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アクト・オブ・キリング - かたゆきさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 アクト・オブ・キリング
レビュワー かたゆきさん
点数 7点
投稿日時 2015-07-28 16:02:14
変更日時 2023-10-16 05:54:16
レビュー内容
1965年、インドネシア。軍部によるクーデターが発生し、軍事独裁政権が誕生した。政府に逆らう者は共産主義者として告発され、西側諸国の支援のもと、100万人を超す“共産主義者”が1年足らずの間に殺された。虐殺や拷問の主な実行者は〝プレマン〟と呼ばれる、ほとんどヤクザと変わらない民兵集団だった。当時、彼らは権力者として敵対するものを容赦なく迫害。驚くべきことに、彼らは今も罪に問われることもなく国民的英雄として幸せに暮らしているのだった。今回、取材に応じたそんな殺人者たちは、かつて自らが犯した残虐行為を誇らしげに語り始める。どうして彼らはそんな鬼畜にも劣る行為を嬉々として実行できたのか――。その理由を知るため、本作のスタッフたちは、彼らに当時の拷問や虐殺を自由に再現し撮影して1本の映画として完成させるよう依頼する。本作は、その過程を追い、そんな殺人者たちの形成過程を記録したドキュメンタリーである。主な出演者は、当時プレマンと呼ばれ残虐の限りを尽くしたものの、今では地元の権力者として住民から英雄視されている初老の男たち。つまり当事者自らが当時のことを再現してみせるのだ。例えるなら、本物のナチスが多くのユダヤ人をガス室に送った工程を自ら演じてみせるようなもの。こういう今まであり得なかった手法で撮られた本作は、もうそれだけで観る者の知的好奇心を否応なく刺激してくる。映画を撮るために、久々に集った当時の仲間たちが、まるで学校の同窓会のように抱擁を交わし、そして当時の虐殺の様子を楽しそうに語り始める姿は観客の倫理観に挑戦状を叩きつけてくるようだ。「俺たちは当時正しいと信じられていたことをやっただけだ。それを言うなら、アメリカだってイラクで同じようなことをした。戦争犯罪は勝者が規定するものさ。殺人を責めるなら〝カインとアベル〟からやれ。俺たちは勝者だ、自分の解釈に従う」と主張する彼らに、真に有効な反論をいったい誰が有しているだろう。人間の倫理観の規範となるべき根拠の脆弱性を鋭く問う本作のテーマは、なかなか深いものがある。ただ、後半における「そんな彼らも当時のことを再現する過程で罪悪感に目覚めていった。きっと人間の本質にあるのはやはり〝善〟だ」という既存の道徳観に(無難に)収めていく展開は、残念ながら監督の“逃げ”と捉えられても仕方ないだろう。日本が世界に誇るカルト・ドキュメンタリーの怪作『ゆきゆきて神軍』における奥崎謙三が放っていた真の狂気性には到底及ばない。監督には彼らの心にいまだ眠っているだろう真の闇に、徹底的に肉薄して欲しかった。そうしたら、歴史に残る傑作になり得ただろうに。惜しい。
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