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戦争と平和(1956) - よしのぶさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 戦争と平和(1956)
レビュワー よしのぶさん
点数 7点
投稿日時 2011-09-23 03:04:17
変更日時 2011-09-23 11:50:26
レビュー内容
「貴族の恋愛」と「戦争」を描く長編。貴族の生活はパーティ、乱痴気騒ぎ、遊びの恋、オペラ、舞踏会、田舎の別荘、狩などで光陰が過ぎる。そこへ戦争勃発、国家存亡の危機である。ピエール(P)伯爵は非摘出子という出生の影響か、気真面目な一方で、虚無的な一面がある。正しいことをしようと思っても、放蕩をしてしまう。戦争や暴力を憎んでいたが、決闘する。矛盾だらけだ。Pは愛されていないと思っていた父と臨終に和解。家を継ぎ、美女エレン(E)と結婚。性格が合わず、別居となり、Eは浮名を流す。PはEを愛していると思っていたが、そうではなかった。彼の信念はぐらつく。Pは戦争の実際を知りたいと思い戦場へ赴く。目の前で繰り広げられる殺戮。負傷兵を救護所に運ぶも既に息絶えていた。戦場の悲惨さを実感して侵略者ナポレオンを憎悪。仏軍はモスクワに進行、露軍と民衆は撤退、放火により首都は燃え上る。Pは首都に留まり、ナポレオン暗殺の機会を待つ。その機会が訪れたが、ナポレオンが火事鎮火を命じる声を聞いて留まる。殺したいほど憎む人間に思えなくなったのだ。彼は捕虜となる。十代の若者が処刑されるのを見る。冬が訪れ仏軍は撤退、捕虜も連行される。歩けなくなれば射殺される雪中行軍。仲良くなった楽天家の農民は途中で落伍。露軍の攻撃で開放されるが、戦闘で親戚のペーチャは死ぬ。まだ戦争が遊びに見える年頃だった。隊長は奇しくもかつて決闘し重傷を負わせた相手で、Eの死を知らせてくれた。隊長の怒りで、仏軍捕虜は全員射殺。◆ペーチャの姉ナーシャ(N)は無邪気で魅力的。かつてPに恋をしたが失恋。その後Pの友人で軍人のアンドレイ(A)と恋に落ち婚約するが、Aの父が難色を示し、結婚は一年延期される。婚約中Eの弟アナトーリと情熱的な恋に落ち駆け落ちを決意。アナトーリには妻がいると知ったPは二人を別れさせる。NはAに謝罪の手紙を送るがAの怒りは消えない。やがてAが重傷を負って帰還。親身に看病するN。Aは心からNを愛していたと知るが逝去する。◆戦争が終り、N一家は家に戻る。家は半壊状態。帰還したPが立ち寄る。抱き合う二人。Nが言う「あなたはこの家のように苦しみ傷つきながらも立っている」。戦争を経験した者にとって平和のもつ意味はとてつもなく大きい。「成し難いが大切なのは命を愛し、苦難の時も愛し続けること。何故なら命が全てだからである」
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