャップリンの独裁者 |
レビュワー |
空耳さん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2010-07-15 08:00:03 |
変更日時 |
2022-09-10 04:44:43 |
レビュー内容 |
チャップリンはヒトラーと同年同月生まれで(4日しか誕生日が違わない)身長までほぼ同じだったという。本人に扮するというアイディアはそこから出てきたのかどうか知らないが、床屋との一人二役というアイディアは秀逸である。さすがにチャップリンだから笑わせる場面が多くて、いきなり敵陣に一人で侵入してしまう場面、飛行機で水を飲むシーン、デタラメなドイツ語の演説(笑)、ハンガリー舞曲第五番などなど思い返すだけでも笑える。かなり肥満した部下やこれまたお調子もののムッソリーニ(ナパローニ)と合わせてコントばかりなのだが、冷酷な部下(ゲッベルスがモデルだろう)の存在がうまく引き締めている。 が、もちろん本作は単なるコメディではなく、いささかその後の展開を考えると物語的には破綻していると思われる最後の演説が核心となる。どうしてもチャップリンはああいいたかったのだ。全世界に向かって。そして母に向かって(ハンナはチャップリンの母の名前である)。そのメッセージは極めて率直でわかりやすいので、それをどう受け取るかは、あえて論評する必要はないだろう。……ただ、チャップリン亡き後数十年経過した2010年現在いまだ世界は悲惨である。インドや中国など内面に大きな問題を抱えた国が勃興しているのはよいことでは全くない。なぜならどこかで決着をつけねばならず、その決着には流血も予想されるからだ。またルワンダ虐殺をみてもいかに我々が白人中心の人種差別から逃れられないかがよくわかる。安っぽいヒューマニズムで満足することは、もはや我々には不可能なのだ。誤解のないように書いておくと、私はチャップリンが安っぽいと言っているのではない。それを我々が安っぽく解釈してはならぬと言いたいのだ。なおチャップリンは「もしナチスの実態を知っていれば、こんな作品は作らなかった」と言っているそうだが、それを差し引いてもこれをつくった勇気はやはり称賛に値すると思う。この作品以降、チャップリンはアメリカ追放までアメリカの一部の勢力ににらまれ続けることになる。追加:上記投稿からなんと12年が経過した(ここも長寿ですねほんと)。そして「2022年現在いまだ世界は悲惨である」と付け加えなければならない。露宇戦争(勝手に命名した)は戦火の止む気配がなく原発までもが攻撃の対象となる危険も出てきた。世界は二分され、10年前に「問題を抱えた国」と指摘したインドや中国はロシア側につき、このまま第三次世界大戦に突入するという意見すらある。国内もコロナで疲弊し、ロシア制裁からくる影響を受けじり貧となっている最中に元総理が凶弾に倒れ、その後で政治とカルトとのありえない関係が明るみとなり、移民が増え格差が広がり凶悪犯罪が増えつつある。日本は、世界は本当にどうなるのだろうか(2022年9月10日)。 |
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