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彼女がその名を知らない鳥たち - TANTOさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 彼女がその名を知らない鳥たち
レビュワー TANTOさん
点数 6点
投稿日時 2021-05-25 09:37:59
変更日時 2021-05-25 09:37:59
レビュー内容
十和子と陣治、見るからに陣治の一方的な片思いでおそらく十和子の経済的な理由か何かで同居してる、歪な関係の二人だなというのが最初の印象。十和子は経済的に陣治にパラサイト状態。DVDが観られない、時計が壊れたとクレームを付け、お店が代替品を用意しても「失われたあたしの時間はどうしてくれる?」「誠意を見せろ」というクレーマーの手本のような行動を普通に取れる女性。お店に難癖をつける様子はある意味堂に入ったものでしたが、あの年代の女性が見せる態度としては不自然。同じことを四十後半くらいからのおばちゃんがするなら自然な気がするんですが、どうみても二十代前半くらいの蒼井優さんの容姿であれをやるのは違和感しかなかった。そしてそんな態度を見せた後に感極まって泣き出す十和子にいきなりキスをする水島(=松坂桃李さん)の気持ちはさらにわからない。自分ならあんな場面、適当な理由つけてすぐに帰ってるが。というかあんなクレーム入れる客とその客の部屋で1対1になる神経がもうどうかしてる。

陣治も十和子に対する愛情が過剰で、自転車で十和子を探し回ったり付きあってる相手の家に嫌がらせをしたり理解しがたい行動が多々ありましたが、それはラストの謎解きで納得。十和子への愛ももちろんだが、十和子につきまとうのは裏十和子に対するリスク管理の意味もあったんですね。十和子のことがただ好きで好きで、ただの「好き」ばかりだったのが黒崎との一件以来、人を殺して記憶を失った十和子を「守ってあげたい」の気持ちも加わり、より複雑で深い「好き」になっていったんですね。

「映画だから」と言ってしまえばそれまでなのですが、純粋に気持ちを寄せる十和子をお金のために他の男に抱かせる黒崎や、自分から関係を始めたくせになんだかんだ理由をつけてすぐに他の女と遊びながらも十和子を性欲処理に使う水島が不快すぎて。鬱々とした黒い感情を溜めに溜めて最後それが爆発して相手を刺してしまう十和子のことを責める気にはなれませんでした。
色々な感情が出てきて、それを持っていくところを見いだせない映画でした。
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