みんなのシネマレビュー
O〔オー〕 - ゆきさんのレビュー
◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

タイトル名 O〔オー〕
レビュワー ゆきさん
点数 7点
投稿日時 2019-04-01 23:09:44
変更日時 2019-04-02 15:11:45
レビュー内容
 「古典を現代の学園ドラマに置き換えてみました」ってタイプの映画は色々ありますが(「小悪魔はなぜモテる?!」「恋のからさわぎ」など)その中でも最初に観たのが本作であった為、非常に新鮮な気持ちを味わえた思い出がありますね。

 そういった「初見補正」のようなものが存在する事、主演が贔屓のジョシュ・ハートネットである事などを含めて考えると、自分の評価は甘々になっているのかも知れませんが……
 それでもなお本作に対しては(意外と良く出来ているんじゃないか)っていう想いが強いです。

 まず、騙されるオセロ=オーディン側ではなく、騙すイアーゴー=ヒューゴが主人公となっている点が面白い。
 ダブル主人公って感じでもなく、完全にヒューゴ目線で物語が進行する為、元ネタの「オセロ」の粗筋を知っていたとしても、目新しい気分で観賞出来るんですよね。
 軍人=スポーツ選手という置き換えも自然にハマっているし、合間合間にバスケの試合シーンが挟まれる事も、良いアクセントになっていたと思います。

 白と黒、白人と黒人という「オセロ」ならではの対比もキチンと描かれているし、オーディンが抱える悩み、ヒューゴが抱える悩み、どちらも観客に理解出来るよう作ってある。
 特に「逮捕歴のある不良少年だったが、スポーツ特待生として、金持ちの白人だらけの名門校に入学出来た黒人」というオーディンの設定は非常に分かり易く、感情移入もしやすいですよね。
 だからこそ、彼の側に尺を取る事無く、ヒューゴ目線の映画として成立させる事が出来たんじゃないかな、って思えました。

 ヒューゴと父親の間にある「心の溝」も丁寧に描かれており、基本的には「嫌な奴」のはずなヒューゴにも、自然と同情出来る形になっている。
 オーディンをMVPとして表彰する際に「この青年を心から愛してる。息子のように」と言ったりする父親には(それ、実の息子の前で言う台詞じゃないでしょうに……)とヒューゴが可哀想になるし「ここでメシ食うの久し振りだね」と、ヒューゴが父子の対話を望んでいるような場面でも、父親はオーディンの事ばかり気にしているというんだから(そりゃあ息子は傷付くし、歪んじゃっても仕方無いよ)と、納得させられるものがありました。

 オーディンを騙す件の演出も良くて、実際は「ブランディ」について話しているのに「デジー」について話していると思い込ませる話術には、特に感心。
 元々「オセロ」には「もっと妻と直接対話すれば、不貞の疑惑なんて簡単に解けたんじゃない?」っていうツッコミ所が存在している訳ですが、本作はそれをなるべく緩和するという意味でも、かなり頑張っていたと思います。
 ニガーという差別用語も巧みに活用されており、自分とは肌の色が異なる彼女を信じられなくなってしまうオーディンの心理にも、ちゃんと説得力があったかと。
 「君は俺の全てだ。友達なんてもんじゃない、兄弟だ」と囁きかけるヒューゴの台詞など、オーディンに対する同性愛めいた想いが描かれている点も「悲劇」に相応しい背徳的な趣きがあって、良かったと思います。

 そんな具合に、色んな長所が備わっている映画なのですが……
 肝心のクライマックスで失速しちゃうというか、あまりにも展開が滅茶苦茶になり過ぎて、観ていて醒めちゃうのが欠点なんですよね。
 「終わり良ければ総て良し」の逆を行く形であり、ラストの辺りは、本作が好きな自分でも褒めるのが難しい。
 特に、ヒューゴが持っていた拳銃がオーディンの手に渡る流れは凄く雑で、そこはもうちょっと格闘させるとか、ボールの奪い合いはオーディンの方が上手いので拳銃も奪われちゃったとか、そういう感じに仕上げても良いんじゃないかって思えました。
 主人公の心が壊れ、狂人になってしまった事を示すかのような最後のモノローグも、ちょっとわざとらしく、自己陶酔が強過ぎて、ノリ切れない感じ。

 オーディンが自殺する際の「俺がこうするのは、黒人だからじゃない」という涙ながらの訴えは良かっただけに、凄く勿体無いですね。
 いっそ、あれを最後の台詞にして、あとは静かな音楽と共に護送されるヒューゴを描くだけの結末にした方が、余韻も生まれ、綺麗に纏まっていたかも。

 優等生ではあるけれど、スポーツの世界では一番になれず、完全犯罪を計画しても失敗してしまった主人公。
 そんな「あと一歩で成功しきれない」という主人公に相応しい「あと一歩で傑作に成り切れなかった佳作」という感じの、どこか物悲しい一品でした。
ゆき さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-03-01映画ドラえもん のび太の地球交響楽88.00点
2024-02-17グリーンブック87.97点
2023-12-26あなたが寝てる間に・・・67.21点
2023-12-20メリーに首ったけ66.23点
2023-11-28メイズ・ランナー 最期の迷宮55.50点
2023-11-28メイズ・ランナー2 砂漠の迷宮64.78点
2023-11-28メイズ・ランナー55.82点
2023-11-03魔法にかけられて67.05点
2023-10-24キートンの蒸気船87.78点
2023-10-19ロイドの要心無用97.36点
O〔オー〕のレビュー一覧を見る


Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS