みんなのシネマレビュー
実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 - onomichiさんのレビュー
◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

タイトル名 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程
レビュワー onomichiさん
点数 9点
投稿日時 2009-03-29 20:42:04
変更日時 2009-04-03 23:59:16
レビュー内容
坂口弘らの手記を基にして構成されたであろう連合赤軍の山岳ベースを舞台にしたリンチ殺人・粛清劇の映画化である。そもそも連合赤軍事件は、12人の同志殺害という事実だけで繋ぎ合わせてみれば、「総括」や「自己批判」などという内実のない言葉だけが飛び交う、理想と現実と空想が入り乱れた薄っぺらな観念劇とならざるを得ない。
本当にそうだったのだろうか? 連合赤軍事件とは一体何だったのか? 学生達が殺し合い、12人が死んだという事実を連ねただけでは事件の全てを「総括」できはしないだろう。12人の同志殺害というテロルの論理は、密室における群衆心理や永田洋子の執拗な嫉妬心等の心理学だけで理解できるものではないと思う。そもそも、彼らを集団殺人へと駆り立てた観念とは何なのか? 一線を越えさせた契機とは一体何だったのか?

先鋭化した学生運動に深く関わった経歴をもつ推理小説作家笠井潔は、連合赤軍事件に衝撃を受け、革命という観念が必然的に生み出すテロルの論理について思考し、三島由紀夫やドストエフスキーの小説についての文芸批評、ヘーゲル哲学の方法論によってマルクス主義を象徴とする観念批判論を纏め上げた。80年代に上梓された名著『テロルの現象学』である。この本によれば、テロルは、自己観念-共同観念-党派観念という道筋を辿ることにより、方法論として正当化され、論理的、観念的に絶対化される。
僕は学生時代に『テロルの現象学』と『バイバイ、エンジェル』を読み、連合赤軍という事件を初めて理解した(と思った)。事件そのものは映画で描かれたような思想的に矮小な集団殺人劇であったかもしれないが、それを本当に批判の対象とするには、観念という悪霊の出自、テロルの論理を理解することが必要なのだと思う。
連合赤軍事件とは一体何だったのか? オウム事件からさえも10年以上経った現在では、その問い自体が空疎に響かざるを得ない。それはこの映画が放つ薄っぺらな切実さと共鳴し、(その後に鑑賞した)映画『トウキョウソナタ』で描かれた現在の廃墟へと一直線に伸びているように思えた。
onomichi さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-04-30生きる98.03点
生きる LIVING86.57点
2024-04-29オッペンハイマー96.51点
2024-03-05落下の解剖学86.75点
2019-03-30寝ても覚めても106.53点
2013-12-26ゼロ・グラビティ107.63点
2013-01-29アルゴ107.14点
2013-01-29鍵泥棒のメソッド107.36点
2012-11-03ロック・オブ・エイジズ106.60点
2012-08-27桐島、部活やめるってよ107.18点
実録・連合赤軍 あさま山荘への道程のレビュー一覧を見る


Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS