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イワン雷帝 - すかあふえいすさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 イワン雷帝
レビュワー すかあふえいすさん
点数 9点
投稿日時 2014-05-21 00:00:03
変更日時 2015-01-02 23:15:07
レビュー内容
セルゲイ・エイゼンシュテインの映画には、フィルムが撮影されたにも関わらず破棄されてしまったフィルムが幾つか存在する。
一つは「ベジン高原」であり、もう一つは「イワン雷帝」の第三部だ。
「イワン雷帝」の第三部はイリヤ・レーピンの「イワン雷帝と皇子イワン」が如くイヴァン4世が今まで殺めてきた人々に贖罪を求めるという内容にするつもりだったらしい。
ところが、時のジダーノフ批判によってスターリンが「イワン雷帝」そのものを封印してしまったのである。
だが、それが先に製作された99分の第一部、88分の第二部を合わせた187分に及ぶ傑作を完全に殺してしまったワケではない。

第一部も凄いが、特に第二部!
“暗殺”をめぐる数十分に渡るシークエンスが凄いんです。総てが一つに繋がる瞬間の戦慄!
暗殺の誓いをたてる場面、子供に子守唄を捧げる母親に送られる黒い布に包まれた“メッセージ”、ラスト28分で入り乱れるカラーと白黒の映像。
黒と赤が織り成す壮烈な宴、“生贄”にささげだす“戴冠式”という名の余興、真に果たされる“復讐”の結末・・・。

後悔の念で総てを破壊される者の最期・・・。

第一部も、第二部も、そして製作される筈だった第三部も絶望に満ちた叫びで終幕を引いて行く。

いくら叫び唄いつづけても、一度失った者は二度と戻って来ない・・・。
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