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パパのお弁当は世界一 - かっぱ堰さんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 パパのお弁当は世界一
レビュワー かっぱ堰さん
点数 9点
投稿日時 2018-11-29 20:25:37
変更日時 2024-03-23 16:46:46
レビュー内容
Twitter発祥の感動物語で、もとはショートムービーとしての企画だったのが結果的に1時間以上に拡張されたものらしい。
まず問題としては劇中の時間の流れが十分表現されていないことで、最初の時点で娘が何年生だったのかがわからず、17歳のところで2年生だったのかと思ったら、すぐその後で卒業の話が出たので大混乱した(「卒業」というのが何か別のことの比喩なのかと思った)。また何で最後の授業が12/8なのかもわからなかったが、これは近年、受験に備えて12月で授業が終わる高校もあるということらしい。実際のツイートも2016/12/8だったようで、ここは実話に合わせた形になっている。

物語としては、その12/8を目標点に据えて全体を膨らませた形になっており、当然ながら創作部分がほとんどと思われる。最初の導入部分はコメディでもないがかなりユーモラスな作りで、特に職場でのやり取りは笑わせる。娘については、どんなのが出て来てもとりあえず全部食うというのがまともな育ちで好感が持たれる。学校の友だちも優しいので和まされる。
中盤では少々の波乱があり、これは父親への裏切りではないかと思うところもあったが、しかし結局彼氏などはどうでもよかったのであって、それ以前に人として基礎的に大事なものがわかったエピソードになっている。堤防の上で、思わず漏らした本音に電車の音を被せたのはいい感じだった。また全てが終わって、弁当をかみしめて出た一言には泣かされた。
ほか娘がろくに手伝わないのは問題だと思われるかも知れないが、本物の高校生などどうせこの程度の感覚だろうし(覚えのある人は多いはず)、それよりも、3年間の累積赤字に気づいてちゃんと態度を変えていたのはやはり感心な娘である。父親が作り続けた弁当は、言葉は悪いが“愛情のベースロード電源”のような感じで、愛情の供給量を底上げしていたように思われる。
簡素な作りの映画だがポイントは押さえてあり、何より気持ちの詰まった物語になっている。幸せそうな父親で羨ましい(努力が必要なわけだが)。
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