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ジョゼと虎と魚たち(2003) - BOWWOWさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 ジョゼと虎と魚たち(2003)
レビュワー BOWWOWさん
点数 9点
投稿日時 2009-10-31 23:50:13
変更日時 2010-05-13 17:50:30
レビュー内容
足が不自由なジョゼは一人で歩くことすらままならない。けれど映画はジョゼをいわゆる身体障害者としては描かない。恒夫をはじめとした登場人物たちも彼女を特別視するようなことはなく、同情も美化もなく描かれる彼女は、単なる変わり者でわがままな一個の人間として、当たり前に存在する。そこがいい。乳母車に乗ったジョゼの頬を平手で打つ恋敵の少女は、敢えて乳母車の前に顔を差し出し公平にその頬を打ち返させる。恋を前にした彼女たちはあくまで対等だ。そんな中、ジョゼの祖母だけがジョゼを「特別」に扱い、彼女を「こわれもの」として部屋に閉じ込める。囚われて生きるジョゼが世界にふれられるのは、祖母の曳く乳母車に乗せられ散歩するわずかな時間だけだ。その乳母車が祖母の手をうっかりはなれたことによりジョゼと恒夫が出会う序盤は、おとぎ話の始まりに実にふさわしい。まだ見ぬ世界を恒夫と共に進むジョゼ。恋人の心強さを盾に獰猛な虎を見ることは、愛する人といっしょになら世界に潜む不安を乗り越えられるということだ。それは閉じ込められた部屋の中で日々、彼女が切実に思い描いた夢であったかもしれない。彼女のそんな幼い願いを一つ一つ叶えてくれる王子さまが、けれどやがて直面し思い知るのは、お姫さまをお城に閉じ込め続けた悪い魔女の手が、か弱いこのお姫様をいかに盤石に守り支えていたかということだ。そのことの困難さ、その重み。彼女を守り抜くには王子さまはあまりに弱く、弱い彼に夢中でしがみつくお姫さまはあまりに幼い。そしておとぎ話は終わる。祖母の手も、ついには恒夫の背中も失ったジョゼ。それでも彼女に一人生きる力を与えるのは、全身全霊で彼を愛した記憶だろう。恒夫の抑えきれぬ嗚咽もまた、どうしようもなく失った彼女の存在のその計り知れない大きさを止めどなく物語る。守ることも守られることも失った彼らはようやく対等だ。共に弱く、そして強い。冒頭のモノローグ、恒夫の声は穏やかで、ほほえんでいるようにやさしい。あるいは台所の床に尻もちで着地するジョゼ。ズシンと響く音。ぶかっこうでいとおしいその音は、彼女が日々を生きる音だ。二人は虎も魚も住むこの世界を勇敢に、今度はそれぞれに、進んで行く。一生忘れることのないおとぎ話を、かけがえのないその血肉として。
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