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タイトル名 |
硫黄島からの手紙 |
レビュワー |
S&Sさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2017-12-08 21:47:00 |
変更日時 |
2017-12-08 21:47:00 |
レビュー内容 |
当たり前ですけどほとんど全編にわたって日本語オンリーのセリフ、こんなハリウッド映画は前代未聞だったそうでゴールデングローブ賞では外国語映画賞を受賞しているぐらいです。俳優も渡辺謙をはじめ名が知れた面々も起用されており、中でも二宮和也はイーストウッドのお気に入りみたいで、今でも日本のジャーナリストから取材されると「二宮は元気でやってるか」と聞くそうです。確かに彼は本作に出演してから俳優としても一皮むけた感じがしますし、現在の活躍は皆さんご存知の通りです。 『父親たちの星条旗』と比べると戦闘場面の壮絶さはやや薄めの感じはしますが、その分守備する日本軍の内情がかなり突っ込んで描かれています。どうしても呆れてしまうのが海軍の無能さで、これは史実でも栗林大将が東京への電報で嘆いている通りです。中村獅童が演じていたあの肝心な時にはヘタレ野郎だった将校も、海軍大尉でした。陸軍の中でも命令を無視する旅団長がいて、こんな組織でよくアメリカと戦争したもんだと感心するぐらいです。そこはアメリカ軍とは大違いですね。考えてもみてください、そもそも硫黄島攻略は日本本土空襲の航空基地を造るのが目的だったわけです。つまり陸軍航空隊のために海兵隊がすりつぶされたわけで、当たり前の様な事ですけど陸海軍が最後までいがみ合っていた旧日本軍では考えられないことなんです。大局的に観ると、旧日本軍とは下士官・兵は優秀なのでどんな国と戦っても苦戦を強いらせることができるが、国力が貧弱なうえ軍上層部が無能なので戦争に勝つことはできない軍隊だったと言えるでしょう。 総じてイーストウッドらしい淡々とした目線で描かれた地獄絵図だったという印象でした。でも彼はアメリカの敵国兵たちも“祖国を守るために必死に戦って死んでいった”ということをきちんと描いていて、それは海兵隊の戦死者と何ら相違はないんだと訴えている気がします。これこそが彼の“硫黄島プロジェクト”の目指したことだったんだろうな。 |
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