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タイトル名 |
鳥(1963) |
レビュワー |
こっちゃんさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2016-02-25 16:56:19 |
変更日時 |
2016-02-25 22:29:48 |
レビュー内容 |
TVでやっていたのでついつい見てしまいましたw
何故、鳥が人を襲うようになったのか? その原因は描かれてません なぜなら具体的な原因はないから、だと思います
襲ってくる鳥はカラス、カモメ、すずめ?みたいな地場の野生鳥 そこに現れた 都会じみてカラフルで垢抜けたインコ
自分の常識では理解できない異質なもの 既存の常識を覆そうとする革新的な行動や存在 自分には不必要だと思うもの 自分から何かを奪ってしまうことを危惧される存在
それらのものに対しての反発や嫉妬や敵意は 潜在的なもので、自分でも自覚することは少ない ただ、それに賛同するものが群れをなした時に それらは無自覚に顕在化するのです
平和な港町に訪れた、突然の恐怖に カフェに追い詰められた女たちがメラニーに向ける目 そして、その全ての女性たちの意思を代表するかのように 「あんたが来たからこうなった!」 とヒステリックに叫ぶひとりの女性
鳥が凶暴化=暴徒化したのは 鳥一羽、一羽が持っている潜在的な嫉妬や敵意が群れを成し 群れとなったことで無自覚に顕在化しただけのことで、直接的な原因はないのです
あれだけ凶暴だった鳥たちは 逃げようとする家族たちのことを襲いません その必要がないからです
あの状況下でインコを連れて逃げることは非現実的に見えますが 実はそれこそが重要なのではないかと思います
たった2羽のインコは敗北したのです そして、これまで通りの町を維持することを望んだカラスやカモメの群れが勝利したのです
鳥を、学校や会社、国家などの人間界に置き換えてみましょう あるいは絵画や音楽、ファッションなどでもいいです
異質なものや革新的なものへの潜在的な嫉妬や敵意が 群れを成して顕在化することは現実に起きていませんか?
50年前では革新的な映画や映像を作っていたヒッチコック自身が 当時の映画界における変化を妨げるような保守的な存在を 「鳥」に置き換えて批判したのかもしれません
もしかしたら 当事の映画界にとっての「インコ」のような革新的な才能が 「カラス&カモメ」のような群れを成した保守により 潰され消えていったことを寓意したんじゃないか? みたいな深読みをしてしまうのでありますw
鳥が凶暴化した理由が描かれていないことこそ この映画の恐ろしいところじゃないかと思います
鳥こそが世論であり大衆であるのですから |
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