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タイトル名 |
南極日誌 |
レビュワー |
ミスター・グレイさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2006-08-23 18:57:56 |
変更日時 |
2006-12-23 17:31:44 |
レビュー内容 |
真っ白な無の世界が広がり逃げ場の無い極限状態において、一人また一人と狂気に取り憑かれていく人間心理の攻めぎ合いが見事に描出されている。冒頭から隊長は異様な雰囲気を醸し出し既に異常をきたしているように見え不安感が募る。南極という得体の知れない場所が魔物が潜む効果を高め幻覚も加わり疑心暗鬼を増長させる。小道具の使い方なども巧みで不可思議さを保ちつつ隊員たちと共に観客も到達不能点までの道のりを体感させられる。それでもホラーとしての要素は確かに弱い。だがその分ソン・ガンホが狂気の演技で凄みを見せる。憎悪に呑み込まれ我が身を滅ぼしていく様は、まるでメルヴィルの『白鯨』の船長を想起させる。強過ぎる偏愛は表裏一体の憎悪へと変わってしまう。人間の狂気に改めて恐さを覚える。 |
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