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ションベン・ライダー - BOWWOWさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 ションベン・ライダー
レビュワー BOWWOWさん
点数 10点
投稿日時 2009-08-20 17:12:17
変更日時 2009-08-22 09:57:55
レビュー内容
映画の中、ブルース、ジョジョ、辞書の三人の主人公たちはまるで過去も未来も持たないかのように、ただそこに存在している。物語がつい今しがた夏休みに突入したばかりの学校から始まるのは象徴的だ。まんまと学校生活から切りはなされた彼らは糸の切れた凧のように、よるべなくも自由な存在として、夏休みというこれまた涯てしなく自由な時間空間に放り出される。親の存在が実像として全く描かれない彼らはその背後にあるべき家庭からもあらかじめ切りとられており、まさに何ものにも属さない冒険者として、世界に立つのだ。特筆すべきは、相米がいつも以上に子どもたちの内面を描こうとしないことだ。とってつけたようなそのあだ名やキャラクターも単なる記号にすぎず、たとえば辞書と呼ばれる少年が辞書と呼ばれるその所以も、それゆえの活躍も、劇中一切描かれたりはしない。さらに登場人物の顔が見分けにくいロングショットの多用に加え後半ではそれぞれが意味もなく衣装を交換するため、その識別はより困難となる。そうして各自の個性からすらも切りはなされた彼らは、空間を自由に動き回る単なる三つの生命体として、けれどまぶしいばかりの輝きを得る。判別すらもできないこの三者がそれでも画面をところ狭しと躍起になって駆けずり回る姿は圧巻だ。橋から真下の河へ飛び降りる、あるいは自転車から走行中のトラックの荷台に飛び乗る、貯木場の水に浮かぶ木材の上を全速力で走り滑り転び落ちる。そんな子どもたちの体を張った危険行為を相米は遠景の長回しで撮る。派手な見せ場を作るアクション映画とは真逆の、ありのままの生きた躍動をカットを割らずまるごと活写するそれらのシーンは実に感動的だ。輝かしい自由と冒険は、やがて夏休みの終わりとともに終焉する。近藤真彦の 歌謡曲を全力で歌い、踊り、ギリギリ子どもでいられた時間と決別した彼らが進むべきは『台風クラブ』の世界だろう。だがある種刹那的なこの映画に、実は彼らの未来は存在しない。たとえば『お引越し』のレンコのようにそこから先へとつづく未来を見据えることはなく、がむしゃらにその夏を、ただ終える。なぜなら夢のように白茶けた画面の中の彼らは、二度と戻ることのできないあの夏、そこにいたはずの、そしてそこに置いてきぼりにしてきてしまった、あの夏かぎりの私たちの姿なのだ。
BOWWOW さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2019-02-25バーニング 劇場版107.00点
2018-08-12リバーズ・エッジ85.33点
2013-05-25青春神話108.33点
2013-05-02エドワード・ヤンの恋愛時代1010.00点
2013-04-28恋恋風塵97.00点
2013-03-09楽日106.00点
2012-01-24海角七号/君想う、国境の南75.23点
2011-04-02エターナル・サンシャイン96.60点
2011-01-18ソーシャル・ネットワーク76.53点
2011-01-02ファイト・クラブ97.38点
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