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恋におちて - フィンセントさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 恋におちて
レビュワー フィンセントさん
点数 0点
投稿日時 2018-05-19 13:53:51
変更日時 2018-05-19 13:56:38
レビュー内容
私は、<子供のいない妻>の不倫作品がダイッキライである。

なぜなら、そこに何の苦悩も生まれないからだ。
不倫映画はあまた見てきたが、妻側に子供がいないというのは”逃げの設定”だと断言する。それは軟弱者の設定だと、はっきり言わせていただく。

男は女より母性が薄い。だから夫が妻や子供を捨てることは夫という人物の性格を多少マイナス評価にさせても、そこまで下がることはない。(子供や妻はかわいそうだが、子供にとっては絆の深い母との生活は充足したものになるものだ)
しかし妻が、夫はさておき、子供を捨てることになるような不倫に走るというのは、母性の欠落、母より女という選択、となり、それはヒトとしてアウトになる。
母性不足のアウトなヒロインは、なかなか、まっとうなキャラとしては描きがたい。

だから子供を傷つけるという代償を払わないですむ、”子ナシの妻”を簡単に採用する。このヒネリのない設定が断じて許せない。

この映画にしても、メリルには子供がいない。日本の作品だが「失楽園」といい「昼顔」といい、ヒロインに子供がいない。だから、ヒロインは母という責任を背負いません。なんてイージーで、なんてずるい設定だ。



それでも世間には、”子ありの妻”という難解な設定に力強く挑んだ、優れた映画がある。

私は「マディソン郡の橋」は、子供のある妻の苦悩と最後の選択に、わたしは激しくこころ揺さぶられ、あの助手席のドアをあけようかどうしようか迷ってあけられなかった場面で号泣した。
「ピアノ・レッスン」では、子供のある妻自身がまるで子供のように、自分の子供を不倫のメッセンジャーとしてパシリに使い、ときに子供に「こんなことしたらだめよ」と諭されながらも、本能に従い欲望に向かって突進するという、いかにも芸術家的な気質に、圧倒された。

だから、この映画は何も胸を打たない。

そもそも、なんでメリルの友達もロバートの友達も、どっちも不倫やってて、「不倫いいよ~やってみぃ~」ってそそのかし役になってるんだ。

理由はわかっている。

メリルとロバートが惹かれあう理由がとぼしいからだ。
「ピアノレッスン」のように既婚者側のパートナーに、決定打的な、婚姻生活崩壊の原因があったとわけでもない。
「マディソン郡の橋」のように既婚者側が胸に秘めていた夢や備えている知性を理解してくれた男に出会えたというわけでもない。

普通にやってれば普通に続けられたそれなりの婚姻生活を、特に惹かれあうところもなさげな二人が、婚姻生活を終了させてまで付き合う相手なのか?さっぱり説得力がない。(そして、妻側は子なしという”逃げの設定”というオマケつき)

この映画を楽しむとしたら、不倫のうしろめたさに葛藤するときのメリルの表情と、カレに会うための服のコーデを時間かけて選んでいてワクワクしているメリルの表情と、カレとついにベッドで抱き合って恍惚の顔をしてるメリル表情くらい。

でもそれを見たいなら「マディソン郡の橋」でも同じものが見られるので、そっちを見ればいいじゃんということに。
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