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タイトル名 |
ミュンヘン |
レビュワー |
六本木ソルジャーさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2006-02-05 22:02:51 |
変更日時 |
2006-02-05 22:02:51 |
レビュー内容 |
後半のオランダ女が登場し、ちょっとディアハンター風になってきてから、この映画はモノ凄く面白くなっていったと思う。 何かを感じさせ、何かを考えさせ、深いインパクトを与える、良い映画なので、もう1点ほど加えてもいいかなと思ったけど、平和に胡座をかいていて、民族とか祖国とかそういう感覚に対して全く希薄である今の自分がこの映画に対して深くは共鳴することはできなかった。ましてや、ミュンヘン事件なんてこの映画を知る前にはその存在する知らなかったし、今でもイスラエルとパレスチナの関係もよく分からんけど、あのラジオの音楽の選曲争いなんかもいい例えなのかなと思う。ラジオが自分の祖国と考えると、何か見えてきそうな気がするが。 そんなわけで、自分にはバナの心の動きを感じることしかできなかった。バナは結構よかったんじゃないかな。数人で打ち合わせしていても、どこにいるかも分からないあの存在感のなさ。そんな普通で頼りない男が、家族のため、祖国のためと自分に言い聞かせて暗殺グループのリーダーになるというところがよい。そして、序盤のぎこちなさ、まとまり感のなさから、困惑気味に手探り状態でスタートし、徐々に暗殺グループとして成長していく。リストにも載っていないオランダ女を殺したときの「(偽造のプロの人のことに対して)全然気づかなかった」セリフがポイントだと思う。彼らが祖国のためでもなく殺人に対して享楽的になっていることが分かる。そして逆にあっという間に、追う者から追われる者へと精神的に追い詰められていく様が見事だ。 追い詰められた男に対するジェフリーラッシュ(国)の切り捨てと、妻(家族)の温かさの対比もまた見事だった。 難点をいえば、線で描くのではなく、点と点を繋いでいるようなかなり雑な創りな気もするし、もっと整理して演出したり、事実に基づいているので難しいかもしれないがもっとストーリーや人間関係を膨らませれば面白くできるのではないかという気がしたが、この映画がアカデミー賞にノミネートされたというのはやはりなかなかアカデミー賞は捨てたものではないと思う。 |
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