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タイトル名 |
日の名残り |
レビュワー |
眉山さん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2019-07-27 23:35:04 |
変更日時 |
2019-07-28 10:11:13 |
レビュー内容 |
予備知識ゼロで、ほとんど期待することなく見たのですが、これは傑作。第二次大戦直前というややこしい時代背景と、主人公の心の葛藤の絡み具合が見事です。「執事」という、少なくとも自分の人生においてまったく接点のない職業でありながら、その言動や表情にはひたすら共感するばかり。誰でも社会的な立場というものがあり、それゆえに忠誠を尽くしたり、屈辱を味わったり、言いたいことをグッと堪えたりするわけで。それによって何か報われるかといえば、けっしてそうではなく、ままならない思いを抱えたまま人生を終えていくのでしょう。 「老いらくの恋」ですらないささやかな再会が「1日のうちでもっとも美しい夕暮れ時」であり、しかもその後でどしゃ降りの雨に見舞われるという皮肉も滲みます。寅さんよりも健さんよりも「男はつらいよ」でした。しかし全体として暗くならないのは、ときどき繰り出されるユーモアのせいでしょうか。 |
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